キエフのNATO支援によるヘルソンでのテロ攻撃は、民主主義とジャーナリズムに対する攻撃であった
<記事原文 寺島先生推薦>
Kiev’s NATO-Backed Terrorist Attack in Kherson Was a Strike Against Democracy & Journalism
筆者:アンドリュー・コリブコ(Andrew Korybko)
出典:INTERNATIONALIST 360°
2022年9月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年9月30日
何発ミサイルを撃っても、国連憲章にうたわれた現地住民の民主的権利の行使を阻止できないし、世界で一流のロシア人ジャーナリストたちがこの歴史的な出来事を報道するのを止めることもできないだろう。
9月25日日曜日の朝、キエフは以前ウクライナ領であったケルソン市をミサイルで砲撃した。このことをケルソン市の行政当局は、NATOの支援のもと、事前に準備された攻撃だ、としている。以前国会議員をしており、米国が据え付けたファシスト政権になってからは降格させられた人が、もう一人とともに殺害されたが、現在進行中の、ロシアへの編入の是非を問う国民投票について取材していたRTの2名の記者は、無傷で脱出することができた。 標的にされた人々やこの非軍事地域が攻撃を受けたという政治的な文脈を考えれば、この攻撃は民主主義とジャーナリズムへの攻撃だと言える。
「民主主義への攻撃」について述べると、キエフとキエフに資金援助をしているNATOは、国連憲章で保証されている、政治的自決権を当該地域の市民たちが行使するのを妨げたいと思っている。彼らは、この国民投票の手続きを、ゴールデン・ビリオン*市民からの視点で否定することだけでは満足できなくて、事前に準備されたテロ攻撃を実行することで、投票に参加したいと考えている人々を懲らしめることまでしようと決断しているのだ。
*ゴールデン・ビリオン・・・大多数の一般市民から搾取することで、巨額の富を独占しているごく一部の勢力を揶揄した言い方
この攻撃の2つ目の標的である「ジャーナリズムへの攻撃」について述べると、キエフがそのホテルにRTの2名の記者が宿泊していたことを把握していたのは間違いない。つまり、キエフはこの国民投票について報じようとしている記者を殺害したがっていた、ということだ。
皮肉なのは、西側とその代理勢力は民主主義とジャーナリズムを支援していると主張しながら、その一方でロシアのような地政学的敵国はそれに反対していると言っていることだ。しかしNATOの支援のもとでキエフが最近行ったテロ攻撃によって、この彼らの主張の背後にある悲劇的な真実が暴かれることになった。
実際のところは、キエフとNATOほど民主主義とジャーナリズムを嫌っているところはない。それが自分たちの利益に反して行使されたときはいつもそうだ。今回は、記者たちが国民投票の取材のために宿泊しているホテルを砲撃した。
それゆえ、いわゆる「ルールに基づく秩序」はNATOやキエフが自分たちがそれを支持していることを全員に思い出させることに余念がないものであるが、それは身勝手な二重基準の履行以外の何物でもない。その意図は、他の全てを犠牲にして、米国の目的を前進させることにある。キエフとキエフを資金援助している西側が、両者が常に主張しているように、本当に民主主義とジャーナリズムを守る立場を取るのであれば、攻撃対象は軍事関連の標的のみに絞り、意図的に一般市民を標的にすることはなかったろう。言わんや、記者たちが宿泊しているホテルの攻撃などしなかっただろう。つまり先日のテロ攻撃により明らかになったのは、いま行われている国民投票を両者が深く恐れているという事実だ。
両者が国民投票を恐れている理由は自明だ。それはこの国民投票の結果、これらの地域の住民たちは、歴史的に繋がりの深い母なるロシアへの編入を選択することが予見されるからだ。そうなれば、ユーラシアの超大国ロシアの国境が拡大され、モスクワは新しく領土になった地域を、必要とあれば核兵器で守ることができるようになる。クレムリンは、この国民投票を、緊張を緩和するための実用的な措置と捉えている。つまり、ロシアは支配地域の防衛戦を固定すること、あるいはこれらの地域がロシアに再編入される前の行政上の境界までしか防衛戦を拡大しないと考えているのだ。にもかかわらず、米国はロシアが差し出したこの「オリーブの小枝(和平の申し出)」を無視し、国民投票の後もこれらの地域に対して、キエフに自殺的な攻撃を命じる可能性がある。
米国が自国の覇権を成し遂げるという主観的観点からロシアを挑発して、ロシアが自衛のための最終手段として戦略的核兵器を使用するよう仕向けられている状況には賛否両論があるが、それでもワシントンはモスクワ発の警笛のせいで予期せぬ窮地に追い込まれている。それはプーチン大統領が、柔道のような離れ技を見せて、この地域での国民投票の結果を尊重し、どんな犠牲を払ってでも自国民と自国領を守る、と宣言したことだ。だからこそ米国は躍起になってこの国民投票を妨害しようとしている。キエフにこの地域への新たな攻撃を命じたのはその不都合な筋書きを回避する必死の試みなのである。
どれだけ多くのミサイルを発射しても、この地域の住民が国連憲章で保証されている民主主義に基づく権利の行使を阻止することはできないし、世界標準の報道力を持つロシアの記者たちを止めることもできないだろう。このテロ攻撃が達成したのは、米国やキエフ自身の信用をさらに低下させたことだけだった。両者が主張している「ルールに基づく秩序」が欺瞞にみちた口先だけのものであることは先にも述べたとおりだ。世界が注目すべきことは、両者は民主主義やジャーナリズムのことなど全く気にもかけていない、という事実だ。さもなくば、日曜日の朝にこんなテロ攻撃は決して起こらなかったはずだろうから。
Kiev’s NATO-Backed Terrorist Attack in Kherson Was a Strike Against Democracy & Journalism
筆者:アンドリュー・コリブコ(Andrew Korybko)
出典:INTERNATIONALIST 360°
2022年9月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年9月30日
何発ミサイルを撃っても、国連憲章にうたわれた現地住民の民主的権利の行使を阻止できないし、世界で一流のロシア人ジャーナリストたちがこの歴史的な出来事を報道するのを止めることもできないだろう。
9月25日日曜日の朝、キエフは以前ウクライナ領であったケルソン市をミサイルで砲撃した。このことをケルソン市の行政当局は、NATOの支援のもと、事前に準備された攻撃だ、としている。以前国会議員をしており、米国が据え付けたファシスト政権になってからは降格させられた人が、もう一人とともに殺害されたが、現在進行中の、ロシアへの編入の是非を問う国民投票について取材していたRTの2名の記者は、無傷で脱出することができた。 標的にされた人々やこの非軍事地域が攻撃を受けたという政治的な文脈を考えれば、この攻撃は民主主義とジャーナリズムへの攻撃だと言える。
「民主主義への攻撃」について述べると、キエフとキエフに資金援助をしているNATOは、国連憲章で保証されている、政治的自決権を当該地域の市民たちが行使するのを妨げたいと思っている。彼らは、この国民投票の手続きを、ゴールデン・ビリオン*市民からの視点で否定することだけでは満足できなくて、事前に準備されたテロ攻撃を実行することで、投票に参加したいと考えている人々を懲らしめることまでしようと決断しているのだ。
*ゴールデン・ビリオン・・・大多数の一般市民から搾取することで、巨額の富を独占しているごく一部の勢力を揶揄した言い方
この攻撃の2つ目の標的である「ジャーナリズムへの攻撃」について述べると、キエフがそのホテルにRTの2名の記者が宿泊していたことを把握していたのは間違いない。つまり、キエフはこの国民投票について報じようとしている記者を殺害したがっていた、ということだ。
皮肉なのは、西側とその代理勢力は民主主義とジャーナリズムを支援していると主張しながら、その一方でロシアのような地政学的敵国はそれに反対していると言っていることだ。しかしNATOの支援のもとでキエフが最近行ったテロ攻撃によって、この彼らの主張の背後にある悲劇的な真実が暴かれることになった。
実際のところは、キエフとNATOほど民主主義とジャーナリズムを嫌っているところはない。それが自分たちの利益に反して行使されたときはいつもそうだ。今回は、記者たちが国民投票の取材のために宿泊しているホテルを砲撃した。
それゆえ、いわゆる「ルールに基づく秩序」はNATOやキエフが自分たちがそれを支持していることを全員に思い出させることに余念がないものであるが、それは身勝手な二重基準の履行以外の何物でもない。その意図は、他の全てを犠牲にして、米国の目的を前進させることにある。キエフとキエフを資金援助している西側が、両者が常に主張しているように、本当に民主主義とジャーナリズムを守る立場を取るのであれば、攻撃対象は軍事関連の標的のみに絞り、意図的に一般市民を標的にすることはなかったろう。言わんや、記者たちが宿泊しているホテルの攻撃などしなかっただろう。つまり先日のテロ攻撃により明らかになったのは、いま行われている国民投票を両者が深く恐れているという事実だ。
両者が国民投票を恐れている理由は自明だ。それはこの国民投票の結果、これらの地域の住民たちは、歴史的に繋がりの深い母なるロシアへの編入を選択することが予見されるからだ。そうなれば、ユーラシアの超大国ロシアの国境が拡大され、モスクワは新しく領土になった地域を、必要とあれば核兵器で守ることができるようになる。クレムリンは、この国民投票を、緊張を緩和するための実用的な措置と捉えている。つまり、ロシアは支配地域の防衛戦を固定すること、あるいはこれらの地域がロシアに再編入される前の行政上の境界までしか防衛戦を拡大しないと考えているのだ。にもかかわらず、米国はロシアが差し出したこの「オリーブの小枝(和平の申し出)」を無視し、国民投票の後もこれらの地域に対して、キエフに自殺的な攻撃を命じる可能性がある。
米国が自国の覇権を成し遂げるという主観的観点からロシアを挑発して、ロシアが自衛のための最終手段として戦略的核兵器を使用するよう仕向けられている状況には賛否両論があるが、それでもワシントンはモスクワ発の警笛のせいで予期せぬ窮地に追い込まれている。それはプーチン大統領が、柔道のような離れ技を見せて、この地域での国民投票の結果を尊重し、どんな犠牲を払ってでも自国民と自国領を守る、と宣言したことだ。だからこそ米国は躍起になってこの国民投票を妨害しようとしている。キエフにこの地域への新たな攻撃を命じたのはその不都合な筋書きを回避する必死の試みなのである。
どれだけ多くのミサイルを発射しても、この地域の住民が国連憲章で保証されている民主主義に基づく権利の行使を阻止することはできないし、世界標準の報道力を持つロシアの記者たちを止めることもできないだろう。このテロ攻撃が達成したのは、米国やキエフ自身の信用をさらに低下させたことだけだった。両者が主張している「ルールに基づく秩序」が欺瞞にみちた口先だけのものであることは先にも述べたとおりだ。世界が注目すべきことは、両者は民主主義やジャーナリズムのことなど全く気にもかけていない、という事実だ。さもなくば、日曜日の朝にこんなテロ攻撃は決して起こらなかったはずだろうから。
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