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2009年1月 8日 (木)

アフガニスタン人は暴力のスパイラルを恐れている

Al Jazeera English

更新日:2008年12月28日、日曜日

メッカ時間14:48、グリニッジ標準時11:48

アウノヒタ・モジュムダル カーブル発

アフガニスタンの女性達が、政府に、治安の向上と、犯罪との戦いを要求 [EPA](写真キャプション)

電気がないため、薪暖房の部屋に座り、現地建築会社の若手社員ジャムシド・ハシミは、未舗装の通りをぬかるみにした雨を避けようと急ぐカーブル市民を窓から眺めている。

「より多くの兵士は、より多くの戦闘を意味しています」と彼は言う。

アフガニスタン専門家は、2009年に予定されている30,000人の補充アメリカ兵が到着すれば、タリバンや他反政府勢力との現在の戦闘がエスカレートしかねないことに同意している。

アフガニスタンの政治調査研究センター(ACRPS)の共同創立者で、副所長のハロウン・ミルは、「タリバンがカーブルにますます迫りつつある中、我々が今目にしている、アフガニスタン治安には、継続的な下方スパイラル傾向があります。」

それでも彼は、アメリカとNATO軍兵士の増強により、反政府勢力のカーブルへの前進を、長期的にくい止められるのではないか、と期待を寄せている。

状況は悪化

国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)の元幹部、シャクティ・シンハは、状況は、良くなる前に、悪化しそうだと感じている。

兵士を即時増強すれば、戦闘が増加することになろうと、彼は語っている。

「国際軍は、常に戦場での勝利を獲得してきていますが、それで領土を確保できているわけではありません。これで領土を確保できそうな戦闘予備軍が実現するだろうということと、[過去の戦闘から]学んだ教訓が適用されるだろうと願っています。」彼は言う。

国際NGOアクション・エイドの政策提言・研究部長ムダセル・フセイン・シディクイは、 よリ多くの兵士の配備が、タリバンとの政治的解決の一部になり得るかどうか、疑わしく思っている。

「2009年の[大統領]選挙のおかげで、政治状況はかならず熱くなり、選挙の運動期間、治安は悪化するでしょう」彼はアル・ジャジーラにそう語った。

兵士配備の地理的・作戦的な性格も、現在の紛争の行方を決定するだろう。

アメリカ当局が兵士をカーブル近辺の諸州に配備すると語る一方、アフガニスタン大統領ハミド・カルザイを含む同国首脳部は、対タリバン戦争は、アフガニスタンの村落ではなく、パキスタンにある安全な隠れ場と訓練センターでこそ、行われるべきだという。

タリバンとの交渉

一方、2008年後半に、アフガニスタン指導部や西側同盟諸国の一部が最初に言い出した、タリバンと交渉するという主張が、来年ますます強まると予想されている。

しかしながら、古参外交官やアナリストの中には、そのような対話は、不利な情勢ではなく、有利な情勢でこそ行われるべきだと、警告しているむきもある。

2009年には、大統領選挙を含む、政治的な難局で、指導者たち、特に現職大統領が、そのような対話を開催するという社会通念がに重きをおいて、この件にかかわる論議の行方の大筋を決定するだろう。

大統領選挙そのものも、不透明感に包まれつづけよう。有権者登録は始まったが、そのプロセスについて、国民は大きく幻滅している。多くの人々は、政府にはサービスを提供する能力が限られていることを非難している。

多くのアフガニスタン人が、アフガニスタンの政治、経済再建への権利を奪われているように感じていると言う。はるか離れた首都にいる外国指導者たちが、国の問題を決定してるのだと語っている。

冬の脅威

とはいえ、多くのアフガニスタン人にとって、より喫緊の脅威はアフガニスタンの冬の過酷さだろう。

近づきつつある厳しい冬最初の降雪時、温かくしていようとしているアフガニスタン人[Getty](写真キャプション)

アフガニスタンの多くの場所における干ばつと酷寒と、僻地に、人道支援機関がアクセスしにくくなることにより、膨大な数のアフガニスタン国民が危機的状態におかれよう。

オックスファム(オックスフォード飢餓救済委員会)などの非政府組織は、500万人のアフガニスタン人が、食糧不足に直面する見込みだと警告している。

治安状況が不安定なことと、政治状況のが不安定なこと、エネルギー、水、道路等の基本的な社会基盤の欠如が、民間分野の発展を妨げている。

そのような状態で、政府も国際社会も、経済復興を押し進め、雇用の機会を生み出す責任を負っている。

あるカーブルのレストラン経営者、エイド・モハマッド・マンガルは、治安の問題は、高い失業率が続いていることで、悪化している。

「人は、職がなく、仕事がなく、不幸であれば、タリバンに入り得るのです」と彼は言う。

ミルは、冬の間の大変な困難が、タリバンの兵士採用にとって、格好の環境を生み出していると信じている。年明け後最初の二カ月間にわたって、冬の厳しさが深まるが、初雪は、既にアフガニスタン人にとっての困難な時期の前兆になっている。厳しい冬の間、村落に暮らす何千人もの人々は孤立してしまうのだ。

「カーブル市内でさえ、一日三食の為の食糧が得られない家族が多数あります。人々は肉体的に安楽を得られるものを求めているわけではないのです。」と彼は言う。

「彼等は生きるためのパンが欲しいだけなのです。それが無理であれば、治安は更に悪化するでしょう。」

記事原文のurl:english.aljazeera.net/focus/2008/12/20081218710710355.html

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