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2009年9月

2009年9月30日 (水)

次の戦争、進行中-アメリカはウソつき達によって率いられ、情報を与えられている

Paul Craig Roberts

2009年9月29日

"Information Clearing House"

イラクの大量破壊兵器による、アメリカに対する深刻な脅威について、ブッシュ大統領と“大手マスコミ”がついてくれた、ありとあらゆるウソを、どなたか覚えておいでだろうか? イラクに派遣された兵器査察官達からの、そのような武器は存在しないという報告にもかかわらず、こうしたウソが、新聞雑誌やテレビで、延々と繰り返された。

兵器査察官達は、イラクで正当な仕事をこなし、真実を語ったが、大手マスコミは、彼らの所見を重視しなかった。そのかわりに、マスコミは、プロパガンダ宣伝省として機能し、アメリカ政府の為に、派手に宣伝を繰り広げた。

今や、あの過程が、丸ごと繰り返されている。今度の標的はイランだ。

イラン相手では、何の申し立てもしようがないため、オバマは、ブッシュの脚本から、セリフを写し、一つでっちあげたのだ。

まずは事実を。核拡散防止条約調印国の一つとして、イランの原子力施設は、国際原子力機関の査察を受けており、国際原子力機関が、原料が決して核兵器に転用されないよう、イランの原子力計画を、入念に監視している。

国際原子力機関は、イランの原子力計画を監視してきており、核物質の兵器計画への転用を発見したことはないと再三発表していきている。アメリカの16の諜報機関全てが、イランは、もう何年も前に、核兵器への関心を放棄したことを、確認し、再確認している。

濃縮施設が稼働する前に、国際原子力機関に通知すべきことという、保障協定に従って、9月21日、国際原子力機関に、イランは新原子力施設を建設中であることを通知した。国際原子力機関に通知することで、イランは、保障措置協定の下での義務を満たしたことになる。国際原子力機関が、施設を査察し、兵器計画に転用されないことを確認すべく、生産される核物質を監視するのだ。

これら明快な事実にもかかわらず、世界を脅かすであろう爆弾を製造する“秘密原子力施設”を、イランが作ろうとしているところを見つけたと、9月25日オバマは発表したのだ。

イランは、保障措置協定を遵守していないという、オバマ政権の主張はデマだ。2004年末から2007年始めにかけ、批准されることもなく、保障措置協定の一部にもなっていない追加協定(Code 3.1)を、イランは自発的に遵守していた。この追加協定は、新施設の建設を開始する前に、イランが、国際原子力機関に通知することを求めるもので、一方、現在有効な保障措置協定は、新施設完成の前に通知することを要求している。批准されていない追加協定への自発的な遵守を、イランは2007年3月に停止したが、それはアメリカとイスラエルによる、イランの既存施設に対する不実表示や、それらに対する軍事的脅威が原因だった可能性が高い。

イランには、秘密“核兵器計画”があると非難し、ありもしない計画について“白状する”ようイランに迫り、対イラン軍事攻撃の可能性を排除していない、と彼は付け加えたのだ。もはや信用を失ったブッシュ政権が、イラクに侵略をしかけるために、ありもしないイラクの“大量破壊兵器”を利用したのを、オバマがまねているのだ。

アメリカのマスコミ、“リベラルな”ナショナル・パブリック・ラジオでさえ、オバマのウソ製造装置に、さっさと同意した。マクラッチー新聞のスティーブン・トーマ記者は、イランが国際原子力機関に通知している建設中の非稼働施設を、“秘密の原子力施設”だと断言している。

月曜日にイランが国際原子力機関に通知した、イランの“秘密”施設のことを、金曜日、ピッツバーグで、ゴードン・ブラウン・イギリス首相やニコラ・サルコジフランス大統領と共に登場し、オバマが発表するまで、世界は知らなかったのだと、トーマは事実に反する報道をした。

明らかに、トーマは、事実を知る能力が欠如している。“大手マスコミ”記者お決まりの実力不足だ。新施設は、9月21日、イランが施設の件を国際原子力機関に自発的に報告して明らかになったのだ。

AP通信社記者アリ・アクバル・ダレイニは、APで不正確に報じた。「核兵器の原料も製造可能な、二つ目のウラン濃縮サイトの存在が、イランがまだ何かを隠しているという、濃厚な可能性の一つとなっている。」

「秘密サイトの存在は、金曜日、西欧の諜報機関当局者や、外交官達によって始めて明らかにされた。」とまでダレイニは書いている。ダレイニは間違っている。我々が施設のことを知ったのは、月曜日に、保障措置協定を遵守して、イランが施設について報告したと、国際原子力機関が発表した時点なのだ。

「その存在が、何年間も、国際査察官達から隠されていた秘密の地下ウラン濃縮施設」という、事実とは異なるダレイニ記事が、お膳立てされた恐怖を高めるのに役立った。

一丁あがり。アメリカ大統領と、彼のヨーロッパ傀儡連中は、おはこを演じている。白々しいウソをついているのだ。アメリカの“主要マスコミ”は、ウソを、あたかも真実であるかのように繰り返した。またもや、アメリカの“マスコミ”は、捏造によって、戦争の片棒をかつごうとしている。マスコミの主な関心が、アメリカ政府を喜ばせることと、できれば、経営不振の新聞事業向けに、納税者の金による緊急救済をせしめることであるのは明らかだ。

アメリカとイスラエル政府に品位を売り渡していない、稀有な信念の人、国際原子力機関事務局長モハメッド・エルバラダイ氏は、報告書で(2009年9月7日)反論している「イランの核計画に関し、理事会で、情報公表が控えられたという根拠のない非難。理事会で、情報公表が控えられたという、マスコミに流された、いくつかの加盟国による主張に、私は愕然としている。これらの主張は政治的な動機によるもので、全く無根だ。事務局の仕事に影響を与え、その独立と、客観性を損なおうとするよう企みは、国際原子力機関規則のVII.F.条違反であり、即刻中止すべきだ。」

対イラン攻撃には何ら法的根拠がないために、オバマ政権は、存在しない“イラクの大量破壊兵器”のような、別のでっちあげを、しつらえようとしている。でっちあげは、イランが、国際原子力機関に報告した施設は核兵器製造のための秘密施設だというものだ。

ちょうど、イラクにいた兵器査察官達からの実情報告が、ブッシュ政権によって無視されたのと同様に、国際原子力機関の実情報告は、オバマ政権によって無視されている。

ブッシュ政権同様に、オバマ政権の中東政策は、ウソとごまかしに基づいている。

アメリカ人にとって最悪の敵は誰だろう?イランか、それともワシントンの政府と、それに仕えるマスコミの淫売連中だろうか?

記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article23583.htm

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ほとんど同じ趣旨のことを、あのスコット・リッター氏がDemocracy Now!で語っている。下記リンク先で読み、視聴することができる。(ただし英語)

元国連武器査察官スコット・リッター、イラン原子力計画に対する“政治的な動機によるウソ”に警鐘

宗主国がイラン戦争をはじめれば、日本は、またぞろ、気の遠くなる金額の支援金を差し出し、さらには、イラク同様、派兵もするだろう。

洗濯機が火事を起こすと、電器メーカーはリコールする。自動車が、事故を起こしそうであれば、自動車メーカーはリコールする。虚偽記事が遠因となって、無辜の百万人が殺されても、マスコミは責任をとらない。政治家も責任をとらない。うらやましい商売だ。自分たちがあおって導入した、ゆがんだ小選挙区制度で、極端な選挙結果が出ると、進んで慶賀する。

 

理不尽な裁判員制度導入を応援しておいて、実施されると、早速、連日の提灯記事。

ところで、最近思いついたことがある。

前原氏、てっきり防衛大臣となって、属国政策を推進すると思い込んでいた。

ところが、国土交通省に舞い降り、八っ場ダム問題で、マスコミ、あるいは現地有力者の皆様と華々しい対決を繰り広げている。

「なかなか、やるではないか?」と感心してはいるのだが、ふと気がついた。

八っ場ダム推進・中止で、大手マスコミ、ひいては日本中の注意を引いていることで、自民党の「日米同盟重視」政策を、民主党がそのまま「継続」していることに対する素晴らしい目隠しになっているように見えてきた。無関係に見える国土交通大臣をしながら、属国化政策を巧妙に掩護しているのと同じではないか。

英語で言うred herring、つまり「根本の問題から注意をそらすためのもの」だ。

選挙前の芸能人クスリ騒ぎと一緒。

もっとも防衛政務官には、あのソマリア派兵を真っ先に言い出した(ブレジンスキーの弟子)長島昭久議員がなった。民主党の軍事政策、それだけで想像がつきそうな気がしてくる。

そして、民主党の要人が、政党助成金でキャバクラ支払い。やはり、自民党と同じレベルの人々。もちろん、もし、民主党が、小選挙区制度と、政党助成金を廃止するのであれば、民主党支持に転じるのはやぶさかではない。絶対にそれはしないだろうが。どちらも、ブロガーの多数の皆様から熱い支持を得ているあの小沢幹事長の豪腕で実現した珍制度。

日本人にとって最悪の敵は誰だろう?北朝鮮か、それともワシントンと東京の宗主国・属国政府と、それに仕える両国のマスコミ淫売連中だろうか?

前にも書いたが、尊敬する辺見庸氏、どうでもよい事件をつつきまわるのを飯の種にしている連中を評して、「糞バエ」と呼ばれる。media whores、マスコミ淫売連中という訳より、糞バエのほうが、ぴったりくるような気がする。

時に、ニュース・バラエティ番組を瞬間みてしまうことがあるが、頭が糞まみれになったような気分になり、あわててテレビを消している。これこそ、頭と地球のためのエコ運動。

ああした番組、スポンサーも、制作スタッフも、出演者も、視聴者も、人の姿をした糞バエではないかと、実は疑っている。

2009年9月26日 (土)

ホンジュラス政権、セラヤ帰国に“非常事態”で対応

wsws.org

Bill Van Auken

2009年9月23日

火曜日、追放されたマヌエル・セラヤ大統領ホンジュラス政権、セラヤ帰国に“非常事態”で対応が、前日、秘密裏に帰国して以来、避難しているブラジル大使館周辺に集まった数千人のホンジュラス人を、警察と軍隊が暴力的に攻撃した。

催涙ガス弾やゴム弾を発射し、こん棒で人々を殴打して、弾圧部隊は、朝の7:00から、デモ参加者を追い払った。高圧放水銃を搭載した装甲トラックも配備された。少なくとも20人が、手足の骨折や頭の怪我で、テグシガルパ病院に収容された。

「我々が、穏やかに、歌っていると、彼等がやってきて、暴力的に我々を追い出しました」デモ参加者の一人、ハケリン・エスピナルはスペイン語日刊紙エル・パイスに語った。「私たちは何ら間違ったことはしていませんでした。」

警察は、火曜日午後、攻撃で約150人が逮捕され、警察への暴行と、政権による外出禁止令違反に関連して、告発されていると発表した。

大使館を取り巻く人々の多くは、セラヤが避難先の大使館から発した呼びかけに答え、地方からはるばるやってきたのだ。「ここでこそ平和的対話を確立すべきなのだから、憲法秩序を回復すべきなのだから、上京して欲しい。」彼はラジオ放送でそう語っていた。

追放された大統領は、帰国以来、ホンジュラスのテレビ局への声明で、クーデター政権の指導者達と仲介のため“連絡を取る”手段として、「祖国、復職、さもなくば死」という、混乱気味の煽動的表現をとっている。元自由党の同僚だった、クーデター政権の大統領ロベルト・ミチェレッティと話をすることを、彼は繰り返し要求した。

クーデター政権が、セラヤが実際、テグシガルパにいることを確認した後、月曜日午後に突然発令された、26時間の外出禁止令に逆らって、デモ参加者達はやってきたのだ。当初、政権の大統領、ミチェレッティは、彼が帰国したというのは“嘘”で、彼は実際は“ニカラグアのホテルの特別室”にいるのだと、記者団に語っていた。

少なくとも 水曜日朝まで延長された外出禁止令に加え、政権は、同国の全民間空港の閉鎖と、軍による接収、および、ホンジュラス国境封鎖を命じた。これらの手段は、事実上、国中を麻痺させ、企業や学校を閉鎖させた。

セラヤを支持した二つのラジオ局は、電力を切断された後、放送を停止させられた。ミチェレッティは、セラヤ帰国を報道したかどで、同局の記者達を逮捕すると脅した。

ホンジュラス統一労働連合委員長ラウル・サリナスは、クーデター政権は、事実上“非常事態”押しつけており、クーデターに反対する、組合や大衆組織等の指導者を迫害するのに利用していると、テレスルに語った。

警察による攻撃の余波の中、重装備の兵士が近隣の民家に陣取って、ブラジル大使館包囲を継続しており、軍のヘリコプターが上空を舞っている。セラヤや彼の家族、支援者、マスコミやブラジル当局者を含む、何百人もの人々が内部にいるのに、ホンジュラス政権は、電力、水道、電話線を切断した。デモ参加者達が追い散らされた後も、ホンジュラス治安部隊は、大使館の外に音響装置をしつらえ、耳をつんざくような大音量で国歌を流している。

「大規模な攻撃と暴力の予感がします。彼等はブラジル大使館を侵略しかねません。」とベネズエラのテレビ局テレスルとのインタビューで、セラヤは語った。

ミチェレッティが、クーデター政権は、大使館を尊重するつもりだと語ってはいるものの、政権内の他幹部は、この誓約を疑問視している。「外交的な任務の不可侵性とて、 犯罪人や、裁判からの逃亡者の保護まで含むものではない」ミチェレッティの外務省顧問、Mario Fortintheは、マスコミにそう語っている。

ミチェレッティは、セラヤをブラジルに亡命させるか、ホンジュラス憲法違反のかどで裁判にかけるため、政権に引き渡し、逮捕させるかの、いずれかを要求して、ブラジル政府に、最後通告を発した。

ブラジル外務大臣セルソ・アモリムは、「実に無礼」だとして、この要求を無視した。彼は、在テグシガルパ・ブラジル大使館に対するいかなる暴力行為も「許容できない」と警告した。

セラヤを打倒した6月28日のクーデターは、彼がホンジュラス軍司令官を解任し、1982年、ホンジュラスの旧軍事独裁政権指導者と、アメリカ大使館によって押しつけられた憲法を、修正することに賛成かどうかを、ホンジュラス国民に尋ねる予定だった、ホンジュラス最高裁によって違法と判断された国民投票を、進めようとしていた時に、仕組まれた。

地位を追われた大統領の帰国は、ニューヨークでの国連総会開会と、クーデター政権に対し、危機を打開する上での仲介者として、自分を受け入れるよう要求している米州機構事務総長、ホセ・ミゲル・インスルサのホンジュラス訪問予定の時期と重なるようなタイミングで行われたことは明白だ。しかしながら、インスルサは、クーデター政権が空港閉鎖を命じた後、訪問延期を余儀なくされた。

自分の狙いは、自分を打倒した人々と“対話”を開始することだと、セラヤは繰り返し主張した。マスコミへの声明で、「私はここテグシガルパにいる」と彼は語った。「デモクラシーの回復のために、対話を呼びかけるために、私はここにいる。」

セラヤは、ニカラグア-ホンジュラス国境を越え、ホンジュラスの首都にたどりつくまで、15時間旅をした。この旅は、彼のホンジュラス帰国の企てとして、三度目だ。7月5日、彼はベネズエラの飛行機に搭乗し、ホンジュラスに飛行したが、政権は着陸許可を拒否し、滑走路を封鎖すべく、兵士と車両を出動させた。当日、軍隊が、飛行機を歓迎しにやってきていたセラヤ支持派のデモ隊に、発砲を開始した際、一人の青年が射殺された。そして、7月24、彼はニカラグアから国境を越えたが、結局は写真撮影の機会となっただけで、すぐさま国境のニカラグア側に戻った。

セラヤは、今回の帰国に際し、支援を受けたと語ったが、具体的な事柄をあげることは控えた。ワシントンから、イニシアチブを奪い取ろうという企みから、ブラジル政府は、彼を支援したのだという憶測がある。自分が一体どこに行くのかを知ることなしに、セラヤがホンジュラスの首都まで、秘密の旅をするだろうとは到底考えがたい。

これは、再三、ブラジル大統領ルイス・イオシオ・ルーラ・ダ・シルバや、ブラジル閣僚によって、否定されている。

ブラジル当局の説明によれば、ブラジリアが、セラヤの帰国を知ったのは、彼の支持者の一人、ホンジュラス議会のメンバーが、大使館に電話をかけて、大使館に亡命させて貰えないかと言ってからだという。

国連総会開会式参加のため訪問中のニューヨークでの記者会見で、ブラジル外務大臣アモリムは、ブラジルは、セラヤの帰国を手配する上で、何の役割も演じておらず、単に、彼の亡命要求をだけだと語った。「これで、対話と、迅速な解決のめたの、新たな段階が切り開かれることを期待している」と彼は語った。ブラジル政府は、セラヤに “保護と、同時に、ホンジュラスの政治勢力との対話における支援”を申し出たと彼は補足した。

ブラジルのルラ大統領は、ブラジルは、“他のどの民主的な国でもするだろうこと”したにすぎず、セラヤと、ホンジュラス・クーデター政権の間の調停者になりたいとは思っていないと語っている。その役割は、彼によれば、米州機構と、その事務総長インスルサが引き受けるべきものだ。

クーデター政権支持派のあるホンジュラス当局者は、ワシントンにしわ寄せをして、中南米における自国の権力を主張すべく、ブラジルが、ホンジュラスの事件を利用しているのだと示唆した。ブラジルの元国連大使デメル・ウルビソは、ミチェレッティ支持を公表する前に、「ブラジルは、新たな地域警察となりたいし、新たな世界的な地位が欲しいのだ。… この地域が、アメリカの介入から、ブラジルの介入に、乗り換える覚悟があるのかどうか、私にはわからない。」と述べた。

一方、アメリカ国務省が、セラヤや、クーデターに反対するため街路に繰り出した人々に対するあからさまな叱責として、「全ての当事者に、更なる騒乱を招くような行為を控える」ようにという要求を発表した後、ホンジュラスの危機を調停すべく、ワシントンによって、抜てきされた元コスタリカ大統領オスカル・アリアスと共に、ヒラリー・クリントン国務長官が、ニューヨークの公式行事に出席した。

「セラヤ大統領が帰国した以上は、適切な状況の下で、彼を大統領に復職させ現在、11月に予定されている大統領選挙をどしどし進め、平和的な大統領権限の移行をさせ、ホンジュラスを、憲法秩序、民主的秩序に復帰させるのに時宜を得ていよう」とクリントン国務長官はマスコミに語った。

ワシントンが好む“適切な状況”というのは、アリアスによって、いわゆるサン・ホセ合意として提案されたものだ。この提案の下で、セラヤは大統領官邸への帰還が認められるが、6月28日のクーデターで彼を打倒した、まさにその勢力によって支配されている“団結と和解”政府の中で、ほとんど無力なお飾りとしてのみなのだ。彼はまた、ホンジュラス憲法に対する、いかなる変更の提案をすることも禁じられる。ミチェレッティや、他のクーデター指導者は、クーデターに対しても、彼等が反対派国民に対して行った、殺害、行方不明、恣意的拘留や拷問に対しても、包括的恩赦が認められるのだ。

この提案は、たとえワシントンが、デモクラシーの擁護者のふりをしたとて、本質的には、アメリカのお墨付きで、クーデターの主目的を強化するものだ。

11月に予定される大統領選挙の勝者が、権力を掌握するまでの、わずか三ヶ月間、大統領職に復帰するだけのために、セラヤはこれらの条件を受け入れてしまった。この姿勢と、クーデター反対に対する軍部の弾圧に反抗してきた一般の労働者大衆の勇気と決断との間の対照ほど、際立つものはあるまい。

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2009/sep2009/hond-s23.shtml

2009年9月24日 (木)

なぜプロパガンダが真実を出し抜いてしまうのか (9/11でも)

vdare.com

Paul Craig Roberts

2009年9月14日

専門誌ソシオロジカル・インクワイアリーに掲載された論文["There Must Be a Reason": Osama, Saddam, and Inferred Justification, Vol. 79, No. 2. (2009), pp. 142-162. [PDF] が、プロパガンダの有効性を明らかにしている。小さな嘘はばれるのに、なぜデマ宣伝が巧くゆくのかを研究者たちは調査した。政府は大規模詐欺をやっても逃げおおせられるが、政治家達は情事事件から逃げおおせることが出来ない。

イラクが、あの出来事と無関係だったことが明白となってから何年も後になっても、一体なぜ、非常に多くのアメリカ人が、サダム・フセインが、9/11事件の背後にいたと未だに信じているのかを、研究者達が説明している。アメリカ人は、イラクが関与したと主張した、ブッシュ政権のプロパガンダに基づいて、入念な合理化をしてしまい、それがアメリカ人の信念に深く結びついてしまったのだ。人々のそうした感情移入が、彼等の人格的同一性や、道徳観に包み込まれてしまったのだ。そういう人々は、事の真実にかかわらず、自分たちの信念を支える情報を求め、信念に対立する情報を避けるようになる。

我が闘争』で、ヒトラーは、小さな嘘と比較して、デマ宣伝の信憑性を説明している。

「素朴なために、人々は、小さな嘘よりも、デマ宣伝の犠牲になりやすいのだ。彼等自身些細なことで、小さな嘘をつくことは多いが、大規模な嘘をつくのは気が引けるのだ。彼等は壮大な嘘をでっちあげることなど決して思いもよらず、他の人々がそれほど厚かましいとは信じられないのだ。たとえそうであることを証明する事実が、自分にとって明らかになっても、彼等は依然、疑い、何か他の説明があるだろうと考え続けるのだ。」

社会学者達と、ヒトラーが言っているのは、事実が明らかになる頃には、プロパガンダによって植えつけられた信念に、感情的に結びつけられてしまった人々は、信念の束縛から脱するのは、苦難の体験であることに気がつくということだ。それよりは、真実を語る人々が暴露したうそつきよりも、真実を語る人々を、糾弾する方が、より快適なのだ。

たとえ、こうした信念が誤っていようとも、その信念を保持しようという心理は、社会的一体性と安定の大黒柱なのだ。それが、なぜ一度変化が起きると、革命政府でさえ、保守派になってしまうかという説明だ。信念保持の欠点は、事実の認識を妨げることだ。ソ連では、信念保持が、体制が経済的現実に適応するのを不可能にしてしまい、ソ連は崩壊した。現在、アメリカ合州国では、何百万人もの人々が、変化の必要性を示している事実を受け入れるより、“USA、USA、USA”と繰り返して言う方が、ずっと楽だと思っている。

9/11真実追究運動は、デマ宣伝の持久力が、打破するのが困難な障害であることに気がついた。9/11真実追究運動をしている人々は、陰謀論者と狂気じみた連中だという主張は、明らかに嘘だ。この運動の指導者達は、解体専門家、物理学者、構造建築家、エンジニア、パイロット、政府の元最高幹部等、極めて優れた資質の専門家達だ。政府の主張をおうむ返しにして批判している評論家と違い、彼等は自分が話している事を本当に理解している。

建築家のリチャード・ゲージによる、カナダの大学の聴衆に対するプレゼンテーションのリンクはここ。  説明ビデオは、二時間だが、二時間に編集圧縮してあるようだ。ゲージは地味で、幻惑的な個性の持ち主でも、 非常に雄弁な発表者でもない。恐らく、大学の聴衆に対して話しているので、聴衆が用語や概念に熟知していることを前提にしているためだろう。

公式の9/11説明を信じ、懐疑する人々を変人として片づける人は、ビデオを見て、自分たちの信念と対立する証拠に対する、自分の反応を体験することで、社会学者の研究成果や、ヒトラーの所見の正当性を検証できる。読者は、自分より遥かに詳しく知っている誰かの説明を、あざ笑わずに見続けることができるだろうか? 提示される証拠に対して、自分の信念を守ることができないと分かった時の、読者の反応は一体なんだろう? 更に、冷笑するのだろうか? 激怒するだろうか?

9/11真実追究運動が直面しているもう一つの問題は、技術的、科学的な側面を理解できるような教育を受けている人々はごく少数だということだ。彼等が信じている側は、彼等にあることを言う。彼等が信じていない側は、違うことを言う。大半のアメリカ人には、様々な主張の優劣を判断する基準がないのだ。

例えば、ロッカビー爆破(パンアメリカン航空103便爆破事件)犯人の例を検討してみよう。マグラヒに有罪判決を下すのに使われた“証拠”の一つは、旅客機を爆破したセムテックスの中に入っていたとされる装置の回路基板の一つだった。当時の回路基板は、燃焼温度が極めて低く、容易に燃えあがることを、マグラヒと、リビヤの有罪を固く信じている人々や、スコットランド当局に反対して、人道主義的な理由とされることから、マグラヒの釈放を主張する人々の誰も知らなかったのだ。セムテックスは、非常な高温を発生する。セムテックスを含んでいた装置は、何も残るはずがないのだ。専門家にとっては、この回路基板が、出来事の後に、埋め込まれたことは明白だ。

これまで何度か尋ねてみても、答えを得たことがないのだが、だからといって、答えがないということを意味するわけではない疑問がある。火が非常に熱くなり、均等に広がったため、火が巨大な鉄鋼構造を弱め、同時に崩壊したので、ビルが、まるで、あたかも制御解体で、倒壊させられたかのように、自由落下時間で崩壊したという、崩壊の公式説明がある一方、一体どうして、WTCタワー崩壊で、燃えもせず、焦げもしない何百万もの紙片が、ロワー・マンハッタン中を舞っていたのかということだ。

鉄鋼が傷むほど熱いのに、紙は燃やさない火を、どうやって説明するのだろう?

人々は、矛盾にすら気づかない。最近、ツイン・タワー崩壊によって生じた、異なる三カ所から集められたほこりのサンプルを18ヶ月間、研究した科学者の国際的なチームが、ほこりの中に、ナノ-サーマイトを発見したと発表した。アメリカ政府は、政府子飼いの科学者達に、サンプル管理の信ぴょう性が、検証できないという理由で、この研究結果が偽りであると証明させた。言い換えれば、誰かがサンプルに手を加え、ナノ-サーマイトを添加したというのだ。サーマイトの入手は、厳しく管理されており、アメリカ軍と、おそらくはイスラエル以外は、誰もナノ-サーマイトなど入手できないという、明白な事実にもかかわらず、研究結果の信頼性を損なうには、これで十分なのだ。

物理学者のスティーブ・ジョーンズは、ビルを倒壊させるため、火薬が使用されたという確かな証拠を取り出した。彼の証拠は、取り上げられず、検証されず、テストされず、論駁もされていない。単に無視されているのだ。

ジョーンズ博士の経験で、私のオックスフォード大学時代の教授で、優れた物理化学者、哲学者のマイケル・ポランニーが思い出させられる。ポランニーは二十世紀で最も偉大な科学者の一人だった。一時は、イギリスの科学学会、ロンドン王立協会の、全部門の議長が、ポランニーの学生の一人だった。彼の学生の多く、プリンストン大学のユージン・ウィグナー、カリフォルニア大学バークレー校のメルヴィン・カルヴィンや、トロント大学、彼の息子ジョン・ポランニー等が、その科学研究にたいし、ノーベル賞を受けた。

二十世紀初期に生きた若者として、マイケル・ポランニーは、化学吸着のポテンシャル理論を発見した。科学の権威者達は、新理論は、既存の信念に対する、極端な挑戦だと見て、却下した。当時ポランニーは、イギリス最高の科学者の一人であったにもかかわらず、彼は自分の理論を教えることができなかったのだ。50年後、彼の発見が、UC、バークレー校の科学者たちによって再発見された。彼の発見は称賛されたが、当時年配の科学者たちは、それは“ポランニーの古い誤り”だと言っていたのだ。それが誤りではなかったことが判明したのだ。ポランニーは、半世紀にわたり、科学が真実を認め損ねたこの失敗について、科学者達に演説するよう依頼された。証拠を検証することに基づく科学が、一体どうして、そこまで間違ったのだろうか。ポランニーの答えは、科学というのは他のもの全てと同様に、信念体系であり、彼の理論は信念体系の外にあったというものだった。

それが我々が身の回りで見ていることであり、イスラム教徒の背信行為やと9/11だけには限らない。

ソ連経済につい、カール・マルクスの理論について、財政政策におけるサプライ-サイドのインパクトについて主張をする上で、私は経済学者として大いに苦労した。彼等の信念体系の外にある誰かの作品について、単に私がレポートした為に、激怒する読者達がおられるのを、私は経験している。私は読者の信念に合致しない作品を削除し、そうした作品の著者など、やっつけるべきだと考える読者もいる。そうした読者の方々は、首題については何も理解してはいない。彼等は単に感情的に害されたのだ。

私に不可解なのは、9/11以外のことは、政府が言う言葉の一つたりとも信じない人々だ。私にはどうしてもわからない理由で、他のあらゆることでは、国民に嘘をつく政府が、9/11については真実を語っていると、彼等は信じているのだ。どうして、そんなことがありえますかと、私は彼等に尋ねる。政府が、うっかり間違って、本当のことを言ったことがありますか? 私が質問しても、彼等は政府の9/11説明に対する信頼を考え直すことはしない。逆に、彼等は自分たちの知性、あるいは、品格、あるいは、それに似た何か神聖化された形質を疑ったことで、私に腹を立てるのだ。

真実が直面する問題は、人々の情緒的な要求だ。9/11については、多数のアメリカ人は、彼等は、非協力的だとか、愛国心がないとか思われたくはないので、自国政府を信じるしかないと感じており、彼等は“テロリストのシンパ”と呼ばれるのを非常に恐れているのだ。左翼側の人々の中にも、アメリカに虐げられた人々が“ブローバック”を実行したと信じる情緒的な必要性を感じている人がいる。左翼の人々の中には、アメリカは、そうしたブローバックの報いを受けて当然だと考え、それで、イスラム教徒が、アメリカを攻撃したという政府のプロパガンダを信じる人々がいる。

もしも、9/11にかかわるアメリカ政府の説明が間違っているのなら、物理学者やエンジニア全員が、声をあげるはずだと、素朴な人々は考える。声をあげた人々も何人かはいる(上記参照)。とはいえ、大半の物理学者達やエンジニア達にとって、これは自殺行為に等しいのだ。物理学者達は、その職業上、政府の助成金に大きく依存しており、彼等の学部は、政府の資金助成に、決定的に依存している。物理学者が、はっきり発言すれば、実質的に、大学での経歴をあきらめることになる。もしもその学者が終身教授であれば、歯に衣を着せずにものを言うスティーブン・ジョーンズにブリガム・ヤング大学がそうしたように、ワシントンをなだめるべく、大学は、終身在職権に対する補償金を支払って、解雇する。

土建会社が本当のことを発言すれば、二度と政府契約は貰えまい。更に、愛国的な、国旗を振り回す顧客達は、そういう企業をテロリスト擁護者と見なし、以後、取引を止めるだろう。

現在、ニューヨークには、9/11被害者家族による、9/11の出来事に対する本当の独立した調査への強力な圧力が存在する。何万人ものニューヨーク市民が、州に、独立委員会の設置を、投票にかけることを要求する請願に必要な数の署名を提出した。ところが州は、これまで法律に従っていない。

一体なぜ、本当の調査を要求する何万人ものニューヨーク市民が、陰謀論者として片づけられてしまうのだろう? 9/11懐疑派の人々は、彼らのことを罵っている無知な人々より、あの日の出来事について、はるかに知っている。私の知る限り、政府の公式説明に満足している大半の人々は、決して証拠を検証してはいない。それなのに、これら全く何もありはしないという人々は、問題を詳細に検討した人々を、怒号で黙らせた。

もちろん、おかしな連中もいる。こうしたおかしな連中が、事に精通した懐疑派の人々の信頼を損なうため、わざと馬鹿なことを言っているのではないかと疑うことが良くある。

9/11真実追究運動が直面しているもう一つの問題は、彼らの当然の同盟者である、ブッシュ/オバマ戦争に反対している人々や、反戦運動が運用しているインターネット・サイトは、反逆的で、反米だと、烙印を押されるのを恐れているのだ。アメリカ政府が巧妙に悪魔化している相手への戦争に反対するのは、実に困難だ。反戦サイトは、もしも、自分たちが9/11を疑うことを許容すれば、"テロリスト支持者"とレッテルを貼られ、自分たちの反戦運動の信用が落ちてしまうと思い込んでいる。例外の一つは、インフォメーション・クリアリング・ハウスだ。

反戦サイトは、9/11の公式説明を受け入れることで、自分たちの反戦運動を弱体化してしまったことを理解していない。イスラム教徒のテロリストがやったのだということを認めてしまえば、この出来事に対し、彼等を懲罰することに反対するのが困難になる。ここ数ヶ月、antiwar.com等の主要反戦サイトは、資金集めに苦労するようになっており、彼等の資金集めキャンペーンは、これまでより、ずっと長期にわたるようになっている。政府の戦争の約束を認めてしまえば、戦争に反対することが不可能になるということを、彼等は理解していないのだ。

筆者が言える限り、大半のアメリカ人は、真実に対するより、ずっと大きな信頼を、政府に対して持っている。大恐慌の間、リベラル派は、ニュー・ディール政策を使って、アメリカ人が、政府は国民の保護者であると信じるよう教え込むことに成功した。これには、左翼も、右翼もとりこまれてしまった。左右いずれの政治党派も、根本的に政府を問いただすことが出来ずにいる。これこそが、アメリカ政府が常に国民をやすやすと欺けている理由だ。

民主主義は、人は合理的な存在であり、主張を事実に基づいて検証し、容易には操られないものだという仮定に基づいている。様々な研究結果は、その通りではないことが、わかっている。学問、社会政策、そしてジャーナリズムにおける、私自身の経験から、大学教授から、高校中退者に至るまで、あらゆる人々が、自分たちが、それまで信じている物事と合致しない事実や、分析に手こずっていることを知っている。「一体どういうことになろうと、真実に従うことを恐れない」などという考え方は、極端に現実離れした、理想主義的な考えなのだ。学問的な会話や、政府最高幹部レベルにおいてさえ、広い心を持った人々とは滅多に出会ったことがない。一般の人々には、一体どういうことになろうと、真実に従えるような能力は、ほとんど存在していない。

誰に責任があるかとは無関係に、9/11へのアメリカ政府の対応は、わが国を永遠に変えてしまった。アメリカ人の市民的自由は、二度と、かつてのような確実なものではなくなった。アメリカの財政的能力と生活水準は、果てし無く低下した。わが国の権威と、世界に対する指導的地位は永遠に損なわれてしまった。21世紀の最初の十年間は無意味な戦争に浪費されたが、次の十年間も、同じ様に無意味で、既に破たんしたことの追求に浪費されるかのように見える。

こうした全ての中で、最も気掛かりなことが、そのままになっている。こうした災難の大元である9/11の出来事が調査されていないことだ。

ポール・クレイグ・ロバーツ[彼にメールする]は、レーガン大統領一期目の財務次官補。ウォール・ストリート・ジャーナルの元副編集長。ジョージタウン大学、戦略・国際問題研究所(CSIS)のウィリアム・サイモン講座教授、スタンフォード大学、フーバー研究所の上級研究員等、学問上の職位を多数持っている。彼はフランス大統領フランソワ・ミッテランから、レジョン・ド・ヌールを授与された。彼はSupply-Side Revolution : An Insider's Account of Policymaking in Washington; Alienation and the Soviet Economy および、Meltdown: Inside the Soviet Economyの著者でThe Tyranny of Good Intentions : How Prosecutors and Bureaucrats Are Trampling the Constitution in the Name of Justiceでは、Lawrence M. Strattonとの共著者。最近の検察の職権乱用蔓延にまつわる、Peter BrimelowのロバーツとのForbes Magazineインタビューは、ここをクリック

記事原文のurl:http://vdare.com/roberts/090914_propaganda.htm 

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民主党、参議院選挙までは、猫の皮をかぶりつづけるだろう。

それはさておき、八っ場ダム中止には、賛成だ。強い酸性のお湯を、石灰を投入して、無理やり中和し、その過程で生じる大量の汚泥を止めるための品木ダムは、大変なことになっている。汚泥をすくい取り続けないと、あふれるだろう。

雀の社会科見学帖 品木ダム見学 どんな施設か、淡々と書かれたwebだ。

草津温泉の酸性の激しさを知っておられるのだろうか?(おそらくは、そのおかげで、健康上大変良い効果があるであろうことを実感している。ひどく肌の弱い妹、蚊にさされただけでも、ひどいことになるのだったが、草津温泉に入浴している間は、ほとんど肌で悩むことがなかった。個人的に、もう30年以上、あの温泉に入っていないのが残念。)吾妻耶馬渓の美しさを知っておられるだろうか?利水・治水の上で、必要ということで始まった大昔の計画、今や何の根拠もない。ダムはムダ。

皆様、「保坂展人のどこどこ日記」の下記エントリーをお読みだろうか?

八ッ場ダム、とめどなく溢れる思考停止報道

そして、岡田外務大臣は、訪米で、

アメリカのクリントン国務長官と外相会談を行い、日米の同盟関係を重視する方針を確認しました

と報道にある。とんでもないことだ。

これについて言及する方々、一体、孫崎亨著『日米同盟の正体』-迷走する安全保障、を読んでおられるのだろうか?衝撃的な名著だ。外務省のお役人に、これほど素晴らしい方がおられたとは、驚き、感激した。冒頭を引用しよう。

    日米安全保障条約は実質的に終わっている

のだ。民主党は、そしてマスコミは、密約の存在を調べると、喧伝している。それはもちろん良いことだ。だが、もしも、日米関係を本気で再検討するのであれば、日米安保の根本的な変質をもたらした、2005年10月29日、日本の外務大臣、防衛長官と、米国の国務長官、国防長官が署名した文書「日米同盟:未来のための変革と再編」の問題性も、追究すべきだろう。これによって、対象の範囲が途方もなく広がってしまった。極東から、世界に拡大されてしまったのだ。理念面でも、大きく変貌してしまった。国際連合の重視から、日米共通の戦略重視へと。「日米共通の戦略」などあるのだろうか。宗主国アメリカは、これに基づいて、イラク、アフガニスタン侵略戦争への片棒をかつぐよう命令し、属国日本は、それ従って、金を出したり、油をやったり、軍隊をイラクには派兵したり。アフガニスタンも目が離せない。どれだけ、金が、血が、吸い取られるのだろう。そもそも、「日米同盟:未来のための変革と再編」で、日米政府レベルで合意したことと、国民の認識には大きなギャップがあるのだ。密約も同然だ。

孫崎氏の本、第二章は、21世紀の真珠湾攻撃

9/11について、しっかりと論じておられる。こういう方にこそ、外務省の要職で、手腕を振るっていただきたいものだ。不思議なことに(もちろんアイロニーだ)、blogでの本書に対する称賛の言及は多々みかけるが、マスコミの書評で激賞というのは、記憶にない。

2009年9月21日 (月)

ワシントンの“良い戦争” パキスタンにおける、暗殺部隊、行方不明と拷問

wsws.org

2009年9月16日

オバマ政権が、いわゆるアフパク戦争の大規模エスカレーション準備をする中で、アフガニスタンの東部国境に近い、パキスタンのスワット渓谷からの報道は、ペンタゴンと、現地の同盟者たちが遂行している戦争の性格のぞっとする兆候だ。

オバマと彼の支持者らによって“良い戦争”として、もてはやされているものの、ペンタゴンとCIAが、暗殺部隊、行方不明や拷問を伴う、地域の住民に対する戦争に携わっているという山のような証拠がある。

四月、パキスタン軍は、20,000人の兵士を、同国の北西辺境州(NWFP)の一部スワットに派遣し、国境の向こうで、アメリカ-NATOによるアフガニスタン占領に抵抗しているパシュトゥーン族を支援してきた、パシュトゥーン族のイスラム教運動(通常、パキスタン・タリバンと表現される)に対する戦争を遂行している。

再三のイスラマバード訪問時に、アメリカ特使リチャード・ホルブルックや、アメリカ軍当局幹部による、直接かつ、きわめて公的な主張に基づいて実行されたこの攻勢は、unleashed a人道的大惨事。集団的懲罰の大規模実行も同然のものにより、多くの民間人が殺害され、負傷し、およそ250万人が、住み処を追われた。

現在、パキスタン軍がこの地域を占領し続け、恐怖政治を遂行しており、国境の向こうで、政府や、アメリカ占領に敵対する人物と見なされた人々が、逮捕され、拷問で殺されているのだ。

9月15日、ニューヨーク・タイムズに掲載された記事によると、スワット渓谷の軍事占領によって、「恐怖の新作戦が根付き、人権活動家や現地住民は、軍の仕業だと語っているものにより、多数の、恐らくは何百人もの遺体が街路に投棄された。」

パキスタン軍は、相次ぐ殺りくに対する責任を否定し、イスラム教徒に対して復讐しようとしている民間人のせいにしているが、タイムズ紙は、現地住民、政治家や人権活動家達が、軍を非難しているのを挙げている。彼等は、「報復の規模、犠牲者の多くが拷問される手口の相似、軍がしっかり支配している地域での、殺人や、行方不明の、組織的な特徴」を指摘していると記事は言う。

残虐な拷問の痕跡に加え、多くの遺体は、両手を背中で縛られ、首の後ろを撃たれた姿で発見されている。時には、遺体は、首を切断されていた。

9月1日、パキスタン新聞Dawnは、7月以来、251の遺体が、スワット渓谷の道路脇に置き去りにされているのが見つかったと、政府当局者が語っているのを挙げている。8月27日、51の遺体は、わずか24時間の間に、この地域で見つかったと新聞は報じた。

Dawn紙はまた、軍による犠牲者が埋葬されている、多数の共同墓地を発見したことを報じ、「生きている者も死者も、いっしょくたの、ぞんざいで非人間的なあつかいを目撃した」現地住民に言及している。

タイムズ紙は、9月1日に、自分の電器修理店で、軍によって逮捕されたアフタル・アリ、28歳の例を挙げている。軍当局者は、家族には、繰り返し、釈放されるだろうと語りながら、四日後に彼の死体が、戸口に投棄されたが、たばこによる火傷を負い、爪は肉の中に打ち込まれていた。「彼の体の中で、拷問されていない部分はありませんでした」と、正義を求める申し立てで、彼の遺族は語っている。

アメリカの当局者は、パキスタン軍のスワット渓谷における作戦を称賛し、先週、アメリカ大使アン・パターソンが、軍を祝うためスワット最大の町ミンゴラを訪問した。

現在アメリカ当局は、パキスタン政府に、この残虐な作戦を、南ワジリスタンで再現するよう圧力をかけている。アメリカのアフガニスタン占領軍への主要補給路であるカイバル峠の現場、カイバル管区で同様な攻勢が既に進行中だ。国連当局者は、この攻撃のおかげで、100,000人が家を追われたと報告している。

パキスタン国民に対して実行されている残虐行為の背後にはワシントンがいる。公然の軍事援助として、本予算年度で、およそ25億ドルも、パキスタンの軍事作戦に、資金を供給しているのだ。その間、CIA無人飛行機攻撃は続いており、過去一年で、ほぼ600人ものパキスタン人犠牲者の命を奪ったが、その大半は一般市民だ。

相次ぐ、行方不明、パキスタンでの拷問、暗殺部隊による暗殺が、“アメリカ製”だと考えられる、あらゆる根拠がある。

アフガニスタンのアメリカ軍司令官に就任する前、スタンリー・マクリスタル大将は、米軍統合特殊作戦軍(JSOC)、つまり、ジャーナリストのシーモア・ハーシュが、“高等暗殺部隊”と表現した秘密特殊作戦隊を率いていた。

アメリカ特殊部隊の“トレーナー”は、パキスタン領土で活動しており、パキスタン軍に、JSOCお気に入りの戦術を伝授している。縛られ虐待された遺体がスワットの街路に投棄されるという戦術だ。

ベトナムでのフェニックス作戦から、1980年代の、アメリカが支援した暗殺部隊によるエルサルバドル国民の威嚇に至るまでの、アメリカの長い対ゲリラ戦争のパターンに、こうした戦術はぴったりだ。

火曜日、上院軍事委員会での宣誓で、軍は、ほぼ確実に、この年末までに、アフガニスタンに配備されるべき、70,000人以上のアメリカ兵と海兵隊という兵員レベルの増強を求めていると、統合参謀本部議長のマイケル・ミューレン海軍大将は再度警告した。

マクリスタル大将は戦争の焦点を、アフガニスタン-パキスタン国境地域に移すように要求していると、外交筋の情報を引用して、Dawn紙は報じている。

約8年のアメリカ占領後、アフガニスタンの大半で支配力を失ったペンタゴンは、大衆のレジスタンスを崩壊させようと、国境両側の住民に対し、殺りくとテロの新たな波を開始することを準備している。

反戦感情の波に乗って選出された、バラク・オバマ政権は、既に前任者が遂行したものに匹敵する戦争犯罪に加担している。アメリカ国内における、戦争支持は、イラクを巡って低下したレベルに近づいており、最新のCNN世論調査は、58パーセントのアメリカ人が、アメリカのアフガニスタン占領に反対し、わずか39パーセントが支持をしているのに過ぎないことを示している。

アメリカ支配層エリートの権益によって動かされている、この汚らしい戦争のエスカレーションは、国内における、仕事と生活水準に対する攻撃のエスカレーションとあいまって、オバマ政権と、帝国主義戦争の駆動力である自由企業制度に反対する、労働者による大衆政治運動が出現する条件を生み出しつつある。

Bill Van Auken

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2009/sep2009/pers-s16.shtml

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鳩山首相の北海道支部の故人献金の会計監査をしていた税理士が、晴れ姿を見ずに、選挙前日の29日に、「偶然」急死したことは報道しないマスコミ、鳩山首相の愛犬アルフィーが体調を崩し、奇しくも新首相が誕生したのを見届けてから息をひきとったことは記事にする。犬が人を噛んでも記事にならないが、人が犬を噛めば記事になるという見本?(税理士の記事は、フライデーが9/17号で掲載)

ビデオ・ニュース・ドット・コムの新保氏、宮台両氏、ジャーナリストの上杉隆氏が、記者クラブを解放し、彼等も参加できるようにするとしていた約束を、首相就任会見で、ネットメディアを締め出し、(早速)破った、として、大いに憤慨しておられる。

いずれも、筋金入りの民主党シンパと勝手に思いこみ、彼等なら難なく受け入れられるかと想像していた小生、実に驚いた。

もちろん、この件、大手マスコミは全く触れない。

一方、次官会見廃止については、記者団から懸念が相次いだり、新聞労連から、「新たなメディア規制」だと抗議声明がでているというのは、マスコミに大きく掲載されている。

素人には、どちらも大問題に見えるが、一方しか話題にしない、マスコミの不思議。

愛犬アルフィー逝去の方が、「記者クラブ解放」の約束よりも、はるかに重要というのが、素人には全く理解できない。

民主党(より正確には連立政権か?)も、やはり自民党と同じ穴のムジナ(いやそれ以上だろう)、というのが、このあたり、既に見えている気がするのだが。

もちろん(例外的に)亀井大臣や長妻大臣など、本当に頑張っていただきたい方々もおられる、と思っていることは明記しておこう。

2009年9月18日 (金)

アフガニスタン戦争のエスカレーション- アメリカ-NATOはロシア、中国とイランが標的

Rick Rozoff

Global Research

2009年9月10日

アメリカ合州国と北大西洋条約機構は、パキスタン国内での、無人機による破壊的なミサイル攻撃で、その範囲を、そして、より多くのNATO加盟諸国からの派兵が予定されており、既に駐留している68,000人に加え、45,000人ものアメリカ軍兵士が要求されており、間もなく派兵される、という日々の報道の通りに、激しさをと、アフガニスタンにおけるほぼ8年にわたる戦争を拡大しつつある。

9月4日のクンドゥス州におけるNATO爆撃は、アフガニスタン民間人に対し、西欧の軍隊によって実行された、これまでで最悪の残虐行為になるかも知れず、また今月これまでに20人近いアメリカとNATO兵士が死亡し、総数は、2008年通年での294人と比べ、今年既に300人以上だ。

戦闘の規模とゆゆしさは、西欧のマスコミや政府幹部すら、もはや否定しようもなく、南アジアにおける戦争は、ほぼ8年間で初めて、世界の注目の中心となっている。

戦争を開始し、継続し、エスカレートするのに、ワシントンとブリュッセルが使う、短命で、続々と、忘れ去られては、再度考案される、様々な根拠は、あからさまに偽善的で、互いに矛盾していることが多く、詐欺的なものであることが暴露されてきた。目的だとされるものは一つとして達成されておらず、今後もずっと達成されない可能性が高い。オサマ・ビン・ラディンとオマール・ムラーは、捕獲されても、殺害されてもいない。タリバンは、西欧が、いかなる時点で、どのように意味づけをしようと、タリバンという名前は、大きくものを言っており、8年前の先月に打倒されて以来、いかなる時点より優勢で、これまでに、同国北部諸州に対し、想像を絶する支配力を得ている。

2001年の侵略時には、事実上、存在しなかったアヘン栽培と輸出が、今や最高レベルで、アフガニスタンは世界最大の麻薬生産国、輸出国となっている。

アフガニスタン-パキスタン国境は、確保されておらず、パキスタン側で、NATOの補給部隊は、定期的に捕獲され、放火されている。パキスタン軍の攻勢では、国境の反対側で、何千人とは言えずとも、数百人を殺害し、スワット地域と、北西辺境州に接する地域で、200万人以上の民間人が、強制退去させられた。

ベトナムでの大失敗以来、アメリカ最長で、NATOとして初の地上戦争で、アジアで初の戦争が、際立った失敗であったことを認めるどころか、アメリカとNATOの指導者達は、既にアフガニスタンに派兵されている100,000人に加え、更に多くの兵士を強く要求しており、十年も継続するであろう戦争へのこの兵員派兵に貢献している50ヶ国は、国民に覚悟をさせようとしている。しかも依然として、成功裏に解決する保証はないのだ。

だが、ワシントンとブリュッセルが、彼等の目的であったとし、今も目的であると主張していることから判断した場合にのみ、西欧の南アジア戦争は失態となる。より広範な地政学的、戦略的な、軍事的な見地から見ると、その逆かもしれない。

ペンタゴンがアフガニスタンに進出し、NATOがヨーロッパ外では最初の戦争を遂行している主目的は、南および中央アジアの広大な地域で、影響力を行使し、支配をすることであり、そこで中国、イランとロシアの国境に、西欧の兵力、つまり、兵員、戦闘機、監視能力を配備しているのだという、9月7日のロシア人評論家セルゲイ・ミヘエフの発言が引用されている。

「二極システムの崩壊後、アフガニスタンは、世界分割の舞台であり」、アメリカとNATOは「ユーラシア支配強化を狙って…そこに多数の兵員を派兵し」、そうする口実として「それまでは、誰もタリバンに関心などなかったのに、タリバン・カードが使われたのだと、ミヘエフは主張している。」 [1]

タリバンは、アメリカ合州国やNATO同盟諸国が、アフガニスタンや、キルギスタン、タジキスタンや、ウズベキスタンといった中央アジア諸国で、兵員を派兵し、空軍基地や他の基地を占拠する原因というよりは、口実になっているという主張に、上記作家の同国人、アンドレイ・コヌロフが、今月始め、同意した。キルギスタンの場合だけで、アフガニスタンへの途中で、200,000人ものアメリカとNATO軍兵士が、マナス空軍基地を経由していると今年始めに推定されている。

「ワシントンのあからさまな激励とは言わないまでも、不干渉のおかげで、タリブ達は、中央アジアや、中国のウイグル地域を不安定化させ、イランへの侵入を狙っている。これが、ウイグル分離主義者による最近の動乱の背景説明であり、ある程度まで、ウズベキスタンのイスラム教運動の背景でもある」と、コヌロフは主張している。 [2]

ただし、西欧にとって、タリブ非難の言葉は、融通がきくもので、西欧の軍事占領に対する、いかなるパシュトゥーン族反対派に向けて、先週金曜日のNATO空爆虐殺で明らかになった通り、多民族クンドゥス州でのように、西欧の軍隊によって殺害された誰にでも、恣意的に適用されるものである点、留意が必要だ。

コヌロフは、再度、西欧で受け入れられている考え方に反し、「アフガニスタンに、いかなる本格的な中央権力もできず、カーブルの政府が、完全に、ワシントンに依存することが、アメリカにとって、最善のオプションだ。アフガニスタン領土の大半を支配することができない政府が、アメリカによって、大きな問題と見なされることはなく、実際、ワシントン、ある意味で、状況につけ込むことができるだろう。」 [3]

ロシア、中国、イラン、パキスタンと、インドの権益が出会う交差点において、西欧の軍事的な立場を維持し、拡大するという計画にとり、平和で安定したアフガニスタンは、決定的に不都合だ。

ワシントンと、そのNATO同盟諸国は、旧ソ連の様な戦略的空軍基地になりうる、アフガニスタンのバグラム、シンダンド、ヘラート、ファラ、カンダハルやジャララバードの基地を含め、アフガニスタンと中央アジアにおける19の軍事基地を、確保し、占拠し、改良すべく、アルカイダに対し、そして今は、タリバンと、麻薬取引に対し、作戦を遂行しているのだと、ロシア人ライターは述べている。この評論家は、「基地システムによって、アメリカが、ロシア、中国とイランに軍事的圧力を加えることを可能にしている。」と指摘している。

1980年代、アメリカの現国防長官ロバート・ゲーツが、アフガニスタン国内での攻撃用に、パキスタンの軍事キャンプで、アフガニスタン人過激派に武器を与え、訓練する、かつてない規模の秘密作戦、オペレーション・サイクロン担当のCIA幹部であったことを思い起こすだけで十分だ。“侵入しやすい国境”は、当時彼には問題にならなかった。

コヌロフはその記事を下記の警告で結んでいる。

「アメリカ支配階級の中には、アフガニスタンへのアメリカ駐留は継続しなければならないという不変の合意がある。」

「ソ連後の空間における、南方周辺部での進展を、ロシアは、拱手傍観すべきではなく、また明らかに、そうはするまい。」 [4]

イラン革命防衛隊の司令官、ヤヒヤ・ラヒム・サファビが、9月7日、同国のマスコミに、よく似た分析を語り、同様の警告をしていることが引用されている。“アメリカとNATOと、アフガニスタンの間で締結された最近の安保条約は、アメリカ合州国にはこの地域から退去する予定がないことを示している”と彼は述べ“ロシアは、中央アジアにおけるアメリカのプレゼンスを気にしており、中国は、パキスタンとアフガニスタンに国境を接する二つの主なイスラム教州へのアメリカによる介入を懸念している” [5]と彼は評した。

中央アジアやロシア、中国国境を超えて広がる西欧の軍事的脅威の規模を示すため、“特に南西アジア地域への200,000人以上の外国兵駐留、パキスタン、アフガニスタンと中東、イラク、アラブ首長国連邦、クウェートやサウジアラビアへの、基地拡張、何十億ドルもの軍装備品売却と、石油資源略奪が、南西アジア、ペルシャ湾地域やイランの不安定の真因だ”とも彼は語り、“アフガニスタン、パキスタン、イラク、オマーン湾とペルシャ湾における、アメリカとNATO軍は、ロシア、中国とイランの、懸念の原因となっている”と言及した。[6]

イランの懸念には、根拠がないとは到底言い難い。8月31日版のエルサレム・ポストは、「NATOのイランに対する関心が、ここ数ヶ月で、劇的に増大し」、「2006年12月、イスラエル軍諜報部は、世界テロと諜報に関する初の国際会議を主催し、その後、イスラエルとNATOは、諜報情報を共有する仕組みを立ち上げた。」ことを明らかにした。

同記事は、「NATOは、イランと、イランによる、軍事力構造と、軍事力構築への影響について話し合っている。」ある匿名のイスラエル高官がと付け加えたとして発言を引用している。 [7]

6日前に、あるアメリカの通信社が「1000億ドルを上回る中東の武器購入」と題する記事を掲載し、「…2008年1月 イランに対抗するため、ジョージ・W・ブッシュ大統領が明らかにした、…未曾有のパッケージ」の結果、「中東諸国は、今後5年間で、1000億ドル以上、使うものと予想されている」と述べている。[8]

アメリカ製兵器を受け取る主な国々は、ペルシャ湾の三カ国? サウジアラビア、アラブ首長国連邦とイラク、そしてイスラエルだ。

他の湾岸諸国も、イラン近隣諸国における、この前代未聞の軍備増強に参加する。「この派手な武器購入騒ぎの核心が、サウジアラビア、U.A.E. [アラブ首長国連邦]、クウェート、オマーン、カタールとバーレーンという、湾岸協力会議六カ国向けの、10年間にわたる200億ドルのアメリカ兵器システム・パッケージであることは確実だ。」 [9]

一週間前、NATO広報部「地中海ダイアログ」と「イスタンブール・イニシアチブ諸国課」のトップ、ニコラ・デ・サンティスが、NATOアラブ首長国連邦を訪問し、同国外務大臣、アンワル・マハメッド・ガルガシと会談した。

「UAE-NATO協力の見通し」と「NATOのイスタンブール・イニシアチブ」が、会談の首題だった。[10]

エジプト、イスラエル、ヨルダン、モロッコ、チュニジア、モーリタニアとアルジェリアとの軍事同盟である、地中海ダイアログを、平和のためのパートナーシップ協定のレベルに格上げする為、2004年のNATOサミット時に、イスタンブール・イニシアチブが、トルコで創設された。平和のためのパートナーシップ協定は過去10年間、12ヶ国のNATOへの完全加盟を準備するのに利用されていた。

イスタンブール・イニシアチブに二つ目の要素は、湾岸協力会議メンバー6ヶ国とのNATOの公式な軍事的紐帯に関係している。つまり、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、バーレーン(アメリカ海軍、第5艦隊は、ここに司令部を置いている)、クウェート、オマーンとカタールだ。

今年5月、フランスは、ここ半世紀で最初の在外軍事基地を、アラブ首長国連邦に開設した。

アメリカとNATOの兵力と、イランと国境を接する国々、イラク、アフガニスタン、トルコ、パキスタン、アゼルバイジャンの基地に加え、ペルシャ湾は今やペンタゴンとNATOの湖となりつつある。

中国も幾つかの方向から、同時に浸食されつつある。

8月、ペンタゴン中央軍司令官デビッド・ペトレイアス大将が訪問した後、中国と国境を接するキルギスタンは折れて、アフガニスタン戦争用のアメリカ軍通過再開に同意した。

やはり中国と国境を接するタジキスタンも、今月アフガニスタンに再配備予定のフランス戦闘機を受け入れている。

中国とロシアの間に位置するモンゴルは、アメリカの定期的なカーン・クエスト軍事演習を受け入れており、NATOのアフガニスタン戦争に兵員を送る約束をした。

北部でロシアに、南東で中国に接するカザフスタンは、アメリカとNATOに、アフガニスタン戦争用の輸送増大と、他の支援を申し出ており、噂では、空軍にも兵員を配備すると約束しており、現在NATO20ヶ国が参加する『ジェティス2009演習』を受け入れている。

先月末、中国は、ワシントンに、中国の沿岸水域での軍事的監視行動を中止するよう要請したが、国防省は「中国の排他的経済水域における、アメリカによる絶え間のない空中および、海洋監視、調査活動は、中国とアメリカの海軍と空軍間の問題の根本的原因だ。」と語っている。[11]

在北京アメリカ大使館の広報担当者は、「アメリカ合州国は、国際法の下で、海上航海の自由を行使しているに過ぎず…この政策は変わっていない。」とやり返した。[12]

ロシア、中国、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタンと、ウズベキスタンが、軍事的な要素も持った、地域的安全保障・経済同盟である上海協力機構(SCO)を立ち上げてから4ヶ月後に、アフガニスタン戦争が開始された。今や、ペンタゴンとNATOは、そのうち最後の三カ国に基地を置き、カザフスタンとは軍事協力条約を結んでいる。

2005年、インド、イラン、湾岸協力会議とパキスタンは、オブザーバーとして、上海協力機構に参加した。今や、イラン以外の全ての国が、アメリカ-NATOの軌道に引き入れられつつある。南および中央アジアにおける西欧の計画のごく一部が、SCOと、 2002年に、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、アルメニアとベラルーシによって創設された集団安全保障条約(CSTO)を、無力化し、破壊するわけではないのだ。

ウズベキスタンは2006年に加盟したが、先月ペトレイアス大将が同国を訪問した後、この組織を脱退する態勢にあるように見える。ロシアの全西部国境沿いで、唯一の緩衝となっているベラルーシも、これに続く可能性がある。

1991年のソ連崩壊後、アメリカとNATOは迅速に中央アジアへと侵入したが、アフガニスタン戦争は、南および中央アジア全域で支配権を得て、ユーラシアを支配しようという、西欧の動きに対抗しかねない、唯一の地域的安全保障機構の存在であるSCOとCSTOを弱体化させ、脅かす好機となっている。

注:

1) Russia Today, September 7, 2009

2) Strategic Culture Foundation, September 3, 2009

3) 同上

4) 同上

5) Press TV, September 7, 2009

6) 同上

7) Jerusalem Post, August 31, 2009

8) United Press International, August 25, 2009

9) 同上

10) Emirates News Agency, September 1, 2009

11) Agence France-Presse, August 27, 2009

12) 同上

Rick Rozoffは、Global Researchの常連寄稿者。Rick Rozoffによる、Global Research記事。

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記事原文のurl: www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=15144

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芸能人のクスリ問題やら、利権政権交代提灯番組や記事で大洪水状態の中、たまたま鳩山首相の監査を担当した税理士が死亡していたという記事を目にして驚いた。

同じクスリ問題でも、全く報道されない方の、女性が亡くなった事件や、なぜか全く報道されないこうした事をこそ調べて欲しいものだ。「宗主国と、その属国傀儡政権」の大政翼賛広報部には、ないものねだり。

鳩山の税理士死亡-友愛対象の税理士が8/29死去

2009年9月13日 (日)

8年目の9/11-世界政治の歴史的転換の口実

wsws.org

2009年9月11日

8年前の今日、2001年9月11日、ハイジャックされたジェット旅客機が、ワールド・トレード・センター、ペンタゴンと、ペンシルバニア、シャンクスビル近くの草原に激突するという組織的な大規模テロ行為で、およそ2,700人の方々が命を失った。上辺だけの一連の公式調査にもかかわらず、というより、むしろ、そのおかげで、9/11攻撃の正確な状況は、今日に至るまでミステリーにつつまれたままだ。

9/11物語の中で、一番信ぴょう性が薄いのは、公式説だ。オサマ・ビン・ラディンが採用し、指揮していた、19人のアラブ人テロリストが、何ヶ月もの期間にわたり、アメリカ合州国に入国し、幾人かは、アメリカの民間航空学校で、パイロットとしての徹底的な訓練を受け、自らの存在や狙いを、巨大なアメリカ諜報機関に、ほんのわずかでも気づかれることなく、自殺・大量虐殺行為を実行した、というものだ。

立証されている多くの事実は、この話と矛盾する。作戦の首謀者とされているモハメッド・アターや、9/11ハイジャッカーとされている、ナワフ・アルハズミ、ハリド・アルミダールや、ジアド・サミル・ジャラーらを含む、テロリストの何人かは、攻撃を準備していた間、アメリカ諜報機関の監視下にあった。2001年8月6日の、結局は無視されてしまった“ビン・ラディンは、アメリカ国内を攻撃することを決めた”という見出しのCIAメモさえあった、ジョージ・W・ブッシュ大統領に対する、悪名高いブリーフィングを含め、アメリカ政府は、差し迫った攻撃について、警告を再三受けていた。

同様に、重要なのは、攻撃をしたとされているテロ組織の歴史的由来だ。その指導者、オサマ・ビン・ラディンや主要幹部達は、ワシントンの同盟者として採用され、ソ連が支援するアフガニスタン政権を転覆させるために、アメリカが資金援助していた工作における“協力者”と、CIAから見なされていた。ビン・ラディンの同盟者で庇護者だったアフガニスタン・タリバン政権も、間接的とは言え、アメリカによる陰謀のたまものだ。タリバン政権は、1979年-1989年の反ソ連戦争で、CIAの主要な同盟者であったパキスタン諜報機関ISIによって、ソ連撤退後、政権を握るべく、創設され、育成されたのだ。

CIAによる“諜報上の失敗”だとして、議会やマスコミが色々批判をしてはいるものの、 9/11は、アメリカの外交・国内政策を、劇的に転換するのに必要な口実になることを期待して、テロリストとわかっている連中がその仕事を進めるのを放置するという、アメリカ軍/諜報機関のあるレベルによる意図的な決定であった可能性の方がはるかに高い。

9/11が、アメリカ帝国主義政策上の重要な分岐点となったことに疑いの余地はない。ブッシュ政権は、議会における民主、共和両党の全面支持を得て、アメリカ合州国を戦時体制に変えた。様々な新たな不法行為、つまり、侵略、拷問、拉致、強制収容所、国内でのスパイ活動、憲法規範の軽視が、“9/11が全てを変えたのだ”という万能の主張によって正当化された

この攻撃から一ヶ月もしない内に、アメリカ合州国は、アフガニスタンを攻撃し、わずか三ヶ月で、タリバンは打倒され、カーブルには、アメリカが支援する新政権が据えられた。9/11から、わずか六ヶ月後、ブッシュ政権は、対イラク戦争を始める最終的判断をし、ホワイト・ハウスは、サダム・フセインと、ニューヨークとワシントンでのテロ攻撃をした連中との間の、ありもしないつながり、という必要な“証拠”を引きだすべく、アルカイダ囚を拷問するよう、CIAに命令を出した。

ブッシュ政権は、9/11の一周年を、国連安全保障理事会で、対イラク決議を押し通すのに利用し、それに、民主党が多数派を占めるアメリカ上院を含め、議会による、対イラク戦争の承認が続いた。テロという血まみれのシャツを振り回して、共和党は、2002年の議会選挙に勝利し、同じ様なやり方で、元CIAの契約業者が、都合よく選挙前の週末に発表した、ビン・ラディンの脅迫的ビデオによって大幅に嵩上げされて、ブッシュも2004年に再選された。

最も重要で、意義深い出来事の一つは、2002年に“予防戦争”という新たなドクトリンに基づく国家安全保障戦略が採用されたことだ。これは、アメリカの安全保障に対する潜在的な脅威と見なされる、いかなる国家にたいしても、軍事行動を行使する、ワシントンの権利と意図を主張している。侵略戦争を、外交政策の正当な手段として奉じることにより、ホワイト・ハウス指令は、1946年のニュルンベルク戦犯法廷で、犯罪として否定された概念を、アメリカ合州国の外交政策基礎に据えたのだ。

ブッシュ-チェイニー陰謀団が率いていたとは言え、これは単なる、一政権、あるいは一国家政策の転換ではなく、世界的・歴史的次元での転換だ。このことは、他の帝国主義大国、とりわけイギリス、オーストラリアとカナダも同様な方向転換を行ったという事実によって、立証されている。イギリス、スペインとオーストラリアも、アメリカのイラク攻撃に参加した。NATOの全加盟国が、北大西洋から何千マイルもかなたのアフガニスタン占領に参加した。ドイツも日本も第二次世界大戦以来、初めて、海外での戦闘に、兵員を配備した。そしてロシアと中国は、アメリカ軍兵力が、ペルシャ湾や中央アジアに入り込むのを目にし、対抗する自分たちの軍事同盟を立ち上げた。

国際関係における、こうした大規模な変化の淵源は、2001年9月11日の出来事ではない。あの出来事は、より広い歴史的文脈の中に置かれるべきだ。本当の起源は、ソ連圏の崩壊と、1991年12月ソ連解体にさかのぼる。アメリカの支配層エリートは、これを自国軍事力によって、際限のない主張をして良い青信号として受け止めたのだ。

9/11の出来事は、1990年代中、右翼シンクタンクが主張してきたドクトリンを、公表し、公式政策として採用するために利用されたのだ。アメリカ資本主義の経済的地位が、劇的に凋落しているため、自分たちの世界的な権益を補強する唯一の手段として、ワシントンとウォール街は武力に訴えたのだ。ヨーロッパとアジアにおける、彼らの帝国主義ライバル諸国も、次々と、自らの軍事力を誇示するよう追い込まれた。

アメリカが帝国主義的影響力を拡張する最も明白な機会は旧ソ連の辺縁だ。西は、ボスニアとコソボから、カフカス、イラク、イランと中央アジア、そして極東の北朝鮮・韓国まで。いずれも、民主党と共和党政権の下、過去20年間にわたり、アメリカ外交政策の火種だ。

世界的規模での、この帝国主義政策転換の歴史的な特徴は、オバマ政権の政策に顕著に表れている。民主党は、2006年の選挙で、イラク戦争に対する国民の反感の増大によって、大幅に、議会の多数をかち取った。オバマは、この反戦感情につけこみ、民主党大統領候補指名で、ヒラリー・クリントンを打ち破った。

ところが、選び出されるやいなや、かつての“希望”と“チェンジ”提唱者は、ブッシュのペンタゴン長官ロバート・ゲーツを再び任命し、クリントンを国務長官に選んだ。就任から数週間後、オバマは、ブッシュ政権が決めたイラクにおけるアメリカ兵員の配備計画を継続し、更に17,000人の兵員を派遣して、アメリカ軍によるアフガニスタン介入を、大幅にエスカレートすると、発表した。

世界は、社会主義プログラムに基づいた労働者階級の介入無しには、否応なしに、新たな帝国主義戦争へと至る針路に設定されている。必要なのは、そしてWorld Socialist Web Siteがそのために戦っているのは、戦争の根本的な原因である、資本主義と、国民国家制度に基づく社会秩序を終わらせることで、世界戦争の脅威をくい止める、自覚した国際的勢力としての労働者階級の結集だ。

Patrick Martin

著者のお勧め記事:

Five years since 9/11: A political balance sheet
[2006年9月11日(英文)]

Was the US government alerted to September 11 attack? — A four-part series
[2002年1月16日(英文)]

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2009/sep2009/pers-s11.shtml

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9/11関連翻訳記事の一部を以下にあげておく。

9/11陰謀論者の新たな友人 ロシア政府、9/11陰謀論を蒸し返す

ロシアのTV、9/11に関する論議を呼ぶ映画と、討論を放送

9/11に関する画期的なロシアのTV討論 イワショフ将軍、ティエリー・メイサン、ジュリエット・キエザおよびロシア人専門家が参加

CIA報告: ビン・ラディンは腎臓病で死につつある... 漏らされた詳細は軍事行動強化のためのプロパガンダ作戦臭い

映画 9/11 クロニクル: 第一部、トルース・ライジング

映画 9/11 False Flag(9/11 偽装作戦)

華氏9/11の続編: マイケル・ムーアが真実を語る好機

9/11の矛盾:モハメド・アタの三菱の車と彼の荷物

9/11の矛盾:チェイニーはいつバンカー(掩蔽壕)に入ったのか?

元州知事ジェシー・ベンチュラ: WTC崩壊は制御解体だ

9/11の矛盾: 教室のブッシュ大統領

9/11のバーバラ・オルソンからの電話というテッド・オルソン報告と、それに対する3つの公式な否定

25の容認しえない矛盾:9/11公式説明の決定的な否定 デヴィッド・レイ・グリフィン新刊書評

グリフィン、9/11の真実を求め、強力な新手法を用いる

AOLセレブ・ゴシップ・サイト、 9/11について辛口コメントをしたコティヤールを「あばずれ」呼ばわり

『シェル・ゲーム』書評 キャロリン・ベーカー(9/11をもモチーフにしたサスペンスの傑作)

ビル・オライリー、ウィリー・ネルソンを中傷「脳たりん」呼ばわり

ウィリーの目覚めに、ネオコン・ブロガー、911真相究明派をホロコースト否定と等価扱い

オサマ・ビン・ラディンとは何者か? 2001年9月12日

大衆に国家を頼らせるべく、無辜の民間人、女性、子供を攻撃せよ「グラディオ作戦」;2005年2月18日

チャーリー・シーンの「米政府が9/11事件を隠蔽工作」発言で激震

イスラエルに繋がるSITE研究所、白髪染め愛用の故テロリストを誇大宣伝

「体制転覆:ハワイからイラクに至るまで、一世紀にわたるアメリカによる体制変革」その2

「体制転覆:ハワイからイラクに至るまで、一世紀にわたるアメリカによる体制変革」その1

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こうした、とんでもないお話を、あたかも真実であるかのごとく洗脳する、宗主国アメリカと、属国日本のマスコミと、国民のありかたを、Chris Hedgesの記事がうまく要約している。もろちん、原題には、オザワ・ブランドはない。

オバマ・ブランドに乗せられる-(オザワ・ブランドに乗せられる?)

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ところで、数日前、SeaMountさんという方が亡くなられたという書き込みをみかけた。

SeaMountの雑記と書庫

というブログで、当方の9/11関連翻訳記事を活用され、しっかりした文章をお書きになっておられた方だ。本当であれば大変に残念なことだ。9/11を過ぎても、最近更新がないことを考えれば、大変残念ながら書き込み記事は事実だろう。心よりご冥福をお祈りする。

2009年9月 6日 (日)

アメリカはアフガニスタンで、イランとロシアを必要としている

イランとロシアの支援無しには、アメリカはアフガニスタンで勝利できない

Juan Cole

Infomation Clearing House

2009年8月31日

"Salon"

軍事の古い格言がある。「誰もが戦略戦術をやりたがるが、本当の男は兵站を担当する。」つまり、兵員と物資の輸送と補給の管理は、退屈なことに見えるが、成功のためには極めて重要なのだ。オバマ政権は、対テロ戦争を、兵站戦争に置き換えたのだ。オバマ政権は、兵員と装備や資産を、何百万もの膨大な規模で、輸送しており、それゆえ、イラクのスンナ派過激派であれ、ネオ-タリバンであれ、その敵も、兵站に力を注いでいるのだ。あちらでの爆撃、こちらでの空爆という、断続的で散発的なニュース記事は、個々の出来事を、軍事目的の補給路であれ、国際的な正統性のような無形のものの補給であれ、「補給路を巡る戦い」として見ると、話が見えてくる。そして、この文脈では、ワシントンが今ロシアとイランに接近しようとしている熱意、実に筋が通っている。

日曜日、アフガニスタン国境近くのパキスタン、チャマンと、クナール州で、うねる波のような真っ黒い煙に囲まれて、赤々と燃えあがる大火の長い炎が、空に向かって立ち昇り、アフパク兵站戦争が姿をあらわした。この戦争における補給トラックの爆撃は、二つの世界戦争における補給船へのUボート攻撃に匹敵する。

"日曜日夜、チャマンで、アフガニスタンのNATO軍用補給品を載せた一台の車両で爆発が起きた後、少なくとも15台の石油輸送車、トレーラー、コンテナ車が炎上した"とDawn紙は報じている。パキスタンとアフガニスタン間の国境は、パキスタン人国境警備員が、アフガニスタンの果物トラックを検査してよいか否かをめぐる紛争のため、ここ数日間閉鎖されている為、NATO補給車両は、攻撃しやすい標的になっている。

一方、スワット渓谷のミンゴラでは、別種の補給路が攻撃され、タリバン自爆犯が、最近採用されたばかりの警官16人を殺害し、他の5人を負傷させた。今春、パキスタン軍が、スワットを支配している4,000人のタリバン戦士を攻撃したが、これはスワットに暮らす人々にとって迷惑なことで、彼等の大半が追い出された。しかし、姿を隠したタリバン・テロリスト細胞は、明らかに、依然として現地で、警察署に対してさえ、活動可能だ。この特殊作戦警官新人の狙いは、タリバン排除を恒久的にすることだ。

Pajhwokニューズ・サービスによれば、国境のアフガニスタン側で、グルブディン・ヘクマチアルのヒズブ-イ・イスラミ、つまり"イスラム党"の過激派が "紛争地域の東部州クナールで、NATOの補給部隊を襲撃し、少なくとも10台の車輛に放火した" 。

一方、マクラッチーによれば、タリバンは、同国北部のパシュトゥーン族住民に囲まれた地域を、タジキスタンからの補給を阻止できるようになる、三つの地域を支配するための基地として利用してきたという。

こうした妨害は、アメリカのミサイルが、東部アフガニスタンの戦闘的なハッカニ・グループの基地に撃ち込まれ、35人のゲリラを殺害したとされている中で、起きているのだ。ハッカニのグループは、カーブル政府とそれを支援するNATOを弱体化させようという狙いから、ヒズブ-イ・イスラミや、ムラー・オマールの"元祖タリバン" と協力している。

1980年代には、ヘクマチアルも、ジャラル・アル-ディン・ハッカニも、対ソ連の戦闘では、レーガン政権にとって有用な人材で、ワシントンから大量の資金援助を受けていたが、今やオバマ政権に楯突いている。

ともあれ、アメリカとNATOが、その兵員に、砲弾、燃料と食糧の補給を可能にしている補給路を、タリバンが断ち切ろうとしているのは明らかだ。

現在、アフガニスタン選挙監視団の事務所に殺到している何百もの不正選挙の申し立ては、大統領選挙の正統性、ひいてはカーブル政府そのものの正統性を否定しかねない。要するに、今や、かなりの部分、どうもカルザイ大統領支持者達によって、粉砕されてしまったように見える、国際的、および国内的な正統性という補給路を、オバマ政権とNATOは、選挙によって形成しようとしていたのだ。

APによると、それと同時に、NATOとアメリカは、兵員と資材を、アフガニスタンに運び入れようとしており、アメリカは、150万の器機を、イラクから運びだそうとしている。更に、現在イラクに駐留する130,000人の内、40,000人を除いた、アメリカ軍兵士を、来年のこの時期までには撤退させなければならない。アフガニスタンへの補給路が脆弱なのと同様に、イラクから運び出す経路も脆弱だ。大半の資材はトラックに搭載され、マフディ軍団やバドル軍団(シーア派民兵)の地域を経由して、南に位置するクウェートへ向かう。他のトラックは、バグダッドとヨルダンのアカバ間の、時として敵対的なスンナ派アラブ人地域を経由する、かつて危険だった道路を定期的に往復している。イラクのアメリカ軍兵員と、軍装備品が次第に減少すれば、残留する兵士達は一層脆弱になる。

南方経路については、アメリカを、クウェート経由で、無事に撤退させるよう、武装したシーア派を説得できる主要勢力は、南部に新イラク軍を配備し、現地部族軍を養成しているヌリ・アル-マリキ首相の政府と、最高指導者アリ・ハメネイと、マフムード・アフマディネジャド大統領を持つイラン政府だ。アメリカとイランの関係が、非常に悪い方向に変わってしまうようなことがあれば、シーア派民兵によるアメリカ軍車両集団攻撃の危険は急増しよう。

またアフガニスタン国内では、アメリカは、ますますロシアの好意に依存するようになっており、イランはヘラート、マザール、ハザラ地域、およびカーブルで強い影響力を持っている。イランは、二つの隣国において、アメリカの協力者として、事実上の代理という有益な役割を演じる可能性があるが、妨害者にもなれるのだ。

ジョージ・W・ブッシュが、アメリカ軍を敵対的で反帝国主義的な中東3億人の人々の真っ只中で泥沼に陥らせたおかげで、アメリカ合州国はイランとロシアの人質になった。

オバマ大統領の成功、失敗は、厳密に軍事的な意味でも、より幅広い比喩的な意味でも、政治的勝利の為、適切な人材と"資産"を配置する兵站という難解なわざにおける成功にかかっているのだ。

その点、イラクは、大当たりとなる可能性がある。

アフパクは、今の所、それほどではない。

Salon寄稿者のJuan Coleは、ミシガン大学の現代中東、南アジア史教授で、"Engaging the Muslim World"の著者。

記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article23389.htm

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「アメリカとの同盟関係が第一だ」というのが、鳩山次期首相の意見だ。

「アメリカとの同盟関係」、庶民用語に翻訳すれば、「アメリカとの従属関係」。

アフガニスタン、いきなりISAFではなく、まず民生で協力するということのように見える。

しかし、片手で殺しながら、一体どうやって、もう一方の手で、民生支援が可能なのだろう。

ペシャワール会の大水路工事、虐殺を遂行中の宗主国、同盟国、支援している属国政府とは、全く無縁。ペシャワール会はNGOですらない。

体制翼賛マスコミ、民主党圧勝を言祝ぎ、一方で、鳩山と小沢の二重政権はどうなるか、宗主国が属国の次期政権をどう見ているか、などという記事を書くばかり。

しかし、小泉「911郵政欺瞞」選挙の自民党圧勝、そして今回の民主党「政権交代」選挙の民主党圧勝、小選挙区制という、とんでもない歪んだ制度(もちろん、あの小沢幹事長が、率先して導入した)によるものだ、という問題点には、絶対に触れない。この無謀な制度の解消なしに、市民革命などありえようはずもない。民主党、比例議席の削減をマニフェストに書いている。小選挙区制のゆがみを更に拡大する暴挙。市民の権利を奪う無血市民革命が、一体、世界のどこに存在するだろう?この属国日本以外の世界の庶民の頭には、存在するまい。今回のできごとは、「自民党の崩壊」のはじまりにとどまらず、さなきだに脆弱な日本における「民主主義の崩壊」のはじまりなのだ。

憲法破壊を推進する記事は書いても、安保見直しについては全く触れないのと軌を一にしている。そもそも、マスコミが、率先して小選挙区制を推進したのだ。その帰結が、小泉破壊選挙。そして、揺り戻し、保守二大派閥間の「政権交代選挙」宗主国が属国次期政権をどう見ているかなどというのは、愚劣な争点ずらしにすぎない。

もっとも、小選挙区制の問題、大多数のブログの皆様が、不思議なことに決して触れようとしない話題でもあるのだが。煩雑な数値処理が背景にあるためだろうか?

故石川真澄氏(朝日新聞編集委員)、小選挙区制度の危険さに警鐘をならした数少ないマスコミ人だった。「戦争体験は無力なのか」― ある政治記者の遺言 ―は、彼による、庶民に向けた、白鳥の歌だったろう。彼が去ったあとの新聞、もう読むに耐えない。石川真澄氏なきあと、小選挙区制度の危険さを、指摘しておられる方は、極端な少数派だろう。そうした人々の中で、政治学者の五十嵐仁法政大学教授が、ブログ五十嵐仁の転成仁語で、はっきり書いておられる。

比例代表区での民意は何を示していたのか

選挙を歪める小選挙区制はただちに廃止するべきだ

また、『逝きし世の面影』ブログでも、噛んでふくめるように、下記エントリーで小選挙区制導入の背景、意図を説明しておられる。

小選挙区制は第一党の為のセーフィネット

あの議長斡旋だかの大逆転、唖然としたのを今でも覚えている。あの時のマスコミの翼賛報道もひどかった。当時の著名キャスター、こぞって小選挙区制導入に賛成していた。今の、裁判員制度、民主圧勝報道と全くおなじ。

しかし、大多数のブロガーの皆様は、マスコミに完全に洗脳されておられるようだ。大政翼賛マスコミのテレビ・ニュースを見たり、新聞を読んだりすると、血圧や、精神や、脳には、多大な悪影響しかないだろう。地デジになったとて、大政翼賛という中身が変わるわけではない。

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