ウクライナ戦争から遠ければ遠いほど人々は和平会談に反対する
2022年11月4日
ケイトリン・ジョンストン
❖
「完全な平和への試みのため果てしない戦争に縛り付けられつつあるウクライナ危険」という題のバージニア工科大教授ジェラード・トールによるアイリッシュ・タイムズ新記事には非常に興味深い段落がある。
前線にいる普通のウクライナ人は停戦と交渉とに分裂している。私のウクライナ友人カリーナ・コロステリーナと私はこの夏南東の戦場に近い三つのウクライナの市で住民と強制移住者両方の態度を調べた。ほぼ半分がロシア人がウクライナの若者を殺すのを止めるためには停戦を求めるのが緊急であることに同意した。それよりやや多くの人々が完全停戦に関しロシアとの交渉を支持し、四分の一が全く反対で、五分の一が中立だと宣言した。回答者は命を救うのか、領土の完全性がより重要かという考えで分裂した。戦争に最も影響された人々、つまり国内強制移転させられた人々は救命を優先順位にすることが多かった。他の研究は戦場から最も遠い人々が最もタカ派であることを明らかにしている。
全体的内容がモスクワに対し、いささかも同情的とは解釈できない記事の最後から三つ目の段落は、非常に重要な情報だ。
「戦争に最も影響された人々、つまり国内強制退去させられた人々は救命を優先する割合が高かった。他の研究は戦場から最も遠い人々が最もタカ派であることを明らかにしている。」
この二つの単純な文はこの戦争に対して我々が見ている態度の実に多くを要約しており、快適な家から世界の反対側での頻繁なエスカレーションや流血を声援している人々にも当てはまる。
Unlike sofa warriors in the West and elsewhere treating people like plastic figurines on a board, Ukrainians most affected by the fighting tend to be more in favour of talks for a ceasefire and prioritise actual human lives over borders & land:https://t.co/Yh0dto1xPA pic.twitter.com/VcHJwLs6ci
— Branko Marcetic (@BMarchetich) November 3, 2022
「他の研究は戦場から最も遠い人々が最もタカ派であることを明らかにしている。」
ワシントンDCやロサンゼルスやロンドンから評論家や政治家がウクライナでのエスカレーションを主張するのを見る際、これを想起願いたい。
安全な環境で戦争をあおる連中やウクライナ支援のネット集団「NAFO」が和平会談を支持する人々を誰であれ寄ってたかって嫌がらせする際、これを想起願いたい。
ある時点で国会で進歩派議員が停戦交渉に対する最も穏健な支持さえ圧力で撤回させられるのを見る際、これを想起願いたい。
オンラインで平和を提唱する人を誰であれ締め出し黙らせるボット集団やエセ草の根派によるいやがらせ作戦に関して益々多くの情報が発表される際、これを想起願いたい。
戦争は世界で唯一最も恐ろしいことだ。人がすることの中で最も愚かなことだ。最も破壊的なものだ。最も持続不可能なものだ。人間の苦しみに最も貢献するものだ。たとえ一時間だけでも、心がストレスホルモンのコルチゾールまみれの母親が、紛争のさなか子どもを育てようとして、失った人々を深く悲しみ、更に多くを失うのを懸念し、どうやって食糧や燃料を長持ちさせるか考え、ストレスで疲れ切った子供のため事態を出来る限り通常に保とうとし、音がするたび飛び上がり、見たことを忘れようとすれば、その時間だけは平和が実現できるはずだ。人力で可能な限り早くこのこの世の地獄を止めるために全員そして全てが動員されるべきだ。現在展開している悲劇は、この瞬間だけの巨大な苦しみではなく、毎分のトラウマは、それを体験している人々全員の潜在意識の中に深く残り、今後何世代もの間彼らと子孫をひどく苦しめるのは全員にとって明白なはずだ。
だが我々は小さな社会集団で進化した霊長類なので、それが我々自身の直接身近になるまで、その苦難を共感するのに人間はてこずることが多い。我々自身の都市。我々自身の家。我々自身の息子や兄弟や父親が戦いに行き、決して家に戻らない。
それでこの戦争は人々にとってゲームのようになった。それで政治イデオロギーを推進し、プロパガンダで吹き込まれた善人対悪人という妄想に耽る手段に。匿名オンラインのシバ神アバター・アカウントで東ウクライナ領域の完全奪還を声援して、無意味な生活の時間潰しをさせてくれるチーム・スポーツだ。
The view that diplomacy is bad and the war should go on is held by former colonial powers in the Global North representing, generously, 13% of humanity. It's Global South states representing ~65% of the world's people calling for negotiations. Colonial reflex indeed. pic.twitter.com/GNHMO9qsWK
— Branko Marcetic (@BMarchetich) November 3, 2022
この戦争が引き起こした受動的チーム・スポーツ応援精神は、ウクライナが前線で戦う志願兵を依然受け入れている事実によって一層不愉快なものになる。もし皆様がこの戦争が正しく継続すべきだと思うなら、道徳的に筋が通ったなすべきことは、家で座って片手でチーズパフを食べながら、もう一方の手で、エロ動画サイトPornhubを覗き、Twitterに投稿して国防総省の無料奉仕宣伝役を務めるのではなく、人々があなたの大義のため命を捧げている、その戦争に戦いに行くことだ。
だがそうなってはいない。人々は自宅で安楽に座り、そうしたリモート戦争映画がCNNで展開するのを見るのを楽しんでいる。
これはゲームではない。これは自身の戦略的狙いを推進するためアメリカ帝国が引き起こした戦争で、停戦を支援する責任があるのに、それどころかプロパガンダや検閲や、核を使う瀬戸際外交が安全性で、和平会談が危険だと全員を説得するのを専門に行う帝国のボット軍隊や荒らし屋連中に我々は攻撃されている。
連中がこういうことをするのを支援してはいけない。継続への支持が益々減っている代理戦争に同意をでっち上げるのを支援してはいけない。皆様は実際の殺人益々近づく。本当に人の命を巻き込むのを必要とせず、紛争で自分勝手な満足感を得たくてむずむずするのを避けるビデオゲームか何かで時間を潰す他の方法を見つけて欲しい。頼むから、もっと健康に良い趣味を持って欲しい。
______________
私の記事は完全に読者の支持によるものなので、本記事を良いと思われたら共有し、Facebook、Twitter、Soundcloudあるいは、YouTubeをフォローするか、Ko-fiやPatreonやPaypalのチップ入れにいくらか投げ銭していただきたい。更に多く読みたいとご希望なら、私の本を購入可能だ。私が発表する記事を読めるようにする最善の方法は、私のウェブサイトか、Substackでメーリングリストを購読することで、そうすれば私が掲載する全てのものについて電子メールで通知が行く。人種差別サイト以外、どなたでも無料で、お好きなあらゆる方法で、この記事のどの部分でも(あるいは私が書いた他のあらゆる記事でも)再配布、使用、翻訳されるのを私は無条件に許可している。私が一体誰で、私がどういう立場で、この場で何をしようとしているのかなどについて、より詳細をお知りになりたい場合には、ここをクリック願いたい。全ての記事はアメリカ人の夫ティム・フォーリーとの共同執筆。
ビットコイン寄付:1Ac7PCQXoQoLA9Sh8fhAgiU3PHA2EX5Zm2
気に入っていただけただろうか? Patreonで、ケイトリン・ジョンストン支援のために、1秒時間をかけて頂きたい!
----------
Arc Times 「日本人が乗っているのは下降するエレベーター」に関する耳の痛い真実。
The News ● 円安、物価高、低賃金… 先進国から転落する日本 〜個人や企業、若者はどうすべきか【野口悠紀雄・望月衣塑子・尾形聡彦】 1:46:14
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米国中間選挙とウクライナ問題:WSJ11月3日世論調査:共和党員48%が、米国ウクライナ支援は「やりすぎ」、3月の6%から増加。共和党の下院支配なら情勢は変化するだろう。
「日本の貿易収支の赤字額約9兆円は過去最大! 経常黒字は大幅に減少! 外貨準備高は赤字へ転落! IWJは財務省に直撃取材!」2022.11.11号~No.3711号
« 中間選挙のまとめ | トップページ | ドイツのオラフ・ショルツ首相中国訪問 »
「アメリカ」カテゴリの記事
- ロシア - 挑発に応じるか、それともチャーリー・ブラウンのようにルーシーのサッカー・ボールで騙されるのか?(2024.12.21)
- 空騒ぎ:トランプ大統領のウクライナ大詰め計画(2024.12.19)
- シリア:全てが、金、金、金の問題(2024.12.18)
- イスラエルはシリア問題に介入するつもりはないというネタニヤフ首相の滑稽な主張(2024.12.17)
「アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事
- ロシア - 挑発に応じるか、それともチャーリー・ブラウンのようにルーシーのサッカー・ボールで騙されるのか?(2024.12.21)
- 空騒ぎ:トランプ大統領のウクライナ大詰め計画(2024.12.19)
- シリア:全てが、金、金、金の問題(2024.12.18)
「NATO」カテゴリの記事
- ロシア - 挑発に応じるか、それともチャーリー・ブラウンのようにルーシーのサッカー・ボールで騙されるのか?(2024.12.21)
- シリア:全てが、金、金、金の問題(2024.12.18)
- 13年間にわたるアメリカによる国家テロ後のシリア…一体何が期待できよう?(2024.12.14)
- シリア崩壊(2024.12.11)
- エリート主義的暴政が暴露され、崩壊しつつある「欧米民主主義」(2024.12.13)
「Caitlin Johnstone」カテゴリの記事
- イスラエルはシリア問題に介入するつもりはないというネタニヤフ首相の滑稽な主張(2024.12.17)
- 「テロ組織」は、アメリカがそう呼びたいもののこと(2024.12.16)
- もう一つの国が帝国の塊に吸収された(2024.12.15)
- アサドは去り、目覚めたアルカイダが台頭(2024.12.12)
- ガザについて連中は嘘をつき、シリアについても嘘をついている(2024.12.03)
「ウクライナ」カテゴリの記事
- ロシア - 挑発に応じるか、それともチャーリー・ブラウンのようにルーシーのサッカー・ボールで騙されるのか?(2024.12.21)
- 空騒ぎ:トランプ大統領のウクライナ大詰め計画(2024.12.19)
- エリート主義的暴政が暴露され、崩壊しつつある「欧米民主主義」(2024.12.13)
- アメイジング・グレース(素晴らしき神の恩寵)!バイデンの許しの奇跡(2024.12.10)
コメント