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2011年12月 8日 (木)

ビルマのクリントン: 米対中国戦略のもう一つの動き

wsws.org

Peter Symonds

2011年12月3日

今週の米国務長官ヒラリー・クリントンの三日間のビルマ(ミャンマー)訪問で、反政府派指導者アウン・サン・スー・チーとの派手な会談や、“民主的な権利”に対するアメリカの支援を巡る、大量の偽善的誇大宣伝が特集報道された。だが、クリントン訪問の本当の狙いは、アジア全体への中国の影響力を弱体化させるためのオバマ政権の組織的攻撃を推進することにある。

50年以上の間で初めての、米国務長官訪問は、南シナ海での紛争を巡り、中国に対する圧力をオバマが強化した東アジア・サミットで、僅か二週間前に発表された。オバマは、ビルマ軍事政権が、ビルマ政権と北京との密接な経済的・戦略的な絆を緩めたくて、アメリカとの和解を求めるしぐさに飛びつくことにしたのだ。

ある支援会議でのビルマ到着前の辛辣な発言として、開発途上国は“買い物上手”になり、“皆様の能力を築くより、皆様の資源を取り出すことに、大きな関心を抱いている”中国のような援助資金供与者からの支援を得るのにあたって、慎重であるべきだと、クリントンは語っている。この発言は、明らかに、誰よりもまず、中国の経済援助と投資に大きく依存しているビルマに向けられたものだ。

クリントンは、軍事政権の“本当の意図を試すため”に訪問したのであり、ワシントンは大幅な譲歩をするつもりはないと説明した。ビルマのテイン・セイン大統領と、木曜日に、ビルマの人工新首都ネピドーで会談し、最近の政治的進展を歓迎するが、それは“始まりにすぎない”と彼女は警告した。過去数年間、ビルマ政府は、スー・チーを自宅監禁から解放し、名目的な権力を民間人大統領に与え、スー・チーと彼女の反政府政党、国民民主連盟(NLD)が、来る補欠選挙に立候補することを認めている。

ビルマ政府は、ワシントンとの関係改善を実現したがっており 北京に対する過剰な依存を改善するであろう西欧の経済制裁を終わらせ、ビルマを新たな点賃金労働の基盤へと転換したいのだ。テイン・セインは、クリントン訪問を“両国関係の新たな章を”開く“歴史的節目”だと表現した。

タイム紙に報じられた発言で、大統領政治顧問Nay Zin Lattは、いくつか軍事政権の動機を指摘している。“以前は、好むと好まざるとにかかわらず、我々は中国が提供してくれるものをそのまま受け取るしかなかった。経済制裁が解除されれば、ミャンマーの誰にとっても、状態は良くなるだろう”と彼は語っている。

“中国のネピドー抱擁はきつすぎた”と題するアジア・タイムズ記事は、ビルマ政府の転換を、“中国の手先”と見なされていた、当時の首相キン・ニュンの汚職を理由にした排除という2004年に起きた権力闘争にまでさかのぼっている。記事は、2009年の、北部ビルマ内の中国国民に対するビルマ軍の扱いを巡る中国の怒りや、中国が資金を出している主要ダム・プロジェクトを棚上げするという最近の決定を指摘している。

こうした緊張にもかかわらず、ビルマ政権は北京とうまくつきあっていたいのだ。月曜日、クリントン到着前に、ミン・アウン・フライン総司令官は北京を訪問し、中国幹部に、軍事政権の政治・軍事指導者達は、協力を継続することを請け合った。中国に原料を提供でき、インド洋に直接アクセスできるという経済的・戦略的関係を発展させるべく、北京は相当な資源を投資してきたのだ。

中国は、中東やアフリカからの石油輸入に対するマラッカ海峡への依存を限定しようという北京の取組の一環として、ビルマを経由して、南部中国に到るエネルギー・パイプライン建設を始めた。この戦略は、マラッカ海峡のような“要衝”を支配し、中国に対する海上封鎖を実施する能力を持とう、というペンタゴンの計画を無効にすることを狙ったものだ。

中国中央電視台で話した、学者Gao Zuguiは、北京の懸念を強調して、こう述べた。“アメリカは、ミャンマー、カンボジアやラオス等のメコン河下流諸国との関係を強化したがっている。この意図は強いものであり、明らかに中国を標的にするものだ。”

ビルマ大統領顧問Nay Zin Lattも、中東の出来事は、アメリカとの関係を改善するもう一つの動機だと指摘した。“この国でアラブの春は経験したくはない”と彼は述べた。政府は、ビルマ政府が過去冷酷にも弾圧してきた大規模反政府抗議行動の可能性のみならず、アメリカがリビアの社会不安につけこみ、軍事介入して、親米属国政権をしつらえたやり方にも懸念しているのだ。

クリントンは、スー・チーが率いる反体制派ブルジョアに対する政治的自由の拡大、ビルマの少数民族との長年にわたる紛争の終結、国際原子力機関による、ビルマの限定された核計画査察等を含む、一連の要求項目リストを携えてビルマを訪問した。

それと引き換えに、クリントンはほとんど何も差し出してはいない。“もし改革がその勢いを維持するならば、我々は更に先に進む用意はある。しかし、歴史は、より慎重であれと教えている”と述べ、経済制裁解除は“まだ論議する態勢にはない”と補足した。アメリカは、ビルマとの完全な外交関係確立を提案したわけでもない。クリントンは、アメリカはもう、世界銀行や国際通貨基金などの国際機関からの融資を妨害することはせず、医療や小企業向けの国連開発補助金の拡大を支持することのみ示唆した。

重要なのは、クリントンが、北京との絆を弱める手段として、メコン河下流域開発へのビルマの参加を招請したことだ。カンボジア、ラオス、タイとベトナムを含むこの組織は、この地域に対するより強い影響力を行使する手段として、2009年にワシントンによって作り出されたものだ。このイニシアチブの名称選択は実に意図的だった。メコン河“下流”地域は、当然、中国内のメコン河“上流”を除外する。アメリカは、メコン河での中国ダム・プロジェクトの影響を含め、中国に対する怒りにつけこもうと狙っているのだ。

クリントンは、第二次世界大戦中にビルマで亡くなった約600人の兵士の遺骸収容へのアメリカとビルマの協力も提案した。提案はベトナムにおける、行方不明のアメリカ兵士を探すためのアメリカの共同活動と似通っている。これは、ビルマ軍とアメリカ軍との直接的関係を結ぶための好都合な口実になる。

クリントンは、反対派勢力の指導者スー・チーと、木曜と金曜の二度、ラングーンで会談した。オバマ政権は、アメリカの権益により密接に連携する政権を作り出すことを狙って、ビルマの反政府派と密接に協力している。オバマは、クリントン訪問を発表するわずか二週間前に、バリからスー・チーに電話をしたのだ。

スー・チーは、アメリカの戦略を丸ごと支持し、普通の労働者の民主的な権利に対する配慮が、ビルマの反政府派の動機ではないことを、またもや、はっきり示した。むしろ、スー・チーは、何十年間もの軍事支配で隅に追いやられているビルマの支配エリート層を代表して、西欧大国との密接なつながりや、外国投資に対するビルマの開放を得ようと務めているのだ。

昨年は、軍事政権の不正な選挙をボイコットしたが、スー・チーは、今や彼女もNLDも、補欠選挙の反民主主義的な性格にもかかわらず、選挙に参加することを示した。外交問題評議会とのテレビ会議で、スー・チーは、元将軍で、ずっと昔からの軍事政権の政治局員であるテイン・セイン大統領を信頼していると宣言した。

スー・チーは、それによって、NLDがより大きな政治的発言力を持つようになり、反対派を支持している実業界にとって、より大きな経済的機会となる、軍事政権との提携を実現するのに、アメリカの支持を活用しようと願っているのだ。軍事政権そのものと同様に、スー・チーもビルマにおいては“アラブの春”があってはならないという懸念を表明している。つまり労働者階級や地方の大衆による大規模抗議運動があってはならないのだ。

“各企業は、ミャンマーを次ぎのフロンティアと見なしている”と題するウオール・ストリート・ジャーナル記事は、ビルマの経済開放に対して大企業が期待する恩恵を挙げている。潜在市場や、ガスと石油を含む豊富な天然資源の開拓に余念のない財界代表団は、既にビルマに流れ込みはじめている。記事は、ビルマの利点は“製造業賃金が低く”、英語が話せる知的階級がおり、イギリスの習慣法を起源とする法制度のある、低賃金労働の基盤であることだ、としている。

経済的な配慮も明らかに動機の一つではあるが、オバマ政権の主要目的は、地域全域で、反中国同盟を作り上げようと狙う中で、中国のビルマとの関係を切り崩すことにある。

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2011/dec2011/burm-d03.shtml

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ジョージ・オーウェルというイギリス人作家は、学校卒業後、父親の職業(アヘン生産監督官?)に似たインド警察の職につき、ビルマ、マンダレーに赴任した。

1984年』『動物農場』が有名だが、『ビルマの日々』という小説も書いている。

「オーウェルは素晴らしい預言者だ。『1984年』も『動物農場』も現在のビルマそのままだ。」と言うビルマのインテリがいるというのをどこかで読んだ。

『動物農場』、スターリンソ連・共産主義批判の本として、宗主国でも属国でも、もてはやされている。しかし、名作は、本人や周囲の意図をはるかに越えて生きる。『動物農場』、今読み返すと、二大政党交替のインチキさを描き出していると読める。政治学者により『オーウェル動物農場の政治学』という本が最近刊行されたこと自体、この本の意義決して減少していないことを示しているだろう。

『1984年』も『動物農場』も、日本そのままだと、メタボ・オヤジは思う。

『1Q84』という本は読んだことがないが、『1984年』こそ読まれるようお勧めする。

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