控訴人準備書面(1)
平成23年(行コ)第103号損害賠償命令請求控訴事件
控訴人(1審原告)正木明人
被控訴人(1審被告)福知山市長 松山正治
控訴人準備書面(1)
平成23年10月4日
大阪高等裁判所第11民事部御中
控訴人 正木明人
第1、1 控訴理由書(1)3頁及び控訴理由書(2)1頁の平成21年2月28日を平成20年2月28日に訂正をする。
2 控訴理由書(1)2頁、控訴理由書(2)4頁、控訴理由書(5)1頁の三味一体を三位一体に訂正をする。
第2,本案前の違法性について
1 (1)答弁書第2,1(2)への反論
違法性について、本案前の監査請求の特定にかかる違法性判断(109号証)及び正当理由にかかる判断と、本案での違法性の判断があると思われる。
前2者は、本案にかかる判断と違って、請求人が行う請求につき、客観的に違法理由につき一定の判断をするものである。
(2)平成19年度新図書館用書籍購入事業という1つの事業を4つの購入行為とし、その分割が違法かどうかを原審は判断していない。分割が違法であろうと適法であろうと分割を前提にしている。
しかし、客観的に違法であるなら、書籍購入行為は本来、1つの事業であり、4つの購入行為について、控訴人が主張するところの違法理由と損害は同一であり、分割が違法かどうかを客観的に判断をし、違法であるなら一体の事業であり、1つの購入行為とした上で、各支出段階を、支出負担行為、支出命令及び支出に分けて個々に判断をするべきであった。
2,(1)控訴人が監査請求で主張した違法理由は書籍購入については先行取得と分割購入であり、食器購入については予算流用である(甲1号証)。
(2)原審は判決文39頁において、書籍の先行取得をとりあげて「(甲11,14号証)及び弁論の全趣旨によれば、福知山市では都センターの基本計画と並行して、{福知山市立図書館基本計画}を策定し、新図書館の開館へ向けた準備として、平成22年度開館予定とした3か年の新図書館用書籍購入計画を立てた上で第1次の平成19年度に、約2万5000冊の書籍を購入することとしたこと、平成19年度の新図書館用図書購入(書籍①~④)の予算については、平成19年3月の市議会で議決を受けたこと(中略)が認められるとし、以上の事実によれば、市では計画が策定され書籍等の購入予算については議会の議決を経ているのだから(中略)そのような経過を経た書籍の購入が違法となるとは解されないとしている。
要するに、原審は、基本計画が策定され、且つ議会が備品・消耗品等の購入予算を議決しておれば公有地拡大推進法で土地の先行取得が認められているのと同様に先行取得は違法ではないと一般的な法解釈の元に、平成19年度の書籍の先行取得をさりげなく適法としている。ところが正当理由では、違法性を基礎付ける事実を知ったときの起算点としている。
この点は釈明を求める。
(3)控訴人は本人訴訟であり今回の訴訟が初体験であった。
当、住民訴訟は膨大な資料の分析といい、金額の大きさといい、過去に前例がない行政のモラルハザードを、住民側から取り上げた訴訟である。素人が一人で全てをやるには大変な訴訟である。正当理由の期間についても、一律に決めるのではなく、それぞれの主観的な理由が考慮されるできが当然である(甲103号証)。
3,答弁書第2,1
(1)ア 予算流用による食器の購入につて
被控訴人は答弁書第2、1(2)において、予算流用が支出負担行為ではないと主張をするが、予算の手当を欠いた支出負担行為は執行が出来ないのである。財源の手当は、支出負担行為の実行に必須の要件であり(甲95号証)且つ歳出予算の統制上適切な技術基準から決定されるものである(甲106号証372頁下段及び373頁上から7行目)。
支出負担行為は未払い金のチェックの目的で支出から分離して設けられた内部的な規律目的を持っている。支出時点でのチェックだけでは用を足さないから昭和38年にこの制度が設けられた(甲106号証)。
あにはからんや、財源の手当をせずに食器を購入しようとしていたことが明らかになったのである(甲106号証)。
無効な行為が行われた時点を起算点とするなら、いくらでも財源手当をせずに、支出負担行為をし、今回のように370万円の当初予算を2279万3400円まで流用し支出を拡大した。これでは財政議会主義が機能するはずはない(甲106号証372頁中段及び373頁上段)。
第2,
(2)ウ 被控訴人がいうところの趣旨が理解できない。書籍購入事務が増えた理由は、合併補助金を年度内に使い切らなければならないと、合併補助金要綱を錯覚したことである(甲104号証2頁村上教育部長答弁)。合併補助金の返還を避けるために、また合併補助金の総額2億1256万2000円の最後の2000円までを図書購入費で使い切り、残高を残さない(甲10号証2頁上段、14号証3頁上段)ために、分割をして何回も残高を確認する等の無用な事務をしたのである(甲107号証)。このような行為に合理性などあるはずがない。翌年度に回しても何の問題もなかったのである。
2,正当理由について 答弁書2,(2)被控訴人の主張アへの反論はすでに第2,1で述べたとおりである。
「住民であれば誰でもいつでも閲覧等をすることが出来情報等についてはそれが閲覧等をすることが出来る状態に置かれれば、そのころには住民が相当の注意力をもってすれば客観的みて、知ることが出来たものと解されよう」という指摘について、平成20年12月15日の定例会議事録の開示は平成21年3月4日以降であった(甲97号証)。実に控訴人が住民監査請求をして以降に閲覧が可能になったのである。
(イ)への反論 合併補助金の再交付については、交付要件を満たしていないから取り消されるのであり、その場合は一般税源でまかなうことになる。ただで貰った金だと思っていたが実は貴重な税金でまかなうことになったということである。このように合併補助金は一般財源と使途が共通している。
合併事業は行政区域が広域化するために行政効率が非常に悪化してしまう。同じサービスを提供するにしてもコストがかかり過ぎるのである。また、現実的に、日常的に提供している行政サービスの格差解消が目的なのであるが過疎対策や高齢化介護サービスのような、日常的なサービスを放置し、ハコものを建てたがる。
無駄が生じれば、一般財源からの補填あるいは代替支出が必要になるのである。
現実に、図書館書籍は購入してからすでに4年経っている。建てるとしてもオープンまでに6~7年が経過している。住民は新刊書を読みたいのだが開館時には古本である。これを回避しようとするなら一般財源で買うしかない。これが損失でないはずがない。
したがってこの行為は財源論という視点だけで捉えられるものではなく、一般財源を間接的に犯しているという意味で違法なのである。
地方自治法第2条14項は「地方公共団体はその事務を処理するに当たっては住民の福祉に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」、地方財政法第4条1項は、「地方公共団体の経費はその目的を達するための必要且つ最小限度を超えて、これを支出してはならない」と定めている。ただで貰ったと思っていたが税金でまかなう事態になったということは、上記2法の趣旨からして違法と言わざるを得ないのでありモラルハザードが著しい違法行為である。
(ウ)への反論 被控訴人は控訴人が言うところの趣旨を誤解している。控訴人は控訴理由書(1)2頁第2,1 三では、合併補助金は2度目の繰越しはないから何としても1回目の繰越し年度で使い切らなければならないと錯覚して、補助金の執行残を作らないために分割購入に及んだと主張しているのである。
書籍及び食器購入における繰越しは、繰越明許費のケースである(地方自治法213条。この場合は繰越せるのは1年限りである(甲104号証2頁下線部、甲108号証712頁下線部及び715~716頁下線部)。 (エ)への反論 については合併補助金の本質論であり、改めて根本から主張をすることにする。
(オ)への反論 原審は判決文38頁において、補助金は「国から交付されるものであるから(中略)、これは福知山市の固有の財産に何らの変動も及ぼすものではない」と判断をしている。これは補助金の交付の趣旨が多様なものであり、合併事業が国政選挙の委託というような事務ではなく、まさに、自治体の事業そのものであるという事実を見落としたものである。控訴理由書(2)第6,2で主張した通りである。
控訴人(1審原告)正木明人
被控訴人(1審被告)福知山市長 松山正治
控訴人準備書面(1)
平成23年10月4日
大阪高等裁判所第11民事部御中
控訴人 正木明人
第1、1 控訴理由書(1)3頁及び控訴理由書(2)1頁の平成21年2月28日を平成20年2月28日に訂正をする。
2 控訴理由書(1)2頁、控訴理由書(2)4頁、控訴理由書(5)1頁の三味一体を三位一体に訂正をする。
第2,本案前の違法性について
1 (1)答弁書第2,1(2)への反論
違法性について、本案前の監査請求の特定にかかる違法性判断(109号証)及び正当理由にかかる判断と、本案での違法性の判断があると思われる。
前2者は、本案にかかる判断と違って、請求人が行う請求につき、客観的に違法理由につき一定の判断をするものである。
(2)平成19年度新図書館用書籍購入事業という1つの事業を4つの購入行為とし、その分割が違法かどうかを原審は判断していない。分割が違法であろうと適法であろうと分割を前提にしている。
しかし、客観的に違法であるなら、書籍購入行為は本来、1つの事業であり、4つの購入行為について、控訴人が主張するところの違法理由と損害は同一であり、分割が違法かどうかを客観的に判断をし、違法であるなら一体の事業であり、1つの購入行為とした上で、各支出段階を、支出負担行為、支出命令及び支出に分けて個々に判断をするべきであった。
2,(1)控訴人が監査請求で主張した違法理由は書籍購入については先行取得と分割購入であり、食器購入については予算流用である(甲1号証)。
(2)原審は判決文39頁において、書籍の先行取得をとりあげて「(甲11,14号証)及び弁論の全趣旨によれば、福知山市では都センターの基本計画と並行して、{福知山市立図書館基本計画}を策定し、新図書館の開館へ向けた準備として、平成22年度開館予定とした3か年の新図書館用書籍購入計画を立てた上で第1次の平成19年度に、約2万5000冊の書籍を購入することとしたこと、平成19年度の新図書館用図書購入(書籍①~④)の予算については、平成19年3月の市議会で議決を受けたこと(中略)が認められるとし、以上の事実によれば、市では計画が策定され書籍等の購入予算については議会の議決を経ているのだから(中略)そのような経過を経た書籍の購入が違法となるとは解されないとしている。
要するに、原審は、基本計画が策定され、且つ議会が備品・消耗品等の購入予算を議決しておれば公有地拡大推進法で土地の先行取得が認められているのと同様に先行取得は違法ではないと一般的な法解釈の元に、平成19年度の書籍の先行取得をさりげなく適法としている。ところが正当理由では、違法性を基礎付ける事実を知ったときの起算点としている。
この点は釈明を求める。
(3)控訴人は本人訴訟であり今回の訴訟が初体験であった。
当、住民訴訟は膨大な資料の分析といい、金額の大きさといい、過去に前例がない行政のモラルハザードを、住民側から取り上げた訴訟である。素人が一人で全てをやるには大変な訴訟である。正当理由の期間についても、一律に決めるのではなく、それぞれの主観的な理由が考慮されるできが当然である(甲103号証)。
3,答弁書第2,1
(1)ア 予算流用による食器の購入につて
被控訴人は答弁書第2、1(2)において、予算流用が支出負担行為ではないと主張をするが、予算の手当を欠いた支出負担行為は執行が出来ないのである。財源の手当は、支出負担行為の実行に必須の要件であり(甲95号証)且つ歳出予算の統制上適切な技術基準から決定されるものである(甲106号証372頁下段及び373頁上から7行目)。
支出負担行為は未払い金のチェックの目的で支出から分離して設けられた内部的な規律目的を持っている。支出時点でのチェックだけでは用を足さないから昭和38年にこの制度が設けられた(甲106号証)。
あにはからんや、財源の手当をせずに食器を購入しようとしていたことが明らかになったのである(甲106号証)。
無効な行為が行われた時点を起算点とするなら、いくらでも財源手当をせずに、支出負担行為をし、今回のように370万円の当初予算を2279万3400円まで流用し支出を拡大した。これでは財政議会主義が機能するはずはない(甲106号証372頁中段及び373頁上段)。
第2,
(2)ウ 被控訴人がいうところの趣旨が理解できない。書籍購入事務が増えた理由は、合併補助金を年度内に使い切らなければならないと、合併補助金要綱を錯覚したことである(甲104号証2頁村上教育部長答弁)。合併補助金の返還を避けるために、また合併補助金の総額2億1256万2000円の最後の2000円までを図書購入費で使い切り、残高を残さない(甲10号証2頁上段、14号証3頁上段)ために、分割をして何回も残高を確認する等の無用な事務をしたのである(甲107号証)。このような行為に合理性などあるはずがない。翌年度に回しても何の問題もなかったのである。
2,正当理由について 答弁書2,(2)被控訴人の主張アへの反論はすでに第2,1で述べたとおりである。
「住民であれば誰でもいつでも閲覧等をすることが出来情報等についてはそれが閲覧等をすることが出来る状態に置かれれば、そのころには住民が相当の注意力をもってすれば客観的みて、知ることが出来たものと解されよう」という指摘について、平成20年12月15日の定例会議事録の開示は平成21年3月4日以降であった(甲97号証)。実に控訴人が住民監査請求をして以降に閲覧が可能になったのである。
(イ)への反論 合併補助金の再交付については、交付要件を満たしていないから取り消されるのであり、その場合は一般税源でまかなうことになる。ただで貰った金だと思っていたが実は貴重な税金でまかなうことになったということである。このように合併補助金は一般財源と使途が共通している。
合併事業は行政区域が広域化するために行政効率が非常に悪化してしまう。同じサービスを提供するにしてもコストがかかり過ぎるのである。また、現実的に、日常的に提供している行政サービスの格差解消が目的なのであるが過疎対策や高齢化介護サービスのような、日常的なサービスを放置し、ハコものを建てたがる。
無駄が生じれば、一般財源からの補填あるいは代替支出が必要になるのである。
現実に、図書館書籍は購入してからすでに4年経っている。建てるとしてもオープンまでに6~7年が経過している。住民は新刊書を読みたいのだが開館時には古本である。これを回避しようとするなら一般財源で買うしかない。これが損失でないはずがない。
したがってこの行為は財源論という視点だけで捉えられるものではなく、一般財源を間接的に犯しているという意味で違法なのである。
地方自治法第2条14項は「地方公共団体はその事務を処理するに当たっては住民の福祉に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」、地方財政法第4条1項は、「地方公共団体の経費はその目的を達するための必要且つ最小限度を超えて、これを支出してはならない」と定めている。ただで貰ったと思っていたが税金でまかなう事態になったということは、上記2法の趣旨からして違法と言わざるを得ないのでありモラルハザードが著しい違法行為である。
(ウ)への反論 被控訴人は控訴人が言うところの趣旨を誤解している。控訴人は控訴理由書(1)2頁第2,1 三では、合併補助金は2度目の繰越しはないから何としても1回目の繰越し年度で使い切らなければならないと錯覚して、補助金の執行残を作らないために分割購入に及んだと主張しているのである。
書籍及び食器購入における繰越しは、繰越明許費のケースである(地方自治法213条。この場合は繰越せるのは1年限りである(甲104号証2頁下線部、甲108号証712頁下線部及び715~716頁下線部)。 (エ)への反論 については合併補助金の本質論であり、改めて根本から主張をすることにする。
(オ)への反論 原審は判決文38頁において、補助金は「国から交付されるものであるから(中略)、これは福知山市の固有の財産に何らの変動も及ぼすものではない」と判断をしている。これは補助金の交付の趣旨が多様なものであり、合併事業が国政選挙の委託というような事務ではなく、まさに、自治体の事業そのものであるという事実を見落としたものである。控訴理由書(2)第6,2で主張した通りである。