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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
サタデー自習室 -- 金融緩和政策の限界 ④
2012-12-01-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日銀の量的緩和政策 = 日銀は金利をゼロにまで引き下げてしまったため、10年10月からは量的な金融緩和政策に転換せざるをえなくなった。そのための仕組みとして創設されたのが、資産買い入れ基金という制度。この資金を使って、市場で国債や社債を買う。その代金が市中に放出されて、流通するおカネの量が増えることになる。

設立したとき、この基金の総ワクは35兆円だった。それから何回も増額され、現在の総ワクは91兆円に達している。いちばん最近は10月30日に、11兆円の増額を決めた。日銀はこのうち10兆円で国債を、残りの1兆円でETF(上場投資信託)や社債などを買い入れることにしている。

しかし、この方法もしだいに効果が薄れてきた。たしかに日銀が国債を買えば国債の市場価格は上がり、利回りは低下する。最近の10年もの国債利回りは0.7%程度と、異常な低さになった。またカネ余りが進むという思惑から、株価も上昇する。だが肝心の景気を浮揚させる力は、きわめて弱々しい。

日銀もこの点は認識している。このため今回の増ワクに際しては、同時に貸出し増加支援基金という制度も付け加えた。これは金融機関が企業や個人に対して新たな貸出しをした場合、日銀がその分を0.1%という超低金利で金融機関に融資するという制度。しかし金融機関も優良企業もカネ余り気味。どの程度の効果があるかは少々疑わしい。


                               (続きは来週サタデー) 

    ≪30日の日経平均 = 上げ +45.13円≫

    【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2012-12-02-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第11章 国債って、なんだろう? ⑤

◇ 建設国債と赤字国債 = 前回は、利子の支払い方や元金が返済されるまでの期間、つまり償還期限によって国債が分類されることを勉強しました。きょうは、その他の分類について説明しましょう。それは国債を売って得たおカネを、国が何に使うかで分ける方法です。この分け方では、国債を建設国債と赤字国債に分類することができます。

国は道路や鉄道を造ったり、学校や病院を建てたりします。おカネがたくさん必要ですね。そのために発行する国債を建設国債と呼んでいます。これに対して、予算を組むときにどうしてもおカネが足りない。その不足分を補うために発行する国債が赤字国債です。

建設国債の場合は、結果として国民の生活をよくするための財産が残ります。しかし赤字国債は何も残りません。みなさんの家でも、自動車やテレビを買うための借金ならモノが残りますが、生活費に使ってしまった借金では何も残りませんね。同じ借金でも、使い方によってずいぶん違うと思いませんか。

いま実行されている12年度予算で、国債の発行額を見てみましょう。まず建設国債の発行予定額は5兆9000億円です。ところが赤字国債の方は38兆3400億円も発行することになっています。不況の影響で税金の収入が大きく落ち込む見通しなので、その分を埋めるために赤字国債の発行額がこんなに大きくなってしまいました。 
                  
                       
                                 (続きは来週日曜日) 

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今週のポイント
2012-12-03-Mon  CATEGORY: 政治・経済
金融相場の様相に = 東京市場に注目が集まっている。先週の日経平均は79円の値上がり。終り値の9446円は、7か月前の水準を回復した。これで11月は月間でも518円の上げ、上昇率は5.79%となった。11月はダウ平均が0.5%の下げ、上海総合も4%ほど下げており、日経平均は世界の主要20市場で最大の上昇率となっている。

為替市場でも円は対ドル、対ユーロで下落。債券市場では、10年もの国債の利回りが一時0.7%を下回った。いずれも日銀によるいっそうの金融緩和を期待した動きで、特に海外投資家の買いが目立っている。日本経済が景気後退入りした局面での、こうした株高は金融相場の様相を深めつつあると言えるだろう。

ダウ平均は先週16ドルの値上がり。11月の月間では71ドルの下落となった。クリスマス商戦は好調と伝えられるが、やはり1か月後に迫った“財政の崖”が心理的な重石になっているようだ。与野党間の交渉は進んでいるが、まだ妥協の糸口は見えていない。妥協の実質的な最終期限は21日だと言われる。

今週は3日に、7-9月期の法人企業統計と11月の新車販売台数。4日に、10月の毎月勤労統計。7日に、10月の景気動向指数が発表になる。アメリカでは3日に、11月のISM製造業景気指数と新車販売台数。5日に、11月のISM非製造業景気指数。7日に、11月の雇用統計とミシガン大学による12月の消費者信頼感指数が発表される。また6日には、EUが7-9月期のユーロ圏GDP速報を発表する予定。


    ≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ

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各党の原発政策に 異議あり! (上)
2012-12-04-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ みな“現在”から逃げている = 総選挙を前に、各政党が原発政策を公表した。ところが脱原発も卒原発も、将来ビジョンを語るだけ。政権をとったら何をするのかに、全く触れていない。国民の多くは「原発はない方がいい」と考えている。その感覚に迎合して、遠い先の脱原発を選挙スローガンに掲げているだけではないか。みな大事な“現在”から逃げているとしか思えない。

たとえば自民党は「原発再稼動の可否は3年以内に結論」「10年以内に電源構成のベストミックスを確立」と公約しているが、仮に政権をとった場合に「何をするのか」については全く触れていない。再稼動の可否を3年以内に決めたり、ベストミックスを10年以内に作ることはいい。だが安倍内閣が誕生したとき、何をやるのかが判らなければ選挙公約とは言えないのではないか。

民主党は「30年代に原発稼動ゼロを実現」とマニフェストに書いた。このため原発の新設や増設は行わないと表明している。だが、こんどの選挙で民主党政権が持続した場合に「何をやるのか」は、やはり不明だ。再稼動についても「原子力規制委員会が安全確認をしたものだけ」と記し、“現在”からは逃げている。

公明党や維新の会は原発についての姿勢がもっと曖昧で、いずれも「現在から2-3年のうちに何を実施するか」は明らかにしていない。共産党と社民党は「即時ゼロ」だから、主張そのものは明快だ。しかし原発ゼロがもたらす経済的な損失をいかに補うかの方策には、目をつむっている。
 

                                       (続きは明日)

    ≪3日の日経平均 = 上げ +12.17円≫

    ≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ

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各党の原発政策に 異議あり! (中)
2012-12-05-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 原発ゼロの損失は莫大 = いま全国にある50基の原子力発電所のうち、稼動しているのは関西電力の大飯原発3-4号機のみ。ほとんど原発ゼロに近い状態だ。このため現在の電力は、その9割方を火力発電に頼っている。その結果は、石油・石炭・LNG(液化天然ガス)などの大幅な輸入増加をもたらした。

財務省が発表した貿易統計を調べてみると、11年11月-12年10月の1年間に日本が輸入した鉱物性燃料の金額は、24兆円にのぼった。大震災前の09年11月-10年10月の実績に比べて、7兆円も増えている。これだけのおカネが電気料金やガソリン代の値上げなどを通じて、資源産出国に流出したことになる。

さらに企業の倒産、コストを引き下げるためのリストラ。消費者の倹約などを含めれば、日本経済の損失はおそらく年間15兆円にも達するのではないか。しかも燃料の輸入コストは、今後も上昇する可能性が大きい。政府が数兆円の景気対策を実施し、日銀がいくら金融を緩和しても、補填できる金額ではない。

原発の即時ゼロを主張する政党は、これだけの損失にどう対処するのか。その方法について説明するか、あるいは国民に耐乏生活を要請すべきだろう。また10-30年後の脱原発を掲げる政党は、損失の大きさを知っているから即時ゼロはムリだと考えているに違いない。だとすれば、その考え方を国民にもっと周知するべきだ。


                                       (続きは明日)

    ≪4日の日経平均 = 下げ -25.72円≫

    ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ≫ 

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各党の原発政策に 異議あり! (下)
2012-12-06-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 政治が決めること = 大震災に見舞われたあと、原発の安全性は国民の最大関心事になった。そこで原発の安全性を守るため、9月に新設されたのが原子力規制委員会だ。ところが脱原発を標榜する政党のなかには、この規制委員会を隠れ蓑にしているフシがないでもない。

たとえば民主党はマニフェストのなかで「原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ、再稼動する」と書いている。原発ゼロの経済的な損失を考えれば、再稼動は必要だ。しかし安全でないものは動かせない。だから規制委員会の結論を待つ、という姿勢である。この姿勢そのものは、決して間違っていない。

その原子力規制委員会は現在、福井県の大飯原発と敦賀原発の安全調査をしている。次は青森県の大間原発を調査する予定だという。いずれも活断層の存在が疑われる地帯だ。このうち大飯原発は稼動しているから、調査を急ぐ必要がある。しかし敦賀や大間は稼動していない。ここから推理すると、規制委員会は危なそうな原発から調査して行くのではないだろうか。

これでは安全な原発が確認されるまでに、長い時間がかかってしまう。脱原発を公約する政党は、規制委員会に対して安全度の高そうな原発から調査するよう要請するべきだ。安全性の調査は規制委員会の役割だが、再稼動をするかどうかは政治が決めなければならない。規制委員会の陰に隠れて、その決断から逃れようとする政党には政権を獲る資格がない。


    ≪5日の日経平均 = 上げ +36.38円≫

    ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ

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橋下さん、何か忘れていませんか?
2012-12-07-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 消えた議員定数の削減 = 「衆議院の議員を半分にするという話は、どうなったんだろう」「参議院も無くすとか言ってたね」「本当なら投票しようかと思ってたんだけどね」--電車のなかで、サラリーマンらしい中年の男性が話していた。どうやら、維新の会の政策綱領のことらしい。

そう言えば、橋下さんが作った政策綱領“維新八策”には、確かに「参院廃止を視野」と「衆院議員を240人に半減」と大書されていた。それが近ごろは、全く話題にものぼらない。調べてみると、維新の会が総選挙を前に作成した選挙公約には「議員定数の3-5割削減」と、小さく書いてある。しかし石原代表はもちろん、橋下代表も口にしなくなった。

維新の会は石原さんの太陽の党と合併した結果、多くの重要な問題で軌道修正を余儀なくされた。脱原発、TPP参加問題、企業献金の禁止など、その姿勢は限りなく曖昧なものに変化している。おそらく参院の廃止や衆院議席の半減も、その一環なのだろう。

要するに、大同に就くため小異を捨てたわけだ。しかし議員定数の削減は、大災害からの復興を永田町も分担する“身を切る”改革だったはず。電車のなかのサラリーマンのように、それに期待した有権者も多かったに違いない。理由も説明せずに方針転換していれば、“維新無策”になってしまうだろう。


    ≪6日の日経平均 = 上げ +76.32円≫

    ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 金融緩和政策の限界 ⑤
2012-12-08-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 微妙な政府との関係 = 自民党の安倍総裁が「日銀に建設国債をすべて買い入れさせる」とか「輪転機をぐるぐる回して、無限にお札を刷る」と発言して物議をかもしたのは、ついこの間のこと。金融緩和が進むという思惑から、円相場が下落し、株価は上昇した。だが安倍総裁のこの考え方は、金融の量的緩和とは異質のものだ。

政府は税収などで補い切れない財源の不足分を、国債の発行で賄っている。その国債を無限に発行して日銀に買い取らせば、財源はいくらでも調達できる。最初に日本政府がこの方法に頼ったのは、1877年(明治10年)に起こった西南戦争の軍費を調達するためだった。さらに昭和初期の政府も、戦費を調達するために国債を日銀に引き受けさせている。

結果は激しいインフレをもたらすことになった。この経験から現在の財政法では、日銀の国債引き受けを禁じている。だが高齢化の進展や低成長で、最近は国債を発行せざるをえない。先週も説明したように、日銀は市場からこの国債を購入することで金融の量的緩和を果たしている。資産買い入れ基金の上限を明示することで「無制限の引き受け」と区別はしているが、上限をどんどん引き上げれば区別はなくなってしまう。

ここが日銀の泣き所だ。政府に強制されても「無制限な引き受け」は絶対にしたくない。しかし日銀総裁の人事権は政府が握っている。だから真っ向からの反対は主張しにくい。政府の影響力を排除したいが、現実問題としては抵抗もしにくい。日銀にとっては、最大の悩みだと言えるだろう。


                               (続きは来週サタデー)

    ≪7日の日経平均 = 下げ -17.77円≫

    【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2012-12-09-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第11章 国債って、なんだろう? ⑥

◇ 君たちにも買える国債 = お小遣いを貯めて、国債を買ってみませんか。国債には、一般の人が買いやすいように工夫した「個人向け国債」もあります。いまは償還期限が10年で変動金利のものと、償還期限が3年か5年で固定金利のものの3種類が売り出されています。

個人向け国債は、1万円から買えることが最大の特色。これなら君たちにも買えるでしょう。銀行や証券会社あるいは郵便局で、売っています。未成年者でも親のOKがあれば、自分の名前で買うことができますよ。半年ごとに利子をもらえるほか、期限がくれば元金も戻ってくるのは他の国債と同じです。

もう1つ、借り換え国債について説明しておきましょう。建設国債にしても赤字国債にしても、国は新しく国債を発行することになりますね。ところが過去に発行した国債の償還期限がくると、国はその元金を返済するためのおカネが必要になります。そのおカネを作るために、また国債を発行する。これが借り換え国債と呼ばれる国債で、建設国債や赤字国債のような新規国債とは区別されるのです。

いまの12年度予算をみると、建設国債と赤字国債を合計した新規国債の発行予定額は44兆2400億円です。ところが12年度に発行する予定の国債は、総額では174兆2000億円となっています。その差額の大部分が、この借り換え国債なのです。この数字だけを見ても、国の借金のやりくりは大変なことがわかるでしょう。
  

                                 (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2012-12-10-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 世界的な株高だが = 先週は世界の主要な20株式市場のうち、NY、東京、上海など17市場が上昇した。ダウ平均は週間130ドルの値上がり。3週連続の上昇で、終り値の1万3155ドルは11月6日以来の高値。特に金曜日は、11月の失業率が前月より0.2ポイント低下したことを好感して買いが先行した。ただナスダックは、アップルが大幅に売られたため下落している。

日経平均も週間81円値上がりした。ニューヨーク市場で株と同時にドルが買われ、円安傾向が続いたことが大きい。東京市場はこれで4週連続の上昇。終り値の9527円は、4月26日以来の高値となった。ただニューヨークも東京も、この水準になると戻り売りが待ち構えている。1万3000ドルと9500円を固められるかどうか。

ヨーロッパの信用不安は小康状態。中国の成長率鈍化も、底入れの感じが強い。世界的な株高は、金融緩和が金融相場を形成しつつあるようにも思われる。しかし当面の障害物も多い。アメリカでは”財政の崖”がいよいよ目の前に。日本でも不況を示す経済指標が次々に現れてきそうだ。

今週は10日に、7-9月期のGDP改定値、10-12月期の法人企業景気予測調査、11月の景気ウォッチャー調査。12日に、11月の企業物価、10月の第3次産業活動指数と機械受注。14日には12月の日銀短観が発表になる。アメリカでは11日に、10月の貿易統計。13日に、11月の小売り売上高と生産者物価。14日に、工業生産と消費者物価が発表される。また中国が10日に、11月の貿易統計を発表する予定。


    ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫ 

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製造業の収縮 : 労働力調査から
2012-12-11-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 増えた女性の就業者 = 総務省が発表した10月の労働力調査によると、就業者数は6321万人で前年同月より13万人増えた。増加は11か月ぶり。失業者数は271万人で18万人減ったが、失業率は4.2%で前月と変わらなかった。特に問題となるような内容ではなかったが、たとえば10年前の数字と比べてみると日本経済の大きな流れが見えてくる。

まず2002年の就業者数は6330万人で、これは現在の人数と大きく変わっていない。ただ男女別にみると、10年前は男性が3736万人、女性が2594万人だった。ところが現在は、男性が3642万人で02年当時より94万人も減っている。その一方で女性は現在2679万人。この10年間で85万人増えている。

この間の変化を産業別に調べてみると、製造業は1202万人から1039万人へと163万人も減少した。建設業も106万人減っている。その半面、増加したのは医療・福祉や教育・学習関係など。特に医療・福祉は474万人から706万人に増えている。もうお判りだと思うが、男性就業者の多い産業が縮小し、女性就業者の多い業界が拡大したことを反映した現象だ。

製造業の収縮は不況の影響もあるが、企業が製造拠点を海外に移した“空洞化”の結果でもある。その一方で高齢化や少子化の進展で、医療や介護や教育関連の需要が増大した。製造業の縮小をこうした内需が補い、男性に代わって女性が社会に進出する姿が浮かび上がってくる。就職活動をする学生さん、こうした傾向も頭に入れておいてください。


    ≪10日の日経平均 = 上げ +6.36円≫

    ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ

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出始めた マイナスの景気指標
2012-12-12-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 景気後退入りも確定 = 景気の下降を明示する経済指標が次々と発表された。まず内閣府が発表した7-9月期のGDP改定値。年率換算の成長率はマイナス3.5%で、速報値と変わらなかった。ところが4-6月期の成長率がプラス0.3%からマイナス0.1%に改定されたため、2四半期連続のマイナス成長ということに。これで4月からの景気後退入りが確定したと考えていい。

次は内閣府と財務省が共同で実施した10-12月期の法人企業景気予測調査。大企業の景況感は前期のプラス2.2%からマイナス5.5%へと落ち込んだ。特に製造業はプラス2.5%からマイナス10.3%へ急激な低下。自動車・同付属品がマイナス51.8%へ急降下したことが大きく響いている。

さらに内閣府が発表した11月の消費動向調査。一般世帯の消費者態度指数は、前月より0.3ポイント下がって39.4に。内閣府も「弱い動きがみられる」と、基調判断を4か月ぶりに下方修正した。このほか財務省が集計した10月の経常収支は3769億円の黒字だったが、黒字の大きさは前年より29.4%も縮小している。

景気の下降はもう周知の事実だが、これだけマイナスの指標が一度に発表されるといい気持ちはしない。政府は対策として2度の補正予算を組んだが、財源がなく総額は1兆6300億円どまり。総選挙で誕生する新政権はすぐにも景気対策を打ち出さなければならないが、やはり財源が問題だ。新首相は、さっそく指導性を問われることになる。


    ≪11日の日経平均 = 下げ -8.43円≫

    ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫ 

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公共事業は 景気対策にならない (上)
2012-12-13-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 噛み合わない議論 = 景気後退の様相が濃くなってきたため、総選挙でどんな内閣が誕生しても、大型の補正予算が必要な情勢となってきた。そこで選挙戦のなかでも、公共事業の是非が大きな論争点になっている。しかし公共事業に関する候補者の認識はバラバラで、議論は噛み合わない。誤解も大手を振って通用している。

公共事業の必要性を最も主張しているのは自民党。安倍総裁は笹子トンネルの天井落下事故が起きると、さっそく「防災・減災のために大規模な公共事業が必要だ」と訴えた。たしかにインフラの老朽化に対する補修・更新の必要性は大きい。だが笹子トンネルの修理は中日本高速道路が行うのであって、公共事業ではない。安倍総裁の発言は誤解を生じかねない。

野田首相はこうした自民党の姿勢を「公共事業をバラ撒く昔の体質に戻った」と批判している。だが、その民主党も北海道など3本の新幹線建設にゴー・サインを出した。いったんは中止した八ッ場ダムの工事も復活した。どうも民主党にも公共事業をバラ撒く体質があるようで、野田首相の自民党批判も迫力に欠ける気がする。

テレビの討論番組でも公共事業の問題を取り上げていたが、景気対策としての効果をめぐる発言が多かった。しかも出席者はそれぞれ公共事業に対する認識が異なっているのに、みんな一括して公共事業として論じるため議論が噛み合わない。


                                      (続きは明日)

    ≪12日の日経平均 = 上げ +56.14円≫

    ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ

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公共事業は 景気対策にならない (下)
2012-12-14-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ かつてとは異なる環境 = 1960-70年代の高度成長期、大型の公共事業は日本経済の発展に大いに貢献した。64年に完成した東海道新幹線や69年に開通した東名高速道路は、その典型である。東京と大阪を結ぶ大動脈は経済活動の飛躍的な拡大をもたらし、その投資効果は絶大なものとなった。しかし80年代以降の公共事業は、しだいに投資効率が低下して行く。

たとえば野田政権がことし認可した北海道、北陸、九州の新幹線。合計3兆3300億円の予算を投じたが、おそらく採算をとることは難しいだろう。経済全体への波及効果が小さく、景気を浮揚させる力もない。地方の空港建設なども同様である。この種の公共事業は、昔と違って景気対策とはなりえない。

社会インフラの老朽化は急速に進む。道路や橋、上下水道や学校など。その補修・更新はぜひとも必要だ。しかし、この種の公共事業も波及効果が小さく、景気を浮揚する効果は弱い。したがってインフラ更新事業は安全の確保を目的とするもので、景気対策と考えることは止めた方がいい。

要するに景気浮揚効果の大きい公共事業は、もう存在しなくなった。インフラの老朽化対策として10兆円の予算を計上しても、そんなに使い切れない。余った予算で不要不急な工事をすれば、採算がとれないうえに将来にわたって維持費がかかる。安全のための公共事業は必要だが、それを景気対策だと主張する政治家は頭が古い。


    ≪13日の日経平均 = 上げ +161.27円≫

    ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ

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サタデー自習室 -- 金融緩和政策の限界 ⑥
2012-12-15-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ FRBの量的緩和政策 = アメリカの金融政策は、全国に12ある連邦準備銀行を束ねるFRB(連邦準備理事会)が決定する。そのFRBも政策金利をゼロ%近くにまで下げてしまったため、最近は量的緩和策に頼らざるをえない。これまでに3回の量的緩和を実施した。最初は08年秋、2回目は10年秋、そして3回目は12年9月に行われている。

緩和の方法は日銀とほぼ同じ。市場から国債などを購入することで、ドルの供給を増やす。ただ1回目と2回目は国債を中心に買い入れたが、3回目は住宅ローン担保証券だけを買う手法に切り替えた。住宅ローンの金利を下げることによって住宅に対する需要を増やし、さらに住宅価格の上昇で家計の資産が増加することを狙った政策である。

続いてFRBは今週12日にも、新たな緩和策を決めた。ゼロ金利政策を失業率が6.5%に低下するまで継続する方針に加えて、来年1月からは国債を毎月450億ドルずつ購入するというのが決定の内容。住宅ローン担保証券の400億ドルを加算すると、FRBは毎月850億ドルの証券を買い入れることになる。

ただ今回のこの決定は3回目の緩和に対する追加の措置とみられており、一般に4回目の量的緩和策とは考えられていないようだ。FRBが保有する国債はすでに1兆6600億ドル、発行総額の10.4%に達している。日銀の場合はことし6月末の時点で10.2%だったから、奇しくもほぼ同じ割合ということになる。だが今回の決定で、FRBの国債保有額はさらに増加して行く。日銀の国債買い入れ政策にも、微妙な影響がありそうだ。


                                (続きは来週サタデー)

    ≪14日の日経平均 = 下げ -5.17円≫

    【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2012-12-16-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第11章 国債って、なんだろう? ⑦

国債に頼る財政 =みなさんの家では、借金がありますか。住宅ローンなどの借金が多いと、家計のやりくりも大変ですね。国の場合も、借金が多いと大変です。その大変さを数字で表わす方法はいくつもありますが、きょうは国債依存度(いぞんど)について勉強しましょう。これはある年の予算で、収入のうちのどのくらいを国債に頼っているかを示す数字です。

戦後の日本は東京オリンピックが開かれた1964年度(昭和39年度)まで、国債を発行しませんでした。ですから国債依存度はゼロだったわけです。65年度から国債を出し始め、石油ショックのあとの79年度には、依存度が34.7%にまで上昇しています。その後は景気がよかったため国債の発行は少なくてすみ、91年度の依存度は9.5%にまで下がりました。

ところが94年度からは景気の悪化で国債の発行が急増しています。依存度は03年度に42.9%。09年度は52.5%と、とうとう50%を上回る最悪の水準に達してしまいました。いまの12年度予算では49.0%で、かろうじて50%を下回っています。

他の先進国の状況は、どうでしょうか。アメリカは11年の数字が33.0%、ドイツは10年で26.5%ですから、比較すれば低い水準です。日本はアメリカやドイツよりも、かなり高くなっていますね。国債依存度という物差しでみるかぎり、日本は世界でも借金に頼る度合いがいちばん大きいと言えるわけです。    

                                   (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2012-12-17-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 上昇基調は続くのか? = 予想通り自民党が圧勝した。すでに市場は、ある程度まで織り込み済み。安倍内閣⇒日銀への圧力⇒金融緩和という連想が働いて、先週は円相場が大きく下落した。円の対ドル相場は9か月ぶり、対ユーロ相場は8か月ぶりの安値に。この円安を土台に株価は上昇。日経平均は週間210円の値上がり。5週連騰で、終り値の9738円は4月5日以来の高値となった。

アメリカの議会は、来週からクリスマス休暇に入ってしまう。したがって、財政支出が急減する“財政の崖”を埋めるための与野党の交渉は、今週21日が最終期限となる。まだ妥協のメドが立たない。これが重荷となって、FRBの追加的な金融緩和が発表されたにもかかわらず、ダウ平均は先週20ドル値下がりした。

もし今週中に与野党の交渉が妥結すれば、アメリカ経済の見通しは一気に明るくなる。加えて日銀が今週の金融政策決定会合で一段の緩和策を決定すれば、東京市場の株価は1万円の大台を狙う条件が揃うだろう。とにかく今週はアメリカ議会の動向が、すべてを左右することになりそうだ。

今週は19日に、11月の貿易統計と10月の全産業活動指数が発表になる。それに19-20日は、日銀の金融政策決定会合。アメリカでは19日に、11月の新築住宅着工戸数。20日に、11月の中古住宅販売戸数とコンファレンスボードの消費者信頼感指数、それに7-9月期のGDP最終値が発表される。


    ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ

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寂しい外需頼みの姿 : 日銀短観
2012-12-18-Tue  CATEGORY: 政治・経済
補助金政策は大失敗 = 日銀が発表した12月の企業短期経済観測調査によると、大企業・製造業の業況判断指数はマイナス12に落ち込んだ。3か月前に比べると9ポイントの低下。大震災後の11年6月時点の調査を下回る水準にまで急降下した。輸出の減退が主な原因になっている。

業種別にみると、電気機械や一般機械、造船や重機の業況判断が一斉に低下した。EUや中国をはじめとする新興国向けの輸出不振が響いている。特に自動車産業は、3か月前のプラス19から一気にマイナス9まで転落した。輸出の減退に加えて、国内でも補助金政策の反動が大きかったためである。

3か月後の先行きについて、大企業製造業はそれほど悪い予測はしていない。来年3月の業況判断はマイナス10で、2ポイントの改善を見込んでいる。また12年度の設備投資計画も10.8増で、現状より0.6ポイントしか減退しないと考えている。これはアメリカ、中国の景気が回復すると予想しているためだ。

こうした調査の結果から言えることは2つ。まず現在の企業心理は、ほとんど外需に依存する形に傾いている。新政権が成長政策を打ち出す必要性は、ますます高まっていると言えるだろう。もう1つは、補助金政策の反動が大きすぎること。景気対策として補助金を使ったのは失敗であり、今後は止めた方がいい。


    ≪17日の日経平均 = 上げ +91.32円≫

    ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ

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安倍政権の 経済政策 (上)
2012-12-19-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ かつての公共事業では困る = 自民党の安倍新政権が26日に誕生する。この内閣は、どんな経済政策を行おうとしているのか。選挙公約や選挙戦中の発言から、①補正予算②国債発行③金融緩和④原発の再稼動⑤TPP⑥成長戦略--の6つを取り上げて考えてみた。

1)補正予算
低成長にあえぐ日本経済は、いま再び景気後退に陥っている。だから新政権の最初の仕事は、大型の補正予算を編成して景気を刺激すること。安倍総裁をはじめ自民党の幹部は、この考え方で一致している。補正の規模は未定だが、10兆円程度の財政支出が必要だと主張する人が多い。

安倍総裁はこの補正予算案を通常国会で審議、「来年1月中には成立させたい」と言っている。このため13年度予算の編成は大幅にずれ込み、5月の連休明けの成立が想定されているようだ。したがって補正予算は、本予算の遅れで生じる空白を埋める役割も持っている。

補正予算の内容は、防災・減災を目的とした公共事業が中心になるらしい。それは大変に結構なことだが、道路や橋を造り直すならともかく、補修や補強工事ではとても使い切れない金額だろう。そこで余った予算を、従来型の不要不急な公共事業に流用する。7月の参院選を控えて、こんな事例が多発しないようにしてもらいたい。


                                      (続きは明日)

    ≪18日の日経平均 = 上げ +94.13円≫

    ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ

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安倍政権の 経済政策 (中)
2012-12-20-Thu  CATEGORY: 政治・経済
2)国債発行 = 大型補正予算に関するもう1つの問題は、やはり財源の調達である。財務省によると、11年度予算の剰余金1兆2000億円、金利低下による国債利払い費の減少、12年度の税収上振れなどによって、5兆円程度の財源は調達できるという。しかし仮に10兆円の補正を組めば、残りの5兆円は国債の増発に頼らざるをえない。

国債の発行残高は、来年3月末で709兆円に達する見込みだ。歳入予算が国債に依存する度合いも50%に近い。このため民主党政権は10-12年度の3年間、災害復旧関係を除く新規の国債発行額を44兆円台に止めてきた。この節度が一気に破られてしまう。最近は外国人による国債の保有が10%を超えている。日本国債に対する信認の低下、国債価格が下落する危険はないのだろうか。

3)金融緩和 = 安倍総裁の「輪転機をぐるぐる回して日銀券を刷れ」という街頭演説は、物議をかもした。こうした過激な言動はさすがに影を潜めたが、日銀法を改正して「日銀にデフレ克服の責任を持たせる」という方向は変わっていない。国債をもっと大量に買わせる姿勢にも変化はない。

結局、日銀は資産買い入れ基金の上限を拡大して、国債の購入をさらに増やすことになるだろう。その場合は、金融の節度をどこに求めるかが重要なポイントになってくる。またカネ余りが不動産や一部の商品への投機を招き、バブルを起こす危険性もある。物価だけが上昇し、景気はよくならない。こんな最悪の事態を予防するための仕組みも、必要になってくるだろう。


                                       (続きは明日)

    ≪19日の日経平均 = 上げ +237.39円≫

    ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ

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安倍政権の 経済政策 (下)
2012-12-21-Fri  CATEGORY: 政治・経済
4)原発の再稼動 = 原子力規制委員会は来年7月に、新しい原発の安全基準を作成する。この基準をもとに全国の原発を調査し、3年以内に再稼動の可否を決める--というのが、原発に対する自民党の考え方だ。安全を第一にする姿勢はいい。だが最大3年にわたって再稼動が行われない場合、電力料金の高騰や貿易収支の大赤字が続く可能性が大きい。日本経済はそれに耐えられるのか。検証が必要だろう。

5)TPP = 自民党のTPPに対する態度は曖昧。選挙公約でも「EPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)交渉を積極的に行う」としか書いていない。だがカナダやオーストラリアとのFTA交渉をみても、日本側の農業に対する姿勢が定まらず難航している。要するに農業政策を確定しなければ、TPPはもちろんEPAもFTAもまとまらない。

自民党内で最も意見が分かれるのが、TPP問題であることは間違いない。したがって安倍新首相の手腕が問われる問題でもある。しかし来年7月の参院選を控えて、TPP参加を決断することは難しいのではないだろうか。すでにTPP協定の交渉国は、来年中に協定を結ぶと宣言した。もたもたしていると、TPP行きの列車に乗り遅れてしまう。

6)成長戦略 = 足元の景気対策に力を入れても、中長期的な成長率は上がらない。日本経済には成長要因が欠乏しているからである。だから成長戦略が重要だと言われるが、その目標が定まらない。民主党の「日本再生戦略」は、総花的にすぎて失敗した。3-5項目に絞って、その実現に全力を挙げる姿勢が望まれる。


    ≪20日の日経平均 = 下げ -121.07円≫

    ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 金融緩和政策の限界 ⑦
2012-12-22-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 市場は大歓迎のカネ余り = 日銀は20日、さらなる量的緩和を決定した。安倍次期首相の要請に応えた行動である。市場は先回りして、この決定を察知。円相場は大幅に下落、日経平均株価は1万円の大台を回復した。市場にとっては、金融緩和でおカネの供給が増えることは常に大歓迎である。

だが日銀が量的緩和を推進することで、景気が目に見えてよくなると考える人は少ない。たしかに円相場の下落で、輸出企業の採算は好転する。株価が上昇すれば、その利益の一部が消費に回るかもしれない。経済界全体の心理も明るくなるだろう。量的緩和が、この程度の景気浮揚効果を持っていることは明らかだ。

しかし金融緩和の本来の目的は、企業や個人の投資や消費を増やして景気を拡大させることにある。その意味では、日銀が量的緩和を拡大しても投資や消費を増大させる効果はあまりない。増えたおカネが実需に使われるよりも、投機資金となって市中に滞留してしまうからである。

08年にリーマン・ショックが起きる直前、世界経済はやはり金融緩和で生じた過剰流動性が大問題になっていた。原油や重要資源の国際価格が高騰し、不動産に対する投機が横行したことは記憶に新しい。財政がパンクしたため、アメリカでも日本でも金融緩和が叫ばれている。その結果がバブルの再来を招く危険性はないのか。十分に警戒する必要があるだろう。


                             (続きは来週サタデー)

    ≪21日の日経平均 = 下げ -99.27円≫

    【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2012-12-23-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第11章 国債って、なんだろう? ⑧

◇ 借金の重さを計る = 1年間に500万円の生活費が、どうしても必要な家があったとします。しかし家族の収入を合わせても400万円しかありません。仕方なく100万円は借金でまかないました。つまり必要なおカネの20%を借金に頼ったわけです。国の場合、この比率を国債依存度というのでしたね。この比率は、ある1年間に限って借金の重さを示した数字だと言うことができます。

こういう借金生活が何年も続くと、借金の総額はだんだん大きくなって行きますね。国の場合は、この借金の総額を国債発行残高(ざんだか)という数字で表わします。財務省が作った資料によると、12年度末にこの国債発行残高は709兆円にのぼる見込みです。国民1人当たりにすると、556万円の借金ということになります。

この借金の総額が、その国にとってどのくらい重荷になっているか。それを示すのによく使われるのが、国債発行残高をGDP(国内総生産)で割った比率です。その国の経済の大きさに対して、借金の総額がどのくらいあるかを表わす数字と言えるでしょう。特に各国の状態を比較するときに、使われることが多いようです。

日本のGDPに対する国債発行残高の比率は、たとえば1970年度(昭和45年度)には、わずか3.7%でした。それが毎年のように増大して、2004年度(平成16年度)にはとうとう100%を突破。13年3月末には147.8%に達する見込みとなっています。アメリカやヨーロッパの先進国も不況対策のため、国債をたくさん発行しました。でも各国のGDP比はまだ100%に達していません。


                                 (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2012-12-25-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 1万円台で越年できるか = 日経平均株価は先週203円の値上がり。これで6週間の連騰となった。特に週の前半は日銀による追加の金融緩和が確実とみられたことから大きく上昇、水曜日には9か月ぶりに1万円の大台を回復した。ところが後半は、アメリカの“財政の崖”をめぐる与野党の交渉が不調に終わったため反落している。

ダウ平均は週間56ドルの値上がり。“財政の崖”問題がクリスマス休暇前に決着しなかったことが、株価の伸びを抑えている。アメリカ議会は休暇明けの26日から折衝を再開する予定だが、共和党が予想以上に強硬なため年内の解決は困難という見方が強まっている。

このため日経平均も、1万円台で新年を迎えられるかどうかは微妙な情勢。ただ仮に1万円台を多少下回ったとしても、ことしの日経平均は年間20%の値上がりとなる。想定外の好成績だったと言える。外国人の購入意欲も強いので、年明け以降も上昇基調は持続するだろう。

今週は25日に、11月の企業向けサービス価格。27日に、11月の住宅着工戸数。28日に、11月の鉱工業生産、消費者物価、家計調査、労働力調査、商業販売統計が発表になる。そして28日は大納会。アメリカでは26日に、10月のSPケースシラー住宅価格。27日に、11月の新築住宅販売と12月のカンファレンスボード消費者信頼感指数。28日に、中古住宅販売戸数が発表になる。


    ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ

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貿易赤字に 耐えられるのか ?
2012-12-26-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ ことしは8兆円の赤字に = 財務省が発表した貿易統計によると、ことし1-11月間の貿易赤字は合計6兆2808億円となった。年間では8兆円に迫る勢いである。この赤字額は第2次石油ショック後の80年に記録した2兆6000億円の約3倍。もちろん日本経済史上、最大の赤字ということになる。

原因は輸出の鈍化に加えて、輸入が増大したこと。輸出はアメリカ向けが伸びたほかは、中国やEU向けが大幅に減少した。一方、輸入は原発の稼動停止に伴い、火力発電用の燃料輸入が急増したためである。たとえば大震災前の10年の貿易収支は、6兆6000億円の黒字だった。これに比べれば、この2年間で日本の貿易の姿は天地が逆転した形になっている。

中国やEU向けの輸出が回復するには、まだまだ時間がかかりそうだ。原発の再稼動も容易ではない。とすれば、この逆転した形は今後も続く公算が大きい。貿易の赤字は、それだけ国内の購買力が海外に流出することを意味する。したがって大問題は、この大赤字が景気の足を強く引っ張り続けることだ。

貿易赤字で企業や家計の所得が減り、それが設備投資や消費の減少につながる。第一生命経済研究所の試算によると、ことしの損失は合計は18兆5000億円になるという。景気に対するマイナス効果と考えてもいい。とすれば安倍新内閣が10兆円程度の補正予算を組んでも、とても歯が立たない。日本はほんとうに巨額の貿易赤字に耐えられるのか、真剣に考えてみる必要があるだろう。


    ≪25日の日経平均 = 上げ +140.06円≫

    ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ

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金融緩和の 効果はあるのか ?
2012-12-27-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 不可解な物価2%目標 = 日銀は先週、ことし5回目となる量的金融緩和の拡大策を決定した。資産買い入れ基金の上限を10兆円引き上げ、101兆円にする。同時に安倍首相の要請を受け入れる形で、来年1月の政策決定会合で「物価上昇率2%を金融政策の目標にする」ことを検討することになった。

日銀が10年10月に量的緩和政策を始めたとき、基金の買い入れ上限額は35兆円だった。それが3倍にも膨れ上がり、それだけ大量のおカネが銀行に流されている。ところが銀行の融資額は、それほど増えていない。企業はカネ余りのうえに、魅力的な投資先を見出せない。個人も収入が減っているうえに、将来が不安だから借り入れを躊躇している。金融を緩めても需要は伸びず、景気はよくならない。

カネ余りがさらに進むという期待から、市場では円相場が下がり、株価が上昇した。たしかに金融緩和の効果ではあるが、この市場心理は緩和を継続しないと反転してしまう。それが怖いから緩和政策を次々と拡大しているのが、いまの状態だろう。残念ながら、本質的な景気浮揚効果とは言いにくい。

物価上昇率を金融緩和の目標にするという考え方は、理解しにくい。たとえばバブルで原油や食料の国際価格が高騰したり、消費税の引き上げで物価が上がったら、どうするのだろう。それで金融政策は目標を達成したと言うのだろうか。景気がよくならずに物価が上昇すれば、困るのは年金生活者や住宅ローンの借り手である。安倍首相や日銀のこの論理は、庶民にはとうてい不可解である。


    ≪26日の日経平均 = 上げ +150.24円≫

    ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ

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アメリカは “崖”に落ちるのか ?
2012-12-28-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 深刻な“ねじれ”議会 = アメリカ議会は“財政の崖”問題を、クリスマス前に解決できなかった。休み明けの26日から交渉を再開しているが、年内の決着は困難という見方が強まっている。共和党の内部で妥協に反対する強硬論が高まっているためで、オバマ大統領も“ねじれ”議会には手を焼いているようだ。

“財政の崖”というのは、この年末で所得減税や給与税減税が期限切れで打ち切りになるほか、来年からは財政支出の強制的な削減が始まってしまうこと。予算局によると、仮に議会が何も決めないと年間5030億ドルの財政支出減少になる。その結果は成長率がマイナス0.5%に落ち込み、失業率は9.1%に跳ね上がるという。

与野党間の最大の争点は、オバマ政権が年間所得25万ドル以上の富裕層には減税を延長せず、実質的に増税する方針を打ち出した。一方、共和党は富裕層を含めたすべての人に減税。その代わりに財政支出を大幅に削減するよう主張したことから始まっている。クリスマス前の交渉で、オバマ大統領は40万ドル以上の階層に増税という妥協案を提示した。

これを受けて共和党首脳部は、100万ドル以上の階層には増税を認める譲歩案を作成した。ところが、この案は共和党内の強硬派が反対してご破算に。これで“崖”の行く方は、全く判らなくなっている。このため悲観論が台頭、株価も重い足取りになった。その半面で、たとえば1か月後に妥協が成立しても、減税措置を年初に遡って実施すれば大きな問題はないという楽観論も現れている。


    ≪27日の日経平均 = 上げ +92.62円≫

    ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 金融緩和政策の限界 ⑧
2012-12-29-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ おカネを借りない企業・個人 = 日銀の発表によると、資産買い入れ基金の総残高は12月20日時点で66兆9000億円になった。この基金を創設した10年10月からの2年2か月で、これだけの金額が銀行に注入されたことになる。12年度予算の一般会計歳出額が90兆3000億円であるのに比べれば、いかに大きな金額かが判るだろう。

ところが銀行の貸出額は、この間にほとんど増えていない。全国銀行協会の集計によると、全国117銀行の貸出し残高は11月末で423兆円。10年9月末に比べて、なんと3兆円しか増えていない。要するに、日銀が銀行から国債や社債を買い上げて67兆円の資金を供給しても、そのおカネは全く使われていないわけだ。

優良企業はもはや銀行から借り入れなくなっている。上場企業の約半数は無借金経営だ。しかも国内の生産設備は余り気味だから、借金をしてまで設備を拡張しようとする企業は少ない。借金をしたい企業は経営が不安定なところが多く、銀行は不良債権になることを恐れて貸せない。

個人も超低金利になった住宅ローンは借りる。しかし給与所得が減り続けているうえに年金などの将来展望が不確かなために、銀行からカネを借りてまで消費を増やそうとする人は少ない。だから日銀が量的緩和を拡大して大量のおカネを銀行に供給しても、おカネは銀行に滞留してしまう。


                                (続きは来週サタデー)

    ≪28日の日経平均 = 上げ +72.20円≫

    【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】  

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2012-12-30-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第11章 国債って、なんだろう? ⑨

◇ 世界一の借金大国 = 日本の財政状態は、いま急速に悪くなっています。国債発行残高のGDP(国内総生産)に対する比率は、各国がまだ100%には達していないのに、日本は来年3月末には147.8%に上昇してしまう見通しです。しかも国の借金は、国債だけに止まりません。金融機関からの借り入れや、ごく短期間の借金もあります。

財務省の発表によると、こうした分も含めた国の借金総額は来年3月末で1086兆円にのぼる見込みです。この借金総額のことを正式には政府の債務(さいむ)残高と言いますが、これを国民1人あたりにすると、なんと905万円という計算になります。

OECD(経済協力開発機構)という組織が、各国のGDPに対する政府債務残高の比率を調べました。それによると、日本の比率は来年3月末で221%にもなる見込みです。経済規模の2倍以上の借金を抱えることになるわけですね。その他の主要国の比率をみると、アメリカが108.6%、イギリスが104.2%、フランスが105.5%、ドイツが88.5%です。

いま南ヨーロッパにあるギリシャという国が、期限がきても国債を返せなくなりそうになっています。そこでヨーロッパの各国がギリシャにおカネを貸して支援していますね。でも、そんなギリシャでさえ政府債務のGDP比率は170%です。日本は世界一の借金大国だと言ってもいいでしょう。


                            
                                 (続きは来週日曜日)

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株価 = ゆく年 くる年
2012-12-31-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 目標はリーマン前の水準 = 「終わりよければ、すべてよし」という言葉は、ことしの東京株式市場にぴったりだ。日経平均は1万0395円、ことしの新高値を更新して大納会を終えた。年間の上げ幅は1940円、率にして23%の上昇である。東証1部の時価総額も45兆円増えて296兆円になった。先週はダウ平均が連日下げて253ドルの値下がりだったのに、日経平均は連日上げて455円の値上がり。こんなことも珍しい。

振り返ってみると、ことしの日経平均は1-3月に上昇、一時は1万円台を回復した。しかし4月以降はヨーロッパの信用不安が高まって反落、6月初めには8295円の安値にまで落ち込んだ。転機は野田前首相が衆院の解散を表明した11月14日。自民党の景気対策と日銀の金融緩和を見込んで、円相場が大きく反落。これが原動力となって、株価は急上昇している。

大震災直前の日経平均は1万0434円。11年の高値は1万0857円。10年の高値は1万1339円。そして08年のリーマン・ショック前の水準は1万2214円だった。これら過去の記録を抜き去れるかどうか。新年の挑戦となるわけだが、環境は必ずしも悪くはない。

まず国内では10兆円の補正予算、それに日銀によるいっそうの金融緩和が1月中の材料になる。また世界的にみて、アメリカや中国の景気は回復基調に入っている。さらに外国人投資家が日本株への関心を高めていることも、大きなプラス要因だ。アメリカで“財政の崖”問題が解決すれば、明るいムードが一気に拡散するだろう。日経平均がリーマン前の水準を取り戻す可能性は大きい。


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