オバマ政権の偽善、世界新記録を樹立
2014年3月12日
Paul Craig Roberts
アメリカ政府が、自ら画策するクーデターをキエフで開始した時以来、アメリカ政府は“ウクライナに介入”しているとして、ロシアを非難している。このプロパガンダ作戦は成功した。欧米売女マスコミは、アメリカ政府の明らかな介入に関する報道を排除してまで、(存在しない) ロシアの介入を報じている。
ロシアをクリミア侵略しているとして偽って非難しながら、オバマ政権は今やロシアにクリミア介入と、次の日曜に予定されている国民投票の阻止を要求している。クリミア住民が自決権を行使するのを阻止する為に、ロシアが軍事力を行使しない限り、オバマ政権はウクライナの状況をロシアと協議しないと、ジョン・ケリー国務長官が宣言した。
つまりケリーは、クリミアの自決を阻止する為、ロシアが軍隊を送り込むことに許可を与えたのだ。
ケリーが一方で介入に対してロシアを非難しながら、もう一方では、ケリーは、アメリカ政府利益の代理として、ロシアの介入とクリミア自決の弾圧を要求していることに、欧米売女マスコミは気付いていない。
ロシアに対するそのような馬鹿げた行為の核心は一体何なのだろう?
オバマ政権は、クリミアの未来に対して、ウクライナ国民全員が投票するわけではないので、クリミアの投票は合法的でないと主張している。アメリカ政府がセルビアからコソボを盗み取った際、コソボ分離について、アメリカ政府は、セルビアに投票を認めなかった。イギリスから離脱するかどうかに関する来たるスコットランドの投票では、イギリス国民ではなく、スコットランド人だけが投票する。しかし国際法で確立されたこうした通常の手順は、投票がアメリカ政府の狙いに沿わない結果になるがゆえに、クリミア住民には認められないのだ。
明らかに、この恥知らずオバマ政権には一片の羞恥心もない。
オバマ政権を支配しているネオコン戦争屋は、ロシアがクリミアの自決を阻止しない限り、アメリカ政府は“ロシア経済を酷く傷つけるため”経済制裁すると豪語している。
経済制裁は逆噴射する可能性がある。経済制裁は、アメリカ傀儡NATO諸国の経済を痛めつけ、アメリカ政府の攻撃的言動に対する口実を用意することについて再考させるだろう。アメリカ政府による攻撃的行動の報いを受けるのはヨーロッパだ。
経済制裁は、ドル体制から離脱し、国際勘定を自分達の通貨で決済するBRICS交渉の実施を加速させる可能性が高い。欧米と金融・経済関係を持つ全ての国は、アメリカ政府に脅され、罰せられ、不安定化させられかねない。国家主権と、アメリカ・ドル体制の一員であることとは両立しないのだ。
アメリカ政府の立場からすれば、経済制裁の重要性は経済効果ではない。重要なのは、ロシアを、アメリカ政府に罰せられる侵害者側として描きだすプロパガンダ上の利点だ。このプロパガンダは、ロシアに非を負わせるのみならず、ロシアがアメリカ政府に従属的な風に描き出す。
クリミア政府は実際に選挙で選ばれているが、アメリカ政府がしつらえたキエフ政権はそうではない。Global Researchに、選挙で選ばれたわけではないキエフ政権を構成する“民主主義者”に関する記事がある。http://www.globalresearch.ca/whos-who-in-ukraines-new-semi-fascist-government-meet-the-people-the-u-s-and-eu-are-supporting/5372422 (日本語訳は別記事『ウクライナ新“準ファシスト”政権紳士録: アメリカとEUが支援している連中のご紹介』とした。)
クリントン、ジョージ・W・ブッシュや、オバマ政権時代に、アメリカ政府の狙いに役立つものなら何でも合法だとアメリカ政府が決めたのだ。アメリカ政府の狙いに合わない法律は、適用されないままとなる。そうしたものは空文化した法律だ。それゆえ、指導部がクーデターや他の違法な手段で権力を掌握した政府に財政支援を与えることを禁じるアメリカの法律に違反して、キエフの傀儡に クーデター政権の立ち上げ、運営を支援する為、アメリカ政府が10億ドル提供するのも、何ら驚くべきことではない。
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Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the Westが購入可能。
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クリミア政府は実際に選挙で選ばれているが、アメリカ政府がしつらえたキエフ政権はそうではない。Global Researchに、選挙で選ばれたわけではないキエフ政権を構成する“民主主義者”に関する記事がある。http://www.globalresearch.ca/whos-who-in-ukraines-new-semi-fascist-government-meet-the-people-the-u-s-and-eu-are-supporting/5372422 翻訳は別記事『ウクライナ新“準ファシスト”政権紳士録: アメリカとEUが支援している連中のご紹介』とした。そちらをご覧願いたい。
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