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ヘレン・マクロイ『ささやく真実』(創元推理文庫)
ヘレン・マクロイの『ささやく真実』を読む。まずはストーリーから。
誰もが認める美女ながら、悪趣味ないたずらで騒動ばかり起こしているクローディア。そんな彼女が知人の科学者から盗み出したのが、新発明の自白剤。彼女は自宅のパーティーでカクテルにこれを混ぜ、皆にふるまおうというのだ。
そしてパーティー本番。クローディアの企みは見事に成、宴は暴露大会と化すが、その報いか、彼女は何者かに殺害される。その直後に現場を訪れた精神科医ウィリング博士は、犯人が物音に気づいて逃走したことから推理を展開させてゆく……。
精神科医ベイジル・ウィリング博士のシリーズ第三作目ということで、比較的初期の作品。まだこの頃は後期のようなトリッキーさも感じられず、どちらかというとオーソドックスな本格ミステリの雰囲気である。
そのなかにあって自白剤によって秘密を暴露するという設定だけは少々突飛なのだが、これもぎりぎり許せる範囲か。全体的にはおとなしめのストーリーながら、自白剤によって巻き起こるドタバタや人間模様が物語の芯になっており、それがいい味付けとなっている。
また、謎解きについては“音”の扱いがなかなか巧い。こういうネタだけで二転三転させ、しかもストーリーを引っ張ってくれるのはやはり実力者の証。決してマクロイのなかでは上位にくる作品というわけではないが、フーダニットとしては十分に楽しめる作品といえるだろう。
とりあえず本作も満足。マクロイはまだまだ未訳が残っているが、このぐらいのペースでよいのでぼちぼち紹介が進んでいくと嬉しいねぇ。
誰もが認める美女ながら、悪趣味ないたずらで騒動ばかり起こしているクローディア。そんな彼女が知人の科学者から盗み出したのが、新発明の自白剤。彼女は自宅のパーティーでカクテルにこれを混ぜ、皆にふるまおうというのだ。
そしてパーティー本番。クローディアの企みは見事に成、宴は暴露大会と化すが、その報いか、彼女は何者かに殺害される。その直後に現場を訪れた精神科医ウィリング博士は、犯人が物音に気づいて逃走したことから推理を展開させてゆく……。
精神科医ベイジル・ウィリング博士のシリーズ第三作目ということで、比較的初期の作品。まだこの頃は後期のようなトリッキーさも感じられず、どちらかというとオーソドックスな本格ミステリの雰囲気である。
そのなかにあって自白剤によって秘密を暴露するという設定だけは少々突飛なのだが、これもぎりぎり許せる範囲か。全体的にはおとなしめのストーリーながら、自白剤によって巻き起こるドタバタや人間模様が物語の芯になっており、それがいい味付けとなっている。
また、謎解きについては“音”の扱いがなかなか巧い。こういうネタだけで二転三転させ、しかもストーリーを引っ張ってくれるのはやはり実力者の証。決してマクロイのなかでは上位にくる作品というわけではないが、フーダニットとしては十分に楽しめる作品といえるだろう。
とりあえず本作も満足。マクロイはまだまだ未訳が残っているが、このぐらいのペースでよいのでぼちぼち紹介が進んでいくと嬉しいねぇ。
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