まるでタイミングを見計らったようなカーブルのテロ攻撃 一体誰が恩恵を得るだろう?
Finian Cunningham
2021年8月28日
Strategic Culture Foundation
テロ行為、CIAの要請でバラダルの手先の一部に手配された可能性はあるのだろうか?
カーブル空港での血まみれの大虐殺の3日前、ウィリアム・バーンズCIA長官は、アフガニスタン首都でタリバンのトップ指揮官と秘密会談を行っていた。それは今週の劇的なアメリカ撤退秒読み段階の、いくつかの怪しい出来事の一つに過ぎない。
カーブル空港入り口を警備していた少なくとも13人のアメリカ兵が明白な自爆攻撃で亡くなった。軍用貨物機で出国するため並んで待っていた多数のアフガニスタン人も殺された。二番目の爆発はイギリス当局者が移住書類処理に使っている近くのホテルを襲った。
テロ行為を実行したのはタリバン兵士ではなかった。カーブルを占拠した後、8月15日、素早く権力掌握した過激派組織は、検問所で首都を整備していた。爆発は、アメリカとイギリス軍の支配下にある空港区域で起きた。
ほとんど知られていないテロ集団、イスラム国ホラサン州(IS-K)が爆破犯行を主張している。IS-Kはアメリカとイギリスの諜報機関が、この集団によるカーブル空港の差し迫るテロ攻撃の注目を引く警告を公表した今週まで、これまでほとんど報じられていなかった。警告は実際の攻撃の僅か数時間前だった。ジョー・バイデン大統領は今週早々この新しいテロ組織に言及さえし、彼らはタリバンの「宿敵」だと辛辣に主張した。
不可解なテロ集団が、一体どのように、過去の「宿敵」タリバン検問所を通過し、大いに安全な地域に潜入し、アメリカとイギリス軍の非常線を突破したのだろう?
8月15日、タリバンによるカーブルの歴史的奪取で、完全に不意を突かれたアメリカとイギリスの諜報機関が、どうして、この差し迫った脅迫に関して、これほど正確な情報を得られたのだろう? タリバンが首都に素早く入り、アメリカとイギリスがアフガニスタン軍事占領中、20年間支えていた政権が崩壊した。これほど極めて重大な事件を予見しそこなった、これら諜報機関が、そのわずか二週間以内に、複雑な計画が必要な差し迫ったテロ行為を正確に指摘することが可能だったと信じるよう我々は期待されているのだろうか?
空港爆破の政治的副産物は何だろう? バイデン大統領とイギリスのボリス・ジョンソン首相は、カーブルからの退去を8月31日の期限までに完了するよう断固主張している。バイデンは加害者を「我々は追跡して捕らえる」と名ばかりの誓いをしたものの、このテロ行為は、アフガニスタンから撤退する緊急性を強調していると述べた。
タリバンとテロリストに屈服することに対し、同盟国アフガニスタンを裏切ることに対し、大統領は強烈な政治攻撃を受けている。一部の共和党員は、彼がこの大惨事を監督したことと国辱のかどで辞任を要求している。米軍占領に協力した最大250,000人のアフガニスタン人が後に残され、報復攻撃される危機におかれると推定されている。
だから、2011年8月、38人が搭乗していたチヌーク・ヘリコプターが撃墜された時以来、アフガニスタンでのアメリカ兵士の一日最大13人ものアメリカ軍兵士死者が、アフガニスタンでの国防総省活動の延長を引き起こす可能性は、ほとんど皆無に思われる。爆発後の今週でさえ、国防総省は、バイデンに8月31日の期限を固執するよう助言した。タリバンも、アメリカとNATOの全軍隊が、その日付までに国外に出るに違いないと述べた。
世論調査は、大半のアメリカ人がバイデンのアフガニスタンからの撤退に同意していることを示している。アメリカによる最長の戦争は徒労で、勝てないと考えられている。今週の胸が悪くなるような爆弾攻撃は国民の戦争疲労の感覚を強調するだけだろう。大規模軍をアフガニスタンに戻すというタカ派の呼びかけには政治的反響がほとんどない。
ここで、我々は、今週早々のウィリアム・バーンズCIA長官とタリバン指揮官アブドゥル・ガニ・バラダル間の秘密会談に戻る。ワシントン・ポストは、バイデンがバーンズをカーブルでバラダルと会うよう行かせたと報じている。8月15日、タリバンによるアフガニスタン奪取以来、バイデン政権とタリバン間の最高上位の接触だった。議論の詳細は明らかにされず、一部報道は、他のタリバンの人々は、この会談を知らなかったことを示している。
バラダルはタリバン創設メンバーの一人だ。彼は2010年にパキスタン諜報機関とCIAに捕らえられた。だが2018年、アメリカの要請で、バラダルは刑務所から釈放された。その後彼は戦争終結を見いだすアメリカとの交渉でタリバンを率いた。こうした会談で、トランプ政権が今年の軍撤退に同意し、2020年2月合意で頂点に達した。バイデンは撤退計画に固執した。
彼の経歴から、バラダルはタリバン内のCIAの手先と見なす十分な理由がある。少なくとも彼は、CIAに顔が利くとは言えるだろう。
CIA長官バーンズは、なぜこのようなアフガニスタンからの米国撤退で重要な時にバラダルと会うのだろう? 撤退するアメリカ軍を、タリバンが保護する治安維持の保証を得るため? それは明らかに起きなかった。
すると他に何があるだろう? CIAの要請で、バラダルの手下の一部がテロ行為を手配したことはあり得るだろうか? 狙いは、無秩序で恥ずかしい撤退から、テロの脅威のため必要性へと焦点を移すことだったのだろうか。それが正に予測された形で起きる、ほんの数時間前に、アメリカとイギリスの諜報機関が事件を警告したのは気味悪いほど異様に思われる。テロ事件の一つの恩恵は、カーブル空港近くで列を作っている死に物狂いのアフガニスタン人の群れが、多くの流血の不安から追い散らされたことだ。もう一つの恩恵は、アメリカとイギリスの軍用機が、彼らを追って滑走路を走るアフガニスタン人の実に痛ましい光景なしで、8月31日に離陸することだ。おかげで帝国は、そうでない場合よりは、恥ずかしさをいささか少なくして、血まみれの犯罪戦争を終えられるのだ。
Finian Cunninghamは主要報道機関の元編集者・記者。国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。
個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。
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昨日のIWJ番組を拝聴。てっきり入管問題だけかと思っていたが、説明文通り、アフガン残留の保護対象者の話題も延々。もちろん害有省は対象人数公表拒否。質問していおられる野党議員の言われる通り「そもそも難民受け入れ自体を徹底的に拒否している日本が難民救援」ということ自体論理矛盾。カーブルから救出はするが、難民として受け入れないのが基本なのだから、どこかに捨ておく結果にしかならない。
ウィシュマさんの尿検査結果、さすが医師の阿部議員、追求はお見事。まるでNHKのポアロ。尿検査結果を、入管の?看護師が、内科医に知らせたと報告書にあるが、内科医は覚えていないと報告書にあるという。この尿検査結果を見て放置したのであれば、医療過誤だと阿部議員は言われる。そこに、通常量ではない向精神薬のクエチアピンの強制投与では意図的殺人行為と変わらない。これからも追求すべき大問題。ウイシュマさんがDV被害者であることも知らない「無知」ネトウヨのコメントがわずらわしいので、何とかコメント欄の消し方を習得したい。
【撮りおろし初配信・IWJ_YouTube Live】19:30~「外務省はアフガン残留の救援保護対象人数の公表を拒否! 名古屋入管ウィシュマさん死亡問題では、庁内担当医師がウィシュマさんの尿検査の結果を把握していたかが焦点に!~8.26第30回 難民問題に関する議員懇談会 総会」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured
日刊IWJガイド 今日は柳沢氏の再配信
【タイムリー再配信 984・IWJ_YouTube Live】20:00~「『日本は日米同盟を自己目的化している』イラク戦争時の自衛隊派遣責任者、自省を込めて語る~岩上安身による緊急インタビュー 第298回 ゲスト 元内閣官房副長官補・柳澤協二氏
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured2013年4月に収録した、岩上安身による元内閣官房副長官補・柳澤協二氏インタビューを再配信します。今までIWJが報じてきた柳澤協二氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E6%9F%B3%E6%BE%A4%E5%8D%94%E4%BA%8C
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