« 石油備蓄を見て、アメリカ外交政策を研究する:言説のマトリックスの端からのメモ | トップページ | ワシントンは、いかにして太平洋をNATO紛争の新戦域に変えつつあるのか »

2022年6月16日 (木)

連中は人々が信じこむまで「プーチンによる物価上昇」を繰り返す計画

2022年6月11日
ケイトリン・ジョンストン

この記事を音声で聞く。

 継続的な高インフレを示す金曜日の消費者物価指数への反応で、バイデン大統領は再び「プーチンの物価上昇」という言葉を使って、またもやアメリカ政府がアメリカ国民をばか者と考えていることを示している。

 「間違いない。インフレはアメリカ人家庭にとって本当に問題だと私は思う。今日のインフレ報道は、アメリカ人が既に知っていることを裏付けた。プーチンの物価上昇がアメリカに大打撃を与えているのだ」とバイデンは声明で述べた。「私の政権は、アメリカ人のため、価格を下げるべく、できる限りあらゆることをし続ける。」

 それは、もちろんばかばかしい。2月24日にロシアがウクライナに侵略する前に、価格は既に急騰し、インフレーションは既に40年来の勢い高で、全てを一層悪化させた経済戦争で、ロシアの侵略に、アメリカは対抗する必要があると伝えるが、現実構造上、そういうことは皆無だった。わずかな外交で容易に防げたはずの侵略に応えて、アメリカは経済戦争という未曾有の行為を始め、しかもルーブルの強さをさえ傷つけずに、そうするのに成功したのだ。

 減少する銀行預金口座に対して、アメリカ人が責任を問うべき多くの人々がいるが、プーチンは、そういう連中の一人ではない。

 

 そして国民はこれを知っている。「プーチンの物価上昇」という言葉はバイデン政権が、この言葉繰り返し使うことについて発言する時以外、アメリカ政府の為に働いていない誰も皮肉なしには使わない。私のソーシャルメディアへのコメントでも、最も愚かなリベラル派でさえ、その言葉を使うのを私は全く見ない。

 今や、バイデンが、その言葉を使うのを聞くことさえばかばかしく見える。彼が自然発生的に「万歳、野郎ども!」とか何とか叫ぶのと同様、それは実に、でっちあげで、場違いなのが明らかだ。

 だが少々お待ち願いたい。もし連中が十分頻繁に、それを繰り返し続ければ、遅かれ早かれ、一般大衆がそれを繰り返すのに気付くだろう。

 これは帝国管理者は、一般大衆が理解していないことを理解しているためで、つまりこういことだ。確信ありげな声で十分頻繁に言い分を繰り返せば、真実性の錯覚として知られる認知機能の欠陥のおかげで、人々は、その言い分を真実と誤解するのだ。

 真実性の錯覚とは、あることが何度も言われるのを聞いた後、人々は、それを本当だと信じる可能性が高くなることだ。我々が以前に聞いたことがあるものを聞くと、我々が、あることが本当だと知っている時経験する感情に非常に似た感じがする事実に帰せられる。聞き慣れた考えを聞くと、それを知っていることが認知的安らぎと呼ばれるものをもたらすが、それは我々の心が、何かに対して懸命に動いていない時に経験する、くつろいだ、自然な状態だ。我々が本当だとを知っている声明を聞かされると、我々は認知的安らぎを経験する。

 我々は認知的安らぎを選ぶ傾向があり、それが、ある信念を検証する際、それを支持する情報ばかり集め、反証する情報は無視するか、集めようとしない傾向、確証バイアスというものがある理由だ。認知的緊張や認知的不協和を起こさない考え方を信じれば、そうでないものを信じるよりも、我々は認知的安らぎを感じるのだ。我々が信じている全てが、我々がそう思っている通り本当かどうか、じっくり考えるより、生き残りに欠かせない迅速な決定に集中できるよう、進化上の我々の先祖は、認知的安らぎを求めるよう適応したのだ。有史以前時代、剣歯虎に食べられないためには、これは素晴らしかったが、認識的に複雑な近代世界の紆余曲折の中を進む際は、さほど役に立たない。同じウソを何度も何度も繰り返す画面に囲まれながら、本当の信念を育成しようとする時には役に立たない。

 

 これは特に「プーチンの物価上昇」という言葉の頻繁な繰り返しの背後にある戦略のように思われ、物価上昇はロシアのせいだという言説は一般化している。真実性の錯覚が始まり、人々の認知的能力を無効にするまで、言って言い続けるのだ。

 我々は訓練されているのだ。欧米人は、欧米当局が選択した欧米政策のため、余計に支払って、減少する銀行預金口座を見て「こんちくしょう、プーチン!」と叫ぶよう訓練されているのだ。

 新冷戦の、こうした部分は、このような膨大な訓練がなければ不可能なはずだ。極めて大量のプロパガンダがなければ、アメリカ東海岸のわずかな社会病質者の愚かなグランド・チェス盤術策を推進するため、一層貧しくされることに、人々は決して同意するまい。極めて大量のプロパガンダがなければ、アメリカ一極主義エスカレーションで絶えず瀬戸際外交を強化し、世界の二大核保有超大国間核戦争の銃口を毎日頭に向けられることに、人々は決して同意するまい。極めて大量のプロパガンダがなければ、直接自分に打撃を与え、知っている全員を脅かし、人々に何の物質的利益をもたらさない思惑に、人々は決して同意しないはずだ。

 だが、これは我々の社会全体についても当てはまる。我々ではなく、彼らにだけ有利な現状に同意するよう、我々の共同心理を操作するために、権力者連中が作成し、広めるプロパガンダに我々の文明社会全体が漬かっているのだ。

https://twitter.com/SomersetBean/status/1371792725977178115

 王朝や大変動や革命の世紀を通じて、国民を支配する最良の方法は、国民に自由と権力の錯覚を与えておいて、自分たちの権益を支持するよう、国民を操ることだと、権力者連中は学んだのだ。マスメディアの発明が、この新しい形式の専制を促進し、研究分野として心理学が出現した。この二つの要素が結合し、着実に進歩する近代プロパガンダ科学を生み出した。

 これが、世界がこういう現状にある理由だ。少数の権力を持った社会病質者の代わりに、人々の人数の力を、自分たちのためになる体制をもたらすために使うことから逸らせるよう、人々が大規模心理操作されているためだ。

 これが我々のあらゆる重大問題の原因だ。それを理解することと、それを克服する方法を見いだすことが解決だ。連中が、このように我々を支配するのが可能な唯一の理由は、我々より我々の心をうまく操作できる、あらゆる方法を連中が理解しているためだ。

__________________

 私の記事は全て読者のご支援によるものなので、本記事を良いと思われたら共有し、FacebookTwitterSoundcloudあるいは、YouTubeをフォローするか、Ko-fiPatreonPaypalのチップ入れにいくらか投げ銭していただきたい。更に多く読みたいとご希望なら、私の本を購入可能だ。私が発表する記事を読めるようにする最善の方法は、私のウェブサイトか、Substackでメーリングリストを購読することで、そうすれば私が掲載する全てのものについて電子メールで通知が行く。人種差別サイト以外、どなたでも無料で、お好きなあらゆる方法で、この記事のどの部分でも(あるいは私が書いた他のあらゆる記事でも)再配布、使用、翻訳されるのを私は無条件に許可している。私が一体誰で、私がどういう立場で、この場で何をしようとしているのかなどについて、より詳細をお知りになりたい場合には、ここをクリック願いたい。全ての記事はアメリカ人の夫ティム・フォーリーとの共同執筆。

 

ビットコイン寄付:1Ac7PCQXoQoLA9Sh8fhAgiU3PHA2EX5Zm2

 気に入っていただけただろうか? Patreonで、ケイトリン・ジョンストン支援のために、1秒時間をかけて頂きたい!

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2022/06/11/they-plan-on-repeating-putins-price-hike-until-people-believe-it/

----------

 日本での大本営広報部報道も、物価では、プーチンが悪者なのだろうか。のど自慢と「とうちゃこ」しか見ていないので分からない。

 今朝の孫崎享氏のメルマガ題名

ウクライナの悪夢が実現の方向へ。ウクライナが戦場になりウクライナ軍が日に百人以上 戦死している中、西側の武器支援は「戦い続けるのに十分なだけの支援は与えられるが、ロシアを打ち負かすのには十分な支援が与えられない」に固定すること。

 Chris Hedges氏最新記事 冒頭の文章からして、気になる。読むしかない。ネオファシスト問題。

The rise of neofascist movements across the globe differs from the fascist movements of the 20th century.

 RTトークショー 金の印刷しすぎの悪例に、日本があげられている。

CrossTalk: Global recession

 デモクラシータイムス番組の話題とも重なっている。1:31

<金利 為替 物価の反乱>【山田厚史の週ナカ生ニュース】

 The Saker  の番組。

The Empire Strikes Back: Imperialism’s global war on multipolarity

 このページから見られる動画、長い!2時間48分。様々な国の社会主義者が12分ずつ語る。日本からは、沖縄の方というのがみそ。

 日刊IWJガイド

「水道橋博士と米山隆一氏が『パブリック・エネミー維新』をぶった斬るトークを配信! IWJも、岩上が水道橋博士と米山氏にインタビュー予定」

« 石油備蓄を見て、アメリカ外交政策を研究する:言説のマトリックスの端からのメモ | トップページ | ワシントンは、いかにして太平洋をNATO紛争の新戦域に変えつつあるのか »

アメリカ」カテゴリの記事

ロシア」カテゴリの記事

Caitlin Johnstone」カテゴリの記事

ウクライナ」カテゴリの記事

バイデン政権」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 石油備蓄を見て、アメリカ外交政策を研究する:言説のマトリックスの端からのメモ | トップページ | ワシントンは、いかにして太平洋をNATO紛争の新戦域に変えつつあるのか »

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ