TPP閣僚会議まとまらず - ニュージーランド政府は撤退すべき時期
2015年8月1日、土曜日 4:57 pm
ジェーン・ケルシー教授
2015年8月1日
TPP閣僚会議はまとまらなかった。キー首相とグローサー貿易大臣は撤退すべき時期だ。
オークランド大学のジェーン・ケルシー法学部教授によると‘マウイでの環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)“最終”閣僚会合はまとまらなかった。もう一日延長することを選ばなかったことが、手詰まりが深刻で、解決困難な可能性があることを示しています’。
‘マウイでは全員、お互いのせいにしています’とケルシー教授は語る。‘しかし手詰まりになった根本的原因は、ほとんど全てのTPP参加国における国内の反対です。’
‘医薬品価格を上昇させ、各国政府が管理する権利を制限する様な協定は、自分達の国益にはならないと人々は考えています。’
‘交渉を秘密のとばりで覆っても、政治家達は、自国内で売り込めないような最終協定に署名できないことは分かっています。’
グローサー貿易大臣の営業活動は今週一層困難になるだろうと、ケルシー教授は言う。
長年拒否を続けてきた後、彼と首相は、医薬品は実際ずっと高くなること、TPPが、外国投資に対するより厳格な制限を阻止し、TPPの下では、外国投資家が、実際、ニュージーランドを訴え、勝訴する可能性があると、とうとう告白した。
‘こうした告白が、TPPの政治的代償を引き上げ、貿易大臣はうわべを飾り立てた協定を受け入れることができなくなったのです。彼は野望を、当初の“完全自由化”から、乳製品で何か“商業的に意味のある”ものへと引き下げたにもかかわらず、それさえ実現できなかったのです。’
ほとんど時間切れ状態だ。アメリカのファスト・トラック法のおかげで、アメリカが従うべき手順は複雑になっている。アメリカの消費者団体パブリック・シチズンは、絶対必要な最小期間は、約3ヶ月と計算している。[1]
よりありそうな線表では、もし交渉が9月までにまとまらなければ、議会が、TPPに投票するのは、最速で2016年1月で、この時期、成立は、政治的により困難になる。アメリカ大統領選挙の年なのだ。選挙活動中に政治的に面倒な協定に投票するというのは、ヒラリー・クリントンや、他の民主党議員や、多くの共和党議員達が一番したくないことだ。
‘今週、マスコミ報道の高まりや、ニュージーランドでの議論が、労働党の強硬な姿勢や、ワイタンギ審判所の主張とあいまって、政府に損切りさせ、撤退させるような十分な圧力を生み出すと良いと思います’とケルシー教授は語っている。
‘少なくとも交渉再開前に、協定文章と、はっきり説明されたオプションを見て、開かれた民主的な形で議論可能な独自の包括的な費用対効果分析をする必要があります。’
‘私や他の人々は、開示を進めることを狙って、公的情報法の下で、貿易大臣の文書公開拒否に対する司法審査手続きを、来週早々申請します。’
[1] http://www.citizen.org/documents/TPP-vote-calendar.pdf
Scoop Media
記事原文のurl:http://www.scoop.co.nz/stories/PO1508/S00006/tppa-ministerial-fails-time-for-nz-govt-to-cut-losses.htm
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宗主国の盗聴に、傀儡政権は一言も文句を言わない。メルケル首相は、いちおうは怒った。この一事をもってしても、この国が世界最大の属国であること証明終わりだろう。
朝刊、またしても、TPP推進論、一辺倒。正気だろうか。他の新聞も推進論。
大昔、テレビ、新聞による小選挙区制推進の猛烈なキャンペーンを驚きながら見ていた。
人気キャスター達もこぞって賛成した。
それまで某「ジャーナリスト」を、まともと錯覚していた自分を恥じた。本を読んだことを恥じた。
敗戦後、A級戦犯として処刑された人々はいるがを、戦争推進の報道をした人々は、全く責任をとっていない。むのたけじ氏のように、戦後退社した人はまれだ。
小選挙区制によって、わずかな得票で、大多数の議席を得られていることが、今の悲惨な政治をもたらしているが、小選挙区制推進の猛烈なキャンペーンを行ったマスコミ関係者が頭を丸めたり、反省の弁を公表した話、ほとんど聞かない。
新聞もテレビも、自分達が推進した小選挙区制こそ、今の悲惨な政治体制をもたらした大きな要因の一つであり、早急に改めるべきだということは決して言わない。とんでもない業界。
大本営広報部は、戦前も戦後も、深刻なインチキ商品を売り込んで、責任をとらない。
全く同じ洗脳プロパガンダが、またしても、TPPで、繰り返されている。
「秘密法案」、最後の段階になって、アリバイ的に反対を表明したイカサマ氏連中、TPPが極秘で進められていることについては、全くふれない。
「秘密法案」に本当に反対であれば、TPPの秘密主義を、まず批判すべきだろう。
内容が秘密のものを、一体どうして「推進すべき」と自信をもって社説に書けるのだろう。
すると、反対を主張するケルシー教授、きがふれているのだろうか。同様の発言をしておらロリー・ワラック女史もそうなのだろうか?
成立しても、しなくても、内容は4年間秘密だという。一体何のために秘密にするのだろう?
国民に秘密にする条約で、国民の為になったものがあるだろうか?
大本営広報部、ジェラルド・セレンテやポール・クレーグ・ロバーツ氏のいう「売女マスコミ」、名前通りと思わざるを得ない。素人は、有名作家と違って、潰さなければいけないなどと思ったことは一度もない。単に連中が一斉に言うことは丸ごと信じないで疑うよう思っているだけ。
例えば、下記の話題、さんざん素晴らしいことのように報じられた。
焦点の日米協議で、和牛の関税の取り扱いで進展があった
日本の和牛がアメリカ市場を席巻できるかのような雰囲気を感じるが本当だろうか?(個人的には、アメリカ出張時、日本では食べられないだろうとばかりに、大きく堅い牛肉ステーキを食べさせられるのが苦痛だった。あるいは巨大なピザ、巨大な清涼飲料。食事に関しても、価値観は全く共有できずにいる。自由な時は、極力日本料理や中華料理に行くことにしていた。)
農業超大国アメリカの戦略 TPPで問われる「食料安保」石井勇人著、新潮社刊の、93ページ以降を読めば、この和牛の一見明るい様な話題も、嬉しい話どころか、恐怖鳥肌もの。
霜降り和牛を米国で生産
という見出しで、アメリカでは、和牛の遺伝子解析も行われていることが書かれている。
テキサスA&M大学、ローゼンタール研究所のステファン・スミス博士の研究の目的の一つは
「日本の霜降り和牛を米国でどこまでつくれるのか、輸出に向けてどこまで改良できるかだ」
日本では「米国が和牛を輸出する」というのはまったくの想定外だ。
しかし、米国では「高級和牛」の生産に向けた研究が着実に進んでおり、その経済効率性や技術力から、将来米国産の「和牛」が国際市場を席巻する可能性は、否定できない。
96ページにはこうある。
日本では一種「芸術」の域であり、高級和牛の生産者の間では「秘中の秘」として伝承されてきたことが、テキサスA&M大学では学術として科学的、組織的に研究されているのだ。また伊藤ハムなど食肉会社は、将来の関税撤廃を見越して和牛の「現地生産」の研究を支援している。以下略
このあたりの情報全てわかった上で、交渉担当者(実際は御用聞きではと懸念する)は交渉の場なる所にでかけ、与党幹部や大本営広報部、バラ色のTPP推進論をふりまく。
もちろん、この本、牛肉だけを扱っているわけではない。TPP賛成の方々、ここに書かれているアメリカ農政の実情、戦略をご存じの上でだろうか?
一方、ご自身が畜産を経験された山田正彦元農林水産大臣、反TPP訴訟を率先しておられる。 農業だけ守るためでないことは、著書「TPP秘密交渉の正体」を一読すればわかる。
この会のwebには、最新ニュースとして、下記記事が掲載されている。ご一読の上、TPP反対を訴えて多数派になり、TPPを推進しているウソつき自民党政治家や、今の大本営広報部の言い分と、下記記事、どちらがより真実かご判断願いたい。
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