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2022年11月22日 (火)

欧米の人々にとってロシアの敗北は何を意味するだろう?

2022年11月15日
Saker

 当ブログの常連読者の方々なら忍苦する哀れな世界を私が二つの基本区域に分けているのをご存じだ。ゾーンA、別名アングロシオニスト帝国、別名世界覇権、別名「親切の枢軸」とゾーンB、別名「自由世界」だ。支配層と彼らが支配している人々を極めて大雑把に分ける必要がある。おおまかに分けると、こんな感じだ。

  ゾーンA ゾーンB
支配層エリート ロシア/プーチンを嫌悪 一部は覇権国を恐れるが他は恐れていない
大衆 ほとんど無関心か敵対的 大半がロシア/プーチンを支持

 次に簡単な思考実験を提案したい。ロシアが対NATO戦争で敗北すると想定しよう。そのような敗北がどうなり得るか/なるはずか正確に規定する*必要*はなく、単にロシアがウクライナ(と実際NATOの全て)の非ナチ化と非武装化という目標を実現できず、NATO軍がロシア軍事機構(ここでも脅威的兵器の有無や、どのようにかは重要ではない)を打ち破るのに成功し、ロシアが極めて明白に負けると想定するのだ。

 我々は「敗北」が何を意味するかを定義する必要さえない。多分ロシアはクリミアは維持するが、元ウクライナから最近解放した地域を失う、あるいはNATOがクリミア半島さえ占拠に成功することも想像できる。モスクワ中心部でNATO戦車が見られると思わないが、双方がロシアが負けNATOが勝ったと思える純粋な心理的敗北さえ想像可能だ。

 ここでも詳細がいかにありそうもなく現実から遠くかけ離れていても重要ではない。重要なのはこれだけだ。NATOがロシアを破ったと悟った途端上記四集団はどのように反応するだろう?

 これは覇権勢力の指導者連中にとって夢の実現のはずだ。実際、覇権勢力を動かしているネオコンは彼らが90年代には片付けられなかった「仕事を片付ける」必要があると決定する可能性が極めて高く、ロシアはいくつかの部分に分割されるだろう。これは欧米にとって「ロシア問題」最後の「最終解決」のはずだ。

 自由世界の指導者にとってロシアの敗北は覇権勢力に対する選択肢がないという信号になり、好むと好まないとにかかわらず、アングロシオニストが世界を支配するだろう。スタートレックのボーグのようにこう宣言したがるだろう。「我々が覇権者だ。抵抗は無駄だ。お前たちは同化させられる」。

 最初にロシアを征服し、それから中国と対決して潰し、最終的にイランや覇権国の支配者にあえて服従しない他のいかなる国とも対決して、潰すというアングロシオニスト計画を大半の人々が理解しているという単純な理由で自由世界の大半の人々はロシアの敗北に激しく失望するはずだ。

 明らかに、これはウクライナの問題ではなく、これは人類全体の未来の問題なのだ。

 だが現在既にアングロシオニストの軛下で暮らしているゾーンAの人々はどうだろう?

 [念のため申し上げておく。様々な理由から、Sakerブログではアメリカ内政を論じないと決めており、この決まりをなんとか守るつもりだ。だが自明のことを申し上げておく。今我々全員アメリカの最近の選挙結果を知っており、いい大人は何が起きたか理解しており、様々な自明のことを列挙する必要はない。もしこの文章をお読みの方が政権を掌握しているネオコン単一政党の一方の派が事態を良い方に変えるだろうとか避けられない崩壊の速度を遅くすると信じておられるなら、ここで読むのをやめるようお勧めする。以下の記事はそれ以外の方々向けだ。]

 ゾーンAの大半の人々の最初の反応は安堵感と(「もちろん私は欧米が勝つとを知っていた!」)無関心(性同一性障害者問題は非常に重要だ!)の混合だろうと思う。その変種はこうだ。彼らの勇敢な「世界史上で最も素晴らしい戦闘部隊」は、やっつけるのに最もふさわしいルスキー共産党員をやっつけたのだ。「欧米文明」の最も楽観的な擁護者連中の一部は我々のコメント欄にやって来て、あざ笑うだろう「おや!おや! だから言っただろう。プーチンと愚かな将官はアメリカとNATOの最高の将官にこてんぱんにやられたのだ! 」。そしてしばらくの間彼らは本当に気分良く感じるだろう。正当化されたので。とうとう愚かなロシア人は、このような弱い優柔不断な世間知らずで不正で無能な(そしてもしかするとガンで死に瀕してさえいる)指導者を選出し支援した代償を払うのだ!

 「欧米の友人たち」に耳をかたむける賢明ささえクレムリンにあったら良かったのに!

 だが、そうではなく、クレムリンはそうせず今重大な代償を払う結果になったのだ。もちろん、もしロシアの「欧米の友人たち」が責任者だったら彼らはずっと前に電光石火電撃攻撃を実行し、バンデラスタンを木っ端みじんにして(もし皆様が望むならファルージャ式に)NATOを素早く決定的に打倒していたはずだ。だがクレムリンの才覚がないばか者は耳を傾けなかったので連中はこれから起きることにふさわしいのだ。

 オーケー、もっともだ。

 だがゾーンAの普通の人々はどうだろう? そちら「側」がおそらく「勝った」はずの側の人々は?

 最初の至福と祝典が終わった後、彼らに何が起きるだろう?

 どなたか推測したいとご希望だろうか? もしそうであればコメント欄に投稿願いたい。

 私の個人的な考えはロシアの敗北の次は(どんな手段であれ)中国の敗北だろうことだ。それが起きた途端、以下の全てが斬首され無意味なものになるだろう。BRICS、SCO上海協力機構、CSTO集団安全保障条約機構。覇権国獲物リストの次の国はイランで、ロシアと中国両国の支持を失えば覇権国にうまく挑戦するのは不可能だろう。更に中東全体にとっても大きな影響があるだろう。トルコ司令官気取りのエルドアンは直ぐさま屈服するはずだ。MBSも同じだ。

 イスラエルは自分たちは十分「世界を改めた」ように感じ、次は彼らのメシアに違いないと思うだろう:-)

 ロシアと中国が消えた後、中央アジア諸国は覇権国のいいカモだ。実際、すべてのロシア周辺諸国はあっという間に覇権国に吸収されるだろう。

 パキスタンとインドにも同じことが言え、彼らの主権の大部分を(あるいは全てさえ)早々に失うだろう。アフガニスタンは(アメリカが支援し運営している)ISISに引き渡されるだろう。最終的に中南米とアフリカは両方とも(現地買弁階級にとっての大きな安堵と喜びで)完全に再植民地化されるだろう。

 今ほんのわずかの情報と知性を持っている誰に対しても、現在アメリカとほぼ全てのEU加盟諸国を運営しているウォーク奇人のギャング連中は彼らが支配する人々に全く関心がないことに同意するよう提案したい。連中は人々を生産手段としてしか見ていない。換言すれば、彼らを快適で幸せで、とりわけ従順で無知にしておくため十分な(酷い)食料と膨大な量の(本当に悪魔的な)「娯楽」を与える必要がある奴隷だ。それで私の疑問はこうだ。

 ゾーンBがなくなり我々の惑星全体がゾーンAに変わったら、アングロシオニスト覇権国の奴隷は、より良い未来がもしあるとしたら、どんな希望を維持できるのだろう?

 17の「諜報」機関や世界最大の軍事攻撃予算や、刑務所にいる最多の囚人、Google、Amazon、NetFlix、Facebook、Twitterなどが提供する完全な情報支配を含むアメリカ支配階級が使える現在の抑圧機構、軍隊化された警察や(時々あらゆるMAGA派の人と定義される)「国内テロリスト」と対処する準備ができている他の機関や学校とほとんど外部世界についての理解も認識も皆無の従順な事務所プランクトン(ホワイトカラー)と(ブルーカラー)ファーストフード従業員を作り出すらよう設計された大学制度。EU諸国は(まだ)それに達していないが彼らも急速に追いつきつつある。

 これはひとりでに崩壊したり、ましてやその「惨めな連中」に転覆されたりするような体制ではない。

 過去何度も私はこれに言及したことがある。アメリカの政治制度は生存可能でも改良可能でもない。

 EUの政治制度は基本的により強く発言される植民地的思考(「EUなどクソ食らえ」?)のアメリカ政治体制の延長に過ぎない。

 すると覇権国は世界全体をネオコンが運用する巨大な「ウォーク」ディズニーワールドに変えるのだろうか?

 ロシアや中国やイランや他の国々がしっかり立っている間はそうなるまい。だがこれら「抵抗する国々」がつぶされれば、ゾーンAの人々にとって奴隷状態は更に長く続くだけでなく、生活状況は更に急速に悪化するだろう。

 そして「パンとサーカス」がだめになれば、次は暴力的抑制になるのは確実だ

 世界全体を植民地化するのを本気で狙っているどんな体制であれ(覇権国は確かにそうだ!)物質的、文化的、精神的に、国民を常に奴隷のような状態に維持する。

 だからマルコム・Xの言葉を言い替えるとハウス・ニグロにとって唯一の希望はフィールド・ニグロなのだ。ハウス・ニグロ自身がそれを理解するかどうかは重要ではない。

 もっと衝撃的な形でこれを言い直させて頂きたい。アメリカとEUの人々にとって最後の唯一の希望はNATOに対するロシアの全面勝利だろう。NATO敗北はNATO自身を破壊するだけでなく、更にEUも破壊し、それはアメリカに(とうとう!)普通の文明的な国になるよう強いるだろう。

 EUにとって、NATO敗北は千年帝国主義の終わりを意味するだろう。

 わかった。人種的優越という考え方(公式に宣言されているか否かにかかわらず)を基盤として作られた文明社会にとって唯一可能な救済は「劣ったアジアの野蛮人」からしか来ないという概念は衝撃的で極端な形の犯罪思考としか考えられない。このような考えは大部分の人にとって文字通り全く考えられない。

 それでも私が上に言及したように、ハウス・ニグロが理解しているかいないかは全く完無関係だ。彼らは代表権を持っていないだけでなく全くを欲していないのだ(ポーランドは?)。

 結論:

 ロシアはこの戦争で負けるまいし我々の大部分はそれを理解している。だがそうでない人々に一つ単純な結論を提示したい。ロシアの敗北はロシアにとって惨たんたるもののはずだ。そして中国にとっても。そして世界の他の国々にとっても。だがそれは虐げられた欧米の人々にとっても同様に大災難だろうあらゆる人々は自分が何を望んでいるか大いに慎重であるべきだ。そして次に彼らが「戦略上のロシア撤退/敗北」について幻覚を起こして、あざ笑いたいと望む際、単純なことを自問すべきだ。これは*私*と*私自身*の未来にとって何を意味するのか? 私には本当に大喜びする理由があるのだろうか?

 彼らは奴隷であるのに慣れて、*本当の*自由と多様性という考えは彼らを怯えさせるのかも知れない。

アンドレイ

記事原文のurl:https://thesaker.is/what-would-a-russian-defeat-mean-for-the-people-of-the-west/

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