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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
誰か教えて! 排出権への疑問(下)
2007-06-01-Fri  CATEGORY: 政治・経済
排出権を活用して温暖化ガスの放出を抑える方式は「京都メカニズム」と呼ばれる。まず各国の削減目標値を定め、各国はこれをもとに企業や家庭などの排出上限値を決める。そこで達成できない分を、達成してお釣りが生じた国や企業から排出権として買取り、帳尻を合わせることができるという仕組み。

この方式を「キャップ・アンド・トレード」方式という。たとえば上限を100と決められたA鉄鋼会社が努力して80しか排出しなかったとする。ここで生じた排出権20を、120排出してしまった電力会社が買い取って上限をクリアーするわけだ。国と国との間でも、同様のことが可能になる。この方式は判りやすい。

ところが、もう1つの方法である「ベースライン・アンド・クレジット」は理解できない。これは主として、先進国と発展途上国の取り引きに使われる。たとえば途上国の発電所が100の排出をしている。先進国が技術を供与することで、排出を70に抑えられたとしよう。この差額の30を排出権として、先進国が買えるという仕組みだ。

しかし途上国の多くは、京都議定書のワク外。だから、もともと上限の設定がない。たとえば、ある途上国がわざと旧式な火力発電所を作る。先進国が技術を供与して、排出量を半分に抑える。その分を先進国が買って、自国の目標を達成。こんなことが横行したら、世界のガス排出量はかえって増えるのでは? その危険を回避する方策は、いまのところ誰に聞いても答えがない。

    ≪1日の日経平均 =上げ≫

    【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】

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サタデー自習室ーー少子高齢社会の問題(1)
2007-06-02-Sat  CATEGORY: 政治・経済
1)少子化 + 高齢化 = 日本がいま直面している少子化と高齢化の同時進行。しかも進行のスピードは、どこの国も経験したことのない速さだ。少子化だけでも大変な問題。高齢化も大変な問題である。この2つの大問題が重なり合ってしまった日本には、どんな将来が待ち受けているのだろうか。

少子化の急速な進行。端的な数字を1つだけ。赤ちゃんが生まれる数、つまり出生数は最近のピークだった1973年(昭和48年)の209万人から、05年(平成17年)には106万人へとほぼ半減した。

高齢化の急速な進行。65歳以上の人口は1975年(昭和50年)で887万人。それが30年後の05年(平成17年)には、2567万人へと急増している。

このブログでは2-3月の毎週土曜日に「少子化の問題」を、また4-5月の土曜日には「高齢化の問題」を取り上げてきた。今月からは、この2つの問題が重なったとき、経済や社会にはどんな変化と重圧が生じるのかを考えて行く。その道筋は複雑多岐にわたるが、重要な視点は人口の問題と負担の問題に大別される。

                  (続きは来週サタデー)

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2007-06-03-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第5章 市場って、なんだろう? ①

みなさんの家の近くにも、市場があるでしょう。大きな建物のなかに何軒もの魚屋さん、八百屋さん、肉屋さんなどが並んでいますね。店の人が「さあ、安いよ。買ってらっしゃい」と、大きな声を出しています。あれが市場です。

魚屋さん同士は、お互いに競争しています。それなのに、なぜ一緒のところにお店を出しているのでしょう。答えは、たくさんのお客さんに来てもらうためです。お客さんにとっても市場に行けば、たいていの欲しいものが並んでいるので、とても便利でしょう。

ですから市場はかなり古い時代から、どこの国にもありました。日本でも1000年以上も前から存在しました。殿様が自分の町に人が集まるように、お城の近くに市場を作りました。神社やお寺も同じような目的で、市場を作りました。

市場の大きな特徴は、お客と店の人が値段について交渉できること。店の人が300円と書いてある品物を指して「250円に負けちゃうよ」と言ったら、お客が「200円なら買うよ」なんて言い返しています。みなさんも近所の市場へ行って、お店の人とお客さんのやりとりをよく聞いてみてください。

                  (続きは来週日曜日)

    ≪4日の日経平均は? 予想=上げ

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今週のポイント 
2007-06-04-Mon  CATEGORY: 政治・経済
ハイライトは6-8日にドイツ北部の保養地ハイリゲンダムで開く33回目のサミット(主要国首脳会議)。出席する8か国首脳のうち、初参加は安倍首相とサルコジ仏大統領。経済問題は地球温暖化防止とヘッジファンド規制の2つ。

温暖化防止では、ブッシュ米大統領がどこまで柔軟な姿勢を見せるかが最大の焦点。中国やインドをどうやってワク組みのなかに引き入れるかで、各国が包括的な合意に達するかどうか。この点ではロシアの態度に注目したい。

ヘッジファンドについては、国際金融体制のかく乱要因になりかねないと主張するドイツ。その規制必要論と米英日の不要論がぶつかりあう。ここでは議長のメルケル首相が、会議をどのように主導するか。

国内では6日に発表される4月の景気動向指数、8日発表の4月の機械受注が重要だ。ともに3月よりは多少の改善を見せそうだが、大きな回復は期待できそうにない。仮に3月より悪化すると、景況感は冷やされることになってしまう。

    ≪4日の日経平均 = 上げ≫

    ≪5日の日経平均は? 予想=下げ

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定率減税の全廃、その影響は?
2007-06-05-Tue  CATEGORY: 政治・経済
今月から、住民税についての定率減税も廃止となった。定率減税というのは、1999年に導入した景気対策。所得税額の20%、住民税額の15%を減税した。景気は回復したという理由で、所得税については本年1月から、そして住民税についても6月から廃止となった。

この6月には、国から地方への税源移譲も行われた。このため所得税は下がるが、その分だけ住民税が上がる。これが一緒になったので、個人の税負担がどう変わるかがきわめて判りにくい。

総務省の資料をみると、夫婦子ども2人で年収700万円のサラリーマンの場合、定率減税の廃止だけだとことしの負担増は4万1000円。ところが税源移譲も含めた別の資料をみると、6月以降の増税額は3万1660円。また1-5月に比べると、毎月9400円の増税になるという。

定率減税の廃止による税収増加は、平年度1兆3060億円にのぼる。消費税の0.6%引き上げと同じ効果だ。民間の試算によると、これで7-9月期の個人消費は0.5%減退するという。政府は「景気が回復したから定率減税を廃止した」と言う一方で「デフレからの脱却はまだ」とも発言する。どっちが本当? 大丈夫なの?

    ≪5日の日経平均 =上げ≫

    ≪6日の日経平均は? 予想=下げ

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景気回復は戦後最長64か月
2007-06-06-Wed  CATEGORY: 政治・経済
内閣府がきょう発表した4月の景気動向指数。景気の現状を表す一致指数は66.7%だった。3月の9.1%(改定値)から大幅に改善、4か月ぶりに景気判断の分かれ目となる50%を上回った。これで今回の景気回復期は64か月に達したことになる。

一致指数が大幅に改善したのは、鉱工業生産、生産財出荷、投資財出荷、小売販売額、卸売販売額の5要素が前月までのマイナスからプラスに転換したため。生産関連の好転が寄与したわけだが、4月の鉱工業生産指数は前月比0.1%の減少だった。それでも減少幅が縮小したため、景気にとってはプラスの判定となった。計算上のルールとはいえ、少々引っかかる。

先行指数は20.0%で、6か月連続の50%割れ。先行指数がこの調子なのに、一致指数が突然のように跳ね上がる点にもやや疑問が残る。もし今後も一致指数が50%を上回って推移するようなら、先行指数の意味が問われるべきだろう。

しかし一致指数が50%を超えたことで、景気の回復期間は64か月に達したことが確認された。1965年(昭和40年)10月から57か月続いた「いざなぎ景気」を大きく上回り、なお継続中ということになる。それでも回復のスピードは記録的な遅さ。したがって話題にもならないのは、さびしい限りである。

    ≪6日の日経平均 = 下げ≫

    ≪7日の日経平均は? 予想=下げ

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うらやましいユーロ圏の利上げ
2007-06-07-Thu  CATEGORY: 政治・経済
ECB(欧州中央銀行)は6日、ユーロ圏13か国に適用する政策金利を0.25%引き上げ、年4%とすることを決めた。3月に続く引き上げで、05年から8回目。4%の政策金利は、ユーロ圏にとって6年ぶりの高い水準である。

利上げにあたって、ECBは「賃金と物価の上昇圧力がなお強いため」と説明。さらに「金融政策はなお緩和的だ」と述べて、秋には追加引き上げの可能性があることを示唆している。たしかにユーロ圏の経済は、このところ予想以上に堅調だ。

たとえば1-3月期のGDP(国内総生産)成長率は、実質で前期比0.6%の増加、前年同期比では3.0%に達している。特に個人消費が好調。このため欧州委員会も最近、07年の景気見通しを上方修正し、昨年の2.7%を上回る2.9%成長という予測を出した。景気の好転で賃上げも進んでおり、消費者物価も5月は前年比1.9%上昇している。

こうした経済情勢を反映して、ユーロも独歩高の様相をみせている。きょうの東京市場でも、1ユーロ=163円台半ば。アジアの各国も、自国の外貨準備でユーロの比重を高める動きが顕著になってきている。これに引き換え、日本の経済はあまりに弱々しい。円は安い。政策金利は年0.5%にしか上げられない。日銀総裁ならずとも、ユーロ圏がうらやましくなってしまう。

    ≪7日の日経平均 = 上げ≫

    ≪8日の日経平均は? 予想=下げ

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サミット = 日本が初ゴール
2007-06-08-Fri  CATEGORY: 政治・経済
ドイツのハイリゲンダムで開催中のサミット(主要国首脳会議)。最大のテーマだった地球温暖化対策で、一応の合意に達した。内容的にはまだまだ不十分だが、仮に合意に達しなかったとしたら人類の将来は悲劇的な暗雲に覆われたにちがいない。そう考えると、今回の合意は高く評価されていい。

合意内容の骨子は①主要排出国が参加する新たなワク組みを作る②そのなかで、2050年までに温暖化ガスの排出量を少なくとも半減させるよう真剣に検討する③京都議定書で定めた排出規制の期限が切れる13年以降の対策について、09年までに国連での合意を目指す――など。

中国やインドなどに向けた参加交渉はうまく行くのか。50年に半減の基準年次が明確でない。拘束力のある規制が実現できるのか。いろいろ不明な点も多いが、これまで消極的だったアメリカを議論に引き込めたことは大成功と言ってよい。あとは各国の政府当局者が、自国の規制目標作りと国際的な連携にどんなチエを絞るかだろう。

ところで今回の合意は、日本の提案をほぼ取り入れた内容となった。5月24日に安倍首相が発表した構想とほとんど同じである。排ガス規制に積極的なEU(欧州連合)と消極的なアメリカ、それにまだ不参加の中国やインドの立場までを勘案した現実的な妥協案だった。75年に始まったサミット。今回は33回目だが、これまで日本が重要な役割を果たしたことはなかった。サミットにおける日本の初ゴールと言ってもいい。

    ≪8日の日経平均 = 下げ≫

    【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】

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サタデー自習室ーー少子高齢社会の問題(2)
2007-06-09-Sat  CATEGORY: 政治・経済
2)人口減少 + 高齢化 = 少子化の状態が続くと、確実に総人口が減って行く。日本の総人口は、05年(平成17年)10月1日の国勢調査で1億2776万人。それが46年には1億人を切り、さらに55年には9000万人を割り込むと推計されている。

総人口の減少は、経済の供給と需要の両面に相当な影響を与える。供給面では労働人口の減少、つまり働き手が減って行く。需要面では消費人口の減少、つまり買い手が減って行くことが大きい。どちらも経済・社会に重大なインパクトを与える。

また少子化が続けば、当然ながら若年層の人口が減る。その一方では高齢化によって、老年層の人口が増える。この結果、若年人口と老年人口の比率が大きく変化して行く。具体的には、老年層に対する若年層の比率が急速に小さくなる。この比率の変化が、産業構造に変化を呼び起こし、また財政負担の大問題を惹き起こす。

生産年齢人口(15-64歳)と老年人口(65歳以上)の比率をみてみよう。1995年(平成7年)では4.9対1だった。これが05年では3.3対1。さらに50年には1.5対1になると推計されている。経済全体の姿としては、1.5人が働いてお年寄り1人を養うという形になるわけだ。

                     (続きは来週サタデー)

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2007-06-10-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第5章 市場って、なんだろう? ②

きょうはまずクイズから。先週はみなさんの家の近所にある市場の話でした。この「市場」をなんと読みましたか。答えは「イチバ」が正解。では第5章のタイトル「市場って」は、どう読みますか。答えは「シジョウ」が正解です。英語ではどちらもマーケットですが、日本語では大きな市場は「シジョウ」、小さな市場は「イチバ」と読む約束になっています。

(ここから先は判りやすいように「イチバ」と読むときには「市場」、「シジョウ」と読むときには「市場」というふうに太字で書くことにします)

みなさんの町にある市場に並んでいる品物は、どこから来るのでしょうか。たいていは生産された場所から、大きな市場に運ばれます。町の市場にお店を出している人たちは、この市場から品物を買ってくるのです。

日本でいちばん大きい市場は、東京の築地というところにある東京都中央卸売市場です。ここには全国から魚や野菜、果物、肉などが集まってきます。毎日、1万2800人もの人が、この市場での売り買いに参加しているそうです。こうした大きな市場は、全国にいくつもあります。

                   (続きは来週日曜日)

    ≪11日の日経平均は? 予想=上げ

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今週のポイント
2007-06-11-Mon  CATEGORY: 政治・経済
ニューヨークの株価動向が最大の関心事。先週のダウ平均は5-7日の3日間で、合計410ドル急落した。8日は157ドル戻して、週を終えている。とにかく荒っぽい値動きの1週間だった。急落のきっかけは、10年債の利回りが5%台まで上昇したこと。

アメリカでは今週、5月の小売り売上高、卸売り物価、鉱工業生産、消費者物価などの指標が次々に発表される。これらの指標が材料になって、株価はそのつど上下するだろう。そうしたなかで、ニューヨークの株価が再び上げ基調に戻るのかどうか。

日本では11日に、1-3月期のGDP(国内総生産)改定値が発表される。速報値は年率2.4%成長だったが、大幅に上方修正される見込み。民間調査機関13社の予測は、平均で年率3.1%となっている。

上方修正の根拠は、財務省がまとめた法人企業統計で企業の設備投資が前年比13.6%も増えたこと。GDP速報値の段階では、設備投資が前期比マイナスと計算されていた。成長率の上方修正は結構なことに違いないが、もし3%以上に修正されるとすれば、誤差が大きすぎると思う。

    ≪11日の日経平均は? 予想=上げ

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GDP、大きすぎた上方修正 
2007-06-12-Tue  CATEGORY: 政治・経済
内閣府が11日発表した1-3月期のGDP(国内総生産)改定値によると、実質成長率は年率換算で3.3%になった。5月に発表した速報値では2.4%だったから、大幅に上方修正されたことになる。名目成長率も速報段階の1.2%から、大幅に修正されて2.1%になった。

大幅な上方修正の原因は、企業の設備投資に対する見込み違い。速報段階では前期比マイナス0.9%と見込んでいたが、今回はこれをプラス0.8%に引き上げた。というのは財務省が最近になって集計した法人企業統計で、1-3月期の設備投資額が前年比13.6%もの増加となったため。

他のGDP構成要素をみると、たとえば個人消費は前期比0.9%増から0.8%増へ、住宅投資は0.3%減から0.5%減へと修正されている。しかし修正の度合いは小さく、今回の大幅な上方修正は主として設備投資の変動によるものだったことが判る。GDPを算出する場合、設備投資については最終的に最も確度の高い法人企業統計を使うことになっている。だから方法論的に問題があったわけではない。

だが結果的に上方修正が、異常に大きくなったことは否定できない。成長率は昨年10-12月期に5.5%と高くなったあと、1-3月期は速報値で2.4%に落ち込んだ。特に設備投資がマイナスとなったために、景気の先行きが心配されることにもなった。改定値ならば、余計な心配も不要だったと言えるだろう。速報値の段階で、設備投資をどう計算するか。もう少し工夫が要るのかもしれない。

    ≪11日の日経平均 =上げ≫

    ≪12日の日経平均は? 予想=下げ

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よく見ると、インフレの様相(上)
2007-06-13-Wed  CATEGORY: 政治・経済
天気のいい日に電車に乗っていて、ついウトウト。ハッと気がついたら、外は雨模様に。こんな経験は、だれにもあるに違いない。最近の経済情勢をみていると、こんな感じがする――「デフレ、デフレと言われていたのに、ハッと気がついたらインフレ模様」なのである。

EU(欧州連合)がウナギの稚魚を輸出規制へ。すると中国でのウナギ養殖が減り、日本の蒲焼は値上がり? ロシアが活カニの輸出禁止へ。このニュースで、もうカニは値上がり。マグロはむろんのこと、アジやサバ、イカの値段も上昇中。大豆や菜種の国際価格は3年ぶりの高値。トウモロコシや小麦も高い。

こうした原料高を受けて、国内メーカーは果汁飲料、コーヒー、食用油、マヨネーズ、強力粉などの値上げに踏み切った。このほか紙、ポリエチレン、塩化ビニール樹脂、アルミ箔、ステンレス製品、毛糸、合板。鉄や非鉄金属、レアメタル。それにガソリン、クリーニング代から航空運賃まで。値上げか値上げ寸前の話題には、こと欠かない。

原因はいろいろ。需要の増大、供給不足。原油高やバイオエタノールの影響。外国政府の政策。さらには天候のぐあい。そして輸入される品目については、すべてに円安が関係してくる。日経商品指数42種は、22年ぶりの高値水準だ。とにかく最近ちらほらと報道された記事をまとめてみると、こんな景色が見えてくる。

    ≪12日の日経平均 =下げ≫

    ≪13日の日経平均は? 予想=下げ

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よく見ると、インフレの様相(中)
2007-06-14-Thu  CATEGORY: 政治・経済
目を海外に向けてみると、インフレの様相はもっと濃くなる。ECB(欧州中央銀行)は6月6日、ユーロ圏13か国に適用する政策金利を0.25%引き上げて年4%とした。ECBのトリシェ総裁は「賃金や物価の上昇圧力はなお強い」と説明。

アメリカの様相も、この1週間でがらりと変わった。ニューヨークの株価は5-7日の3日間で410ドル急落。今週12日も130ドル下げた。原因はこれまでの利下げ期待ムードが完全に消えて、逆にFRB(連邦準備理事会)による利上げの可能性が強まったことにある。

このムードの大変化は、長い景気拡大のなかで賃金コストの上昇が急に目立ち始めたのがきっかけ。たとえば1-3月期の単位労働コストは、速報値の0.6%上昇から1.8%上昇へと3倍もの上方修正となった。バーナンキFRB理事長も、物価上昇への警戒感を強く表明。利上げの可能性を示唆している。

7日には、ニュージーランドと南アフリカが利上げに踏み切った。イギリスでも金利引き上げは近いとみられている。オーストラリアやカナダでも、金利引き上げの観測が強い。いま世界では、多くの国が金利を上げる方向で動いている。それを見越して、市場では長期金利が上昇し始めた。いずれもインフレに対する警戒感の表れである。

    ≪13日の日経平均 =下げ≫

    ≪14日の日経平均は? 予想=上げ

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よく見ると、インフレの様相(下)
2007-06-15-Fri  CATEGORY: 政治・経済
世界がインフレに対する警戒感を深めているなかで、日本だけは例外。政府はまだデフレ脱却の宣言をしていない。閣僚のなかには「まだデフレに戻る危険がある」と言い続けている人がいる。どうしてなのだろう。

たしかに日本の場合は、消費者物価が上がっていない。たとえば企業物価は前年比で4月は2.2%、5月も2.3%上昇した。しかし4月の生鮮食品を除く消費者物価は前年比0.1%の下落だった。だからデフレだという論理は、きわめて危うい。企業物価の上昇は、やがて必ず消費者物価へと波及する。

日本の場合、景気の回復力が弱いために、需要面からの物価上昇圧力はまだ生じていない。また労働力人口の平均年齢が下がり気味のために、賃金面からの圧力も小さい。しかし原材料コスト面からの物価上昇圧力は、このところ急速に増大している。

工業原材料や食料の大部分を海外に依存している日本。海外での物価上昇は、原材料や食料の輸入コストを通じて日本に波及してくる。これを防ぐことは困難だ。また海外の金利上昇は、これも日本への波及を遮断することはできない。デフレの心配をしているうちに、気が付けばインフレ模様・・・となる公算が大きい。

    ≪14日の日経平均 =上げ≫

    ≪15日の日経平均は? 予想=上げ

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サタデー自習室ーー少子高齢社会の問題(3)
2007-06-16-Sat  CATEGORY: 政治・経済
3)労働力減少 + 高齢化  = 総人口が減少すれば、働く人の数も減少してしまう。日本の労働力人口は1998年(平成10年)6月の6892万人がピーク。その後は減り始めている。05年は6650万人になった。厚生労働省の推計だと、15年には6235万人。さらに30年には5597万人へと減って行く。30年間で1300万人も減少してしまう。

労働力人口というのは、15歳以上の人口のうち現に働いている人と働く意思はあるのに職が見つからない人の合計。要するに働き手だ。働き手が減れば、経済は縮小する。その減少を補う方策としては、女性や高齢者の活用、それに外国人の誘致などが考えられる。しかし急激な減少を完全に補うことができるとは考えにくい。

しかも労働力人口は、減少しながら高齢化して行く。05年の場合、労働力人口に占める60-64歳の割合は7.0%、65歳以上は7.6%だった。これが15年になると、その割合はそれぞれ7.8%、9.6%へと上昇する。労働力減少 + 高齢化の問題は、国の経済全体を揺るがす大きな1つの事件だが、個々の企業にとっても避けては通れない長期的な試練である。

あらゆる対策をキメ細かく講じることは、もちろん必要だ。そのうえで働き手が減ることの悪影響をできるだけ少なくするためには、生産性の向上が不可欠となってくる。人数の減少を、1人あたりの生産性向上でカバーする方策。国も企業も、この目標に向かって努力し続けること。それがなければ、日本は衰退するしかない。

    ≪15日の日経平均 = 上げ≫

    【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2007-06-17-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第5章 市場って、なんだろう? ③

漢字で書けば「市場」ですが、読み方には市場と市場の2つがあることは、先週のこの欄で勉強しました。(えっ、意味が判らない? と思った人は先週の記事をもう1回読んでください)

市場と市場の違いは、なんでしょう。まず大きさが違います。市場の方は、市場の何十倍、何百倍も大きいのです。なぜかというと、市場はまわりの町に住んでいる人が買いにくる場所。これに対して市場は、たとえば東京中のお店の人が、遠い所からも買いにくる場所なのです。

言い方をかえると、市場はお母さんやお兄さんなど、ふつうの家の人たちが自分の家で使うものを買いにくるところ。市場は、お店を開いている人たち、つまりプロが買いにくるところなのです。

さらに市場は、魚や野菜などを扱う市場のほかに、米や小麦などの穀物を扱う市場、金属や石油などを扱う市場、さらには株式の売買をする株式市場、金融商品を扱う市場もあるのです。金融市場では、売買がコンピュータで行われるので、市場と言っても建物がありません。見えない市場ですね。

                   (続きは来週日曜日)

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今週のポイント 
2007-06-18-Mon  CATEGORY: 政治・経済
今週から来週にかけては、3月決算会社の株主総会ラッシュ。最近の総会では、株主提案の急増が目立つ。内容的には、増配の要求が最も多い。また買収提案や買収防衛策についての、会社側と一部大株主との大激論も。

一般株主の総会に対する関心も、従来に比べればきわめて高くなった。このため総会の会場をホテルに変更して、多くの株主に来てもらおうと工夫する企業も少なくない。もちろん、そのウラには、会社側の提案に賛成してもらおうという意図があるのだろう。

今週中に総会を予定している大手企業は、トヨタ自動車、ホンダ、ソニー、シャープ、三井物産など。また総会ではひとモメありそうな東京電力、JR東日本、日産自動車、日興コーディアル、TBS、ブルドックソースなども。これらのうち総会後に大きなニュースを提供することになるのは、どこだろうか。

このほか20日には、4-6月期の法人企業景気予測調査。また20日から21日にかけては、5月のコンビニ、デパート、スーパーの販売高が発表になる。個人消費の動向に、なにか変化が見られるかどうか。

    ≪18日の日経平均は? 予想=上げ

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不可解な月例報告の表現法
2007-06-19-Tue  CATEGORY: 政治・経済
政府が18日に発表した6月の月例経済報告。景気の基調については「回復している」と、3か月前からの判断を変えていない。ただ内容については、前月に比べて生産がやや弱めに。その代わり、消費がやや強めに。その結果、回復の基調に変化はないと結論づけている。

この見方にさしたる異論はない。だが最近ずっと月例報告が採用している景気判断の表現方法には、大いに異論がある。たとえば今回の場合、生産については「横ばいとなっている」と表現した。前月は「このところ横ばいとなっている」だった。つまり「このところ」を削除したわけだが、これがどうして生産がやや弱くなったことを意味するのだろう。

また消費については、前月が「持ち直しの動きが見られる」だったのに対して、今月は「持ち直している」に。微妙な表現の差は解らないでもないが、とにかく役人的な独りよがりの言葉づかいだと思う。もともとはアメリカの連銀あたりが開発した手法だが、最近の月例報告はこうした”言葉あそび”を使いすぎてはいないだろうか。

あとで景気判断の間違いが判明したときに、いや「このところ」を削除したからと弁明できるように考えているのかと憶測してしまう。いっそのこと点数制にして、生産は前月の5点から4点に下がり、消費は3点から4.5点に上がった――とでも書いたらどうだろう。ずっと判りやすくなる。

    ≪18日の日経平均 = 上げ≫

    ≪19日の日経平均は? 予想=下げ

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家計の金融資産 = 半分が現・預金
2007-06-20-Wed  CATEGORY: 政治・経済
日銀の集計によると、家計の金融資産はことし3月末で1536兆1628億円になった。前年の3月末に比べると、ちょうど1%の増加。年度末の水準としては、過去最大となった。家計の金融資産は1990年度末に1000兆円を超えたが、それから16年でほぼ5割増加したわけである。

家計の金融資産というのは、個人が所有している資産のうち土地や建物などの不動産や貴金属、美術品などの動産を除いた金融関連の資産のこと。現金・預金、債券、株式・出資金、それに保険・年金などで構成されている。

06年度末の構成をみると、現金・預金は前年より0.1%減少して769兆9000億円だった。それでも全体に占める割合は50.1%と、ほぼ半分。06年度中に増えたのは投資信託で、24.5%増加した。次いで国債が19.4%増加している。株式は5.8%減少した。

同じ時点でアメリカの統計を見ると、金融資産の総額は42兆5000億ドル。最近の円相場で換算すると、約5200兆円になる。日本と全く違うのは、現金・預金の比率がきわめて小さいこと。12.9%しか持っていない。その代わり株式・出資金は30.4%、投資信託は14.7%と比率が高い。日本人もリスクのある投資を増やす傾向にあるが、まだまだ及ばない。

    ≪19日の日経平均 = 上げ≫

    ≪20日の日経平均は? 予想=上げ

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隣りの芝生は青く見える?
2007-06-21-Thu  CATEGORY: 政治・経済
内閣府と財務省は20日、共同で実施した4-6月期の法人企業景気予測調査を発表した。それによると、大企業の景況判断指数は3期連続で低下し、マイナス0.9となった。マイナスとなったのは、この調査を始めた04年4-6月期以来はじめて。1-3月期の調査ではプラス6.2だった。

内訳をみると、製造業がマイナス2.2、非製造業がマイナス0.2で、製造業の落ち込みが大きい。また中堅企業はマイナス5.1。中小企業はマイナス25.1だった。特に中小企業の製造業はマイナス27.6にまで悪化している。

景況判断指数というのは「貴社の景況は前期と比べて」という質問に対して「上昇」と答えた割合から「下降」と答えた割合を引いた数字。7-9月期の見通しも聞いているが、その結果は大企業がプラス12.0、中堅企業プラス5.5、中小企業マイナス12.9と、いずれも目立って改善する見込み。

面白いのは、同時に調査した4-6月期についての「国内経済全般の景況」に対する回答だ。大企業ではプラス9.9、中堅企業プラス8.7、中小企業マイナス16.0という答え。いずれも「自分の会社は悪いが、全体の景気はいい」と感じていることになる。隣りの芝生は青く見えるのかしら。

    ≪20日の日経平均 = 上げ≫

    ≪21日の日経平均は? 予想=下げ

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株式の配当総額、4年で2倍に
2007-06-22-Fri  CATEGORY: 政治・経済
株主総会まっ盛り。ことしの特徴の1つは、企業が株主に対する利益配分を大幅に増やしていることだ。日本経済新聞の調査によると、一部上場の3月決算会社(金融を除く)1244社のうち833社が増配するという。この1244社の配当総額は4兆8000億円。4年前に比べると、2倍以上の金額である。

金融機関も含めた一部上場会社の配当総額は、新光総合研究所の集計だと5兆9500億円に達する。こうした増配ラッシュの基本的な理由は、企業の収益が絶好調なこと。上場企業はこの3月期で、5期連続の増益を記録した。特に商社、自動車、非鉄、電機、大手銀行の増配が目立っている。

株主総会で増配を要求する株主が増えたことも、その一因。外資系ファンドのなかには、会社側が計画していた配当額を7倍に引き上げるよう提案しているという。また敵対的買収が目立ってきたため、会社側は日ごろから一般株主を優遇し、味方にしておくことが必要になっている。

新興市場の上場会社や非上場会社を合わせると、配当総額は10兆円にものぼるのでは。このうち個人株主の懐にどれだけ還元されるのか。いま伸び悩んでいる個人消費が、増大した配当によって押し上げられることを期待してもよさそうだ。

    ≪21日の日経平均 = 上げ≫

    ≪22日の日経平均は? 予想=上げ

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サタデー自習室--少子高齢社会の問題(4)
2007-06-23-Sat  CATEGORY: 政治・経済
4)消費人口減少 + 高齢化 = 人間は生まれたときから死ぬときまで、経済的には消費者である。毎日、食べたり飲んだり使ったりするために、食料や物品、それに水やエネルギーを消費する。したがって消費人口=総人口であり、総人口の減少は消費人口の縮小を意味している。

経済活動の状況、つまり景気という面には、どんな影響を及ぼすのだろうか。景気は需要の大小によって左右される。1国の景気は、国内の需要と海外からの需要(輸出)によって決まる。だから総人口の減少=消費人口の減少=国内需要の減少は、基本的に景気にとってはマイナス要因だ。

しかも高齢化の進展で、人口の構造は急速にいびつな形になって行く。老年人口が増え、相対的に若年人口が減ってしまう。この人口構造の変化は、産業構造にも大きな変化をもたらす。たとえば子どもの消費をターゲットにしている業界は、たちまち消費量の減退に直面する。保育園や学校もそうだ。売り上げを落とさないためには、付加価値をつけて値上げするしかない。逆に老人向けの業界は、消費量が増大する。年寄りに特化した商品や介護サービスなどは、成長産業だ。

少子化対策をしっかりやって人口の減少を最小限に食い止め、技術革新とチエをしぼって付加価値を高めた商品を開発。それによって仮に長期的にゼロ成長が確保されれば、1人あたりのGDP(国内総生産)は増加することも脳裏にとどめておこう。

    ≪22日の日経平均 =下げ≫

    【今週の日経平均予想 =2勝3敗】

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2007-06-24-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第5章 市場って、なんだろう? ④

市場と市場の違いについては、先週のこの欄で勉強しました。(この文章の意味が判らない人は6月10日の記事を読み返してください)。規模が大きくてプロ同士が売り買いするのが市場、ふつうの人が買い物をする所が市場でしたね。

でも市場も市場も、働き方は同じです。両方とも売り手と買い手がいて、お互いが話し合って品物の値段を決める。これが市場と市場に共通した最大の特徴と言ってもいいでしょう。

たとえば雨が降らずに野菜がうまく育たないと、産地から運ばれてくる野菜の量が減ってしまいます。そうすると、売り手は値段を上げても売れると考えて値上げします。ただし値段が高くなりすぎると、売れなくなってしまうでしょう。ですから野菜の値段は、売り手と買い手の両方が「このくらいなら仕方がない」と考えるところに落ち着くのです。

市場や市場がなかったとしたら、どうでしょう。野菜を作った農家の人が町まで売りに行くか、町の人が農家まで買いに行かなければなりませんね。とても不便です。そのうえ同じ品物が、場所によっていろいろな値段で売買されることになってしまいます。市場や市場があれば、便利というだけでなく、品物の値段が統一されるのです。

                   (続きは来週日曜日)

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今週のポイント 
2007-06-25-Mon  CATEGORY: 政治・経済
28日に発表される5月の生産動向と、29日発表の5月の消費者物価が注目点。鉱工業生産指数は前月比で3月が0.3%減少、4月も0.2%の減少だった。ウェートの大きい自動車の減産が気になるところ。もし5月も減少ということになれば、景気の先行き不透明感が強まるかもしれない。

全国の消費者物価は生鮮食品を除いた指数で、3月が前年比0.3%の下落、4月は0.1%の下落だった。これが5月に前年比プラスに転じるかどうか。日銀の政策金利引き上げは参院選の前にはない。だが5月の物価が前年比で上昇ということになれば、8月の利上げ観測が一気に現実味を増すことになるだろう。

ニューヨークの株価からも目が離せない。先週末22日はダウ平均が185ドル下落した。原因はサブプライム・ローン関連の金融商品を扱っていたヘッジファンド2社が、経営不振に陥ったこと。その影響が、今週の株価にも尾を引くのかどうか。

国内では28日が株主総会の集中日。警察庁によると、この日は全国で約1400社が総会を招集している。ただ集中日の総会数は、ピークだった97年の2350社から年々減り続けているという。

    ≪25日の日経平均は? 予想=下げ

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省エネ・温暖化対策への注文
2007-06-26-Tue  CATEGORY: 政治・経済
24日夜8時から10時まで、東京タワーの照明が消えた。環境省やNGO(非政府組織)が呼びかけて実施された省エネ・キャンペーンの一環。全国各地の名所や観光施設6万3000か所が参加したという。こうしたキャンペーンは大変に結構。大賛成である。

しかし日ごろから疑問を感じていることがある。それは短時間のキャンペーンだけでいいのか、という疑問だ。橋や建物のライトアップ、ネオンの海。通常はエネルギーを使いたいだけ使っておいて、思いついたようにキャンペーンを実施することの虚しさ。明かりを全部消せとは言わないが、もう少し日常の省エネを考えたらどうだろう。

話は温暖化防止に飛ぶ。先日、東京・渋谷の女性専用温泉施設でガス爆発の大惨事が発生した。ところが全国の温泉施設では、湧出するメタンガスを空気中に放出して爆発を防いでいるのだという。その放出ガスの総量は莫大なものに違いない。それが大気を汚染し、地球温暖化の一因になってはいないのか。

温泉と一緒に噴出するメタンガスについては、監督官庁がなかった。いま渋谷の爆発事故を受けて、政府は監督官庁を決め、規制の法整備を急ごうとしている。その際に温暖化防止の見地からも、温泉ガスの対処法について真剣に考えてほしいものだ。

    ≪25日の日経平均 =下げ≫

    ≪26日の日経平均は? 予想=上げ

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企業段階の物価は上昇軌道に
2007-06-27-Wed  CATEGORY: 政治・経済
企業段階では、物価が明らかに上昇傾向をたどり始めた。日銀が26日発表した5月の企業向けサービス価格指数は、前年比1.4%の上昇となった。企業向けサービス価格はバブル崩壊後6年間にわたって下落を続けたが、昨年8月からは久し振りの上昇に転じた。上げ幅も少しずつ拡大し、4月は1.0%の上昇。そして5月は1.4%の上昇となったわけである。

5月のサービス価格で最も上昇したのは、外航貨物用船料と航空旅客輸送料。また下落したのはテレビ・新聞・雑誌・ラジオの広告料金だった。外航貨物用船料は、世界経済の同時回復傾向で原油や原材料、食料などの輸送量が増大していることの反映である。

企業向けサービス価格指数というのは、企業間で取引きされるサービスの物価。日銀が国内取引きと輸入取引きの合計3050価格について毎月調べている。同様に日銀が調査している企業物価指数は、企業間で取引きされる物品の価格。したがって、この2つを合わせてみると、企業段階での物価動向が掴めることになる。

企業物価指数もバブル崩壊後は下落を続けたが、03年半ばからは上昇基調に転じている。サービス価格の反転はそれより3年遅れたが、ここへきて両方の価格がそろって上昇軌道に乗り始めた。これら企業物価の上昇が、いつ消費者物価に波及するのか。その意味で、29日に発表される5月の消費者物価指数が注目されるわけである。

    ≪26日の日経平均 =下げ≫

    ≪27日の日経平均は? 予想=上げ

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トヨタと松下、強者の株式持ち合い
2007-06-28-Thu  CATEGORY: 政治・経済
トヨタ自動車と松下電器産業が、株式を持ち合うことで合意した。この両社はすでにハイブリッド車に使用する特殊電池の開発、製造では提携している。連携をさらに強めるために、株式の持ち合いにまで踏み切ったと、新聞は報じている。

株式持ち合いは、かつての高度成長期からバブル崩壊まで盛んに行われていた。大銀行を中核とした旧財閥グループ間はむろんのこと、同業種や異業種の間でも。日本独自の慣行と言われ、海外からは批判の目で見られていた。それがバブル崩壊後は、株価の下落や株主からの批判を浴びて、持ち合いの解消が急速に進行している。

持ち合いは、もし同額の株式を所有し合うことにすれば、両社は実際には現金を支出することなく、会社の資産を増やすことができる。だが結果として、既存株主は持ち株比率が下がって権利を阻害される。また会社の資産効率は悪くなる。その半面、TOB(株式公開買い付け)などに対する防衛能力は増強されるだろう。

今回のトヨタと松下による持ち合いは、あくまで事業提携の強化が目的だと伝えられている。だがブルドックソースなどの例にみられるように、TOBの事例も急増してきた。日本を代表するトヨタと松下の株式持ち合いをきっかけに、TOB対策としての株式持ち合いが復活するような気がしてならない。

    ≪27日の日経平均 = 下げ≫

    ≪28日の日経平均は? 予想=上げ

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税収に見る個人所得の伸び悩み
2007-06-29-Fri  CATEGORY: 政治・経済
06年度の国税収入が、予算額に達しない見通しとなった。補正後の税収予算は50兆4680億円。所得税と法人税とを合わせて、1兆円程度の不足になるという。ふつう税収の不足は、景気が停滞することから生じる。だが今回は違う。補正予算を組んだときに、所得税収と法人税収を過大に見積もったためだという。

補正後の所得税収は14兆5700億円。法人税収は15兆8000億円。ともに上積み額が大きすぎたわけだ。それでも歳出の使い残しや税外収入をやりくりして、新規の国債発行はしなくて済みそう。したがって財務省としては、そんなに大きな問題とは考えていない。それはそれでいい。

ただ発表された4月末までの税収実績を見ていて、考えさせられたことがあった。4月末までの税収を昨年4月末の数字と比べてみると、法人税は16%の増加だ。それに対して所得税は10%も減少している。税収の予算割れは過大な補正をしたためだが、前年比の増減はそれと関係ない。

法人税収の前年比増は、企業業績の好調さを反映したものである。それは当然と言ってもいいだろう。しかし所得税の減少にはちょっとびっくりした。やはり個人所得におカネが回っていないことの証明である。これで景気回復は長続きするのだろうか。心配である。

    ≪28日の日経平均 = 上げ≫

    ≪29日の日経平均は? 予想=下げ

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サタデー自習室――少子高齢社会の問題(5)
2007-06-30-Sat  CATEGORY: 政治・経済
5)人口の年齢構造 = 少子化が進めば、若年層の人口が減って行く。高齢化が進めば、老年層の人口が増えて行く。その結果、年齢をタテ軸にして人口分布をグラフに書くと、時間がたつにしたがって上の方が幅広く、下の方が狭い形になってしまう。

このグラフを人口ピラミッドと呼ぶが、たとえば2005年(平成17年)の場合、このグラフで最も膨らんでいたのは56-58歳。第1次ベビーブーム期に生まれた、いわゆる団塊の世代である。それから若い方へ向かって30歳ぐらいまでの間は、凸凹はあるけれども大きく減少はしていない。その先は年齢が若くなるにつれ、急速に人口が減る形となっていた。

しかし50年(平成62年)になると、こんどは第2次ベビーブーム期に生まれた世代が、76-79歳で最大の人口層になる。そこからの若い世代は0歳児まで、各年代の人口数がほとんど一直線に減ってしまうと予測されている。こういう形は、世界でも珍しい。もちろん、日本にとっても初めての経験だ。

日本では1997年(平成9年)に、65歳以上の高齢者人口が15歳未満の子ども人口を上回った。これも日本にとっては初めての経験だったが、今後はその差がどんどん開いて行く。子どもの減少は、そのあと勤労者が減少することを意味する。老人の数vs働く人の数。次回はこの問題を考えてみよう。

    ≪29日の日経平均 = 上げ≫

    【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】

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