図書館の蔵書購入と随意契約について
図書館の蔵書購入について
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Q 図書館の蔵書を有利な価格で購入するにあたって、随意契約の方法によることはできますか。
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A 近年、各自治体では、住民の生涯学習意欲の高まり等により、公立図書館の機能拡充が進められていますが、それに伴って、蔵書購入に関する多様なニーズも高まっています。そこで、限りある財源でかかるニーズに応えていくために、効率的な蔵書整備が求められているところです。
さて、地方公共団体が私法上の契約をするにあたっては、原則として一般競争入札の方法によらなければならないこととされていますが、例外的に指名競争入札、随意契約及びせり売りの方法により行うことができます(地方自治法第234条第2項)。
このうち、随意契約については、政令で定める一定の事由がなければなりません。そして、地方自治法施行令第167条の2第1項はこの事由について九つほど規定しています。
具体的には、ある種類の契約毎に定められた金額の範囲内で契約する場合(同項1号)や、緊急の必要があって競争入札をする暇がない場合(同項5号)などがその事由として挙げられています。
そこで、図書館の蔵書を随意契約により購入する場合、右条文のどの事由に当たるかが問題となりますが、書籍に関しては、「再販売価格維持制度」※1(再販制度 独占禁止法第23条)があるため、基本的に、どの業者から購入してもその価格に有利不利はないものとされています。
したがって、図書館の蔵書購入は、1号事由に該当する場合を除いて、右事由中「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。」(施行令第167条の2第1項第2号)にあたり、随意契約の方法によることができるものと思われます。
ただし、再販制度は、一定の法律により設立された団体については適用されないので(適用除外団体 独占禁止法第23条第5項)、かかる団体からは再販売価格以下で購入できる場合もあります。この場合、右事由中「時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見込みのあるとき。」(施行令第167条の2第1項第7号)にあたり、随意契約の方法によることができるものと思われます。
もっとも、随意契約は自治体の契約締結方法としては例外的なもので、場合によっては、住民に不要な疑問を抱かせることにもなりますので、その理由は起案文書中に明記しておく必要があります。
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Q 指名競争入札の方法ではどうでしょうか。
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A 指名競争入札も、契約締結方法としては例外に当たりますので、一定の事由に該当する必要があります(施行令第167条)。
また、指名競争入札を実施した場合は、前述した再販制度があるため、右適用除外団体を除き、入札者は同じ価格を入札することとなり、入札により契約を締結することは困難なのではないかとも思われます。入札の結果によっては、業者間の再販価格維持契約違反を相手方業者に強いることにもなりかねず、公益を追求する自治体のあり方として不適当ではないかとの疑問も生ずるところです。
この点、業者間での再販価格維持契約については、大抵「官公庁の入札に関しては再販売価格の維持を除外する」旨の規定※2が契約条項中に存在し、適用除外団体でなくとも定価より安く購入することができるのが実態であり、したがって、指名競争入札による方法も可能と思われます。
ただし、中にはこのような除外規定を契約中に盛り込んでいないケースも考えられますので、業者の指名にあたっては、?指名業者が再販価格維持の除外規定が盛り込まれた契約を締結しているか、?そうでなくとも出版社との了解が得られるか、という点につき注意をする必要があると思われます。そこで、蔵書購入にあたって指名競争入札の方式を採る場合は、右事項を入札参加資格に盛り込むことが適当と言えましょう(施行令第167条の11第2項)。
※1 「再販売価格維持制度」? 公正取引委員会が指定する商品にあっては、その商品を販売する業者が、販売相手方業者と当該商品の再販売価格を維持する行為を正当なものとする制度。本来、かかる再販売価格維持行為は、競争を不当に制限し、所謂「カルテル」(不当な取引制限)を助長するものとして、禁止されている(独占禁止法第2条第6項)。この例外が、書籍等について認められている。
※2 出版業界においては、一般的に次のような雛形が用いられている。
再販売価格維持契約書
(略)
第6条 この契約の規定は、次に掲げる場合には適用しない。
(二) 甲(出版業者)が認めた場合における、定期刊行物・継続出版物等の長期購読前金払い及び大量一括購入、その他謝恩価格本等の割引
覚 書
右再販売価格維持契約における契約履行上の疑義を解消し、再販制度の本旨に沿った運用がなされるよう左のとおり取り決める。
2) 契約書第6条2項にある甲が認めた場合における<大量一括購入>とは、官公庁等の入札によらない大量一括購入であって、この場合の割引販売においても甲の承諾を得るものとする。 群馬県庁←前のページに戻る
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〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
電話番号(代表):027-223-1111
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以上の記述に対する私見!
第6条 この契約の規定は、次に掲げる場合には適用しない。
(二) 甲(出版業者)が認めた場合における、定期刊行物・継続出版物等の長期購読前金払い及び「大量一括購入」、その他謝恩価格本等の割引 。
? 大量購入の場合は適用しない
? 覚え書きというものがあるが、これは無視する。
? 実は昨年8月に、すでに福知山市教育委員会は、随意契約で入札を執行している。10%も安い落札者が出た。
以上は裁判で争点になります。
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Q 図書館の蔵書を有利な価格で購入するにあたって、随意契約の方法によることはできますか。
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A 近年、各自治体では、住民の生涯学習意欲の高まり等により、公立図書館の機能拡充が進められていますが、それに伴って、蔵書購入に関する多様なニーズも高まっています。そこで、限りある財源でかかるニーズに応えていくために、効率的な蔵書整備が求められているところです。
さて、地方公共団体が私法上の契約をするにあたっては、原則として一般競争入札の方法によらなければならないこととされていますが、例外的に指名競争入札、随意契約及びせり売りの方法により行うことができます(地方自治法第234条第2項)。
このうち、随意契約については、政令で定める一定の事由がなければなりません。そして、地方自治法施行令第167条の2第1項はこの事由について九つほど規定しています。
具体的には、ある種類の契約毎に定められた金額の範囲内で契約する場合(同項1号)や、緊急の必要があって競争入札をする暇がない場合(同項5号)などがその事由として挙げられています。
そこで、図書館の蔵書を随意契約により購入する場合、右条文のどの事由に当たるかが問題となりますが、書籍に関しては、「再販売価格維持制度」※1(再販制度 独占禁止法第23条)があるため、基本的に、どの業者から購入してもその価格に有利不利はないものとされています。
したがって、図書館の蔵書購入は、1号事由に該当する場合を除いて、右事由中「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。」(施行令第167条の2第1項第2号)にあたり、随意契約の方法によることができるものと思われます。
ただし、再販制度は、一定の法律により設立された団体については適用されないので(適用除外団体 独占禁止法第23条第5項)、かかる団体からは再販売価格以下で購入できる場合もあります。この場合、右事由中「時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見込みのあるとき。」(施行令第167条の2第1項第7号)にあたり、随意契約の方法によることができるものと思われます。
もっとも、随意契約は自治体の契約締結方法としては例外的なもので、場合によっては、住民に不要な疑問を抱かせることにもなりますので、その理由は起案文書中に明記しておく必要があります。
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Q 指名競争入札の方法ではどうでしょうか。
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A 指名競争入札も、契約締結方法としては例外に当たりますので、一定の事由に該当する必要があります(施行令第167条)。
また、指名競争入札を実施した場合は、前述した再販制度があるため、右適用除外団体を除き、入札者は同じ価格を入札することとなり、入札により契約を締結することは困難なのではないかとも思われます。入札の結果によっては、業者間の再販価格維持契約違反を相手方業者に強いることにもなりかねず、公益を追求する自治体のあり方として不適当ではないかとの疑問も生ずるところです。
この点、業者間での再販価格維持契約については、大抵「官公庁の入札に関しては再販売価格の維持を除外する」旨の規定※2が契約条項中に存在し、適用除外団体でなくとも定価より安く購入することができるのが実態であり、したがって、指名競争入札による方法も可能と思われます。
ただし、中にはこのような除外規定を契約中に盛り込んでいないケースも考えられますので、業者の指名にあたっては、?指名業者が再販価格維持の除外規定が盛り込まれた契約を締結しているか、?そうでなくとも出版社との了解が得られるか、という点につき注意をする必要があると思われます。そこで、蔵書購入にあたって指名競争入札の方式を採る場合は、右事項を入札参加資格に盛り込むことが適当と言えましょう(施行令第167条の11第2項)。
※1 「再販売価格維持制度」? 公正取引委員会が指定する商品にあっては、その商品を販売する業者が、販売相手方業者と当該商品の再販売価格を維持する行為を正当なものとする制度。本来、かかる再販売価格維持行為は、競争を不当に制限し、所謂「カルテル」(不当な取引制限)を助長するものとして、禁止されている(独占禁止法第2条第6項)。この例外が、書籍等について認められている。
※2 出版業界においては、一般的に次のような雛形が用いられている。
再販売価格維持契約書
(略)
第6条 この契約の規定は、次に掲げる場合には適用しない。
(二) 甲(出版業者)が認めた場合における、定期刊行物・継続出版物等の長期購読前金払い及び大量一括購入、その他謝恩価格本等の割引
覚 書
右再販売価格維持契約における契約履行上の疑義を解消し、再販制度の本旨に沿った運用がなされるよう左のとおり取り決める。
2) 契約書第6条2項にある甲が認めた場合における<大量一括購入>とは、官公庁等の入札によらない大量一括購入であって、この場合の割引販売においても甲の承諾を得るものとする。 群馬県庁←前のページに戻る
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第6条 この契約の規定は、次に掲げる場合には適用しない。
(二) 甲(出版業者)が認めた場合における、定期刊行物・継続出版物等の長期購読前金払い及び「大量一括購入」、その他謝恩価格本等の割引 。
? 大量購入の場合は適用しない
? 覚え書きというものがあるが、これは無視する。
? 実は昨年8月に、すでに福知山市教育委員会は、随意契約で入札を執行している。10%も安い落札者が出た。
以上は裁判で争点になります。