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小栗虫太郎『怪奇探偵小説名作選6 小栗虫太郎集 完全犯罪』(ちくま文庫)
引き続き小栗虫太郎。ちくま文庫の本作は、ノンシリーズものの本格探偵小説を集めた作品集で、現代教養文庫版が絶版となった状況を受けて編まれたものらしい。そのため現代教養文庫版とかなり作品がかぶっており、先日読んだ『白蟻』の収録作「完全犯罪」「白蟻」「海峡天地会」などは本書にまるまる収録されている。
ただ、「海峡天地会」のようにバージョン違いがあったり、編者の気配りが感じられる。収録作は以下のとおり。
「完全犯罪」
「白蟻」
「海峡天地会」
「紅毛傾城」
「源内焼六術和尚」
「倶利伽羅信号」
「地虫」
「屍体七十五歩にて死す」
「方子と末起」
「月と陽と暗い星 」
バラエティ豊かな作品はそろっているが、本格であろうが秘境ものであろうが時代物であろうが、ベクトルが常にあらぬ方向に向いている感は否めない。小栗自身は本格探偵小説を書こうとしていながら、その才気の為せる業とでもいおうか、常にアンバランスな世界を構築してしまい、そこに立たされた読者は目眩を覚えて立ちすくむのである。アブノーマルとも違うし、狂気とも違う。ああ、難しい。
『白蟻』収録の三作の感想は四月六日の日記を見てもらうとして、その他の収録作では「紅毛傾城」「倶利伽羅信号」「地虫」「屍体七十五歩にて死す」あたりが好み。「倶利伽羅信号」なんてミステリとしていかがなものか、というレベルだが、無理矢理にシャム双生児にさせられるという設定だけでも読む価値あり。
ただ、「海峡天地会」のようにバージョン違いがあったり、編者の気配りが感じられる。収録作は以下のとおり。
「完全犯罪」
「白蟻」
「海峡天地会」
「紅毛傾城」
「源内焼六術和尚」
「倶利伽羅信号」
「地虫」
「屍体七十五歩にて死す」
「方子と末起」
「月と陽と暗い星 」
バラエティ豊かな作品はそろっているが、本格であろうが秘境ものであろうが時代物であろうが、ベクトルが常にあらぬ方向に向いている感は否めない。小栗自身は本格探偵小説を書こうとしていながら、その才気の為せる業とでもいおうか、常にアンバランスな世界を構築してしまい、そこに立たされた読者は目眩を覚えて立ちすくむのである。アブノーマルとも違うし、狂気とも違う。ああ、難しい。
『白蟻』収録の三作の感想は四月六日の日記を見てもらうとして、その他の収録作では「紅毛傾城」「倶利伽羅信号」「地虫」「屍体七十五歩にて死す」あたりが好み。「倶利伽羅信号」なんてミステリとしていかがなものか、というレベルだが、無理矢理にシャム双生児にさせられるという設定だけでも読む価値あり。
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