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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話 (改訂版)
2015-11-01-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第7章 銀行って、なんだろう? ⑤

◇ いろいろな銀行の種類 = 町を歩いていて、みなさんは銀行をすぐ見つけることができるでしょう。外から見ると、銀行はみな同じような建物の形をしています。なかに入ってみても、同じような感じですね。カウンターがあって、ATM(現金自動預け払い機)が並んでいて。でも銀行にも、いくつかの種類があるのです。

いちばん多いのは、普通銀行という種類の銀行です。普通銀行は、全国銀行と地方銀行に分かれます。全国銀行というのは、本店は東京や大阪などの大都市にありますが、全国の方々に支店を持っている銀行。地方銀行は、地方の都市に本店があり、その地方だけに支店が集中している銀行です。

普通銀行のほかには、信託銀行、外国銀行、政府系銀行、ネット銀行などがあります。また郵便局が「ゆうちょ銀行」になりました。ほかに信用金庫とか信用組合があって、銀行とほとんど同じ仕事をしていますが、銀行とは呼びません。そして最後は、銀行の親玉と言ってもいい日本銀行を忘れないようにしましょう。

これらの銀行や信用金庫などをひっくるめて、金融機関と呼ぶことがあります。でも金融機関と言う場合は、銀行のほかに保険会社や証券会社も含まれます。みなさんの町には、どんな種類の銀行がありますか。金融機関はいくつあるかも、数えてみてください。 
                                (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2015-11-02-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 命綱はやはり企業収益 = 日経平均は先週258円の値上がり。ダウ平均は17ドルの上昇。この結果、10月は日米の株価が大きく回復した。日経平均は月間1695円、ダウ平均は1379ドル上がっている。特に日経平均の月間上昇幅は20年ぶりの大きさ。終り値では2か月ぶりに1万9000円台を取り戻した。

株価を突き上げるような好材料は、ECB(ヨーロッパ中央銀行)の総裁が追加的な金融緩和を示唆。それに中国の利下げぐらいなもの。それでも相場が立ち直ったのは、中国経済・フォルクスワーゲン事件・アメリカの利上げという3つの不安材料が時の流れとともに、しだいに薄れたことによるものだろう。加えて企業業績が好調を持続し、株価を下支えする効果を発揮した。

FRBは予想通り、10月の金利引き上げを見送った。このためニューヨーク市場では、12月の利上げに関心が集中している。しかし現在の経済情勢からみると、12月も利上げは困難ではないのか。たとえばアメリカの企業収益は7-9月期に、はっきりと減益傾向を示している。一方、日本の企業業績は7-9月期も絶好調を維持している。この差が、今後の株価にどう反映されるかを見て行きたい。

今週は2日に、10月の新車販売台数。4日に、10月の消費者態度指数。6日に、9月の景気動向指数。アメリカでは2日に、10月のISM製造業景況指数と新車販売台数。4日に、9月の貿易統計と10月のISM非製造業景況指数。6日に、10月の雇用統計。また中国は8日に、10月の貿易統計を発表する。なお4日には、郵政3社が東証1部に新規上場される。

     ≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ


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真っ二つの 企業業績
2015-11-04-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 全体としては絶好調だが = 上半期の決算発表がピークを迎えている。SMBC日興証券がこれまでに発表を終えた1部上場243社を集計したところによると、売上高は前年比2.6%の増加。税引き後利益は16.0%の増加で、増収増益の形となっている。また日経新聞の同様の調査でも、511社の経常利益は前年を16%上回った。来年3月期の通算予想でも、最高益の更新は間違いなさそうだという。

要するに企業業績は絶好調というわけだが、内容をよく見ると“勝ち組”と“負け組”の差がきわめて鮮明になってきたことが判る。たとえばSMBC日興証券の集計内容をみると、小売業の税引き後利益は52.3%、空運業は50.9%、電機は29.4%の増益だった。その一方で金属製品は50.3%、非鉄金属は42.1%、機械は4.8%の減益となっている。また日経新聞の調査では、増益組が全体の64%、減益組が36%という比率だ。

小売業と空運業の増益は、訪日外国人の増加や原油安に負うところが大きい。電機はアメリカ向けの輸出に支えられた。いずれも基本的には、円安の恩恵を享受したと言っていい。その半面、金属製品や非鉄金属などは、中国経済の減速による輸出の減退と国際的な商品市況の低落に災いされた。

心配な点は、今後の見通しだ。下半期についてみると、減益組の改善はあまり期待できない。ところが増益組の業績はやや鈍化する可能性が大きい。全体として通期の最高益は達成できるとしても、下半期の収益増加率は上半期より落ちることになりそうだ。さらに16年度にかけて企業の収益を維持するためには、どうしても個人消費や設備投資の増大が必要になってくる。

      ≪2日の日経平均 = 下げ -399.86円≫

      ≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ


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フォルクスワーゲンの後遺症
2015-11-05-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ マツダにとばっちり = 自動車販売業界の集計によると、10月の新車販売台数は38万0089台。前年を4.1%下回った。これで前年比の減少は10か月連続している。内訳をみると、排気量660CC以上の登録車は24万0889台で前年比0.2%の増加だったが、軽自動車が10.8%と大きく減少した。軽自動車は4月に実施された増税の影響から、まだ抜け出せていない。

ことしになって、新車の販売は不振を続けている。1-10月間の記録をみても、登録車は前年比5.2%の減少。軽自動車は14.7%の減少となっている。昨年の販売台数は556万台を超えたが、ことしはとても届かない。業界には早くも、あきらめムードが漂い始めている。

そんななか、10月の統計には新しい動きがみえ始めた。まず輸入車の台数が前年比10.1%も減ったこと。ブランド別の数字は不明だが、不正事件を引き起こしたフォルクスワーゲンは2400台程度。減少率は50%を超えたとも言われている。フォルクスワーゲンは日本でディーゼル車を販売していないが、それでも影響は大きかったようだ。

また国産車では、マツダが7.4%と大きく減少した。マツダは日本で最大のディーゼル車メーカー。全生産車の4割がディーゼル車だ。しかしマツダが排気ガスの測定で、不正なソフトを使ったわけではない。本来ならば競争相手の脱落で、需要は伸びるはず。しかし10月に関する限りは、ワーゲン事件の後遺症に災いされた。

      ≪4日の日経平均 = 上げ +243.67円≫

      ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ


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6.5%成長の深い意味 / 中国
2015-11-06-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 意味するところは多岐 = 中国の李克強首相は1日、韓国のソウルで講演。そのなかで「中国は20年までに、GDPを10年比で倍増させたい。そのためには今後5年間の年平均成長率を6.5%以上にする必要がある」と強調した。中国の5か年計画は来年から始まるので、この発言は16-20年の成長目標を6.5%に設定することだと一般に受け取られている。

最近の5か年計画をみると、06-10年は目標が7.5%だったのに対して、実績は11%と大きく上回った。現行の11-15年計画も目標の7%をわずかながら上回りそうだ。そこで16-20年計画の成長目標が6.5%ということになれば、実に美しい“軟着陸”の形となる。だが実際の経済は、そんなに美しい形を描くとは限らない。

いま中国経済は、生産設備の大幅な過剰に悩んでいる。その象徴とも言える鉄鋼は、約4億トンが過剰設備。日本の年間生産量の4倍にも当たる大きさだ。こうした設備の廃棄を進めながら、経済成長率を一定のスピードで鈍化させて行くことは至難の業と言えるだろう。

16-20年の平均成長率が6.5%になるとすれば、一時的には成長率が5%を切る可能性も大きい。こうして中国は現在の“中高速成長”から、ふつうの“中速成長”国へと変貌して行く。その過程での生産減少や失業増加に、国全体が耐えられるのかどうか。6.5%という数字は、耐えるための絶対条件だという意味に解釈した方がいいのかもしれない。

      ≪5日の日経平均 = 上げ +189.50円≫

      ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ


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サタデー自習室 -- 軽減税率のすべて ①
2015-11-07-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 増税の負担を軽くする方策 = 軽減税率の設計をめぐる議論が、大詰めを迎えている。消費税を引き上げる際、一部の商品に限って税率を上げずに据え置く。こうすることによって、消費者の重税感を少しでも和らげる。これが軽減税率と呼ばれる方策で、ヨーロッパ諸国では古くから採用されてきた。

安倍内閣は現在8%の消費税率を、17年4月から10%に引き上げることを決めている。その際、食料品など生活必需品の税率は8%のままに据え置く。日本で初めて実施される軽減税率の、おおよその姿はこういう」ことになる。では、なぜ食料品などの生活必需品だけが、軽減税率の適用を受けるのだろうか。

食料品などは消費税率が上がっても、買わないわけにはいかない。ところが家計全体の支出に占める食料品の割合は、金持ちになればなるほど低下する傾向にある。逆に言うと、貧乏人ほど支出に占める食料品の割合は高い。このため食料品などの税率が据え置かれれば、それだけ低所得者層の負担感は軽くなる。

大問題は、軽減税率の適用範囲を具体的にどう決めるかだ。範囲を広くすれば、消費増税による税収の増加分が減ってしまう。狭くすれば、消費者の負担感は軽減しにくい。軽減税率をめぐる問題点はいくつもあるが、なかでも対象品目をどう決めるか。いわゆる“線引き”の問題が、最も難しいと言えるだろう。

                                  (続きは来週サタデー)

      ≪6日の日経平均 = 上げ +149.19円≫

      【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】  


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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話 (改訂版)
2015-11-08-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第7章 銀行って、なんだろう? ⑥

◇ 合併で3大銀行に = みなさんは、銀行の名前をいくつ言えますか。なかには長い名前の銀行もありますね。そういう銀行は、たいてい合併でできた銀行です。合併というのは、2つか3つの会社が1つの新しい会社にまとまることです。日本の銀行は、ここ30年ほど前から何回もの合併を繰り返してきました。

たとえば40年ほど前には、全国に支店を置く大きな銀行は15もありました。でも現在まで、その名前が残っている銀行は1つもありません。そして現在は、メガバンク(巨大銀行)と呼ばれる3つの銀行に集約されています。ちょっとややこしいのですが、40年前の大銀行が、どう集約されたのかを説明してみましょう。下に線を引いてあるのが、40年前にあった銀行です。

≪みずほ銀行 ≫ まず第一銀行日本勧業銀行が合併して、第一勧業銀行になりました。この第一勧業銀行と富士銀行、それに日本興行銀行の3つが合併して誕生しました。
≪三井住友銀行≫ 太陽銀行神戸銀行が合併して、太陽神戸銀行ができました。この銀行と三井銀行が合併して、さくら銀行になります。さらに、さくら銀行が住友銀行と合併して三井住友銀行になったのです。
≪三菱東京UFJ銀行≫= 東京銀行三菱銀行が合併して東京三菱銀行に。三和銀行東海銀行が合併してUFJ銀行に。この2つの銀行がさらに合併して出来上がりました。

銀行は大きい方が、なにかと有利です。外国の巨大銀行と対抗するために。また競争相手の銀行が合併して大きくなると、それに対抗するために、次々と合併が行われたのです。                   
                               
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今週のポイント
2015-11-09-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 年末相場へつながるか = FRBは12月に、金利を引き上げる。ニューヨーク市場では先週末、こうした観測が一気に高まった。10月の雇用統計が発表され、非農業雇用者が27万1000人も増えたことが判明したからである。ところが利上げの観測が強まっても、株価は下がらなかった。投資家の多くが金融緩和政策の終了よりも、アメリカ経済の強さに注目したためだと考えられている。ダウ平均は週間247ドルの値上がり。

東京市場では先週、郵政グループ3社が上場された。3社の株価は上場後に大きく上昇し、週末になって利益確定売りが出てやや反落している。これで郵政3社株の割安感は、ほぼなくなった。ただ3社株の上場で、市場に活気が戻ったことは確かのようだ。日経平均は週間183円の値上がり。終り値は2か月半ぶりの高値を回復している。

ニューヨーク市場が、利上げよりも実体経済の強さを重視し続けるのか。利上げ観測に伴うドル高を、どこまで許容できるのか。円安の進行が、日本経済にどう影響するのか。今週の動きを観察すれば、その辺の感触が少しづつ明らかになるだろう。さらに東京市場の場合は、その先に年末相場への期待が芽生える可能性を秘めている。

今週は9日に、9月の毎月勤労統計。10日に、9月の国際収支と10月の景気ウォッチャー調査。12日に、9月の機械受注と10月の企業物価。13日に、9月の第3次産業活動指数。アメリカでは13日に、10月の小売り売上高と生産者物価、11月のミシガン大学・消費者信頼感指数。中国では10日に、10月の消費者物価と生産者物価。11日に、10月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資。またEUが13日に、7-9月期のGDP速報を発表する。

      ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ


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利上げを阻む? 最後のハードル
2015-11-10-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 11月の雇用統計で決断 = アメリカ労働省は先週、10月の雇用統計を発表した。それによると、最も注目された非農業雇用者数は前月より27万1000人増加した。この増加幅は、市場の事前予測値だった18万人増を大幅に上回っている。このためFRBは年末の会議で、懸案の政策金利引き上げを決めるだろうという観測が一気に高まった。ただ市場は比較的冷静に、この事態を受け止めている。

このところ非農業雇用者の増加数は、きわめて大きく変動している。たとえば8月は15万3000人増、9月は13万7000人増、そして10月の増加数は27万人を超えた。一部では、中国経済などの影響で8-9月は金融市場に混乱を生じたが、10月はその反動で雇用者が増えたとみている。しかし労働省は、この点について何も説明していない。

FRBは金融政策を決定するFOMC(公開市場委員会)を、次回は12月15-16日に開く予定だ。だが、その前の12月4日に、労働省は11月分の雇用統計を発表する。その内容が“反動の反動”という形で、大きく悪化したらどうするのだろう。これについては、非農業雇用者の増加数を過去1年の月平均でみると23万人に達する。したがって11月の増加数がかなり減っても、利上げを阻む要因にはならないという意見が圧倒的に強い。

さらに利上げの観測が強まっても、株価が落ち着いていたこと。つまり市場は金融緩和政策の終了に、大きな動揺を示さなくなったことで、FRBは決断しやすくなったという見方も広まってきている。市場のなかには「このチャンスを逸すれば、FRBは当分なにもできなくなる」といった“FRB援護論”まで飛び出した。11月の雇用統計が利上げにとっての“最後のハードル”になる可能性は、ごく小さいのではないだろうか。

      ≪9日の日経平均 = 上げ +377.14円≫

      ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ


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給料は なぜ上がらないのか
2015-11-11-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ もっと研究する必要が = 厚生労働省は今週、9月の毎月勤労統計を発表した。それによると、名目賃金に当たる現金給与総額は1人平均で26万5527円。前年に比べて0.6%増加した。これで前年比の増加は7月から3か月連続。物価上昇分を調整した実質賃金も、3か月の増加となっている。景気の回復を反映して、給与の面にも薄明かりが射し始めたことは確かだろう。

だが少し長い目でみると、給与の水準は全く上昇していない。たとえば5年前、10年9月の現金給与総額は26万7975円だった。ほぼ肩を並べたが、まだ500円玉1個ほど足りない。この間の物価上昇を加味した実質賃金指数でみると、2割も少なくなっていることが判る。これでは個人消費も伸びにくい。企業の業績は絶好調なのに、なぜ給料は上がらないのだろう。

原因の1つは、給与の低いパートタイマーが増えたからかもしれない。ことし9月の統計をみても、給与総額は一般労働者の33万9220円に対してパートは9万5780円と極端に低い。そこでパートが雇用者全体に占める比率を調べてみると、5年前の28%が現在は30.3%に増大している。したがってパートの増加が給与の平均値を引き下げていることは明らかだが、それほど大きな要因ではなさそうだ。

次に雇用者の年齢構成にも、関係がありそうだ。しかし勤労統計は年齢別の調査をしていないので、この点は解明できない。最後は大企業と中小・零細企業とのギャップ。平均給与が上昇しない最大の原因だと考えられるが、勤労統計では5人以上と30人以上の事業所という区分しかないので、やはり判然とはしない。厚生労働省は平均給与が上がらない理由について、詳細な研究をすべきではないのか。

      ≪10日の日経平均 = 上げ +28.52円≫

      ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ


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落ち込みが続く 中国経済
2015-11-12-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 下げ止まりの兆し見えず = 中国政府は今週、10月の主要な経済統計を次々と発表した。まず8日の貿易統計。輸出は前年比6.9%の減少で、9月の3.7%減少よりも悪化した。輸入は18.8%の減少で、9月の20.4%減少に続いて大幅な縮小を記録している。中国は加工貿易が中心なので、輸出が減れば輸入も減る。加えて原油や原材料の輸入価格が低落、さらに内需の伸び悩みが輸入の大幅な減少を招いている。

次は10日の物価統計。卸売物価は前年比5.9%の下落だった。9月も5.9%の下落、これで卸売物価の下落は44か月続いたことになる。一方、消費者物価は1.3%の上昇、9月の1.6%より上昇幅が縮小した。卸売物価の低落は、企業段階での生産過剰と需要不足の現われ。消費者物価は食料品の値上がりによるもので、個人消費の強さを反映しているわけではない。

さらに11日は、鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額が発表された。このうち生産水準は前年比5.6%の増加。9月の5.7%増から、わずかながら鈍化した。かつては2ケタの伸び率を誇っていた中国の鉱工業生産も、最近は完全に半分のスピードに落ちている。半面、小売り売上高は物価の上昇もあって、前年比11.0%の増加だった。

企業の設備投資と官民による建設投資を合わせたのが固定資産投資。1-10月の累計で前年比10.2%増。1-9月の累計10.3%増より、やや増加率が落ちた。内容的には第1次産業が28.1%増と圧倒的に大きく、第2次産業は8.0%の増加にとどまっている。こうした一連の統計から判ることは、相変わらず産業部門の需給関係が改善していないこと。経済全体に下げ止まりの兆しは見えないことである。

      ≪11日の日経平均 = 上げ +20.13円≫

      ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ


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選挙目当ての 法人減税
2015-11-13-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 安倍首相じきじきの指示 = 法人税率の引き下げが、予定を前倒しして実行されることになった。企業の利益に課税する法人税は、国税と地方税を合わせた実効税率で現在は32.11%。これを16年度は31.33%以下に引き下げ、さらに数年後には20%台まで下げるという方針がすでに決まっている。安倍首相はこの計画を前倒しするよう指示、財務省は16年度の税率を30.99%以下にする方向で検討に入った。

さらに財務省は、実効税率を17年度には20%台にまで引き下げる方針。このため財務省は、13年度から実施されている設備投資減税を16年度末で終了。これで浮く3000億円を財源に使う考えだ。加えて大企業については、赤字の場合でも事業規模に応じて課税できる外形標準課税制度の拡大を視野に入れている。

しかし大企業の業績はいま絶好調。ことし3月末の内部留保は354兆円。手元の現金・預金残高は105兆円に達した。さらに上場企業の経常利益は、この3月期に8%の増益が見込まれている。もちろん法人税率は低い方がいいに決まっている。だが膨大な利益を出している大企業に、計画を前倒しまでして減税する必要が本当にあるのだろうか。

安倍首相は先月の官民対話で「企業収益は過去最高になっているが、投資は十分ではない」と、民間側に設備投資の拡大を促した。しかし投資余力は十分すぎるほどの企業に減税をしたからと言って、投資は増えるのだろうか。最も苦しい中小・零細企業には、ほとんどメリットがない。赤字の大企業には、むしろ増税になりかねない。しかも投資減税を止めてしまうという大きな矛盾。こう見てくると今回の前倒し法人減税は、来年の参院選をにらんだ選挙対策としか考えられない。

      ≪12日の日経平均 = 上げ +6.38円≫

      ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ


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サタデー自習室 -- 軽減税率のすべて ②
2015-11-14-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ クリームパンはパンなのか = 最近の新聞紙面をみると「自民党と公明党が軽減税率の適用範囲をどう決めるかの“線引き”問題でモメている」という記事が載っている。同じ与党でありながら、公明党は適用範囲を広げて低所得層の重税感を軽減すべきだと主張。自民党は範囲を広げすぎれば、税収が減ってしまうと強く抵抗して決着がつかない。

両党は財務省が作成した資料を基に、検討を開始した。この資料によると、軽減税率をたとえば①精米だけに適用すると、税収の減少額は年間400億円②酒類を除く飲食料品だと、減収額は1兆3000億円③すべての飲食料品に適用すると、減収額は1兆4000億円――になる。このうち議論の早い段階で、①と③は極端すぎるという理由で消えた。

それでは②の「酒類を除く飲食料品」で決まりかというと、そうはいかない。公明党はこの案を主張しているが、自民党はこれでは減収額が多すぎると反論。たとえば②から外食や菓子類を除く案や、生鮮食品だけに限る案が登場している。この場合、減収額は②から外食と菓子類を除けば9000億円、生鮮食品に限れば3400億円になるという。

だが、こうした案を採用しても“線引き”は簡単ではない。たとえば出前は外食なのかどうか。クリームパンはパンなのか菓子なのか。ミックスサラダは生鮮食品なのか加工食品なのか。疑問はいくらでも出てくる。軽減税率の適用範囲は、売る側にも買う側にも明確でなければいけない。議論はこんなところでも、つまづいている。

                                  (続きは来週サタデー)

      ≪13日の日経平均 = 下げ -100.86円≫

      【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】  


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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話 (改訂版)
2015-11-15-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第7章 銀行って、なんだろう? ⑦

◇ 銀行の銀行 = テレビのニュースには、よく日本銀行の大きな建物が出てきます。ずいぶん立派な銀行だから、あそこへ預金しよう。あそこからおカネを借りようと思っても、これはダメ。日本銀行は個人のおカネを預かったり、個人におカネを貸したりはしません。では、どんな銀行かというと、たくさんある銀行の銀行なのです。

日本銀行は町の銀行が預金したり、おカネを借りたりする銀行なのです。日銀が銀行におカネを貸すときの金利を上げると、町の銀行も会社や個人の預金に対する金利を上げたり、貸すときの金利を上げます。下げるときは、反対のことが起ります。日銀はこのように金利を動かすことによって、経済全体の動きを調節しているわけです。

なにを目的に調節しているのでしょう。それは物価の安定です。物価が上がりすぎるときは金利を上げて経済活動を抑え、物価が下がりすぎるときには金利を下げて経済活動をやりやすくするのです。物価の上昇は、おカネの価値が下がることを意味します。ですから日銀は通貨の価値を守るために、金利を動かしていると言ってもいいでしょう。

みなさんが持っているお札を見てください。1000円札でも10000円札でも、日本銀行券と書いてありますね。そう、日銀は紙幣(お札)も発行しています。お札はただの紙切れですが、銀行の親分である日銀が発行しているので、みんなが信用して何でも売ってくれるのです。このような銀行の銀行を、中央銀行と言います。

                               (続きは来週日曜日)
                 

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今週のポイント
2015-11-16-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 試される東京市場の反発力 = 株式市場の空気は先々週末にアメリカが10月の雇用統計を発表して以降、明らかに変化した。雇用者の増加数が予想をはるかに超えたため、12月の金利引き上げが一気に現実的に。そこでドル高・円安が進行した。先週ダウ平均は665ドル下げたのに対し、日経平均が331円上げたのは、この市場の変化を反映したものだ。

金融緩和政策の終了に対する不安もあるが、同時にニューヨーク市場にとっては、ドル高とそれがもたらす原油安が厄介な重石になってきている。年末に向かって株価が反発するかどうかは、きわめて微妙だ。当面は12月4日に発表される11月の雇用統計と、12月15-16日に開くFRBの政策決定会議に、市場がどう反応するかを見守るしかない。もう1つは、パリの同時テロ事件が市場にどんな悪影響を及ぼすのか。

日経平均はこの1か月で1700円も上げた。このため過熱感が高まっており、しばらくは足踏みするかもしれない。しかし好調な企業収益を背景に、まだ上昇余力はかなり残されている。下値不安もほとんどない。したがって今後は仮にニューヨークが低迷しても、独自の力で2万円を目指せるか。反発力が問われることになる。

今週は16日に、7-9月期のGDP速報。18日に、11月の外国人旅行客数。19日に、10月の貿易統計と9月の全産業活動指数。アメリカでは17日に、10月の工業生産と消費者物価、11月のNAHB住宅市場指数。18日に、10月の住宅着工戸数。19日に、10月のカンファレンス・ボード景気先行指数。また中国が18日に、70都市の住宅価格を発表する。

      ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ


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景気は 回復しているのか
2015-11-17-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 上半期はマイナス成長だった = 内閣府が16日発表した7-9月期の実質GDP成長率は、年率換算でマイナス0.8%だった。民間による事前の予測値よりマイナス幅が大きくなっている。4-6月期もマイナス0.7%だったので、15年度上半期は結局マイナス成長で終わったことになる。問題は10月以降、景気は回復に向かっているのかどうか。政府・日銀に景気対策の実施を求める声もあがり始めた。

内容をみると、個人消費は年率2.1%の増加。前期のマイナスからプラスに転じている。住宅投資も8.0%伸びたが、企業の設備投資が5.0%減少して、民間需要全体では1.8%のマイナスとなった。また輸出は10.9%の増加と予想以上の伸び。輸入の7.1%増を上回って、成長率のプラス要因となっている。逆に企業収益は過去最高の水準にあるが、設備投資に結び付かなかったことが痛い。

政府はことし1月、15年度の実質成長率をプラス1.5%とする経済見通しを発表した。だが上半期がマイナス成長に終わったため、この目標を達成するには下半期に4%近くのプラス成長が必要となってくる。しかし現時点でみる限り、景気がはっきりと上向いたようには感じられない。下半期に4%のプラス成長は、かなり困難なのではないだろうか。

というのも7-9月期のGDP速報をみると、個人消費や住宅投資は予想以上によかった。輸出も健闘した。中国経済の状況やアメリカの景気動向を考えると、これらの項目が下半期に大きく増加することは難しそうだ。では問題の設備投資が伸びるかというと、これも大きな期待は持てそうにない。だがら政府の景気対策に頼る声が出てくるわけだが、政府も日銀も打つ手は限られる。見通しは決して甘くない。

      ≪16日の日経平均 = 下げ -203.22円≫

      ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ


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OPEC 対 アメリカ : 原油戦争 (上)
2015-11-18-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本への恩恵は甚大 = ガソリンや灯油が安い。資源エネルギー庁の集計によると、11月9日時点のレギュラー・ガソリン小売価格は全国平均で1㍑=132円20銭だった。10年11月以来5年ぶりに低い水準で、ことしの7月に比べても12円ほど安くなっている。年末に向かって需要期に入るが、業界関係者は「価格はまだ少し下がるかもしれない」と言っている。

ガソリン価格の低落は、言うまでもなく原油の国際価格が暴落しているからだ。ニューヨーク商品取引所の代表銘柄であるWTIでみると、過去最高値は08年7月の1バレル=147ドル。その後はさすがに下落したが、OPEC(石油輸出国機構)が昨年11月末の総会で「価格を維持するための減産はしない」と決めたことから、さらに暴落。最近は40ドル近くにまで低落している。

原油価格の低落は、日本経済に計り知れない恩恵をもたらしている。石油の元売り会社などは在庫の評価損で苦しんでいるが、全体としてみればプラスは大きい。特にメリットが大きい運輸や化学業界だけでなく、製造業や非製造業の大部分がコスト削減の恩恵を享受した。家計も大いに助かっている。たとえば9月の国際収支は9600億円の黒字だったが、仮に原油価格が120ドルだったとすると2兆円程度の赤字になったと推計できる。

昨年末にOPECが減産しないと決めたのは、原油価格を下落させてアメリカのシェール産業を叩き潰そうと考えたからである。ここからOPECとアメリカとの死闘が始まった。それから1年。まだ決着はついていない。しかしOPECもアメリカのシェール産業も、互いに相当の痛手を蒙りつつあるようだ。こうした状況下で、原油安はいつまで続くのだろうか。

                                 (続きは明日)

      ≪17日の日経平均 = 上げ +236.94円≫

      ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ


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OPEC 対 アメリカ : 原油戦争 (下)
2015-11-19-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ どちらが先に音をあげるのか = アメリカでシェール・オイルを採掘しているのは120社ほど。最近は生産を休止した会社も現われ、倒産したケースも出ている。さすがに原油価格が1バレル=40ドルまで落ちると、経営は苦しいようだ。9月の生産量をみても日量は918万バレル。前月より1%、4月より4%減っている。しかもアメリカ全体の原油在庫量は4億8000万バレルを超え、前年を30%も上回ってしまった。

一方のOPECも楽ではない。OPECというのはサウジアラビアやクウェートを中心に、12の産油国が作ったカルテル組織。原油価格が安くなると、加盟国の収入は減ってしまう。しかし価格が高くなると、コストが安いアメリカのシェール・オイルに市場を奪われかねない。そこで歯を食いしばって、減産をせず原油価格の下落を放任した。

だが石油収入の激減で、OPEC各国の財政は急速に悪化。サウジやUAE(アラブ首長国連邦)の財政は、ことし赤字に転落した。これらの国は国債を発行して、赤字を埋めている。お金持ち国でさえこの有様だから、その他の弱小国はもっと大変だ。内乱状態のイラクなどは、収入が減ったうえに国債を発行することもできなくなっている。

世界最大の需要国である中国の経済不振で、原油の需要は当分伸びそうにない。ただIEA(国際エネルギー機関)が指摘しているように、生産面でも価格の低迷が続いて新規投資が減退している。したがって、これから20年にかけて価格は緩やかに回復するというのが常識的な見方になってくる。ただし、その間にOPECとアメリカ・シェール業界のどちらかが音をあげれば、状況は変わってくるが。

      ≪18日の日経平均 = 上げ +18.55円≫

      ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ


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下げ止まった? 住宅価格 / 中国
2015-11-20-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 14か月ぶりに値上がり = 中国の住宅価格が、ようやく下げ止まった。国家統計局の発表によると、主要70都市を対象にした10月の新築住宅価格は前年比0.1%の上昇だった。不動産バブルの崩壊で住宅価格は下げ続けており、前年比が上昇に転じたのは昨年8月以来14か月ぶり。ただ地方の都市では大量の売れ残り物件があって、このまま住宅価格が上昇軌道に乗るかはきわめて疑問だ。

全国70都市のうち、前年比で上昇したのは16都市だけ。下落した都市は54にのぼっている。ただ住宅不況がピークだったことし2月は、70都市のすべてで下落を記録した。それに比べれば、状況はかなり改善したと言えるだろう。ただ値上がりは大都市に集中しており、一部では投機が再燃しているようにも見受けられる。たとえば深圳市の価格は、前年比40%も上昇した。

中国では2つのバブルが崩壊、その後遺症に悩んでいる。1つはマンションを中心とした不動産バブル。もう1つは、鉄鋼やセメントを中心とする生産設備バブルだ。このうちの住宅バブルは、なんとか最悪期を脱しつつあるように思われる。しかし過剰な生産設備の廃棄は、遅々として進まないのが現状だ。中国の成長率を鈍化させている最大の原因でもある。

仮に中国の住宅に対する需要が大きく盛り上がれば、鉄鋼やセメントなどの需給関係にも好影響を与えるだろう。だが現状では、そうした好循環を期待できそうにはない。たとえば1-10月間の新規住宅着工面積は、昨年同期より15%も少ない。これから来年にかけて、こうした面でも改善がみられるか。もう少し観察を続ける必要がある。

      ≪19日の日経平均 = 上げ +210.63円≫

      ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ


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サタデー自習室 -- 軽減税率のすべて ③
2015-11-21-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 自公民3党が導入で合意 = ヨーロッパ諸国に遅れること約20年。日本は1989年に初めて消費税を導入した。そのときの税率は3%。軽減税率は見送られたが、その代わりに医療や教育を非課税にしている。その後97年に、税率は5%に引き上げられた。そして2012年、当時は与党だった民主党と野党の自民・公明の3党が「社会保障・税の一体改革」で合意する。

その内容は、消費税を14年4月に8%、さらに17年4月に10%へと2段階で引き上げる。これによる増収分は、医療や年金、介護などの社会保障費に充てる。また低所得者対策として、生活必需品の税率を低くする軽減税率の導入を検討する、というもの。特に公明党は、このときから軽減税率の実施を強硬に主張している。いま自民党と公明党の間で“線引き”について、激論が戦わされているのはこのためだ。

3党合意の際に、公表された試算がある。消費税を5%から10%に引き上げると、税収は14兆円増える。それを基礎年金に10兆5000億円、子育てや医療、介護の充実、それに低所得者対策に2兆8000億円を使うという内容だ。このように消費増税による増収分は、ほとんどを社会保障費に充てなければならない。

したがって軽減税率を実施することで税収が減ってしまうと、その分はなにか他の財源で補う必要が出てくる。政府や自民党が軽減税率の適用範囲をできるだけ狭くしよう、と主張しているのはこのためだ。これに対して公明党は、適用範囲をできるだけ広くしなければ、低所得者対策としての意味がないと考えている。

                                (続きは来週サタデー)

      ≪20日の日経平均 = 上げ +20.00円≫

      【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】 


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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話 (改訂版)
2015-11-22-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第7章 銀行って、なんだろう? ⑧

◇ 見えない銀行も登場 = 古い歴史がある銀行ですが、最近はいろいろと新しい動きが出てきています。40年ほど前から大銀行が合併を繰り返して、いくつかの巨大銀行に生まれ変わったことは、もう説明しました。ところが、これらの巨大銀行よりもはるかに大きい銀行が、07年10月に誕生しました。郵便局が銀行部門だけを切り離して作った「ゆうちょ銀行」です。そのときの預金の量は176兆円。巨大銀行のトップ、三菱東京UFJ銀行は117兆円でした。

銀行の形をしていない銀行も、いくつか生まれています。たとえば、スーパーやコンビニのお店のなかにだけ機械を置いた銀行。さらには支店がぜんぜんなく、利用する人はパソコンを使って預金したり、おカネをよそに送れる銀行など。みなさんが町で探しても、これは目に見えないので見つかりませんね。

銀行の仕事の中身も、ずいぶん変わってきました。むかしは預金と貸し出しが仕事の中心でしたが、最近は投資信託の販売など証券会社がやっていた仕事も行なっています。また保険の販売も始まり、生命保険や火災保険、自動車保険なども、銀行の窓口で扱っています。

新しい形の銀行や新しい仕事は、これからも増えて行くにちがいありません。それだけ銀行を利用する人にとっては、便利になるわけです。みなさんが大人になったとき、銀行はどのように変わっているでしょうか。      
    
                             (続きは来週日曜日)
                 

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今週のポイント
2015-11-23-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 2万円台を固められるか = 日経平均は先週283円の値上がり。5週連続の上昇で、終り値は2万円を120円下回るところまできた。ことしの日経平均は4月以降、何度か2万円台に乗せているが、あと反落している。今回は2万円台に乗せて踏み固め、年末相場から新春相場へとつなげられるかどうか。

ダウ平均は先週579ドルの値上がり。前週の大幅安に対する反騰だが、個別企業の業績に鋭く反応し始めた。市場では12月の利上げが常識化しており、金融相場が業績相場へ移行しつつあるのかもしれない。とすれば今後に発表される企業の決算内容、特に将来予測の結果が株価の動きを左右することになるだろう。

ニューヨーク市場の株価がしっかりしないと、日経平均の2万円台固めも難しい。この点で心配なのは、アメリカの金利引き上げで新興国からの資金引き揚げが加速しないかどうか。アメリカの利上げはドル高・円安を促進して、日本には有利になるという見方が強い。だが新興国の経済が圧迫されれば、その利点も吹き飛んでしまう。

今週は25日に、10月の企業向けサービス価格。27日に、10月の労働力調査、求人倍率、家計調査、消費者物価。アメリカでは23日に、10月の中古住宅販売。24日に、7-9月期のGDP改定値と9月のSPケースシラー住宅価格。25日に、9月のFHFA住宅価格、新築住宅販売、11月のミシガン大学・消費者信頼感調査が発表される。なお安倍内閣は25日にTPP対策の大綱、26日に1億総活躍社会に向けた緊急対策をまとめる予定。

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ


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“攻める農業”への 本気度 : TPP対策 
2015-11-25-Wed  CATEGORY: 政治・経済
補正予算の中身に注目 = 政府はきょう25日、TPP(環太平洋経済連携協定)の発効に備えるための国内政策大綱をまとめて発表する。そのなかではインフラ・システムや放送番組の輸出促進などにも触れるが、やはり中心は農業関連。“攻める農業”と“守る農業”に分けて、対策を明記する方針だ。

このうち“攻める農業”では、まず農林水産物と食品の輸出額を、14年の実績6000億円から20年までに1兆円に増やす目標を掲げる。また農業の成長産業への転換を進めることも強調するが、そのための具体策がどの程度まで盛り込まれるか。しっかりした対策がなければ「農業の成長産業化」は、お題目に終わってしまうだろう。

一方“守る農業”の方は、かなり手厚い。まずコメについては、輸入の増加分に相当する国産米を政府が買い上げて備蓄に回す。また牛豚肉の生産者が赤字を出した場合は、国と生産者が出資した基金が赤字の9割を補てんする、などの措置が書き込まれる予定。どうも“攻める”方より“守る”方が具体的になりそうだ。

これらの対策に必要な財源は、政府が26日に決定する予定の「1億総活躍社会」関連の財源と一緒に、補正予算に計上される。その総額は3兆5000億円前後とみられるが、そのうち“攻める農業”にどのくらい使われるかは明らかでない。間もなく編成される補正予算の内容をみれば、政府の“攻める農業”に対する本気度が判るだろう。

      ≪24日の日経平均 = 上げ +45.08円≫

      ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ


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飛び出した 内部留保課税論 (上)
2015-11-26-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 自民党の中堅・若手議員から = 「儲けすぎている企業の内部留保に税金をかけろ」--こんな声が自民党のなかで急浮上している。中堅・若手議員が作った「次世代の税制を考える会」が中心になっているという。さすがに麻生財務相や甘利経済再生相は慎重な対応を見せているが、最終段階を迎えた来年度の税制改正論議にどんな影響を及ぼすのか。企業経営者の間にも、緊張感が流れ始めた。

いま企業の業績は絶好調。上場企業の経常利益でみると、15年度の合計額は34兆円を超える見通し。前年度を6.9%上回り、過去最高の水準を更新する。これまでの儲けを貯め込んだ内部留保は、ことし3月末の時点で354兆円にも達した。ところが企業は、そのおカネを使いたがらない。だから設備投資や人件費の伸びが、予想以上に鈍くなっている。

たとえば今年度上半期の日本経済は、マイナス成長に陥った。このためアベノミックスに対する評価も、このところ急速に低下してしまった。企業がもっと設備投資を増やせば、プラス成長になったはず。もっと人件費を増やせば個人消費が拡大して、景気は上向いたはず。だから使われない企業の内部留保に課税して、もっと使うように仕向けたらいい。これが課税論者の言い分である。

一見するともっともらしいが、この内部留保課税論には賛成できない。よく考えてみると、問題が多すぎる。大きな矛盾もはらんでいる。内部留保に課税することで、設備投資や人件費が増えるとは思えない。参院選を前にして景気の停滞を心配するあまり、研究不足のまま表面化してしまった主張のようである。

                               (続きは明日)

      ≪25日の日経平均 = 下げ -77.31円≫

      ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ


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飛び出した 内部留保課税論 (下)
2015-11-27-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 政策失敗の責任転嫁 = 内部留保課税には、いくつも問題がある。企業は利益を内部留保する前に法人税を支払っているから、そこに再び税金をかけることは二重課税になってしまう。明らかに税法違反であり、こんなことをしたら外国企業は日本から引き揚げてしまうだろう。

また日本の企業も貯めこんだ現金や預金を取り崩し、国債などを買い入れるかもしれない。換金性の高い債券の保有も内部留保と規定すれば、企業は海外での投資を増やすに違いない。このような流れが生じてしまった場合、政府がこれを阻止する手段はないだろう。

安倍首相は来年度の税制改正で、法人税率の引き下げを前倒しして実施するよう指示した。その一方で企業の内部留保に課税するという考え方は、いかにも矛盾している。こうした問題点について、自民党の「次世代の税制を考える会」はどのように説明するのだろうか。

企業が設備投資に慎重なのは、経済の先行き見通しが不透明すぎるからである。政府は15年度の成長率をプラス1.5%と想定したが、上半期はマイナス成長。これでは安心して設備を拡張することはできない。結果的には経済政策の失敗ということになるが、その失敗を棚にあげて企業に責任を転嫁する。これが内部留保課税論の正体だろう。

      ≪26日の日経平均 = 上げ +96.83円≫

      ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ


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サタデー自習室 -- 軽減税率のすべて ④
2015-11-28-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 経理方式の変更が必要に = 軽減税率制度が導入されると、企業は経理の方式を変えなければならない。現行は「請求書等保存方式」で、商品の売上高と仕入れ額を記入するだけ。その差額に8%を掛けた金額が、消費税の納入額になる。しかし商品によって税率が8%のものと10%のものに分かれると、そう簡単にはいかない。

たとえば帳簿や請求書を書く場合にも、商品ごとに税率が8%なのか10%なのかを記入しなければならなくなる。この方式はヨーロッパ諸国で完全に定着しており、インボイス(税額票)方式と呼ばれている。自民・公明の与党は、軽減税率を実施する際にはこのインボイス方式を導入することで合意した。

企業の側にとっては、大変に手間がかかる。コンピュータのソフトを変更したり、帳簿や伝票の形も変えなければならない。コストもかかるから、企業側はあまり乗り気ではない。また準備が、消費税を引き上げる17年4月までに間に合うかどうかも懸念されている。このため自民・公明党は、簡易版税率票の使用やみなし課税方式の採用も考慮中だ。

簡易版税率票は現在の請求書を使って、記入方法を変えるやり方。またみなし課税は、あらかじめ8%商品と10%商品の比率を見込んでおき、この比率で課税するやり方だ。ただし、この方法は20年までの経過措置とし、その後は正式なインボイス方式に切り替える。ただ、こうした経過措置をどの規模の企業に適用するかなどは、まだ決まっていない。

                                 (続きは来週サタデー)

      ≪27日の日経平均 = 下げ -60.47円≫

      【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】   


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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話 (改訂版)
2015-11-29-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第7章 銀行って、なんだろう? ⑨

◇ 銀行の数はいくつある = 日本には、いくつ銀行があるのでしょうか。その大きさや特色で分類してみましょう。まず規模が大きく支店を全国に展開しているのが都市銀行で、数は5行。なかでも特に大きい三菱UFJ、みずほ、三井住友の3行はメガバンク(巨大銀行)と呼ばれています。

東京に本店がある都市銀行に対して、地方の中核都市に本店を置き、その周辺に支店を配置して営業しているのが地方銀行です。現在その数は105行。また信託という仕事に重点を置いている銀行が信託銀行で、いま16行あります。さらに、これらに分類されないネット銀行などが13行。ほかに本店はありませんが、支店のある外国銀行も53支店にのぼります。

都市銀行にとって最大の問題は、優良な大口の借り手が少なくなってしまったことでしょう。というのも日本の大企業はだんだんおカネを貯めて、銀行から借りなくなってきたのです。そこで都市銀行は海外に投資をしたり、国債を買ったりして預金を運用するようになりました。また窓口では、お客さんに国債や投資信託を売るようになっています。

地方銀行にとって最大の問題は、過疎化で人口が少なくなってきたことでしょう。人口が減ると、銀行を利用する人も減ってしまいますね。そこで最近は、近くの地方銀行同士が合併する動きも目立っています。このように外から見るとどっしり構えているように見える銀行ですが、実態はかなり急速に変化していると言えるでしょう。

                                  (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2015-11-30-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ あと6円に迫ったが = 日経平均は先週27日、一時2万円の大台まであと6円に迫ったが押し戻されてしまった。上海市場の株価が急落したためである。安倍首相が来年度に法人税を20%台にまで引き下げる方針を発表したり、TPP(環太平洋経済連携協定)や一億総活躍社会に向けての補正予算編成が現実のものになっても、市場の反応は鈍かった。失業率が20年ぶりの低さになったが、買い材料にはなっていない。結局、週間では4円の値上がりにとどまった。

ニューヨーク市場は感謝祭の休日もあって、週間を通して低調な商い。しかもロシアとトルコの緊張、OPEC(石油輸出国機構)の産油高が増加したなどのニュースもあって、買いが手控えられた。このため連日の値幅が32ドル以内という珍しい結果となっている。ダウ平均は週間25ドルの値下がり。

アメリカでは今週4日に、11月の雇用統計が発表される。その内容が堅調であれば、FRBによる12月の利上げは決定的なものとなる。その一方では、すでに始まったクリスマス商戦の勢いに注目が集まるだろう。ニューヨーク市場が、こうした材料にどう反応するか。東京市場はイラク情勢やニューヨーク、上海の市況を見守る“受け身”の形になりそうだ。

今週は30日に、10月の鉱工業生産、商業動態統計、自動車生産台数、住宅着工戸数。1日に、7-9月期の法人企業統計と11月の新車販売台数。4日に、10月の毎月勤労統計と11月の消費動向調査。アメリカでは30日に、10月の中古住宅販売。1日に、11月の新車販売台数と11月のISM製造業景況指数。3日に、ISM非製造業景況指数。4日に、11月の雇用統計と10月の貿易統計。またEUが1日に、10月の雇用統計。2日に、11月の消費者物価。中国が1日に、製造業と非製造業のPMIを発表する。なおIMFは30日の理事会で、中国元のSDR採用を決める予定。

      ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ


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