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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
死者が語る コロナ肺炎の危険度 (59)
2021-05-01-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 勝者と敗者の格差が拡大 = コロナ収拾にメドがついて夏以降に経済の正常化が見込める国、いぜん感染者の増加が収まらず苦闘を続ける国。対コロナ戦争の勝者と敗者が明確となり、その差が拡大しつつある。勝者はワクチン接種が進んだ国で、いま規制の段階的な解除が始まっている。この1週間の死亡者数でみても、中国はゼロ、イスラエルは15人、イギリスは157人。アメリカも4938人で、ひところの6分の1にまで減少した。

一方、インドの死亡者数は前週比で2万0175人の増加。ブラジルは1万6690人の増加。メキシコやトルコでも死亡者は増加する傾向にある。特にインドは完全に医療体制が崩壊、感染者が1日で35万人という記録を作ってしまった。感染力が強く死亡率も高い二重変異、三重変異のウイルスに悩まされている。

世界の感染者数は累計1億5000万人、死亡者は316万人に達している。いずれもこの1週間の増加数は、前週を上回った。ということは勝者となった国での改善度よりも、敗者の国での改悪度が大きかったことを示している。新興国に十分なワクチンが行き渡らない限り、パンデミック(世界的大流行)は収まらないのだろう。

日本の感染者数は累計58万9040人、この1週間で3万5284人増えた。死亡者数は1万0217人で、とうとう1万人を超えている。前週比では388人の増加、ここ4週間は増加数が拡大した。特に関西地方ではイギリス型の変異ウイルスが猛威を振るっている。さらにインド型の変異ウイルスも上陸が確認されており、これが広がると大変だ。こんな状況をみると、残念ながら日本もコロナ戦争の敗者と言えそうだ。

       ≪30日の日経平均 = 下げ -241.34円≫

       【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】   


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中国をテコに再生 : バイデン戦略
2021-05-03-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 国内の分断を修復できるか = バイデン大統領は28日、上下両院の合同会議で就任後初めての施政方針演説を行った。コロナ対策から経済再生、地球温暖化防止から民主主義の防衛まで。話は広範な分野に及んだが、ひときわ注目を集めたのが中国への言及だった。たとえば「21世紀を勝ち抜くために、中国やその他の国と競争している」と指摘。また習近平国家主席の名前を挙げて、貿易慣行や人権問題では厳しく対応して行くと宣言した。

経済政策の柱は、8年で2兆ドルを支出するアメリカ雇用計画と、10年で1兆8000億ドルを支出するアメリカ家庭計画。また、その財源となる大企業や富裕層に対する増税だ。共和党は大反対だが、「中国との競争に勝つためには、景気の回復と貧富の格差縮小が必要だ」と言われると、矛先はやや鈍りそう。要するに政治的には分断された民主党と共和党だが、唯一の合意できる点はアンチ中国。バイデン氏は、そこへ目を付けたわけだ。

トランプ前大統領も、中国に対しては厳しく対応した。ただ、その姿勢は中国製品に対して高関税を課するなど、アメリカの力を見せつける直接対決。これに対してバイデン大統領は、同盟国を巻き込んでの中国封じ込め作戦。そこでは民主主義国対社会主義国という基本的な政治体制の対決に、持って行こうという戦略が見て取れる。言うなれば、“冷たい戦争”の再現である。

こうしたバイデン戦略が成功するかどうかは、まだ判らない。中国に対する圧力が弱ければ、効果は薄い。圧力が強すぎると、核戦争などの脅威が増大しかねない。そして何よりも重要なのは、アメリカ国内の政治・人種・地域的な分断が解消に向かうかどうかだろう。分断が続けば、同盟国の結束もままならない。就任100日を過ぎたバイデン大統領の真価が問われることになる。

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ワクチンを巡る 不可解なナゾ
2021-05-06-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ なぜ購入価格を秘密にするのか = 4月30日朝、6個の特別コンテナに積まれたワクチンが関西空港に到着した。ベルギーで製造されたモデルナ社のワクチンである。ところが不思議なことに、この日に届いたワクチンの数量、つまり何人分のワクチンなのかについては、いっさい発表されなかった。政府は「東京、大阪に防衛省が新設する大規模接種センターで使用する」と説明しただけだ。なぜなのか。

その前日の29日、厚生労働省では一部の関係者が慌てふためいていた。EUはその日、日本に対してワクチン5230万回分の輸出を承認したと発表した。しかし厚労省は事前に察知しておらず、寝耳に水。情報の確認に追われていた。ここから推理すると、政府は30日に関西空港に着いたワクチンの数量を知らなかったのではないか。だから発表できなかった?

厚労省はこれからモデルナ・ワクチンの治験を実施、田村厚労相は「5月中には承認できるかもしれない」と言っている。だが治験の結果「ダメ」を出す可能性は全くない。とにかく、その第1陣が届いてしまったのだから。それなのに、1か月先に完成する大規模センターで使うという。なぜ、その前に各自治体に配らないのだろう。

いちばん判らないのは、ファイザーやモデルナのワクチンをいくらで買ったのか、発表しないことだ。政府は「製薬会社との契約で秘密にすることになっている」と言っているようだが、購入資金は税金だ。予算のどの部分をいくら使うのか。国民は知る権利がある。最後まで秘密にしておけるはずがない。政府はワクチンについての透明性を、もっと高めるべきである。

       ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ

         
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社長さん 大変!・・・女性役員がいないと
2021-05-07-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ “モノ言う株主”が攻撃開始 = 「女性の取締役がいない会社に、総攻撃を仕掛ける」--海外の投資ファンドや資産運用会社が、こんな方針を続々と発表している。株主総会に出席して、議題を承認しない。特に社長や副社長の人事案件については、反対票を投じるのだという。最近もアメリカのステート・ストリート社やアライアンス・バーンスタイン社、あるいはイギリスのLGインベストメント社が、このような方針を公表した。

日本ではまだ、女性役員のいる会社は少ない。内閣府の調査によると、昨年7月時点で女性役員がいない東証1部の会社は918社。全体の42%を占めた。これに対して、海外諸国の比率は非常に低い。対象企業の規模にもよるが、女性役員不在の企業はゼロから数%の比率に収まっている。たとえばドイツでは、大企業に対して女性役員の存在を義務付けているほどだ。

日本でも、女性役員を増やそうという機運は高まっている。経団連は女性役員の比率を、30年までに30%まで引き上げる目標を掲げた。たとえば日立製作所は、現在10%の比率を30年には30%とすることを内外に公約している。ただし日本の企業が全体として、役員の女性比率を引き上げるのは必ずしも容易ではない。それは役員候補になりうる女性管理職の数が、まだまだ極端に少ないからだ。

日経新聞が主要100社を対象に調べたところ、女性管理職の比率は8.8%に過ぎなかった。そして女性の管理職が少ない原因は、女性の正社員が少ないことにある。だからと言って慌てて女性の採用を増やしても、その人たちが役員に育つまでには長い時間が必要だ。その一方で、モノ言う株主たちはターゲットを「女性役員が1人もいない会社」から「比率が低い会社」に拡大してくるだろう。うかうかしていると、株主総会で続投が否決されかねない。社長さん、大変ですよ!

       ≪6日の日経平均 = 上げ +518.74円≫

       ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫ 


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (60)
2021-05-08-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ インド型が東南アジアに拡散中 = 世界の感染者は1億5520万人、前週より556万人増えた。死亡者は324万1798人で、9万0655人増加している。ワクチンの接種が進んだアメリカの死亡者数は1週間で4943人の増加、イギリスは96人の増加にとどまった。その半面、インドの状況は壊滅的。感染者は1日で41万人も増え、死亡者も4000人に近い。1週間の死亡者は2万5336人にのぼっている。

そのインド型変異ウイルスが、東南アジア諸国に拡散し始めた。これまで比較的に感染が抑えられてきたネパール、タイ、カンボジアなどで、陽性者の数が急増している。このためマレーシア、インドネシア、シンガポールなどでは、最大級の警戒体制をとり始めた。東南アジア諸国はワクチンの供給も少なく、今後の推移を注視する必要がある。

日本の感染者は、7日午前0時の集計で累計62万2695人となった。前週より3万3655人の増加。死亡者は1万0625人、1週間で408人増加した。改善の兆しは見えていない。このため政府は東京・大阪・京都・兵庫に対する緊急事態宣言を31日まで延長、さらに愛知と福岡にも範囲を広げることになった。これでインド型ウイルスの拡散を防げるかどうか。

感染率が高く、ワクチンの有効性も下げるといわれるインド型の変異ウイルス。すでにアメリカは予防のため、インドからの入国を禁止に踏み切った。日本は現在、インドからの入国者に対して3日間の隔離を強制している。政府はこれを6日間の隔離に強化する方針だが、それで十分なのだろうか。どうにも手ぬるい感じは否めない。

       ≪7日の日経平均 = 上げ +26.45円≫

       【今週の日経平均予想 = 1勝1敗】     

        
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今週のポイント
2021-05-10-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ なんでも呑み込むニューヨーク市場 = ダウ平均は先週903ドルの値上がり。終り値は3万4778ドルまで上昇して、またまた史上最高値を更新した。FRBが「市場の心理が悪化すれば、株価は急落する恐れがある」と警告し、4月の雇用統計が予想を大幅に下回っても、株価は急上昇する。景気の回復が遅れれば、FRBの緩和政策は長続きすると解釈してしまう。要するに、完全なバブルの状態だ。

パウエルFRB議長は、この状態を「フロス(粒の細かい泡)だ」と表現した。だから、なかなか破れないというわけである。ここで重要なのは、FRB議長がこの状態をバブルと認定したことだろう。フロスだから、まだ株価の上昇は続くという見方。いや、FRBは緩和政策を終わらせようとしているから、バブルは間もなく終了するという見方。この2つの見方が交錯し始めたことは確かだ。

日経平均は先週545円の値上がり。緊急事態宣言の延長や範囲の拡大で、株価は上がる状態ではない。それでもニューヨークの活況に引きずられて上昇した。しかし終り値は2万9358円どまり。4月5日以来、ずっと3万円の大台に頭を抑えられている。やはりワクチン接種の遅れが、最大のマイナス要因。オリンピックの開催にも、疑問視する声が強まってきた。

今週は11日に、3月の家計調査。12日に、3月の景気動向指数。13日に、4月の景気ウオッチャー調査。アメリカでは12日に、4月の消費者物価。13日に、4月の生産者物価。14日に、4月の小売り売上高と工業生産、5月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が11日に、4月の消費者物価と生産者物価を発表する。

       ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ

           
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金融緩和時代の 終わり (上)
2021-05-11-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ カナダは縮小開始、アメリカは市場が織り込み = 世界の中央銀行は09年から大規模な金融緩和政策を続け、株価の歴史的な上昇をもたらした。だがコロナ収束後の景気急回復がみえてきたいま、各国の中央銀行は緩和政策の縮小→停止→引き締め政策への転換を考え始めている。すでにカナダは緩和政策の縮小を開始した。ニューヨーク市場は、政策転換の時期を探り始めている。また日本銀行も、実質的な縮小に踏み切ったと言えるだろう。

・カナダ = カナダ中央銀行は4月21日、国債の買い入れを減額すると発表した。これまで週40億カナダ・ドル(約3400億円)を買い入れてきたが、これを30億カナダ・ドルに減らす。さらに購入額を段階的に減らす方針だ。理由について、カナダ中銀は「コロナの収束に伴って景気の急拡大が予想されること。また最近の住宅価格高騰に対処するため」と説明している。

・アメリカ = FRBのパウエル議長は「政策転換はずっと先のことだ。なぜならコロナ収束後に景気が急回復しても、雇用が完全に回復するまでには時間がかかる。また物価が上昇するかもしれないが、それは一時的な現象だからFRBは我慢して動かない」と、現状維持の方針を繰り返し述べている。しかし市場は、必ずしも納得していない。

なにしろコロナ対策としての現金給付や外出規制などの影響で、国民の消費意欲は膨れ上がっている。そこへバイデン政権の巨大な財政支出が加わる。ワクチンの効果で社会や経済が正常化すれば、消費は爆発的に増加するだろう。すでに1-3月期のGDP成長率は6.4%に急増した。物価も3月には2.3%の上昇。今週12日に発表される4月の消費者物価は、さらに上昇幅を広げるに違いない。FRBが緩和政策の修正を迫られるのは、そう遠くないのでは。市場の大勢は、そう考え始めた。

                      (続きは明日)

       ≪10日の日経平均 = 上げ +160.52円≫

       ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ


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金融緩和時代の 終わり (下)
2021-05-12-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ EUは現状維持、日本は言行不一致 = ・EU = 4月22日の理事会で、ECB(ヨーロッパ中央銀行)は「緩和政策の継続」を決定した。景気の先行きが不安定なことを、その理由に挙げている。コロナの状況も、まだ安心できる状態ではない。ECBは現在、1兆8500億ユーロ(約240兆円)の購入ワクを設け、市場から国債などを定期的に購入している。したがって今後も当分は、この緩和政策が実行される見通しだ。

・日本 = 東京や大阪などに緊急事態宣言が発令。景気の先行きも、決して明るくない。このため日銀は政策決定会合では「緩和政策の継続」を決めている。ところが実際には、市場から買い入れる国債やETF(上場投資信託)の数量を大幅に減らしている。明らかに緩和政策の縮小だが、日銀は何も説明していない。言行不一致である。

日銀の国債保有額をみると、ことし1-3月期は3兆3000億円の減少。4月は3兆9000億円の増加となっている。償還との関係もあるが、やはり買い入れは大幅に減った。ETFについては、もっと極端だ。4月中の買い入れは1回だけ、わずか701億円にとどまった。株価が3万円に達してもう買い入れは不要と判断したのだろうが、緩和政策が大きく修正されたことは明かだ。

以上は主要な先進国の動向だが、新興国では金利を引き上げるところが続出している。4月以降、ブラジルやロシア、さらにトルコやウクライナなど11か国が利上げに踏み切った。これらの諸国は自国通貨安によるインフレの進行を抑えるために、やむなく利上げしたもの。コロナ不況のなかでの利上げだから、景気はますます悪くなる。

       ≪11日の日経平均 = 下げ -909.75円≫

       ≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ

         
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医療シミュレーションを : オリンピック
2021-05-13-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ なぜ「中止すべき」が増えているのか = 読売新聞の世論調査によると、オリンピックは「中止した方がよい」が59%で、「開催した方がよい」の39%を大きく上回った。特に緊急事態宣言が発令されている6都府県では「中止する」が64%にも達した。ここからみても判るように、中止論の理由はただ1つ。オリンピックの開催で、コロナの状況がさらに悪化しては困るという点に尽きるだろう。

オリンピック・パラリンピックで来日する選手は約1万5000人。大会関係者は4万人以上。ほかにマスコミ関係者が2万人以上やってくると見込まれている。これらの人がウイルスを運んでこないか。政府はPCR検査などの徹底、一般人との完全な隔離で、感染は防げると説明。そのために専用の診療所を設置したり、病院のベッドをあらかじめ予約したりするとも言っている。

だが、それには多数の人手が要る。たとえば医師や看護師が何人必要なのか。そこに医療関係者を配置することで、一般人向けのコロナ治療やワクチン接種に支障が出ることはないのか。また来日外国人を一般人から切り離すためには、何人ぐらいの管理者が必要なのか。こうしたシミュレーションを、ぜひやってほしいものだ。

その結果、支障がないと判れば、国民の不安はかなり解消するだろう。支障が出るのならば、中止か延期はやむをえない。こんな机上のシミュレーションさえ出来ないというなら、菅内閣の支持率はもっと下がるだろう。支障がないと言っておいて支障が出れば、内閣の総辞職は避けられない。

       ≪12日の日経平均 = 下げ -461.08円≫

       ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ

           
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こんどは 分裂の危機 / イギリス
2021-05-14-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ コロナ鎮静で独立運動が再燃 = イギリスは大揉めに揉めたあげく、EUから離脱。そのとたん、コロナに襲われ大不況。ワクチンの効果でコロナが鎮静化したら、こんどはスコットランドと北アイルランドの独立運動に脅かされることになった。下手をすると、イギリスは分裂するかもしれない。ジョンソン首相は、またしても難しい問題を抱え込んだ。

スコットランドでは5月6日の議会選挙で、イギリスからの独立を標榜する民族党と緑の党が過半数を獲得。今後2年半のうちに、独立の是非を問う住民投票を目指すことになった。住民投票の実施には中央政府の承認が必要で、ジョンソン首相は絶対反対の姿勢。これに対して民族党は裁判にも訴える構え。コロナが収束したら、独立運動を一気に展開すると公約していた。

北アイルランドでも、独立の機運が高まっている。もともと宗教の違いなどから、イングランド派とアイルランド派が激しく対立。今回のEU離脱でアイルランドとの経済関係が強まり、独立運動に拍車がかかった形となった。スコットランドでも、EU離脱に反対する住民が圧倒的に多い。このようにスコットランドでも北アイルランドでも、イギリスのEU離脱が皮肉にも独立運動を起こすきっかけとなっている。

イギリスは、イングランド・スコットランド・ウエールズ・北アイルランドの4か国による連合体。このうち人口でみると、イングランドが全体の84%を占めている。また面積では、スコットランドと北アイルランドが4割を占める。仮に独立運動が成功してスコットランドと北アイルランドが離脱すると、残るはイングランドとウエールズのみ。大英帝国の面影は、ほとんど消え去ってしまうことになる。
えええ
       ≪13日の日経平均 = 下げ -699.50円≫

       ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (61)
2021-05-15-Sat  CATEGORY: 政治・経済
パンデミックは峠を越えた?? = 新型コロナ・ウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、ようやく峠を越えつつあるのかもしれない。世界の感染者数は1億6047万人、死亡者数は333万1823人となった。1週間の増加数は感染者が527万人、死亡者が9万0025人。まだ高水準ではあるが、この2週間は増加数がわずかながら縮小した。断定はできないが、あとから振り返ると現在がピークなのかもしれない。

インドは最悪の状態が続いている。感染者は1日で41万人、死亡者は4000人を超えている。1週間の死亡者数は2万8149人に達し、増勢は全く衰えていない。ブラジルやメキシコの状態も、改善の兆しはない。にもかかわらず世界の増勢がピークアウトしたのは、アメリカやイギリスの状態が著しく好転したためである。

死亡者数をみると、アメリカは累計58万3690人。1週間の増加数は4404人で、ピーク時の5分の1以下に縮小した。あとブラジルは42万人台の死亡者、インドは25万人台、メキシコは21万人台。イギリスは12万人台だが、この1週間では71人の増加にとどまった。このほかイタリアが12万人台、ロシアが11万人台、フランスが10万人台と続いている。

日本の感染者は累計66万7558人。この1週間では4万4863人の増加だった。前週の3万3655人より大幅に増えている。死亡者は累計1万1315人、前週より690人増えた。これも前週の408人増加より、かなり拡大している。政府は緊急事態宣言の延長や追加に大わらわだが、悪化の傾向は止まらない。感染者や死亡者の人数は少ないが、世界のなかでは状況が悪化している数少ない国の一つとなっている。

       ≪14日の日経平均 = 上げ +636.46円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     


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今週のポイント
2021-05-17-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日経平均が大きく反落 = ダウ平均は先週、月-水の3日間で2070ドルも下落した。いよいよバブル崩壊かと思われたが、あとは大きく反発。終わってみれば週間396ドルの値下がりにとどまった。日経平均も火-木の3日間で1190円の下落。こちらもあと反発したが、週間では1273円の大幅な値下がりとなった。日経平均は年初来2070円ほどの上昇だから、先週は3日間でその半分以上を失ったことになる。

アメリカでは先週、長期金利が上昇。また4月の消費者物価が前年比4.2%の上昇となった。このためFRBによる金融緩和政策の停止が早まるのではないか、という観測が市場で拡散。これがダウ平均の大幅安につながった。ただFRBはこうした観測を否定、またコロナの増勢が目立って衰えたことから、株価はすぐに反発した。

日経平均の反発が弱いのは、コロナの状況が悪化しているため。企業の決算発表でも、先行きを慎重に見通す経営者が増えている。だから下げ過ぎの訂正で反発するとしても、天井は低い。またアメリカでは、金融緩和の修正見通しがくすぶり続けている。したがって、さらなる株価の反落はもうないと断定するわけにはいかない。

今週は17日に、4月の企業物価。18日に、1-3月期のGDP速報と3月の第3次産業活動指数。20日に、4月の貿易統計と3月の機械受注。21日に、4月の消費者物価。アメリカでは17日に、5月のNAHB住宅市場指数。18日に、4月の住宅着工戸数。21日に、4月の中古住宅販売。また中国が17日に、4月の小売り売上高、鉱工業生産、固定資産投資額を発表する。

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ


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株価バブルは いつ破裂する? (上)
2021-05-18-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 市場の不安はまだまだ続く = ニューヨーク市場の株価は先週、大幅に下落したあと急速に反発した。下落の主たる原因は、4月の消費者物価が予想をはるかに上回って前年比4.2%の上昇となったこと。これでFRBの金融緩和見直しが早まるだろうという観測が強まり、売りが殺到した。反発の主たる原因は、FRBがこの観測を強く否定したこと。市場の不安感が鎮まり、買い戻しの動きが活発になった。しかし市場の不安は、一掃されたわけではない。

実は4月の消費者物価が大きく上昇することは、前々から予想されていた。というのも昨年4-6月期はコロナの感染が激しく、アメリカの主要都市では人々の行動が厳しく規制されていた。このため物価は上がりにくく、たとえば昨年4月の物価上昇率は0.3%に抑制されている。このような特殊事情から、FRBも「4-6月の物価上昇は一時的。それで緩和政策を修正することはない」と、たびたび宣言していたほどである。

昨年5月の物価上昇率は、前年比0.1%。6月は0.6%だった。したがって、ことし5-6月の上昇率はやはり高くならざるをえない。だが、それにしても4月の上昇率は予想以上に高かった。5-6月はもっと上昇率が広がるだろう。さらに7月以降は景気の急拡大が見込まれ、物価も上昇する。それでもFRBは、緩和政策を維持できるのか。市場の不安は一向に払拭されない。

特殊事情は7月になると、ほぼ解消する。その7月の消費者物価は、8月に発表される。だから8月までは、現在の金融緩和政策が続けられる。市場では、こういう考え方も強い。しかし、それまでにインフレ傾向が明確に出てくれば、FRBは緩和政策の修正どころか、金融引き締めまでを視野に入れる。市場の大勢がそう考え始めれば、株価はもっと早い時点で大きな調整を余儀なくされる。それは、いつなのか。市場の関心は、この一点に集中している。

                          (続きは明日)

       ≪17日の日経平均 = 下げ -259.64円≫

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ

          
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株価バブルは いつ破裂する? (下)
2021-05-19-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 恐ろしいのはリーマン型の再発 = 物価の大幅な上昇が続くと、市場はどこかの時点でFRBの緩和政策見直しを確信するようになる。そのとき株価は調整せざるをえない。しかし底が見えないほどの大暴落にはならないだろう。過剰な投資資金を背景に、下値拾いの買い物が入るからだ。ではバブルの崩壊はないのかというと、そうではない。リーマン・ショックのような金融不安が再発すると、株価は暴落する可能性がある。

膨大な投資資金が存在するなかで景気が回復すると、少なからぬ資金がより利回りの高い物件を求め始める。その一方では資金を集めようとして、高い利回りの債券が発行される。その発行元は、信用度の低い企業ということになる。こうした債券がどんどん発行されたときに株価が大幅に下落すると、信用度の低い債券は売り叩かれる。その結果、大手の金融機関が損失を出して行き詰まると、リーマン・ショックの再現になるわけだ。

FRBもこの問題を重視し、報告書の形で警鐘を鳴らした。そのなかで「リスク投資に傾斜する市場参加者の態度が急変した場合、資産価格は急落リスクにもろく、金融システムに幅広い負担をかける」と述べている。FRBによると、いわゆるダブルB以下の低格付け債の発行は、3月だけで1230億ドル(約13兆円)にのぼった。

低格付けのローン債権を集めたローン債権も、広範に売り出されている。この状況は、リーマン・ショック直前の様相と全く同じ。著名な個人投資家も、警戒論を口にし始めた。したがって当面は、市場の大半がいつFRBの政策修正を確信するのかが焦点。そのときリスク債権の急落で、金融不安が生じるかどうか。市場にとって、心配のタネは尽きない。

       ≪18日の日経平均 = 上げ +582.01円≫

       ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ


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置いてきぼりの 日本経済 : GDP
2021-05-20-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ いちばん遅い景気の回復 = 内閣府は18日、ことし1-3月期のGDP速報を発表した。それによると、年率換算した実質成長率はマイナス5.1%。緊急事態宣言の影響などで経済活動が抑制されたことを反映して、大きく落ち込んだ。民間による事前の予想よりも、悪い結果となっている。また20年度の成長率もマイナス4.6%で、戦後最大の落ち込みを記録した。

1-3月期のGDPは、実額で年率534兆円。コロナ前の19年7-9月期に比べると4%ほど低い。その内容をみると、やはり個人消費の減退が目立っている。年率換算では5.6%の減少だった。企業の設備投資も5.5%の減少で振るわない。一方、輸出は中国などの景気回復で9.7%の増加だった。

国際的にみると、日本の立ち遅れが歴然となる。どこの国でも、1-3月期はまだワクチンの効果はそれほど出ていない。それでもアメリカは6.4%のプラス成長、GDPはコロナ前の99%を取り戻した。また中国は前期比の年率にすると2.4%のプラス成長。ユーロ圏は2.5%のマイナス成長、コロナ前よりはまだ5%低い。イギリスは6%のマイナス成長だった。

したがって、ユーロ圏とイギリスはまだ日本と同じマイナス成長組。ところが4-6月期の見通しとなると、これらのヨーロッパ諸国はみなプラス成長に改善する。これに対して、日本は4-6月期もマイナス成長が続くという観測が強い。原因はワクチン接種なのか、政府のコロナ対策なのか、あるいは潜在成長力の低下なのか。詳細に検討してみる必要があるだろう。

       ≪19日の日経平均 = 下げ -362.39円≫

       ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ


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“異常”なのは マスコミ : 審議会のあり方
2021-05-21-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 頑張ったコロナ専門家会議 = 菅首相は先週14日夜、「緊急事態宣言に北海道、岡山、広島の3道県を追加する」と発表した。政府の原案は「岡山、広島など5県に、まん延防止等重点措置を適用する」というものだったが、夕方の専門家会議で内容が弱すぎると批判が続出。西村経済再生相がいったん会議を抜け出して菅首相と協議、専門家会議の主張を受け入れた。政府の原案を専門家会議が蹴ったことは、かつてなかった。このため多くの新聞やテレビが「異常な出来事」と論評した。

この専門家会議の正式な名称は、基本的対処方針分科会。主として医療専門家で構成されており、政府が招集した一種の審議会だ。審議会は各省庁がいくつも設置しており、たとえば総務省は14、内閣府は21の審議会を持っている。よく知られているのは財務省の財政制度審議会や経産省の産業構造審議会。各省庁は法律や条例の制定時などに審議会を開催するが、ここでも政府側の原案がひっくり返されることはまずない。

なぜかというと、役所側はまず主要な委員に対して根回しをしておく。なかに異論を唱える委員があっても、多数決や議長の裁定で反対意見を抑えてしまうからだ。これが審議会の実態だと言えるだろう。こうした実態を踏まえれば、今回のコロナ専門家会議の“反抗”は、正しい審議会のあり方を示した正常な行動だった。

審議会が各官庁の原案を覆すことは、ほとんどありえない。こうした異常な実態に、マスコミ側も慣れてしまった。だからコロナ対策という最重要な問題で、専門家会議が政府の原案を否定したことに驚いてしまった。それは“異常な”事態だと認識したマスコミの方が異常だったと言いたい。これを機に、各種の審議会も正常化するといい。

       ≪20日の日経平均 = 上げ +53.80円≫

       ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (62)
2021-05-22-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ パンデミックは小康状態に = 新型コロナ・ウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、小康状態になった。日本時間21日時点で、世界の感染者数は1億4692万人、死亡者数は341万7982人。この1週間で感染者は445万人、死亡者は8万6159人増えている。ただ、この増加数は過去4週間にわたって確実に縮小した。たとえば4週間前に比べると、感染者は133万人、死亡者は7000人減少している。もちろん安心はまだ出来ないが、好ましい兆候であることは間違いない。

この1週間の死亡者数でみると、インドが2万8149人、ブラジルが1万3715人で、ともに前週をやや上回っている。しかしアメリカ・イギリス・イタリア・ロシアなどの各国は、すべて前週を下回った。特にアメリカは4404人でピーク時の6分の1に。イギリスは55人にまで減少。さらにスペインも360人にまで縮小した。インドとブラジルはまだ高水準だが、その他の国は落ち着きを取り戻したと言えるだろう。

日本の感染者数は70万5935人で、ついに70万人を突破した。この1週間の増加数は3万8377人。死亡者数は累計1万2079人、前週より763人増加した。感染者も死亡者も過去6週間、じりじりと増加している。その数は相対的に少ないが、世界のなかではインドやブラジルと同じ“増加組”になってしまった。

ワクチン接種の遅れが、最大の原因。だが政府の対策に問題があったことも否定は出来ない。北海道・岡山・広島に対する緊急事態宣言の発令も、専門家会議の突き上げによって決まった。東京・大阪などに対する緊急事態宣言も、今月末に解除できる可能性はほとんどない。オリンピックを強行して医療体制の崩壊を招く心配は、ほんとうに皆無なのだろうか。

       ≪21日の日経平均 = 上げ +219.58円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     


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今週のポイント
2021-05-24-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 下値抵抗線が強い株価 = ビットコインなどの仮想通貨が大暴落し、FRBが緩和政策の終了時期に言及し始めた。これで株価は、上へは昇れない。だが下がっても、すぐに買いが入る。先週は日米ともに、こんな展開になった。ダウ平均は週間174ドルの値下がり。3万4000ドルが下値抵抗線となった。日経平均は233円の値上がり。こちらは2万8000円が抵抗線になっている。

仮想通貨の値崩れは、激烈だった。代表的なビットコインは1日で30%も値下がりし、4月の高値の半分になっている。株式市場は、これを仮想通貨バブルの崩壊と受け取った。市場にとってもっと衝撃的だったのは、FRBの姿勢が変化したこと。4月の政策決定会合では、多くの委員が「緩和政策の終了時期について、いつかは議論すべきだ」と主張したことが明らかになった。市場は「FRBが緩和終了についての封印を解き、地ならしを始めた」と受け取っている。

仮想通貨のバブル崩壊は、中国政府が金融機関に対して取り扱いを禁止したことがきっかけ。インド政府も同様の措置をとると推測されており、影響は尾を引きそうだ。FRBによる緩和政策の終了も、今後はその影を濃くして行く。したがって、株価の上値抵抗線は強くなって行くだろう。上にも下にも動きにくい傾向は、まだ当分続きそうだ。

今週は26日に、4月の企業向けサービス価格。28日に、4月の労働力調査。アメリカでは25日に、3月のFHFA住宅価格、4月の新築住宅販売、5月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。27日に、1-3月期のGDP改定値、4月の中古住宅販売が発表される。

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ


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難解! 3月期決算の読み方
2021-05-25-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ ソフトバンクの巨大利益が波紋 = 超金融緩和時代が終わりに近づき、株価は企業の決算をより重視せざるをえなくなった。そんなとき東証1部上場会社の3月期決算がほぼ出そろい、SMBC日興証券が集計している。それによると、1329社の純利益は前期比28.1%の増加。内訳では製造業が35.6%の増益、非製造業も20.8%の増益だった。コロナ不況にもかかわらず、非常に好調な業績であり「結構、結構」と言えるだろう。

だが非製造業に属するある1社を除くと、様相は一変する。非製造業全体の純利益は、前期比36.3%の減益に急降下。要するに製造業は好調だが、コロナの影響で非製造業は絶不調という現状を反映した結果となる。非製造業が大幅な減益となるため、1329社全体の利益も2.6%の減少となってしまう。「結構」どころの話ではない。

その1社とは、ソフトバンク・グループ。なんと4兆9879億円の純利益を計上した。トヨタの利益は2兆2452億円だったから、その2倍以上の利益を上げたことになる。ソフトバンクの巨大利益は、その大半が海外での投資会社の株高による含み益。したがって、これまでのところでは日本経済の成長に全く貢献していない。

これまで株価は、中央銀行による超金融緩和政策を頼りに上昇してきた。だが今後はもっと企業業績を土台にしなければならないだろう。そこでは株価と利益の関係、たとえばPER(株価利益率)などの指標が重視される。ところがソフトバンクを含めると、PERが低く出過ぎてしまう。テレビで専門家は「SB抜きの数字」を使って解説するのだろうか。

       ≪24日の日経平均 = 上げ +46.78円≫

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ


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「日本へは行かないで」 ・・・ 米国務省が勧告
2021-05-26-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ オリンピックは風前の灯? = 恐れていたニュースが飛び込んできた。アメリカ国務省は24日、国民に対して「日本への渡航は中止してほしい」と勧告した。これはCDC(疾病センター)が「日本のコロナ感染状態は最悪。ワクチン接種を受けた人でも、変異型ウイルスに感染する危険がある」と判定したことを受けた措置。この勧告に強制力はないが、影響力はきわめて大きい。オリンピックは、どうなるのだろう。

アメリカのオリンピック委員会は、ただちに「安全な大会に参加できると確信している」という声明を発表。日本でも丸川担当相が「必要な渡航を禁止したわけではない」と発言した。しかし国務省の勧告は「不要不急の旅行を止めろ」と言っているのではない。すべての国民に「渡航するな」と呼びかけている。要は関係者が「オリンピックは例外だ」と、考えるかどうかだろう。

もっと大きいのは、ヨーロッパ諸国や新興国がアメリカのこの勧告に追随する可能性だ。多くの国で「渡航中止」が勧告されれば、影響は格段に増大する。なかには明確に「参加を止める」と表明する国が出てくるかもしれない。そして、こうした多くの国が、日本のコロナ感染状態がどうなるかを注視している。

こうしたなか菅内閣は、9都道府県に発令中の緊急事態宣言を6月20日まで延長する方針。その時はオリンピックの1か月前。そこで宣言を解除できなければ、世の中は大混乱に陥るだろう。それでもまだ「オリンピックはやる」と言い続ければ、主催国の日本は世界の物笑いになる危険性さえ漂い始めた。

       ≪25日の日経平均 = 上げ +189.37円≫

       ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ


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電力供給が ピンチ : 7-8月
2021-05-27-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 石炭火力発電所の休廃止で = 「ことしの夏は、電力需給がひっ迫する」--経済産業省が正式に見通しを発表した。それによると、電力の需給にどれだけ余裕があるかを示す予備率は、北海道と沖縄を除き7月は3.7%、8月は3.8%に落ち込む。安定的な電力の供給には最低3%の予備率が必要だから、ギリギリの水準にまで低下することになる。最大の原因は、多くの電力会社が非効率な火力発電設備を休廃止しつつあることだ。

経産省によると、沖縄を除く火力発電能力は20年度が1億2000万㌔㍗。それが21年度には、877万㌔㍗減少して1億1123万㌔㍗になる。原発8基分にも相当するから、かなりの削減だ。電力各社は旧式の火力発電は効率が悪くコスト高なこと、加えて二酸化炭素の排出量が多く国際的に批判されていることから、休廃止に踏み切っている。

経産省は今月中に対応策を作成するという。だが効果のある対策を考えられるのだろうか。原発の稼働は増えない。太陽光や風力などの再生可能エネルギーは伸び悩み。従来ならば手っ取り早い火力発電に頼ったろうが、今回はそうもいかない。というのも。つい最近のG7(主要7か国)環境相会議で、日本は「30年度までに非効率な火力発電の9割を廃棄する」と公約したばかりだからだ。

考えられる対策は、電力各社が情報を共有して融通できる体制を強化することぐらい。あとは消費者に節電をお願することになるのだろう。日本がこんなに追い詰められたのも、政府がこれまでエネルギー計画を作成できず、時間を無駄にしてきたからに他ならない。猛暑が続けば停電もありうる大ピンチ。「オリンピックのテレビ観戦も、ご遠慮ください」ということにならないか。大いに心配である。

       ≪26日の日経平均 = 上げ +88.21円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ


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ケータイ値下がり ・・・ 喜ばない日銀
2021-05-28-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 1年で6割も安くなった不思議 = 総務省は25日、世界6都市の携帯電話料金を比較する形で発表した。ことし3月時点の調査。データ容量が20ギガ・バイトの場合、東京は月2973円。デュッセルドルフ、ニューヨーク、ソウル、パリより安く、6都市のなかではロンドンに次いで下から2番目だった。昨年は8175円だったので、1年で6割以上も値下がりしたことになる。消費者にとっては、嬉しいニュースだったに違いない。

携帯電話料金の値下げは、菅首相が総務相時代から追求してきた目標。だから首相の功績だと言っていい。しかし、それにしても予想以上に値下がりした。最近にない快挙だと言えるだろう。もっと他にも値下げできるものはないのか。各閣僚は目を皿にして、次の目標を見付け出してもらいたいものだ。

携帯電話の大幅な値下がりは、消費者物価の引き下げにも貢献する。国民はみな喜んでいるが、なかで苦い顔をしているのは日銀の黒田総裁だろう。というのも、日銀が目標としている“物価の2%上昇”がますます遠のいてしまうからだ。ここで大いなる疑問は、国民が望まない物価の上昇を、なぜ日銀は目指すのかということ。

物価が2%ほど上昇するような景気の回復。これを待望するのは判る。しかし、それを金融政策の目標として掲げるのは、いかがなものか。ゼロ金利政策によって、国民が失った利子収入の大きさは計りしれない。その結果、消費が伸び悩み景気が回復しない。経済学者はいまこそ、ゼロ金利政策の功罪を厳しく論ずべきではないのか。ケータイ料金から、こんなことまで考えてしまった。

       ≪27日の日経平均 = 下げ -93.18円≫

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (63)
2021-05-29-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 効果てきめんのワクチン接種 = ワクチン接種の効果が、はっきりと表れてきた。世界の感染者数は1億6842万人、前週比で350万人の増加。死亡者数は347万8557人、8万0575人の増加だった。感染者、死亡者ともに、4週間連続で縮小している。死亡者数でみると、アメリカはこの1週間で4000人の増加。ブラジルやインドは高水準のまま横ばいだが、ヨーロッパの主要国は明白に減少した。

優等生のイギリスは、この1週間の死亡者が54人に減少している。イタリアやフランス、スペインの死亡者も、1週間の増加数は1000人を割った。ドイツはまだ1000人強だが、目に見えて改善している。このため、これらの国では段階的に規制が解除されており、大半の地域で店舗外の営業が解禁され、博物館や美術館も正常化された。

NHKの集計によると、1回以上のワクチン接種者が人口に占める割合は、イギリスが56%、アメリカが49%。またドイツが42%、スペインが37%、フランスが35%などとなっている。アメリカやヨーロッパ諸国で接種が進み、その効果が確実に現われてきたと言えるだろう。ヨーロッパの状態が改善されていることから、為替の面でもユーロ相場が大幅に上昇している。

日本の状況は、まだ夜明け前。感染者数は累計73万5498人。前週より2万9563人増えた。死亡者は1万2759人で、前週比681人の増加。感染者、死亡者とも7週間ぶりに縮小はしたが、まだ減り方は鈍い。このため政府は東京・大阪などに発令されている緊急事態宣言を6月20日まで延長した。いま日本のワクチン接種率は6%程度。あと3週間で、接種率をどこまで高められるかが勝負となってくる。

       ≪28日の日経平均 = 上げ +600.40円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     


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今週のポイント
2021-05-31-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ インフレ懸念が縮小して株高 = ダウ平均は先週322ドルの値上がり。終り値は2週間ぶりに3万4500ドル台に乗せた。雇用の改善が予想を下回り、FRBによる緩和政策の修正が遠のいたという観測。それにも増して株価を押し上げる材料となったのは、やはりコロナの鎮静化で景気の先行き見通しが好転していること。それに伴うインフレの心配は、それほど大きくないという見方さえ広まって、投資家を安心させた。

日経平均も先週は832円の値上がり。終り値はこちらも2週間ぶりに2万9000円台に乗せた。東京・大阪などに発令中の緊急事態宣言が再延長されるなど、コロナの状況はいぜん芳しくない。企業業績の先行き見通しも、慎重になっている。にもかかわらず続伸したのは、ニューヨークの活況に引きずられたため。形のうえでは、3万円の大台回復を目指すところまできた。

アメリカ経済の先行きは、明るさを増している。したがってダウ平均が史上最高値を更新する可能性は、決して小さくない。しかし高値警戒も強まっており、一気に上昇というわけにはいかないだろう。ダウが足踏みすれば、日経平均も足取りは重くなる。今週はニューヨーク市場でさらにバブル・モードが高まるか、それとも利益確定売りが強まるか。そこが焦点になるだろう。

今週は31日に、4月の鉱工業生産と商業動態統計、5月の消費動向調査と住宅着工戸数。1日に、1-3月期の法人企業統計と5月の新車販売。4日に、4月の家計調査。アメリカでは1日に、5月のISM製造業景況指数。3日に、5月の非製造業景況指数。4日に、5月の雇用統計。また中国が31日に、5月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

       ≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ

          
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