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トランプはイランの核を非難するが、一方、
サウジは原爆を獲得しようとする危機

Trump accuses Iran over nukes, all the while risking Saudi regime acquiring the bomb

RT Home/Op-ed/ 2019年6月13日

(翻訳:新見明 2019年7月7日)

<記事原文>
https://www.rt.com/op-ed/461797-saudi-iran-nuclear-weapons/

フィニアン・カニンガムは受賞ジャーナリストで、国際問題を専門に執筆している。


© Getty Images / Richard Newstead

トランプ政権は、サウジアラビアに機密核技術を与える無謀な道を歩もうとしているようだ。それは、この悪名高い体制が大量破壊兵器を手に入れることにつながる。

これは、トランプ大統領が、テヘランは密かに核兵器を開発しようとしていると、イランの軍事的脅威を激しく非難しているときにだ。

この二枚舌には唖然とさせられる。トランプ政権は、核拡散を阻止する中東の警察官のふりをしている。ところが実際は、核兵器競争を焚きつけ、戦争の危機を高めているのだ。

明らかにサウジアラビアは、石油の将来が戦略的挑戦を受けたとき、民間エネルギーや水需要を調節するために、原発建設の野心を持っていることは明かである。アメリカとロシア、韓国を含む他の数カ国は、これら数十億ドルもする原発建設の契約を争っている。 

トランプ政権は機密技術をサウジに与えるため、原子力会社に許可を与えるように推し進めていることがいま明らかになっている。警戒すべきは、ホワイトハウスが秘密裏にそれを行っていることである。それは国家安全保障規定に基づく議会の監督を無視するものである。


さらなる懸念の元は、トランプ政権がサウジに核兵器技術のノウハウを与えているらしいことだ。彼らは、市民のエネルギー利用が核兵器計画とは厳密に区別されているという主張を押し通している。気がかりなことは、トランプ政権が、その曖昧性を気に掛けていないように思えることだ。アメリカ政府はサウジの核技術承認を推し進めている。

サウジアラビアの血気にはやるモハメド・ビン・サルマン王子(MbS)は去年アメリカメディアに語った。「もし」イランがそうすることになったら、我が国は核兵器獲得競争に参加するだろう。MbSが、トランプ政権やイランを宿敵と考えるイスラエルに近いとするなら、テヘランが秘密裏に核兵器計画を推し進めていると、サウジの支配者たちがすでに考えていると想定される。

イランは、核兵器製造の訴えを絶えず否定してきた。イランが、核兵器への応用を禁止する2015年国際核合意を遵守していることは、IAEAの一ダース以上の国連調査報告からも証明されている。

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Also on rt.com If Iran wanted nukes 'America couldn't do anything about it' – Ayatollah Khamenei
(さらに読む)たとえイランが核を望んでも、アメリカは何も言う資格がない


しかし、それでもイスラエルやトランプ政権は、絶えずイランが核開発をしていると主張するのを止めなかった。代わりにそれは、サウジの支配者が原子爆弾を製造する決定をしたことを意味している。

他にもいくつか、核兵器競争が中東の道を阻害することを恐れる理由がある。

トランプのホワイトハウスは、サウジアラビアのおびただしい人権侵害批判にもかかわらず、機密核技術をサウジアラビアに与えることを可能にしている。その人権侵害の記録は絶えず悪名高くひどいものである。トランプ政権では、新たな深みに陥っている。

恐ろしいサウジのイエメン空爆や市民の死者数のために、アメリカ議会は武器販売を禁止するように促した。しかし、ちょうど先月、トランプはその制限を迂回して、数十万ドルの兵器販売を宣言した。それはイランからの地域安全保障の脅威から、「非常事態」のためと称して行われた。

さらにいらだたしい報告は、ジャマル・カショギが去年10月イスタンブールのサウジ領事館で残忍に殺害された数週間か数ヶ月後、ホワイトハウスが核技術移転を承認したことである。それは、アメリカのCIAも、MbS王子が殺害にかかわっているという結論しているにもかかわらずだ。

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Also on rt.com CIA says MBS ordered Khashoggi hit, but don’t expect Saudi-US relations to change – John Kiriakou
(さらに読む)CIAは言う。MbSがカショギ殺害を命令した。しかし、サウジ・アメリカ関係が変わることを期待してはいけない。---- ジョン・キリアコウ


もしこれらの痛ましい懸念のいずれも、トランプ政権のサウジ体制への甘やかしを止めることがないのなら、サウジは、核兵器を含めてしたいことは何でもできる白紙手形をもっていると考えられる。

トランプ大統領が原子爆弾をサウジに持たせることは、もちろん、不法行為に満ちあふれている。それは、原発の核兵器転用を禁止している1970年の核不拡散条約の全面的違反である。

またアメリカの法律の問題もある。トランプ政権は、サウジとの怪しい取引で議会に不意打ちを食らわせているようだ。それは、大統領が議員に国際的核協力の情報を知らせるように命令する原子力法に違反している。

しかしトランプが核拡散や武器管理を軽率に扱ったことは、別段驚くべきことではない。トランプ政権は、去年一方的にイラン核合意を破棄した。そして1987年にロシアとの中距離核兵器禁止条約から撤退した。ロシア大統領プーチンは、先週述べた。「トランプ政権はまた第二の主要な兵器制限条約を考えているようだ。新しいSTARTだって。もう崩壊しているのに。」

だからトランプが、世界規模で、核兵器を取り除こうと表明しても、武器競争を刺激することにまったく無関心である事を、あらゆる指標は示唆している。

サウジアラビアは核兵器を取得しつつあることに、アメリカの両党の議員が根拠ある警告を発している。最近の報告では、サウジは中国から技術移転され、弾道弾ミサイル能力を増強した。もしそれが確立されたら、次のステップはこれらのミサイルに核弾頭をつけることである。トランプ政権は、サウジがそれを達成する道を切り開いているようだ。


Also on rt.com Saudi arms sales may be at center of the next showdown between Trump and Congress
(さらに読む)サウジの武器売買は、トランプと議会の次の山場となるかもしれない。


トランプ大統領のサウジ王朝へのどうしようもない叩頭は、彼が大統領職を終えた後を見据えて、中東におけるトランプ・ファミリーの商業帝国を拡大しようとしているのではないかという疑念をもたらした。

他にも二つの動機の可能性がある。トランプと彼の義理の息子ジャレッド・クシュナーは、イスラエル・パレスティナ紛争をまとめた「世紀の取り引き」で歴史に残りたがっている。過大評価されて、待つこと久しい「取り引き」は、パレスティナ人権の汚い売り渡しとみられている。広いアラブ世界で受け入れられるために、トランプとクシュナーは、サウジに承認の印を与えることが必要だ。それがトランプのホワイトハウスが、サウジに「大きな原爆賞」をせがむ一つの要素になり得る。

もう一つの動機は、トランプが、サウジとシーア派イランへの骨肉の憎しみを、「究極の圧力道具」として使うことである。もしイラン人が、ワッハービ実力者が核兵器を獲得するとわかれば、トランプは、それがイランを交渉のテーブルに引き出し、戦略的譲歩をさせると計算しているかもしれない。トランプがずっと推し進めてきたように。

ここで再び、イランは別の道を行くかもしれない。核兵器の長期的拒否をやめるかもしれない。そしてサウジ体制からの実存的脅威を避けるために原爆を作るしか選択肢がないと決意するかもしれない。

いずれにしろ、それはすべてトランプのホワイトハウスが、地域の平和と安全保障のためだというのを嘲笑するものだ。この政権は犯罪的に破滅的な戦争の可能性を煽っている。
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