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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
今週のポイント
2009-06-01-Mon  CATEGORY: 政治・経済
寒流と暖流が入り混じる経済状況のなかで、先週は株価が健闘した。日経平均は297円の上げ。約7か月ぶりに9500円台を回復。3月10日に付けたバブル崩壊後の安値から35%の上昇となった。週末には悪化した雇用と改善した生産の統計が発表されて一時は戸惑ったが、結局は買い優勢で終っている。

ニューヨーク市場もダウ平均は223ドルの上昇。3か月連続の上げ相場で終った。あちらもGMの倒産という歴史的な大事件を控えながら、株価は1-3月期のGDPが上方修正されたことなどによく反応した。市場では6月1日に公表されるGMの破産法適用は完全に織り込んだ様子。話題はGMに代わってダウ平均に採用される銘柄は何か、に移っているようだ。

今週も上げ基調が続くのかどうか。答えを出すのはむずかしい。というのも日米ともに予測が困難な要件を抱えているからだ。まず日本の場合は円相場。いま1ドル=95円に接近しているが、これが94円台に突入すると株価には売り圧力がかかるだろう。

またアメリカの場合は、国債の大量発行による長期金利の上昇傾向。この傾向が続けば、株価は抑えられる。ほかに今週は1日に日本の、また2日にはアメリカの5月の新車販売。5日にはアメリカの5月の雇用統計が発表になる。失業率は前月比0.3ポイント上昇して9.2%になると予測されているが、株価はどう反応するか。

    ≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ

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生産の回復は 超 V字型 !
2009-06-02-Tue  CATEGORY: 政治・経済
経済産業省の発表によると、4月の鉱工業生産は前月比で5.2%増加した。この増加率は53年3月以来56年ぶりの大きさ。しかも5月の予測は前月比8.8%増加、6月も2.7%の増加と、生産はV字型に回復する見通しである。経産省も生産動向の基調判断を、前月の「停滞」から「持ち直しの動き」に上方修正した。

4月の生産が増加したのは、輸出の底入れと在庫調整の進展が原因。18業種のうち12業種の生産が増加、減少は4業種にとどまった。なかでも電子部品・デバイスは15.7%増と大幅な伸び。輸送用機械も7.0%増加している。品目別では、乗用車や鉄道車両などの生産増加が大きかった。

出荷が2.3%増加する一方で、在庫は2.7%減少した。在庫の減少は4か月連続、前年比でも7.2%減少している。1か月前の予測では、4月の生産は4.3%増だったのが5.2%増となり、さらに5月は記録的な大幅増加になるという。この結果は、4-6月期のGDP予測値も引き上げることになるだろう。

いまの日本経済にとっては、願ってもない好ましい形である。だが、あまりにも急速な生産の回復には、心配も付きまとう。というのは、国内の需要が伸びているとは思われないからだ。輸出の改善だけでは、生産がこれほど増加することはない。在庫調整の影響が大だとすれば、生産は遠からずカベに突き当たる。内需の増加が、すべてのポイントだ。

    ≪1日の日経平均 = 上げ +155.25円≫

    ≪2日の日経平均は? 予想 =上げ

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新車販売は ゆるーい上り坂
2009-06-03-Wed  CATEGORY: 政治・経済
日本自動車販売協会連合会の集計によると、5月の新車販売台数(軽自動車を除く)は17万8503台だった。前年同月の実績に比べると19.4%の減少。これで前年比の減少は10か月続いている。ただ、その減少率は3月の31.5%減、4月の28.6%減からは縮小した。

ブランド別では、レクサスが16.4%増加したほかはすべて減少。トヨタは23.7%、日産は12.9%、ホンダも6.1%の減少だった。ハイブリッド車の売れ行きは好調と伝えられるが、販売全体を押し上げるような力にはまだなっていない。

一方、軽自動車の方は下り坂。全国軽自動車協会連合会の集計によると、5月の販売台数は11万3540台だった。前年比は18.4%の減少。こちらは3月の11.0%減、4月の13.4%減から、減少率が拡大している。このうち乗用車も19.4%の減少で、4月の14.4%減から拡大した。もしかすると、ハイブリッド車に食われたのかもしれない。

登録車と軽自動車を合計した5月の販売台数は29万2043台。前年比は19.0%の減少だった。この減少率は3月の25.3%減、4月の23.0%減よりはやや改善している。全体として、国内の新車販売はゆるい上り坂を走っているようだ。政府の減税策やエコカー支援策は、5月のデータからみる限り、あまり効果を現してはいない。

    ≪2日の日経平均 = 上げ +26.56円≫

    ≪3日の日経平均は? 予想 = 下げ

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残業料の減少も 止まったが・・・ (上)
2009-06-04-Thu  CATEGORY: 政治・経済
厚生労働省が発表した4月分の勤労統計によると、製造業の所定外労働時間が7か月ぶりに前月比で増加した。従業員が5人以上の事業所を対象に調べたもので、所定外労働時間数は9.1時間。前月より0.2時間増えた。前年同月比では45.3%の減少だが、前月の48.9%減よりはやや改善している。

卸・小売業やサービス業なども含めた全産業ベースでみると、所定外労働時間は9.2時間。前年比では19.7%の減少だが、これも前月の22.7%減よりは改善した。しかし水準そのものは、まだきわめて低い。たとえば製造業の時間数は、好況だった05年の6割にも満たない。

所定外労働時間には臨時の呼び出し手当なども含まれるが、そのほとんどは残業時間と考えていい。メーカーの生産調整で、特に製造業の残業時間は昨年11月から極端に縮小した。それが生産の底入れを反映して、ようやく下げ止まったわけだ。

残業時間が増えれば、所定外給与、つまり残業料も増えることになる。4月の残業料は製造業で1人当たり1万8555円。前年比では44.1%の減少だった。また全産業では1万6649円、前年比18.8%の減少となっている。そこで問題は、今後も残業時間が増えて、残業料も順調に回復して行くかどうかである。

                                     (続きは明日)

    ≪3日の日経平均 = 上げ +37.36円≫

    ≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ

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残業料の減少も 止まったが・・・ (下)
2009-06-05-Fri  CATEGORY: 政治・経済
鉱工業生産は3月から前月比でプラスに転じ、4月は5.2%の増加となった。製造業の残業時間増加は、この生産の持ち直しと全く符合している。いま各メーカーは生産を増やすときに、新たな人員はできるだけ増やさない。既存の従業員の勤務時間を増やす、つまり残業の増加で対処しようとしているわけだ。

経済産業省の予測調査によると、5月の生産は8.8%の増加。さらに6月も2.7%の増加が見込まれている。したがって5-6月には、さらに残業時間が増えると期待していいだろう。だが、その先の見通しは不透明だ。欧米各国の景気動向からみて、輸出が急速に増加する可能性は低い。国内の需要が一気に上向く兆しもない。

残業時間がある程度まで増えると、メーカーは新規の雇用増加に踏み切ることになる。そこまで行けば雇用情勢も好転して、景気も本格的な回復に向かう。だが残業時間がそのレベルにまで達するのかどうか。4-6月の生産はV字型の増加になるが、7月以降はその反動で再び調整期に入る可能性もなくはない。

生産増→残業増の好ましい行程が、秋ごろまで続けばいい。だが息切れしてしまうと、そのときは内需の拡大政策に頼るしかない。またまた追加補正予算の議論が、にぎやかに展開されるだろう。総選挙をギリギリまで引き延ばすと、そんな環境のなかでの選挙戦になるかもしれない。

    ≪4日の日経平均 = 下げ -72.71円≫

    ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 日本の中小企業 ⑥
2009-06-06-Sat  CATEGORY: 政治・経済
6) 北海道>福岡県 = 北海道が福岡県を上回る。と言っても面積のことではない。中小企業の会社数である。06年の統計では、北海道の中小企業数は16万6000社。福岡県のそれは15万3000社だった。全国でみると、北海道の社数は7番目、福岡県は8番目となる。

全国でいちばん多いのは、やはり東京都で49万9000社。次いで大阪府の31万6000社。3位以下は愛知県、神奈川県、埼玉県、兵庫県と続く。中小企業のうちの小規模企業をとってみても、この順位は変わらない。中小企業の数は大企業を含めた全体の99.7%を占めているから、当然ながら企業全体でみた社数の順位も変わらない。

常用雇用者の数でみても、1位から4位までは変わらない。しかし5位には北海道が顔を出す。もっとも小規模企業だけをとってみると、5位は埼玉県で北海道は6位に。ちなみに大企業を含めた全企業ベースでは、東京、大阪、愛知、神奈川、福岡、埼玉、北海道の順になる。

中小企業の数が全国で最も少ないのは鳥取県で1万9300社。次いでお隣りの島根県が2万7800社となっている。大企業を含めた全企業ベースでも同じだ。ただ両県のために断っておくが、企業の数は少なくても1人当たりの県民所得はそれほど低くない。全国ランキングで、いつも30位台に入っている。

                               (続きは来週サタデー)

    ≪5日の日経平均 = 上げ +99.05円≫

    【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】 

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2009-06-07-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第14章 国際収支って、なんだろう? ⑩

いまから41年前の1968年(昭和43年)は、川端康成が日本人初のノーベル文学賞を受賞。セ・リーグでは王貞治が初の首位打者、長島茂雄が打点王を獲得した年でした。日本の国際収支にとっても、この年は記念すべき年となりました。なぜなら日本の国際収支は、この年から大幅な黒字を積み重ねることになったからです。

その前の年、1967年度の国際収支は5億ドルの赤字でした。それが68年度は16億ドルの黒字になり、それから日本の国際収支は黒字基調を続けています。外貨準備も68年末には29億ドルしかありませんでしたが、70年末には252億ドルに増えています。

日本は国際収支の赤字や外貨準備の大きさを心配しなくても済むようになったのです。その結果、経済は急速に拡大しました。世界の奇跡(きせき)と言われた日本の高度成長が、実現できたのもこのためです。原動力になったのは、輸出の急増でした。日本製の商品の品質がとてもよくなったために、アメリカをはじめ世界中への輸出が大幅に拡大したのです。

その後、日本の国際収支は大きな嵐(あらし)に3回、出会っています。最初は円の為替(かわせ)相場が切り上げられたこと。つまり円高で、この嵐の余波はまだ続いています。次は原油の値段が大幅に上がった石油ショック。そして3つ目の嵐は、いま世界中に吹き荒れている大不況だと言えるでしょう。

                                 (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2009-06-08-Mon  CATEGORY: 政治・経済
いまの景気は底入れから、回復への第一歩を踏み出そうとしている段階にある。こうした局面では、必ずいい指標と悪い指標が混在する。日米ともに似たような局面だが、日本の方が生産の急回復を受けて少し元気が出てきた。株価はその辺の空気を敏感に感じ取り、いまは少しずつ水準を切り上げている。

今週は8日に5月の景気ウォッチャー調査、9日には4月の景気動向調査。10日は5月の企業物価、11日には1-3月期GDPの改定値、12日には5月の消費者態度指数が発表になる。企業物価を除けば、おそらく上向きの結果が出るだろう。

アメリカでは、10日に4月の貿易収支、11日には5月の小売り高。12日にはミシガン大学の6月・消費者信頼感指数が発表される。また8日はストレステストで資本不足と判定された大手金融10社の資本増強策が公表される。市場がこれをどう評価するかは、なかなか微妙だ。

ほかに今週は中国の指標がずらっと発表になる。11日に5月の固定投資実績と貿易収支。12日には5月の小売り高と鉱工業生産。中国の景気回復が順調に続いているのかどうかを占うことができる。最後に国内に戻って麻生首相。10日に温暖化ガスの中期削減目標を決定する。産業界の要求を容れるのか、国際的な評価を重視するのか。

    ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ

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CO2 削減目標決定のトリック (上)
2009-06-09-Tue  CATEGORY: 政治・経済
スーパーで桃の大売出しをしている。右端に並べられた桃は、大きくてみずみずしいが値段はとても高い。左端の桃は小さくて古そうだが、値段は安い。よく見ると、高いものから安いものまで6種類が並んでいる。さて、どの桃がいちばん売れるだろうか。

麻生首相は10日、温暖化ガス削減の中期目標を決定する。首相の目前に並べられた桃は6種類。政府の検討委員会が選定した。2020年の削減目標は、90年比でプラス4%、プラス1%-マイナス5%、マイナス7%、マイナス8-17%、マイナス15%、それにマイナス25%の6案。このうちプラス4%なら、割と楽に実現できる。だがマイナス25%にもなると、政府も企業も一般の国民も相当な負担を強いられることになる。

経団連はいち早くプラス4%案を支持。同じ財界団体でも、経済同友会はマイナス7%案に賛同している。また環境問題に強い関心を持つ人たちは、当然ながらマイナス25%案。公明党や関東知事会は、15%削減案を主張した。閣僚の間でも、意見は一致していない。

こうしたなかで、麻生首相が決断する。その桃はマイナス7%案になる可能性がきわめて高い。というよりは、初めから意中ではマイナス7%しかないと決めていた。いろいろ検討させて6個の桃を並べさせたのは、マイナス7%の桃を取り上げやすくするための工作だったのではないか。スーパーでは、高くも安くもない中央に並んだ桃がいちばん売れる。そのトリックを応用したに違いない。

                                    (続きは明日)

    ≪8日の日経平均 = 上げ +97.62円≫

    ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ

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CO2 削減目標決定のトリック (中)
2009-06-10-Wed  CATEGORY: 政治・経済
麻生首相は、もう1つの決定も下すはずだ。97年の京都議定書では、2020年のガス排出量を90年の実績比で算出していた。これを今回は05年比に変更する。これだと90年比でマイナス7%という桃は、マイナス14%と表現される。削減幅が大きく見えて恰好がいい、という理由だけからではない。その背後には、アメリカに対する配慮が見え隠れしている。

温暖化ガスの排出規制に消極的だったブッシュ政権は、京都議定書を批准できなかった。しかしオバマ民主党政権になって、アメリカの環境問題に対する姿勢は様変わりしている。すでに下院の委員会は05年比マイナス17%案を可決。最近の国連会議でアメリカは、05年比マイナス14%の削減計画を表明している。

オバマ政権の考え方は、アメリカがいったん離脱した京都議定書に復帰するのではなく、いまから全く新しいガス削減のワク組みを作ろうというものだ。このため基準年次も90年ではなく、05年に改めてしまう。麻生首相はこのアメリカの考え方に同調するわけ。しかもアメリカが国連で表明した05年比マイナス14%と、全く同じ桃を選ぼうとしている。

並べられた6個の桃の中央に位置する90年比マイナス7%案は、05年基準に換算するとぴったりマイナス14%になる。これから年末まで続く厳しい国際交渉。日本はアメリカにくっついて行きたいという麻生戦略が、ここに現われる。検討委員会が作成した6種類の桃は、そのための周到なお膳立てだったと言えるだろう。

                                    (続きは明日)

    ≪9日の日経平均 = 下げ -78.81円≫

    ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ

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CO2 削減目標決定のトリック (下)
2009-06-11-Thu  CATEGORY: 政治・経済
2020年の温暖化ガス排出量を05年に比べて15%削減するーー麻生首相は10日、日本の中期目標をこう決めた。この欄で予想した14%削減案に、1%のオマケを付けた形である。アメリカの14%削減案をわずかに上回ることで、国際的にも大きな顔ができるという発想だろう。問題は年末までに、これで各国の合意を取り付けられるかどうかだ。

ガスの削減に最も積極的なEU(ヨーロッパ連合)は、先進国全体が90年比で30%削減するよう求めている。アメリカは05年比で14%(90年比にすると7%)の削減。中国は先進国に対して90年比40%以上の削減を要求。さらにインドなどの途上国と足並みを揃えて、先進国が巨額の資金援助を行なうよう主張している。

今後の交渉がどのように展開するかは、全く不明。だが97年の京都会議とは違って、こんどは最大のガス排出国であるアメリカと中国が積極的な姿勢をみせている。その半面、日本のガス削減は遅々として進んでおらず、07年度の排出量は13億7400万トン。90年比では9.0%の増加になってしまった。これで15%削減を本当に達成できるかが、次の大問題である。

達成するためには、20年までに工場などの産業部門は10%の削減。事務所・商店は21%、家庭も25%の削減が必要だ。一世帯当たり年間7万円以上の負担増になるという。この負担を国民にどう納得してもらうのか。また家庭や商店のガス削減に、国がどのような支援措置を講ずるのか。政府は国内でも、十分に説明する責任がある。

    ≪10日の日経平均 = 上げ +204.67円≫

    ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ

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株価は10000円を回復 : さて、そのあとは?
2009-06-12-Fri  CATEGORY: 政治・経済
日経平均株価は11日の取り引き時間中に、一時10000円の大台を回復した。10000円台は昨年10月8日以来、8か月ぶりのことである。ただ大台を超えると利益確定の売りに押され、株価は戻される展開だった。市場では強気と弱気が交錯しているが、ごく近いうちに10000円の大台を固めることは間違いなさそうだ。

今週になってから発表された景気指標も、プラスとマイナスが交錯している。1-3月期のGDP改定値は前期比の年率換算でマイナス14.2%。速報値より1ポイントの上方修正となった。その主な理由は、企業の設備投資が速報値を上回ったことにある。このことは景気が1-2月を底にして、3月からは上向きになったことを再確認させたとも言えるだろう。

4月以降も生産は急上昇する予測になっている。ところが4月の機械受注は、前月比で5.4%の減少となった。受注額は22年ぶりの低水準である。この指標からみる限り、設備投資の先行きは決して強くない。国内企業物価も5月は前年比で5.4%の大幅な下げとなった。これも景気の弱さを反映している。

昨年10月からことしの2月まで、景気は記録的な落ち込みをみせた。3月からはその反動で、かなり急な回復を示している。株価はその勢いが6-7月ごろまでは続くと読んで、10000円を回復した。だが夏以降の景気には、霧がかかって読み切れない。株価はそこで迷ってもいる。霧が晴れるかどうかは個人消費しだい。霧が晴れなければ、12000円への挑戦はむずかしい。

    ≪11日の日経平均 = 下げ -10.16円≫

    ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 日本の中小企業 ⑦
2009-06-13-Sat  CATEGORY: 政治・経済
7) 3分の2に減った製造業 = 中小企業のなかでも、製造業の事業所数はこのところ大幅な減少をみせている。1995年には38万4000社あったのが、07年には25万4000社に減った。3分の2への減少である。特に従業者が4-9人の小規模企業では、この12年間に21万3000社から11万7000社へと半分近くに減った。

同じ95年から07年までの間に、全体の従業者数も742万人から589万人に減っている。従業者の数も、規模が小さいほど減少の度合いが大きい。100人以上の規模では、190万人から179万人へ減少した。これに対し、4-9人規模では127万人から71万人へと激減している。

ところが事業所数や従業者数が減少しているにもかかわらず、製造業・中小企業の出荷額はこの12年間で微増している。全体の出荷額は、157兆円から158兆円にわずかだが増加した。しかし、ここでも規模の大小による格差は大きい。従業者100人以上では60兆円から70兆円に増加。しかし4-9人規模では、12兆円から8兆7000億円に減った。

こうした数字から判ることは、製造業・小規模企業の経営が苦しい状況に置かれていること。最近の不況で、状況はもっと悪化しているに違いない。その一方で従業者数100人以上の中小企業は、予想以上に健闘している。大企業の出荷額はこの12年間に減少しているのに、このクラスの製造業・中小企業が出荷額を増やしたことは賞賛に値するだろう。

                                (続きは来週サタデー)

    ≪12日の日経平均 = 上げ +154.49円≫

    【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2009-06-14-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第14章 国際収支って、なんだろう? ⑪

最初の大嵐は1971年(昭和46年)にやってきました。それまで世界の通貨制度は固定相場制(こていそうばせい)と言って、アメリカのドルと一定の比率で結ばれていました。日本の円も1ドル=360円だったのです。ところがアメリカは国際収支に大赤字を出して、この制度が続けられなくなってしまいました。このため71年以降、世界は変動相場制(へんどうそうばせい)の時代に入ります。

その結果、円の相場は大幅に上がりました。05年4月には1ドル=79円75銭まで上昇しています。現在は95-100円ぐらいですね。円の相場が上がると輸出がしにくくなりますから、国際収支にはマイナス。でも日本はこうした円高の嵐を、なんとか乗り越えてきました。

次の大嵐は73年に起きた石油ショックでした。原油を大量に輸入している日本は、輸入代金の急激な増加に苦しみます。たとえば72年の原油輸入額は39億ドルでしたが、74年にはこれが189億ドルにはね上がっています。国中が省エネ努力をしたこともあって、日本はこの嵐もなんとかやり過ごしました。

3番目の嵐は、昨年夏から始まった世界的な大不況です。日本の輸出相手国がみな不況に落ち込んだため、日本の輸出は大幅に減少。このため、ことし1月の経常収支は1700億円の赤字となっています。世界不況の嵐はまだ続いていますが、日本の国際収支は2月以降は黒字に戻ってきました。

                                  (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2009-06-15-Mon  CATEGORY: 政治・経済
先週のダウ平均は、わずか60ドルの値幅のなかの小動きに終始した。実体経済面では5月の小売り高が前月比0.5%増と明るさも見せたが、GMの破綻で失業者がさらに増えるのではないかという不安も増大。市場はプラスとマイナスの力に挟まれて、身動きがとれなくなったようだ。週間では結局36ドル値上がりした。

これに対して、日経平均は週間367円の値上がり。8か月ぶりに回復した1万円の大台固めにも、成功しつつあるように思われる。景気指標が4月の動向調査をはじめ、5月のウォッチャー調査や消費者態度指数など、すべて好転したことにも支えられた。ここまでくると、リーマン・ショックが日米両国の経済に与えた悪影響の差が現れてきたような気もする。

今週、アメリカでは16日に5月の新築住宅着工と鉱工業生産。17日に5月の消費者物価、18日にはコンファレンスボードによる5月の景気先行指数が発表になる。このうち生産はGMやクライスラーの破綻が影響して、あまりいい数字は期待できない。住宅着工の結果に注目が集まるだろう。

国内では目立った発表がない。14日の千葉市長選挙、あるいは16日に予定される日銀総裁の会見、17日の麻生・鳩山党首討論などが話題になるだろう。また19日には新車買い替え補助金の申請受け付けが始まる。

    ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ

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ドルに歯向かう 新興4大国 (上)
2009-06-16-Tue  CATEGORY: 政治・経済
中国、インド、ロシア、ブラジル。世界不況のなかでも割合に元気がいい、新興国のビッグ・フォーだ。4国の頭文字をとって、BRICs と呼ばれる。この新興4大国が、世界の基軸通貨である米ドルへの挑戦を開始した。きょう16日からロシアのエカテリンブルクで開くBRICs首脳会議でも、この問題が取り上げられる見込み。

中国の新華社通信は5日、中国政府がIMF(国際通貨基金)の発行する債券を500億ドル(約4兆9000億円)購入すると伝えた。続いてロシアとブラジルは10日、IMF債券をそれぞれ200億ドルずつ購入すると発表した。インドも近く同様の決定を下すとみられている。

IMFは途上国に対する支援で資金不足に陥ったことから、7月ごろにIMF債を発行する方針。この債券はSDR(特別引き出し権)建てになる見通し。SDRというのは、ドルとユーロ、それに日本円と英ポンドの4通貨で構成される合成的な通貨単位。たとえばドルの相場が下がっても、ユーロや円の相場が上がるために価値の変動が小さく抑えられる。

BRICs の4か国はいずれも、外貨準備の大半をアメリカの国債などドル資産で運用している。IMF債を購入するには、このドル資産を売って資金を調達することになりそうだ。この動きは、アメリカの国債価格を引き下げて長期金利を上昇させる一方で、ドルの相場を下落させる方向に働く。アメリカ経済にはマイナスに働くほか、基軸通貨としてのドルに対する信認も低下させかねない。

                                     (続きは明日)

    ≪15日の日経平均 = 下げ -96.15円≫

    ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ

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ドルに歯向かう 新興4大国 (下)
2009-06-17-Wed  CATEGORY: 政治・経済
BRICs 4か国は、IMF債の購入は「外貨準備の運用先を多様化するため」と説明している。しかし中国の周小川・人民銀行総裁は「SDRをドルに代わる基軸通貨にしたい」という論文を発表しているし、ロシア政府高官も「今回の世界的な金融不安は、ドル基軸通貨の体制が惹き起こした」と批判した。

これに対して、アメリカ政府は冷静を装っている。オバマ大統領は「ドルに代わる基軸通貨の必要性はない」と突き放した。民間の論調も「大国意識が出ただけ」といった受け止め方が強い。その裏には、いずれの国も大量のドル資産を抱えているからドルが減価したら困るはずだ、という理屈が流れている。

ただ新興大国の4か国が、ここで姿勢を同じくしたことは重大だろう。少なくとも4国間の貿易決済には、4か国の通貨を使うことぐらいは決めるかもしれない。またSDRの構成通貨に4か国の通貨を入れろ、といった要求も出てくる可能性がある。

アメリカも、内心は穏やかではないだろう。それでなくとも財政赤字がふくれ上がり、まだ不況から抜け出せないのに長期金利が異常に上昇してきた。ドル相場も低下傾向を辿っている。そこへBRICs の抵抗は痛くないはずはない。成り行きによっては、ドル基軸通貨体制の崩壊にも繋がりかねない事件だと言えるだろう。さて、日本はどのように対応するのか。

    ≪16日の日経平均 = 下げ -286.79円≫

    ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ

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アメリカ住宅市場に 薄日が
2009-06-18-Thu  CATEGORY: 政治・経済
アメリカの住宅市場に、やっと薄日が射してきた。商務省が発表した5月の住宅着工件数は、年率換算で53万2000戸だった。4月は過去最低の45万4000戸にまで落ち込んでいたが、5月はそれより17.2%増加した。先行指数となる建築許可件数も、前月比4.0%の増加となっている。

今回の世界同時不況は、アメリカの住宅バブル崩壊から始まった。それだけに住宅市況の転落は、底が深いものとなった。新築住宅の着工件数も昨年6月から急坂を転げ落ち、ことし2月にはやや回復の兆しも現れたが、3-4月は再び減少。4月の件数は前年同月比で54.2%の谷底に突っ込んでいる。

5月の増加を地域別にみると、バブル崩壊の影響が特に大きかった西部地区で28.6%増、南部地区でも16.8%増となった。また一戸建ての建築件数が前月比で7.5%の増加。専門家の間では、こうした動きから住宅市況は底入れしたという見方も広がっている。

ただ不安がないわけではない。雇用情勢が改善されず、個人の所得が伸び悩んでいること。さらに長期金利の上昇が、住宅ローン金利にも波及してきたこと。このため住宅市場全体の好転が基調的に始まるかどうかは、6-7月の数字を見なければ判断できないという声も強い。薄日がこのまま晴れにつながるかどうか。即断はまだ早いようだ。

    ≪17日の日経平均 = 上げ +87.97円≫

    ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ

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半導体は 底入れの気配が濃厚
2009-06-19-Fri  CATEGORY: 政治・経済
日本半導体製造装置協会の発表によると、5月のBBレシオは0.66で、前月より0.22ポイント上昇した。BBレシオというのは、半導体製造装置の輸出を含めた受注額を販売額で割った3か月移動平均の数字。この数字が1を下回ると、市況の悪化を示すことになる。06年6月には1.5を超えていた。

BBレシオは昨年9月から1を割り込み、ことし3月には0.30にまで低下した。それが前月比では4月に続いて5月も上昇。改善の傾向が明らかになった。ただ内容的には、あまりいい形ではない。5月の販売額は392億円で、前月を3.2%下回った。その半面で受注額が260億円と前月より45%増えたために、BBレシオが上昇した。

受注額が増えたのは主としてアメリカからの発注が増加したためで、国内の半導体メーカーは依然として設備投資を抑制している。しかし販売額の減少にも、ようやく歯止めがかかり始めている。おそらく6月もBBレシオは上昇し、半導体業界の底入れが確認されることになるだろう。

アメリカのBBレシオは、昨年を通じて1を割り込んでいた。ことし1月は0.47で最低に。その後は上昇傾向に転じて、4月は0.65にまで回復している。5月も上昇が見込まれているが、その数字は現地時間の18日に発表される。

    ≪18日の日経平均= 下げ -137.13円≫

    ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 日本の中小企業 ⑧
2009-06-20-Sat  CATEGORY: 政治・経済
8) 大企業との格差 = 製造業のなかで大企業と中小企業を比べてみると、設備投資の面での格差が目立つ。1995年と2007年の実績を比較すると、設備投資の実額はあらゆる規模の企業で増加している。しかし伸び率でみると、ここでも規模の大きい企業ほど率が高い。その結果、1人当たりの投資額は規模の大小に応じた格差を生じることになった。

たとえば95年時点の中小企業による設備投資額は、合計4兆4000億円。これが07年には5兆円に増加している。その伸び率は15.5%。同じ期間に、大企業の投資額は6兆9000億円から8兆8000億円になっている。伸び率は28.2%と、中小企業の2倍に近い。

このため従業者1人当たりの投資額は、中小企業では107万4000円から142万円へと32%伸びた。これに対して、大企業の場合は236万4000円から337万4000円へと43%も増加している。ここで注目されるのは、中小企業のなかでも従業者99人未満の小規模企業では39%の伸び率になっていることだ。

1人当たりの投資額は、生産性の高さに直結する。同じ期間の付加価値額をみると、中小企業は65兆円から58兆円に減少した。大企業もこの間、52兆円から51兆円に微減している。特に従業者4-9人の小規模企業は、7兆3000億円から4兆3000億円に激減した。こうした面からみても、零細企業の苦しい経営状況を知ることができる。

                             (続きは来週サタデー)

    ≪19日の日経平均 = 上げ +82.54円≫

    【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】 

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2009-06-21-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第14章 国際収支って、なんだろう? ⑫

国際収支が黒字になったり赤字になったりするのは、なぜでしょうか。なにしろ世界中の国々との貿易やおカネのやりとりの結果ですから、数え切れないほどの原因が考えられます。そのうちの主なものだけを取り上げてみましょう。

まず貿易では、輸出が伸びると国際収支の黒字要因になります。その輸出は相手国の景気が良ければ、増加します。また自国の景気が悪いと、品物を外国で売ろうとする力が働き、輸出は増えるでしょう。逆に自国の景気がいいと、輸入が増えて国際収支の赤字要因になります。

自国の景気がいいときには海外へ旅行する人も増加しますから、これは赤字要因になります。また外国の不動産や株式・債券などへの投資がうまくいって、受け取る利子や配当のおカネが増えれば黒字要因になりますね。ただ、こうした貿易や資本のやりとりには、いつも円相場の水準がからんでいて、これも国際収支の結果に大きく影響するのです。

資本の取り引きには、2国間の金利水準の差も重要な役割をはたします。おカネは金利の高いところで運用する方が有利ですから、資本は高金利国の方に流れやすいのです。さらに工業製品の原材料や原油などエネルギー価格が高くなれば、日本のような輸入国の国際収支は赤字になってしまいます。

                                 (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2009-06-22-Mon  CATEGORY: 政治・経済
日米の株価は先週、そろって一服した。ダウ平均は週間260ドルの値下がり。市場関係者は一服の理由として、第一に4週連騰後の買い疲れを挙げている。また実体経済の将来に対する不安が消えないこと、さらに大手金融機関の格付け引き下げが響いたとも分析している。

アメリカの大手金融機関は先週、相次いで公的資金を返済すると発表した。ところが政府の手を離れると信用度が低下するという理由で、格付けが下がったのだという。公的資金の返済は正常化への第一歩だから、こうした理屈には疑問も多い。格付けの問題は今回の金融不安を拡大した側面もあったといわれ、今後に議論を呼ぶことにもなりそうだ。

日経平均はウォール街に引きづられた感じが強い。日米ともに、今週も一服状態を続けるのかどうか。その動きはやはり実体経済の先行き感に左右されるだろう。その意味で、今週は日本の貿易収支とアメリカの住宅販売が注目される。

国内では22日に、4-6月期の法人企業景気予測調査。24日に5月の貿易収支、26日に6月の消費者物価が発表される。またアメリカでは、23日に5月の中古住宅販売件数、24日には5月の新築住宅販売件数。25日には1-3月期GDP統計の確報、26日には5月の個人所得と消費支出が発表になる予定。

    ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ

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試される 輸出の回復力
2009-06-23-Tue  CATEGORY: 政治・経済
財務省はあす24日、5月分の貿易統計を発表する。ここで注目されるのは、輸出がどこまで回復してきたかを表す数字だろう。周知のように、日本の輸出はリーマン・ショックの直撃を受けて、昨年10月から激減。これが景気を悪化させる最大の原因となった。ことし2月を底に輸出は立ち直りつつあるが、その勢いをどこまで持続できるのか。5月の数字は、それを占うポイントになりそうだ。

ことし2月の輸出額は前年比で49.4%減と、昨年2月の半分にまで落ち込んだ。その後3月は45.5%減、4月は39.1%減と、前年比減少率を縮小してきている。このため輸出メーカーも、きびしい減産体制をやや緩和。製造業の残業時間が増加するなど、景気の面にもいい影響が現れてきた。

この調子が5月も続けば、生産の増加傾向も維持される。残業時間も増えて、やがては雇用の増加にもつながって行く。逆に輸出の前年比減少率があまり改善されなければ、こうした好循環が断ち切られてしまうかもしれない。景気の将来に対する見方も、大きく左右されることになる。

その分かれ目は、前年比減少率が35%を切るかどうか。35%を切れば、6月には減少率が20%台にまで戻ることも期待できる。仮に減少率がほとんど低下しないとなると、輸出の回復にはかなりの時間を要するという見方が強まるだろう。そのときは、いよいよ内需の拡大だけが頼みの綱になってくる。

    ≪22日の日経平均 = 上げ +40.01円≫

    ≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ

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“福は内、鬼は外” の 中国経済 (上)
2009-06-24-Wed  CATEGORY: 政治・経済
内需は絶好調、外需は絶不調ーー中国経済の奇妙なアンバランスが拡大している。国家統計局の発表によると、5月の工業生産高は前年比8.9%の増加だった。世界不況の影響を受けて1-2月は3.8%増にまで落ち込んだが、4月は7.3%増に回復。5月はさらに、それを上回った。自動車やセメントの生産が大幅に伸びている。

自動車の生産台数は114万8000台、前年比で29.0%も増加した。これは国内の新車販売が好調なため。5月の新車販売は111万9700台で、前年比は23.8%の増加となっている。セメントの増産は、建設投資や設備投資の増勢を反映したもの。1-5月の固定資産投資は前年比で32.9%も増加した。

小売り高も5月は1兆元(約14兆3000億円)に達した。前年比では15.2%の増加。4月の14.8%増を上回っている。特に家具や宝飾品、自動車などの高額商品がよかったという。資金需要も旺盛で、1-5月の銀行融資額は約5兆8000元も増加した。昨年1年間の増加額4兆9100億元を、すでに上回っている。

その一方で、輸出は激減したまま。税関総署の発表によると、5月の輸出額は888億ドルで、前年を26.4%下回った。7か月連続の減少で、これまで最大だった2月の25.7%の減少記録を更新した。このように輸出の不振が続くなかで、国内需要は順調以上の回復ぶり。このアンバランスの結末は、どうなるのだろうか。

                                     (続きは明日)

    ≪23日の日経平均 = 下げ -276.66円≫

    ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ

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“福は内、鬼は外” の 中国経済 (下)
2009-06-25-Thu  CATEGORY: 政治・経済
中国の生産や消費が活況なのは、政府による素早い景気対策が功を奏したためだ。昨年9月のリーマン・ショック後、日本や欧米諸国がまだ何も手を打てなかった11月に、中国政府は総額4兆元(約57兆円)の財政支出を決定している。さらに12月には家電購入への補助金、1月には小型車の取得税減税、3月には法人・個人減税と、対策を続けた。

だが日本やアメリカ、ヨーロッパ諸国の不況が長引いたために、輸出は回復しない。昨年の輸出額は1兆2000億ドルを超え、前年を25.7%も上回った。しかし年末からは急減、5月は26.4%の記録的な減少となっている。このため深センなどの輸出産業地帯では企業の倒産が多発、失業者も激増していると伝えられる。

昨年半ばまでの中国は、輸出産業の活況に沸いていた。その半面で内陸地帯の開発が遅れ、臨海地帯との経済格差が大問題となっていた。内陸部から臨海部に、職を求めて大量の労働者が流れ込んだ。現在はその現象が全く逆転している。内陸部は公共事業の恩恵を受けて活況を呈し、臨海部は灯が消えた。労働者はUターンしている。

世界不況が続くなかで、中国経済はまっ先に立ち直りをみせた。先進主要国が大幅なマイナス成長に陥った1-3月期、中国は6.1%のプラス成長を記録している。だが中国経済は、まだ完全に片肺飛行。頑張っている片方のエンジンも、景気対策という燃料が切れれば推力を失ってしまう。それまでに輸出が回復しなければ、中国政府は燃料を追加補給しなければならなくなるだろう。

    ≪24日の日経平均 = 上げ +40.71円≫

    ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ

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デパートでは、何が買えるのか?
2009-06-26-Fri  CATEGORY: 政治・経済
デパート業界が、大変な苦境に追い込まれている。日本百貨店協会の発表によると、5月の売上高は5112億円。前年同月に比べて12.3%の大幅な減少となった。前年割れはこれで15か月連続、2ケタの減少も4か月続いている。長引く不況に加えて新型インフルエンザの影響もあったというが、きわめて異常な状態だと言えるだろう。

品目別にみても、紳士服から食料品に至るまであらゆる部門で売上げが減少した。主力の衣料品も15.1%、化粧品も7.7%減っている。売上げがピークに達した1991年の水準に比べると、最近の販売額はその6割程度。何かがデパート業界に起っているようだ。

業界自体も必死で立て直しを図っている。この3年ほどの間に、そごう・西武、大丸・松坂屋、阪急・阪神、三越・伊勢丹と、大手の統合が相次いだ。ことしになって、三越・池袋店と伊勢丹・吉祥寺店の閉店も決まった。また最近では、商品の下取り、割引券の配布、バーゲンの前倒しなど、細かいチエもしぼっている。

だがデパート業界の再生には、もっと違った視点が必要なのではないか。専門店や大型ショッピング・センター、スーパーが発達した今日、これらと競合してもデパートに勝ち目はない。唯一の強みだったブランドの魅力も色あせた。これからのデパートは、なんでも売っている百貨店の思想を捨て、巨大な専門店に変身したらどうだろう。何が買えるのかを、もっと明確にすべきである。

    ≪25日の日経平均 = 上げ +205.76円≫

    ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ

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サタデー自習室 -- 日本の中小企業 ⑨
2009-06-27-Sat  CATEGORY: 政治・経済
9) 小売業も小規模が減少 = こんどは小売業の状態を、1991年と2007年の比較で調べてみよう。その結果は、事業所数、従業者数、販売額のすべてで、規模の小さい企業ほど衰退していることが判明する。小売業でも、大型化が進展しているわけだ。

小売業の場合、中小企業の定義は従業者50人未満。統計によると、従業者1-49人の企業の事業所数は91年で158万社だった。それが07年には122万社に減少している。特に2人以下の事業所は、85万社から50万社に減った。その半面、50人以上の大企業は、8000社から1万6000社に倍増している。

従業者数も、中小企業では603万人から590万人に減少した。2人以下の場合は、138万人から80万人に減っている。ただ10人以上の企業では従業者数が増えており、9人以下の企業の減少が著しい。大企業の従業者数は、91万人から168万人へ急増した。

販売額をみると、中小企業では110兆円から95兆円に減少した。ここでも小規模なほど減少率は大きく、2人以下の企業では15兆円から7兆円に減っている。やはり10人以上の企業では販売額も増えており、たとえば10-19人規模では21兆円から27兆円に増加した。大企業の販売額は、31兆円から38兆円に増加している。ただ、この数字からも判るように、中小企業の販売額はまだ大企業の2倍半に近い。

                               (続きは来週サタデー)

    ≪26日の日経平均 = 上げ +81.31円≫

    【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2009-06-28-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第14章 国際収支って、なんだろう? ⑬

こんどの世界不況で、日本の輸出は前年の半分近くにまで減ってしまいました。このため景気も急激に悪化したのです。そこで、いま「日本は輸出に頼りすぎていた。これからは国内の需要を増やして、景気をよくして行かなければいけない」と言われています。たしかに輸出に頼りすぎることは、止めなければいけません。

でも日本の経済にとって、輸出は重要です。みなさんもよく知っているように、日本は工業製品を作るための材料や原料、石油などのエネルギー、それに食料さえ、外国から輸入しなければ足りません。輸入するためには外国のおカネが必要ですね。その外貨をかせぐのは輸出ですから、輸出はとても大事だということになります。

外国にモノを売るためには、その商品の質が高く、値段は安いことが条件になってくるでしょう。いい商品を安く作るためには、モノを作る技術をみがくこと。また新しい商品を考え出して造るためのアイディア。もちろん、売るための努力やチエも必要です。

たとえば、いま世界中で自動車が売れなくなっています。そこで世界中の自動車メーカーは、地球の環境にもやさしいエコカーの開発に勝負をかけようとしています。日本のメーカーがこの競争に勝てば、日本車の輸出は伸びるでしょう。そういう努力の一つ一つが、結果として日本の国際収支になっていることを忘れてはなりません。

                          (国際収支って、は終わり)

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今週のポイント
2009-06-29-Mon  CATEGORY: 政治・経済
日米の株価は、先週も気迷い状態を続けた。日経平均は週間91円の上げとなったが、ダウ平均は101ドルの値下がりとなった。ただニューヨーク市場のSP500とナスダックは上昇している。今週は日米ともに重要な経済指標が次々と発表される。その内容しだいで、株式市場では強気と弱気のどちらかが優勢になるという見方が強い。

国内では、29日に5月の鉱工業生産と商業販売統計。30日には5月の労働力調査、住宅着工、家計調査、建設工事受注。1日には日銀による6月分の短観。このうち鉱工業生産は、予測では前月比8.8%と急増する見込みだが・・・。また4月に5%台に達した失業率に、頭打ちの気配が見られるか。さらに短観も改善は見込めるが、その程度は?

アメリカでは、30日にコンファレンスボードの6月・消費者信頼感指数とSPケースシラーの4月・住宅価格。1日には6月の新車販売台数、2日は6月の雇用統計が発表になる。新車販売台数は不振を続け、5月は前年比33.7%の減少だった。また失業率も5月は9.4%に達し、6月の予測値は9.6%となっている。

ウォール街は結局、強気と弱気が交錯したまま6月を終えることになりそうだ。金融不安と景気の将来に対する不安の再燃が、弱気の火種。市場関係者はこうした不安の再燃を理由に、ヘッジファンドなどの大口投資家が利益確定のため売りに回ったと分析している。したがって、もし今週の経済指標が予想を上回る内容なら、再び市場に戻ってくると期待しているようだ。

    ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ

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生産の急回復 : 怖い反動の反動 (上)
2009-06-30-Tue  CATEGORY: 政治・経済
生産の水準が急速に回復している。経済産業省の発表によると、5月の鉱工業生産は前月に比べて5.9%増加した。これで3か月連続の上昇。3-5月間の上昇率は14%に達した。まだ水準それ自体は低いが、V字型の回復と言っていい。在庫も5月は0.6%減少した。

業種別にみると、自動車を中心とする輸送機械工業の生産が24.4%増加した。また鉄鋼業が12.4%、非鉄金属工業も10.7%の増加。そのほか電子部品・デバイス工業、情報通信機械工業など16業種のうち14業種で生産が増加した。低下したのはパルプ・紙・紙加工品工業の2業種だけ。

在庫は16業種中8業種が減少、8業種が増加した。いちばん減少したのは情報通信機械工業で、12.6%の在庫減。電子部品・デバイス工業も3.1%の減少だった。逆に最も増加したのは輸送機械工業で10.7%の増加となったが、それでも前年比では40.3%の減少となっている。

生産はこの3か月間で急速な回復をみせたとはいえ、その水準自体はまだまだ低い。世界不況が本格化する前の昨年上半期の水準を100とすると、この5月の水準はまだ73でしかない。仮に3-5月間の勢いが続いたとしても、原状復帰には半年かかる計算だ。そして現実的には、そんな勢いは続きそうにない。

                                    (続きは明日)

    ≪29日の日経平均 = 下げ -93.92円≫

    ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ

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