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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


Posted in 12 2006

江口雄輔『久生十蘭』(白水社)

 例年どおり、買い出しとおせち作り。夜はテレビをだらだら観ながら年越しそばを食べつつ酒を飲む。

 今年最後の一冊はノンフィクション。江口雄輔による評伝『久生十蘭』である。
 もう少し固い内容かと思っていたが、久生十蘭の生涯をたどりながら、その時期に書かれたものや後年の作品に影響を与えたであろう事実などを解説する形をとっており、意外と読みやすい。特に今まで詳細が不明だったパリ時代にスポットを当て、その国際感覚あるいはデカダンな演劇人的生き方が、作品世界にどのように反映しているのか検討しているのが特徴といえるだろう。
 個人的にはまだまだ久生十蘭を読みこなせるところまではいっていないので、本書の内容を十分に理解したかと言えばかなり自信がないが、若き日の十蘭の軌跡をたどるだけでも十分面白い。

 それでは皆様、よいお年を。


ケイ・ポラック『歓びを歌にのせて』

 大掃除の続き。玄関周りから庭掃除。腰がきつい。三時頃からは買い出しで一日が終わる。

 本日もDVD視聴。『歓びを歌にのせて』。監督はケイ・ポラック。
 舞台はスウェーデンのある田舎町。そこで活動する地元の協会の聖歌隊が、病気の療養にやってきた世界的な指揮者と出会うことで、何かが変わっていく……。
 主人公の指揮者だけでなく、聖歌隊の面々もみな個人的な悩み、問題を抱える普通の人々だ。その一人一人のドラマが混然と、だが淡々と語られる。人間とはどのような存在なのか、音楽は人間にとってどういう存在なのか。ストーリーやテーマはベタだし、やや説明不足なところもあるが、大した傷ではない。実に心の奥底へ染みいるダイナミックな映画。観ておいて損はない。


ブライアン・シンガー『スーパーマン・リターンズ』

 年末年始休暇の初日。とりあえず我が家の年末休みはいつものとおり大掃除でスタート。だが仕事でほとんど徹夜だったために、とにかく辛い。4時間かけて網戸と窓、風呂場を片付け、センサーライトを玄関先に設置した時点で遂にギブアップ。夕方から少し仮眠をとる。

 DVDの『スーパーマン・リターンズ』をレンタル。監督は『X-MEN』なども手がけたブライアン・シンガー。
 悪役との対決はいまいち物足りないが、意外なことにドラマの部分をしっかり作り込んでいるので、けっこう好感が持てる。『バットマン・ビギンズ』を観たときと印象が似ているかもしれない。昨今のダークヒーロー流行りで正統的ヒーローが少ないとお嘆きの貴兄にはおすすめ。


岡田鯱彦『薫大将と匂の宮』(国書刊行会)

 仕事納め。いろいろと心残りなところもあり、基本的にもうひとつ走れない一年という感じ。来年は頑張らねば……などと考えながら今年最後の仕事を朝までやってしまう。

 読了本は岡田鯱彦の『薫大将と匂の宮』。国書刊行会版の本書では長篇『薫大将と匂いの宮』の他、短編「妖鬼の呪言」「噴火口上の殺人」を収録。今では扶桑社ミステリー版があるので手軽に読めるようになったが、少し前までは『薫大将と匂の宮』といえば入手困難な一冊であり、国書刊行会版が出たときはずいぶん感激したものである。まあ、そのくせ今まで読まずにいたわけだが(苦笑)。

 平安の世に宮中の人気を二分する二人の男がいた。一人は女性を虜にするほどの得も言われぬ体臭を発する薫大将。もう一人は香を自在に調合し、やはり美しい香りを身にまとう匂いの宮。しかし、二人の恋のさや当てが、ついには殺人という悲劇を呼ぶ。さらにはその謎をめぐって対決するのは、希代の才女、清少納言と紫式部の二人であった。

 もう設定の勝利である。源氏物語の続編という体裁で、二人の匂いの天才を軸に殺人劇を語るだけでもかなりのものだと思うが、そこに清少納言と紫式部の二人に推理合戦をさせるのである。本作の肝はこの徹底したけれんだ。扱う時代が時代だけにトリックとか言ったものは弱いけれど、設定をうまく活かした謎解きは面白く、意外な読みやすさも高ポイント。とにかくこの世界観で本格を成立させた著者の手腕を称えるべきであろう。



久山秀子『久山秀子探偵小説選I』(論創ミステリ叢書)

 イベントとしてのクリスマスに目くじらたてる人は、少しかわいそうな気もする。大事な稼ぎ時の人もいるんだし、もう少し楽しんではどうか。

 論創ミステリ叢書から『久山秀子探偵小説選I』を読む。戦前に活躍した作家、久山秀子の、女スリ<隼お秀>シリーズを中心にまとめた短編集である。
 ジョンストン・マッカレーの『地下鉄サム』から影響を受けて書かれたシリーズとはよく言われることだが、確かに主人公の設定や軽妙な会話、軽くひねったオチなど、共通する特徴は多い。お話自体も謎やストーリーで引っ張るというより、あくまでキャラクターで読ませるタイプだ。また、作者は相当にサービス精神というか遊び心に溢れているようで、作品ごとに毎回いろいろな趣向を披露しているのが楽しい(例えば他の探偵作家のパロディなど)。結果としてシリーズ全体の印象はなかなかよく、読みやすさもあって意外に楽しめたというのが正直なところだ。
 ただ、作品単品でみるとそれほど大したものはない。あくまでキャラクターの活躍や文化風俗を楽しむための軽い読み物であろう。
 ちなみに久山秀子というのは女性名ではあるがれっきとした男性。シリーズ探偵が女性ということもあるし、遊び心とメディア向けの戦略、両方の意味合いがあったのだろう。
 なお、収録作は以下のとおり。

「浜のお政」
「娘を守る八人の婿」
「代表作家選集?」
「隼お手伝ひ」
「川柳 殺さぬ人殺し」
「戯曲 隼登場」
「隼の公開状」
「四遊亭幽朝」
「隼の勝利」
「どうもいいお天気ねえ」
「刑事ふんづかまる」
「隼の薮入り」
「隼の解決」
「隼のお正月」
「隼のプレゼント」
「隼探偵ゴッコ」
「隼の万引見学」
「隼いたちごつこの巻」


クリストファー・セント・ジョン・スプリッグ『六つの奇妙なもの』(論創海外ミステリ)

 毎年同じことを思うが、一年が過ぎるのが半端じゃなく早い。子供の頃の一年なんてずいぶん長かった気がするのだが、体感時間というのはなぜこんなに変わってくるのか。そんな話を書いたSFもあったような気がするが、どなたかご存じない?

 読了本はクリストファー・セント・ジョン・スプリッグの『六つの奇妙なもの』。
 支配者的な伯父との生活に苦しむマージョリー・イーストンは、婚約者のテッド・ウェインライトとの結婚生活を夢見て働く毎日だった。そんなある日、彼女は霊媒師の兄妹と出会い、霊媒の助手として住み込みで働くことになる。しかし霊媒師の強い影響力に感化され、やがて正気を失っていくマージョリー。テッドは降霊会に参加していた医師と相談し、何とか彼女を助け出そうとするが……。
 今年読んだ中でもっとも変なミステリーかもしれない。初めはゴシックロマン的なサスペンスかと思って読んでいたが、とにかくこちらが予想もしない方向に物語が大きく展開し、そのたびに唸ることしきり。犯人が誰とか、トリックがどうとかではない。そもそもどういう物語なのかすら見当もつかないのである。終盤では一応、事件の全貌が明かされるわけだが、その内容も普通のミステリでは滅多にお目にかかれない奇妙なものである。
 とりあえず先を読ませないミステリという意味では十分楽しめるはず。あまり書くとお楽しみを奪ってしまうので、この辺で留めておくが、普通のミステリに飽きている人は一読の価値あり。
 なお、この作品は著者の遺作。三十歳にとどかないうちに内乱で戦死したのだが、もし生きていれば後年にどのような作品を書いていたのかと残念でならない。


大橋博之/編『柳柊二 怪奇画帖』(ラピュータ)

 大橋博之氏の編纂による『柳柊二 怪奇画帖』を読む。まあ、読むといっても画集なので、眺めるというほうが相応しい。

 柳柊二という人は昔の少年誌やSFものなどで活躍した挿絵画家だ。
 名前は知らなくても、おそらく三十代後半以上の人ぐらいなら、子供の頃によく見かけたのではないだろうか。タッチはリアルで冷たい静謐なイメージ。これが幽霊とか妖怪とか怪獣の絵に非常にマッチしており、怖さを倍増している気がする。
 本作ではそんな怖い絵をなんと200点あまり収録、なかなかのボリュームである。もう少し解説文があればなおよいが、まずは画集が出たということだけでも満足すべきなのだろう。個人的には香山滋や小栗虫太郎の諸作品を題材にした作品が多数載っているのが嬉しい。
 ちなみに版元のラピュータでは、SF本のカバーなどでお馴染みの武部本一郎や加藤直之らの画集も発売している。こちらもそのうち買わねば。


ヘレン・マクロイ『割れたひづめ』(国書刊行会)

 ヘレン・マクロイの『割れたひづめ』を読む。こんな話。
 吹雪のため道に迷ってしまったベイジル・ウィリング夫妻。彼らがたどりついたのは翔鴉館(クロウズ・フライト)と呼ばれる古い一軒家だった。その屋敷には、泊まった者が死体となって発見されるという開かずの部屋があり、子供たちのあるいたずらがきっかけで、男たちの一人がその部屋で一晩を過ごすことになる。そして翌朝、皆の不安を裏付けるかのように、死体が発見された……。

 物語の背景にあるのはオカルト趣味ではあるが、子供たちが事件をかき回すかのように行動するため、ファースの風味も強い。死者の出る開かずの部屋という設定も含めて、何やらディクスン・カーを彷彿とさせるお話ではある。
 しかし、開かずの部屋の密室殺人、オカルト現象、犯人なども含めて、全般的にややネタが読まれやすいというか、あまり謎のレベルは高くないのが欠点か。本来マクロイは本格の人ではないので、これも致し方ないところなのだろう。とはいうものの、さすがに雰囲気作りはお手の物で、とりわけ子供たちの活躍する部分は達者なものである。
 『ひとりで歩く女』や『家蠅とカナリア』といった傑作を期待するとあれだが、普通に楽しむ分には十分な出来映え。個人的にはまずまず楽しめた。


『ゴジラ FINAL WARS』

 ケーブルテレビの番組表を見ていると、たまたま『ゴジラ FINAL WARS』をやっている。嫁さんがいるとなかなかこの手の番組は観れないので(本日は里帰りなのだ)、ちょっとのぞいてみたが、結局お終いまで観てしまう。
 しかしまあ、けっこう笑わせてもらいました。まさかこういう路線で作っていたとは。本作はゴジラ最後の映画ということや、東宝特撮キャラ総登場(怪獣ばかりでなくキャストも)ということで話題になったはずだが、肝心の出来や興行成績はあまり芳しくなかった記憶がある。それもこの内容では仕方があるまい。ただ、一時期のゴジラ映画は本作と似たような方向性で作られていたので、あながち本作が外しているわけではない。各怪獣や懐かしのスタッフの扱いなど、それなりの敬意も払われているし、マニア好みのネタもあちらこちらに挿入されているなど、がんばっているとは思う。惜しむらくは人間たちのチープな演技と衣装、そしてドラマだろう。でも、これも今までより劣っているのかといえば、まあ過去の作品も似たようなものであり、上映の度に激しく非難され続けてきたのだ(笑)。したがって本作を否定するのは、ある意味シリーズを否定するようなものである。ゴジラシリーズ、敢えて言うなら日本独自の特撮文化を愉しみ余裕が、観る側にも必要なのだと思う。大人の目で観ちゃいけないのだけどね、そもそも。その意味で第一作目だけは、貴重な例外といえよう。

 読書はなかなか進まず。ちょっと二、三冊を平行して読むような状態。

 ニンテンドーDSの『タッチで楽しむ百人一首DS時雨殿』というソフトを買う。百人一首を遊ぶというより、百人一首を覚えるためのゲーム。上の句と下の句の頭文字を結びつけて別のイメージにしてしまい、そのイメージを言葉と絵で覚えようというもの。この絵がなかなかお馬鹿というかシュールというか、実に笑えて楽しい。


マイクル・コナリー『暗く聖なる夜(下)』(講談社文庫)

 マイクル・コナリーの『暗く聖なる夜』下巻読了。
 警察を辞めたボッシュは今や私立探偵として生計を立てている。そんなボッシュには警察時代の心残りな未解決事件があった。ある若い女性の殺人、そしてその捜査中に起こった現金襲撃事件である。ところが調査を始めたボッシュの前にさまざまな圧力がかかり始め……。

 シリーズ最高傑作との呼び声も高い本作だが、確かにプロットやストーリー性はピカイチかも知れない。テロ事件との関連も浮かぶ展開に、最後うまくまとめられるのかちょっと心配になったほどだが、さすがにコナリーに対してそれは失礼な疑問であった。
 だが、なんというか、事件への興味だけでさくさく読めてしまい、妙にさっぱりした印象を受けたのも事実。その理由はある程度明らかだ。それは過去の作品に比べ、本作のボッシュの怒りの度合いがずいぶん低いからである。まあ、ボッシュの個人的な葛藤や問題がシリーズを通じてだいぶ浄化されてきたこともあるのだろうが、それでも本シリーズで描かれるボッシュの怒りのテンションは低い。そもそもボッシュの怒りは、個人的な怒りであると同時に、社会に蔓延する普遍的な悪を映す鏡でもあったはずだ。それが薄まることで、本作はよくできたハードボイルドには思えるが、いつものボッシュ・シリーズのテイストは感じられないのだ。
 この問題を最も実感できるのが、導入で語られる女性の殺人事件だ。ボッシュがこの事件に対して烈しい憤りを感じ、捜査を再開するわけだが、この憤りがいまひとつ伝わってこない。従来であれば、このような感情は作中で繰り返し執拗に語られてきたはずだが、本作ではあっさりしたもので、それどころかボッシュの関心はいつしか別れた妻にばかり向けられる。
 まあ、非難めいた感想にはなったが、シリーズのファンであればラストシーンも見逃せないところ。面白いことは間違いないので、ぜひご一読を。


マイクル・コナリー『暗く聖なる夜(上)』(講談社文庫)

 マイクル・コナリーの『暗く聖なる夜』の上巻を読む。おなじみボッシュ・シリーズ。まだ半分なので詳しい感想は差し控えるが、ちょっとテンションがいつもより控えめに感じるのは気のせいか。ううむ。


小泉喜美子『ミステリーは私の香水』(文春文庫)

 『ROM』127号が届く。今回は珍しく「怪奇幻想特集号」ということだがこちらはもともと本格原理主義でもないので、これはこれで十分楽しめる。しかし小林晋氏というのはつくづく守備範囲が広いお方である。

 読了本は小泉喜美子の『ミステリーは私の香水』。
 ミステリーについて書かれたエッセイ集だが、基本的な内容は、海外ミステリーやハードボイルドについての礼賛と、身辺雑記がメイン。海外ミステリーに関する話や、他の作家さんとの交友など、面白いネタは盛り沢山。とりわけ作品論や作家論は、小泉喜美子ならではの表現で、わかりやすいうえに面白い。
 だが、いかんせん同じネタを使いすぎなのが玉に瑕。『ミステリー歳時記』も似たような内容が多かった記憶があるし、後で単行本というまとまった形になることを想定していない節もある。確信犯? まあ多少だったらいいのだけれど、やはりちょっと多すぎる気はする。何ともアマチュアっぽいというか、損をしている部分だ。


カルロス・ルイス・サフォン『風の影(下)』(集英社文庫)

 今年も年末恒例の『ア・ラ・カルト』を観る。十分笑わせてもらったのはいつもどおりだが、親子ネタが夫婦ネタに変わるなど、ここ数年では一番内容の変化が大きいか。まあ、それはよいとして、ちょっと気になったのは、レギュラーキャストがことのほか疲れている印象を受けたこと。セリフを噛むのもいつもより目立ったし、ダンスの後もきつそう。通常は一日一回の公演だが、本日は二回公演ということもあって、スタートが早かったのも影響したか。とりあえず年齢的な理由が一番だとは思うが、ちょいと心配です。

 その帰りに電気店でコンポを購入する。これでも昔はステレオに凝っていたのだが、いつしかそういうものに手間暇をかけるのが面倒になってしまい、とにかく最近の我が家のオーディオ事情は惨憺たるものだった。だからといって今回凄いオーディオ装置を買ったのかといえばそんなことはなく、コンパクトでDVDも観れて、そこそこ迫力ある音が出てくれればOKという程度。ものはKENWOODのAX-D7。一応ネットで下見をして、後はお店で実際に音を聴いての決定。これでも十分、楽しめます。

 カルロス・ルイス・サフォンの『風の影』の下巻、無事読了。

 主人公ダニエルは古本屋の息子。その十歳の誕生日に、父に連れて行かれたのが「忘れられた書物の墓場」だった。ダニエルはそこでフリアン・カラックスという見知らぬ作家の書いた「風の影」という小説に出会う。たちまちダニエルはその本に魅了され、作者のことを調べ始めた。だが、詳しいことはほとんどわからず、しかもカラックスの小説を処分して回っている謎の男の存在を知ることになる……。

 堪能した。一言で言うならガツンとした読み応えのある小説。しっかりとした主食になりうる密度の濃い物語である。本書の良さはいろいろあるが、まずその点を忘れてはならない。
 そして、その大きなポイントとして挙げられるのが、こってりとした表現力と構成にある。例えば執拗な登場人物の心理描写であったり、現実と過去の出来事があたかも融合しているかのような錯覚に陥らせる書き方であったり。印象としては、一時期人気を呼んだラテンアメリカのマジックリアリズムの諸作品、ガルシア=マルケスとかを読んでいるような感じに近い。著者が最初から意識していたのか、はたまたスペインという同じラテンの血がそうさせるのか。
 本書はよく「ミステリでもあり、恋愛小説でもあり、青春小説でもある……」という言い方をされる。それは正しく言えており、とにかく本作はさまざまな要素を孕んだ小説なのである。そして著者がすごいのは、それらエンターテインメントとしての十分な要素を盛り込みながら、なお小説家としての挑戦・試みを忘れてはいないことだ。それらが渾然一体となったからこそ、このようなダイナミックな傑作が生まれたのである。


『このミステリーがすごい!2007年版』(宝島社)

 朝、新聞に目を通していると、『週刊文春』の広告に「今年のミステリーベスト10」の記事が。ああ、もう今年もそんな時期に、などと遠い目をしたのも束の間、それなら『このミス』も出ている頃かと本屋を強襲。『週刊文春』に『このミステリーがすごい!2007年版』を買ったついでに論創社の新刊三冊(クリストファー・ブッシュにモーリス・ルブラン、大庭武年という、一体いつの時代なのだという組み合わせ)、出版芸術社からスタートした横溝正史自選集の第一期分二冊、さらには嫁さんに頼まれていた『クリスマスのぶたぶた』もついでに購入。一気に一万円を超えてしまった。なんてこった、まだローレンス・ブロックやイネス、赤江爆も買わなきゃならんというのに。

 とりあえず『このミステリーがすごい!2007年版』と文春に目を通す。いやあ、もう顔ぶれが嫌になるぐらい似通っていて、かなり両者の差がなくなってきた感じだ。
 肝心の一位だが、なんと海外はドラモンドの『あなたに不利な証拠として』がダブルタイトル。ああ、そうか、これがあったな。実は今読んでいる『風の影』かなとも思っていたのだが、こちらは文春が2位、『このミス』が4位である。惜しい。
 ところで今年は海外物に限って言えばなかなかの豊作だったような気がする。とりわけ純文系の香りを持つ作品。『あなたに不利な証拠として』もそうだし『風の影』やカズオ・イシグロの『わたしを離さないで』もその口だ。顔ぶれもわりと新鮮。ディーヴァーのようなエンターテナーぶりも非常によいのだが、たまにはこういうタイプが席巻するベストテンも悪くない。


カルロス・ルイス・サフォン『風の影(上)』(集英社文庫)

 カルロス・ルイス・サフォンの『風の影』の評判がすこぶるいいようだ。謎の小説家と作品をテーマにした冒険物語。舞台はスペインと異国情緒もたっぷり。おまけに冒険を通じて若者の成長物語になっているらしく、これは期待するなという方が無理だ。
 で、本日『風の影』の上巻を読み切る。詳しい感想は下巻も読んでからにしたいが、とりあえず読ませる作品であることは確か。美しさと猥雑さが混然となった独特の魅力があるのだ。ただ今のところ大きな動きはなく、下巻でこの物語がどう流れるのか興味深い。


明治記念館へ

 知人の披露宴に出席するため明治記念館へ。入るのは初めてなのでちょっとお上りさん気分である。中庭では披露宴前に写真撮影を行うのだが、ここが都会のど真ん中とは思えないぐらいの美しさと広さ、そして静けさ。なんだか不思議な感じである。まあ、天気も良くていい披露宴でした。

Wii発売日

 仕事で金曜から徹夜。早朝に帰宅の途についたわけだが、実は今日はWiiの発売日でもあったのだ。買うことは決めているのでよっぽど今から量販店に並ぼうかとも考えたが、風邪も治っていないことだし、そのままおとなしく帰ることにする。
 ちなみにWiiはコントローラばかり話題が先行しているが、実は旧ゲームのダウンロード配信に一番興味があったりする。

やっちまった

 毎年、同じようなことを書いている気もするが、もう師走である。ほんとに一年が早い。

 Amazonから待望の品が届く。『刑事コロンボ コンプリートDVD-BOX』である。初回販売時には踏ん切りがつかなかったのだが、結局あきらめきれずに買ってしまった。なんせ全45話が2万円しないのである。つまり1話が500円しないのだから、そこらのレンタルより安い計算だ。
 と、嫁さんには説明したのだが、結局は金額の問題より置き場所の問題なのだ。ううむ、確かにかさばるわな(笑)。


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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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