ワシントンは世界を最終戦争に押しやりつつある
Paul Craig Roberts
2013年6月28日
“Vフォー・ヴェンデッタ”は、未来のイギリスにおける悪を、現在アメリカに存在している悪の代理として描いており、悪の敗北で終わる映画だ。だがこの映画では、主人公が超能力を持っている。もしこの映画をご覧になっておられないなら是非ご覧願いたい。目を覚まして、勇気を持って頂けるかもしれない。下記の抜粋は、少なくとも一部の映画監督の中では、自由に対する願望が依然として存在していることを示している。
アメリカ国内に自由に対する願望が存在しているかどうかは、現時点では不明だ。もしアメリカ人が、だまされやすさや、生涯にわたる洗脳や、“自分達の”政府が語るあらゆる嘘を真に受けてしまう性質を克服できて、もしアメリカ人が、その中で生活している「マトリックス」から脱出さえできれば、アメリカ人は“自分達の”政府が奪い取った、道義、正義、平和、独立と自由を回復できるだろう。アメリカ人が再び、意気盛んに立ち上がることは不可能ではない。“自分達の”政府が、真実、正義、人権、そして命そのものの敵であることを理解しさえすれば良い。
普通のアメリカ人が、スーパーヒーローの助け無しで、悪、つまり“自分達の”政府に勝てるのだろうか? もし思想が十分に強力で、アメリカ人がそれを理解できれば、善はワシントンに集中している悪に打ち勝つことができるだろう。アメリカ人が本当の悪に気がつくのを妨害しているのは、そのだまされやすさだ。
もしアメリカ政府の悪との戦いで、善が破れれば、我々の未来は、長靴が人の顔を永久に踏みつけるものとなる。
http://www.youtube.com/watch?v=KKvvOFIHs4k&feature=youtu.be
http://www.youtube.com/watch?v=_-gHVGOoE48
もし皆様、超大国アメリカに暮らすアメリカ人が、悪、つまり“あなたの”政府に対して立ち上がる勇気に欠けているのであれば、恐らくエドワード・スノーデン、ブラッドリー・マニング、ジュリアン・アサンジや、ちっぽけなエクアドルの勇気が読者を元気づけてくれるだろう。
上院外交委員会委員長のニュージャージー州選出民主党上院議員ロバート・メネンデスは、もしエクアドルがエドワード・スノーデンの政治亡命を認めれば、エクアドルからの野菜と花卉の輸入を阻止すると語った。エクアドルは収入を10億ドルも失うことになる。
“我が国政府は、決して悪行をする国々に報いることはない”というメネンデスの声明は皮肉だ。この声明は、悪行を、真実を語る者を擁護する事と、また、善行を、真実を語る者を裏切る事と、同一視している。メネンデスの声明自体が嘘だ。アメリカ政府は、不品行にのみ報いている。アメリカ政府は、民主的に選出された政府を打倒する際、その政府を独裁者として描き出し、常に、自国の民主的に選出された政府に対して陰謀を企てる連中に対して報いている。
メネンデスの脅しは効かなかったが、上院議員は、アメリカ政府の権威に更なる屈辱的打撃を与えることには成功した。エクアドル大統領ラファエル・コレアは、メネンデスの機先を制して、協定がエクアドルの主権と道義にとって脅威であり、アメリカ政府によって、エクアドルを恐喝するために使われているという理由で、アメリカとの貿易協定を破棄した。“エクアドルは、誰からの脅しにも屈しない”とフェルナンド・アルヴァラード大統領府報道長官は言い、アメリカ政府に、拷問や、違法な死刑や、人のプライバシーへの攻撃と戦う人権教育を行う為の対外援助を申し出た。
全世界のプライバシーをあさっている悪事の現場を押さえられ、さらけ出されたのに、傲慢さゆえに、違法な振る舞いを認め、謝罪することができないアメリカ政府は、スノーデン事件の処理でヘマをして、スノーデンの暴露で起きたこと以上に、自らに対し遥かに大きな損害をもたらした。アメリカ政府が、誰の人権も全く尊重していないこと、いかなる国の主権も全く尊重していないこと、いかなる道義、特に自ら頻繁に口にする道義をも全く尊重していないこと、脅迫と暴力のみに頼っていることが決定的に立証されてしまった。アメリカを除く全世界が、今や誰が敵であるのかを知っている。
スノーデン、グレン・グリーンウォルド、マニング、アサンジや、エクアドルをアメリカ政府が悪魔化するのを幇助したアメリカの売女マスコミは、アメリカ・マスコミは品格に欠けており、それが報じる何一つとして信用に値しないことを世界に対して実証した。アメリカの印刷・TVメディアやNPRは、社会倫理にもとるアメリカ政府の狙いの為のプロパガンダ省なのだ。
6月24日、シュタージ国家お気に入りの売女、ワシントン・ポストは、三回も民主的に選出されたラファエル・コレアを“ちっぽけで、貧しいエクアドルの独裁的指導者”として非難しているが、その論説が、ワシントン・ポストにはいかなる倫理も欠如していることを実証するのみならず、もし“ちっぽけで、貧しいエクアドル”が、アメリカ政府の脅しに立ち向かうことができるのであれば、その他の国々も、立ち向かうことができると世界中に示しているのに全く気が付いていない。
コレア大統領は、ワシントン・ポストに対してこう答えた“スノーデンと、彼を支持する‘邪悪な’国々に何とか注意を逸らすことで、彼が非難した、アメリカ国民と全世界に対する恐ろしい事を忘れさせようとしている。”コレアは更に付け加えた。ワシントンの“世界秩序は、正義にもとるのみならず、社会倫理にも、もとっている。”
アメリカ政府がコレアを憎悪している理由は、スノーデンとは無関係だ。エクアドルが、スノーデンの政治亡命を検討しているというのは口実にすぎない。コレアが憎悪されているのは、最初の任期の二年目に、腐敗して、独裁的な前政権が、国際金融機関との契約に支払っていた、30億ドルの対外債務の支払いを彼が拒否した為だ。コレアが債務不履行で脅した為、国際金融のギャング連中は、債務の60パーセント切り下げを強いられた。
エクアドルにおける高率の貧困を低下させるのに成功し、大衆の支持を確立した為に、アメリカ政府が、エクアドル内部から、彼を打倒するのが困難になったことも、アメリカ政府がコレアを憎悪している理由だ。
更に、アメリカ政府が、コレアを憎悪するもう一つの理由は、彼が多国籍石油会社によるエクアドル石油資源の搾取に対する手段を講じ、エクアドルの金融制度を不安定化させるアメリカ政府の能力を阻止する為、エクアドルの銀行のオフショア預金口座金額を制限している。
マンタのアメリカ空軍基地の借地更新を拒否していることも、アメリカ政府がコレアを憎悪している理由だ。
要するに、コレアは、マスコミと国家の資源を、アメリカ政府の手、アメリカ政府と組んだ少数の裕福なエリートの手から奪い、エクアドル政府が掌握する為に戦ったのだ。これはダビデとゴリアテの物語だ。
言い換えれば、コレアは、ベネズエラのチャベス同様、アメリカ政府の利益ではなく、自国の利益を代表する類まれな国家指導者なのだ。
ワシントンは、様々な腐敗したNGOやコロンビアの傀儡政権を、コレアとエクアドル政府に対する武器として駆使している。アメリカ政府がコレア暗殺に成功するのも時間の問題にすぎないと考えている人々は多い。
事実はどうであれ“わが”政府の側にたつべきだと感じているアメリカの愛国者達には、本当の愛国心とは一体何かを想起するのが役立つだろう。アメリカ人にとって、愛国心というのは、常に政府ではなく、憲法に対する忠誠のことだった。国内、国外両方の敵から憲法を守るというのが宣誓だ。ブッシュとオバマの政権は、憲法の最悪の敵であることが証明されている。本当の愛国者が、憲法を破壊する政府を支持することは不可能だ。アメリカ合州国は憲法なのだ。我が国は、オバマ政権ではなく、ブッシュ政権でもなく、何か他の政権でもない。我が国は憲法なのだ。憲法は我が国なのだ。
あらゆる人間の、人間の命そのものに対する責任は、自分の国に対する義務を超越している。NATO諸国や、日本やコロンビア等の、アメリカの傀儡国家は、アメリカ政府の攻勢に隠れ蓑を与えたり、支援をしたりして、アメリカが世界を第三次世界大戦に追いやるのを可能にしている。
アメリカ政府の金による誘惑は、トニー・ブレアやデービッド・キャメロンの類の脆い人物を容易に圧倒する。だがNATO諸国政府や、言いなりになる他の国々は、アメリカ政府の侵略戦争を支持することで自国民を裏切っているのみならず、人類をも裏切っているのだ。アメリカ政府が、様々な国を次々と破壊するにつれ、アメリカ政府の傲岸と尊大さは増大する。遅かれ早かれ、ロシアと中国は自分たちが標的であることに気がつき、断固たる一線を引くだろう。傲慢さゆえに、アメリカ政府は、その一線を認めようとはせず最終戦争が開始されるだろう。
アメリカ政府の覇権への衝動が世界を破滅へと推進している。世界中の人々はこれを理解し、自国政府がワシントンの攻勢を許容するのを止めるよう強いるべきなのだ。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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協定のくだり、関連記事をそのまま引用させていただこう。
エクアドルへの免税措置停止も=米政府「更新の是非検証」
【ワシントン時事】米通商代表部(USTR)のフロマン代表は27日、南米エクアドルからの一部輸入品に適用されている免税措置更新の妥当性の審査に入ったと表明した。エクアドルは、米当局による情報監視活動を暴露して訴追された元中央情報局(CIA)職員エドワード・スノーデン容疑者の亡命申請先で、米議会内では同国が亡命の受け入れを決めた場合には免税措置を更新しないよう求める声が出ていた。
USTRが見直し対象としたのは、途上国の経済発展支援のため一部輸入品の関税率を引き下げる一般特恵関税制度(GSP)に基づく、エクアドル製品への免税措置。26日には上院外交委員会のメネンデス委員長が声明で「悪行をする国に報酬は与えない」として、亡命申請への対応次第では免税措置を停止すべきだとの考えを示していた。
一方、エクアドル政府は27日、「われわれは脅しには屈しない」として、一部の関税優遇特権の放棄を表明し、米国との対決姿勢を強めている。(2013/06/28-12:50)
みんなの党の江田幹事長、ハーバード大留学の1年間、ルームメートとして米通商代表部(USTR)のフロマン氏と2人で生活したことがご自慢だ。
「TPP米側キーマンの素顔、みんなの党・江田幹事長に聞く」という記事がある。電子版に登録しないと読めないので、読んでいない。
TPP、もちろん、こういう副次効果も狙っているだろう。
購読している新聞29日朝刊、記者二人がTPP賛成論・慎重論を交わす記事があった。
ISD条項や、原発推進や、健康保険への影響といった懸念は、全く根拠のない「妄想」であるという議論は皆無だった。もっぱら農業問題。サービス貿易や投資面でのルールづくりに諸手を挙げて賛成している。最後発で、交渉力が証明済みの日本、一体、どれだけ日本国民に有利な交渉ができるか、という検討はない。
アメリカの狙い、関税引き下げでなく、日本の非関税障壁撤廃にあること、アメリカ公式文書にあるのに、マスコミ、全くみようとしない不思議。長い文書は、以下記事等で翻訳した。
(TPPでの)アメリカの狙いは、関税よりずっと重大な邪魔者であり続けている非関税施策を日本に解除させることにある 米国議会図書館議会調査局文書
砂嵐の際に、土に頭を埋め、嵐が去るのを待つダチョウではあるまいに。賛成派の常套手段は、農業と関税への歪曲化。非関税の話題は全て無視する。
根拠のない「妄想」だと、宗主国政治家・大企業が証明して下さらない限り、内容不明の協定になど賛成しなくて当たり前だろう。上記に見るような宗主国様の振る舞いをみれば。
保険契約でも、ツアーでも、詳細が分かって納得し、金を払って参加する。秘密TPP、ぼったくりバー以下の凶悪さ。一度入れば、ぼられ放題。途中で出ると言い出すと、また連れ戻されるのではあるまいか。しかも馬鹿な誘いに乗ったアホな自分ひとりではすまない。孫子、さらにはその孫子等々、永遠に祟る。というのは妄想だと、証明願いたい。
みんなの党「脱原発」をうたっているが、「TPP」は絶賛だ。TPPに入れば、ISD条項のおかげで原発を止められなくなる可能性は大きい。現実に、同じようなヨーロッパの協定のおかげで、ドイツは、スウェーデン企業に原発中止による損害の賠償をするよう訴えられている。下記に記事がある。
ハンギョレ・サランバン 2011年11月09日08:59
独 原発閉鎖政策、ISDに直面
韓国では事実が報じられているのに、大地震の結果起きた悲惨な原発事故、収拾の見込みさえたたないこの国で、この深刻な問題をマスコミは全く報じない。完全な報道管制。そして首相は原発・TPP・鉄砲玉のセールスマン。
「みんな」の「脱原発」ポーズにすぎないと理解するのが正しいだろう。
「自民党以外の8党が「原発ゼロ」を目標とする考えを示した。」とあるが、「TPP」反対を明言しない政党は、実質、「原発推進派」だ。もう一つの判断基準は「壊憲」賛成か否か。
同じ理屈で、「TPP」を絶賛しながら「脱原発」をうたう新聞も大いに曲者。
TPP賛否記事には全く感心しなかった(怒り心頭)が、「批判するなら対論を出せ」などというインチキ論法を恐れる必要はない、と語る橋本治氏には大いに共感。
酒の席で知人とTPPについて口論し「批判するなら対論を出せ」と言われたばかり。
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