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2012年10月13日 (土)

アメリカ指導部、ビルマ“民主主義の偶像”を大歓迎

wsws.org

ジョン・ロバート、ピーター・シモンズ

2012年10月9日

先週、ビルマの反対派勢力の指導者アウン・サン・スー・チーは並々ならぬ17日間のアメリカ合州国訪問を終えたが、その間、彼女はアメリカ政界に祝宴でもてなされた。この惜しみない配慮は、ビルマの民主主義とは全く無関係で、ワシントンとの関係改善に向けた、ビルマ軍事政権の急転換におけるスー・チーの役割と結びついているのだ。

僅か12カ月前まで、ビルマの将軍連中は除け者で、政治弾圧を糾弾されていた。今やワシントンは、ビルマを芽を出しかけている民主主義として称賛している。アメリカが反民主的な軍支配政権の残滓を承認しているという事実をごまかす為には、オバマ政権にとって、スー・チーは政治的に好都合なのだ。

スー・チー熱烈歓迎の背後にあるのは、中国とは距離を置き、欧米と、より緊密な経済的、軍事的つながりを求めるという軍事政権の決定だ。オバマ政権にとって、これは中国の影響力を弱めることを狙う全アジアにおける外交・戦略攻勢における重要な要素だ。

アメリカ訪問中、9月19日、ホワイト・ハウスでのオバマ大統領会見を含め、スー・チーは100以上の予定をこなした。オバマは国連総会の為に訪米中の外国人首脳達との会見は断っていたので、この私的な会見は特に重要だ。米連邦議事堂、国連、米国平和研究所(USIP)、アジア・ソサエティー、アトランティック・カウンシルでの授賞式や演説と、大学や公開フォーラムへの出演もあった。

訪問先の至る所で、スー・チーはビルマ“民主主義の偶像”としてもてはやされた。ヒラリー・クリントン米国務長官はスー・チーを“友人”として抱擁し、大物共和党上院議員ジョン・マケインは彼女は“自分にとって個人的な英雄”だと断言した。国際通貨基金のクリスティーヌ・ラガルド理事長は、自分は滅多に気後れすることはないが“今晩アウン・サン・スー・チー氏を紹介するのに気後れしています。”と語った。

スー・チーと彼女の国民民主連盟(NLD)は、軍による経済・政治支配により、権益が損なわれているビルマの資本家階級を代表している。NLDは、外国、特に欧米の資本向けの低賃金労働基地として、ミャンマーを開放することを長らく主張してきた。

深化する経済危機に直面し、ビルマ軍事政権はスー・チーや他のNLDメンバーを軍主導の国会に選出するのを可能にした上辺だけの政治改革を演じながら、現在外国からの投資を奨励している。スー・チーは即座に同調した。彼女は軍事政権に対する批判者というよりは、その大使として、アメリカを周遊したのだ。USIPで講演した際、彼女は元将軍のテイン・セイン大統領の政治・経済“改革”を称賛し、アメリカによる経済制裁の更なる緩和を呼びかけた。

この演説が大半のスー・チー公式声明を方向付けている。“わが国民は自らの運命の責任を引き受けることを始めねばならないと思ので、私は経済制裁の緩和を支持する”と彼女は述べた。“民主主義に向かう勢いを維持するのに、我々は、アメリカの経済制裁緩和に依存するべきではありません。我々自身が、これに取り組まねばなりません。”

ビルマのテイン・セイン大統領との会談中に、アメリカは対ビルマ製品輸入の規制緩和を開始すると宣言して、クリントン米国務長官は好感を示した。これは“改革に向けて続いているプロセスを認め、政府と野党双方からの要求に対する答えだ”とクリントンは述べた。

アメリカの大企業はビルマ国内で開かれつつあるあらゆる機会をとらえ、低賃金労働と原料を利用しようとしたがっている。とはいえ、スー・チーとビルマで起きている変化への熱狂は、アジアにおける中国の影響力に反撃することを軸とする、より広範な戦略的課題に深く関係しているのだ。

1988年の大衆抗議行動とストライキに対する軍の強烈な弾圧と、NLDが勝利した1990年の選挙を破棄した後、欧米による経済制裁が課されて以来、中国は主要な投資者であり、軍事政権の支持者だった。ビルマは中国にとって原料供給源であり、また代替輸送・インド洋から中国南部への直接パイプライン経路を申し出ていた。

軍事政権がワシントンに向いたため、こうしたことが今では全て怪しくなった。経済関係に加え、何十年にもわたって非難し続けてきた軍事政権との軍事的連携を、アメリカは狙っている。先月、戦略国際問題研究所(CSIS)での講演で、カート・キャンベル国務次官補はこう宣言した。“交流から、ほとんど取り残されている機構の一つは、ミャンマー国内で、依然として決定的な役割を演じている軍だ。”ビルマ軍と“責任をもって交流する”必要性について彼は語っているのだ。

9月20日付けの“アメリカはミャンマー[ビルマ]との軍事交流を求めている”と題するフィナンシャル・タイムズの記事は、この“交流”が既に進行中であることを示唆している。“訓練プログラムの再開やミャンマー軍との交流の見通しに関する目立たない交渉がアメリカとミャンマーの国防省関係者の間で行われた”とある。

軍事協力が前向きに検討されている。“これまで論議されている提案には、東南アジア諸国連合ASEANや、アメリカのシンクタンクや軍の学校等のような既存ルートを経由して、統合訓練も含まれている”とフィナンシャル・タイムズは説明している。“ミャンマー人士官候補生もアメリカ軍士官学校に入学できるようにしたり、ミャンマー向けのアメリカの国際軍事教育や訓練プログラムを開始したりできるようにすることが提案された。”

2月、日本の共同通信は、毎年恒例のアメリカが主導するこの地域での“ゴールド・コブラ”作戦演習に参加する意向を表明するのに、ビルマ軍はタイ軍のコネを使ったと報じている。クリントン米国務長官は、中央情報局(CIA)のデービッド・ペトレイアス長官が今年ビルマを訪問する可能性があり、この動きがビルマ軍との情報共有の可能性のきっかけになりうることを、かつてほのめかしている。

アメリカは1960年代や1970年代の昔から、ひそかにビルマ軍との関係を回復しており、そうしつつ、中国軍がビルマの基地を利用するあらゆる可能性を無くしてきた。専制的な権力を維持し続けている軍事政権に対する、スー・チーによる承認の御印籠は、オバマ政権のひねくれた策略にとって、極めて重要な政治的煙幕になっている。

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2012/oct2012/burm-o09.shtml

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同じ話題でThe Queen of Corporate-Fascist Faux "Democracy" というより詳しい記事もある。

ドジョウ氏、宗主国マスコミに高く評価された記事を見た気がする。

宗主国マスコミが高く評価するのは、宗主国に都合の良い「傀儡だから」という当たり前のことが、この記事には書かれている。

パキスタンで、原理主義パキスタン・タリバン運動、略称TTPなるものが、女性にも学習する権利があるという当たり前の主張をした14歳の少女を襲撃し、重傷を負わせた。理不尽というにつきる。

日本では、原理主義太平洋横断戦略的パートナーシップという、一見多国籍、その実単なる超不平等日米FTAが推進されている。やがて実現するだろう。その名もTPP。TTPそっくり。こちらイスラム原理主義者ならぬ、宗主国の資本主義・市場原理主義者によるもの。ドジョウ氏、アジアの成長をとりこむために必要と強弁している。さすが一流詐欺政治家、ビルマやベトナムの経済規模の方が、中国よりはるかに大きい、とはもちろん言ってはいない。

尖閣で、わざわざ喧嘩を売り、中国市場を失い、頼る先は宗主国しかないという状況を作り出す連中、低能というより異常人格だろう。

パキスタンTTPは14歳の少女を襲撃し、瀕死の重傷を負わせた。

宗主国が画策するTPP(太平洋横断戦略的パートナーシップ)日本人全員を無差別に永久に襲う。農産物どころではない。健康保険も完全壊滅するのだ。宗主国に合わせて、格段に劣化する。今日の銀座反原発デモ、大変な人数だった。しかし、TPPが成立すれば、ウラン購入先である、アメリカや、オーストラリアの企業に大損害を与える原発廃止、不可能になるだろう。とんでもない高額な弁償を払わされる。

大本営マスコミ、TTPによる14歳のパキスタン人少女の不幸については書くが、日本人全員が未来永劫不幸になるTPPについては徹底的報道管制で、全く何も知らせない。

それほど素晴らしいものであれば、どうして締結後4年間も秘密にしておく必要があるだろう?どうして、有り難い教えを、テレビや新聞で垂れ流さないのだろう?唱導すべき利点が皆無だからに過ぎまい。

マスコミ、もはや全く9/11を話題にしない、したがって、9/11ヤラセ説は妄想だと読めるコメントを頂いたが公開しなかった。理由は単純。

「マスコミが話題にしない」ことすなわち意味がないわけではない。太平洋戦争の無謀さ、マスコミ、開戦前に本気で書いただろうか。マスコミは、宗主国および傀儡国家指導部の広報部なのだ。

小選挙区制、日本新党、小泉郵政改革、民主党等を推奨したのはマスコミ。マスコミ、とてつもないゴミを売り込んだ。メーカーがとんでもない欠陥商品を売り込んだら、メーカーの生死に直結する。しかし、マスコミは全く違う。宗主国、国家、財界の方針さえ推進すれば生きられる。

無謀な戦争を推進したマスコミ、今は、宗主国、官僚、エリート等の侵略戦争の旗を一緒にふっている。

マスコミが推進したおかげで、とんでもない結果になったのを、懺悔したり、購読料を払い戻したという話は全く聞いたことがない。

原発責任を引き受けない自民、公明、民主、官僚、財界、労組、司法、学界同様、体制広報部マスコミ、決して責任を引き受けない。

    • 権力者は責任を引き受けず庶民に転嫁する。
    • 庶民は、それを嬉々として?うけいれる、世界に冠たる伝統的日本文化。

法務大臣、好ましからぬ方の結婚式に関与した過去はまずいという記事を見た。たしかに、まずいだろう。

しかし、総理大臣が問題視するはずがない。ご自身好ましからぬ方面の傀儡だ。マスコミも、好ましからぬ方面の傀儡だ。

パソコンにウイルスをとりこませ、人様に害悪をなすと犯罪とされる。

総理大臣やら政府幹部に、好ましからぬ教条を吹き込み、国民の大多数に対し恒久的害悪をなすと、素晴らしいこととされる。

とかくこの世はすみにくい。

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