アメリカの強圧的外交
Finian CUNNINGHAM
2017年9月4日
Strategic Culture Foundation
最近のアメリカ当局による、途方もなく強権的なロシアの外交的権利侵犯は、アメリカが正常な二国間関係回復を望んでいないことを示している。実際、今やアメリカは公然と強圧的外交に訴えている。
もし命令に従わなければ、入り口のドアをたたき壊すというアメリカ当局による脅しが報じられる中、三カ所の外交施設から、わずか数時間で立ち退けというロシアに対する急な命令は、ロシア主権の見境のない無視を示している。アメリカによる、ロシアの主権のみならず、あらゆる国の権利侵犯を。
アメリカのシークレット・サービス職員が資産の捜査を行っている間、ロシア職員は建物への立ち入りを禁じられたという報道もある。そのような行為は、ロシア当局に対する挑発的な侮辱であるのみならず、昨年のアメリカ大統領選挙へのロシアによる干渉とされるものに関する進行中の捜査によって後に“発見される”ことになる有罪を示す証拠を、アメリカの工作員が埋め込もうとしていたのではないかという懸念をももたらす。
しかもマスコミ報道によれば、ロシアの外交上の権利に対する手荒い扱いは、ドナルド・トランプ大統領自らの命令だという。かつてトランプはロシアとの正常な二国間関係を回復する希望を語っていたのだ。最近のロシア主権の侵害は、アメリカの公式政策が、今やモスクワに対する敵対的方針で完全に連携しているという単刀直入な印だと結論せざるを得ない。
アメリカの集団的健忘症は、びっくり仰天ものだ。shuttering ofサンフランシスコ、ニューヨークとワシントンにおける三つのロシア施設の閉鎖は、アメリカ国務省とアメリカ・マスコミによって、7月にロシアが約455人のアメリカ人外交官を退去させたことへの“報復”として描きだされた。2016年12月に、オバマ政権がロシアの三施設を没収し、35人のロシア人外交官を追放したことへの対応として、ロシアがこれらの外交官を追放したという事実を、アメリカ・マスコミ報道は軽視、あるいは省いている。ロシアは、トランプ新政権が品行正しく振る舞い、オバマによる侵犯を元に戻すかどうかを見極めるため七カ月忍耐強く待った。トランプ政権は損害を修復しなかったのみならず、更に進めて、新たな対ロシア貿易・政治経済制裁まで課した。
だから、ロシアには、7月に追放して、いずれにせよ残る400人程のアメリカ人外交官を、アメリカに駐在するロシア外交官と同じ人数にまで削減して応酬するあらゆる権利があったのだ。モスクワは、敷地からのアメリカ撤退に一カ月の猶予を与えた。アメリカはロシアに12時間の猶予しか与えなかった。
最新のトランプによる外交上の侵害で、閉鎖されたロシア施設の総計は六ヶ所となり、対立の劇的エスカレーションを際立たせている。モスクワはしかるべく対応すると述べた。
二国の関係は、既に極度に緊張したレベルを超えて、急速に悪化している。だが、はっきりさせておこう。この悪循環はアメリカ側の責任だ。
オバマによる未曾有の追放と収用は、ロシア政府が、アメリカ大統領選挙への干渉キャンペーンを命じていたという扇情的な非難が前提条件だった。この人騒がせで、漠然とした主張を裏付ける証拠を、アメリカ諜報機関は全く提示していない。それなのに我々は、証明されていないアメリカの主張をもとにした、報復的な外交騒動という、とんでもない状況におかれている。法的な適正手続きが、なぶりものにされている。
ロシアは、こうした非難を、反ロシア偏見が動機の、アメリカの政治的内紛と責任転嫁だと言って、常に片づけてきた。皮肉にも、“ロシアとの共謀”という主張を、民主党寄りマスコミと諜報機関が送り出した偽ニュースだと非難してきたトランプが、外交施設を没収するという最新の命令を出して、今や事実上、反ロシアという強大勢力に乗り換えたのだ。アメリカの愚行はとどまるところを知らない。
アメリカの集団的健忘症は更に問題だ。対ロシア経済制裁は、ウクライナ危機を巡って、2014年に始まった。あの危機は、ウクライナ内政へのアメリカとヨーロッパの介入と、最終的に、選挙で選ばれたキエフ政府に対する暴力的クーデターによって引き起こされたのだ。権力を掌握した、アメリカが支援する政権は、東ウクライナの分離主義ロシア系住民を過去三年間攻撃している。一方、クリミア住民は住民投票で、ネオナチ・バンデラ派キエフ政権を承認するのではなく、ロシア連邦への編入に賛成投票した。ところがアメリカと、そのヨーロッパの同盟諸国によって“ウクライナ不安定化”のかどで制裁されているのはロシアだ。
アメリカは、国際法を軽蔑する、こらえ性のない暴漢という、全く恥ずべきありのままをさらけ出している。要するに、全く破廉恥なならず者政権は今や完全に制御が効かなくなり、他の国々が何を考えているかなど全く気にかけていない。最近のロシア主権の侵犯は、国際法や他のあらゆる国の主権に対する、アメリカの全般的な高圧的態度の典型だ。
驚くべきことに、アメリカ・マスコミは、在サンフランシスコ・ロシア領事館内での文書焼却とされるものが、ロシアの逃げ口上とスパイの“証拠”だと自己弁護的な憶測発言をしている。国際法の下で、外交官のプライバシーを守ることはあらゆる国の主権だ。ロシアの不正行為を当てこするのではなく、より憂慮すべき適切な視点は、アメリカが国際法をほとんど尊重しないので、他の国々はもはや、アメリカが法的な外交基準を遵守していると思っていないということだ。
ロシア権利の侵犯は、アメリカによるウクライナ侵犯と首尾一貫しており、ウクライナ侵犯は、最近の例をいくつかあげれば、アメリカによる、シリア、リビア、イエメン、パキスタン、ベネズエラ、ソマリア、イラクやアフガニスタン侵犯と首尾一貫してい。
北朝鮮に関して、外交は機能しないやら、平壌が厳しい前提条件に従う場合のみ交渉可能だやら宣言する、法的、道徳的権限が、一体なぜアメリカにあるのだろう?アメリカは、平等な対話を行い、外交儀礼に従う義務を気安く排除しながら、北朝鮮を(イランやベネズエラや他の国々も)戦争で威嚇する“権利”が自分にあると勝手に決めるのはどういうことだろう? これは暴君の振る舞いと発想だ。ファシスト国家だ。
ロシア主権に対する最近の手荒な扱いは、アメリカ合州国退廃の荒涼とした一里塚だ。アメリカは礼儀正しい外交のいかなる装いもかなぐり捨てている。
強圧的外交は、アメリカの侵略戦争、大量虐殺、大量拷問や、組織的国際法破壊の当然の帰結だ。全て、うぬぼれた独善の自己陶酔的微笑みをうかべながらの。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2017/09/04/american-jackboot-diplomacy.html
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その強圧的外交に、下駄の雪のようにはりつき、宗主国による大量虐殺、大量拷問や組織的国際法破壊に従う国がある。属国も礼儀正しい外交のいかなる装いもかなぐり捨てている。
孫崎享氏のメルマガ題名は
やはりあった、米国・北朝鮮の秘密対話。5月、ノルウェーで非公式協議。米は元国連大使、北朝鮮は北米局長。ハース外交評議会会長が7月、制裁、軍事でなく協議による管理を主張したのも、多分こうした動きを踏まえての発言。
だから
米国の強硬な発言だけを信じていると、梯子を外される可能性がある。
と書いておられる。
今日は注目の今治市議会定例会。大本営広報部の呆導ではなく、下記をこれから拝見しよう。
IWJは以下の日程のうち、6、8、11日の本会議を中継します。
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■2017年9月6日(水)~9月11日(月)
【ツイキャス・IWJエリアCh2・愛媛】10:00~「第4回今治市議会定例会 ―本会議・議案説明」
視聴URL: http://twitcasting.tv/iwj_areach2
--------------------6日の本会議後に行われる委員会には、柳澤康信・岡山理科大学学長、渡辺良人・加計学園事務局長、吉川泰弘・獣医学部長(予定)ら、加計幹部が出席する予定です。しかし残念ながら委員会の方は中継が許可されませんでした。IWJとしては一般傍聴(定員5名)として抽選に並ぶ以外に入る方法はありませんが、とにかくチャレンジ。傍聴に入ることがかなえば、テキスト記事としてお伝えする予定です。
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コメント
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「我々は平和を望むのに、敵が戦争を望むからやむなく我らも武器を取る」
自分から始めたゲームを、いつの間にか相手が仕掛けたようにすり替えるアメリカのいつもの手口。
ロシアが、北朝鮮が、シリアが、ベネズエラが、イスラム教徒が、歴史的文脈から切断されて一方的に悪者扱いされ、その世界観に無批判に阿諛追従する傀儡政府と奴隷国民。
それにしても、北朝鮮とアメリカの対立にわざわざ火に油を注ぐような真似をする日本政府は何なのか。この二国が戦争になればより大きな被害を被るのはどう考えてもアメリカではなく日本だろう。やる気のない避難訓練などを見てると逆説的に北朝鮮が本気で戦争を仕掛ける気はないのだと考えているとしか思えない。
投稿: 一読者 | 2017年9月 7日 (木) 10時43分