リストから外された「死からよみがえる」反中国テロ集団
2021年9月22日
Brian Berletic
New Eastern Outlook
2020年末、時にトルキスタン・イスラム党(TIP)とも呼ばれる、東トルキスタンイスラム運動(ETIM)を、アメリカがテロ集団リストから外して、疑念が生じた。
これは、理論的根拠として、リストから削除する二年前の2018年、アメリカ自身、アフガニスタンでETIM/TIP標的を攻撃したのを認めているにもかかわらず、10年以上、ETIM/TIPが活動的ではなかったと主張しているためだ。
例えば「攻撃をしかけていると中国が非難している正体不明の集団を、アメリカはテロ・リストから削除」という題の2020年のガーディアン記事は、こう報じている。
金曜、新たなアメリカ法と規則を公表する「連邦官報」通知で、マイク・ポンペオ国務長官は東トルキスタンイスラム運動(ETIM)の「テロ集団」指定を削除したと述べた。
「10年以上、ETIMが存在し続けているという信用できる証拠がなかったので、ETIMはリストから削除された」と国務省報道官は述べた。
ETIM/TIPの指定解除7年前の2013年に、ガーディアンは「イスラム教集団、中国の天安門広場での攻撃実行を主張」という題の下記記事を報じていたにもかかわらず、アメリカ国務省報道官の主張には異議を唱えていない。
トルキスタン・イスラム党(TIP)は、10月28日、北京中央の象徴的な天安門前近くで歩行者集団の中を四輪駆動車が突進し、5人が死亡し、多数が負傷し、橋の欄干に衝突し、炎上したテロ攻撃を実行したと主張する最初の集団だ。中国当局は早々、運転手が中国北西の人口過疎の反抗的だ地域新彊出身のイスラム教ウイグル族少数民族だと認めた。
記事は、10年以上、テロ集団が活動していなかったという主張でアメリカ国務省がウソをついたことを示すだけでなく、新彊に本拠があるテロ組織によって、中国が全国的に直面している、まさに本物のテロの脅威を例証している。
アメリカ政府や欧米メディア全般は、何年も、この脅威に対処するため北京が実行している安全保障政策を「大量虐殺」として描写している。
ETIM/TIP「死者のよみがえり」
この全てを考えると、アメリカを本拠とするニューズウィークが、今年9月、この記事を発表したのも驚きではない。「スクープ:タリバンに対する中国の圧力にもかかわらず、ウイグル分離主義者はアフガニスタンに好機を見いだしている。記事の中で「存在しない」ETIM/TIP報道官が、アメリカ・メディアにインタビューされているのだ。
この記事は、この中央アジアの国におけるアメリカの公然の軍事駐留軍から、アフガニスタン国境内だけなく、それを遙かに超えて、隣接する中国内を含め、混乱の種をまく武装組織を支援する、ずっと内密の役割への移行を可能にした動き、アフガニスタンからのアメリカ撤退後のものだ。
ニューズウィーク記事は、こう報じている。
「アメリカは強国で、自身の戦略を持っており、地球上の全人類と宗教の敵である中国と対決するための手段として、莫大な経済的損害を被っているアフガニスタンでの戦争からのアメリカ政府撤退を我々は目にしている」と一般に東トルキスタンイスラム運動(ETIM)として知られるトルキスタン・イスラム党政治事務所の報道官が「ニューズウィーク」に述べた。
昨年アメリカのテロ組織リストから削除されて以来、初めての、秘密主義集団による国際メディアへの発言と思われるもので、トルキスタン・イスラム党報道官は、先月のアメリカ軍撤退後、中国に対するより大きな圧力が続く希望を表明した。
「中国へのアメリカの反対は、トルキスタン・イスラム党とトルキスタンの人々だけに恩恵があるわけではないと我々は信じる」「全人類にとってもだ」と報道官は述べた。
「ニューズウィーク」は2018年のETIM/TIPの標的に対するアメリカ攻撃にも言及し、こう報じている。
9/11攻撃後に導入された愛国法措置の一環として、何年もの間、アメリカはテロリスト・リストにETIMを載せていた。国防総省は、少なくとも2018年まで、アフガニスタンでの空爆で、この集団に狙いを定めさえしていた。
ETIM/TIPのテロ団体対象リストからの削除は、この組織が明らかに存在し続け、テロ行為を実行し、その「再出現」で、自身を中国に対するアメリカの外交政策に公然と合わせているのに、この組織がもう存在しない証拠とされてものに基づいていると信じるようアメリカ国民は期待されているのだ。
アメリカは、標的に定めた国に対する紛争で、武装代理人として使おうとしているテロ組織もリストから外した。これは2011年に、アメリカがリビア国内だけではなくシリアに対し、2011年以降、戦士や兵器を北アフリカから中東に移した後も代理戦争で使ったリビア・イスラム闘争グループ(LIFG)を含む。
アメリカは、イラン当局に対するテロ活動を行うため、アメリカと同盟諸国に使われるテロ集団モジャーヘディーネ・ハルグ(MEK)もリストから外した。
アメリカが中国の新彊で分離主義を支援しているのは秘密ではない
ニューズウィーク記事はETIM/TIPを「圧制的」中国占領からの独立のため英雄的戦いに従事していると描写しようとして記事の多くを費やしている。記事はこう主張する。
「東トルキスタンはウイグル族の土地だ」とトルキスタン・イスラム党報道官が述べた。「中国政府が武力で我々の故国を占領した後、彼らは我々を圧迫して、故国を去るよう強いた。全世界は東トルキスタンが常にウイグル族の土地だったことを知っている。」
ニューズウィークは記事の中程で、最終的にこう認めている。
中国と国連だけでなく、欧州連合、キルギスタン、カザフスタン、マレーシア、パキスタン、ロシア、トルコ、アラブ首長国連邦やイギリスを含め一連の国々や国際機構がETIMをテロ集団と見なしている。
実際、国連はETIM/TIPをテロ集団と見なし、この組織は「中国とその人々の安全保障への差し迫った脅威だ」と指摘したとニューズウィークが引用している。
国連安全保障理事会は、公式国連ウェブサイト「東トルキスタン・イスラム運動」という題の声明で明示的に述べている。
東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)は、中国内で、独立した、いわゆる「東トルキスタン」を設立する目標を推進するために暴力を使う組織だ。
国連安全保障理事会声明は、二つのことを極めて明確にしている。第一に、国連と、の拡張として、大多数の国際社会が「東トルキスタン」という表現を認めておらず、代わりにこの地域を中国の一部、新疆として認めている。
第二に、国連安全保障理事会は、ETIM/TIPを、分離主義野心を推進するために暴力を使うテロ集団だと明示的に指定している。
「東トルキスタン」という表現は国際法と矛盾し、分離主義者にだけ使われ、この地域は国際的に、ステータスを新彊、中国として認めている。
だから、アメリカ政府の全米民主主義基金公式ホームページで「新彊/東トルキスタン(中国)」と題するページに列記された新彊での計画が多くを物語っている。
ウイグル人権プロジェクト(UHRP)と世界ウイグル会議(WUC)を含めリストに載っている組織は、中国の新彊を、中国に「占領されている」と見なし「東トルキスタン」と明示的に呼んでいる。
UHRPは、ウェブサイトで、自身についてこう主張している。(強調は筆者)
ウイグル人権プロジェクトは、中国政府により新彊ウイグル自治区と呼ばれる東トルキスタンのウイグル族や他のチュルク系イスラム教民族の人権を推進している
WUCのウェブサイトは、この組織は「東トルキスタンの中国占領に対する抵抗運動」を宣言すると主張している。
UHRPはワシントンD.C.に本拠を置き、両組織はアメリカ政府に資金供給されている。
世界ウイグル会議はアメリカ政府に資金供給され、いわゆる「ウイグル裁判所」を始めた組織だ。ウイグル裁判所の公式ホームページは(強調は筆者)こう認めている。
2020年6月、世界ウイグル会議総裁ドルクン・エイサはウイグル族やカザフ人や他のチュルク系イスラム教住民に対する「進行中の残虐行為で大量虐殺の可能性があるもの」を調査するため独立民族裁判所を設立し議長を務めるよう勅選弁護士ジェフリー・ナイス卿に公式要請した。
だから、アメリカは分離主義を推進する組織に直接資金供給し、中国新彊で明らかに分離主義を推進しているだけでなく、活動中のテロ集団、ETIM/TIPを、テロ組織リストから削除し、資金を与え、世界規模での旅行をより容易にし、中国領域と国民を狙った、この分離主義とテロの組織的活動に対する中国の対応を「大量虐殺」として表現するため、世界的メディアや国際機関に対する支配力を活用しているのだ。
換言すれば、アメリカは片手には、アメリカによる中国包囲と封じ込め参加に熱心な「再出現した」ETIM/TIPテロリストという剣を持ち、もう一方の手には、この脅迫に対処する中国の試みから守るための「人権提唱」の盾を持っている。
アメリカは、自身主張する世界の平和と安定を保証する「ルールに基づく国際秩序」の指導力を前提にしながら、同時に、その両方に対する最大脅威なのは永遠の皮肉だ。
Brian Berleticは、バンコクを本拠とする地政学研究者、著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/09/22/de-listed-anti-china-terror-group-rises-from-the-dead/
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新疆問題、日刊IWJガイドのの説明を再度拝聴したばかり。
冒頭オープン【10/3 20時~再配信】岩上安身によるインタビュー第1051回 ゲス
ト 『アメリカは中国に負ける-日本はどう生きるか』著者 元外務省国際情報局長
・孫崎享氏(後編)
日刊IWJガイドによると 今日は話題の睡眠障害人物についての再配信。
<本日のタイムリー再配信>本日午後8時から、2016年収録「甘利明・前経済再生相が雲隠れ!?『甘利問題』を風化させるな!自民党が提出した睡眠障害の診断書は循環器内科医が書いていた!~岩上安身によるインタビュー 第626回 ゲスト『甘利前大臣疑惑追及チーム』座長・大西健介衆議院議員」を冒頭のみオープンで、その後は会員限定で再配信します!
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