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ジェフリー・ディーヴァー『死の開幕』(講談社文庫)
ジェフリー・ディーヴァーの『死の開幕』を読む。
映画の制作会社に勤めているルーンは、会社へ向かう途中でたまたまポルノ映画館の爆破事件に遭遇する。会社では雑用ばかりでなかなか制作に携わることができないルーンは、捜査の様子をたまたま近場で見物したことから、その映画館で上映されていた映画の主演女優のドキュメンタリーを撮ることを思いつく。だが、彼女がようやく主演女優から撮影許可をもらったのも束の間、その女優も続く爆破事件で命を落としてしまう……。
『眠れぬイヴのために』以前の作品なので、基本的にはまったく期待していなかったのだが、予想よりは楽しめた。終盤のどんでん返し、爆発物処理班の活動やポルノ業界といった情報の面白さ、後のライム・シリーズを彷彿とさせる師弟関係というか恋人関係というか。そんなディーヴァーらしさの片鱗があちらこちらに伺え、ルーン・シリーズ一作目の『汚れた街のシンデレラ』よりは数段出来がよい。
ただ楽しめたのは、あくまで元々の期待値が低かったせであるので念のため。現在のディーヴァーに見られるスピード感やサスペンスの盛り上げはいまひとつだし、展開も間延びしている。先ほど終盤のどんでん返しを褒めたが、これもたたみ掛けるような勢いがあれば、さらに盛り上がるだろうに。
何より気になるのはヒロインの魅力が乏しいこと。個人的な好みもあるけれど、突っ張っているけれどもどこか可愛いヒロイン、というのがこの手のサスペンス物では定番のはず。しかし本作のルーンは、ただただ人に迷惑をかけ続ける困ったちゃんでしかない。彼女が暴走することで物語も流れるため、御都合主義もちらちら目立つ。
結果、トータルでは人様にお勧めするところまではいかない。「ディーヴァー作品はすべて読む」と決めているファンなら、といったところか。
映画の制作会社に勤めているルーンは、会社へ向かう途中でたまたまポルノ映画館の爆破事件に遭遇する。会社では雑用ばかりでなかなか制作に携わることができないルーンは、捜査の様子をたまたま近場で見物したことから、その映画館で上映されていた映画の主演女優のドキュメンタリーを撮ることを思いつく。だが、彼女がようやく主演女優から撮影許可をもらったのも束の間、その女優も続く爆破事件で命を落としてしまう……。
『眠れぬイヴのために』以前の作品なので、基本的にはまったく期待していなかったのだが、予想よりは楽しめた。終盤のどんでん返し、爆発物処理班の活動やポルノ業界といった情報の面白さ、後のライム・シリーズを彷彿とさせる師弟関係というか恋人関係というか。そんなディーヴァーらしさの片鱗があちらこちらに伺え、ルーン・シリーズ一作目の『汚れた街のシンデレラ』よりは数段出来がよい。
ただ楽しめたのは、あくまで元々の期待値が低かったせであるので念のため。現在のディーヴァーに見られるスピード感やサスペンスの盛り上げはいまひとつだし、展開も間延びしている。先ほど終盤のどんでん返しを褒めたが、これもたたみ掛けるような勢いがあれば、さらに盛り上がるだろうに。
何より気になるのはヒロインの魅力が乏しいこと。個人的な好みもあるけれど、突っ張っているけれどもどこか可愛いヒロイン、というのがこの手のサスペンス物では定番のはず。しかし本作のルーンは、ただただ人に迷惑をかけ続ける困ったちゃんでしかない。彼女が暴走することで物語も流れるため、御都合主義もちらちら目立つ。
結果、トータルでは人様にお勧めするところまではいかない。「ディーヴァー作品はすべて読む」と決めているファンなら、といったところか。
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