Posted in "海外作家 ルメートル, ピエール"
- Category: 海外作家 ルメートル, ピエール 10 12, 2024
- ピエール・ルメートル『邪悪なる大蛇』(文藝春秋)
- 『その女アレックス』によって日本で大ブレイクしたピエール・ルメートルだが、ここのところはミステリから離れた作品が続いており、まあ、そういった作品も悪くはないのだけれど、やはりルメートルといえばカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズに代表されるケレン味である。変にいろいろ小細工するのではなく、衝撃的なストーリー展開でぶちかますところが魅力である。 そんなルメートルの新作、しかも作者「最後のミステリー...
- Category: 海外作家 ルメートル, ピエール 03 24, 2020
- ピエール・ルメートル『わが母なるロージー』(文春文庫)
- ピエール・ルメートルの『わが母なるロージー』を読む。カミーユ・ヴェルーヴェン警部の登場する一作ではあるが、いわゆるイレーヌ、アレックス、カミーユの三部作には入らない番外的な中編である。 パリ市内で爆破事件が発生した。まもなくジャンという青年が警察に出頭し、自分が犯人であり、カミーユ警部にだけ話をしたいと告げる。 さっそく駆けつけたカミーユに、ジャンは恐るべき取引を持ちかけた。爆弾はあと六つが残さ...
- Category: 海外作家 ルメートル, ピエール 05 04, 2019
- ピエール・ルメートル『監禁面接』(文藝春秋)
- 令和最初の読了本は、ピエール・ルメートルの『監禁面接』。 まずはストーリーから。 企業の人事部長だったアランが失業してはや四年。六十歳を目前にしてアルバイトで糊口をしのぎながら職探しを続けているが、年齢もあって思うようにはいかず、家族とも気まずくなりがちな日々だ。 そんなアランについにチャンスがやってきた。一流企業の最終試験に残ったのだ。しかし、その試験内容は驚くべきものだった。 就職企業先の重...
- Category: 海外作家 ルメートル, ピエール 03 20, 2017
- ピエール・ルメートル『天国でまた会おう(下)』(ハヤカワ文庫)
- ピエール・ルメートルの『天国でまた会おう』下巻読了。 第一次大戦で顔に大怪我を負ったエドゥアールと、そのエドゥアールに命を救われたアルベールは共同生活を送るが、エドゥアールは薬に溺れ、アルベールは生活費と薬代を稼ぐために疲弊していた。しかし、あるときエドゥアールは戦死者を悼む記念碑を利用した途方もない詐欺計画を思いつく。 一方、二人の元上官ブラデルはエドゥアールの姉と結婚し、彼もまた戦死者を利用...
- Category: 海外作家 ルメートル, ピエール 03 18, 2017
- ピエール・ルメートル『天国でまた会おう(上)』(ハヤカワ文庫)
- ピエール・ルメートルの『天国でまた会おう』をとりあえず上巻まで読む。カミーユ・ヴェルーベン警部三部作ですっかり日本での人気も定着した感のあるルメートルだが、本作は2013年に発表したノンシリーズ作品である。 第一次世界大戦も終わりが近づいてきた1918年11月。西部戦線においてフランス軍の青年アルベールは、上官ブラデルの悪事に気づいたことで、戦場で生き埋めにされてしまう。そのとき彼を助けたのが同じ部隊に...
- Category: 海外作家 ルメートル, ピエール 12 17, 2016
- ピエール・ルメートル『傷だらけのカミーユ』(文春文庫)
- ピエール・ルメートルの『傷だらけのカミーユ』を読む。『悲しみのイレーヌ』、『その女アレックス』に続くカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズの三作目だが、実はこれ三部作だったらしく(日本での刊行は二作目の『〜アレックス』が先になったけれど)、本作がその完結編。 で、最初にまず書いておきたいのは、これからこのシリーズを読もうと思っている人は、必ず本国での刊行順どおりに読んでほしいということ。単純にスト...
- Category: 海外作家 ルメートル, ピエール 12 26, 2015
- ピエール・ルメートル『悲しみのイレーヌ』(文春文庫)
- 昨年、『その女、アレックス』で話題をさらったピエール・ルメートルの『悲しみのイレーヌ』を読む。著者のデビュー作にしてヴェルーヴェン警部シリーズの第一作だが、『~アレックス』以上の傑作という声も聞かれ、今年の各種ベストテンでも上位に名を連ねている。 まあ、先に『~アレックス』を読んだ身としては、本書の邦題を見ただけで陰々滅々な気分にしかならないわけだが、まあ、ここまで評判がいいからにはさっさと読ん...
- Category: 海外作家 ルメートル, ピエール 03 21, 2015
- ピエール・ルメートル『死のドレスを花婿に』(柏書房)
- 『その女アレックス』で昨年の各種ミステリベストテンを席巻したピエール・ルメートルの本邦初紹介作品を読む。柏書房から出た『死のドレスを花婿に』がそれだが、これがなんと六年も前の本であった。アレックス効果というか便乗というか、新刊書店でも急に目にするようになったが、どういう形であれ埋もれた作品がまた世に注目されるのは悪いことではない。 こんな話。主人公のソフィーはつい一年前までは有能なキャリアウーマ...
- Category: 海外作家 ルメートル, ピエール 11 29, 2014
- ピエール・ルメートル『その女アレックス』(文春文庫)
- 周囲に翻訳ミステリの話をできる人間はあまりいないのだけれど、先日、そんな数少ない翻訳ミステリ好きの知人と酒を飲んだ。そのとき勧められたのが、ピエール・ルメートルの『その女アレックス』。 ネット上ではけっこう評判が良いようだったので、もともと少し気にはなっていたのだが、数日後に今度は『ミステリマガジン』の「ミステリが読みたい!2015年版」を読むと、これがなんと堂々の一位である。 こうなると一気にネッ...