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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


Posted in "国内作家 久生十蘭"

Category: 国内作家 久生十蘭    04 16, 2020
久生十蘭、二反長半『いつ また あう 完全版』(盛林堂ミステリアス文庫)
 『いつ また あう』は久生十蘭が少女雑誌『りぼん』に昭和三十二年に連載していた作品。しかし、十蘭が連載中に亡くなってしまい、そのあとを二反長半(にたんおさ なかば)が引き継いで完結したものだ。 つまり本作は十蘭の遺作になるわけだが、より知られている十蘭の遺作としては『肌色の月』がある。『肌色の月』も連載中に十蘭が亡くなってしまった作品だが、こちらは残すところラスト一回分であり、しかもストーリーを十...

Category: 国内作家 久生十蘭    08 18, 2018
久生十蘭『内地へよろしく』(河出文庫)
 今週は終戦記念日をまたいだこともあって、久生十蘭の戦争小説『内地へよろしく』を読む。 戦時中、久生十蘭は海軍報道班として南方に派遣された経験があり、そのときの経験をもとに帰国後、「週刊毎日」に連載されたのが『内地へよろしく』である。時期としては太平洋戦争後期、1944年の夏。サイパンが陥落し、その後マリワナ沖海戦でも大敗し、西太平洋での制空権を完全に奪われ、いよいよ戦局が悪化してくる頃である。 作者...

Category: 国内作家 久生十蘭    03 25, 2008
久生十蘭『肌色の月』(中公文庫)
 久生十蘭の『肌色の月』を読む。中公文庫版の本書には、表題作の「肌色の月」のほか、「予言」と「母子像」の計三作を収録。「予言」と「母子像」は多くの短編集やアンソロジーで採られている代表作なので、ここでは話を「肌色の月」に絞ろう。 ただ、もし「予言」と「母子像」を未読だというのなら、こんなブログより、さっさとそちらを読んだ方が、より豊かな時を得られることは間違いない(笑)。特に「母子像」は必読。以前...

Category: 国内作家 久生十蘭    08 23, 2007
久生十蘭『真説・鉄仮面』(講談社大衆文学館)
 デュマの『ダルタニャン物語』などで有名なフランスの鉄仮面伝説。それを久生十蘭流に料理した『真説・鉄仮面』を読んでみる。講談社の大衆文学館版である。 鉄仮面伝説というのは、仏王ルイ十四世には実は双子の兄がいて……というお話。本来なら彼こそが王座につくはずだったものの、王家からは離れて育てられ、その存在を王家に知られた後も王の座を守りたいルイ十四世によって、三十年以上もの長きにわたってバスチーユ監獄に...

Category: 国内作家 久生十蘭    11 21, 2005
久生十蘭『平賀源内捕物帳』(朝日文芸文庫)
 平賀源内といえば、江戸時代にエレキテルを作ったことで知られているが、それ以外にも西欧の技術や文化を紹介するなど、幅広い活躍を見せた人物だ。その博覧強記ぶりで当代きっての天才とも言われたが、その実、失敗も多く、後世にその功績が活かされているかというとかなり疑問符がつくらしい。面白いのは「土用の丑の日に鰻を食べる」という風習も平賀源内が考えたという説。これは売上不振に悩む鰻屋に頼まれ、源内が考案した...

Category: 国内作家 久生十蘭    10 06, 2005
久生十蘭『無月物語』(現代教養文庫)
 三ヶ月ほど前に受診した人間ドックの結果を受けて再検査にいく。幸い大したことにはならなそうだが、年も年なので、もう少し健康には気を配らなければならないのだろう。嫁さんからももう一つ保険に入れと言われているのだが、保険ってなんでああも種類が多いのか。検討するのも一苦労で、なかなかそんな時間がとれないんだよな。 久生十蘭の『無月物語』を読む。今は無き現代教養文庫「久生十蘭傑作選」の最終巻で、歴史物を集...

Category: 国内作家 久生十蘭    07 20, 2005
久生十蘭『昆虫図』(現代教養文庫)
 久生十蘭『昆虫図』読了。現代教養文庫版傑作選の第IV集である。アンソロジー等でお馴染みの作品が多く、比較的ミステリ風味の強いものが多いようだ。収録作は以下のとおり。「生霊」「南部の鼻曲り」「ハムレット」「予言」「復活祭」「春雪」「野萩」「西林図」「姦」「母子像」「春の山」「虹の橋」「雪間」「昆虫図」「水草」「骨仏」 上でミステリ風味が強いと書いたが、それは他の久生作品と比べての話で、印象としてはむ...

Category: 国内作家 久生十蘭    06 27, 2005
久生十蘭『十字街』(朝日文芸文庫)
 明日は人間ドックのため朝6時半には起きなくてはならない。まあ、普通の会社の勤め人には別に珍しい時間でもないのだろうが、自分の業界では朝と夜が遅いため、こういう時間設定は少々辛い。早く寝れば起きることは別に難しくないのだが、どうせいつもどおり2時ぐらいまでは寝れやしないのだ。けっこういい料金をとるのだから、もう少し時間の融通は利かせられないものかね? 読了本は久生十蘭の『十字街』。 舞台は新年を迎え...

Category: 国内作家 久生十蘭    06 08, 2005
久生十蘭『地底獣国』(現代教養文庫)
 現代教養文庫版の久生十蘭傑作選から『地底獣国』読了。収録作は以下のとおり。「地底獣国」「黒い手帳」「海豹島」「墓地展望亭」「カイゼルの白書」「犂氏の友情」「月光と硫酸」「レカミエー夫人」 収録作のなかで気に入ったものを選ぶとすれば、べたで恥ずかしいけれど、やはり「地底獣国」と「海豹島」になってしまう。どちらも幻想的な作品で、いわば異世界を舞台にしたもの。その特殊な舞台装置のうえで織りなされるドラ...

Category: 国内作家 久生十蘭    04 20, 2005
久生十蘭『黄金遁走曲』(現代教養文庫)
 久生十蘭『黄金遁走曲』読了。収録作は「ノンシャラン道中記」「黄金遁走曲」「花束町一番地」「モンテカルロの下着」の四作で、いずれもヨーロッパを舞台にしたドタバタ喜劇である。 『魔都』でもちらちらと感じたのだが、十蘭は物語るということにおいて、全方位的な資質を持っている作家のようだ。しかもそれがすこぶる高いレベルで。まあ、こんなことはおそらく今までいろいろな人が語っているのだろうが、久生十蘭初心者と...

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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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