中東 二つの展望
2023年10月27日
Moon of Alabama
フォーリン・アフェアーズ誌11月号に、自分と上司の外交政策を称賛する記事を国家安全保障担当補佐官ジェイク・サリバンが書いた。この記事はパレスチナで戦争が始まる前に書き終えていた。
アメリカの権力の源
変化した世界のための外交政策
抜粋:
実際、中東は依然絶え間ない課題に悩まされているが、この地域は過去数十年より静かになっている。
確かに、進歩は脆弱だ。しかし、それは偶然ではない。
...
(大統領の)手法は、アメリカ政策に規律を取り戻すものだ。侵略を抑止し、紛争を緩和し、共同インフラ・プロジェクトやイスラエルとアラブ近隣諸国間を含む新たな協力関係を通じて地域を統合することに力を入れている。そして、それは実を結びつつある。
...
この規律ある手法は、他の世界的優先事項のために資源を自由に使えるようにし、新たな中東紛争のリスクを軽減し、アメリカ権益が遙かに持続可能な基盤で守られるよう保証する。課題は残っている。イスラエル・パレスチナ情勢は特にヨルダン川西岸地区で緊迫しているが、深刻な摩擦に直面して、我々はガザ地区の危機を緩和し、長年の欠如していた後、当事者間の直接外交を復活させた。
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ハマスとイスラエル間の捕虜交換を実際に交渉した元外交官アラステア・クルックは、かなり暗い見通しを発表している。
エスカレーションは止められない。ホワイトハウスは混乱している。エスカレーションで全て「一つ」に融合するかもしれない。
戦争が必要な現実は、アラブ・イスラム世界の意識に広く浸透しつつある。
...
先月の国連総会演説で、イスラエルが川から海までを支配し、パレスチナ(実際はパレスチナ領土)が存在しないイスラエル地図をネタニヤフが誇示したのは偶然ではない。ニューヨーク・タイムズ記事で、NATOのウクライナにおける惨めな実績が「NATO神話」を崩壊させたと同様、10月7日のイスラエル軍と諜報機関の崩壊や、その後ガザで起きていることが、中東における「親米同盟構造丸ごと爆発させるかもしれない」とトム・フリードマンは恐れているのかもしれない。
このような二つの屈辱が合流すれば、欧米優位の背骨が折れかねない。これがフリードマン分析の要点だと思われる。(おそらく彼は正しい)。
ハマスはイスラエルの抑止力パラダイム粉砕に成功した。彼らは恐れず、イスラエル国防軍が無敵とは程遠いことを証明し、かつてないほどの人々がアラブの街路に繰り出した(「アラブの街路」が存在するという概念そのものを笑った欧米の皮肉屋を困惑させた)。
まあ、それが我々の現状だ。そしてホワイトハウスは混乱している。
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これがホワイトハウス・チームを悩ませていることだ。連中にはイスラエルのガザ侵攻で「割れた卵」を再び元に戻す自信がない。それどころか、イスラエル国防軍にとって事態が悪化するかもしれないこと、更に、民間の都市部でイスラエルが圧倒的武力を行使しているのを中東全域で報じる映像がイスラム圏を反乱させるのを恐れているのだ。欧米の懐疑的な見方にもかかわらず、アラブ圏における今回の反乱は違っており、オスマン帝国を打倒した1916年のアラブ反乱に似ている兆候がある。シーア派・スンニ派双方の宗教当局が、イスラム教徒がパレスチナ人と共にある義務を述べているため、それは明確に「優位」にたっている。言い換えれば、イスラエルの政治形態が明白に聖書「予言的」になるにつれ、イスラームの雰囲気も終末論的になりつつある。
ハマスを追い出し、治安と秩序を課すガザにイスラエルに友好的な政権を樹立するよう「穏健派」パレスチナ人に圧力をかけるようホワイト・ハウスが「穏健派」アラブ指導者に示唆しているのは欧米がいかに現実から乖離しているかを示している。マフムード・アッバース、シーシ将軍、ヨルダン国王(この地域で最も融通の利く一部指導者)が、バイデンのイスラエル訪問後、バイデンとの会談さえ露骨に拒否したことを想起願いたい。
地域全体の怒りは現実のもので、「穏健派」アラブ指導者を脅かしており、彼らが活動する余地は今や限定されている。
そのため、紛争地域が急増し、この地域周辺の米軍基地に対する攻撃も急増している。ワシントンの何人かはイランの手を感じており、イランとの戦争の窓を広げたいと望んでいる。
...
イスラエルがガザに侵攻すれば(そして国内の政治力学や世論を考えると、イスラエルは地上作戦を開始する以外選択肢がないと判断するかもしれない)ヒズボラが徐々に引き込まれ、イスラエルが打倒されるのを見守るか、全ての紛争地域が「一つ」に融合する大規模戦争を開始するかの二者択一の選択肢しかアメリカには残らない可能性が高い。ある意味、イスラエルとイスラムの対立は、今やこの方法でしか解決できないのかもしれない。1947年以来のあらゆる努力は、分断を深める一方だ。戦争を必要とする現実は、アラブとイスラム世界の意識に広く浸透しつつある。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2023/10/two-middle-east-outlooks.html#more
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Judging Freedom ガザで自滅するイスラエル イスラエル擁護で現実から乖離する米国防大臣。近隣諸国やイスラム教徒だけでなく、アメリカ以外の全世界を敵にするだけ。
Col. Douglas Macgregor: Israeli self-destruction in Gaza 29:33
耕助のブログ 待望のクリス・ヘッジズ記事翻訳
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
『戦後史の正体』は2012年8月に出版した本。その後日本の安全保障・外交政策は一段と対米隷属を強化。「ウクライナ問題や中国問題、今日日本のマスコミは一方的見解を流し続ける。「クラブ関西」での講演を機に、今一度戦後史を振り返り、隷属の由来を考えたい。「あとがき」を掲載。
「イスラエル情報省がガザ地区の『民族浄化』計画をまとめた『永久追放文書』が漏洩、暴露された!!」
はじめに~イスラエル情報省がガザ地区の「民族浄化」計画をまとめた「永久追放文書」が漏洩、暴露された!! しかもイスラエルの狙いは、民族問題の「最終解決」だけではなく、ガザ地区沖で発見された「ガザ・マリン」ガス田の権益を独占するという実利もある「一石二鳥」作戦!
11月です! IWJの第14期も4ヶ月目に入ります! ありがとうございます! 10月のご寄付・カンパの額が確定しました! 10月は252件のご寄付・カンパをいただき、434万6000円でした! ありがとうございます! これで8月、9月、10月と皆さまのご支援により、3ヶ月連続で活動費用の月間目標額400万円を上回りました! しかし、累積した赤字の返済と、金融機関からの借入の返済のためには、毎月613万円が必要です! どうか引き続き、IWJ会員登録、YouTube登録、ご寄付・カンパ、協賛広告でIWJをご支援ください!
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イスラエルは、自主的な市民の抵抗活動を、テロなどと呼びますが、イスラエルこそテロリストです。
イスラエルによる侵略や残虐行為に対抗するため、住人達が自衛組織を作って何が問題でしょうか。
勝手に、土地や財産を強奪したのは、イスラエルの方なのです。
そして、どさくさ紛れに、自らに都合の悪いインフラを空爆する、米軍。
米英やイスラエルこそ、テロリストです。
投稿: !&? | 2023年11月 3日 (金) 17時46分