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2017年9月22日 (金)

トランプの国連演説

2017年9月19日
Paul Craig Roberts

今朝トランプの国連演説の一部を聞いた。彼やわが国が余りに恥ずかしくなったので、テレビを消さざるを得なかった。

ひどい演説を書いた人物が誰であれ、トランプをきまり悪い目にあわせようとして、うっかりアメリカまで、きまり悪い目にあわせてしまったのか、それとも、スピーチライター(複数)が現代ネオコンの傲慢さと尊大さに染まりきっているがゆえに、演説至るところで、ひどく目立つ途方もない矛盾がスピーチライターには見えないのかはわからない。

全部について触れるつもりはないが、いくつか例をあげよう。

トランプは、アメリカが、どれほど、あらゆる国々の主権とあらゆる国々の国民の意思を尊重し、圧倒的な軍事力にもかかわらず、アメリカは、どの国にも自分の意思を押しつけようとしたことは全く無いと延々述べ立てた。政権は一体何を考えていたのだろう、あるいは、考えることができるのだろうか? ユーゴスラビア/セルビア、アフガニスタン、イラク、リビア、ソマリア、エジプト、シリア、イエメン、パキスタン、クリミア、ウクライナ、ベネズエラ、ホンジュラス、エクアドル、ボリビア、ブラジル、アルゼンチンなどの、21世紀に、アメリカ軍攻撃や、政府打倒や、アメリカの権益に従わない政治指導者排除の目にあわされた国々はどうなのだろう?

イラン、ロシア、中国、北朝鮮、ベネズエラに対するアメリカの経済制裁を支持するよう強制することが、国々の主権の尊重なのだろうか? 諸国に経済制裁を課することが諸国の主権なのだろうか? もしこれが、ワシントンの意思を他の国々に押しつけているのでなければ、一体何がそうなのだろう?

言われた通りにしない限り、“お前たちを爆撃して、石器時代に戻してやる”ということが他の国々を尊重することになるのだろうか?

トランプが、国連人権委員会の委員諸国には、現代最悪の人権実績の国があると苦情を言ったのを聞いて、アメリカ合州国について言っているのではないかと耳を疑った。トランプも、スピーチライター(複数)も、国務省も、国家安全保障会議も、アメリカ国連大使も、実際、政権丸ごとが、多くの国々の何百万人もの人々を果てしなく殺戮し、四肢を奪い、孤児を生み出し、未亡人を生み出し、土地財産を奪い、難民の波を生み出すことが人権侵害にあたらないと思っているのは明らかだ。

トランプ演説が伝えた傲慢さは前代未聞だ。

アメリカは、あらゆる人々を尊重すると請け負った後、トランプは、イランと北朝鮮という主権国家に対し、要求につぐ要求、威嚇につぐ威嚇をくりだし、世界中の国々に彼を支援するよう要求した。

両国ともアメリカにとって脅威ではない。アメリカとイスラエルと違い、北朝鮮は、1953年以来戦争をしていない。イラン最後の戦争は、1980年代、イランがイラクに攻撃された時のことだ。ところが、北朝鮮もイランも、アメリカによる絶えざる脅しにさらされているのだ。国連で、トランプは北朝鮮を破壊すると威嚇し、軍事行動を正当化するため、ワシントンはイランについて更なるウソをつき続けている。

ワシントンが他の人々について、一体どれほど慎重に考えているかについて、元国務長官のコリン・パウエルはこう語っていた。

“リビアで一体何が起きるだろうかを我々は分かっていると思っていた。エジプトで一体何が起きるだろうかを我々は分かっていると思っていた。イラクで一体何が起きるだろうかを我々は分かっていると思っていたが、我々は間違っていた。こうした国々のいずれにも、その社会を一つにまとめている何らかの構造があることを我々は考えなければならない。特にリビアで学んだように、トップを排除すると、すべてがバラバラになる... 大混乱だ。”

これこそ、ワシントンが行っていることだ。何千万人もの人々に混乱をもたらし、彼らの暮らしや、彼らの国々の将来を破壊しているのだ。これがトランプが他の人々に対するアメリカの思いやりと称している行動だ。これが、他の人々や彼らの国々の主権を尊重するとトランプが称するものの実態だ。ワシントンは、人類に対する犯罪を“対テロ戦争”だと粉飾している。虐殺され、四肢を損なわれ、退去させられた何千万人もの人々は、単なる“巻き添え被害”に過ぎない。

これこそが、アメリカが平和に対する最大の脅威と見なされている理由だ。国際世論調査は、世界がアメリカを北朝鮮とイランよりずっと大きな平和に対する脅威と見なしていることを示している。ところがトランプは、世界にとって、あまねく最大の脅威と見なされているアメリカを、偉大な平和の守護者として表現している。これより酷い平和攪乱者があっただろうか?

世界の国々、特にロシアと中国は、ワシントンの言いたいことを理解したのだろうか。ワシントンの国連“改革”計画というのは、この組織を、NATOやEUのようなアメリカ外交政策のもう一つの道具に変える計画だ。トランプが国連で語って伝えた真意は、今後国連が、ワシントンの外交政策を支持するよう期待しているということだ。ワシントンの戦争政策に反対する国々は孤立化させられ、ワシントンが定義する悪い国々と一緒くたにされるのだ。

言い換えれば ワシントンは、その単独覇権主義に対する制限を認めないのだ。これは、ワシントンの覇権を受け入れないあらゆる国にとって、戦争を意味している。

Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/09/19/54625/
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宗主国の法外な演説。傀儡によるさらにわをかけたたわごと。会場はまばらだった。トイレタイムという表現を拝見した。

孫崎享氏の今朝のメルマガのタイトル、悲しい実情が指摘されている。

日本の言論統制は、今や外国の学者の研究テーマになってきたらしい。北欧の学者からメールで問い合わせがありました。例「領土問題に対してどうしてこんなにも多くの学者が無批判に政府の立場を支持していると思いますか。

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コメント

               一身独立して一国独立す         福沢諭吉
    
  多くの学者というときの「学者」の定義がよく分かりません。とはいえ,『言論統制』研究に携わる学者でしょうから,憲法,ジャ-ナリズム,表現の自由,人権等々を研究する学者なのでしょう。

  「日本の言論統制」の面には,3つがあると思います。
  1つは,先の論考にあるように,「元アメリカ陸軍兵士で内部告発者のチェルシー・マニングがハーバード大学ケネディ行政大学院に、客員研究員として加わる予定だと発表してから二日もたたずに、大学は招請を撤回した」-ことに見られるように,大学が政治的圧力に屈する場合です。忖度して自由に物が言えない,書けないという状況です。

  日本の場合は,大学の「副学長」の6割が文科省元官僚という説もあります。つまり,独立行政法人大学の予算采配を牛耳っているのは,天下りまたは現役官僚副学長です。その結果,「言論統制」に逆らう,あるいは政府批判が自由にできないということになります。もちろん文科省批判などできるわけがありません。

 2つは,言論統制に限りませんが,言論統制問題は,専門外だと言うことです。自分の専門研究の範囲外だから,政府やオカミの,教授会の決定に詳しくないから,意見が言えないという状況です。
 例えば最近,シリアで毒ガスは政府軍が使ったのか,反政府軍が使ったのかという意見の対立がありました。N.ヘイリ-米国国連大使は証拠を示さず政府軍が使ったと主張し,毒ガス被害に遭った子どもたたちの写真を見せるだけでした。このとき,シリア政府軍が使った「証拠がない」と言った少数の学者,教会関係者はいましたが,日本の学者に限らず,世界の学者は黙ったままでした。
 しかし,サリンガスなら手袋をしないで子どもを抱き上げる白ヘルメットの救助隊員の写真が「オカシイ」と指摘した,映像・写真学の学者はいなかったと思います。オ-ム真理教でサリンガスを造った科学者ならこの写真が「オカシイ」と即座に言ったと思います。写真の非専門家でも分かるはずです。しかし専門外だから,分からない,分からないから,口を閉ざすことになるのだと,思います。

  3つめは,歴史的必然です。戦争はおこるべくしておきたから反対は無意味だという考えです。
  文芸評論家,故・加藤周一がベトナム戦争をよく例に曳いています。反戦運動は例えばカリフォルニア大のバ-クレイ分校で学生の間ではじめに起こりました。続いて科学者や文学者も声を挙げてベトナム戦争中止を訴えました。子どもがナパ-ム弾等に焼かれて死んでいるのに戦争中止を訴えるのが一番遅かったのは,米国史の専門家,政治学者であったそうです。
  専門的に研究すればするほどその事件が必然として見える。必然として見えるから子どもがたくさん殺されていても戦争反対とは言えない。詳しくは,正確には,加藤周一著『私にとっての二〇世紀』(岩波書店,pp.71-74)をご覧ください。
 
  ところで2015年9月19日の,政治学者戦争法成立の時,憲法学者の99%が「戦争法は違憲」だと意見を述べたのは,例外であり,とても勇気の要る行動だったと思います。皆さんが佐渡へ佐渡へと草木も靡くように,大勢の流れを見て,戦争法反対を表明した学者もいたと思いますが,それは少数でしょう。

  さて日本の言論統制に話を戻しますが,共謀罪に対して国連人権委員会に独立に勧告できる学者がその法律はまかりならんと主張しています。国連人権委員会はその勧告を受け入れなければなりません。それに対して日本政府・外務省は,国連人権委員会とは無関係(independent)の学者の意見として無視しています。これは言葉の誤魔化しです。ユ-フェミズムです。
  英語の出来る記者たちは「independent」が誤訳されていることを知っているにもかかわらず,黙っています。学者だけが黙っているわけではなさそうです。ちなみにここでいう「independent」とはアメリカやイスラエルから軍事的圧力を加えられても,反対者から政治的を圧力を掛けられても独立に仕事が出来る人間という意味だと思います。

  それに対してテロ支援国家であるサウジアラビアに対して,国連からある人権に関する「賞」が与えられました。国連といっても,いろいろあらな,ですが,サウジ政府批判者は,むち打ち刑か絞首刑でしょう。また最近,女性の運転が許可されたそうですが,ジャそれまでの運転禁止は何だったのかという疑問が生じます。そういう国連に対して関連する学者が何か主張しているのでしょうか。寡聞にして知りません。

  とにかく安倍・公明党政権の5年間は,核兵器条約に批准せず,北朝鮮の核開発を非難して「対話」をしないという言論統制をしてきた政権運営だったと言えるでしょう。まあ,安倍首相のスシ友の田崎氏が漏らしたように,ミサイル発射の2日前には首相官邸にその情報が入るようです。つまり「対話」などしなくてもミサイル発射情報は入るので,もっと早く情報を出せと北に「圧力」をかけるつもりなのでしょう。しかしそれにつけても,発射情報はどうして統制されないのかと,自問する毎日です。
 
追記: あの懐かしいTPP条約。正文は英語,スペイン語,フランス語だけ。GDP世界第三位の,敗戦国の言葉は正文になり得ないのでしょう。これを通産官僚から見れば,外国語であれば,日本の国民はよく理解できないから反対が起きないということでしょう。これも一種の言論統制かも知れません。
 
追記2:北方領土問題の解決は,日ロ平和条約が結ばれない限り進展しないはずなので,学者が黙っていたとしてもそれほど問題にならないのではと軽く考えています。問題は,日米安保がある限り,米国が北方領土に米軍基地を建設するから,日ロ平和条約締結はないと理解しています。つまり,日米安保廃止はほとんど考えられないから,学者が黙っていても問題ない気もします。
 ただ,北方領土への米軍基地建設と,日米安保条約との関係は,高・中学生にも教えられていい内容だと思っております。

追記3: 先の十五年戦争,太平洋・南洋方面の戦争に反対で「なかった」学者は,旧東京帝国大学では政治学者に多かったそうです。

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