ホンジュラス:米国企業二社がたくらんだ軍事クーデター?
John Perkins
2009年8月7日
"Information Clearing House"
私は最近、中米を訪問した。話をした現地の人々は皆、民主的に選出されたホンジュラス大統領マヌエル・セラヤを打倒した軍事クーデターは、CIAの支援を得て、アメリカ企業二社が企んだのだと確信していた。そして、アメリカとその新大統領が、デモクラシーに味方をして立ち上がりはしないことを。
今年早々、チキータ・ブランズ・インターナショナル社(旧ユナイテッド・フルーツ)と、ドール・フード社は、ホンジュラス最低賃金の60%引き上げを支持しているセラヤを、この政策は、企業収益に干渉するものだと主張して、激しく批判した。両社には、労働搾取工場での低賃金労働に依存する企業である、織物業者や輸出業者の連合も加わった。
アメリカでは、記憶は短期間に消え失せるが、中米ではそうではない。1954年に、チキータ(ユナイテッド・フルーツ)とCIAが、民主的に選出されたグアテマラ大統領ハコボ・アルベンスを打倒し、1973年に、インターナショナル・テレホン&テレグラフ(ITT)と、ヘンリー・キッシンジャーとCIAが、チリのサルバドール・アジェンデを破滅させたのは、法的な記録事項だという人々の主張を、ずっと聞かされ続けていた。こうした人々は、ハイチのジャン・ベルトラン・アリスティド大統領も、セラヤ同様、最低賃金の引き上げを提案したために、2004年、CIAによって追放されたに違いないと確信している。
パナマの銀行のある副頭取にこう言われた。「もしも、ホンジュラスが時給を上げれば、それ以外の中南米とカリブ海諸国も、続かざるを得ないことを、あらゆる多国籍企業は知っています。ハイチとホンジュラスが、常に最低賃金の限界を設定しているのです。大企業は、この半球において、彼らが‘左翼革命’と呼ぶものを止めようと決心したのです。セラヤを打倒することで、連中は自国民の生活水準を上げようとする他の全ての大統領に対しても、恐ろしいメッセージを送っているわけです。」
あらゆる中南米の首都に風靡している動揺を思い描くのに、想像力などほとんど無用だ。アメリカで、バラク・オバマが選出されて以来、北の帝国も、とうとう南の隣人諸国に対し、同情を示すようになり、不公平な貿易協定や、民営化や、過酷なIMFの構造調整プログラムや、軍事介入の脅威は下火になり、恐らくは、消えてしまいさえするのではという集団的な安堵感、かすかな希望が一時はあった。いまやこの楽観主義も失われた。
私がパナマに到着して、数日後、ホンジュラスの軍事クーデター指導部と、大企業権力との癒着が、確認された。イギリスのガーディアン紙は「ホンジュラス・クーデター政府の最高顧問の二人は、アメリカ国務長官と親密な関係にある。その一人、有力なロビイストのラニー・デイビスは、ビル・クリントン大統領の元弁護士で、ヒラリーの選挙運動も手伝った...クーデター政府に、金で雇われた殺し屋のもう一人、 クリントンと深いつながりを持っているのは(ロビイスト)ベネット・ラトクリフだ。」という記事を掲載したのだ(1)
デモクラシー・ナウ!は、チキータの代理人が、強力なワシントンの法律事務所コビントン & バーリングLLPと、そのコンサルタント、マクラーティ・アソシエーツであるというニュースを発表した(2)。オバマ大統領の司法長官エリック・ホルダーは、コビントンの元パートナーで、同社がコロンビアで“暗殺部隊”を雇ったことを告訴された際のチキータの被告弁護士だった(チキータはアメリカ政府によって、テロリスト集団としてあげられている組織に、“みかじめ料”として金を支払ったことを認め有罪となり、2004年、2500万ドルの罰金に合意した)。(3) コビントンの元弁護士で、ジョージ・W・ブッシュの国連大使ジョン・ボルトンは、自国資源から得られた利益に対し、より大きな分け前を得る自国民の権利を求めて戦う中南米の指導者たちに、激しく反対していた。2006年に政府を去った後、ボルトンは、アメリカ新世紀プロジェクトや、カウンシル・フォー・ナショナル・ポリシーや、ホンジュラスや他の国々で、企業の覇権を推進する多数の他のプログラムに加わった。
マクラーティ副会長ジョン・ネグロポンテは、1981年から1985年まで、駐ホンジュラス・アメリカ大使をつとめ、元国務副長官、国家情報長官、国連でのアメリカ代表をつとめた。ニカラグアのサンディニスタ政府に対する、アメリカが支援したコントラ秘密戦争において、彼は重要な役割を果たしており、民主的に選出された改革支持派の中南米大統領達の政策に一貫して反対してきた。(4) この三人は、大企業権力の狡猾な力、超党派的構造、オバマ政権は飲み込まれてしまっているという事実を象徴している。
ロサンゼルス・タイムズは、以下の結論を出して、この事件の核心に触れた。
ホンジュラスで起きたことは、別の意味での典型的な中南米クーデターだ。これを率いたロメオ・ヴァスケス将軍は、アメリカ陸軍米州学校(スクール・オブ・アメリカという名前だったが、悪名の高さゆえにか、西半球安全保障協力研究所と改称された)卒業生だ。この学校は、軍事クーデターを含む、重大な人権侵害を犯してきた中南米諸国の将校連中を生み出していることで良く知られている。(5)
こうしたことの全てから、我々は、再び、当然の結論へと導かれる。読者も私も、この体制を変えなければいけないのだ。民主党員であれ、共和党員であれ、大統領は、正々堂々と、我々に意見を述べる必要がある。
チキータと、ドール、そして、あらゆる国会議員は、国民の声を聞くべきなのだ。セラヤは復職させられるべきだ。
脚注
(1)
“アメリカ外交政策の責任者は誰? ホンジュラスのクーデター、バラク・オバマと国務長官ヒラリー・クリントンとの溝を露呈”Mark Weisbrot
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/cifamerica/2009/jul/16/honduras-coup-obama-clinton (2009年7月23日)
(2) http://www.democracynow.org/2009/7/21/from_arbenz_to_zelaya_chiquita_in (2009年7月23日) “From Arbenz to Zelaya: Chiquita in Latin America”(下記に、この記事翻訳へのリンクあり)
(3) “チキータ、コロンビアのテロリストへの支払いを認める: バナナ会社、AUCにみかじめ料を支払った罰金として、2500万ドルの罰金に同意” MSNBC 2007年3月15日、 http://www.msnbc.msn.com/id/17615143/ (2009年7月24日)
(4) より詳細情報は下記: http://aconstantineblacklist.blogspot.com/2009/07/eric-holder-and-chaquita-covington.html (2009年7月23日)
(5) “ホンジュラス・クーデターに対する、高い地位からの秘密支援: 同国の正当な大統領は、ワシントン・インサイダーから多くのヒントを得ている軍指導部によって、追放された” Mark Weisbrot、ロサンゼルス・タイムズ、2009年7月23日
http://www.latimes.com/news/opinion/commentary/la-oe-weisbrot23-2009jul23,0,7566740.story (2009年7月23日)
記事原文のurl:informationclearinghouse.info/article23211.htm
デモクラシー・ナウ!上記記事の翻訳 凸 NewsFanzine 凸もっと遠くへ
アルベンズからセラヤ大統領まで:ラテンアメリカのチキータバナナ
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商業テレビ・新聞は、もっぱら、(エセ)二大政党の政権交代なる話題か、芸能人の麻薬汚染の話ばかり。高校生野球という、美しい話題もある。
筆頭属国の庶民としては、ホンジュラス・クーデターの実態や行方こそ、完全二大政党化・属国化する前の、最後の選挙で、どこに投票したらよいのかを考えるヒントになるだろうに。こちらの話は、もちろん全く報道しない。
うだる暑さの中、先祖の墓参りのほうが、これから何十世代も続くことになる、二大政党属国化を考えるより、もちろん大切。そう、再来週あたり、墓参りしよう。
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今回ウクライナ・クーデターとクリミアのロシア編入事件を見た時、
私はウクライナのネオナチにに暴力革命のようなクーデターを起こさせた、
クリミアのロシア編入は米欧の働きかけによる反作用であると思っていたのですが、
日本人の中には米欧のウクライナへの働きかけの、無法性よりも、
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