資本主義作動中
Paul Craig Roberts
2015年11月28日
Zero Hedgeは、タイムズ紙に最初に掲載された“ギリシャについて話続けよう”記事を報じている http://www.thetimes.co.uk/tto/news/world/europe/article4624755.ece
記事によると、ドイツのメルケル首相とヨーロッパの銀行によって、ギリシャ国民に強いられた生活水準急落のおかげで、非常に多くの若いギリシャ女性が売春に追いやられている。性的サービスを提供する女性の数が大量に増えたため、価格は、一時間4ユーロにまで低下した。つまり、チーズパイや、サンドイッチに十分な4.24ドルが、強欲銀行幹部が押しつけた緊縮策が、女性の体を一時間利用するのに対して付けた値段なのだ。30分なら、価格は、2.12ドルだ。彼女たちは、最低賃金さえ得られない。
このような記事を読むとパロディーか戯画だと思いたくなる。ロンドン・タイムズは、かなり落ちたものだが、それでもスーパーのカウンターで購入する類の新聞ではない。
この記事で、生活費を援助する経済的余裕がある男性の愛人になると、女子学生たちが広告をしているアメリカのウェブサイトが信ぴょう性を獲得する。様々なニュース記事によれば、愛人こそが、NYUのような授業料が高い大学の女子学生の本業のように見える。
NYUの女子学生は、ギリシャ女子学生よりずっとましだ。愛人関係は、1対1の関係で、長期間続き、愛情のこもったものになる可能性もある。堅物の人々は年齢の差を問題にするが、年齢の差は、長らく上流階級の結婚の特徴だ。売春婦は、多数のパートナーを相手し、相手は皆、性病を持っている可能性があるが、売春婦は見返りに現金しかもらえない。ギリシャでは、もし記事が正しければ、料金が余りに安いので、その代金では、女性は昼食までしか生きのびられない。
つまり資本主義が作動しているのだ。アメリカでは、困窮は、大学予算の75%が、教授陣や学生支援でなく、管理に費やされ高騰する授業料と、卒業生が、学生ローンを返済するのに十分な雇用が欠如していることによる。今どきは、レストランの給仕が、俳優として常勤の仕事に尽きたいと願っている、非常勤講師または非常勤大学教授という可能性がある。愛人として暮らすNYU女子学生の方がより良い結果を得るだろう。
ギリシャでは、困窮は、ギリシャが愚かにも、緊縮策と引き換えに、主権を放棄して加盟してしまった欧州連合によって、ギリシャ国外から押しつけられている。強欲銀行幹部や、EUやドイツ政府にいる連中の代理人は、ギリシャ国民は融資で恩恵を受けたのだから、融資を返済する責任があると主張する。しかし、融資はギリシャ国民に対してなされたわけではない。融資を受け入れるよう、貸し手から賄賂を貰った腐敗したギリシャ政府の連中に対して融資がなされ、その資金は概して、融資をしている国から、物を購入するのに使われることが多かったのだ。例えば、ギリシャ政権は、ドイツ潜水艦を購入するため、ドイツや、他の外国銀行から借金するように賄賂をもらったのだ。ギリシャの借金が膨らんだのは、この種の腐敗によってだ。
強欲銀行幹部のサクラを演じる経済マスコミとネオリベラル経済学者が語る筋書きは、ギリシャ国民が、無責任に金を借り、それを自分たちの幸福のために使い、融資の成果を享受したのに、返済するのをいやがっているというものだ。そんな話はウソだ。しかし、ウソは、銀行自身の過剰貸し出しという失敗を補填するため、ギリシャ国民からしっかり略奪するのに役立つ。銀行は、融資手数料と、潜水艦造船業者からのリベートの両方で儲けた。(潜水艦造船業者は、融資が使われる、様々な外国の製品やサービスの総称として引き合いにだしているに過ぎない。)
ギリシャでは、融資は、ギリシャ人の年金や教育や社会福祉や公務員雇用を削減して“節約された”お金と、港湾や市営水道や保護されていた島などの公有資産売却で得たお金で返済されている。年金、教育、社会福祉や雇用の削減は経済を枯渇させ、公有資産の売却は、政府予算を枯渇させる。マイケル・ハドソンは、彼の新刊『Killing The Host』で、これを非常に巧みに語っている。
結果は広範な困窮で、困窮の結果、若いギリシャ女性は身を売らねばならない。
マルクス、エンゲルスとレーニンが言った通りなのだ。
至る所で、人々は激怒するはずだと思いたくもなる。ところが、Zero Hedgeにコメントを書いた人々の大半にとって、これは単に野卑な冗談を言う対象でしかないのだ。“考えてみろ、バイアグラは女性器の値段の4倍だ。”“女性とデートして、夕食にいくほうがましだ。”大いに称賛されている“欧米の価値観”を代表する連中は、これが憤慨すべきものとは全く見なさないのだ。
http://www.zerohedge.com/news/2015-11-28/meanwhile-greece-price-prostitute-drops-?4-hour
指導力の点で欧米に期待を寄せる親欧米ロシア人の比率は急速にゼロに近づくに違いない。
一体何がより重要だろう? 女性の尊厳か、それとも強欲銀行幹部用の10億ドルか?
欧米“文明”は、答えを出した。強欲銀行幹部用の10億ドルだ。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2015/11/28/capitalism-at-work-paul-craig-roberts/
----------
ゲゲゲの鬼太郎。週刊少年マガジン連載をリアルタイムで愛読していた。貧乏人が毎号買えるわけがない。製本会社で働いていた身内が、発売後にもらってきたものを愛読していた。左腕を戦争で失った水木氏、反戦平和の権化。
GPIF損失問題。『再発する世界連鎖暴落―貧困に沈む日本』でも読んだばかり。
宗主国に入れ揚げて、すってんてんになるのが属国傀儡幹部のお仕事。いくら国民の財産をすっても、偉くなりこそすれ、罪をとわれることはない。アメリカの勲章をもらえるのかも。
福島児童の甲状腺癌多発問題。検出精度が上がった、しっかり調べるようになった結果と平然とのたまう政府系学者・医者、たいこもち犯罪人。
ロシアのチェルノブイリ法制定のため奮闘されたチェルノブイリ原発事故処理作業者、リクビダートル、アレクサンドル・ヴェリキン氏は言われた。「広島・長崎の原爆被害国で、国中に原発がある国に、事実上、国民に対する明確な被爆量制限規定がないこと自体が驚きです。」
おりしも岸井氏排除問題で話題の「News 23」で、「恋活 ハッピーメール」事件を報じているのに、びっくりぽん。
先日、芝居「からゆきさん」を見て、男性の経済的徴兵の女性版がこれだったと痛感したと書いた。決して過去の話ではないと。
まさか、我々にとっての宗主国、Paul Craig Roberts氏にとって自国で、同じ状況になりつつあるということを、Paul Craig Roberts氏の文章で拝読するとは思わなかった。
生後16日の長女をごみ箱にいれた夫婦は酷い。国民丸ごとごみ箱に入れる与党、官僚、マスコミ、御用学者、労組、宗主国ジャパンハンドラーの凶悪な行為無視してよいはずがない。
大いに称賛されている“宗主国の価値観”を代表する連中は、これを憤慨すべきものとは全く見なさない。
一体何がより重要だろう? 国民の尊厳か、それとも為政者や強欲銀行と政権幹部用の10億ドルか?
欧米、そして属国日本の“文明”は、答えを出した。強欲銀行と政権幹部用の10億ドルだ。
« トルコの「悲しきサルタン」の締まりつつある首縄 | トップページ | 「イスラム国」 (ISIS)向け“人道援助物資”:シリア国境で止められたNATOテロ車列 »
「アメリカ」カテゴリの記事
- 空騒ぎ:トランプ大統領のウクライナ大詰め計画(2024.12.19)
- シリア:全てが、金、金、金の問題(2024.12.18)
- イスラエルはシリア問題に介入するつもりはないというネタニヤフ首相の滑稽な主張(2024.12.17)
- 「テロ組織」は、アメリカがそう呼びたいもののこと(2024.12.16)
「新自由主義」カテゴリの記事
- アメリカによるヨーロッパ植民地化の影響(2024.11.13)
- 資本主義は巨大詐欺だ(2023.07.21)
- ニュージーランドは些事に至るまで国民を管理する欧米諸国政府用の実地試験?(2023.01.26)
- 議論で破れたがゆえに一層喧しいブッシュ時代の戦争犯罪人連中(2021.08.26)
- iPhoneのために死ぬ(2021.06.07)
「ギリシャ」カテゴリの記事
- トルコに対し表裏ある政策を推進するギリシャ(2022.10.06)
- ギリシャ・トルコ間武力衝突の脅威増大(2022.09.23)
- トルコはなぜS-400を運用しないのか?(2021.07.29)
- ワシントンは、トルコからギリシャに寝返ったのか?(2020.11.10)
- もう一つの戦争にワシントンを押しやるイスラエル(2020.01.23)
「ポール・クレイグ・ロバーツ」カテゴリの記事
- 腐敗したアメリカ支配層に宣戦布告したかどでトランプは暗殺されるのだろうか?(2023.06.26)
- ポール・クレイグ・ロバーツは大量虐殺が好きなのか?(2022.05.01)
- ロシアの安全保障提案をワシントンが拒絶したのはまずい判断(2022.01.31)
- 欧米で、ジャーナリズムは宣伝省にとって替わられた(2021.11.23)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 資本主義作動中:
» ブログ再々開の訳は”hew” [岩下俊三のブログ]
今日から12月である。もう2015年が終わろうとしている。なんて早いのだろう???
ところで
ブログを再開したのは高校一年のときある書物で目にした「動詞」を急に思い ... [続きを読む]
» 一億総健忘症社会の実現 [岩下俊三のブログ]
僕は言うまでもなく賢くないし、第一、興味もないから経済予測と地震予知についてはまったくちんぷんかんぷんである。まして金融相場の動向など分かろうはずもない。
なせなら
... [続きを読む]
« トルコの「悲しきサルタン」の締まりつつある首縄 | トップページ | 「イスラム国」 (ISIS)向け“人道援助物資”:シリア国境で止められたNATOテロ車列 »
感動させる記事であります。翻訳が優れているからなのでしょう。ポールさんの静かな怒りと悲しみが伝わってまいります。感謝もうしあげます。管理人氏とおなじく、この十年テレビとも新聞とも縁を切った生活をしております。年金生活者にとって大きな負担でした。僕は複雑な家庭事情もあり、炭坑保安要員の祖父と恵須取(現ウグレゴルスク)に昭和二十七年まで残留し、八歳で内地に帰還したものであります。もう何もかも遅い話ではありますが、日本になんぞ帰るのではなかったと、悔やむ日々であります。わたしは医者になりたかったのです。ゴルバチョフのお蔭で、樺太旅行ができることになり、小樽からの第二船で真岡(現ホルムスク)に上陸、ウグレゴルスクへと車(元所有者である洋書店の名がありました)で行き、朝鮮人の幼馴染み金君と邂逅いたしました。優秀な彼はモスクワ近郊の医科大学を出て、法医学の先生になっておられました。妹さんも医師でありました。羨ましかった。内地では社会主義者をとおした。今老境にあり、わずかの酒で酔うようになり、ロシア嫌いの家内に聞こえないよう、”ポド・ズナーミニム レーニナ フピリョト フ・パビエジェ”(レーニンの旗のもと、勝利へ向かって前進)と呟くのです。
投稿: 熱心な読者 | 2015年12月 1日 (火) 02時38分