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2009年3月

2009年3月29日 (日)

オバマ、アフガニスタン・パキスタンでの戦争エスカレーションを発表

wsws.org

Alex Lantier

2009年3月28日

バラク・オバマ大統領は、金曜日、アフガニスタンにおいて、アメリカの戦争を大規模に拡大し、パキスタン国内への更なる拡張することを発表した。

彼の発表は、アフガニスタンとパキスタンにおける、国務省、ペンタゴンとアメリカ諜報機関が参加する、アメリカ戦略の再検討結果として提示されたが、彼が意見を述べる間、すべての首脳陣が、オバマ背後の演壇上にいた。

オバマが発表した政策は、アフガニスタンのみならず、パキスタンにおいても、軍事的暴力の大規模な増強だ。特徴的に、オバマは、発表の前半を、専らパキスタン関係に費やし、彼の政権により、戦略を再検討した主要な結論は、アフガニスタン国境を越えて、戦争をより攻撃的に拡大することであるという合図を送った。

これは、何千人もの多大な数のアフガニスタン人とパキスタン人の死、何1000億ドルもの支出、何千人ものアメリカ人の若者が、南及び中央アジアにおける拡張した戦争で、殺し、殺されるために派兵されることを意味している。

オバマは、アフガニスタンにおける、アメリカの軍と治安上の立場が悲惨なものであることを認めた。"状況はますます危険になりつつある"と彼は述べた。"タリバンを政権から排除してから7年以上になるが、戦争は継続しており、武装反抗勢力は、アフガニスタンとパキスタンの一部を支配している。我が軍、我がNATO同盟諸国及びアフガニスタン政府に対する攻撃は、着実に増大している。そして最もつらいことに、2008年はアメリカ軍にとって、最悪の戦争の年だった。"

彼は更に続けた。"アフガニスタンには選挙によって選ばれた政府はあるが、腐敗によって傷つけられており、国民に対して基本的なサービスを提供できていない。経済は、犯罪行為を奨励し、武装反抗勢力の資金となる麻薬貿易の繁栄によってむしばまれている。"

オバマは、ブッシュ政権のイラクでの軍"増派"を思わせる、アフガニスタンとパキスタンでの計画の概要を述べた。ブッシュは、わいろと軍事的暴力の組み合わせを使い、アメリカ増援部隊を、アメリカの植民地的占領への反対を続けるイラク人殺害に向けながら、様々な民兵の指導者たちから、金で一時的な和平をあがなった。

オバマは、"イラクでは、我々はかつて敵だった人々に手をさしのべ、イラクのアル・カイダを標的とすることに成功した。我々はアフガニスタンでも、同様なプロセスを追求すべきだ。"と説明した。

オバマが既にアフガニスタンに展開した追加のアメリカ兵17,000人に加え、うわべは、アフガニスタン人新兵を訓練するためという名目で、更に4,000人を派兵する計画を発表した。目的は、訓練されたアフガニスタン軍兵士の数を、134,000人に、警官を82,000人に増やすことだと、彼は語った。

アフガニスタンの南の隣国で、アメリカの同盟国であるパキスタンを、アル・カイダ工作員やタリバン戦士にとっての"避難場所"と彼は呼び、アフガニスタンに国境を接するパキスタン人テロリストが、アメリカ人にとって"世界で最も危険な場所"となっていると主張した。

パキスタンは、ワシントンの、こうした勢力を破壊するという要求に対する大規模な軍事作戦を行い損ねており、アメリカはもはやこの状況を許容することはできないことを彼はほのめかした。"長年の、功罪相半ばする結果を前に、我々は彼等を自由にさせておくことはせず、また、できない。パキスタンは、自国内のアル・カイダや暴力的な過激派を根こそぎにすることに対する肩入れを示さなければならない。高位テロリストという標的に関する諜報情報が得られたら、何らかの形で、行動をとるよう主張する。"

パキスタン政権に対して、オバマは、軍事的脅威という"ムチ"とあわせて、"ニンジン"も提供しており、アメリカ議会に、パキスタン国内の道路と社会的インフラ建設用に、今後5年間、毎年15億ドルの支出を承認するように要求している。この資金は"我が国の未来に対する頭金"だと彼は表現し、"パキスタン政府は、これら避難場所の破壊における、強いパートナーでなければならない。"と主張した。

オバマとブッシュ間での政策の本質的な連続性は、オバマが演壇で発表するに当たって、わきをかためた人物たちによって、視覚的に象徴されている。一方には、ブッシュ時代にペンタゴンの長として働き、イラクでの兵員増派を監督した後も、国防長官として留任するようオバマが選んだロバート・ゲーツ、もう一方には、2008年の民主党予備選挙でオバマと戦ったヒラリー・クリントン国務長官。当時、オバマは、クリントンに対する大衆的反戦感情に訴えて、2002年の上院での投票で、彼女が、ブッシュ政権にイラクを侵略する承認を与えたことを批判した。

オバマは、ブッシュ時代、2007-2008年、イラクで司令官として、2008年秋以来、アメリカ中央軍を指揮したデビッド・ペトレイアス大将や、アフガニスタンで元司令官をつとめ、オバマによって駐カーブル・アメリカ大使となった、カール・アイケンベリー大将を含めたほかの何人かのブッシュ政権からの留任者の出席にも触れ、彼等に感謝した。

計画中のイラク駐留アメリカ軍削減が、アフガニスタンとパキスタンにおけるアメリカの軍事行動拡大を可能にするだろうとオバマは強調した。(オバマは、戦争に関するすべての発言において、この2か国を結びつけることを強調した。理由の一つはアメリカ世論を、対パキスタン軍事行動の拡大に向けるためだ)。実際、2008年の大統領選挙のずっと前から、中央アジアにおける戦争をエスカレートするために、イラク駐留アメリカ軍のレベルを引き下げる政策は、アメリカの軍事、政治支配層総意の政策となっており、ブッシュも受け入れていた。いずれにせよ、オバマは、何万人ものイラク駐留アメリカ軍を、少なくともここ数年は、維持するつもりであることを明らかにした。

2008年大統領選挙で、オバマに対する共和党の競争相手だったジョン・マケイン上院議員は、アフガニスタンとパキスタンに関するオバマの発表を、温かく称賛した。

オバマが自分の政策を正当化するのに使った口実は、ブッシュ政権の口実の、再利用の卸売りだった。"対テロ戦争"という表現は使わなかったものの、オバマは、中央アジアにおけるアメリカの戦争をエスカレーションする理由を、ブッシュが使ったのと全く同じ、9/11攻撃について触れ、アメリカの軍事的暴力や、パキスタン国内への戦争の拡張は、アフガニスタンとパキスタンを基地とするアルカイダや外の"過激派"による新たなテロ攻撃から、アメリカ国民を守るのに必要だったと主張した。

アメリカがアフガニスタンで"戦争をすることを選んだわけではなく"、目標は"同国を支配したり、将来を決めたり"することではないと、オバマは語った。2001年911の攻撃におけるこの地域のテロリストの役割が、彼等がアメリカ、アフガニスタン、及びパキスタンの"共通の敵"であることを意味するのだと彼は主張した。オバマは、パキスタンの未来にとって"最大の脅威"は、アル・カイダと、その"過激な盟友たちだ"とさえ主張した。

これらの主張は、ことごとくうそだ。アフガニスタンやパキスタンの政治的局面に、いやいやながら、利他的な見地から関与しているどころではなく、アメリカの支配エリートは、自らの帝国主義的利害を求めて、これらの不幸な国々において、過去30年以上にわたり、攻撃的で容赦のない政策を遂行してきた。

1979年、カーター政権は、ソビエト連邦を、ベトナム戦争のような血まみれの泥沼に陥れようとねらって、ソ連のアフガニスタン侵略を引き起こすよう工作した。この戦争がアメリカの公式な政策であったことが、アメリカ国家保障会議のスタッフにいたことがあり、それから当時のCIA戦略評価センター理事長となったゲーツ国防長官によって、1996年の彼の本「From the Shadows」の中で暴露された。パキスタンを介して、アメリカは、反ソ連レジスタンスに対し積極的に武器を供与したが、レジスタンスの連中は、主として、アヘンの栽培と販売によって資金をまかなっている地方の武将階級によって率いられていた。これがやがてアフガニスタン麻薬産業の爆発的発展をもたらした。

タリバンはアメリカとパキスタンの支配エリートの"共通の敵"どころではなく、ソ連が支援した政権が1992年に崩壊して以来、アフガニスタンにおいて、彼らの主な代理人だった。

パキスタンに対して、アメリカがますます厳しい対応をとるようになった今、マスコミはこの話題に関する沈黙を破り始めた。ニューヨーク・タイムズは最近こう報道している。対抗する軍閥同士による長年の内戦で荒廃したこの国に安定性をもたらすべく、"ISI [パキスタンの軍諜報機関]が、1990年代にタリバン活動を生み出し、育てるのを助長したのだ。あるパキスタン人幹部は、イスラマバードは、‘我が国の利益を保持するための代理勢力として’タリバンのような集団を利用する必要があったと説明した。"

タイムズは、アフガニスタンを統一し、平定するためにタリバンを利用することをねらって、アメリカが当時こうした活動を支援したことには言及しないように決めたのだ。タリバンが、このたくらみが成功すれば、ワシントンとアメリカのエネルギー企業ユノカルは、中央アジアから、アフガニスタンを経由して、パキスタン、インドや、インド洋の港まで、石油と天然ガスのパイプラインを通すことを願っていた。

2001年のアメリカによるアフガニスタン侵略の背後にある、本当の動機は、石油と天然ガスが豊富な中央アジアにおけるアメリカの覇権であり、それにより、アメリカがグローバルな競合相手たちに対して、戦略的な優位を獲得することだ。

アフガニスタンとパキスタンは、パイプラインと中東、ロシア、中国とインド亜大陸の貿易経路の焦点に位置しており、アメリカの両国支配は、ユーラシア最大で、最も急速に成長する経済の諸国との間の貿易や戦略的な関係の展開をめぐり、アメリカが決定的な影響力を手に入れる。特にそれは、インド洋における、中国やインドへの石油供給封鎖を行うアメリカの能力を強固にするだろう。

基本的なアメリカのねらいは、ワシントンによる2001年のアフガニスタン侵略と、それに続くパキスタンでの戦闘拡大以来、変わっていない。ライバル諸国に対する優位を保障しようというアメリカ支配階級の衝動は、大恐慌以来、最も深刻な経済危機に、世界を陥れながらも、実際、増大するばかりだ。

アメリカによるイラクとアフガニスタン占領によって、何10万人もの人々が殺害され、何100万人もの人々が負傷し、追い出された事実が、テロリストが、パキスタン人とアフガニスタン人にとって最も危険な敵だ、というオバマの主張がうそであることを示している。実際、中央アジアの大衆にとって、最大の脅威は、ブッシュからオバマへの政権移行の影響も受けずに、権力の地位にとどまっている、ワシントンの軍国主義者の徒党だ。アメリカ国民について言えば、オバマと彼のハンドラーは、国民の反戦感情と、民主的な本能を、軽べつの念で見ているにすぎない。

アフガニスタンとパキスタンにおけるアメリカの軍事作戦を拡大することにより、オバマは、究極的には主要な大国を巻き込む、より広域のはるかに荒廃的な戦争へと向かっている。

この戦争拡張政策の影響は予想不可能だ。アメリカの政策によって、不安定化されつつあるパキスタンは、核兵器を持った、人口1.3億人の国だ。ウォール・ストリート・ジャーナルの3月26日の記事は、今やアメリカの無人飛行機は、国境を越えた、アフガニスタンでの、アメリカとNATOの軍隊に対する攻撃に関与してはいないが、パキスタン政権からは、主要な脅威と見なされている"パキスタン人のタリバン"指導者バイトゥール・マスフードを標的にしている。ワシントンは、ミサイル攻撃を、パキスタンの州バルチスタンを含めて、拡大することを検討している。そのような攻撃には、パキスタンを内戦に陥れ、究極的には全面的なアメリカの侵略となるリスクがある。

更に多くのアメリカ軍兵士をアフガニスタンに派兵するという決定は、アフガニスタン国内の戦争を激化させるばかりでなく、より広い地域を不安定化させ、外の国々との間の緊張、まず第一には、ロシアとのそれを激化させるだろう。アメリカのアフガニスタンへの主要補給路は、今や戦闘地帯に変えられつつあるパキスタンの地域を通っており、ワシントンは、ますます代替補給路、特に、カフカスと中央アジアの旧ソ連共和国経由のものの検討を強いられている。昨年8月、カフカスにおける影響力を巡る、ロシアに対するアメリカの競合から、アメリカは、グルジアに、南オセチアのロシア軍監視所攻撃をそそのかした。

中国もパキスタンにおけるアメリカの軍事介入遂行を、敵対的政策と見なすだろう。パキスタンは、中国の重要な貿易相手であり、インドに対する戦略的同盟国だ。戦争のエスカレーションは、ワシントンと、アフガニスタンにおけるNATO軍作戦に更に兵員を増やすようにという、アメリカからの増大する圧力のもとにあり、しかも国民の圧倒的多数がこうした展開に反対している、ヨーロッパ諸国間との緊張にも油を注(そそ)ぐ。

中央アジアにおけるより広範な戦争というオバマの発表は、彼の大統領選挙キャンペーンの利己的で、欺まん的な性格と、民主党と共和党間の戦術的差異が何であれ、世界中でアメリカ帝国主義の略奪的なねらいを支持する上での基本合意を、強調している。"チェンジ"の代理人としてを自らを売り込んだオバマは、今や想像もできない結果をもたらすであろう帝国主義的侵略の拡張を統括している。

金曜日の発表は、基本的な政治的事実の極めて明らかな実証だ。民主党によって、あるいは議会に訴えることによっては、戦争に反対することはできない。アメリカと世界中の労働者階級の独立した政治動員によってのみ戦争反対は可能になるのだ。

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2009/mar2009/afgh-m28.shtml

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マスコミは、北朝鮮のミサイル(衛星)発射をめぐる勇ましい軍事対応のことばかり報じている。

あたかも、日本の庶民にとって、"最大の脅威"は、北朝鮮であるがごとくだ。

さにあらず、日本の庶民にとって、最大の脅威は、ブッシュからオバマへの政権移行の影響も受けずに、権力の地位にとどまっている、ワシントンの軍国主義者の徒党であることは明白だろうに。日本の金と、血の更なる貢献求め続ける彼等が、モンゴルのくびきならぬ、アメリカのくびきだ。

孫崎亨著、『日米同盟の正体』、講談社現代新書は、これから更に激しくなるアメリカの苛斂誅求を詳しく描き出している。孫崎亨という人、普通の概念からすれば、外務省のエリート官僚、間もなく退職されるそうだが、現在は防衛大学校の教授だ。

一体なぜ、そういうエリートが、こうした貴重な事実を語ってくれているのかは、良くわからない。13ページにはこうある。

3月の退官を前に、、筆者の危機管理の授業の総決算として執筆したものである。

49ページには、「議論に勝って、飛ばされる」(エピソードがあり(論理的に正しく、議論に勝っても、防衛庁という組織の中では、飛ばされてしまうという、エピソード)がある。

その警告をもって組織の中で生きるべきかもしれない。でもなんと寂しい台詞だろう。

と、著者は言う。示唆的なエピソードだ。

安保は、ガイドライン以降、すっかり変身し、アメリカは、日本を国際舞台で使う方向に転換したのだ。その象徴が、イラクへの陸軍、空軍の派兵、インド洋への海軍派兵、そして、今回のソマリア派兵だ。

また、注目すべきは、著者の「陰謀」に対する姿勢だ。第二章は「二一世紀の真珠湾攻撃」

南北戦争時のリンカーン、真珠湾攻撃の場合などをひいて、911について論じている。

すなおに読めば、このブログでも再三触れている疑念を肯定する章だ。しかも、著者は、インテリジェンスの専門家なのだ。イタリアやドイツの元閣僚には、はっきりと陰謀論を言う人々もいる。著者、閣僚ではないが、発言の重みは、傀儡閣僚の発言よりもあるだろう。「議論に勝って、飛ばされ」外務省をおわれた天木直人氏も、本書の衝撃に触れておられる。

日米同盟の正体を明かした外務省OB 他 2009年03月23日

こういう本こそベストセラーになって欲しいものだが、巨大な基地をかかえる横須賀で小泉ジュニアが跡継ぎとなり、千葉では、森田が知事となり、東京では、エセ・ファシスト石原が知事、さらには大阪や、宮崎の右翼知事という国民文化では、せっかくの渾身の著作も、とうてい理解はえられまい。

オバマになっても変わらないことを、ビル・トッテン氏は、最新のコラムでかかれている。

ビル・トッテン氏のコラム Our World
No.866 アメリカを支配する者

2009年3月27日 (金)

プリマコフ発言: NATOのベオグラード爆撃の後にイラク攻撃が起きた

ボイス・オブ・ロシア

2009年3月24日

北大西洋条約機構によるユーゴスラビア攻撃時、ロシア首相だったエフゲニー・プリマコフは、NATOのベオグラード爆撃がなければ、イラク侵略もなかっただろうと感じている。NATOのベオグラード爆撃10周年のテレビ・インタビューでプリマコフは語った。

ロシアは十年前、西欧のユーゴスラビア攻撃に、はっきり、反対すると言っていたのだ。プリマコフ首相の行動から見て、ロシアの姿勢に対する疑念の余地はない。プリマコフは、十年前の今日、飛行機でアメリカ合州国に向かっていた。最初のベオグラード爆撃を知ってすぐに、彼は、大西洋上空で、引き返すよう命令を出した。このアメリカ行き飛行の中断について、彼はこう語っている。

≪これは、訪問を、激励のしるしと受け止められることを望まない人間にとっては普通の対応です。飛行機で大西洋上を飛んでいる間に、私はアルバート・ゴア副大統領に電話をかけ、彼の国は非常に大きな過ちを犯していると言いました。あなたたちは、今していることを、決してしなければ良かったと、後悔するようになりますよと言ったのです。国連を無視することはできませんよ、と私は言いました。アメリカは今していることをするしかないのだ、と彼は言いました。彼らの決断を説明しようとしたのです。しかし、彼の主張は、現実を反映しそこねていると思いました。そして、訪問予定を組み直すという決定書類で、彼の署名の隣に、署名をして欲しいと彼は頼んできました。私は言いました。「いいえ、それはお断りします。お望みであれば、あなたがたが、ユーゴスラビア爆撃を決断されたので、私が飛行機に引き返すよう命じた、と発表していただいてかまいません。≫

元首相プリマコフは、承認されなかったベオグラード爆撃は許せるものではないと、絶対的に信じている。

あの爆撃は、防がれるべきだった。あの攻撃がイラクにおけるアメリカの作戦に道を開いたのだ。決して国連に承認されなかったもう一つの作戦に。全ての動きは、相互にからみあっている。もしも、こうした爆撃が避けられていれば、世界は違っていただろう。

ユーゴスラビア大統領スロボダン・ミロシェビッチがハーグ国際戦犯法廷に直面した際には、プリマコフは弁護人となった。そして、ロシアでの医療というミロシェビッチの要求を却下した国際戦犯法廷の判断は、法廷審問が終わる前に、ミロシェビッチが亡くなるかも知れないという希望が理由なのだと、彼は依然として説明している。

プリマコフは、旧ユーゴスラビアへのNATO爆撃の政治的結果を、公正なものであるとも、長期的に続くとも考えてはいない。北部の、セルビア人が居住している、コソボの一部は、最終的には、セルビアと一緒になるものと彼は予想している。地域の安定を実現するのは容易ではなく、継続的な財政支援注入や、外国軍の駐留や、他の諸手段が必要だろうと語っている。

記事原文のurl:www.ruvr.ru/main.php?lng=eng&q=42548&cid=58&p=24.03.2009

2009年3月24日 (火)

『9.11テロ疑惑国会追及オバマ米国は変われるか』のオンライン購入について

以下は、09年3月24日に書いた記事である。念の為。

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首題の本が刊行されたという。千早という、著者の一人の方が、『阿修羅』に、「アマゾンでは、この本は現在お取り扱いできません。」状態だと書かれている。

好奇心から、他のオンライン書店も調べてみた。状況は以下の通り。(まだ購入もしておらず、読んでいないので、内容については触れない。個人的には、「ルビコン川を越えて」の翻訳をこそ読みたいと思っている。)

bk1

9.11テロ疑惑国会追及オバマ米国は変われるか

楽天ブックス

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そしてあの、アマゾン

9.11テロ疑惑国会追及オバマ米国は変われるか

この本は現在お取り扱いできません。

そもそも、アマゾン、下記理由で全く期待しない。

しかし、依然として、検索エンジンは「検閲状態にある」のは確実なようで実に困ったものだ。本当は、庶民のための検索エンジンが必要なのだろう。世界の庶民検索エンジン、団結せよ?

販売しているオンライン書店が、トップに出ず、取り扱っていないオンライン書店が、トップになるというのは、「検索」の論理が、ユーザーの方をみておらず、国策検索エンジンを望む、宗主国の方を向いた作りであることは間違いない。該当書籍在庫がない書店の順序を下げる論理を組み込むことなど簡単だろうに。

皆様におかれては、各自、様々な検索エンジンでお試しいただきたい。

911選挙の頃、関岡英之著の下記文春新書が、アマゾンでは購入できなかった。

正確に言えば、たしか古本で「3300円」?という法外な価格でないと購入できなかった。

(もちろん、いまでは購入可能。)

735円の新刊本が中古3300円に化けるのだ。都心の書店ではどこにでもおいてあった。

もっとも、どこかで、「アマゾンは、一年以上?注文していなかった」という、関岡氏本人の記事を読んだ記憶がある。

拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる

たいていの検索エンジンで調べると、当然、アマゾンが、一番上にくる。

bk1などでは、当時も販売していたが、検索エンジンの上位にならないので、自然、地方の方々はあきらめられたのではないか?

中村正三郎さんのblogに下記エントリーがある。

amazonで買えない、関岡英之「拒否できない日本」

同様の記事が、驚くべきことにzakzakにも掲載されたが、ご本社の体質から予想されることだが、当然ながら間もなく削除された。その事実は、阿修羅の下記エントリーに残されている。(該当リンクは無論、切れている。)

ナゼ読めない…「アマゾン」で1年超も品切れの本(ZAKZAK) 「拒否できない日本」はアマゾンでは買えない

下記の記事がある。皆様、これを本当に理解された上で、アマゾンから書籍を(いや、それでいえば、何でも)購入されているのだろうか?

小生、愛国者法の成立以来、ややこしい本は、英語でも日本語でも、アマゾンで購入するのを一切止めている。

「それはとんでもないデマだ」という正式な表明が『アマゾン』でなされない限り、そうしたものの購入は見送らざるをえない。

愛国者法は書籍の購入者が何を買ったか報告させる 『アマゾン』はアメリカの書店だ

上記エントリーには、下記ページへのリンクがある。

愛国者法(九月一一日事件後のアメリカ合衆国における治安立法、治安政策)(2)

該当部分を引用しておこう。

愛国者法は、書籍の購入者が何を買ったかを書店に回答させ、図書館の利用者が何を借りたかを図書館の運営者に明らかにさせる権限を政府に付与した。

記憶する限りでは、そうした調査の事実さえ、利用者に言ってはならないとあった。

読んでみると、やはり、誰もFISAに基づくFBIの捜査があったことを口外してはならないという口止め規定があるように読める。是非、ご専門の方に、「それは単なる素人の被害妄想だ」と言っていただきたいものだ。

SEC. 501. ACCESS TO CERTAIN BUSINESS RECORDS FOR FOREIGN INTELLIGENCE AND INTERNATIONAL TERRORISM INVESTIGATIONS.

(d) No person shall disclose to any other person (other than those persons necessary to produce the tangible things under this section) that the Federal Bureau of Investigation has sought or obtained tangible things under this section.

2009年3月21日 (土)

自立しようではないか

David Orchard

thestarphoenix.com

2009年3月21日

30年以上にわたって、カナダは、"規制緩和" "自由貿易" "民営化"そして"グローバル化"という、しつこい宣伝にさらされ続けてきた。カナダ自身によるカナダ企業所有は、もはや時代遅れとなった。カナダ国民のために役立ってきた組織や、事業は、一掃されてしまった。"自由市場"こそが未来であり、いかなる"障壁"も非効率的な遺物だった。政府そのものが、できる限りすっかり破壊された。カナダは経済をアメリカと統合すべきであり、効率を更に良くするために、アメリカ・ドルを採用すべきだ。

これに反対する人々は、"ラッダイト" "社会主義者" "保護主義者"あるいは"外国人恐怖症"といって、あざけられた。1988年のカナダ-アメリカ自由貿易条約に対する戦いを率いていた自由党指導者ジョン・ターナーは、優勢な教義に挑戦したために、中傷された。

ほんの昨日まで、規制のない、ボーダーレスの世界という教義を説教してきた連中の一部は、今や180度転換した。ニューズウイーク誌の表紙は宣言している。"我々は今や社会主義者だ。" つい最近まで、カナダの金融セクターの更なる規制緩和を推進し、"保護主義者"や"社会主義者"の嘲笑攻撃を率いてきたハーパー首相とフラハティ・財務相が、カナダの独立した銀行や金融機関を今や自慢している。かつてカナダ市場などもはや不要だと語っていた、分離主義指導者達が、アメリカ経済に依存しているほぼ80%のケベックの輸出は、落ち放題に落ちていると警鐘を鳴らしている。かつて、アメリカ・ドル採用を主張していた連中が、今やカナダの金融制度を、世界の模範として賛美している。

わが国の主権と、わが国の制度の独立維持を目指して戦ってきた我々は、信じられない思いで見つめている。

ところが、不可解なことに、アメリカへの更なる統合という唱導は、未だに続いている。これを推進する人々は、バラク・オバマが大統領に選出されたのを千載一遇の好機と見なしている。元外務大臣デビッド・エマーソンは、カナダ人は今や「さほど抵抗しなくなっている」と語っている。カナダとアメリカの間に残っている「わずかな差異という暴虐」を非難して、今こそ 「本当に、... 経済、環境、および安全保障の北米共同体というずっと大きなビジョンを推進する機会だ」と語っている。

エマーソンと彼の仲間が厚顔にも提案しているのは、北米というまとまりでの国境、アメリカ外交政策の採用、カナダ主権の終焉だ。

わが国の資源と企業を、外国オーナーに手渡すことによって、カナダ人は何十億ドルも負担させられ、何千もの職を失った。今や、我々は驚いたことに"グローバル化した"世界が、後に続いて来てはいないことを知ったのだ。世界の石油の77%は、国営石油会社のもので、多国籍企業のものではないのだ。アメリカには、自給自足、国家的エネルギー安全保障、および自国内支配を目指す国家資源政策があるが、カナダにはない。カナダの指導者たちは、そうした考えそのものを恐れているかのようだ。それで、ケベック州民、大西洋岸のカナダ人、およびオンタリオ市民のほぼ半数が、輸入石油に依存しており、全てのカナダ人が、豊富に持ち合わせている資源に対して、言語道断な"世界価格"を支払っている。

この政策がゆきつく先は?

何十年も、資源という富が、アルバータ州から南へと、しかもただ同然の採掘権で、吸い取られ続けた後、州は赤字で、わずかな140億ドルの基金資産に手を着けようとしている。一方、同様に石油が豊富な状況にあるノルウェーは、利益を蓄え(およそ4000億ドルの基金)、産業もそのままノルウェーの手中に留めている。一体、生活水準がカナダのそれを越えているノルウェー人は、"ラッダイト" "保護主義者"、それとも、単に管理が上手かったのだろうか?

長年にわたって、私は、自前の造船業、東西エネルギー安全保証網、国産農業機械や製造基盤やカナダの最先端の自動車産業などを含む、我が国自身のニーズに基づいた、カナダの産業政策を主張してきた。(クリーンなカナダ国産車を育て上げる代わりに、カナダ政府は、カナダが支配しておらず、その実績は、最先端でも、クリーンでもない、外国に所有されている企業救済のために何十億ドルも与えようとしている。)

外国による所有に依存して勃興した大国など皆無なのだが、悲惨なカナダ鉄鋼業引き渡しのすぐ後であるにもかかわらず、カナダ政府は、カナダ小麦局を破壊し、西部の穀物取引小麦を、外国の手に引き渡すことを含め、更に多くの産業を、引き渡そうとしている。既に、カナダ製造業の利益の半分以上が、外国オーナーに渡っている。カナダ経済を、グローバリゼーションというすっかり信用を失ったイデオロギーの下で、意志薄弱に引き渡し続けるのではなく、カナダがもっているものを強化し、支配を拡大すべきなのだ。最初の一歩は、既存のニューファンドランド、マニトバ、BCおよびケベック水力発電 がカナダ中に流れることを可能にする東西スーパー配電網建設でも良いだろう。これによって、経費削減が実現し、企業を引き寄せられ、新規原発は不要になり、わが国がより強固な安全保障と独立の意識のもと、まとまる助けになるだろう。オンタリオ停電はもう起きなくなろう。

我々の両親たちは、トランス・カナダ・エアウエイズ(エア・カナダ)、世界で三番目に大きな輸送船団や、世界最速の迎撃戦闘機、アブロ・カナダ CF-105を作りあげた。彼らの両親は、カナダの偉大な鉄道と、全国的なインフラストラクチャーを作り上げた。カナダの建国者達は、誰の衛星国でもない強力な国を、思い描いていた。ルイ・リエルは、カナダのことを、世界で抑圧されている人々がやってこられる明確なビジョンを持った国として語っていた。連邦の父ジョルジュ・エティエンヌ・カルティエと、カナダ初代首相ジョン・A・マクドナルドは、カナダは大陸の大国になるだろうと考えていた。カナダ企業の売却を許し、社会機構を破壊し、アメリカ契約の些細な断片に、入札することを今やしおらしく懇願し、「北米共同体」の一部にさせてほしいとせがんでいる連中を見たら、彼らは一体なんと言うだろう? こうしたことが、まさにアメリカの力が頂点を過ぎ、急速に衰退している時に起きているが、指導力のひらめきさえあれば、わが国は浮上しはじめることが可能なのだ。

記事原文のurl:www.thestarphoenix.com/opinion/stand+feet/1408488/story.html

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国名を日本に変えるだけで、そのまま通じそうな文章。

同じアングロ・サクソンの国カナダに対する処遇がこうだ。まして属国に対しては..

2009年3月18日 (水)

イラク人ジャーナリスト、ブッシュに靴を投げつけたかどで懲役刑

wsws.org

James Cogan

2009年3月14日

バグダッドにおける12月の記者会見の際に、元アメリカ大統領ジョージ・ブッシュめがけて靴を投げつけた29歳のイラク人ジャーナリスト、ムンタザル・アル=ザイディは、木曜日に三年間の懲役という判決を受けた。

そもそも、アメリカの属国でしかない国の裁判所からこうした判決がでるのはすっかり分かりきったことではあるものの、判決は法外だ。ザイディの行為は犯罪ではなかった。本物の犯罪人ブッシュに対して、何百万人ものイラク人や何千万人もの世界中の人々が感じている、怒りと軽蔑の反映だった。

ジョージ・ブッシュは、イラクは「大量破壊兵器」を持っており、アルカイダと協力しているという嘘をでっちあげたアメリカ政権を率いていたのだ。イラクのエネルギー資源と領土を巡って新植民地主義的支配を押しつけるだけの目的から、違法な侵略を彼は命じたのだ。百万人以上のイラク人の死と、イラクの経済、社会機構の破壊をもたらした残虐な占領を、彼は五年半にわたって取り仕切ってきたのだ。

ザイディの弁護士たちは、アメリカによる侵略で、イラク中にまき散らされた惨事に対するジャーナリストの抗議を考量するよう、裁判長に訴えた。彼の弁護団長ディア・サーディはこう語っている。「彼[ザイディ]がしたことの背後には高貴な動機があります。占領国の大統領に対して、靴がなげられたのであって、アメリカがイラクを攻撃した様な何トンものロケット弾や爆弾ではないのです。」

ブッシュが、イラクで最後の記者会見に登場した際、ムンタザル・アル=ザイディは、アメリカ大統領が、犯罪から逃げおおせることに気がついていた。裁判の過程で、ブッシュの言葉と表情に刺激されて、靴を投げるに至ったのだとザイディは証言した。ブッシュはイラクにおける「進歩」について語り、イラク首相ヌリ・アル-マリキとともにする予定の楽しい晩餐に触れ、彼のウリである薄ら笑いをしたのです。

先月、ザイディは、ブッシュの薄ら笑いを見た時に、怒りできれてしまったのだと、法廷で証言した。

「彼が話している間、心の中で彼のあらゆる‘実績'を調べていました。百万人以上が殺され、モスクの破壊と辱め、イラク女性に対する凌辱、毎日、毎時のイラク人に対する攻撃。

「彼の政策のおかげで国民全員悲しい思いをしているのに、顔に微笑みを浮かべて話し、首相と軽口を叩き、記者会見の後で彼と晩餐をとる予定になっていると言ったのです。

「本当です、あたりにはブッシュ以外誰も見えませんでした。他の何も見えませんでした。無辜の人々の血が彼の足元から流れ出ているのに、彼はあんな風に微笑んでいると思ったのです。

「そして、彼は晩餐をとるはずでした。百万人の殉教者を殺害した後で。この国を破壊した後で。それで私は、靴を投げつけることで、この感覚に反応したのです。心の中の反応は止めることができませんでした。無意識にやったのです。」(2009年3月12日イギリスのガーディアン紙に翻訳引用されたもの)

彼の抗議行動は「占領に対する自然な反応」だったものであり、「外国の首脳を攻撃した」罪で有罪ではないとザイディは申し立てた。靴を投げながら彼はこう叫んだ。「これがイラク国民からのお別れのキスだ、犬め!これは未亡人、孤児、イラク国内で殺された人々からのものだ!」

これは、ブッシュが直面しなければならない最も厳しい罰は、ザイディが投げた靴だけであるという、アメリカや国際的な法制度に対する告発なのだ。政府も、オバマのホワイト・ハウスも、もちろん誰一人として、あるいは民主党も、ブッシュや、他のアメリカ首脳陣の起訴を要求していない。彼の共犯者、トニー・ブレアが率いたイギリス政府や、ジョン・ハワードが率いたオーストラリア政府も、責任をとらされることから免れた。連中は、大量虐殺をしたのに、文字通り罰せられずに逃げおおせてしまったのだ。

ムンタザル・アル=ザイディに言い渡された判決は、法廷にいた彼の家族と支持者達の間に怒りをひき起こした。

彼が牢に連れ去られる際、「英雄!」や「くたばれ、ブッシュ」という叫びが自然に沸き上がった。「くたばれ、アメリカ裁判所」と叫ぶ人々もいた。イラク政府とマリキ首相に対して激しい非難があった。ザイディの姉妹の一人は記者団にこう語った。「ブッシュを喜ばせるためなら、マリキは自分の妻だって進んで差し出すでしょう。」

ザイディの家族は、この若者が虐待を受け、刑務所中で死ぬ可能性さえあるのではという懸念を表明している。彼の行為は、彼を、アメリカ帝国主義とそのバグダッド傀儡政権に対する、イラク人と、より広範なアラブ人による反対の象徴へと変容させた。

親米イラク政府は、彼がブッシュめがけてなげた靴は、警察の試験で破壊されたと、主張するまでに至っている。もしも靴がザイディや家族に返還されれば、イラクで反米デモを呼びかけるための偶像になってしまうことを恐れたのだ。

ムンタザル・アル=ザイディの20人からなる弁護団は、判決に対し控訴する予定だと発表した。判決に対する小規模な抗議行動が、イラクや中東の他の地域で行われた。ヨルダンの学生たちがアメリカ大使館の外で集会した。

ザイディの判決は、イラクの数多くのモスクにおける金曜礼拝のさなかに言い渡された。バグダッドでも人口密度の高いの、主にシーア派の労働者階級が暮らすサドル・シティーでは、聖職者シェイク・スハイル・アル-イカビが会衆に対し、これは「アメリカによる占領に反対するイラク国民に対する判決です」と説教したとAP通信は報じている。シーア派の中心地であるクーファでは、シェイク・アブドル-ハジ・アル=モハンマダウィはこう語っている。「裁判官が、一体どのような法律に基づいて、判決を出したのか不思議に思うばかりだ。この判決は、連中のご主人様を満足させるために出されたのだろうか? なぜ血も涙もなく、イラク国民を殺害しているアメリカ人を裁かないのだろう?」

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2009/mar2009/iraq-m14.shtml

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イラクと模範的属国日本、非常に対照的に思える。

Wikipediaに、こういう記事がある。カーチス・ルメイ。今から64年前の1945年3月10日におきた出来事、東京大空襲を考え出した人物に関するものだ。(必要部分のみ引用。)

第二次世界大戦期のアメリカ合衆国の軍人である。戦略爆撃の専門家、東京大空襲を初めとする日本の焦土化作戦を立案した。

このルメイの焦土化作戦は、東京大空襲をはじめ大成功をおさめた。標的となった日本の都市は、軍需工場、民間住宅地の区別なく徹底的に焼き払われ壊滅的な打撃を受けた。焦土化作戦は東京・大阪等の大都市を焼き払った後は、地方の中小都市[3]までが対象となった。これらの空襲は日本国民を震え上がらせ、日本側から「鬼畜ルメイ」・「皆殺しのルメイ」と渾名された。

1964年に、航空自衛隊創設時の戦術指導に対する功績により、日本政府より勲一等旭日大綬章を授与された。これは参議院議員で元航空幕僚長源田実と小泉純也防衛庁長官(小泉純一郎の父)からの強力な推薦によるものであった

「自国民を何十万人も殺害した責任者に、航空自衛隊への戦術指導に対するお礼に?、綬章を授与する」国が日本以外一体どこにあるだろう。夫人すら差し出すだろう、とザイディの姉妹にいわれた、さしものマリキ首相もびっくり?そういう発想、「自国」を愛する人物からは出てくるまい。属国より宗主国・米国を愛する人物なら考えつくかも。

蛙の子は蛙。

小泉純一郎元首相の素晴らしき忠米売国実績、大本営マスコミ愛読者以外には明白。

郵政私物化、後期高齢者いじめ医療制度、障害者自立支援阻害法、在日米軍再編推進、アメリカのイラク攻撃(空爆)・侵略支持、イラク派兵、等々、もう露骨な、属国推進政策のオンパレード。こういう人物を、ほぼ全てのマスコミと国民の一部は、いまだに熱狂的に支持している。「靴をなげつけろ」とは思わないが、この属国、不思議な国だ。

彼が使った「改革」の本当の意味は、広辞苑にどう書かれていようと、大本営マスコミがなんと言おうと、「破壊」でしかないだろう。

そう、マッド・アマノ氏が自民党のものを添削して作った傑作標語「あの米国を想い、この属国を創る」

そして小泉純一郎氏の三男進次郎氏が横須賀の地盤を受け跡目を継ぐ。上記標語をさらに推進するために。

彼は、ワシントンD.C.にあるシンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)で、優秀なジャパン・ハンドラー、マイケル・グリーン氏に、教え込まれてきている。(ハンドラーとは、何かを操縦、あやつる人、調教師という意味だ。この場合、日本をあやつる、一流専門家。)

もちろん、あのオバマ大統領のくぐつ師、ブレジンスキー氏もCSIS理事であらせられる。

特訓を受けた進次郎氏、父親をも越える迷首相になるのかも。日本の本当の民度が次回の選挙で証明される。こういう人をよろこんで選ぶ日本、世界に冠たる属国民。

ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報には、下記の記事がある。

小泉進次郎(小泉Jr.)のCSISペーパーを読む 2006/10/19

また、オルタナティブ通信には下記の記事がある。

引退宣言した小泉元首相の後継者・小泉進次郎の正体

2010/3/12追記:

東京大空襲、時空を隔てて、そのまま、現在の、アフガニスタン・パキスタンの無人機ミサイル攻撃と、つながっている。東京大空襲の被害者の方々の集いは伝えられても、無人機ミサイル攻撃は、全く報道されない。

例えば、下記記事等をお読み頂くしかないのかもしれない。

ラスベガスでタリバン狩り

2009年3月14日 (土)

NATOの拡大ベクトルは、グローバル?

2009年3月13日

ロシア・トゥディ

バラク・オバマ政権は、NATOを、究極的には、国連に置き換わる、民主主義諸国の世界的な組織の核と見なしている、とロシアの有力な新聞は考えている。

ワシントンは、NATOに、オーストラリア、日本、ブラジルや南アフリカの様な国々を招き入れて拡張し、安全保障の問題のみならず伝染病や人権問題などにも対処する世界的組織にしたいと望んでいる、と金曜日コメルサント・デイリー紙は報じた。次期アメリカNATO大使アイボ・H・ダールダーは、この考え方の熱烈な支持者だ。

ブルッキングス研究所の専門家で、大統領選挙キャンペーン期間中、バラク・オバマの外交政策顧問だったダールダーは、いわゆる民主主義諸国同盟の熱烈な提唱者だ。

民主主義諸国用の会員限定クラブ

シンクタンク、国家安全保障に関するプリンストン・プロジェクトによって作り出されたこの考え方はこういうものだ、大国間の戦争を防止すべく生み出されたものなので、国連は時代後れだが、もはやこういう脅威は無視できる。一方で、国連は、小国間、あるいは大国と小国の間での地方的紛争への対応ということでは非効率的だ。こうした紛争の例は、ダルフール、コソボなどの紛争を含むが、より最近の例では、南オセチアがある。ダールダーを含むこの概念を生み出した人々は、そうした問題に対して、外交・軍事双方の対策をもった民主主義諸国の組織内での解決を考えているわけだ。

彼らによれば、デモクラシー諸国は、人権を守り、安全保障を実現するためには、進んで協力しようとするが、独裁主義的な諸国はそうではないのだという。ロシアと中国という大国を含む、独裁主義的な政権を除外すれば、意思決定はずっと迅速となり、行動もずっと実行されやすくなるだろう。民主主義諸国同盟は、他の国々 に対して磁石のように機能し、世界的な諸問題で発言力を持つために、そうした国々も民主主義に変わるように強いることになるだろう、というのだ。

この会員限定クラブによる、軍事行動も含む対応は、たとえそれが非民主的諸国の国家主権を犯すものであっても、正統なものであり、国連の承認を必要としない、というのがこの主張だ。長らく成功してきた実績を持つデモクラシー諸国の同盟として、NATOは、提案する同盟の原型であり、新たな世界的組織へと拡張可能だとダールダーは考えている。

四月に予定されているNATO創立60周年記念サミットで、ダールダーが、ワシントンの改革案を、他のNATO加盟諸国に説明をする場となる可能性がある、とコメルサント紙は続けている。イベントは、加盟を望んでいるウクライナやグルジアは招待しない、ある種『一族再会』のようなものだ。イベントでは、もっぱら、NATOの将来に関する議論が行われる。

コメルサント紙は、ホワイト・ハウスのある情報筋が、副大統領ジョー・バイデンは「民主主義諸国同盟」支持者の一人だと語っていると引用している。ミュンヘン安全保障会議において、ワシントンは、ヨーロッパ側のパートナー達が、より大きな役割を果たしてくれるよう望んでいる、とバイデンは語った。だからといって、国際的な安全保障を維持するため、ヨーロッパ諸国がより多く負担をしなければならないということを意味するわけではない。NATOにヨーロッパ諸国以外の新たな国々を招き入れることによって、ヨーロッパ諸国は、それぞれの支出を増やさずに済ませることができるだろう。

ただし、オバマ大統領自身、これについては公的に発言したことがないため、このアイデアについてどう考えているのかはわかっていない。

専門家は根本的なNATO改革には否定的

ロシア駐NATO大使ドミトリー・ロゴージンは、ダールダーが、民主主義諸国同盟という考え方を支持していても、他の同盟諸国が根本的な変革をする気があるかどうかはこれからの進展をみなければ分からない大問題だと語っている。

彼がブリュッセルに着任しだい、この新しい仲間と会って、彼の見解の何が公的なものであり、NATOのアメリカ新チームに実際には何が期待できるのかを、確認したいと思っている」と大使は語っている。

この考え方は、さほど支持されそうにない。民主主義諸国同盟への加盟を呼びかけられるであろう諸国も、現在のNATO加盟諸国でさえも、ともにこれはアメリカが主導するクラブだと見なし、参加をいやがるかも知れない、とモスクワ国際関係研究所の政治評論家ヴィクトル・ミジンは、ロシア・トゥディに語った。

オーストラリア、韓国や日本のような国々が、将来の軍事作戦を、財政・軍事双方の側面から支援するという案に飛びつくだろうとは思えません」と彼は語った。

世界的な意思決定行為から、ロシアと中国を締め出すという考え方は非生産的だ。

彼はこう補足した。「この民主主義的諸国のコミュニティーというものは、まるで新たな神聖同盟[汎ヨーロッパ的な安全保障を実現し、キリスト教価値観の普及を目指したロシア、プロイセンとオーストリア間の19世紀の同盟]のようなもので、実に時代錯誤的な考え方です。

ヴィクトル・ミジンのインタビューを見る (英語)

アイボ・ダールダーの個人的な見解が、NATOに対するアメリカの政策を決定するものではないが、同盟の影響力を強めたがっているNATO加盟諸国と彼が付き合う上で役に立つだろう、と世界経済・国際関係研究所のセルゲイ・ウトキンは語っている。

ある意味では、NATOは民主主義国の同盟ですが、だからといって、何らかの根本的な構造変革が生じることを意味するものではありません。大半のNATO同盟諸国は現在の構造に満足しており、同盟の拡張に辟易している国々もあるのです。」と彼は語っている。

ウトキンによれば、今やNATOの主要な任務は、現代の課題に対処することであり、それには、これまで、民主主義への道を進む上ではあまり時間をかけてこなかった国々とのより円滑な対応も含まれている。

オバマ政権は、これまでのパートナーとだけでなく、いわゆるならずもの国家とも、国交を進めることになっています。その一例は、イランであり、アメリカ政府は、同国の既存政権にもかかわらず、対話を進めようとしているのです。」と彼は補足した。

記事原文のurl:www.russiatoday.ru/Politics/2009-03-13/NATO_s_expansion_vector___global.html

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海賊対策を名目に、NATO軍が蝟集するソマリアに、日本が海軍を派兵したのも、この拡大NATO加盟への一環。ソマリア海賊、拡大NATOという「森を隠す木」ソマリア沖自衛隊派遣への疑問『世界』09年3月号

ブレジンスキーの傀儡であるオバマが人形使いの振り付けにない行動をするはずもなく、属国日本の主要傀儡政治家たち(典型的にはソマリア派兵の必要性を、国会で、わざわざ言い出した、ブレジンスキーの弟子、長島昭久民主党衆議院議員。もちろん、オザワ氏とて同じこと)が、ブレジンスキーの教えに背くわけもない。

日本の民主党のスローガン、正確には「アメリカとイスラエル国民の生活が第一」。民主党や自民党の前に、「アメリカ・ポチ」という単語が抜けているのだろう。もちろん、これはマスコミにも該当するだろう。

あわただしくソマリアに派兵したのは、おそらくNATO設立60周年祝典に間に合わせるため。サルコジのNATO復帰宣言も同様だろう。

オバマ政権の教科書であるブレジンスキーの著書『セカンド・チャンス』にある通り、大西洋共同体(NATO)に日本を組み込む計画、こうして着々進行中。

下記のブログでも紹介されているように、民主主義諸国同盟というアイデア、あの有名ネオコン、ロバート・ケーガンも提唱している。ケーガン、大統領選挙では、共和党マケインの顧問だった。帝国の世界支配に、民主党、共和党の差異などなく、民主主義諸国同盟=「帝国主義者植民地支配同盟」への超党派合意があるのだろう。

地下室のブログ 民主主義同盟を弁護する

英語原文:The case for a league of democracies

商業マスコミ、アンポにからむこういう本質的な問題は隠ぺいこそすれ、決して追求しない。まあ、それが、商業マスコミ仕事なのだ。商業マスコミに本質報道を求めるのは、ないものねだり。

ソマリアも、北朝鮮同様、アメリカのマッチポンプ作戦の一環でしかなかろうに。カンポ施設入札疑惑やオザワ代表の献金疑惑も、アンポ下の属国支配を隠すための「馴れ合い」偽装作戦ではあるまいかと勘繰っている。

献金疑惑騒ぎでいえば、湾岸戦争で、膨大なつかみがねをアメリカに支払い、小選挙区制を導入したオザワ代表が、一体どうして日本独立をめざすヒーローなのか、なぜ、「自民党から民主党に政権が交代すれば、日本が再生する」のか、皆様のブログを判読しても、さっぱりわからずにいる。

体制による大規模な争点ずらしでしかないだろう。このあと、ごていねいに、テポドン発射。おもちゃのMDシステム宣伝プロパガンダが続く。大本営マスコミと、大本営には、手品の種などいくらでもあるだろう。手品は見るから、騙される。騙されるのがいやなら、見ないに限る。時間の無駄。

アメリカで、二大政党なるうろんな組織の間で政権が交代しても、戦争経済、帝国支配、日本への苛斂誅求といったアメリカ帝国の本質は、何も変わらないではないか。宗主国で決しておきないことが、属国でおきるはずなどありえまい。「二大政党間の政権交代」など現状維持・推進のためのめくらましにすぎない。

ソマリア・NATO関連記事翻訳等:

大西洋共同体(NATO)に日本を組み込む ブレジンスキー

ソマリア沖自衛隊派遣への疑問『世界』09年3月号

アメリカが支援したもう一つの大惨事

限りなき残虐行為-ソマリアをグローバルな自由発砲地帯にするのがアメリカの狙い

ソマリア : 「アメリカ製の」もうひとつの戦争

ソマリア: CIAが支援したもう一つのクーデターの崩壊

NATOの軍艦、ソマリアに向かう

沖縄タイムスには下記の記事がある。基地被害の本場には、さすがにジャーナリズムが生きている。

[ソマリア海賊対策]慣らされることの怖さ

以前にも書いたが、田中宇氏の記事に下記がある。

ソマリアの和平を壊す米軍の「戦場探し」

冒頭にこうある。

12月20日、米軍を牛耳るラムズフェルド国防長官を怒らせる事件があった。ドイツの高官が、米軍が計画中の作戦をマスコミに暴露してしまったことだった。この日、アメリカと欧州の軍事同盟であるNATOの本部(ブリュッセル)で、米軍幹部が西欧諸国の政府高官を集め、定期的な状況説明を行った。その後、各国の高官たちは個別にマスコミに囲まれて質問を受けたが、その中でドイツの高官が「次はアメリカはソマリアを攻撃しようとしている」と漏らした。

驚くなかれ、この記事の日付、「2001年12月24日」。

2009年3月12日 (木)

オバマ、アフガニスタン戦争の戦略を提示

wsws.org

James Cogan

2009年3月11日

先週金曜日のニューヨーク・タイムズとの大統領インタビューで、アフガニスタン戦争をエスカレートするというオバマ政権による計画の核心が、自暴自棄なものであることがあらわになった。

アメリカが主導する軍隊は、アフガニスタンでの戦争で勝利しているのかどうかと尋ねられて、オバマはぶっきらぼうに「ノー」と答えた。それしか答えようはなかったろう。アメリカとNATOの占領に対する武装反抗勢力は、過去数年間で大幅に増大した。

パシュトゥーン族が生活するアフガニスタンの広大な南部諸州と、パキスタンの部族地域は、イスラム教徒のタリバンか、占領に反対する軍閥司令官ガルブッディン・ヘクマティアルの率いるヘズビ・イスラミなどの勢力によって実質的に支配されている。

占領軍の死傷率は、今年になって、2008年同時期と比較して倍増し、アメリカとNATOの兵士54人が死亡した。アメリカ会計検査院によると、アフガニスタン政府の治安部隊に対する攻撃は三倍となった。50人以上のアブガニスタン人警官が、毎月、武装反抗勢力によって殺害されている。南部アフガニスタンの多くの地域では、警察官は警察署から外に出ない。

アフガニスタンでは、アメリカが主導する軍隊、国境周辺では、アメリカが支援するパキスタン軍による、既に7年以上にわたる弾圧と脅しを味わってきた貧困に苦しむ国民たちの遺恨と敵意によって、レジスタンスは増幅されている。イスラム教徒こそ、地域を支配しようという企みを持ったアメリカに対して戦っている唯一の人々だと見なされている条件の下、彼らは依然として支持を集め続けている。

タリバンとつながる細胞は、パキスタンのあらゆる主要都市で、積極的に活動しているように思われ、より広範な戦争の危険が増している。同国経由のアメリカ-NATO軍の陸上補給路は、既に頼りにならず、ワシントンは、ロシアや、ウズベキスタン経由の代替輸送路を探すよう強いられている。アフガニスタンへの補給路を巡るアメリカ軍周辺の懸念は強く、中国やイランに支援を求めてはどうかという提案さえ出されるにいたっている。象徴的に、アメリカ国務長官ヒラリー・クリントンは、今月末開催される、アフガニスタンに関するサミットに、イランを参加するよう招請している。

アフガニスタンにおける軍事的な現実は、占領軍は、国民からの大きな支持を得ている武装反抗勢力を抑制できずにいる。オバマが派遣しようとしている更に17,000人のアメリカ兵士増派後でも、90,000人以下のアメリカおよびNATOの兵士と、わずか80,000人のアフガニスタン政府兵士がいるにすぎない。アフガニスタンの規模、地理、人口から考えれば、500,000人以上の軍隊が必要だろうと軍事専門家は推測している。

パキスタンの部族地域では、100,000人以上のパキスタン兵士を伴う作戦も、タリバンによる支配を破れず、アフガニスタン人武装反抗勢力が利用している隠れ家を潰すこともできず、彼らの越境活動も抑止できてはいない。

こうした文脈の中で、オバマが概要を述べた戦略は、2006年後半から、2007年にわたりイラクで、"覚醒"とよばれた作戦を、再現する占領軍の能力いかんにかかわっている。

イラクにおけるアメリカの兵力を160,000人以上にまで押し上げた、更なる兵士30,000人の"増派"と同時に、アメリカ軍司令官デビッド・ペトレイアス大将は、武装反抗勢力の指導者たちや戦士たちに賄賂を渡して、攻撃をやめさせる政策を実施する権限を与えられた。対象とされた集団は、圧倒的多数がスンニ派アラブ人だった。最終的に、100,000人以上が、アメリカが給料を支払う民兵に加わり、特に、バクダッド郊外と西部のアンバル州では、アメリカ軍が、武装反抗勢力内部の少数派の過激派イスラム教徒達を壊滅させるのを手伝った。

オバマは、タイムズにこう語った。「もしも、ペトレイアス大将に質問をすれば、イラクでの成功の一因は、イスラム教原理主義者と見なされていても、イラクにおけるアル・カイダの戦術によって、完璧に疎外されたため、我々に進んで協力しようとする人々に働きかけたことによるところが大きい、と彼は答えると思う。」「アフガニスタンや、パキスタンでも、同じような機会の可能性があり得るだろう」と彼は語った。

しかしながら、アフガニスタン、あるいはパキスタン人が"覚醒"する見込みは、イラクにおける進展の背後にあった主要な要素を無視したものだ。アンバル州では、伝統的なスンニ派の部族指導者達と、アル・カイダに同盟する派閥との間で紛争があり、バクダッドのスンニ派武装反抗勢力は、アメリカが支援する政府を支配していたシーア派原理主義者政党に対する凶暴な宗派的内戦に敗北したがゆえに、変節したのだ。

何千人ものスンニ派の人々が、日々の無差別的な殺害から逃れるために、首都から脱出していた。スンニ派武装反抗勢力は、レジスタンスを止めることで、イラク軍と警察の刑罰が免れられる環境で戦っていたシーア派暗殺部隊から、自分たちの地域やコミュニティーを、アメリカによって軍事的に保護してもらうことを目指していたのだ。

今でさえ、状況はもろいままである。アメリカ占領はイラクの中に宗派的な対立を生み出し、サダム・フセイン政権を支配していたスンニ派の支配層が主な犠牲となり、シーア派エリートが恩恵を受けることとなった。長期的には、覚醒に賛成するしか選択肢がなかったと感じている連中の恨みと欲求不満が、アメリカ軍と、シーア派が主導する政府に対する新たな戦いをひき起こしかねない。

アフガニスタンと、パキスタンの部族地域では、タリバン、あるいはヘズビ・イスラミにとって、イラクで起きたように、占領に服従したり、アメリカが支援する政府を受け入れたりする明らかな理由は存在しない。はるかに装備の優れたアメリカとNATOの軍の手によって、大きな死傷者をこうむってはいるものの、彼らの戦略的な立場は、いかなる時より、遥かに強くなっている。

反タリバンのタジク族の軍閥司令官アフマド・シャー・マスードの元顧問ハロウン・ミルは、イギリスのガーディアン紙にこう発言している。「和解は、政府が優勢だった2003年なり2004年であれば良い考えだっただろうが、今や物事は万事タリバンに有利に進んでいる。連中はカーブル周辺におり、彼らにとって政府側につく誘因など皆無だ。」

戦争遂行に反対して軍を退役したイギリス軍特殊部隊元少佐セバスチャン・モーリーによる3月6日の発言は、主要な州であるヘルマンドの状況についての極めて無遠慮な描写だ。

モーリーはテレグラフ紙に対し、こう語っている。「我々が遂行している作戦は無意味だ。我々はヘルマンドのごくちっぽけな区域を保持しているにすぎず、我々の基地から500メートルより先に何らかの影響力を及ぼせるなどと考えることは、自分をごまかしているにすぎない。我々が現地を掌握できていて、基地の外部の物事に何らかの影響力を持っている等と考えるのは正気とは言えない。我々は作戦に出撃し、タリバンと殴り合いをし、それから基地に戻ってお茶を飲むだけなのだ。我々は現地掌握などできいない。

「タリバンは、我々がどこにいるのかを知っている。連中は我々がいつ基地に戻ったかをすっかり把握している。この紛争に関する限り、我々は上っ面すら撫でてもいないと思う。消耗と死傷者レベルはひたすら増えるだろう。これはベトナム紛争の始まりと同じだ。これからまだまだひどくなる。」

現時点では、オバマが提案した政治的解決は、タリバン諸派やらヘズビ・イスラミに、大半のパシュトゥーン族の諸州支配権か、アフガニスタン政府の大臣職を与えることによってのみ実現できるだろう。しかしながら、これはつまり、占領に協力したパシュトゥーン族反対派、特にハミド・カルザイ大統領周辺の連中を、脇に追いやることを意味する。

そのような政策が検討されているのは明らかだ。軍事的な状況が悪化するにつれ、カルザイ政権を、その腐敗と無能をめぐって、アメリカが逆襲する可能性が次第に高まっている。カルザイの支持者たちは、州の歳入を略奪したり、ヘロイン密輸業者から賄賂やリベートを取り立てたりすることで、かなりの財産を蓄財したと言われている。最も傑出しているのが、カルザイの弟アフメド・アリ・カルザイで、南部のカンダハール州における麻薬密輸を監視しているアメリカの機関から、公的に非難されている。

オバマ政権は、アメリカ帝国主義がアフガニスタンから追い出されてしまうのを防ぐことが、その最優先事項であることを明らかにした。カーブルに必要な政府の"現実的な"評価ができていると宣言した。 つまり、アメリカ占領は、アフガニスタンを「デモクラシーの繁栄する」国に作り替えることを目指しているのだというブッシュのプロパガンダを破棄したのだ。

カルザイを弱体化させ、追い落とそうという動きがすすめられている。彼の任期は5月21日におわる。アフガニスタン憲法では、大統領選挙は、任期の30から60日前に行うことになっている。ところが、アメリカとNATO諸国が支援する選挙委員会は、アフガニスタンの多くの部分で信頼に値する選挙を行えるような治安は、それより早くは実現できないという理由で、選挙を8月20日に決定した。

カルザイは、正当にも、この決定は敵対的な動きだと解釈している。彼は5月21日以後は引退し、"暫定"政府に地位を譲るべきだという要求に直面している。選挙は、憲法通りに行われるべきだという彼の布告は、選挙委員会によって先週拒否された。彼は今選挙までは大統領のままでいると主張しているが、任期は日程どおりで終わりだという運動は続いている。

カルザイに対する特に強い反対の声は、2001年にアメリカ軍とともに戦った北部同盟-民族的には、タジク族、ウズベク族と、ハザール族の軍閥司令官達から上がっている。彼らはまさに オバマ政権が、タリバンと、どのような共同政権構想を実現するにあたっても、声をかけざるをえない連中でもある。北部同盟の支持者たちは、アフガニスタン軍の将校団をも支配している。

暗黙の内に、オバマのアフガニスタン政策は、カルザイの政権に置き換わる新たな軍閥政権を生み出すこと基づくことを意味している。タリバン諸派や他のパシュトゥーン族の実力者達が、アメリカのアフガニスタン駐留の継続を受け入れる限りにおいて、オバマは、彼らと、また北部同盟の有力者達との間における勢力圏の分配を支持するだろう 。

この薄汚い政治的現実主義は、アフガニスタン占領の、反動的で、新植民地主義的な性格を浮き彫りにするものだ。ほかならぬ、中央アジアと中東の資源の豊かな地域への支配権を拡張するべく、アメリカ帝国主義のために運用される基地を確保するという目的のために、何万人ものアフガニスタン人と何百人もの外国兵が命を失ったのだ。

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2009/mar2009/afgh-m11.shtml

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マスコミによる関連記事もどうぞ。

AFP BBNews
英SAS元司令官「アフガニスタン派遣は無価値だ」

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警察署の外に出られないような状況もある国の警察官全員の給料を、半年分も進んでさしだす「暗証番号不要のATM国家」に、我々は生きている。銀行のATMの前には、警官が立っていて、「振り込め詐欺」防止活動をしてくれているが、国そのものが、「振り込め詐欺」宗主国に、気前良く支払っても、止める術はない。給料負担も、宗主国の帝国支配幇助でしかないだろう。

2009年3月 8日 (日)

中東でのアメリカ軍の優位は高価な神話であることが判明

Gareth Porter

2009年3月6日

Antiwar.com

イラクにおけるアメリカの主要戦闘部隊を、少なくとも2011年まで維持し、アフガニスタンにおけるアメリカ軍の関与を強化し、イランに向かって対決姿勢をとるという主張はアメリカ合州国が地域における支配的軍事勢力であり続けることを想定したものだろう。

しかし、地域における、最近の歴史におけるパターンや、現状の進展は、そうした想定を裏付けてはいない。アメリカ合州国は、アメリカの影響に対して抵抗することを固く決めた、強情な民族主義者や、宗派勢力を圧倒することができないばかりでなく、軍事的優位を活用して、イランに対する強制的外交を遂行することにも成功してはいない。

更には、イラクとアフガニスタンで軍隊を維持するアメリカ合州国の能力すら、アメリカ合州国に決して歩調を揃えているとは言えない政権に依存していることが明らかになっている。

6年前、アメリカ合州国が、アフガニスタンのタリバン政権と、イラクのサダム・フセインを排除した後、アメリカは、地域において、軍事上支配的であるかのように見えていた。イラクとアフガニスタンにいる、およそ200,000人の兵士の外にも、アメリカ合州国は、ペルシャ湾岸の首長国から、イラクやアフガニスタン、キルギスタンやウズベキスタンのような中央アジアの共和国までの地域に広がる空軍基地のネットワークと、ペルシャ湾を遊弋するアメリカ空母上の航空機とで、イランを包囲していた。

ところが、2003年以来、この地域における出来事が、全般的なアメリカ軍の駐留、特に地上軍が、この地域における実権であるという仮説に対し、一連の打撃を与えている。最初の一撃は、アメリカが、イラクで、スンナ派武装反抗勢力を鎮圧しそこねたことだった。2005年中頃までには、イラク駐留アメリカ軍司令官達は、アメリカ軍占領は、レジスタンを撲滅するというよりも、生み出している方が大きいことを公的に認めていた。

次なる打撃は、2006年のバグダッドにおけるスンナ派-シーア派の内戦で、アメリカ軍はブッシュの追加兵士の"増派"の後でさえも、それを防ぐことも、止めることもできなかった。政府の潜在的支援によるシーア派民兵によるバグダッドのスンナ派地域の"民族浄化"は、首都のスンナ派地域の広大な部分が占拠されてようやく、終わった。この事実は、"連合軍"が "イラクにおける宗派間暴力のサイクルを打ち破ったのだ"という、駐イラク・アメリカ軍最高司令官レイ・オディエルノ大将による後刻の自慢話とは矛盾する。

2006年と2007年に、スンナ派武装反抗勢力がアメリカ軍に協力することを決断したのは 、アメリカ軍の武勇による結果ではなく、シーア派民兵に対する敗北と、スンナ派は、同時に三つの敵(アメリカ、シーア派民兵と、アルカイダ)と戦うことはできないという自覚によるものだった。

それは、イランと密接な結びつきを持ったヌリ・アル-マリキ首相のシーア派政府が、権力基盤を固め、アメリカ合州国からかなりの程度の独立を実現することも可能にした。

ジョージ・W・ブッシュ政権とアメリカ軍司令部は、アメリカがイラクの米軍基地を無期限に維持できるような振りをし続けていた。2007年中頃、国防長官ロバート・ゲーツは、何万人ものアメリカ兵を何十年も駐屯させるという韓国モデルを、イラク向けの計画として打ち上げた。

しかし、2008年7月、アル-マリキ政府は、2010年末までに、全てのアメリカ軍がイラクから撤退するよう要求し始めた。当初、軍の撤退要求が真剣なものであることを信じることを拒否してはいたものの、ブッシュ政権は、全てのアメリカ軍を2011年末までに撤退させることに同意を強いられた。

イラク政治の進展は、デビッド・ペトレイアス大将が、まずい戦略から、アメリカの戦争を魔法のように救い出し、最終的に、イランを含むアメリカの"敵"に打ち勝ったのだという有名なお話が、本物ではないことを示している。

イランの核開発計画を巡る、イランとの紛争で、ブッシュ政権は、イラクでイラン人を捕らえ、イランの核施設に対する間接的な攻撃の脅威を振りかざし、テヘランを怖がらせようと試みてきた。だがアメリカやイスラエルの攻撃に対し、アメリカ基地と兵士に対し、おそらくはペルシャ湾地域の戦艦にすら、型破りな攻撃で反撃することを、イランが、きっちり脅かすことができるがゆえに、威圧的外交は功を奏しなかった。

 

 

 

一方、2001年から2005年にわたり、アメリカ合州国が支配しているかに見えた、アフガニスタンで、タリバンや他の武装反抗勢力集団は、それ以来急速に増大し、同国のパシュトゥーン族地域の大部分で、事実上の政府となっている。アメリカ軍の駐留も、こうした地方での武装反抗勢力の台頭を抑制することはできていない。

地域におけるアメリカ軍の優位というイメージに対するごく最近の打撃は、アメリカ合州国は、アフガニスタン駐留軍への補給用として確実なアクセス経路を持ち合わせていない事実が明らかになったことだ。アフガニスタンへのあらゆる補給の約80パーセントを輸送するのに、アメリカ軍はパキスタンのカイバル峠を通る経路に長らく依存してきた。

しかし、2008年に、タリバンの同盟勢力は、カイバル峠経由のアメリカ補給路を極めて効果的に破壊し始め、もはやアメリカ軍への補給路としてあてにできなくなってしまった。これはつまり、アメリカ合州国は、アフガニスタン駐留軍に補給をするための他のアクセス経路を見いださねばならないことを意味する。

CENTCOM(中東司令部)の新司令官デビッド・ペトレイアスは、ロシアの港から、陸上を、カザフスタン、更に ウズベキスタンをへて、北部アフガニスタンへと入るアフガニスタン向け新経路への約束を手に入れようとして中央アジアにまででかけた。

だが、この代替案は、ロシアの協力に依存するものであり、中央および南アジアのライバル勢力に、この地域へのアメリカ軍駐留に対する拒否権を与えるものだ。キルギス大統領は、二月早々のモスクワ訪問中に、マナス空軍基地のアメリカによる使用を認める条約を終了させるつもりだと発表した。これはロシアは、中央アジアにおけるロシアの優位性と一致する限りにおいてのみ、アメリカ軍に協力するという信号だった。

アフガニスタン駐留NATO軍用の補給輸送をウズベキスタンに依存することは、ペトレイアス計画の中でも、きわめて脆い部分だった。人権虐待で悪名の高いカリモフ政権は、イスラム教徒の武装反抗勢力に直面しており、これは同国経由の補給路を破壊しかねない。

ずっと短く、より安全なアフガニスタンへの輸送経路は、イランのチャバハール港から、アフガニスタン西部の都市ヘラートを経て、全ての主要なアフガニスタンの都市につながる環状ハイウエイへというものだ。駐アフガニスタンNATO最高司令官は、2月3日、イラン経由で軍に補給するというイランとの二者間協定にNATOは"反対しない"と語った。

ある情報通の元アメリカ軍幹部によれば、注目すべきは、ペンタゴンがイラン経路を利用するという緊急時対策を決定したということだ。これは、ロシア-中央アジアの経路が、確実なものとはほど遠いと見なされていることを示唆している。

一方、アメリカ軍が、中東での権力のために、この地域におけるライバルに依存することを、アフガニスタンにおける軍事駐留用の確固とした基盤と見なすとは考えられない。

オバマ政権の幹部は依然として、アメリカ軍の駐留が、この地域の発展にとって、あたかも決定的な影響力を与えているかのごとく、中東政策を語っている。しかしながら、過去6年間にわたる出来事が、それは偉く金のかかる神話であることを示している。これは、ワシントンの幹部たちには到底お気に召さない真実を、強調している。地理と現地の社会政治的な力学が、アメリカ軍の威力をねつ造したのであり、将来においても、そうであり続ける可能性が極めて高そうだ。

記事原文のurl:antiwar.com/porter/?articleid=14357

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アンポゆえに、搾取されるカンポ資産(郵政・小泉竹中問題)を脇において、オザワだニカイだ、国策捜査だとかまびすしい。マスコミが、わーっと単一の話題を設定するときは、必ず、もっと重要な話題が闇に葬られている。アンポゆえに、憲法を破壊する企みが着々進行中。オザワかアソウかより、アンポ、ケンポウ、カンポの方が庶民の暮らしにとっては重大だろうと素人は思う。マスコミの優先順位と、庶民の優先順位が一致するはずもないが。

自衛隊のソマリア沖派兵は「文民統制軽視」と国会内で反対集会
オザワだのニカイだのというマスコミ大本営垂れ流し記事に一喜一憂しておられる諸氏、大本営記事の解釈にふりまわされて、時間を潰すのはやめ、この集会でも発言されている半田滋氏の新刊「『戦地』派遣 変わる自衛隊」(岩波新書)を読まれてはいかがだろう。

そして、これは絶対に「エープリル・フール」に違いないと思われるニュースが下記。ニュースが本当であれば、現実こそ「エープリル・フール」並に、すっかりおかしくなっているとしか思われない。

日本、アフガン全警官の給与負担 半年分141億円

2009年3月 6日 (金)

アフガニスタン向けの最初のアメリカ補給物資、ロシアを通過

Russia Today

2009-03-03

アフガニスタン駐留NATO軍向けの最初のアメリカ貨物が、ロシア領土を通過し、カザフスタンとウズベキスタンを経由して現地に向かっている。

NATOはロシア鉄道を利用

「月曜日、アメリカの非軍事貨物を載せた列車がロシア領土を通過し、今やカザフスタンを移動中だ。2008年四月に、ブカレストにおける、ロシア-NATOサミットで合意に達したアフガニスタン[ISAF用非軍事貨物輸送]にかかわる条約が遂行されている」とロシア外務省スポークスマン、イゴーリ・リャーキン-フローロフは語った。

列車はリガで荷積みされたが、「アフガニスタン駐留NATO軍向けの制服や食糧等」の武器を含まない貨物を搭載している、とロシア外務省は語っている。

アメリカは毎週、ラトビアとロシア経由で、20から30回の輸送を予定している。

ロシアは、既にドイツ、フランスと、アメリカと、アフガニスタンへの輸送条約を結んでいるが、ワシントンとの条約は、非軍事的貨物にのみ適用される。

火曜日 スペインが、軍事貨物と兵員の輸送の承認が得られた三番目の国家となった。スペインはロシア国内の鉄道を利用して、アフガニスタンに向かうことを認められた。これに対応する条約は、メドベージェフ大統領がマドリッドを公式訪問した際、3月3日に署名された。

スペインは、700人以上の軍事要員をアフガニスタンに駐留させている。

ドイツも、軍用貨物の輸送にロシアの鉄道を使うことが認められるだろうと、ロシア国防相アナトーリー・セルジュコフは、火曜日ドイツとの会談後に語った。

ロシア空域を経由する軍用貨物運送に関する協定は、2004年に署名された。鉄道輸送に関する別の条約が近い将来締結されることになっている。

NATO、新たな補給路を模索中

タリバンが、パキスタン経由の陸路輸送への攻撃を強化し、キルギスタンにあるアメリカ軍マナス空軍基地が閉鎖される中、NATOは、北および中央アジアからの、アフガニスタンへの新たな補給経路を探し求めている。

新たな経路はカザフスタン、タジキスタン、トルクメニスタンおよびウズベキスタン領土を経由するものであるが、これら諸国は近年、非軍事的なNATO貨物の輸送を認めていた。

ロシアは2009年2月に、ロシア領土を経由し、アフガニスタンに送る、非軍事的なアメリカ貨物の輸送を認めた。

外務省によると、NATOが主導する国際治安支援部隊(ISAF)に対する支援を行うことに合意したことにより、モスクワはアメリカの新政権に、進んで協力する意図があることを示したのだという。

記事原文のurl:www.russiatoday.com/Top_News/2009-03-04/First_US_supplies_to_Afghanistan_go_through_Russia_.html

2009年3月 1日 (日)

みんな出てゆけ

ナオミ・クライン

2009年2月10日

アイスランドで、群衆がナベをたたき続けて、政府を倒すのを見ていて、私は、2002年、反資本主義者グループの間で人気があったシュプレヒコール「お前はエンロン。我らはアルゼンチン」を思い出した。

このメッセージは実に単純だ。お前たち、経済サミットなどに集まって相談をしている政治家や社長連中、無謀な詐欺を行うエンロンの経営幹部(もちろん、我々はその半分も知ってはいない)。 我々、つまり戸外の群衆はアルゼンチン国民、不気味なことに我々のものによく似た経済危機のさなか、ナベをたたきながら街路に出て(余計な訳注:ナベ・デモは、スペイン語でカセロラーゾ)。彼らは叫んでいた。”¡Que se vayan todos!" (「みんな出てゆけ!」)3週間の内に、立て続けで4人もの大統領の首を切った。アルゼンチンの2001-02暴動が独特だったのは、それが、特定の政党や、抽象的な腐敗に、向けられては、いなかったことだ。目的は支配的な経済モデル、これは現代の規制緩和された資本主義、に対する初めての全国的反乱だった。

多少の時間がかかったものの、アイスランド、ラトビア、韓国からギリシャに至るまで、そして世界のその他の国々も、ついに¡Que se vayan todos! ("みんな出てゆけ!") という瞬間を自分のものとしている。

禁欲的なアイスランドの女家長たちがなべが平らになるまでたたいている間、子供たちは、冷蔵庫の中から投げつける弾にするものをあさっていた(卵は結構だが、ヨーグルトはいかがなものか?) ブエノスアイレスで有名になった戦術の模倣だ。そして集団的な怒りも、同様に、かつては繁栄していた国を破壊し、懲罰を受けずに済むと思いこんでいた、エリート連中に向けられている。36才のアイスランドの会社員、Gudrun Jonsdottirが言っている通りだ。「こうしたすべてには、うんざりだ。政府など信用しない。銀行など信用しない。政党も信用しないし、IMFも信用しない。この国は良い国だったのに、連中が破壊したのだ。」

もう一つの相似点がある。レイキャビックでは、抗議デモ参加者たちは、明らかに、幹部の首のすげかえだけでは(たとえ新首相がレズビアンであったとはいえ)抱き込まれはしなかった。彼らは、銀行だけでなく、国民に対する支援を望んでいたのだ。大崩壊についての捜査。そして、本格的な選挙制度改革。

同様な要求が今どきでは、EUのどの国よりも急激に経済が縮小し、政府も瀬戸際でふらついているラトビアでも聞こえている。首都は、1月13日の舗装用の丸石を投げる本格的な暴動を含め、何週間も、反対デモ参加者によって動揺させられた。アイスランドと同様に、ラトビア人も、何ら混乱の責任をとろうとしない指導者たちにがくぜんとしている。ブルームバーグTVで、何が危機をひき起こしたのか、と尋ねられ、ラトビア蔵相は肩をすくめて答えた。「別にありませんな。」

しかしラトビアの問題は実に特殊だ。"バルト海の虎"が、2006年に、12パーセントという率で成長することを可能にした政策そのものが、予想されていた今年の10パーセントから、激しく収縮させ、あらゆる障壁から自由になったお金が、できる限り素早く流れ出していき、しかも、そのうちのかなりが政治家のポケットに流れ込んだ。(現在、無力状態になっている国の多くが、昨日の"奇跡"だったのは偶然ではない。アイルランド、エストニア、アイスランド、そしてラトビア。)

何か、アルゼンチン風のものが漂っている。2001年、アルゼンチンの指導者たちは、危機対処策として、残忍な国際通貨基金が処方した、緊急経済対策をとった。これは、90億ドルの支出削減で、その多くは、医療と教育を対象としていた。これは致命的な過ちであることが分かった。労働組合はゼネストを計画し、教師たちは授業の場を街路へと移し、抗議デモは決して止まらなかった。

危機の矛先を向けられることに対する、この同じ下からの拒否こそが、今日多くの抗議を団結させているのだ。ラトビアでは、大衆の怒りの多くは、政府の緊縮政策に集中した。つまり、大量解雇、社会福祉の削減、公務員給与の切り下げ。すべてIMFの緊急融資を受ける資格を得るためだ(いやはや、何も変わっていないのだ)。ギリシャでは、12月の暴動は、警官が15才の少年を射殺したことをきっかけにして起きた。しかし農民が、学生から主導権を奪い、反政府デモが継続したのは、政府の危機対応に対する広範な怒りゆえだ。銀行は、360億ドルの財政援助を得たが、一方で、労働者は年金を削減され、農民はほとんど何も得ていないに等しい。トラクターで道路を封鎖されるという不便さが生じたにもかかわらず、78パーセントのギリシャ人は、農民たちの要求は妥当だと言っている。同様に、フランスでの最近のゼネストは、部分的には、教師の人数を劇的に削減するという、サルコジ大統領の計画がきっかけだったが、国民70パーセントの支持を得た。

恐らく、この世界的な反発を、貫いている頑健な糸は、"非常時政治"という論理に対する拒否だ。これは、「危機の際、どうすれば、政治家たちが、法的規制を無視して、不人気な"改革"をさっさと片付けることができるのか」を表現する言葉で、ポーランドの政治家、レーシェク・バルツェロヴィッチ(元副首相・財務相)が作り出したものだ。韓国政府が、最近気づいたように、このトリックも使い古されてしまった。12月、韓国の与党は、危機を利用して、極めて論議を呼ぶアメリカ合州国との自由貿易条約をごり押ししようと試みた。密室政治を、極端に推し進め、議員たちは秘密投票ができるよう会議室に閉じこもり、ドアを机といすと長いすで封鎖した。

野党の政治家たちは、そのどれも持ちあわせていなかった。大槌と電動のこぎりを使って突入し、12日間の国会座り込みを実行した。投票は延期され、更なる討論が可能になった。新種の"非常時政治"の勝利だ。

ここカナダでは、政治は、YouTube向きとはほど遠いにせよ、驚くほど出来事に満ちている。10月に保守党が、国政選挙に控えめな議席数にせよ、勝利した。6週間後、我が保守党首相は、身内の論客が、公務員からストライキの権利をはく奪し、政党への公的資金援助をなくし、一切の景気刺激を含まない予算案を提出するのを目にすることになった。野党は、歴史的な連合を形成して対応し、国会が突然閉会することで、すんでの所で、政権獲得するところを阻まれた。保守党は、修正予算をもって再起を図った。おはこの右翼政策は消えうせ、法案は経済刺激策がてんこもりだった。

ここで、パターンは明らかだ。自由市場イデオロギーが生み出した危機に、信用を失ったまさにその同じ政策を加速して対処しようなどという政府が、生き延びて、苦労談など語れるはずがない。イタリアの学生たちが街路で好んで叫ぶようになった通りだ。「お前たちの危機の代金など、おれたちは払わん!」

本記事は、The Nationに最初に発表された。

元記事のurl:informationclearinghouse.info/article21959.htm

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あまりにも対照的な、属国日本国民の多数の皆様!

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