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小栗虫太郎『人外魔境』(角川文庫)
小栗虫太郎の『人外魔境』読了。週末の旅行から読み始めてようやく読み終えたのだが、法水ものなどのように読みにくいということはない。それどころかまるで別人のような読みやすさだ。ルビの多さは相変わらずだが、ペダンティズムや難解な言い回しなどはほとんど影を潜め、スムーズに人外魔境の世界に浸ることができた。
それはともかく。
本作は冒険家の折竹孫七を主人公とし、数々の魔境に挑んだ彼の活躍を描いた連作集だ。小栗虫太郎の力業を味わう、とでも言うべきか、よくぞここまでというぐらい奇怪な世界を創り出し、折竹とともに読者を強引に悪夢へ引き込んでゆく。その腕力が素晴らしい。ロマンティズムという小栗の別の一面が十分に伝わってくる傑作である。
ただ、先にも書いたが、初期の小栗に見られるようなテイストは感じられないので、探偵小説としての小栗作品を期待するとあてが外れるかもしれない。
ちなみに本書を読んで連想されるのは映画のインディ・ジョーンズか香山滋の人見十吉シリーズだろうと思うが、インディ・ジョーンズはともかくとして、人見十吉シリーズには確かに影響を与えているようだ。設定はもちろんだが、『人外魔境』で使われている用語などもいくつか拝借しているらしい。
それはともかく。
本作は冒険家の折竹孫七を主人公とし、数々の魔境に挑んだ彼の活躍を描いた連作集だ。小栗虫太郎の力業を味わう、とでも言うべきか、よくぞここまでというぐらい奇怪な世界を創り出し、折竹とともに読者を強引に悪夢へ引き込んでゆく。その腕力が素晴らしい。ロマンティズムという小栗の別の一面が十分に伝わってくる傑作である。
ただ、先にも書いたが、初期の小栗に見られるようなテイストは感じられないので、探偵小説としての小栗作品を期待するとあてが外れるかもしれない。
ちなみに本書を読んで連想されるのは映画のインディ・ジョーンズか香山滋の人見十吉シリーズだろうと思うが、インディ・ジョーンズはともかくとして、人見十吉シリーズには確かに影響を与えているようだ。設定はもちろんだが、『人外魔境』で使われている用語などもいくつか拝借しているらしい。
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