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2008年11月 7日 (金)

世界的金融危機で、東ドイツ人、マルクスに殺到

2008年10月16日木曜日、1:48pm EDT

ロイター

エリック・キルシバウム

ベルリン(ロイター)

ベルリンの壁崩壊から二十年後、共産主義創建の始祖カール・マルクスは、東ドイツでは大流行だ。世界的な金融危機のおかげだ。

彼による1867年の資本主義の批判的分析、"資本論"は、出版の墓場からよみがえり、学術出版社カール-ディーツ-フェァラークにとって、ありそうもなかったベストセラーになってしまった。

「誰も、'資本論'の需要など決して現れることなどなるまいと思っていたのですが」代表取締役ヨルン・シューェトルンプは、今年これまでに1,500冊販売しており、2007年一年で売れた量の三倍で、1990年から100倍の増加だとロイターに語った。

「銀行家や経営者さえも、今'資本論'を読んで、彼等が我々に対して何をしてくれたのかを理解しようとしているんです。マルクスはもう今や、決定的に'はやり'です。」とシューェトルンプは言った。

マルクスの古典的論文のリバイバルは、1989年まで共産主義国家で、現在高い失業率と貧困に苦しめられている東ドイツの多数の国民による、資本主義の広範な拒絶を反映している。

一カ月間の強烈な金融界の混乱で、アメリカ合州国の銀行が何行も倒産し、ドイツでも他国でも、政府による一連の救済措置を余儀なくされていることが、反資本主義心情に油を注いでいる。

彼女自身東独出身者であるアンゲラ・メルケル首相は、今週5000億ユーロの金融救済パッケージを発表したが、この措置は無責任な銀行家たちへのご褒美だと非難されている。

最近の調査では、52パーセントの東ドイツ人が、自由市場経済は、「不適当」だと考えており、43パーセントが、資本主義よりは社会主義の方が好ましいと述べているが、何十人も普通の東ドイツ人にインタビューしてみて、この所見が確認できた。

「「資本主義の恐怖」を学校で習いました。本当にその通りでしたよ。カール・マルクス本当に正しかったのです」東ベルリンの46歳のIT労働者トーマス・ピビットはそう語った。

「壁の崩壊までは、かなりよい暮らしでした」彼は付け加えた。「誰もお金のことを気にしませんでした。なぜなら、お金など重要ではなかったのです。たとえ仕事を欲しいと思わなくても仕事はありました。共産主義思想というのは、そう悪いものではありませんでした。」

資本主義はもっとひどい

旧共産主義国での失業率は14パーセントで、西側平均の倍であり、給料はずっと安い。何百万もの職が、ドイツ統一後に失われた。多くの東ドイツの工場は、西側の競争相手に買収されたり、休業したりした。

「共産主義はクxだと思っていたが、資本主義はもっとひどいね」、旧東ベルリン中心部のアレグザンダー・プラッツ近くを散歩していた76歳の元鍛冶屋ヘルマン・ハイベルは言った。

「自由市場は残忍だ。資本家は、もっと、もっと、もっと、搾取したがるんだ」と彼は言う。

ヘルムート・コール首相が「繁栄の展望」を約束した時、東では、自由市場への希望は高かった。

しかし、ベルリン郊外、ライプツィッヒとバルト海沿岸の一部地域は繁栄しているものの、それ以外の多くの地域は、過疎化と高い失業率に苦しんでいる。

野党の左翼政党は、エーリッヒ・ホーネッカーのSED党がその根源にあたるが、国民の失望に乗じて、30パーセントの支持がある東で最も人気のある政党となった。

「資本主義が我々にとって良い制度だとは思いません」と、46歳の市職員モニカ・ウェーバーは言った。

「富の分配は不公平です。それを目の当たりにしています。強欲な銀行家たちのおかげで、私たちのような弱い連中が、この金融の混乱に対して、高い税金で金を払わせられるのです。」

多くの東ドイツ人同様に、ラルフ・ヴルフも、ベルリンの壁が崩壊し、資本主義が共産主義にとって変わるのを喜んだという。しかし多幸感はあっけなく消えた。

「一体自由市場経済とはどういうものかを理解するには、数週間で十分でした。」とヴルフは語る。「ひどい実利主義と搾取です。人間は自分を見失います。物質的な快適さはありませんでしたが、共産主義にもいいところはありました。」

だが、全員が資本主義を非難しているわけではない。アストリド・ゲルバーは、勤めていた会社が休業するまでは、東ベルリンで仕立屋のマスターだった。

「私にとって夢のような仕事でした」と42歳のゲルバーは言った。彼女は七年間失業していて、新聞雑誌売り場を始めたのだが、週に90時間も働いたため、家族がばらばらになってしまった後で、店を閉めた。

「資本主義には良いところもありますが、共産主義だってそうですよ」と彼女は言った。「一方の方が、もう一方より良いとは言えませんね。」

記事原文のurl:www.reuters.com/article/artsNews/idUSTRE49F5MX20081016

記事は、実際は二ページ。

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