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府土地訴訟の準備書面6



平成23年(行ウ)第18号  損害賠償請求行為請求事件
原告  正木明人
被告 京都府中丹広域振興局長 木村学                        

原告準備書面(6)
平成24年2月23日

京都地方裁所第3民事部合議BD3係 御中
原告 正木明人

第1  被告準備書面(1)へ反論する。

1 京都府中丹広域振興局長の権限について、以下の点において、地方自治法243条の2の財務会計職員と明らかに違っている。
① 地方自治法155条で広範な権限の推定が認められている(甲22号証457頁左から6行目)。
② 他の専決委任とは違い、中丹広域振興局長は、委任された事務につき、自己の名前で権限を行使している(甲6号証3~10頁)。
③ 予算の範囲内で、与えられた地域のなかで、交付金の配分の裁量権を持っている(乙1号証)。
④ 都道府県の支庁若しくは地方事務所の権限に属するおおむね全般にわたって知事の権限を分掌している(地方自治法175条)(甲76号証)。 
⑤ 中丹広域振興局のホームページで、包括的な事務の範囲を明示しており、
そこには、起債の同意事務も含まれている(甲77号証1頁下線部)。
⑥ 地方自治法153条の委任について、従来の慣行について求釈明中である。

2 以上、中丹広域振興局長は、中丹地域に限定されてはいるが一定の包括的権限を持っており、地方自治法243条の2の財務会計職員とはいえず、過失責任が問われるべきものである。

第2、1 今回、京都府(以下府という)未来づくり交付金は、合併特例債起債対象事業である福知山市の防災センター事業用地再取得事業に対して交付されたものである。 
市は、福知山市土地開発公社(以下、土地公社という)からこの用地を取得した。
公有地拡大推進法によれば、当然、市の土地公社からの取得価格は公社の用地保有中の取得原価でなければならない(甲78号証106頁傍線部)。
他方で、京都府市町村未来づくり交付金交付要綱は、交付金の額は、市町村の自主性を尊重しつつ、交付対象事業の効果等に応じ算定された交付基礎額(原則として、交付対象額(特定財源を控除した後の額)の概ね2分の1を目安とする)の合計以内において決定するものとすると定めている(第4条)。
合併特例債は、一般財源は5%であり、残りの特定財源は、国庫補助金の500万円と、起債は、95%にも及ぶ10億9000万円である。したがって未来づくり交付金算定の対象事業費は、一般財源の5743万3000円であり、交付金はさらに、その2分の1で、2849万8000円である。

3 このように、中丹広域振興局長は、交付額に対する裁量権には、制限はあるが起債に係る同意事務を執行している。したがって、事業内容を全く認識せずに同意することはあり得ない。特に、平成23年7月11日付け再確定通知においては、明らかに認識したはずである(甲9号証9頁)。
また、この同意事務は、財務会計行為ではない。したがって、地方自治法243条の2の財務会計職員ではない。支出負担行為を行った場合は、単なる過失責任を負うものである。

第2、1 府は、福知山市の防災センター事業用地取得事業に対して、未来つくり交付金を交付した。ところが、市と市土地公社の売買契約は無効であったか、または取り消すべきものであった。
したがって、府は無効または取り消すべきものであった行為に対して、未来づくり交付金を交付したことになり、交付額は、府に発生した損害である。この点は、現在、情報開示請求中であるが、開示された資料を元に、次回準備書面(7)で、詳細に述べる。

2 次に、府は公有地拡大推進法における設立許可者であり(10条2項)、解散許可者である(22条1項)。府の、市と市土地公社の取引への関与について、関与が、不法行為の要件を満たせば、未来づくり交付金の交付という財務会計行為の原因行為となる。
原因行為に係る府の関与と違法については、市が、公有地拡大推進法による公社設立当初から、独自の運営をしていた(甲3号証3頁蘆田専務理事発言)問題について、府は、市土地公社を、公有地拡大推進法第19条による設立許可者としての監督監視権限を有し、決算書や契約書を提出させれば簡単に見破れるところを、看過し、長年にわたって行使を怠ってきた。
市土地公社は長年にわたって、多数の定款目的外行為を行ってきたが、あえて看過してきた。

第3 未来づくり交付金の交付行為は、上記第2、2の後行行為である。
準備書面(8)ではこの後行行為の原因となった、上記第2、2で述べた行為、すなわち、府の行った不法行為について具体的に主張する。










eーふくちやま準備書面(17)

平成21年(行ウ)第37号  損害賠償命令請求事件
原告  正木明人
被告  福知山市長
                        
原告準備書面(17)
平成24年2月6日
京都地方裁所第3民事部合議CE4係 御中
原告 正木明人

第1、1 原告準備書面(13) 1頁下から行目の(甲93号証)を(甲101号証)に訂正をする。
2、原告準備書面(14)  (甲95号証)を(甲103号証)に訂正をする。

第2、1 被告は、被告準備書面(4)第2,2 において、随意契約の理由をつらつらあげている。そこでは、被告が支出負担行為伺いで、「競争入札の前提となる予定価格の積算が困難であり競争入札になじまない」として伺いを立てている(甲19,20,21,22及び23号証)が、この理由付が、随意契約が認められる場合を規定する、地方自治法施行令167条の2第1項のどの文言に該当しているのか全く説明がない。要するに。我田引水で、都合がよい理屈を勝手に並べているだけで、全く違法な理由づけである。

2 被告が予定価格設定をしなかったという理由は、福知山市財務規則137条に規定する理由のいずれにも該当せず、同条例違反である。

3 積算能力に欠け、したがって、50億円という総事業費が、現実かつ適法に]算出した場合、いくらかかるかも把握できずに、民間企業が採算を危惧する事業に、行政なら取り組むことが出来ると、安易に取り掛かった行為は、すなわち地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項を、全く無視した行為である。
この一連の行為が、今日の事業破たんを招致している根本的な原因であるという事実を明白に物語っている。

4、一 現在、数十億円という巨額の事業費どころか、わずかな事業費の把握できないものが、どういう経過で、市にとって慎重を要したはずの公設公営を決断したのか、また、プロポーザルで、三井情報サービスを決定した判断の根拠も、決断した当人自身が不安そうであることからすれば、それらの政策決定過程で不明朗な、やり取りがあったのではないかという疑いが生じざるを得ない(98号証111頁)。
二 さらに、157頁下から2行目の表現は、NHK共聴と関電共聴は、当時、住民負担ゼロで施設改修を行うとみられていた。そうなれば、光ファイバーでのテレビ映像再送信事業は、実施エリアが狭くなってしまうことを当時、市は危惧していた。
三 他方では、住民には、平成19年5月2日時点ですでに、加入金は15万8000円かかると吹きかけていた。まさに、地方自治法2条14項と地方財政法4条1項に真っ向から敵対する行為をやっていた。
「努力をしている姿勢を見せる必要がある。(この問題が今年度実施範囲の特定を困難にしている要因である)。」この彼らの努力は、住民をだます努力である。今後、次々と明らかになっていくなかで、相手方と、違法理由と、損害が特定されていくことになる。

第3、被告準備書面(5)への反論
1、被告は、e-ふくちやま整備事業において、平成18年度に行われた事業を原告が知り得たのは、原告が、準備書面(13) 第1,1において主張する平成21年6月25日ではなく、平成18年12月6日付けの新聞報道をはじめ、すでにマスコミ等で何回も報道されていたこと、及び、平成20年8月20日の原告のブログで、「例えば、合併特例債対象事業である、eーふくちやま、都センター、給食センター、防災センター建設などは、財政状態によっては再建策の対象とするべき事業である」との記事からすれば、原告が知り得たのは、原告が主張する日時よりも早いという。
しかしながら、被告は、正当理由の判断では、事業の存在を知る時点が、重要だと思っているようであるが、以下の示すように、被告の主張は極めて稀有な主張である(甲104号証58頁下線部)。

2 一 この点、最高裁判例は、正当理由が認められる場合につき ①普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くせば客観的に見て、監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在又は内容を知ることができたと解される時から ②相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断されるとした(最一小判平成14・9・12)。
二 さらに、「住民が存在内容を知ることができたとしても当該行為が違法不当であることを知り得なければ監査請求を住民になすことを期待することはできないから、当該行為を知ることが出来たと言えるためには、当該行為の存在のみならず、当該行為が違法不当であることを基礎づける事実を知ることが必要というべきである」とする(最一小判平成14・9・12) (甲104号証)。
三 以上、正当理由における、知り得た時とは、何も、事業の存在を何時の時点で知ったかどうかではない。存在する事業の多くは,違法な事業ではない。問題は、極めて悪質で、かつ、立証が可能である数少ない事業を取り上げて、その中の、知りうる極一部について、どの事業が具体的に違法であり、損害が発生しているかどうかを調査し監査請求をする行為である。これが住民にかかっている重い負担なのである。

控訴人準備書面

平成23年(行コ)第103号損害賠償命令請求控訴事件
控訴人(1審原告)正木明人
被控訴人(1審被告)福知山市長 松山正治
          控訴人準備書面(2)

                       平成23年12月9日   
大阪高等裁判所第11民事部御中
                           控訴人 正木明人

被控訴人答弁書への反論
第1 控訴人は、4つに分けた最後の支出負担行為、支出命令及び支出が終った時が、各財務会計行為が行われたときあるいは終った時と主張してきたが、仮に、被控訴人が主張し、かつ原審が採用した、それぞれが格別の行為であるとする主張を前提としても以下の判断の違法があると言わざるを得ない。

第2  被控訴人答弁書第2、2正当理由の存在についての反論
1(1) 被控訴人は(ア)において、「住民であれば,誰でもいつでも閲覧等をすることができる情報等については、それが閲覧等をすることが出来る状態に置かれれば、そのころには住民が相当の注意力をもって調査をすれば客観的にみて知ることができたものと解されようという指摘(『最高裁判所判例解説民事篇平成14年度(下)』656頁)を引用して原判決を正当であるとする。
この点は、判例も「相当の注意力をもって調査をすれば客観的にみて監査請求をするに足りる程度に財務会計行為の存在及び内容を知ることができた」とする。この点は異論はないが、問題は、今回の事件への適用である。
(2)控訴人の反論
一 議会会議録は、作成が完了し、存在するに至った時期が特定できなければ、期間内に相当の注意力をもって調査をしたかどうか判断しようがないはずである。控訴人としては、存在しないものの調査をすることはできない(甲111号証)。
控訴人は、福知山市以外の自治体もアトランダムに調べてみたが、会議録の作成時期を定めている自治体は、皆無であった(甲112~116号証)。
強いて言えば、定例会の場合は、次回定例会までである。福知山市の場合は12月定例会の議事録は,翌年の3月初めの定例会までである(甲110号証)。
決算審査特別委員会は、次回の予算委員会までであるが、予算委員会は2月である(113号証2頁)。
福島市のように決算審査特別委員会会議録を開示しない自治体もある(甲114号証)。
いずれにしても、控訴人は、「相当の注意力をもってしても調査を」しようがなかったのである。
二 原審は、遅くとも平成20年12月19日までには知りえたから、平成20年12月20日から計算して、住民監査請求日の平成21年2月27日までに、69日経過している(判決文37頁(エ))。
したがって、60日よりも9日間経過しているから、相当な期間内に監査請求をしたものとはいえないとする。しかし、わずか、9日間が経過したからいって、それだけで正当理由がないとする明確な判例はない。判例を調べても、適用される具体的事例は様々に多様であり、一概には言えない。
三 「相当の注意力をもって調査をすれば客観的にみて監査請求をするに足りる程度に財務会計行為の存在及び内容を知ることができたと解される」場合であっても、当該監査請求人本人が議員として審議に加わっていたり(大阪高裁判平成元1.27)不動産鑑定士として特別な調査能力を備えている場合(最三小判平成14.10.15)などには、これら監査請求人個人の情報収集力、専門知識の程度が、知りえた時期の判断に際し斟酌される(甲103号証下線部)。
このことの意味は、控訴人の場合は、真逆の事例である。従来から、行政へ何らかの組織的なかかわりを持っていた住民ではなく、全くの普通の住民である。しかも、たった一人でやっている。住民監査請求も、争点の少なく立証の容易なものから、専門知識を要し、争点も複雑で、かつ立証が困難なものまで様々である。
その住民が、一律に、わずか9日間オーバーしたからという理由でもって、9日という数値を捉えて正当理由がないと断ずる根拠が一体どこにあるのであろうか。原審の判断は、具体的事例への適用を誤ったものである。

2 (1) 被控訴人は(イ)において、原判決が36頁のeで情報開示されたと認定したのは物品契約書等であり、控訴人は誤読していると主張をする。
(2)控訴人の反論 
情報開示が行われたか時点が、控訴人が知りえた時点と結びつかなければ、判決が教育委員会の情報開示に触れた意味がない。
情報開示請求者は、平成21年2月11日になって、行革フォーラムで知りえた情報を開示したが、控訴人が自身以外の誰かが、それまでに市へ情報開示請求をしている事実を当時知りうるはずがなかった事実を述べている。誤認ではない。
3 (1)被控訴人は(ウ)において、乙30号証を引用して、控訴人は、「12月定例会での質疑は、書籍購入についての質疑はなかったとする」旨の主張を引用して、先行取得していた図書をめぐる質疑がなされていると主張する。(2)控訴人の反論
一 定例会の会議録の開示は、議会事務局が平成20年12月25日に、議事録作成の業者委託をし、業者の作成した会議録を検査して議会事務局が受領したのが、平成21年3月4日であり(甲110号証)、控訴人が住民監査請求をした平成21年2月27日以降である。したがって、どういう質疑が12月定例会でされたかは、控訴人には知りえず、会議録の存在日を特定できない限り、控訴人の努力が相当な努力であったかどうかは判断しようがないはずである。したがって被控訴人の主張を採用した判決は違法である。 
二 平成20年12月19日の両丹日日新聞報道(乙37号証)で知りえたかどうかであるが、
① 新聞報道によって、控訴人が知りえたとする判断についても、 都センター(基幹施設が図書館)建設にPFIを導入してはという質問と、都センターの規模を縮小しても、「新刊用予算はしっかりと組んでもらいたい」という質問を今次議員がしているに過ぎない。被控訴人が言うような、「先行取得していた図書をめぐる質疑」ではない。
② 食器の購入についても、同報道では,吉見純男議員の質問は、「給食センターの食器先行取得は適切か」という質問に対して、村上教育部長は,「8000食の食器は、100%補助の合併補助金で購入した。未執行は返還になり、年度繰り越しもできず、財政負担を軽減したいと使った」としている。
この質疑では、予算の流用については触れていない。先行取得のこの報道だけで、住民監査請求をするに足ると思えというのは無理である。原審は、判断を間違っているのである。



平成23年(行コ)第103号損害賠償命令請求控訴事件
控訴人(1審原告)正木明人
被控訴人(1審被告)福知山市長 松山正治
          
控訴人準備書面(3)

                       平成23年12月12日   
大阪高等裁判所第11民事部御中
                           控訴人 正木明人

第1 控訴人控訴理由書(2)の訂正
3頁目上から1行目第4を第4の1に
3頁目上から9行目第4を第4の2に
5頁目上から1行目第6を第7に訂正をする。

第2 控訴人は、控訴人準備書面(2)の冒頭で述べたとおり、平成19年度の書籍購入当初予算7500万円(正確には6286万2000円(甲14号証2頁図書館長発言))を4分割し、4000万円以上の動産購入に議決を要するとした「福知山市議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例」を回避した行為は、外見上でも明らかに脱法行為とわかる行為であり、一体の予算として議会の承認を得た以上は、一体の財務会計行為であると主張してきたが(甲6号証参考事例参照)、仮に、それぞれが各別の4件の書籍購入に係る財務会計行為とする原審の判断を前提としたとした上でも、原審には以下の判断の違法があると主張するものである。この点を再度明確にし、確認しておく。

第3 被控訴人答弁書第2の3損害について、への反論
1  被控訴人は、アにおいて、「原判決は、補助金の交付決定が取り消され、返還をされない限りは(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律17条、18条参照)、福知山市には何らの財産的損害が生じないとしたうえで、本件では、補助金の交付決定の取り消しや返還、それによる加算金の発生が現実化しているとは認められないと判断して、損害の発生を否定したものである(原判決38頁)」と主張している。
さらに、被控訴人は、「控訴人は、合併補助金の性質について縷々主張をするが」控訴人の主張によっても上記の判断の理由は左右されるものではない」と主張している。
被控訴人の主張を要約すれば、原審の判断は、損害発生の有無は補助金の交付決定が取り消され返還を求められるかどうかに尽きると主張しているようである。

2 控訴人の反論
(1) 控訴人は、結審するに際し、都センター及び給食センターを建てれば、すでに備品として購入している書籍や食器を使うことができる。ところが,建てなければ使うことができない。
このように、建てるか建てないかが、裁判所の判断に影響するのかについて釈明を求めたことは、すでに、控訴理由書(1)第2,1,五で述べたところであるが、裁判所は判決の基礎としないとの釈明であった。ところが、原審は、「この点につき、証拠(乙45~49)によれば、都センターや新給食センターが今後建設される可能性もないとはいえず、上記の補助金の交付決定の取り消しや返還、それによる加算金の発生が現実化しているとは認められない」と判断の基礎にしたのである。
この釈明は、判決に重大な影響を及ぼすものである。
(2)一 次に、損害について、被控訴人の引用する原審の判断の部分(原判決38頁上から6行目から、上から8行目まで)には、前段がある(原判決37頁下から2行目から38頁上から5行目まで)。
まず、37頁(2)アで、原審は「原告が損害と主張しているのは、市町村合併補助金を財源とする書籍及び食器等の購入代金額並びに同補助金を返還するまでの加算金である」とし、次の(2)イで、「その損害が固有の財産に生じたものである必要があると解されるとする」とし、そして、「上記補助金自体は、その交付決定に定められた事業にのみ使用されるものとして、国から交付されるものであるから(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律5条~16条参照)、これは福知山市の固有の財産に、何らの変動を及ぼすものではない」と判断をし、その次に被控訴人がいうところ「原判決は、補助金の交付決定が取り消され、返還をされない限りは(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律17条、18条参照)、福知山市には何らの財産的損害が生じない」としたうえで、「本件では、補助金の交付決定の取り消しや返還、それによる加算金の発生が現実化しているとは認められないと判断して、損害の発生を否定したものである(原判決38頁)」とつながっていくのである。
二 ところがどうしたことか、被控訴人主張するところのアには、原審が判断したところの、「損害が固有の財産に生じたものである必要がある」及び、福知山市の「固有の財産へ変動を及ぼすものでない」とする判決のこの部分の引用が欠落している。
被控訴人が、「上記の判断の理由は左右されるものではない」と主張している理由の中に、原審が、判断の立てりとした固有財産論が欠落して、建てなければ補助金の返還が必要になり加算金が発生するという問題に短絡化しているのである。
ということは、控訴審で,被控訴人は、原審が採用したこの部分の主張を撤回したことを意味する。
三 しかし、明らかに原審は、補助金は交付後も国の財産であり、交付された福知山市の固有の財産になっていない。だから、福知山市の固有の財産に何らの変動を及ぼさないと判決理由を述べている。ここで、「何ら」といっている以上は、全く影響を及ぼしていないと解釈できる。100%福知山市の固有の財産にはなっていない。したがって、100%国の財産のままであるといっているのである。
(3)一 さらに、原審の判断を分析すると、原審は、①「その損害が固有の財産に生じたものである必要があると解されるとする」。そして、②「上記補助金自体は、その交付決定に定められた事業にのみ使用されるものとして、国から交付されるものである(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律5条~16条参照)」、したがって、③「これは福知山市の固有の財産に、何らの変動を及ぼすものではない」という理屈である。
二 ここでは、①と③は良いとして、重要なのは、これら①と③がどうして②とつながっていくのかが明らかでない。あるいは、②がどうして①と③につながっていくのかが説明できていない。
恐らく、原審は、②の、「交付決定に定められた事業にのみ使用されるものとして、国から交付される」から、①の、損害が「固有の財産に生じたもの」ではないと繋がっていくのであろうが、使途を限定して国が補助金を交付する行為は、交付を受ける側からすれば、まさに、補助金をもらう行為なのである。
したがって、原審の②では、交付によって、もらう側の固有の財産になったという主張を覆す根拠にはならない。これでは、交付をした後も、交付をした国の固有の財産のままだという判断の根拠が示せていない。
 なお、固有財産を直接的に侵害する場合は、明らかに損害の発生があるが、間接的に侵害する場合(例えば、国の固有の財産ではあるが、使途を間違ったために、もらう側の一般財源から新たな支出が必要になった場合)も同様に、もらう側に損害が発生すると思われるが、原審の争点整理はそこまで、踏み込んでいない。
三  原審が、この問題で、明確な判断を示すことができなかった理由は、補助金が国の財源より支出されることと、交付された補助金が交付を受けた側の固有の財産になる点を混同したからである。原審は、根拠がない財源主義に拘り過ぎたのである。
要するに、福知山市は、補助金を国からもらったのである。もらった以上は、補助金は福知山市のものであり、民法上の贈与契約(民法549条)である。
 この点は、補助金等適正化法講義によると、補助金の性格の第1は、「相当の反対給付を受けないという点」であり、『「補助金等」が交付される場合においては、その交付の対象となっている一定の事務又は事業の遂行あるいは完成という義務付けがあるとはいえ、当該事務又は事業の直接の利益なり効果なりあるいは法律関係なりは、全て「補助金等」の交付を受ける者に帰属する以上、「相当の反対給付」がある者とはいえないであろう』。中略、『しばしば「補助金をもらう」という言葉が使われているが、この「もらう」という言葉が「補助金等」の特殊性よく表しているといえよう(甲118号証31及び32頁傍線部)』と解説している。
 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第6条では補助金等の交付の決定を定めている。国交省所管補助金事務提要において、その解説をして次のように述べている。「補助金の交付決定通知によって生じた補助金の支払債務は、額の確定によって履行期に達するものとされている。この考え方の根底には、補助金は反対給付を直接に要求するものではないが、単なる贈与とは異なるという見方がある」。中略、「補助の目的が達成されなければ国は補助金を支払う義務を生じないとされているのである。右の理屈を貫くと額の確定までは、補助金は全然支払われないことになるが、現実には、補助事業の進捗度合に応じて補助金の一部を支払っている。これは、未確定債務の履行期到来前の支払であるので、概算払いである」(甲120号証46頁)という記述がある。この記述の意味は、交付が贈与であるという当然の解釈を前提として、補助金支払債務の履行について述べているのである。
福知山市の場合は、額の確定によってすでに支払債務が完全に履行され、福知山市がもらった補助金は、当然贈与により、交付を受けた福知山市の固有の財産になっている。このような補助金をもらう行為は、民法上では贈与(負担があれば負担付贈与)を受ける行為であり(民法549条)、財産権は交付と同時に、国から交付を受けた(もらった)自治体に移っているのである(甲119号証157,159及び161頁下線部)。
四 さらに、ここがきわめて重要な点であるが、交付行為は民法上の贈与であるという当然の法解釈を原審は怠り、違法に判断をした。
この点は、控訴人が主張すべき攻撃防御方法の遅れではない。法の解釈・適用を誤った原審の違法である。
五 控訴人は、今回、何も新たに主張しているのではない。原審における原告準備書面(1)6頁下から6行目から7頁上から3行目までの反論第2三において、補助金等適正化法講義31頁の次の「補助金に共通した特殊性は、相当の反対給付を受けないという点にある。補助金等が交付される場合においては、その交付の対象となっている一定の事務又は事業の遂行あるいは完成という義務付けがあるとはいえ、当該事務又は事業の直接の利益なり効果なりあるいは法律関係なりは、全て補助金等の交付を受ける者に帰属する以上、相当の反対給付があるとはいえない。しばしば補助金をもらうという言葉が使われているが、この「もらう」という言葉が補助金等の特殊性よく表しているといえよう」という記述内容を引用し、交付された補助金は、与えた側の国のものではなくもらった側の福知山市のものであると、当初から主張しているのである。
交付によって福知山市の固有の財産になった以上は、使途を誤れば、市に損害を与えることになるのは当然である。
六 交付には負担(条件)が付く場合があり、負担が履行されなければ国が返還を求める場合もあり、かつ主張が成立すれば、補助金は福知山市の固有の財産ではなくなることもありうる(民法549,551及び553条)。ところが、原審では、争点になっていない。
七 原審は、交付があっても、補助金は国の固有の財産のままであり、交付を受けた側の固有の財産になっていないという判断が前提になっている。
したがって、交付された補助金が福知山市の固有の財産である場合に、その使途を誤れば、市に損害を与えるという争点を排除して判断をした。
八 平成19年度に補助金で購入した書籍が古本になった。食器も古くなっている。仮にオープンしても、早くても平成26年度にはなる。購入から数年経ってしまっている。福知山市の住民からすれば、古くなってしまった書籍も食器も廃棄処分して、新たな購入が必要である。買ったものを、使わないままでまた廃棄する。いったい何をしたのだという思いである。
再度購入する費用が、福知山市が被る損害である。この点で、原審は、「原告が損害と主張しているのは、市町村合併補助金を財源とする書籍及び食器等の購入代金額」であると認めてはいるが、違法な固有財産論が障害になっている。近時の地方自治法改正は、分権改革へ向かっているが(甲125号証)、今なお、法的根拠が薄弱な時代遅れの行政指導の残骸が散乱している。このような悪慣行は早急に撤廃するべきである。
要するに、購入した書籍や食器が古くなって価値がなくなってしまえば、新たな支出が必要だ。新規財源で買い替えなければならない。これが損失だと主張する控訴人の主張は当たり前の主張である。
九 以上につき控訴人は、何も、今、新たに主張しているのではない。
控訴人は、原審で訴えの変更申立書2頁下から1行目から3頁上から2行目で、損害の発生について、「どういう損害が発生しているかであるが、現在すでに購入し目的外使用中の書籍の価値は、都センター開館時にはほとんどゼロだということである。食器類も似たような状況である」。と明確に主張をしている。
さらに、原告準備書面(4)第2損害⑤及び⑥においても同様の趣旨の主張をしている。
十 地方自治体は、常に規模の適正化を図らなければならない(地方自治法2条15項)とあるように、合併への選択は自治体が決断する自治体の死活をかけた重大な事業である。国の補助金は、その合併という困難な決断をした自治体への支援である。支援された資金は当然、一般財源と使途は同じである。違うのは、合併によって非効率化が避けられなくなる。だから、行政の仕組みの効率化に使うのである。一般財源で買うものを補助金で買うにすぎない。平成20年度の書籍購入は固有財源であるふるさと創生基金を使っている。
十一 補助金等適正化法講義は、補助金と間違いやすい委託費の交付について、次のようにのべている。「ただし、国が地方公共団体あるいは民間団体に対し調査事務等を委託する場合に交付する委託費についてみれば、相手方は委託費の交付を受ける代わりに、反対給付として調査事務等を実施し、調査結果を国に提供をするわけであるから、国は相当の反対給付を受けるものといわなければならない」(甲118号証32頁傍線部)。しかし、挙げている事例は、委託契約であり、給付は対価関係にある。補助金のように片務契約である贈与ではない。
ところが原審は、原審における、原告準備書面(4)第2損害で,③及び④において、主張しているように、参議院選挙等の国の事業を委託されたケースと自治体の事業である合併事業とを間違え、不適切な判例を引用したために判断を間違ったのである(甲122号証186頁)。





平成23年(行コ)第103号損害賠償命令請求控訴事件
控訴人(1審原告)正木明人
被控訴人(1審被告)福知山市長 松山正治
          控訴人準備書面(4)

                       平成23年12月12日   
大阪高等裁判所第11民事部御中
                           控訴人 正木明人

被控訴人答弁書への反論

第1 被控訴人答弁書9頁目。3 損害について、への反論 
1 被控訴人は、イ(イ)以下において、補助金の性質論を述べている。
(1)被控訴人は、イ(イ)で、「補助金は、返還しても再交付されるということは、損害があるという理由にはなり得ず、再交付されるのであれば全体的に見て、かえって損害はないともいえる。」とする。
(2)控訴人の反論
一 補助金は、交付決定によって国の債務となる。したがって、交付額がもらう側の財産になるが、債務の額が確定するのは補助金を交付の目的通りに使ったという、交付を受ける側の実績報告を待って確定する。
仮に交付をしても、それまでは概算払いである。確定は実績報告をもってする。
実績が、交付決定額に満たなければ,決定通りの満額はもらいない。差額は返還を要することになる。逆に言えば、交付決定額まで、実績を積み上げれば、全額がもらえる。今回の住民訴訟は、まさしく、この問題である。
二 このことと、控訴人がいうところの再交付は意味が違う。市町村合併推進体制整備費補助金要綱第4条3項は、補助金は定額とし、合併関係市町村の人口の区分に応じて合併市町村ごとの金額を合算した額とすると定めている。
このように、合併補助金は、仮に交付決定をしていても、実績が足りないと返還を要するという従来型の補助金ではないのである。福知山市の場合は、この合併補助金を、従来型の補助金と混同してしまった。交付決定額まで使い切らないと返還しなければならなくなると考えたのである。違法な解釈をした違法があるのである。これを正さない原審の判断も従って違法なのである。

2 (1)被控訴人は、イ(ウ)において、「控訴人は合併補助金には、繰り越しという概念がない旨主張する(「控訴理由(2)」3頁等)。しかし、控訴人は何ら具体的な根拠を示していないことから明らかなとおり、実際は、地方自治法213条及び同法220条3項ただし書きにより、繰り越しは認められており、控訴人の主張は,失当である」とする。
(2)控訴人の反論
一 被控訴人は、地方自治法213条の繰越明許費と同220条の事故繰り越しを例に挙げているが、これは、会計年度独立の原則の例外として当該年度の歳出予算の一部を翌年度以降において、執行することができる制度である。地方自治法では、継続費の2次繰り越し(212条)、繰り越し明許費(213条)及び事故繰り越し(220条3項ただし書き)が認められている。したがって、繰越しの要件を満たせば、事業費を翌年度予算に計上できる。
しかし、予算は繰り越せたとしても、もらった補助金は1回しか繰り越せない、その場合は、2回目の繰越しはできないから自主財源でやることになる。
この議論に意味があるのは、もらった補助金の繰り越しを2度はできない。繰越した年度に使い切らなければ、実績が交付決定額に満たないということで、差額を返還することになるという問題である。 
 繰り越せないといっているのは、被控訴人の側である。正確にいうと、平成18年度末の平成19年2月になって、合併補助金が交付決定された。決定されたからといってもいきなりは使えない。だから、補正予算を組んで、平成19年度に繰り越した。これで1回目の繰り越しである。
したがって、繰り越し年度の平成19年度中には、使い切らなければならない。控訴人がすでに控訴理由書(3)第2で主張したところであり、以下は、そういう趣旨での発言である。被告が誤った考えで,他人(国)のものだから使い切らなければ損だという考えで、税金同様の大事な財産を浪費したのである。
① 長坂財政課長発言 「18繰19で、総務省の補助金が付いた。4億2000万円のうち2億ほどついて繰り越しで使用せよということであった。全額繰り越しなので補正できない。繰り越しの中で泳ぐ必要がある。給食センターは、入札で金額がどんどん落ちたので、返さなければならない。返せばもうもらいえない。入札残は補助金なので返さなければならない。その中でちょうど、食缶370万円があった。数を増やすということで承認がもらえたので再度買い増しをしたということである。それが裁判でいえるのかということである。」(甲14号証8頁中段及び下段の発言)。
② 給食センター山口所長 平成18年度補正平成19年度繰り越し予算執行で実施設計・配送車購入等に入札残が出る。さらなる予算繰り越しができないこと、100%補助を有効活用すれば単費対応を回避でき経費節減が図れるということ等を総合的に勘案した結果、平成20,21年度に購入を予定していた新・夜久野学校給食センター食器を前倒しで購入することに、企画推進課並びに財政課等と事前協議を行った末、教育委員会で決定する。(甲13号証3頁質問6への回答) 
③ 村上教育部長の平成20年12月15日本会議での発言 
それから、最後に、8000食の食器の先行取得の件でございますこれにつきましては、決算特別委員会でも説明させていただきましたけれども、この学校給食センターの実施設計の入札残が生じました。これはいわゆる合併補助金で
、100%の補助率の非常に有利な補助金ということで、未執行のまま置いておくと、これを京都府に返還しなければいけないということがございますので、翌年に繰越しもできない、また翌年度以降食器を買うということにしますと、こういう有利な補助金が得られるかどうかもわからないということで、財政負担をできるだけ軽減したいということで、この執行残で買わせていただいたと、財政負担を何とか軽減したいと、そういう一念から買わせていただいたということでございます。(乙30号証49頁)。 
④ 村上教育部長の平成20年12月19日の新聞報道(乙37号証吉見純男議員への答弁の報道)も同趣旨。
⑤ 「書籍を4分割して購入しなければならなかった理由を具体的に示せ」という質問に対する井上図書館長の回答  財源が補助率10╱10の   補助金であり、有効に活用する必要があった。また、そのために事業全体予算の執行調整を最終的に図書購入で行うことになっていたため、執行額を段階的に確定し、予算を執行する必要があった。(甲10号証2頁)
 なお、別に①②③④⑤だけではない。福知山市の職員は、市民の方へ顔を向けず、国の方を向いて補助金を如何にしてもらうかということばかりに知恵を絞っているのである(甲123,124及び125号証)。したがって、被控訴人の批判こそ失当である。
3 (1)被控訴人はイ(エ)において、「控訴人は、原判決に対して、合併補助金を従来型の補助金と誤解し、しかも、100%の補助金であると誤った解釈をしている旨批判する(「控訴理由書(5)」2頁)する。しかし、原判決はその理由において、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律を引用しており、同法における補助金には合併補助金も含まれるから、控訴人の批判は失当である」とする。
(2)控訴人の反論
控訴人の主張は、100%の補助金いついては、どう使っても、もらう側の固有の財産には変動はないとする原審の判断についていっている、原審は、もらった補助金は、交付した後も国の固有の財産であり、福知山市の固有の財産には何らの変動はない。損害はないといっている。このことが重要である。特に、合併事業は、自治体の命がけで取り組む自治体の事業である(地方自治法2条15項)。しかも、合併で吸収した周辺部の過疎地域は、税収が期待できず、行政区域が拡大して極めて非効率な行政経営を強いられている。福知山市に限らず、合併は市にとって死活がかかっている事業である(甲126号証)。
4 (1)被控訴人は、イ(オ)で、なお、「控訴人は、原判決が、どのように補助金を使っても自治体に損失はないと判断したかのように主張する(「控訴理由書(2)」4頁)しかし、原判決は、そのような判断をしていない」とする。
(2)控訴人の反論
一  原判決は、原判決37頁から38頁にかけて、(2)損害の有無イにおいて、「この点、住民訴訟は、普通公共団体の財務についての不当、違法を是正する目的の制度であるから、そこで問題となる損害や損失は、当該普通地方公共団体の固有の財産に生じたものである必要があると解される。そして、上記補助金自体は、その交付決定に定められた事業にのみ使用されるものとして国から交付されるものであるから、これは福知山市の固有の財産に何らの変動を及ぼすものではない」と判断している。
そうすると、補助金の交付決定が取り消される場合、すなわち、都センターや新給食センターが建設されず、したがって、国から返還を求められる場合以外は、どう使っても、福知山市には損害はないと原審は判断したのである。ところが、すでに、交付されてしまっている補助金だけでなく、合併補助金要綱第4条3項で確定している合併補助金総額の4億2000万円も福知山市の財産である。原審では、この説明ができないのである。
 さらに、補助金は多様である。現実に、委託費の支出も補助金とされる。補助を目的とする事業も多様である。国のかかわり方も多様である。
しかも、補助金は廃する方向にある。このような時代に、昭和末期の判例を、引用すること自体に無理があるのである。

第2 4 財務会計行為の違法性について(9頁目)、への反論。
1 (1)一 原審は、原判決「ウ」38頁において、「以上によれば、各財務会計行為が仮に違法であるとしても、福知山市に損害が発生しているとは認められない。したがって、その余を判断するまでもなく、(中略)、相手方に対し、(中略)、損害賠償命令をするよう被告に求める請求は理由がなく、(中略)、違法な財務会計行為として請求される金額部分は理由がない」とする。
二 被控訴人は、答弁書9頁4において、仮に違法があるとしても損害がないとし、損害があるとすれば書籍負担⑤、書籍命令⑤書籍支出⑤であるとし、以下で、書籍負担⑤書籍命令⑤書籍支出⑤に限って、違法性がないことを主張する。

(2)被控訴人の主張(1)支出負担行為の違法について、への反論
一 被控訴人は、再三、4分割した書籍購入行為が1体の財務会計行為とであるとする控訴人の『独自の見解』を強調するが、控訴人は控訴人準備書面(2)以降では、4分割した書籍購入行為が、各別の行為とした、原審の判断を前提にしても、なおかつ、原審の判決には、違法があるとする主張をしている。
したがって、一体論はここでは延べない。反論もしない。
二 そこで、準備書面(2)以降の控訴人の主張は、分割を各別の財務会計行為とした場合、どういう主張になるかというと、1年間の期間制限が経過した財務会計行為は、期間の経過に正当理由が必要である。この点で、控訴人には正当理由がある事実をこれまで準備書面(2)で主張してきた。
したがて、全ての財務会計行為に、違法かつ損害があれば、控訴人の主張は採用されなければならないはずである。控訴人準備書面(3)では、損害について主張をしてきた。
三 そこで、この分割をした行為が違法でなかったかどうかが争点になる。
 被控訴人は、平成20年度の第一回目の書籍買い入れ額は、610万9018円であったから、当初予算額が6000万円であっても、買い入れ額が4000万円を下回っているので何ら問題はないとする。
要するに、地方自治法第96条第1項第8号は、当福知山市においては、まさにざる法であるということである。こういう主張をどこで食い止めるかであるが、いつまでも地方自治法の改正を待っては取り返しがつかなくなる(甲123,124及び125号証)。原審が言うところの、自治体の固有の財産を変動させるものでなければ、何ら損害は発生しない。損害を発生しないものを、違法かどうか検討する必要はない。逆に言えば、もらった補助金がもらった側の固有財産になるのであれば、違法性の有無も当初から判断せざるを得ないということであろう。
控訴人としては、違法性論を改めて主張する機会を持つことを、切に願うものである。















年内訴訟予定

Q 今日で、年内訴訟予定は終わったのか?

A そうだ。市相手の土地開発公社の2件があった。
土地の場合は、平成21年度からはしっかりやりますといっている。逆に言うならそれ以前はどうだったんだということだ。
平成20年度以前については、間違ってたが直すつもりはありませんということを言っている。
そういう言い分が通るかどうかだ。



控訴人準備書面(2)

平成23年(行コ)第103号損害賠償命令請求控訴事件
控訴人(1審原告)正木明人
被控訴人(1審被告)福知山市長 松山正治
          控訴人準備書面(2)

                       平成23年12月9日   
大阪高等裁判所第11民事部御中
                           控訴人 正木明人

被控訴人答弁書への反論
第1 控訴人は、4つに分けた最後の支出負担行為、支出命令及び支出が終った時が、各財務会計行為が行われたときあるいは終った時と主張してきたが、仮に、被控訴人が主張し、かつ原審が採用した、それぞれが格別の行為であるとする主張を前提としても以下の判断の違法があると言わざるを得ない。

第2  被控訴人答弁書第2、2正当理由の存在についての反論
1(1) 被控訴人は(ア)において、「住民であれば,誰でもいつでも閲覧等をすることができる情報等については、それが閲覧等をすることが出来る状態に置かれれば、そのころには住民が相当の注意力をもって調査をすれば客観的にみて知ることができたものと解されようという指摘(『最高裁判所判例解説民事篇平成14年度(下)』656頁)を引用して原判決を正当であるとする。
この点は、判例も「相当の注意力をもって調査をすれば客観的にみて監査請求をするに足りる程度に財務会計行為の存在及び内容を知ることができた」とする。この点は異論はないが、問題は、今回の事件への適用である。
(2)控訴人の反論
一 議会会議録は、作成が完了し、存在するに至った時期が特定できなければ、期間内に相当の注意力をもって調査をしたかどうか判断しようがないはずである。控訴人としては、存在しないものの調査をすることはできない(甲111号証)。
控訴人は、福知山市以外の自治体もアトランダムに調べてみたが、会議録の作成時期を定めている自治体は、皆無であった(甲112~116号証)。
強いて言えば、定例会の場合は、次回定例会までである。福知山市の場合は12月定例会の議事録は,翌年の3月初めの定例会までである(甲110号証)。
決算審査特別委員会は、次回の予算委員会までであるが、予算委員会は2月である(113号証2頁)。
福島市のように決算審査特別委員会会議録を開示しない自治体もある(甲114号証)。
いずれにしても、控訴人は、「相当の注意力をもってしても調査を」しようがなかったのである。
二 原審は、遅くとも平成20年12月19日までには知りえたから、平成20年12月20日から計算して、住民監査請求日の平成21年2月27日までに、69日経過している(判決文37頁(エ))。
したがって、60日よりも9日間経過しているから、相当な期間内に監査請求をしたものとはいえないとする。しかし、わずか、9日間が経過したからいって、それだけで正当理由がないとする明確な判例はない。判例を調べても、適用される具体的事例は様々に多様であり、一概には言えない。
三 「相当の注意力をもって調査をすれば客観的にみて監査請求をするに足りる程度に財務会計行為の存在及び内容を知ることができたと解される」場合であっても、当該監査請求人本人が議員として審議に加わっていたり(大阪高裁判平成元1.27)不動産鑑定士として特別な調査能力を備えている場合(最三小判平成14.10.15)などには、これら監査請求人個人の情報収集力、専門知識の程度が、知りえた時期の判断に際し斟酌される(甲103号証下線部)。
このことの意味は、控訴人の場合は、真逆の事例である。従来から、行政へ何らかの組織的なかかわりを持っていた住民ではなく、全くの普通の住民である。しかも、たった一人でやっている。住民監査請求も、争点の少なく立証の容易なものから、専門知識を要し、争点も複雑で、かつ立証が困難なものまで様々である。
その住民が、一律に、わずか9日間オーバーしたからという理由でもって、9日という数値を捉えて正当理由がないと断ずる根拠が一体どこにあるのであろうか。原審の判断は、具体的事例への適用を誤ったものである。

2 (1) 被控訴人は(イ)において、原判決が36頁のeで情報開示されたと認定したのは物品契約書等であり、控訴人は誤読していると主張をする。
(2)控訴人の反論 
情報開示が行われたか時点が、控訴人が知りえた時点と結びつかなければ、判決が教育委員会の情報開示に触れた意味がない。
情報開示請求者は、平成21年2月11日になって、行革フォーラムで知りえた情報を開示したが、控訴人が自身以外の誰かが、それまでに市へ情報開示請求をしている事実を当時知りうるはずがなかった事実を述べている。誤認ではない。
3 (1)被控訴人は(ウ)において、乙30号証を引用して、控訴人は、「12月定例会での質疑は、書籍購入についての質疑はなかったとする」旨の主張を引用して、先行取得していた図書をめぐる質疑がなされていると主張する。(2)控訴人の反論
一 定例会の会議録の開示は、議会事務局が平成20年12月25日に、議事録作成の業者委託をし、業者の作成した会議録を検査して議会事務局が受領したのが、平成21年3月4日であり(甲110号証)、控訴人が住民監査請求をした平成21年2月27日以降である。したがって、どういう質疑が12月定例会でされたかは、控訴人には知りえず、会議録の存在日を特定できない限り、控訴人の努力が相当な努力であったかどうかは判断しようがないはずである。したがって被控訴人の主張を採用した判決は違法である。 
二 平成20年12月19日の両丹日日新聞報道(乙37号証)で知りえたかどうかであるが、
① 新聞報道によって、控訴人が知りえたとする判断についても、 都センター(基幹施設が図書館)建設にPFIを導入してはという質問と、都センターの規模を縮小しても、「新刊用予算はしっかりと組んでもらいたい」という質問を今次議員がしているに過ぎない。被控訴人が言うような、「先行取得していた図書をめぐる質疑」ではない。
② 食器の購入についても、同報道では,吉見純男議員の質問は、「給食センターの食器先行取得は適切か」という質問に対して、村上教育部長は,「8000食の食器は、100%補助の合併補助金で購入した。未執行は返還になり、年度繰り越しもできず、財政負担を軽減したいと使った」としている。
この質疑では、予算の流用については触れていない。先行取得のこの報道だけで、住民監査請求をするに足ると思えというのは無理である。原審は、判断を間違っているのである。










プロフィール

正木明人

Author:正木明人
正木明人が、発信するブログです。

21世紀初頭のこの混乱は、人類の生存を危ぶませるに十分なものです。
その中で、何をなすべきか?
何時の時代も、国民世論の形成は困難を極めた。
なすこともなく、危機を迎えることはできない。私たちは、後続世代にどのようにつなげていけるのか?

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