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コソボでも台湾でも、米国は代理を使って内側から敵国を貶(おとし)めるいつもの手口

<記事原文 寺島先生推薦>

From Kosovo to Taiwan, Washington’s tried and trusted recipe for chaos rears its ugly head again
The latest stand-offs follow a well-worn blueprint from Pristina to Taipei and beyond


(コソボから台湾まで。米国政府が混乱を引き起こすためこれまで何度も試し、信頼してきた戦法が再び頭をもたげている。今の膠着状態を打破しようと、使い古された戦法を、コソボの首都プリシュティナから台湾、さらにそれ以外の地域でも使おうとしている。)

筆者:レィチェル・マースデン(Rachel Marsden)

出典:RT

Rachel Marsden is a columnist, political strategist, and host of independently produced 
rachelmarsden.com

2022年8月2日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年8月7日



コソボのヴィヨサ・オスマニ・サドリウ(Vjosa Osmani Sadriu)大統領・アルビン・クルティ(Albin Kurti)首相とワシントンの国務省で面会する米国アントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官。2022年7月26日(火)© Olivier Douliery / Pool Photo via AP

 米国のアントニー・ブリンケン国務長官がコソボの首脳陣と公式会談を行った直後に、先週末コソボで或る事件が起きたのだが、これがただの偶然でないことは明らかだ。この公式会談が行われたのは、プリシュティナ当局が、セルビアの中央政府が発行した自動車のプレートや文書を、コソボ領内のセルビア人が利用することを拒否する準備を始めたのと同じ時期だった。(なおその直後、7月31日(月)の夜に開始される予定だったこの措置の執行は延期された)。
 
 さらに腑に落ちないことは、全ての国々から国家であると承認されているわけではないコソボのヴィヨサ・オスマニ「大統領」が、ロシアに対して行った以下のようなバカげた発言だ。同大統領によると、「我々はこの先もずっと、米国や欧州の同盟諸国に対して揺るがない支持を維持し、ロシアやその地域のロシアの代理勢力が有している計画を阻止しなければなりません」とのことだった。さらにブリンケン米国務長官も、コソボ当局に「ウクライナに対する強固な支持」を行うよう求めていたのもおかしな話だ。というのもウクライナはコソボがセルビアから独立したことを公式に承認していないからだ。言うまでもないが、コソボにはNATOの大軍事基地の一つが置かれていて、NATOは、必要が生じればコソボへ「介入する」ことを公式表明している。なんと都合の良いことか。

 おそらく以下のことも全く偶然の出来事としてすまされるのだろうが、セルビアはたまたまロシアに対する支持を打ち切ることを拒絶しており、イランとの貿易を増加させ、ロシアの同盟国であるベラルーシとの軍事協力も強めている状況がある。さらにセルビアのアレクサンダル・ブリン国務大臣がつい先週(7月最終週)語ったところによると、セルビアは、ウクライナに対してロシアが行った行為に対する制裁措置には加わらず、NATOのロシアとの戦いにおいてNATOの「歩兵」になる気はないとのことだった。あるいはNATOが1990年代後半に、当時の米国ビル・クリントン大統領の「道義的」な指揮のもと、「人道的」立場から、セルビアからコソボ地方を分離独立させ、それ以降コソボをセルビア(さらにはセルビアの友好国であるロシアに対しても)に対する圧力調整弁に使ってきたことも全くの偶然ということになるのだろう。しかしこれらのことが偶然の結果でないとしたら、政権転覆を求めてきた西側の手口こそがこの状況に至った納得のいく説明になるということだ。この手口に含まれるのは、代理国や代理兵士たち(あるいはその両方)をでっちあげて、それらを西側が当該地域の「政権」の被害者とされている人々に売りつけるというやり方だ。その「政権」とは、西側が地政学上標的としている敵諸国の政権のことだ。

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: In Kosovo as in Ukraine, the same Western ‘invisible hand’ foments conflict

 同じ手口が今アジアでも繰り出されている。ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)民主党下院議長がアジア訪問中に台湾を訪れようというそぶりを見せているのだ。台湾を中国からの独立国であると認めているのはたった13カ国しかない。しかも米国は1979年以降台湾を独立国であるとはずっと認めてこなかった。ただしそれ以来、1979年制定の台湾関係法が、中国内部で米国の軍事力を持つという意味においてのトロイの木馬となってきた。この法律が求めているのは、米国政府が「大統領や議会の決定のもと、自衛を可能にする程度の防衛物資や防衛業務を台湾が確保できるようにする」ことである。このことが、西側諸国の支配者層や軍産複合体がここ何十年もの間、台湾にこだわってきた理由の説明になる。

 西側諸国の支配者層や軍産複合体の連中が台湾にこだわるのは、武器を買ってもらおうという魂胆からだけではない。連中が分かっているのは、 米国政府が条約上の義務を果たそうとする際は常に、(そうする際には米国は必ず数十億ドルの規模の金を動かすのだが)、 中国を自国内でイラつかせるという手法だ。ハワイ州に対して、米国当局という非対等の勢力から「侵略されるかもしれない 」という脅威から守るためという口実で中国政府がハワイ州に軍事用武器を売るのと同じことなのだ。そしてもちろん、以下のこともおそらく全くの偶然として片付けられるのだろう。それは米国政府のナンバースリーに当たる役職にある人物が、中国政府が明確に示している期待に反して台湾を訪問しようとしていることだ。中国との緊張が高まっている最中のことであり、ロシア・ウクライナ間の紛争時に、中国が大金槌を握りしめ西側が支配してきた従前の世界秩序にロシアとともに一撃を加えようとしている最中のことだ。 さらには台湾を使って中国を国内から弱体化させる動きが開始されれば、米国政府の競争力向上には役に立つということも、ただの偶然なのだろうか?

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Spain comments on Kosovo’s legal status

 代理を使った同じような手口が見えるのが、米国政府がウクライナで、ネオナチのアゾフ大隊をロシアとの紛争が起こる前から支援していたことだ。あるいはCIAと国防総省がシリアの反政府勢力を支援した長年の努力にも関わらず、シリアのバシャール・アサド大統領を失脚させることに失敗した事例からも同じような手口が見て取れる。さらにアフガニスタンでムジャヒディンに訓練を施し、武器を与えるというCIA主導の対ソ連戦略からもだ。さらにはCIAが500人の(コントラという名で知られている)ニカラグアの反乱勢力を雇い、ニカラグアの左派であったサンディニスタ政権を転覆させた事例からも、だ。あるいは米国の様々な政府機関が数年間にわたりイランの政権を転覆しようとしてきた作戦からもだ。その手口は、イランの反体制派であるモジャーヘディーネ・ハルグ(MEK)という組織を拡大し、支援するというやり方だった。

 米国政府は、様々な「市民社会運動」団体に資金を提供し、USAID(米国国際開発庁)などの組織を使い、米国政府にとって地政学上最重要地域にある政権の転覆工作を行ってきたのだが、これらの工作の手口も全く同じ手口の一部にすぎない。ロシア政府は2015年にこのことに対する注意を喚起し、国家安全保障上脅威とみなされたことが行われた場合は、法により禁止するとしていた。

 戦争の瀬戸際にある地域(台湾やコソボなど)や、既に戦争に巻き込まれている地域(ウクライナなど)が明らかになった時点で、米国のしっぽを掴もうとしても手遅れになることが常だ。それ以外でやってみる価値のある行為は、米国の代理勢力の動きから目を離さないことだ。おなじみのあの気味の悪い振動を感じ取る努力を怠らないということだ。その振動を見れば、これまで西側諸国が起こしてきた敵国に対する政権転覆工作と同じような特徴を見いだせるかもしれないからだ。
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台湾は独立国です

 台湾は独立国です。台湾をコソポのようなでっち上げの「国もどき」と同列で論じるのは間違いである。

 台湾は第二次世界大戦後に日本から「中華民国」に返還されたことになってる。それは講和条約の通りだ。その後、中華民国は共産党勢力との内戦に陥り、大陸側を共産党に占められたため台湾に政権本部を移動させただけであって、中華民国自体は1949年の中華人民共和国設立以前からずっと存続し、大陸側とは全く別の政治体制を維持し統治され並存した地域だからだ。
 中華民国は共産党政権に完全に倒されたわけではないし、国全部の土地を獲られ他国へ逃れた亡命政権でもない。そもそも台湾を共産党政権が統治した歴史がないので、共産党政権に台湾の統治権が発生することは有り得ないのである。
 中華民国政府を追い出し大陸側の統治権を奪ったのは確かであるが、だからといって滅んでもいない中華民国からの継承権をたてに、統治どころか占領さえもしていない地域の領有を主張するのは盗人猛々しいというものだ。(中華人民共和国は第二次大戦中に存在さえしていないので台湾は清を継承した中華民国に戻すしかない)

 現在の「どちらを認めるか」という問題は、彼ら自身が撒いた自縄自縛の失態にすぎない。
 あたかも承認した国の数で独立した国かどうかが決まるかの論法は、全くの錯覚である。国とは住民がいて、自然発生的に住民の認めた統治する主体があるだけで独立した国なのである。まるで多数決で決まるかのように、国交の数で独立国かどうかが決まるわけではない。それではその地域の住民の意思は全く関係なく他国がその地域のことを決めることになり、民族自決など有り得ない事になってしまう。

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