自分の人生を方向づける中で、
多大な影響を受けた本がいくつかある。
一番最初に人生の方向性を決定付けたのがこれだ。
初版第1刷だ。出てすぐ買った。1985年。
今でも、自分にとってはバイブルだ。
昔から、出世や名声、またはお金持ちになるということにはまったく興味がなかった。
むしろ、会社に入ってその会社のために、
自分の時間を削られるなんて身もすくむ。
高校生の頃も、自分が会社に入って働いているところは想像できなかった。
大学に行き、
5年間勉強させてもらい、
さすがに就職しなければならなくて、とりあえず就職したけど、
やはり、ダメだった。
でもね・・・・、仕事をやめる前に会社がやめてくれた。
倒産ともいう。
優良成長企業だったけど、手形の不正割り引きで銀行から取引停止による倒産だった。
ちょうどその頃、BE-PALという雑誌を読んでいて、
その頃は面白い記事が沢山あった。
その中のひとつの記事を書いていたのが田淵義雄氏である。
彼自身がサラリーマンがなじめなくてやめてしまった人なので、
共感が持てた。
それまでは、とにかく会社で働いて、
いやなことがあっても我慢していくのが人生なのかとあきらめもあったけど、
毎月、BE-PALでこの「森からの手紙」を読むと、
いつも元気づけられた。
彼は言う。
「人間、好きな場所に住んで、好きなことをして生きていくことが人生だ」と。
実際に彼は東京生まれの東京育ちだったけど、
当時にしては珍しく、脱都会をして、
長野県の川上村に住み着く。
そして、そこの自然とのふれあいを記事にしていた。
フライフィッシングやロッククライミング。
山菜取りや日曜大工などありふれた日常のことを書いていたんだけど、
毎月、記事を読むたびに、長野県の自然の息吹を感じることができた。
2年間の連載の最後の記事で、
「人生は夢の錬金術」と書いてあった。
「自分の好きな仕事をして、好きな場所に住み、好きな人や物とともに暮らすことが人生というに違いない」
これを読んだときに、頭をハンマーで殴られたような気がした。
もう、いやな仕事をいやいや続けるのはやめようと・・・・。
自分はホントは手に職を付けて、
田舎に暮らしたいと思っていた。
もしくは、仕事は何でもいいから、
田舎に住んでのんびりと生活したかった。
この頃の流行で、
家具工房をグループで作って田舎に住み、
都会的なセンスで暮らしている集団がちらほらと雑誌などで目に付き始めた。
自分もそんなことをしたかったんだね。
それで、職業訓練所で木工の勉強をしようと思ったんだけど、
ちょうどそう思ったときは12月だった。
次の年の職業訓練所に、
失業保険をもらいながら通うには、
遅くとも、12月中には仕事をやめていなければならない。
先輩に相談すると、さすがにそれは急なんじゃないかと言われて、
もともと、自分もそう思っていたこともあるので、
「では、一年伸ばします。」
ということになったんだけど、
次の年の2月に会社が倒産。
職業訓練所に行くにはタイミングが悪かったので、
じゃあ、とりあえず好きなことをやってみようかと、
さしあたって、電気のない生活をしたかったので、
山小屋で働いてみることにした。
それから人生がどんどん変わっていった。
今、振りかえってみると、
意外とこの本に書かれているような生活と、
近い生活をしているかもしれないなと思う今日この頃。
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