小国の無責任さ
2019年8月23日
Paul Craig Roberts
中距離核戦力条約(INF)に違反したと偽って主張してロシアを非難した後、ワシントンは一方的に条約を否認した。それにより、ロナルド・レーガンとミハイル・ゴルバチョフが実現した冷戦を終わらせた画期的合意を、アメリカ軍安保複合体が廃棄したのだ。
INF条約は、アメリカの20世紀の大統領たちが実現し、21世紀に、今アメリカ・ネオコン政府により放棄された、あらゆる軍備管理協定の中でも、おそらく最も重要なものだった。条約はヨーロッパに対するロシア・ミサイルの脅威と、ロシアに対するヨーロッパに配備するアメリカ・ミサイルの脅威を除去した。条約の重要性は、偶然の核戦争の可能性を縮小したことにある。警告システムには誤警報の歴史がある。ロシア国境のアメリカ・ミサイルの問題は、誤警報を受けて、モスクワが熟考したり、ワシントンと接触したりする時間的余裕を与えないことだ。クリントン政権以来のアメリカ政府の、ロシアとの緊張を高める上での極端な無責任さを考えると、ロシア国境のミサイルは、警報が鳴ったら、ロシア指導部には、ボタンを押す以外、選択肢がほとんどないのだ。
今やワシントンが、ロシア国境にミサイルを配備するつもりで、この唯一の目的のためにINF条約から離脱したのは明白だ。条約離脱のわずか二週間後に、ワシントンは、条約の下で、配備だけでなく、研究と開発が禁止されていたミサイルを実験した。もしワシントンが二週間で新しいミサイルを設計し生産したと思われるなら、あなたは当コラムを読むのに十分知的とは言えない。ロシアを非難しながら、条約に違反していたのはワシントンだったのだ。おそらく、この更なる裏切り行為は、ロシア指導部に、何についてであれワシントンを信頼するのは愚かで自滅的だということを教えるだろう。今や全ての国がワシントンとの協定は無意味であることを、とっくに知っていなくてはならない。
確かにロシア政府は、ワシントンがロシア国境にミサイルを配備するには、理由は二つしかがないことを理解している。 (1)ワシントンが、ロシアに反撃時間を与えない核兵器先制使用ができるようになる、あるいは(2)そのような攻撃で恫喝して、ロシアにワシントンの意志をおしつけるため。明らかに、これらの理由のどちらかが、誤警報で核戦争を引き起こす危険をおかすのに、ワシントンにとっては、十分に重要なのだ。
軍事アナリストは「合理的な当事者」についていくらでも好きなだけ話をできるが、悪者にされ、国境に敵ミサイルで威嚇されている国が、ゼロに近い応答時間の警告を受けたら、それが誤警報だと期待するのは、もはや合理的ではない。
レーガンとゴルバチョフが実現した1988年の条約が、この脅威を排除した。このような脅威を復活させて、一体どんな狙いの役にたつのだろう? なぜアメリカ議会は沈黙しているのだろう? なぜヨーロッパは沈黙しているだろう? なぜアメリカとヨーロッパのメディアは沈黙しているのだろう? なぜルーマニアとポーランドは、アメリカ・ミサイルを彼らの領土に配置するのを認めて、この脅威を可能にするのだろう?
新しいミサイルを製造する数十億ドル契約を望むアメリカ軍安保複合体から、ルーマニアとポーランド政府が大金をもらったのは疑いようもない。ここに我々は小国の極端な無責任を見る。ルーマニアとポーランドの不正な、ばかばかしい政府がなければ、ワシントンはレーガンとゴルバチョフが31年前に埋めた脅威を復活できなかったのだ。
占領されたアメリカ傀儡国家ドイツさえミサイル配備は拒否した。だが、ルーマニアとポーランドの少数の政治家が数百万ドルを懐に入れるため、世界でも取るに足らない二国が、全世界に核戦争の危険を与えているのだ。
対応時間を与えないロシア国境のミサイルはロシアにとって重大な問題だ。ルーマニアあるいはポーランドからのミサイル発射の最初の兆しがあり次第、国がすぐに存在を停止するだろうと、モスクワが公式発表するのを私は待ち続けている。それでルーマニアとポーランドの住民が、彼らの腐敗した政府がもたらす脅威に目覚めるかもしれない。
なぜルーマニアとポーランドの挑発が、ロシアが両国を先制的に占領するのに十分な正当化にならないのだろう? ロシアが二国を占領するほうが、二国がロシアに対して、アメリカ・ミサイルを配備することより挑発的なのだろうか? なぜ前者だけが挑発的で、後者は、そうではないと考えるのだろう?
たとえ誰にその気があったとしても、誰もルーマニアとポーランドの支援に行くことはできない。NATOは冗談だ。それはロシアとの戦いで、一日ともたないだろう。ルーマニアやポーランドのために、アメリカが自殺すると一体誰が思うだろう?
ロシアと自国の国境にアメリカ・ミサイルを配備することで、ルーマニアとポーランドが核戦争の恐怖を復活させたことを強く非難する国連決議はどこにあるだろう? 世界丸ごと非常に無頓着で、この狂気の行為のあり得る結果を理解できないのだろうか?
人類生存の必要条件として、人間の知性は十分でないように思える。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2019/08/23/the-irresponsibility-of-small-nations/
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イージス・アショアも同じこと。
カジノで経済活性化などするわけがない。宗主国カジノ都市を見ればわかる。だから、外国で搾り取ろうとするのだ。経済が活性化する産業を、わざわざ外国に出す阿呆がどこにいるだろう。まともな大物がおられるようだ。「カジノでなくF1とディズニーを」"ハマのドン"が激怒。
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