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2023年9月 6日 (水)

クリミアとクリミア・タタール人を再び「思い出す」エルドアン

2023年9月1日
アレクサンドル・スヴァランツ
New Eastern Outlook

 メディアは、トルコのレジェップ・エルドアン大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領との会談の可能性について議論を続けている。両国はそのような訪問の可能性を繰り返し確認しているが、主にロシア大統領指の忙しい日程と特別軍事作戦に関連する現在の状況のために、日付はまだ決まっていない。トルコ大統領の公式代表は、彼が9月の初めにロシア(おそらくソチ)への短期訪問をするかもしれないと示唆した。

 当然ながら、ロシアとトルコの緊密な関係や、両首脳間の個人的つながりを考えると、両者の会談が頻繁に行われ、これにより相互に関心のある幅広い二国間および国際的な問題について話し合えたと言っても過言ではない。ロシアはトルコとの提携を高く評価しており、これらの関係が将来拡大することを望んでいる。

 現在の状況で、モスクワとキーウ政権を支持する西側の中心(ワシントン、ロンドン、ブリュッセル)間の一種の仲介者としてアンカラは機能し続けている。以前の会談と同様、トルコ・ロシア間の会談で取り上げられた問題には、シリア、ナゴルノ・カラバフ、アルメニアとアゼルバイジャンの関係、通過回廊、対外貿易、エネルギー、「穀物取り引き」、黒海盆地の緊張の緩和、ロシア・ウクライナ危機の解決、軍事技術協力等がある。

 一方、欧米がモスクワの経済的利益を考慮しなかったのに対応して、ロシアが黒海イニシアチブから撤退したのは、NATO諸国にとって特に懸念される問題となっており、トルコは「穀物取り引き」を再開する新たな機会を見つけようとしている。アンカラが黒海海峡を支配しており、これまでのところ、黒海以外のNATO諸国軍艦の黒海入航を拒否しているのは明らかだ。同様に、黒海におけるロシアの海上貿易も明らかに、この海峡と結びついており、トルコの方針に依存している。

 しかし今年7月初旬イスタンブールで開催されたエルドアンとウォロディミル・ゼレンスキー会談後、トルコはロシアで懸念を引き起こす多くの措置を講じたことが知られている。これらには2014年2月までのソ連時代行政境界でのウクライナ領土保全承認に対し繰り返したトルコ大統領の主張、2022年秋に締結された捕虜交換に関する合意に反し(ロシアで禁止されているテロ組織)ナチス・アゾフ連隊指揮官のウクライナ帰国、黒海盆地でのウクライナ穀物輸送のための代替「人道回廊」議論、特別軍事作戦が進行中の地域でウクライナ軍を支援するための軍事的、技術的協力やトルコの兵器や軍需品の更なる供給。

 仲介者としてのトルコの使命やロシア-ウクライナ危機の政治的解決を実現する決意をエルドアン大統領は繰り返し公式声明を出している。しかし、仲介者は原則として、中立的立場を支持し、平和を求めるべきだ。しかし、トルコの場合、注意深い観察者なら誰でも同意するように、様々な意見、方法、政策の風変わり混合物が混在している。

 一方で、モスクワとキーウの両方に平和を維持し、敵対行為を終わらせるようトルコ外交官が求めながら、他方で、ロシアがクリミアや他の旧ウクライナ領土を併合したとトルコ当局は非難している。トルコは戦場での緊張を高めるキーウ政権への軍事物資送付を止めておらず、トルコの民間軍事企業SADATは戦闘機をそこでロシアに対し使用されるウクライナの紛争地帯に送り続け、トルコ諜報機関(MITとMGK)はウクライナ諜報機関に専門家の協力と情報を提供している。

 トルコでは、クリミア・タタール民族主義運動に対する公的および公式支援が事実上衰えることなく続いている。近年(そして特に「穀物取り引き」に関連する危機に関し)、トルコ政治家は再びクリミア・タタール人問題に注意を向け、クリミアがロシア連邦の被統治者として包摂されるのに反対するクリミア・タタール人民族会議の行動支持を繰り返した。

 数日前、クリミア・プラットフォーム第3回サミットでレジェップ・エルドアン大統領は演説し「トルコはクリミア併合を認めておらず、この措置は違法だという立場からぶれたことは一度もない」と述べた。トルコ大統領はロシアで投獄されているクリミア・タタール人の立場も取り上げた。「この機会に、刑務所にいるクリミア・タタール人民族会議副議長ネリマン・セラルと彼の同僚の釈放希望を改めて表明したいと思う。」

 当然ながら、ロシアはトルコの立場に精通している。それでも、モスクワは、この意見の違いが両国が他の分野で協力するのを阻止するものではないと頻繁に主張している。しかし筆者が見ているように、9月初旬にソチでウラジーミル・プーチンと会談する直前に、レジェップ・エルドアンがウクライナの領土保全とクリミア・タタール問題を主張したのは偶然ではなく、両国協力の「他分野」で譲歩するようロシアに圧力をかけようとする試みだ。具体的にはトルコはロシアを説得して「穀物取り引き」を復活させ、シリアとアルメニアに関して譲歩し、カスピ海盆地で新しいガスパイプライン建設を望んでいる。

 一方、ロシア・マスコミがたびたび指摘している通り、トルコの政治家や専門家の中には、クリミアやエルドアン大統領の公式見解と大きく異なる他の問題について、アンカラの立場に影響を与えない見解を持っている。たとえばトルコのクリミア・タタール文化協会連盟会長でトルコ・クリミア友の会会長ユンヴェルセルは、キーウ政権のウォロディミル・ゼレンスキー大統領にクリミアとウクライナの以前の国境回復を忘れるよう勧めた。

 当然、トルコや他の国の公人によるそのような声明は、ロシアの読者を喜ばせるのは確実だ。しかし、そのような声明はトルコの公式の立場にほとんど影響を与えない。ロシアは、ロシアとトルコ戦争中の18世紀にオスマン帝国からクリミア半島を征服し、エカチェリーナ女王、ポチョムキン、ルミャンツェフ伯爵の先見の明ある民族政策を推進した。したがって、長い歴史的記憶を持つトルコが、クリミアの(ロシアの)「故郷の港」への復帰を支持する理由がないのは当然だ。

 同時に、トルコは様々な問題でロシアとの見解の相違を示しているが、原則として、財政的、政治的にそうするのが利益になる時はいつでも常に同意する。したがって、我々ロシアは、我々の利益を考慮しないトルコには強い反対を表明し、逆にトルコの政策がロシアの利益に対応し、我々の利益を促進する場合、トルコを支持するべきだ。

 トルコは調停者として行動する使命があると主張し、ロシアとの提携も望んでいる場合、少なくとも、物議を醸す問題に関し中立性を遵守し、最大で、公的、私的の両方で、操作の試みを控える必要がある。そうでなければ、少なくとも外交界では、調停者としての評判は急落するだろう。トルコはクリミアをウクライナに返還させることはできず、ロシアには領土を放棄する計画はない。

 トルコの支援がなければ、ガス輸出と対外貿易の面で負け、コーカサスと中東の脆弱な和平合意は損なわれ、天国は他に何を知っているかをロシアに伝える、曖昧な議題を持つ専門家の話をよく耳にする。しかし、同じ親トルコの専門家は、ロシアのガスと原子力がなければ、トルコは遙かに悪化するだろうが、ロシアはトルコのトマトなしでやっていけること、そしてロシアは過去にトルコのリゾートなしで管理し、独自の多面的観光産業を発展させるのに良い立場にあることを思い出す必要がある。そして石油とガスに関しては、アジアの主要経済国へのロシア輸出は、トルコへの供給を遙かに上回り、トルコのヨーロッパ市場への輸送ルートを経由している。したがって、トルコはロシアに依存しており、モスクワに条件を指示する立場にはない。

 首脳会談の議題を調整し、会談自体の準備をするため、レジェップ・エルドアン大統領のロシア訪問に先立ってトルコ外務大臣ハカン・フィダンがモスクワに到着した。MIT長官としての長い経験を考慮すると、彼がトルコとロシア関係に影響を与えるあらゆる問題をよく理解し、ロシア連邦との関係の見通しを正しく評価すると期待するのは合理的と思われる。

 アレクサンドル・スヴァランツは、政治学博士、教授、オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2023/09/01/erdogan-remembers-the-crimea-and-crimean-tatars-again/

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 首脳会談結果、この記事の予想通り?

 マクレガー氏、ウクライナは交渉する時機。ガスをたたれたドイツは悲惨な状態で、ショルツもベアボックも退陣させられ置き換えられる運命。アメリカ戦略皆無で、衝動的な対応のみ。アメリカの戦費はウクライナを助けるのではなく、軍需産業を太らせ、政治家に資金を回すだけの詐欺Shell Gameだ。

Douglas Macgregor Interview - The Ukraine Crisis | Kyiv means nothing to Russia 22:23

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

NYTとWP双方が金正恩朝鮮労働党委員長のロシア訪問、プーチンとの会談の可能性を報道。対談の焦点は北朝鮮による武器供与問題。米国は北朝鮮の事前打ち合わせチームの報告書を入手している模様。米国は金委員長の訪ロ、及び武器供与を行わない様警告を発している。

 日刊IWJガイド

「スコット・リッター氏が『平和と復興のためにはウクライナが降伏して現実を受け入れるしかない』と指摘! IWJが全文仮訳!!」

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