はてなキーワード: なだれとは
陳という名の中国人とメガネの女、そしてぼくを合わせた三人は、チームを組んで働いていた。いや、強制的に働かされていたといった方が正しいだろう。ぼくらの上官は嫌な奴だった。何かと文句をつけては、おかまいなしに殴る蹴るの暴行を加えるのが趣味なのだ。数日前、陳とメガネは耐え切れずに逃亡を企てたことがあったが、見張りに捕まった二人はさらに上官の酷い暴行を受けただけであった。
さて今日は何か集会があるというので、ぼくら労働者たちはホールの一角に集められ、椅子に座らされていた。正面の舞台を見渡すと、腕を縛られた見覚えのある数人の仲間の姿が並んでいる。怯えたような表情を浮かべている者もいれば、すっかり諦めて悟り切った様子の者もいる。一体これから何が始まろうとしているのだろうか。やがて指揮官たちと舞台の上の労働者たちの間で二三の短いやりとりが交わされたが、ここからでは遠くて何を言っているのかうまく聞き取れなかった。そして手始めに一番左側の男が後向きに立たされると、突然銃で撃たれてしまった。背中に生々しい傷跡を残して倒れる男。ホールに沸き起こる拍手喝采の渦。ぼくは凝視していることができずに思わず目を背ける。そしてこれが処刑のための集会であることをようやく理解した。処刑は次々と事務的に行なわれていく。左側の労働者から順番に、何か短い問答があり、書記官がそれを書き留める。そして次々と後向きにされ、あっけなく銃殺されるのだ。一番最後の男はすっかり取り乱した様子で走り出したがすぐに取り押さえられ、再び舞台の上に引き戻される。そしてお馴染みの短いやりとりの後、最後には完全に諦め切った様子で、ありがとうございます、などと呟いているのだった。
ようやく全員の処刑が終わった。そのときぼくらの上官が立ち上がり、今日は特別に二人の諮問対象者が追加されたと宣言した。続いて舞台に引っ張り出されてきたのは、陳とメガネであった。彼らは逃亡を企てた廉で処刑されることになったというのだ。ぼくはあまりのことに目を見張った。二人は他の者と同様すっかり諦め切った様子でうなだれている。椅子に座らされ、先ほどと同じように短いやりとりが始まった。とそのとき、陳が突然取り乱したように暴れ始めた。同時にぼくは彼が縛られた手の中に何か小さな機械を隠し持っていることに気付いた。そう、彼はまだ諦めていなかったのだ。先ほどのうなだれた様子も、今の取り乱した様子も演技に過ぎない。彼は例の短いやりとりが終わるまでは決して自分の処刑が行なわれないことを知っているのだ。ぼくは思わず観客席で短い叫びをあげて立ち上がった。指揮官たちの注意が一瞬こちらに逸れ、ぼくの上官が何か悪態をつきながら走り寄ってきた。一瞬陳と目が合った。互いの意志を確認するにはそれで十分だった。上官はぼくの腕をねじ上げると、観客席の後ろまで引きずっていき、いつものように手早く殴る蹴るの暴行を加える。そして再び舞台の方に戻って行った。舞台に目をやると暴れる陳が間もなく取り押さえられようとしているところだった。そして彼の手からはいつの間にか先ほどの機械がなくなっている。うまく混乱を利用して仕掛けたようだ。そしてぼく以外に事の真相に気付いている者は誰もいないらしい。そのときふと周囲を見回すと、ぼくは上官に引きずられてきたせいでホールの出口近くに横たわっていた上、うまい具合に見張りたちも皆すっかり舞台の出来事に気を取られているらしいことに気付いた。ぼくは静かに出口に忍び寄ると、ロープを解いて一気に走り出した。
見張りたちが集会に駆り出されていたせいか警備はすっかり手薄になっていた。ぼくは陳とメガネが一度目に逃亡を企てたときの計画を知っていたので、道に迷うこともなかった。もちろん靴と上着を奪うことも忘れてはいない。それから真っすぐに裏口に辿り着くと、軽々と門を飛び越えて外に出た。夕闇の迫る時刻だった。陳とメガネはうまくやっただろうか。ホールからはもうすっかり遠ざかっていたためか、それともぼくが余りに夢中で走っていたからだろうか、予期していた爆発音は聞こえなかった。後ろを振り返り、立ちはだかる巨大な建物の向こうから煙が上がっているのを認めると、ぼくは全てを知って再び走り出した。もうあの二人に出会うこともないだろう、そんなことを考えながら、陽の沈みかけた誰もいない街を走り続けた。
| 後→
しょうもない悩みだとことわっておく。
きっと皆この状況になったことはあるだろうから思い出してほしい。
俺は6階の書店に用がある。その商業施設はエスカレーターがフロアを回らないと複数階上がれないつくりで面倒だから、1階にいる俺はエレベーターで上がることにした。エレベーターは4基くらいあって、スムーズにやってくる。10人ほどの客が先になだれこんで、俺はぎりぎりでその上りエレベーターに乗り込んだ。10人ほどの客は皆揃って7階の映画館に用事があって、点灯しているランプは7階だけ。人気映画の開場と被ったんだろう。運が悪い。定員まで詰まったエレベーター内は狭く、自分ではボタンまでたどり着けない。
もちろん声をかければいいだけなのはわかる。実際そうする。しかしどう声をかけるのがベストなのかがわからない。
「すみません、6階おねがいします」と言うことが多い。それで伝わる。でも言ったそばから「いろいろなことを省略しすぎているのではないか」と不安になる。フルで言うなら「すみません、6階のボタンを押してください。おねがいします」という形になるだろうけど、長過ぎるから省略せざるをえない。でも「6階おねがいします」はちょっと、自分の希望だけをぼやかして伝えて人を意の通りに動かそうとする嫌な人間みたいなんじゃないかとか考えてしまう。
「すみません、6階おねがいします」の間にそんなことがよぎるから、最後の方はちょっとよれた発声になる。恥ずかしい。それを想像して嫌になって伝えることができず、7階で降りてからエスカレーターで1階分降りることすらある。エレベーターを一本見送って一番に乗り込んでドア横のボタン位置を死守することもある。俺はいつになったら後ろめたさも恥ずかしさも惨めさもなく満員のエレベーターを使えるようになるんだろう。知恵があれば授けてほしい。
驚くほど文化的なものがなにも育たずに空虚な店に埋め尽くされてる街だ。
その結果一種のファンタジー感も生まれてあの交差点を含めて「サイバーな東京」イメージに近い景観を手に入れた。
外国の人は渋谷に来ると興奮する「そうそうTOKYOってこんな感じ」が表現されている。
原宿に裏原があったように渋谷にも裏渋谷的な流れも確かにあった。
特に音楽との結びつきは比較的強いものがあったと思う。サブカルともある程度親密であった。
それと道玄坂のラブホテル街は今は知らないがクラブ文化とともにどこかさっぱりとした猥雑さという独特な空気もあった。
トー横の生々しさはもちろん、どこを歩いても人間がたくさんいる。
ザ・ノンフィクションで流れるサンサーラ「いきて~る いきてい~る~♪」がこんなに似合う街もそうない。
塩っぱいだけの店が立ち並ぶ中、あちらこちらで謎の目配せが発生する街。
無理やりおしゃれにしようとして大きなLEDを頭上に掲げてもみんなうなだれて歩いてるから誰も見ない。
こんなに豊かで物に溢れてるのにまったく幸せそうに見えない、まさにこれがTOKYOという感じ。
他の街はみんな嘘をついているのだ。
が、それをやると作者と集英社が手柄を総取りした感じになっちゃうから被団協にしたんだろうなあ。
でもやっぱ影響力や訴求力という点では「はだしのゲン」が圧倒的に感じる。
連載開始から50年の間、戦争と原爆についての市民目線でのエピソードを子どもたちに与え続けてきたのは本当に凄い。
「戦争のエピソードをお祖父ちゃんに聞こう」みたいなのはさ、結局その人達が体験したことしか言わないから都会なら田舎に疎開した話だし、田舎なら都会から疎開になだれ込まれた話だけになっちゃうんだよね。
本当に原爆のことを実体験を持って伝えられる人は広島と長崎の極一部にいた人だけで、あまりにも数が少ない。
でもジャンプの漫画だったら日本全国の子どもたちが読むし、学校や公立の図書館に単行本も置かれているから皆いつの間にか読んで学ぶことが出来てる。
ゲンの良い所って「戦争を持ち上げたり批判したりで手の平クルクルしてる奴らはカス」ってエピソードはあっても「天皇とかいう詐欺師に騙されてアジアを搾取した日本民族はカスだから滅んだほうがいい」ってエピソードはないこと。
戦争に対して後ろ向きな作品によくあるただただ悲観的な内容じゃなくて、トラウマエピソードがクソほど山盛りなはずなのにやたら前向きなノリなんだよね。
当時の出版業界の多少の無茶ならセーフなノリのおかげで、米軍に「オウ、ナイスデザイン」な骸骨を売りつける今なら通らなそうなエピソードとかもあるし。
戦争によって普通の暮らしを取り上げられた子どもの等身大の戦いを描いて、その中で原爆による悲惨な影響が現れているって所が、読み手に対して原爆と人間の距離感を考えさせると思うんだよ。
ぶっちゃけさ、被爆体験者のエピソードってどっかで他人事じゃん?
だっていきなり現れて1時間だけ好き放題言って帰っていくだけの被爆前は学校通ってたっぽいこと以外は何の情報もない老人でしかないもの。
でもゲンは被爆する前から戦争と戦ってきた数々のエピソードがあって、被爆の影響が人によってバラバラのタイミングでいつ現れるとも知れない中でどこまでも付きまとってくることの恐怖を語ってくれるわけだよ。
この生々しさはさ、いきなりやってきたよく分からんジジババの「辛かったねえ・・・戦争はクソだねえ・・・天皇はいい人なのに不思議だねえ・・・」な思い出話からだけじゃ伝わらねえわけよ。
やっぱ「はだしのゲン」は凄いと思うよ。
ノーベル平和賞もらって良かったと思う。
オレオレFCは、ホームでFC東京と1―1の引き分けで3試合未勝利となった。0ー0で迎えた後半30分、FW佐藤の約2ヶ月ぶりとなる今季5得点目で先制。だが勝利が見えかけた後半40分に失点し、無念のドロー。勝ち点1は積み上げたが、降格圏内(18位以下)とは8差の暫定13位と気の抜けない戦いが続く。
悔し過ぎるドローだ。残り5分の失点で追いつかれ、勝ち点2を失った。退任報道の野河田彰信監督は2試合連続で会見を拒否。鈴木潤主将は「この1週間、色々な事があった中で勝ちたかった。勝ち点2を失った試合です」とうなだれた。
0ー0で迎えた後半30分、FW佐藤がFWラモン・ワーグナーのクロスにドンピシャのヘッドで約2ヶ月ぶりの今季5得点目。前節・湘南戦で大逆転負けを喫し、一部サポーターと口論に発展。”みそぎの一戦“でサポーターのもとに駆け寄り、お辞儀ポーズで喜びを分かち合った。
後半40分にCKのこぼれ球を相手にミドルを決められ失点した。佐藤は「ゴールは嬉しいが、勝てなかったので……悔しいです」と歯切れは悪かった。野河田監督の今季限りでの退任報道に加え、外国籍2選手がチーム規律違反で解雇、元ユース選手やスタッフの逮捕など1週間揺れた中での試合で3試合ぶりの勝利はならず、降格圏との勝ち点差を広げられなかった。
代表ウィーク開けとなる次節は19日アウェイで柏レイソルと対戦する。残り7試合は残留と共にチームの真価が問われる戦いとなる。
Xcelという語を提唱する。
これは「1種類以上のジェンダーを攻撃する孤独な人間」という定義にする。
フェムセルという言葉がある。フェムセルはインセルの女性版である。近い日本語訳は弱者女性だろう。
フェムセルにはミサンドリストや過激なフェミニストが多い。フェムセルは「男は全員死ね」だとか「すべての男はカス」などの発言を行う。
インセルという言葉を聞く前に初めてフェムセルという概念に触れた人間は、おそらくこの「フェムセル」という概念によって、脳に鮮烈な閃光が走るだろう。
なぜか。まずフェムは女性的という概念である。フェムテック(女性の健康課題を解決に導くテクノロジー)やファムファタール(男にとっての「運命の女」。男を破滅させることが多い。いわゆる地雷系女子のような)にもつながる。
またセルはcellibate(alone living【ひとりぼっちで生きる】)という意味である。また、インセルという言葉が裏にあることによって、膨大な言語体系を垣間見せてくれる。
それだけではない。こうした概念を表すために必要なシステム・環境・思想そのものが自分の中に欠けていたことを認識させられる。
言葉として成立しており、また流通しているということを知ると、その裏に膨大な知識体系や人間があることが認識できるのは刺激的だ。
自分が興味を持っているのは、フェムセルそのものではなく、背後にある体系の一端を知ることにある。本来はその背後すら見えない。知ることができない。
まるで高く固く冷徹な塀のように、言葉たちが膨大にそびえ立っている。しかしひとたびゲートウェイとなるような言葉を発見できればそこからなだれ込むように入っていけるのだ。
あるいは、すでに塀の中に入っていたとしてよくわからないまま歩いているのだが、ひとたびゲートウェイとなるような言葉を発見すると「あっ、これはこの位置か!」となって急に今までやってきたことがクリアになる。
自分とそこそこに関係している問題について手探りに調べているときに、1つの接触点に到達するとそこからグッと乗り込んでいくことができる点はすばらしい。
別の例を挙げよう。Discordがある。Discordは使ってない人からすればあまり興味がないしろものだ。ただのチャットシステムのようなものだ。だがその裏には文化がある。
Discordをよく使う人間はゲーマーが多い。つまりゲーム文化がそこに含まれている。Twitchや英語やYayにもつながっていくし、botやコンピュータにも関連しやすい。
そこではありとあらゆる常識が異なる。Discordを知らない人間はいないし、Discordを使えない人間もいない。英語が使えるなども特段不思議なことではない。
たとえば見知らぬ道を歩いていて、どこに出るのか全くわからないが歩いていると、いつもの見知った道に出て「あー、この道に出るのか」となるところ。
たとえばコンテナの仕組みを知って、どうやってコンテナ船が移動しているかを知るとき、トレーラーや積み込み、大型自動車免許と牽引免許、パナマックス級やコンテナターミナルなどの存在や海路や商社の重要性まで見えてくるような感覚。
今まであいまいに理解していたものが「全体としてはこういう構造になっていたのか」と感じられるところ。
あまり正確な具体例を豊富に出しすぎると身バレが気になるのでこの辺にしておくが、こういったよくわからなかったものが自分の中に包摂(Inclusion)されていくさまは非常に気持ちがいい。
これをエウレカとか啓示的体験と呼ぶらしい。ある種の悟りに近い体験なのかもしれない。
哲学に「環世界」という語がある。これはわれわれ自身が見ている世界は世界全体ではなく、それぞれの世界しか見ていないという概念である。比喩ではなく実際にそうだ。
ダニでさえ自分の環世界をもっている。そして、ダニから見た世界では、われわれ人間はただの環境である。環世界とはそういう話だ。
エウレカの体験は、まさにこの環世界が別の環世界の一部と結合し、自分の環世界が非常に大きく広がることによるのかもしれない。
ともかくこうした今まで全く興味がちっともわかなかったことが、ある言葉ひとつで爆発的に広がりを迎え、どんどん前に進んでいけること、これが生きることの醍醐味ではないか。
またフェムセルの話であれば、Xcelとして、フェムセルとインセルを同等のものとして考えて、とにかく1種類以上のジェンダーを攻撃する孤独な人間と定義することもできる。
Xcelという語が出てくるのはフェムセルとインセルだけでなく、クロスセルやエクセルまたXが未知数、X=Twitterであることが背景にあるから出てくるのである。
ここではクロスセルが、人によってはエウレカポイントかもしれない。
いろいろ意見がほしい。
少し前に、精子観察キットで自分が放った精子を眺める増田を書いた。
https://anond.hatelabo.jp/20240711233856
相変わらず仕事漬けの日々で、なかなか友達に会うとか旅行に行くような時間も取れず、最近は夜な夜な性教育の実技というか実験を試すのが楽しみになってしまっている。少し成果があったので、学んだことを書こうと思う。
前回の記事で、ロート製薬が発売している精液検査キット・ドゥーテストという商品が気になっていると話した。ドゥーテストというのはもともと妊娠検査薬のブランドのようで、そこに精液検査ができるキットが追加されたようだ。2回測定できて、5500円というやや高価なセットであるが、そこそこきちんとしたセルフ検査キットとなると、それくらいの値段が相場なのだらうなと言う感覚を受けた。
なぜ、このドゥーテストが気になったのか。それは他の精子観察キットにはないレンズに魅力を感じたからである。これまで試してきたSeemやメンズルーペは、小さなレンズをスマートフォンに貼り付ける方式を採用していた。しかしドゥーテストは置き型の筒状のレンズを採用している。しかも他の製品にはできなかったピント調節機構を有している。メンズルーペは安価に精子を観察できると言う特徴を有していたが、反面、精子の解像度には弱点があった。seemがサービスを停止したいま、高解像度な精子観察キットを探すことが筆者の中で大きな課題なのである。
ドゥーテストはロート製薬の通販で発売している商品だが、Amazonで購入できるようになっていた。実家ならしながらこんな研究に興味を持ってしまった筆者はAmazonの宅配ロッカーを愛用している。速さでいえばヨドバシに軍配が上がるとはいえ、ナイショなものはAmazonで買うに限る。
ある程度の金額を購入すると送料が安くなるため、今回のような高額商品は細かいアダルトグッズと抱き合わせで買うようにしている。今回は女性が立小便するときに使える使い捨てトイレ用品を抱き合わせで購入した。このレビューはいつか別の記事で紹介しようと思うが、そんなふうにあれやこれやを買っては秘密のレンタルロッカーに収納していける、便利な時代に生まれたことをこんなに喜べる瞬間があるだろうか。そうやってこの日も、時折コンビニに行ってはこそこそと不透明な紙袋を受け取った。ネカフェで開封して取扱説明書を読む。
箱の中身は至って普通の精子観察キットである。至って普通とは、精子を貯めるカップ、観察するためのプレート、レンズ、説明書、という組み合わせだ。取扱説明書は注意事項だけ書いてあり、主な使い方はスマホアプリでグラフィカルに誘導すると言う流れもだいたい共通している。そこで手が止まる。説明には「2〜7日の禁欲をすること」と書いてあった。しかし筆者は息子ともども我慢ができない。早くこのキットの真価を見たいのである。
そうは言っても、筆者の足を引っ張るのが、まさに股間の息子張本人である。男性諸君には理解してもらえると思うが、ちんちんとは自身の身体の一部ながら、自らの意思を全く尊重してくれない気まぐれな生物である。カメラを向いてくれない子供をオモチャで気を引くように、オカズを用意してみてもちっとも反応しない。ところが仕事で退屈な会議を聞いていると、突如として下腹部が突っ張り始めるのである。そして帰宅する頃にはすっかり眠ってしまう。まるで駅ではトイレに行かないくせに電車に乗った途端モジモジし始める子供のようではないか。
そんな息子を、まず「やる気」にさせる必要がある。別に、やる気にならなくとも、手で刺激すれば時代に勃起し、射精まだ持っていくことはできる。しかし筆者の体感として、射精時の精液の量はメンタルに大きく関係していると思う。
自慰行為において、快感と射精は必ずしも同時に起こらない。物理的に射精できたとしても、残尿感のように精液が出てこず中途半端な感覚を覚えたり、真逆に全く快感なく精液だけ放出してどっと疲れることもある。漠然と右手でシコるよりも、交際相手とキスをしながら手コキをしてもらった方が、快感も上回るし、コンドームを付けて出された精液の量も比べても気持ち多めのように感じる。精子の量が変わらないとしても潤滑剤になる前立腺液などが多ければ精子は活き活きするのだから、出せるものは出しておいた方がいいのである。
なにより、2発で5500円の高級キットを購入したからには、なんとしてでも"質の高い精液"を生み出したいのは、誰もが思うことであろう。出したい、けど、出せない。筆者の欲望と体力、そしてちんちんの意思が重なる時が訪れるのを待たなくてはならない。
某日、家族も寝静まった夜、漠然とテレビを見ていた時、それは来た。股間に建ったテントの中で遊んで欲しいと誘っている。時はきた。早速準備をするのだが、手間取るとあっという間に萎えてしまう。いざ挿入しようとコンドームを箱から取り出すうちに萎えてしまった経験はないだろうか。そこで、キットを準備する前にスキンシップを図る。
こんなこともあろうかと、あらかじめdlsiteでオナサポASMRを購入しておいた。これはダミーヘッドマイクと言う特殊なマイクを使って、耳を舐められる感覚を再現したり、耳元で囁かれるシチュエーションを再現した音声作品だ。「気持ちよくなっちゃうね」などと囁かれながら息子はご満悦だ。右手を竿に当て、左手に探し物をさせる。パッケージの封は予め開けておいたから片手で採精カップさえ取れればいい。
準備は整った。あとは耳舐めお姉さんにリードされながら竿に当てた手を動かすだけである。刹那、疼いていた下腹部がぎゅっと強張った。裏筋を抑えて漏れないように気をつけながらながら採精カップの底を尿道口にあてがって精液を注ぎ込む。これはseemと同じ使い捨てのプラスチックカップだ。計量はできない仕組みになっている。
出した精液を20分以上放置して、粘度がなくなるのを待つ。酸性の膣内に放たれた精子たちは長く生きられない。アルカリ性の粘液に包まれながら、子宮への道が中和されるのをじっと待っているのである。しばらくして子宮からもアルカリ性の体液が出ることで中和され、精液をエネルギー源にして精子たちは卵子は向かって泳いで行く。別々の生き物を繋げる仕組みとしてよくできていると感じる。
その待機中に機材のセットアップを行う。股間の息子はもう一仕事をおえて、もう筆者の眼中にもないほどに存在感を失っている。まず射精に専念し、そのあと機材の設定を行う。これこそが賢者のベストプラクティスというものだ。
前回の精子観察の課題として、スマートフォンのレンズの大型化を挙げた。今時のiPhoneはレンズが大きく、机に置いても水平にならないため、上に検査キットを置くと精液が流れてしまう。すると死んで流されている精子と泳いでいる精子の見分けが難しくなってしまう。
この対策を考えていたのだが、先日大手300円均一ショップでスマホスタンドが売られているのを発見し、300円なら失敗しても痛手がないと思い購入して試した。しっかり水平になった。そしてレンズを取り付け、ピント調節を行う。スマホのインカムの周りに滑り止めの両面シールを貼り、その上にレンズを貼り付けるのだが、ピント調節のためにクルクル回せば簡単にシールが剥がれてしまう。デモの映像はスムーズに回していたがどうやって対策しているのであろうか。
しばらく待っていると、スマホがカタカタと震え出した。固定がイマイチだったのかとスマホスタンドを確かめていると、今度は床が揺れ出した。地震だ! よりにもよってこんな時に揺れるのか。筆者の心臓は爆発しそうであった。家族が気にかけてやってきたら、こんな光景を目にしたらどうする。慌てて精液カップを物陰に隠し、寝室の動きを警戒しながら、セットアップを続けた。レンズを装着し、試料台に模様が映っていることを確認した。どうやら試料台に等間隔に溝が掘ってあり、この模様をゲージとして1区画に何個の精子が存在するかで精子濃度を測っているようだ。
液化した精液を試料プレートに垂らす。プレートは顕微鏡のプレパラートに相当し、カバーガラスが接着されている。精液を棒の先につけて、この棒を試料プレートに載せると、カバーガラスの間に毛細管現象で精液が染み込んでいく。カメラ越しにも、液体が流れ込んで粒々の精子たちがなだれ込んでくるのが見える。かなりの密度だ。しばらくすると浸透して、精子の流れが落ち着く。すると精子たちが四方八方に動き回る様子を見ることができるのである。
青い精子に再び会うことができたことに喜びを感じながら、測定を始める。しばらくして結果が出た。1600万匹/mlと言う数値で、WHOの基準より上回っているとの結果だった。しかし過去のデータを見れば、筆者は2400万匹/mlの濃度で精子を出せていた。あのころから月日が経ち、時代に健康診断で医者から注意される項目も増えてきた。身体の衰えには抗えないのかもしれない、と感じて切なくなってしまった。仕事も忙しいので一過性のものかもしれないが、このまま測定を続けて数値が上がらなかったらどうしようという不安もある。いや嫁もいない男が受精能力のことなど気にしても仕方ないのだが、大切なことは目に見えないのである。
それはそうとして、このレンズが精子をよく拡大してくれるところは面白い。改めて観察するとすでに半分くらい動いていないように見えるが、それを除けば元気に泳ぎ回っている様子を観察して、アプリとは関係なくスマホで動画を撮ってみる。同じような構造のレンズではseemのほうがピントがきっちり合って観察できたように感じるがこれほどの倍率はなかった。
ピントが合いづらい理由を考えてみたが原因はよくわかっていない。スマホの保護フィルムなどの厚みが焦点距離に影響してしまうのだろうか。しかし、精子観察のためにわざわざスマホの保護フィルムを剥がすのは、少し考えものである。真面目にやるならバキバキになってもいいiPhoneSEでも調達して観察した方が良いのではないかと思う。
一通りの観察を終えた。精子は受精卵にたどり着くことを使命とし、精液に守られながら子宮を目指す。したがって厳しい外界では長生きできない。
しかし前回の増田でこの精子にあれやこれや実験をしてみてはというコメントを見た。そして精子はまだ細胞でありながら生命ではない。片付けるついでに気になったことを試してみる。筆者はこの精子たちの生殺与奪を握っている。
試しに、試料台にティッシュペーパーの切れ端を載せてみる。液が吸い寄せられ、精子たちも漂うように吸い寄せられていく。しかし精子たちはそれでも元気に泳いでいる。
次に気になった点として、このキットを水洗いしてみると言うものだ。説明書では使い捨てと書かれているが、正確な数様に影響するにしても精子を見るだけなら洗えば使えるのではないかと思った。ものは試しだ。水につけて洗い流してみて、再びレンズの上に乗せる。
驚くことに、まだ精子がいた。本当に少なくなってしまったが、よろよろと泳ぎ回る個体がところどころ残っている。カバーガラスの間に水を流し込むのは難しいらしいが、水道水に流してもある程度は生きられるのかと驚いた。まだ精液の粘液部分を身に纏って生き続けていたのかもしれないが、筆者が想像する儚い細胞というイメージ覆った。
これではキットを再利用できないということを改めて実感したとともに、一度放たれてしまった精子を完全に追放する仕組みの難しさも感じた。もちろんカバーガラスの中の狭い空間というのは特殊な空間だが、膣内だって広い空間ではない。筆者な単純計算で一発で8000万ほどの精子を送り込むことができる。そんな数の精子たちが膣内に放たれてしまったら、僅かも子宮に辿り着いてしまったら。膣を水洗いするなんて簡単にはできないであろう。よくコーラを流し込めば避妊できるなんて俗説を信じるなという性教育を見かけるが、イメージに反して精子はしぶとく生きることのできる細胞なのかもしれない。
そしてここまで書いて気づいた。せっかくなのだからコーラを垂らして精子が本当に死ぬか確かめてみればよかったのだ。精子はもう片付けてしまったし、うちの冷蔵庫は三ツ矢サイダー派なのだ。なんて愚かなことをしてしまったのだろう。大学時代、理科実験はやり直しが効かないから実験計画の作成が重要であると散々言われたのを、今更思い出した。筆者の2800円がこうして散っていった。
ドゥーテストは、倍率も大きく、精子をよく見ることができた。さらに精子の量を測定してくれる貴重なサービスとなったので、妊活の指標としたい人には向いているかもしれない。
ただ、ピント調節が少し難しく、はっきりと精子を観察できるわけではないという点も課題として感じた。採精カップはメンズルーペが優れていると感じているので、メンズルーペのカップに射精し、ドゥーテストのレンズで観察するのが最も効率よく精子観察ができるのではないかと思った。またカップも使い回すと精子が残ってしまう可能性があるので、入念に洗うことが必要であると学んだ。
また、ドゥーテストの高倍率レンズは精子の動きを観察するのにとても良いので、可哀想だが精子にあれこれ試して動きを観察してみると面白いと思う。酸性の状態にしてどれほど生存できるか、などは特に気になった。しかしこう言う実験をするのであれば、闇雲に料理酢を流し込むなどと言うのはナンセンスで、pHを正確に測らないと意味がない。測定するための試験紙を買うのが良いのか、紫キャベツを煮出すのがよいのか、と頭を抱えながらamazonで調べると、2000円もしないpH測定器が売られているのを見る。ガチャポンを回すくらいの気持ちでオモチャと割り切って買うか、やめておくか。悩ましい。
そして筆者は実際の膣がどれほどに酸性環境なのかを知らない。どうやって測定するのがよいだろうか。一番シンプルなのは交際相手の女性に、「膣内にph測定器を突っ込ませてくれ」と頼むことだが、ひみつ道具の存在すら打ち明けられずにいる相手にこんな話をしたら精子をどうこうするまえに筆者の人間関係がどうにかなってしまうし、女性の性周期を知らない筆者にとって測定するタイミングも難しいと感じてある。どこかに膣のpHを趣味で測っている物好きなレディは居ないものだろうか。
「男性は顕微鏡を買うと精子を観察してみるらしい」とのこと。顕微鏡なんて一般のご家庭にあるわけがないだろうと、試しに500倍の顕微鏡の値段がいかほどのものか調べてみた。するとヨドバシに5000円くらいの子供向け顕微鏡があることを発見してしまった。最初からこれを買えばよかったのではないか……? しかし顕微鏡なんてますます置き場に困る。でも精子観察し放題、好きな時に好きなだけ射精して観察できるのである。20代の筆者がコンスタントに精子を観察して何十年かデータを溜めたら、それこそ何か世の中に役立てることができたりしないだろうか。いや精子よりもっと仕事とか町内会とかできちんと社会貢献した方がいいことはわかっているのだが。
あとは一案として、とりあえず顕微鏡を買って、しばらく精子観察に使ったあと、飽きたら近所の子どもらに寄贈してやろうか。子供を産むか産まないか、それ以外にも未来の世代にできることはあるだろう。
いや、思春期の学生に顕微鏡をプレゼントする財団でも作るなんてアプローチもあったかもしれない。これは教育振興である。まずは花粉とかプランクトンとか観察してもらって、科学に興味を持ってもらう方が重要で、そこからどういった方向に探究心が芽生えようとそれは本人の自由である。科学大国日本を支える若者を増やしたいと願っている筆者の気持ちに偽りはないのだから。
時間帯も公演?時間も長いからバッハじいさんの話で若干寝落ちしかけたけど、ジダンの登場でテンション戻って結局全部見ちゃった。
ところで東京オリンピックは4年前(3年前)なのにもう結構忘れてるな?!ということに気づいたので、覚えてることを書き出してみる。
布袋さんの演奏もかっこよかったな…と思ったけどあれは閉会式だな。
あとなんか思い出したら追記する
オレオレFCはホームで大分トリニータに0-1の完封負けで、ホーム3連敗を喫し、後半戦の初戦で白星スタートを切れなかった。前半からボールを支配し、シュート27本を打つも無得点が続くと、後半27分に相手の最初のシュートが決まり、先制点を奪われた。その後も立て続けに攻め、シュート34本打ちながら、無得点。枠内シュート僅か1本(全体では5本)の大分相手に失意の敗戦を喫した。
サポーターのブーイングが鳴り響く中、うなだれながら、ピッチを後にするロイブル軍団。試合を支配しながら無得点で失意の敗戦に野河田彰信監督は「負けは監督の責任」と話した。
前半から試合を支配し、大分に後半10分までシュート1本すら打たせなかった。しかし打てども打てども得点できないもどかしい展開。後半27分に右サイドを破られ失点しても、猛攻を続けたが、ポストに嫌われるなど結局34本のシュートを浴びせながら無得点に終わった。指揮官は「結局は集中力の問題やんか。相手はたった1本を決めて、ウチは打っても入らん。失点にしても、プレーにしても集中力がないから、ああいう試合になんねん」と厳しく指摘した。
次節は中2日の29日にホームで首位・町田ゼルビア戦が待つ。さらに守備の中心、DF岩田、村山に加え、精神的支柱のMF鈴木潤主将が累積警告による出場停止と厳しい状況が続く。野河田監督は「そら、もう痛いけど、(試合は)待ってくれないんでね」とイレブンの奮起を促す。7試合無得点に終わったFW森永も「町田を倒せば、自信が着く。1つの勝利が浮上するきっかけにしたいです」と前を向いた。
オレオレFCは今季ワースト5失点で横浜FMに大敗し、リーグ戦4試合未勝利となった。前半から相手の圧力に防戦一方で19分にPKを決められると、前半だけで3失点。後半23分にMF藤崎が2枚目の警告で退場すると、数的不利に陥ったチームは反撃する余力はなく、さらに2失点を喫した。
横浜まで駆け付けた2,000人以上のサポーターの前でロイブル軍団は醜態を晒した。今季ワーストの5失点大敗。試合後、サポーターは大ブーイングを浴びせ、「やる気あんのか!?」「勝ちたいと言う姿勢を見せてくれよ!!」と厳しい言葉が飛んだ。鈴木潤主将はうなだれるイレブンを代表して「今日は本当にすみませんでした」と頭を下げた。
4試合ぶりの白星を狙って臨んだ一戦。だが、昨年も優勝争いを繰り広げた横浜は甘くなかった。前半から波状攻撃を繰り出す相手に防戦一方で、19分にPKを献上して失点すると、26分、36分と立て続けに失点。後半は選手交代で流れを代えようとしたが、23分に藤崎が2枚目の警告で退場すると、最早、反撃する余力はなく、立て続けに2失点した。MF鈴木亮、森下らが不在。FW森永がコンディション不良で欠場した事も響いたが「言い訳にしたくない。それ以前の問題です」と鈴木潤主将は唇を噛み締めた。
サポーターと約30分間、話し合いを行った。野河田彰信監督は「今日は怒って当たり前やと思います。これを糧に、コイツらにやらせるようにします」と言えば、鈴木潤主将も「今日も申し訳なく思います。だけど、ここで落ち込んだら駄目だし、そういう選手はいません。もう一度、足元を見つめ直して、磐田戦でやります!!」と宣言すると、サポーターから最後は拍手とゲキが飛んでいた。
次節は30日、ホームでジュビロ磐田と対戦する。野河田監督は「今日はワーストゲーム。(磐田戦に向けて)そら、やらなアカンやろ」と危機感を示し、明日にもミーティングを開催すると明言。鈴木潤主将も「こういう結果は望んでいない。自分たちが招いたことは、自分たちで取り返すしかない。必ず、挽回して見せます」と、大敗を糧に5試合ぶりの勝利を目指す。