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小栗虫太郎『二十世紀鉄仮面』(扶桑社昭和ミステリ秘宝)
アテネオリンピック開幕。時差がかなり香ばしく、また、けっこうな寝不足になりそうな予感。とりあえず女子サッカーの1試合目はしっかり楽しめた。ほんとにメダルいけそう。
読了本は小栗虫太郎の『二十世紀鉄仮面』。
扶桑社文庫から出たもので、『失楽園殺人事件』と合わせれば法水麟太郎ものがすべて網羅できるという優れものである。収録作は「二十世紀鉄仮面」「国なき人々」「悪霊」「小栗虫太郎小品集」「付録」。
目玉となる長篇「二十世紀鉄仮面」は、後のロマンティズム溢れる秘境冒険物との架け橋となる作品として有名だが、四ヶ月前に読んだばかりなのでここでは省略。小栗作品の中では読みやすい方だとは思うが、さすがに中四カ月では再読する気になれない(苦笑)。
その他の作品では、(といってもそんなに残ってないが)、遺作を笹沢左保が書き継いだ「悪霊」が印象的。小栗&笹沢という組み合わせがどのような経緯によるものなのか浅学にして知らぬが、意外にもミスマッチな感じはなく、笹沢左保の芸達者振りが見られて楽しい(といっても小栗の文体模写ははなから捨てているようで文章はかなり平易ですが)。また、小栗の構想について海野十三が解説しており、そちらも興味深い。テーマ自体はかなり重いので、小栗が最後まで書いていたらもの凄い作品になっていたような気はする。
あと、本編ではないが、小栗虫太郎の小品や、様々な作家の小栗論やエッセイを集めた「付録」もお得感あり。万人に勧められる作品集ではないが、個人的には満足の一冊である。
読了本は小栗虫太郎の『二十世紀鉄仮面』。
扶桑社文庫から出たもので、『失楽園殺人事件』と合わせれば法水麟太郎ものがすべて網羅できるという優れものである。収録作は「二十世紀鉄仮面」「国なき人々」「悪霊」「小栗虫太郎小品集」「付録」。
目玉となる長篇「二十世紀鉄仮面」は、後のロマンティズム溢れる秘境冒険物との架け橋となる作品として有名だが、四ヶ月前に読んだばかりなのでここでは省略。小栗作品の中では読みやすい方だとは思うが、さすがに中四カ月では再読する気になれない(苦笑)。
その他の作品では、(といってもそんなに残ってないが)、遺作を笹沢左保が書き継いだ「悪霊」が印象的。小栗&笹沢という組み合わせがどのような経緯によるものなのか浅学にして知らぬが、意外にもミスマッチな感じはなく、笹沢左保の芸達者振りが見られて楽しい(といっても小栗の文体模写ははなから捨てているようで文章はかなり平易ですが)。また、小栗の構想について海野十三が解説しており、そちらも興味深い。テーマ自体はかなり重いので、小栗が最後まで書いていたらもの凄い作品になっていたような気はする。
あと、本編ではないが、小栗虫太郎の小品や、様々な作家の小栗論やエッセイを集めた「付録」もお得感あり。万人に勧められる作品集ではないが、個人的には満足の一冊である。
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