トランプ-プーチンの平和、貿易と友好会談
Brian CLOUGHLEY
2018年7月2日
Strategic Culture Foundation
トランプ大統領とプーチン大統領との会談が、7月16日に計画されているというニュースを、欧米世界の多くの部分、とりわけ軍産複合体、その権益が、もっぱらもうかる兵器製造帝国を維持することにある、戦争で金儲けするアメリカとヨーロッパの巨大な政治力を持ったひと握りの徒党は、不満に受け止めた。貿易は彼らにとって最も重要だ - ただし、憎しみと不信こそがもうかる兵器輸出をもたらすので、平和と友好は連中の優先事項のずっと下位にある。
イギリス新聞のニュースへの反応は予想通りで、右翼デイリー・メイルはこう書いた。“ドナルド・トランプが、ウラジーミル・プーチンと、NATOを致命的に損ないかねない‘和平協定’を望んでいるという恐怖が高まっている。アメリカ大統領が、ロシア大統領に、ヨーロッパからの軍撤退のような大幅譲歩を提案しかねないと、閣僚たちは益々不安になりつつある。”
タイムズ・オブ・ロンドンは報じている。“ある[イギリス政府]閣僚がタイムズにこう語った。‘ある種のプーチン-トランプ '和平協定'が突然発表されるのが不安だ。トランプとプーチンが、ヨーロッパに、なぜこういうあらゆる軍事ハードウエアがあるのだろう? と言って、お互いにそれを除去するのに同意することが予想できる。'平和に反対するのは困難だが、本当の平和なのだろうか?’”
ロシアが望んでいるのは、友好的関係と貿易なのだから、本当の平和になるはずだ。アメリカやEUや中国や、最も重要な、ペンタゴン-ブリュッセル NATO最高司令部に、ロシアは彼らを侵略する構えだと考えるよう奨励されているバルト諸国も含め、貿易を望むあらゆる国々との貿易だ。
アメリカ国防長官ジェームズ・マティス大将は、エストニア国防相に“ロシア は国境を武力で変えようとしている”と述べ、5月のリトアニア大統領とバルト諸国の防衛大臣との会談では“リトアニア、ラトビアとエストニアというバルト諸国のアメリカ同盟国に、彼らとのアメリカの団結と、バルト諸国や他のNATO領土を、あらゆる侵略から守るアメリカの決意を再確認した。”
現在、欧米プロパガンダ世界でうごめいている、あらゆるばかげたでっち上げの中でも、ロシアがエストニア、ラトビアやリトアニアを侵略したがっているという考え方は、おそらく最も信じがたく、最もばかばかしいものだ。ロシア政府は、そのような行動が、必然的に、より大規模な紛争になり、深刻な核戦争へとエスカレートしかねないのを十分理解している。たとえ、それがグローバルな大惨事にならずとも、ロシア軍によるこうした国々のどれか一つの占領はあらゆる意味で途方もなく高価で、そもそも意味がない。
近々のアメリカ-ロシア大統領会談という文脈で、ストックホルム国際平和研究所 (SIPRI) の2018年世界報告に詳細に書かれている“2017年、アメリカは、アメリカに次いで大量の軍事支出をしている7カ国を合計した5780億ドルより多く、[6100億ドル]軍に使っており、2017年のロシア軍事支出は、2016年より、20パーセント少なかった。”ことに触れている欧米マスコミは、一社もない。
2016年“NATOの軍事支出総計は、8810億ドルに増え”一方“2016年、ヨーロッパのNATO加盟諸国は、2540億ドル支出しており - ロシアの三倍だ”という、ストックホルム国際平和研究所による議論の余地ない発言を目立たせるのは、欧米マスコミにとって、居心地が悪く、実際、恥ずかしいのに違いない。
ロシアは国防支出を削減しているが、アメリカ-NATO軍事同盟は、ラジオ・フリー・ヨーロッパが報じている通り、6月7日に“NATO駐留を、ヨーロッパの緊急時に、30の軍大隊、30の飛行中隊、30隻の戦艦を、30日以内に配備する - いわゆる‘四つの30計画”のために強化することに合意した。アメリカ-NATO軍事同盟事務総長イェンス・ストルテンベルグが、おそらく真顔でこう言った。“新たな部隊の準備や配備を目指すものではなく- 全同盟諸国の既存部隊の即応体制強化が目的だ。”
そこで、BBCは、緊張緩和と友好の可能性という、ありがたくないニュースに、できる限り平静を装うストルテンベルグを報じている。彼はこう語った。“対話は強さのあかしだ。我々は新冷戦を求めてはおらず、ロシアを孤立させたくはなく、ロシアとのより良い関係を目指して努力したい。”彼は、2018年3月、アメリカ-NATO軍事集団は、対立的配備の回数を増やしていると宣言した人物だ。2017年末、NATO作戦には、23,000人以上の兵士が参加し、2014年以来5,000人以上増えた事実が彼の誇りだ。これが、NATOの攻撃・電子戦争戦闘機、ミサイル搭載艦船や戦車-本格的軍事演習で国境と海岸が絶えず脅かされているロシアと“より良い関係”を目指す実に独特の努力なのだ。
6月、ロシアでのワールド・カップ・サッカー大会開始直前、アメリカ-NATO同盟(プラス・イスラエル)は、エストニア、ラトビア、リトアニアとポーランドで二週間の軍事演習を行った。ペンタゴンのヨーロッパ司令部によれば“ロシア挑発でない”作戦に、18,000人の兵士が参加した。無数の国々の人々が重要なスポーツの祭典を楽しむべくロシア旅行を準備する中、ペンタゴン-ブリュッセルの圧力団体は、国防予算がヨーロッパの三分の一で、アメリカの十分の一で、貧困の減少と“国民の幸福とロシア人家庭の繁栄”こそが圧倒的優先事項だと大統領が宣言する国と対決すべく、最善を尽くしているのだ。
バルト諸国で、アメリカ-NATO軍事舞踏会がたけなわの中、“水曜日 [6月6日]、ロシアは、三人の乗組員を国際宇宙ステーション(ISS)に運ぶソユーズMS-09宇宙船の打ち上げに成功した”と報じられているのは、大いに皮肉なことだ。宇宙船には三人の宇宙飛行士が搭乗している。アメリカのセリーナ・オナン・チャンセラー、ドイツのアレクサンダー・ ゲルストとロシアのセルゲイ・プロコピエフだ。
二日前、“プーチンは我々の友人ではなく、彼は大統領の親友ではない。彼はソ連式攻勢で、アメリカに対して闇の戦争をしかけている悪党だから、わが国の大統領も同様に振る舞うべきだ。”とアメリカのベンジャミン・サス上院議員が不平を言う中、宇宙船は国際調和を示して、素早く飛び去った。この種の態度が議会に蔓延している状態で、“世界にとって良く、我々にとって良く、全員にとって良い”と彼が考える“ロシアと仲良くする”トランプの希望を実現するのは困難だろう。
これまでのアメリカ大統領中で、トランプは最も常軌を逸している。彼は敵意あるツイートから、悪意に満ちた演説へと飛躍し、今やほとんど全ての偉大な外国指導者に不信感を抱かれている。彼は“衝動的で非論理的だ”というイラン外務大臣の意見に同意せずにいのは困難だ。しかし - しかも、これは実に大きな‘しかし’だが - 現時点では、彼はロシアとの和解と友好の好機なのだ。ワシントンの戦争屋連中が、来るべきプーチン大統領と彼との会談に、これほど激しく反対している事実が、正しい方向に向かっている十分な証拠だ。プーチン大統領が、彼に平和、貿易と友好に至る軌道を進め続けさせられるよう願おう。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/07/02/trump-putin-peace-trade-and-friendship-talks.html
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試合には関心がなく、結果も知らないが、ロストフ・ナ・ドヌという都市の名前で『静かなドン』という小説を思い出した。ロストフ・ナ・ドヌは、ドン川の下流河畔の都市。あまりの大長編、手にとったこともない。同じ題名の漫画もあるようだが内容は全く知らない。有名な歌『花はどこへいった』は、小説の始めに出てくるコサックの子守歌がヒントだったという。
昔『花はどこへいった~静かなる祈りの反戦歌』という番組を見たのを覚えている。全く想像もしていない内容で、驚かされた。良い番組、作る気になれば、彼らは出来るのだ。
今日は下記の元農水大臣山田正彦氏インタビューを拝聴予定。昨日、翻訳掲載した記事、最悪の組み合わせ: バイエル-モンサント提携は人類終焉の兆し 日本版!
食の安全はどこへいく。
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