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2023年11月10日 (金)

爆弾とは一体何か、爆弾が一体何をするかについて我々は十分深く考えていない

 中東での爆撃を、欧米人は、空から落ちてくる爆弾があちらの天気そのものであるかのように、単に普通の状況と見なす傾向がある。

 

ケイトリン・ジョンストン
2023年11月4日

 

 この英語記事の朗読を聞く(ティム・フォーリーによる朗読)。

 

 オレゴン州ポートランドで、何千人もの子供を含む1万人がテロリストに殺害されたと私が言えば、当然ながら、皆様は衝撃を受け、恐怖を感じるはずだ。刀で斬り刻まれたと言われたら、もっと強い反応が返ってくるだろう。

 

 しかし、ガザでの虐殺は、中東の浅黒い肌の外国人に行われており、刃物の代わりに爆弾を使って行われているため、ほとんどの欧米人は、そのことをあまり考えず一日を過ごしている。アメリカの都市で切り刻まれて死ぬのと同じくらい多くの人が死んでいるが、欧米人はとっては違うのだ。

 

 欧米帝国は中東に何年も爆弾の雨を降らせ続けてきたので、欧米人は、中東で起きている爆撃に関するニュースには鈍感になっている。苦悶の声で「爆撃があった!」と欧米人に言うと、彼らは即座に、中東ではなく、ニューヨークやロンドンやパリでのテロ攻撃のことを言っていると推測するはずだ。中東での爆撃を、空から落ちてくる爆弾が、あちらの天気そのものであるかのように、欧米人は、ただ普通の状況と見なす傾向がある。

 

 爆弾や爆撃問題に関し、欧米人は最も厳密な思想家ではないが、それは完全に意図的なものだ。爆弾とは一体何か、爆弾が何をするかについて、我々が過度に考えないよう、欧米帝国によってプロパガンダ・マトリックス全体が構築され、それにより、我々は子供の頃信じるよう教えられた我々の国や政府に関する快適な考えを維持できるのだ。

 

 ガザでは「頭のない子供を見た」とか「けがのひどさから身元が特定できない子供もいる」と医師が言っているが、私のようにネットで調べるのに実に多くの時間を費やし、この種の恐ろしい映像を日常的に目にする人にとっては驚くことではない。

 

 それが爆弾が人体に及ぼす影響だ。爆弾は人々をバラバラに引き裂く。爆弾は倒れる建物で人々を押しつぶす。爆弾は肉を燃やす。爆弾は内臓を引き裂く。爆弾は体の一部を吹き飛ばす。爆弾は首を切る。しかし、帝国が標的にした領土で起きる「爆破」や「爆発」だけは報じるが、一体誰が起こしたかさえ言わず、ましてそれが人体に与えた被害の詳細すら報じないことが多いマスコミにこうした全ての現実から一般大衆は守られている。

 

 これら兵器が人体に及ぼす影響は、鉈や火炎放射器で何千人もの民間人を反社会性パーソナリティ障害の兵士が殺害して回ったら見るのと同じくらい悪夢的だが、爆弾であるため、一般大衆から同じ種類の反応は得られない。

 

 爆弾による殺戮は遠くから行うものである事実もその一因だ。イスラエル国防軍兵士が画面を見て、あるボタンを押すと、パッと小さな爆発雲が浮かび上がる。相手の目を見て刃物を突き刺すのとは違う。遠いのだ。現実から乖離しているのだ。

 

 もう一つは、爆弾で人口密集地に爆弾を撃ち込むなど多くの民間人を殺すとわかっている行動をとっても、意図的に民間人を殺してはいないと言えることだ。この場合、人は表向き民間人を殺したいのではなく、殺害を控える程民間人の命を気にかけていないだけだ。

 

 こうした動態は、爆弾を投下する人々を多数の民間人を殺害した罪悪感やトラウマから守るのに役立ち、実際には、集団として多数の民間人を殺すのがより容易になる。そうすることで、実際はより多くの悪を犯しているのに、悪を犯していないように感じられるのだ。これはもちろん爆弾使用を命じる権力体制に利益をもたらす。

 

 銃殺隊による処刑発明のようなものだ。権力者は敵を殺す能力が必要だったので、複数の死刑執行人が犠牲者に同時に発砲し、致命的銃弾を撃ったと誰も確信できないようにする方式を発明したのだ。時には銃の一丁に空薬莢が入っていることもあり、それによって、弾丸を発射していないかもしれないと死刑執行人に信じ込ませ、自分たちがしている現実から目をそらす能力を養えた。この処刑方法により、兵士の士気を損なうことなく、必要と思われる数の処刑を継続できたのだ。

 

 爆弾の場合、同じ解離の力学が、遙かに致命的な効果に利用される。一般大衆も軍隊も現実から心理的に切り離し、大悪が行われていないふりをする能力を与えられるが、その結果、遙かに多くの悪が行われるのを許容することになる。機関銃でなぎ倒したり銃剣で刺したりするのと変わらない残忍な方法で、イスラエル軍はガザの人々を虐殺しているが、この虐殺方法は、ガザ住民との関係を断ち切るため、軍隊の服従度合いは遙かに高く、一般市民の同意も遙かに高い。

 

 爆弾で人々を殺害するのは弾丸や刃物で殺害するより残虐の度合いが少ないという全く根拠のない欧米の妄想の背後には途方もない堕落が隠れている。現実には殺人は殺人で、死は死だ。文明としてのそれに関して自分自身と向き合うのが早ければ早いほど良い。

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 画像はWikimedia Commonsから。

 

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2023/11/05/we-dont-think-hard-enough-about-what-bombs-are-and-what-they-do/

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