ノルドストリーム2に対する聖戦を続けるアメリカ
2021年3月5日
Brian Berletic
New Eastern Outlook
外交政策に関し、ワシントンで起きている党派政治劇場にもかかわらず、新アメリカ大統領が就任しても、事実上、何も変わっていない。新政権の言説さえ、前任者のものと、ほとんど区別できない。
アメリカが率いる「国際秩序」を維持し、地球のどこであれ、それが挑戦される所で、アメリカ覇権を主張する継続的努力の一環として中国とイランとのアメリカの緊張から、ロシアに対する圧力継続まで、アメリカは非常に戦闘的外交政策を追求し続けている。
これには政治経済界の権益がアメリカ権益から逸れ、正反対にさえなり始めた西欧も含まれる。
最良の例が、ロシア-ヨーロッパ協力を妨げるためアメリカが標的に定めた不安定化しかねない東欧地域を迂回する西欧向け炭化水素の直接の流れを拡大するロシア・ドイツの共同事業、ノルドストリーム2パイプライン・プロジェクトへのドイツ参加だ。
マイク・ポンペオ発言を、おうむ返しにするブリンケン
アメリカ上院での指名承認公聴会で、アントニー・ブリンケン新国務長官は、共和党と民主党のアメリカ上院議員のほぼ満場一致の賛成を得た。世界中で、アメリカの好戦的態度を維持し、拡大さえする必要性で。
特にノルドストリーム2に関し、ロシア・ドイツ・パイプライン阻止への新政権の誓約を質問されると、ブリンケンはこう答えた。
次期大統領はノルドストリーム2は良くない考えだという点で、あなたと大いに同意している。彼は、それについて、非常にはっきりしている。
私は[パイプライン]最後の百ヤード完成を防ぐため、できる限りのことは何でもすると固く決意している。私は大いに同意する。
新政権は、プロジェクト阻止に対する「ドイツの圧力に立ち向かう」つもりか尋ねられると、ブリンケンはこう答えた。
ドイツを含め我々の友人やパートナーに、これを進めないよう説得するため我々が持っているあらゆる説得手段を[バイデン大統領が]使わせるはずだと知っていると申し上げられる。
クルーズ上院議員のノルドストリーム2を記述する公式議員ウェブサイトによれば:
もし完成すれば、ロシアの積極的拡張主義と経済恫喝に役立ち、ロシアが我々のヨーロッパ同盟諸国をエネルギー安全保障で人質にし、アメリカの国家安全保障権益を傷つけるプロジェクトだ。
だが、もしその、どれかが実際本当だったら、ドイツは、そもそも一体なぜプロジェクト参加に同意するのだろう?ドイツがなぜ自発的に、ロシアによる「経済恫喝」に参加したり、意図的に「エネルギー安全保障」を危険にさらしたりすだろう。
アメリカは、ヨーロッパのエネルギー安全保障に対する脅威をヨーロッパ自身よりうまく評価し対応する、どれほど良い立場にあるのだろう?アメリカがヨーロッパに自身の「自由ガス」を売ろうとしている事実は目につく巨大な利益相反ではないだろうか?
選択する自由からヨーロッパを解放するアメリカ
アメリカは、いつもそうだが、自分が推進したい思惑を推進するための修辞的煙幕をでっちあげる。その修辞的主張と、思惑は、しばしば真っ向から矛盾する。ノルドストリーム2を阻止する政策も例外ではない。
アメリカは、ロシアの安く容易に入手可能な炭化水素を切断し、ヨーロッパにアメリカから、政治的にも環境上も論争の的の手法、水圧破砕で得られる、より高価な炭化水素を買うよう強いて、自身でヨーロッパのエネルギー安全保障を危険にさらしているのだ。この破砕抽出プロセスも、アメリカからヨーロッパまで炭化水素を輸送するプロセスも一層精巧なので、ロシアの炭化水素よりずっと高価だ。
だから既に確立したロシア炭化水素の流れに代わる選択肢、アメリカがヨーロッパに提供する「エネルギー安全保障」は政治的、環境上、経済的にさえ反対に直面している。
「経済恐喝」のまさに実例になっているのはアメリカの制裁の恫喝と圧力だ。
実際、ノルドストリーム2完成へのワシントン反対の唯一本当の理由は、それが「アメリカの国家安全保障権益」を脅かすことだ。だが、これはアメリカの実際の国防と混同してはならない。これは、むしろいずれも不当で、益々歓迎されない権力と影響力、アメリカ国外での権力と影響力の防衛だ。
ドイツの動き
ドイツ国営メディア、ドイチェ・ヴェレ(DW)は「ノルドストリーム2:ドイツ財団、アメリカ制裁の可能性と戦う」という記事で、アメリカ制裁の影響を緩和するドイツの取り組みを述べている。
記事はこう指摘する。
今月早々、財団は「制裁を恐れなくてもよい」ので、メクレンブルグ-西ポメラニア州政府は、制裁されかねない活動を引き継ぐことができる公的財団を設立したと州のエネルギー省報道官がDWに述べた。
「財団は、パイプライン建設に必要な部品や機械を入手する可能性を実現し、必要に応じて、それを参加企業に提供できる」とレナーテ・グンドラフ報道官が声明で述べた。「狙いは、世界中の少数の企業しか製造していない、これら大いに専門的品目を、制裁のため入手ができなくなる前に確保することだ。」
アメリカ制裁は、今のところドイツ政府自身ではなく、ドイツ企業だけを標的にしているので、制裁で標的に定められた私企業を保護する財団の創設は、企業がアメリカ制裁を回避するのを可能にするだろう。
これに対処するため、アメリカは直接ドイツ政府に標的を定めるよう強いられるだろうが、死に物狂いと弱さの不快な臭いが漂い、アメリカとヨーロッパの絆に、おそらく継続的な逆転不可能な悪化を引き起こす動きだ。これまでの緊張したアメリカ-ヨーロッパ関係は「トランプ政権」の結果だと言われたが、このエスカレーションは新たに就任したバイデン政権下でおきるのだ。
これは最終的に、ワシントンの仲介という概念を葬り去り、ヨーロッパへのアメリカ製「自由ガス」販売を利用して利益を得ようとしている連中を含め、大企業・金融業者の権益に動かされるアメリカ外交政策を完全に暴露するだろう。
アメリカは何年間も、ロシアや中国やイランや他の国々を、ならず者国家として描いて、経済封鎖や政治圧力から代理戦争や総力戦恫喝まで、あらゆることを正当化している。だが今やヨーロッパさえ、アメリカの「ソフト」や、今やアメリカの思惑を受け入れ、「先導」に「従う」のを拒否する国々の拡大するリストではなく、アメリカと、その例外主義が問題であることを明らかにしている「ハード」な圧力を受ける側なのに気づいたように思われる。
皮肉にも、ロシア、ドイツ両国に対するアメリカのけんか腰の激化は、ノルドストリーム2パイプライン以外にも、モスクワと西欧に、アメリカ制裁を回避し協力するための更なる共通点をもたらしている。
Brian Berleticは、バンコクを本拠とする地政学研究者、著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/03/05/us-continues-crusade-against-nord-stream-2/
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前暫定大統領、とうとう逮捕。
朝日新聞DIGITAL
デモクラシータイムス 永田教授の新聞評価に同意。
今日の孫崎氏のメルマガ題名 大昔、朝貢の恩恵はあったはず。そもそも敗戦していない。今は搾取のみ。
菅首相は来月前半に米国を訪問し、バイデン大統領と会見する予定。この姿は古代そっくりだ。日本の前身「倭」の五王(天皇)が歴代使いを中国へ、貢を修め、遠方からの忠誠のこころざしを示し、倭国王と認められる行動を繰り返している。
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