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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
経済閣僚は 更迭すべし
2008-08-01-Fri  CATEGORY: 政治・経済
経済産業省が発表した6月の鉱工業生産は、前月に比べて2.0%の低下となった。4-6月期でみても、前期比で0.7%の低下。1-3月期に続いて、2四半期連続の低下を記録した。過去の経験からすると、生産が2四半期連続で低下したときには、例外なく景気後退に陥っている。

主たる原因は、アメリカ向けを中心に輸出が減少したこと。自動車のほか半導体製造装置、電気機械など全業種での生産が低下した。輸出はEC(ヨーロッパ連合)向けも減少に転じ、6月は全体として55か月ぶりの減少となった。また6月は完全失業率が4.1%に上昇するなど、このところ発表された経済指標は、すべて景気が後退期に入ったことを示唆している。

にもかかわらず、政府の景気判断は「踊り場」の一点張り。景気動向に責任を持っている経済財政担当大臣をはじめ、財務大臣や経済産業大臣も口を閉ざしたままである。あたかも8月からは、来年度予算の編成作業が本格的に始まる。景気の先行きを心配して、予算的にも対策を講じるべきだという発言がだれからも出てこないのは、むしろ異常と言えるだろう。

福田首相が緘口令を敷いている気配は全くない。逆に総理大臣に対して、経済閣僚から正しい情報が上がっていないのではないか。会社でも、悪い情報が社長に届かなくなったら、経営は傾き始める。福田首相はきょう内閣を改造して、再出発を計る。この際、責任を取らない現在の経済閣僚は、みんな更迭した方がいい。

    ≪31日の日経平均 = 上げ +9.02円≫

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サタデー自習室 -- GDP と 経済成長 ①
2008-08-02-Sat  CATEGORY: 政治・経済
1)15年間の奇跡 = かつては“東洋の奇跡”と言われた高度経済成長を成し遂げ、世界を驚嘆させた日本。だが最近は、すっかり低成長国の見本になってしまった。経済の成長が速ければ、企業の収益は拡大し、個人の所得も増大する。だから景気はいい。低成長はその逆。企業も個人も、好況感からは遠のいてしまう。

日本の高度成長期がいつ始まったかについては、定説がない。終戦から10年を経た1955年(昭和30年)に始まった神武景気、あるいは58年からの岩戸景気がスタート時点か。いずれにしても1950年代の終わりごろだ。一方、終了したのは石油ショックが起った73年。したがって、途中に東京オリンピックの反動不況などもあったが、だいたい好景気が15年ほど継続したと考えていい。

この15年の間に、日本の経済・社会は激変した。産業界では、鉄鋼、造船、家電、自動車、一般機械、石油化学などのメーカーが次々と量産体制を整え、輸出競争力を強めて行く。新幹線や高速道路などの社会的インフラも整備された。68年には、当時の西ドイツを抜いて、経済規模ではアメリカに次ぐ世界第2位に躍り出ている。

国民の所得は急増し、テレビや冷蔵庫、洗濯機などの家庭用電気製品が急速に普及。生活水準も大幅に向上、生活の様式さえも大変わりした。ただ高度成長の副産物として、大気や水質の汚染といった公害問題も表面化してしまった。

                               (続きは来週サタデー) 

    ≪1日の日経平均 = 下げ -282.22円≫

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2008-08-03-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第11章 インフレって、なんだろう? ⑤

いま世界中の国々で、物価が上昇し始めています。すでにインフレの状態になっている国も、少なくありません。まだインフレとまでは行かなくても、インフレに対する警戒感を強めている国が大半です。日本のいまの状態も、インフレ警戒の段階に入ったと考えていいでしょう。

インフレというのは、物価の上昇が続く経済状態のことでしたね。ところが、物価が何パーセント上がったらインフレだという決まりはありません。一般的に言って、経済が成熟した先進国は2%以上。これから経済が発展する途上国では、4-5%以上の物価上昇をインフレと考えているようです。

そこで各国の物価上昇が、現在どの程度になっているのか。いちばん新しい6月の数字で見てみましょう。まずアメリカは、消費者物価の前年同月比が5.0%。イギリスは4.6%、ドイツが3.3%、フランスは3.6%となっています。また中国は7.1%、韓国は5.5%ですから、これらの国はみなインフレだと言っても差し支えないでしょう。日本は2.0%、ぎりぎりのところですね。

いまのインフレは、石油や食料品の価格が世界中で上昇したことから発生しました。その原因は、中国やインドなど途上国の経済が大きくなり、それだけ石油や食料品をたくさん消費するようになったためです。また、そういう途上国の需要増加を見越して、こういう品物を先に買っておいて金もうけをしようとする人たちの影響も小さくはありません。

                            (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2008-08-04-Mon  CATEGORY: 政治・経済
福田改造内閣が動き出す。今回の改造についての評判は、新聞などの解説を見ても比較的にいいようだ。特に経済閣僚をすべて更迭した点は、評価に値する。前の閣僚は、日本経済の実態を正しく理解していなかった。あるいは理解していても、それを口に出す勇気に欠けていたと思う。

人間が代わったからといって、その欠点が修正されるとは限らない。だから安心はできないけれども、期待はしたい。とにかく、まず現在の経済状態を正しく把握すること。特に景気の下降と物価の上昇には、十分な危機感を持つことが重要である。

今週は6日に、6月の景気動向指数。7日には6月の機械受注、また8日には7月の景気ウォッチャー調査が発表になる。いずれも景気が「踊り場」どころか、明らかに下降していることを証明するだろう。こうした経済指標の結果に、どんなコメントを出すか。新しい経済閣僚に対する最初のテストになると言っていい。

景気の悪化を正しく認識したあとは、政府としてどんな対策を講じるのかの政策論になる。財政再建との兼ね合い、インフレ阻止との両にらみ。パズルを解くのはむずかしいが、勇気と信念を持って行動してほしい。それが出来なければ、福田改造内閣はスタグフレーションの谷底で、解散・総選挙を迎えることになる。

    ≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ

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急変した 福田内閣の姿勢
2008-08-05-Tue  CATEGORY: 政治・経済
福田首相は4日午前、与謝野経済財政相を官邸に呼んで「総合経済対策の骨格を、8月前半にも取りまとめる」よう指示した。同経財相によると、福田首相は「原油や食料価格の高騰による物価上昇と景気の減速に対応するため、持てる政策手段を総動員してほしい」と述べたという。

物価上昇への対応策について、与謝野経財相は「農業や漁業、遠隔地に住む人の燃料負担の軽減、価格転嫁できずに苦しんでいる中小企業の資金繰り支援などを検討する」と説明した。これらの財源については、できるだけ予算の使い残しなどで賄うことにしたい考え。いずれにしても、補正予算は組むことになるだろう。

問題は景気対策。景気の現状認識について、同経財相は就任直後の記者会見で「景気後退は昨年暮れぐらいから始まっていた可能性がある」と述べ、7日に発表する8月の月例経済報告では「景気後退入りの判断を下す」可能性を示唆している。したがって対策の必要性は、十分に理解しているようだ。ただ、その財源と方法については、これから短時間で結論を出さなければならない。

内閣を改造した途端に、福田内閣は経済を最重視し始めた。これはやや驚きでもあるが、大変に結構なことである。だが改造前の内閣では、どうしてこういう動きが出なかったのだろう。たった1週間前、経済閣僚はまだ「デフレだ」「景気は踊り場だ」という見方に固執していた。そこからの急激な変化が、どうもよく判らない。

    ≪4日の日経平均 = 下げ -161.41円≫

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「ビッグスリー 凋落」 の読み方
2008-08-06-Wed  CATEGORY: 政治・経済
米調査会社オートデータの発表によると、アメリカの7月の新車販売台数は前年比13.2%の大幅な減少となった。このうちGM、クライスラー、フォードのいわゆるビッグスリーは22.9%もの減少。日本メーカー8社は、合計で4.9%の減少にとどまった。

この結果、ビッグスリーの販売シェアは42.7%に低下。一方、日本8社のシェアは43.0%となり、初めて日本勢がビッグスリーを圧倒した。このニュースは日本の新聞でも大きく伝えられ、紙面には「日本車シェア、米で首位」「初めてビッグスリーを抜く」などという見出しが躍った。

さすがに翌日になると、少し冷静さを取り戻して「日米、勝者なき逆転劇」といった解説記事を載せている。ガソリン価格の高騰で、アメリカ人も大型車を敬遠。大型車を主力にしてきたビッグスリーに比べて、小型車中心の日本メーカーは影響が小さかっただけ。その日本車も売れ行きを減らしているのだから、シェアの逆転を大喜びするような場面ではない。

それよりもアメリカ経済にとって、ビッグスリーの存在はまだまだ大きい。サブプライム問題で金融不安を起こし、そこから住宅不況が発生して事実上の景気後退に陥ったアメリカ。さらに自動車不振が加わったわけで、日本をはじめとする世界経済に与える悪影響はきわめて強烈だろう。こうした視点からの報道・解説が皆無だったのは、残念と言うしかない。

    ≪4日の日経平均 = 下げ -18.52円≫

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政府も、景気後退入りを確認 (上)
2008-08-07-Thu  CATEGORY: 政治・経済
政府も遅まきながら、日本経済の景気後退入りを確認することになったようだ。内閣府が6日発表した6月の景気動向指数(05年=100)は、景気の現状を表わす一致指数が101.7となり、前月より1.6ポイント下落した。この結果、3か月移動平均も0.24ポイント下降。これで移動平均も、4か月連続の下降を記録した。

内閣府は景気動向指数にもとづく景気判断について「3か月移動平均の下降が3か月以上続き、かつ当月の指数が前月を下回った場合」は、判断を『悪化』にすると決めているらしい。6月の場合はこの条件に合致したため、5月の「局面変化の可能性」という判断から『悪化』に下方修正した。

アメリカでは、2四半期にわたって実質成長率がマイナスになれば「景気後退」と決めている。しかし日本の場合は内閣府に所属する経済社会総合研究所が、時間をかけて検討してから発表する仕組み。したがって、それまでは政府も公式には「景気後退」と言えないので『悪化』と表現する。つまり『悪化』は「景気後退」なのである。

今回の景気回復は、02年の2月から始まった。超低空飛行の回復だったが、それでもことしの1月で72か月になる。だが実際は昨年10-12月ごろに終わっていた感じが強い。だとすると、すでに景気が後退期に入って半年以上になる。そして政府もやっと「景気後退」を確認することになった。

                                   (続きは明日)  

    ≪6日の日経平均 = 上げ +340.23円≫

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政府も、景気後退入りを確認 (下)
2008-08-08-Fri  CATEGORY: 政治・経済
景気動向指数の一致指数は、景気に敏感な11本の経済指標を合成して作成される。このうち前月比で下がったのは、投資財出荷、中小製造業売上高、生産、大口電力使用量、工業生産出荷、有効求人倍率、所定外労働時間の7本。上がったのは卸売り販売額、小売り販売額、稼働率、営業利益の4本だった。

この内容からも判る通り、一致指数の構成は製造業の生産に偏り過ぎている。だが、きのう7日に発表した政府の月例経済報告は、あらゆる経済動向を総合して判断した結果の統一見解とでも言うべき性格のもの。閣僚会議で、総理大臣以下が了承した。

この月例報告では、景気の現状を「弱含み」と表現した。4年8か月にわたって使用されてきた「回復」という表現はなくなり、また「足踏み」や「踊り場」も、姿を消した。直接「景気後退」とは言わなかったが、「弱含み」は「景気後退」と同じ意味を持つと考えていい。

表現はともかくとして、景気後退を確認した政府は、ただちに対策を講じなければいけない。それも傷口に何枚かの絆創膏を貼るだけでは、話にならない。4-6月期の成長率は、確実にマイナスになるだろう。福田改造内閣の見識と手腕に期待したい。

    ≪7日の日経平均 = 下げ -129.90円≫

    ≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ

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サタデー自習室 -- GDP と 経済成長 ②
2008-08-09-Sat  CATEGORY: 政治・経済
2) 4.4倍 vs 1.25倍 = 経済成長というのは、簡単に言うと1国の経済規模が大きくなること。1年間で、どれだけ大きくなったかを示す数字が、経済成長率だ。そこで日本経済の経済成長率を、かつての高度成長期と最近の低成長期について調べてみた。いずれも物価の上昇分を調整したうえでの比較である。

高度成長期は、1959年(昭和34年)から73年(同48年)までの15年間と考える。59年初の経済規模を100として、73年末の規模はいくらになったか。答えは440。つまり4.4倍に拡大したわけだ。この間で最も成長率が高かったのは、61年の14.5%という猛スピード。最低は東京オリンピックの反動で景気が落ち込み「40年不況」と呼ばれた65年だったが、それでも成長率は5.1%あった。

一方、低成長期は93年(昭和68年)から07年(平成19年)までの同じく15年間をとってみた。93年初を100として計算すると、07年末の経済規模は125。わずか1.25倍にしか成長していない。この間では04年の3.7%が最高。最低は98年のマイナス1.1%だった。

15年間ずつの比較でみて、低成長期の成長スピードは高度成長期の約3.5分の1に減速したことになる。当時の好景気と近年の好況感に乏しい景気情勢を、数字で表わすとこういうことになるわけだ。

                                 (続きは来週サタデー)

    ≪8日の日経平均 = 上げ +43.42円≫

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2008-08-10-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第11章 インフレって、なんだろう? ⑥

インフレが起きる原因は、いろいろあります。たとえば景気のいい状態が長く続くと、人びとの所得が増えて、おカネをたくさん使うようになるでしょう。すると品物やサービスに対する需要が供給を上回るようになって、物価は上昇しやすくなるのです。このように需要が大きくなってひき起こすインフレを、需要インフレと呼んでいます。

逆に供給が不足したときも、物価は上昇します。第一次大戦で負けたドイツの天文学的な大インフレや、終戦直後の日本のインフレなどは、この供給不足インフレの見本でした。モノやサービスに対する需要が大きいのに、供給が追いつかないときに起きるインフレです。

コストの面から起きるインフレもあります。いま世界の国々が悩まされているインフレ傾向は、このコスト・インフレだと言えるでしょう。というのも、原油や食料価格の世界的な上昇に原因があるからです。たとえば小麦の価格が上昇すると、パン屋さんの原価(コスト)は上がってしまいます。そこで食パンが値上げされたというぐあいです。

このほか通貨の発行が多すぎる場合にも、物価は上昇します。通貨の価値が下がれば、相対的にモノの値段が上がると考えればいいでしょう。また外国為替の相場が下がると、その国の輸入物価は上昇してしまいます。この影響でインフレになる場合もあるわけで、このケースを輸入インフレと呼ぶことがあります。
 
                                  (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2008-08-11-Mon  CATEGORY: 政治・経済
最大の注目点は、やはり13日に公表される4-6月期のGDP(国内総生産)速報。すでに発表された生産、輸出、設備投資など個別の指標から見るかぎり、マイナスになることは間違いない。ただマイナス成長が改めて確認されると、経済全般に与える影響は小さくないだろう。

民間調査会社12社の事前予測をみると、平均値は年率換算でマイナス2.2%となっている。全社がマイナス成長を予測しており、予測の幅はマイナス1.0%からマイナス2.9%まで。個人消費の落ち込みをどう見るかで、ばらつきが生じているようだ。

実質成長率がマイナスになるのは、昨年4-6月期のマイナス2.5%以来。このときはあとプラス成長に戻ったが、こんどはどうだろう。マイナスの数値が事前予測の平均値を超えるようだと、将来に対する不安も大きくなる。1-3月期のプラス4.0%からの落差が、あまりにも大きくなるからだ。

ほかに11日には7月の工作機械受注。12日には7月の企業物価と消費動向調査。13日には6月の国際収支が発表になる。またアメリカでは14日に発表される7月の消費者物価、15日の7月・鉱工業生産に注目が集まるだろう。

    ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ

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NY市場の 難解なパズル (上)
2008-08-12-Tue  CATEGORY: 政治・経済
ニューヨーク市場が、複雑な動きを見せ始めた。原油市場では、WTI (ウエストテキサス・インターミディエ-ト)の期近先物相場が急落。先週8日の1バレル=114ドルは、7月11日の最高値147ドルに比べて22%の下落となった。先週の株式市場ではダウ平均が400ドル上げ、為替市場ではドルが各国通貨に対して全面高となっている。

この3市場は、どういう関係になっているのだろう。そのパズルを読み解くのは、なかなか難しい。変化のきっかけは、原油価格の値下がり。アメリカを初めとする先進国の需要減退。アメリカの場合、8月のガソリン消費は前年比2.6%減少した。先進諸国の景気も、明らかに下降し始めている。こうした需給見通しが、原油価格に響いたことは間違いない。

加えて原油市場では、投機の規制に対する警戒感も強まった。CFTC(商品先物取引委員会)による投機マネーの監視強化。議会による先物取り引き規制の立法化。特にCFTCがオランダの投資ファンドを相場操縦の疑いで起訴したことは、一罰百戒の効果を最大限に発揮した。

原油市場と穀物などの商品市場を敬遠した投機マネーは、為替市場と株式市場に流れ込む。ちょうどヨーロッパ諸国や日本の景気下降が確認され、ドルは相対的に買われやすい状況が生まれつつあった。先週のドルは、対円相場で110円台の7か月ぶり高値。対ユーロ、対オーストラリア・ドルなど主要通貨に対しても、全面高となっている。

                                 (続きは明日)

    ≪11日の日経平均 = 上げ +262.50円≫

    ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ

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NY市場の 難解なパズル (下)
2008-08-13-Wed  CATEGORY: 政治・経済
原油価格の下落が株高をもたらす理屈は、わりと判りやすい。原油が値下がりすると、インフレの危険が縮小する。したがって、政策金利の引き上げも遠退く。また企業業績や個人消費に対する悪影響が、明らかに軽減する。つまり実体経済にとっては、かなり大きなプラス要因になることは間違いない。だから株価は上がる。

だがアメリカ経済の苦境は、原油高だけが原因ではない。むしろサブプライム問題に端を発した住宅不況の方が、ずっと深刻だ。この住宅不況は、原油が安くなったからといって好転する性格のものではない。すると商品市場から移動した資金によって上昇する株価と実体経済の間にはギャップガ生じ、すぐにツジツマが合わなくなってしまうだろう。

もし住宅不況がさらに悪化すれば、ギャップはいっそう大きくなる。そのとき「原油高=ドル安・株安」から「原油安=ドル高・株高」に変化した市場の流れは、再び逆転する可能性を秘めている。ただ株安・ドル安が、そのまま原油高につながるかどうかは不透明だ。

需給面から見た原油の合理的な価格は1バレル=75ドル程度だといわれる。だとすれば、原油の市場価格はまだ下がるかもしれない。そのうえアメリカの実体経済が仮に好転の兆しを見せれば、ドル高・株高も持続する余地がある。しかし景気が回復してガソリンの消費が伸びたら・・・。やはりニューヨークの3市場に関するパズルは解きにくい。

    ≪12日の日経平均 = 下げ -127.31円≫

    ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ

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総くずれの 4-6月期GDP (上)
2008-08-14-Thu  CATEGORY: 政治・経済
内閣府が発表した4-6月期のGDP(国内総生産)は、実質値が前期比0.6%の減少。年率換算すると2.4%の減少となった。GDPのマイナス成長は昨年4-6月期以来、ちょうど1年ぶり。またマイナス幅は、01年7-9月期以来の大きさだった。内容的にも、かなり悪い。

とにかく、需要項目のすべてが総くずれの形。年率ベースで個人消費は2.1%減、住宅は13.0%減、企業の設備投資も0.9%の減少だった。また輸出は8.9%減少したが、輸入も10.7%減った。この結果、外需の成長率に対する寄与度はゼロとなり、成長率がマイナスになった原因はすべて内需の不振にあることが判明した。

これまで景気回復の主柱となってきた輸出が、アメリカの景気減速で急減。景気を持ち上げる力を失った。その一方で内需も軒並みダウンしたために、景気を押し上げる要素が皆無という状態になってしまった。1年前の4-6月期にも1.7%のマイナス成長になったが、そのときは個人消費と輸出がプラスを記録している。

名目成長率は、前期比の年率換算でマイナス2.7%だった。ガソリンをはじめ多くの品目が値上げされたにもかかわらず、消費支出は1.1%減っている。このためGDPデフレータ-もマイナス1.6%と、いぜんマイナス領域を脱せない。国内需要デフレーターがプラス0.6%までしか上昇しないためである。

                               (続きは明日)

    ≪13日の日経平均 = 下げ -280.55円≫

    ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ

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総くずれの 4-6月期GDP (下)
2008-08-15-Fri  CATEGORY: 政治・経済
4-6月期GDPに関する特徴のひとつは、前期との落差がかなり大きいことだ。1-3月期はプラス3.2%だったのが、マイナス2.4%へと5.6ポイントも下降した。急激に下降すると、あとの立ち直りに時間がかかる。しかも一過性の原因で落ち込んだわけではないから、この特徴は無視できない。

項目別にみると、前期に比べて予想以上に減少したのはやはり輸出。プラス14.4%からマイナス8.9%に急減した。次いで消費支出のプラス2.8%からマイナス2.1%への減少が大きい。住宅投資もプラス18.2%からマイナス13.0%へ減少したが、寄与度は比較的小さい。

7-9月期の予想はまだ早すぎるが、少なくとも現在までの状況をみるかぎり、回復の兆しは見えない。アメリカだけではなく ヨーロッパやアジア諸国の景気も減速しつつあるから、輸出が伸びる環境ではない。個人消費も物価高が響いて、勢いを失いつつある。企業の業績も落ち込んできたから、設備投資にも大きな期待は持てそうにない。

この調子だと、7-9月期もマイナス成長になる危険性はかなり高い。改造後の福田内閣は急に景気対策に力を入れ始めたが、内容は原油高に対応するための局所療法に終わる可能性が強い。補正予算は1兆円を超すと言っているが、その程度でこんどの景気後退を乗り切れるのだろうか。対応が遅れると、結局は対策のコストも増大してしまう。

    ≪14日の日経平均 = 下げ -66.25円≫

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サタデー自習室 -- GDP と 経済成長 ③
2008-08-16-Sat  CATEGORY: 政治・経済
3)GDPとGNP = 1国の経済規模は、GDP(国内総生産)という経済指標に凝縮される。このGDPは、たとえば1年間に、その国で発生した経済価値の合計だと考えたらいい。ただモノやサービスの生産総額そのものではなく、そこから生産のために投入された原材料の価値を差し引いた付加価値を計算して集計する。

仮に工場出荷価格が100万円の自動車を生産したとしよう。この車を製造するためには、鋼板やタイヤやガラス、IC機器など、たくさんの原材料が使われている。これらの仕入れ価格を差し引いた40万円が、付加価値としてGDPに計上される。さらにこの車が130万円で消費者に売れた場合、販売に要したコスト10万円を差し引いた20万円もGDPに加算される。

このようにGDP統計は、あらゆる商品の製造、販売、消費の過程を徹底的に追跡して作成される。ただ、こうして作成されたGDPは、物価の変動分を反映している名目GDP。ここから物価の変動分を調整した数字が実質GDPで、経済成長率の計算によく使われる。

かつては経済規模を計る統計として、GNP(国民総生産)が用いられていた。日本人が作り出した経済価値の総計という考え方で、外国企業が日本国内であげた収益や海外からの出稼ぎ労働者による所得は除外されていた。これに対して現在のGDPは、日本国内で発生した価値の合計という考え方で作成されている。

                              (続きは来週サタデー)

    ≪15日の日経平均 = 上げ +62.61円≫

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2008-08-17-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第11章 インフレって、なんだろう? ⑦

前回はインフレをひき起こす“犯人”たちを、いろいろ紹介しました。この犯人たちはひとりのときもありますが、共同して悪さをすることも多いようです。たとえば現在のインフレはコスト型だと説明しましたが、原油や食料が値上がりしている裏では、新興国の需要増加や世界的なカネ余りも深く関係しているのです。

インフレはほうっておくと、だんだん加速する性質を持っています。物価の上昇傾向がはっきりするにつれて、人びとの心のなかにインフレ心理が芽生えてくるからです。「モノの値段はもっと上がりそうだから、いまのうちに買いだめをしておこう」「もっと高くなってから売ったほうがトクだ」--多くの人がこう考え始めると、物価は余計に高くなってしまうでしょう。

また鉄鉱石の輸入価格が上がると、たとえば鉄鋼→鉄鋼を使って作る機械→その機械を買って作る商品という順序で、価格が上がって行きますね。こうして物価高は、いろいろなルートを通じてあっという間に広がってしまいます。さらに物価高が進むと、企業は従業員の給料も引き上げなければならなくなります。この分もコスト高になって、インフレを悪化させる犯人になりかねません。

インフレはすぐ早足になり、駆け出してしまう--と言われています。とにかく火事と同じで、早いうちに消すことが大事なのです。いま世界の多くの国が、インフレを早く消し止めようと努力しています。それに成功するかどうか。世界経済にとっては、最大の問題になってきました。

                                (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2008-08-18-Mon  CATEGORY: 政治・経済
7月の貿易収支が、21日に発表される。そのなかで、このところ減り気味の輸出に注目が集まるだろう。6月の輸出は前年比1.8%の減少。03年11月以来、55か月ぶりの減少だった。7月はその反動で増加するという予測も強いが、結果はどうか。

アメリカ向けの輸出は、すでに10か月にわたって前年割れ。EC(ヨーロッパ連合)向けも、5月から前年比でマイナスに。頼みのアジア向けは、まだ前年比プラスだが、ゼロすれすれのところにまで落ち込んできた。特にアジア向けがプラスを守れるかどうか。

アメリカの景気は、住宅関連の指標が下げ止まらないと、先が見えない。19日には7月の住宅着工件数が発表になる。5月は年率97万7000戸と、約17年ぶりの低水準に。6月は建築基準変更前の駆け込みで106万6000戸に回復したが、7月はどの辺に落ち着くのか。

今週で北京のオリンピックも終わり。そのあとの中国経済は、反動不況に見舞われないのか。上海の総合株価は、すでにかなり下落している。日本としては、アメリカと中国の双方をにらみながら、マクロ的にもミクロ的にも対策を考えなければいけない。

    ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫      

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微増収・大幅減益へ : 企業業績
2008-08-19-Tue  CATEGORY: 政治・経済
日本経済新聞の集計によると、上場企業の4-6月期連結決算でみた売上高は、前年同期に比べて3.8%の微増収となった。しかし輸出の伸び悩みや原油高などのコスト上昇によって、経常利益は16.0%の大幅減益となっている。業種別では、特に繊維、医薬品、造船、建設、不動産、電力、ガスの減益幅が大きい。

売上高は、製造業が2.4%の増加。非製造業は6.0%の増加だった。経常利益は、製造業が18.8%の減少。非製造業は10.7%の減少だった。微増収・大幅減益の形は、非製造業よりも製造業の方に色濃く表れている。

来年3月期の通期見通しは、全産業の経常利益が8.6%の減益。このうち製造業は10.1%、非製造業は5.8%のそれぞれ減益となっている。過去6年間続いた企業の増益基調は中断されるが、各企業の業績予想を集計すると、年度後半には利益が回復基調に戻ることになる。

たしかに最近は原油や食料の国際価格が反落しているから、この調子が持続すればコスト面からの圧迫要因は緩和されるだろう。また輸出にとっては、円相場の下落傾向もプラスになる。しかしアメリカやヨーロッパ諸国の景気は、いぜん不透明。来年の3月決算が、この程度の減益で済むかどうか。まだ決して油断はできない。

    ≪18日の日経平均 = 上げ +146.04円≫

    ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ

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世界同時不況 の様相に (上)
2008-08-20-Wed  CATEGORY: 政治・経済
世界同時不況の様相が、しだいに濃くなってきた。これから年末にかけて日米欧の主要先進国は、いずれも景気後退局面を迎える公算が大きい。後退期の長さと深さは、新興国の景気動向とアメリカの住宅不況がいつ底入れするか、によって決まってくるだろう。

EU(ヨーロッパ連合)の発表によると、ユーロ圏15か国の実質成長率が99年の通貨統合以来はじめてマイナスに落ち込んだ。4-6月期のGDP(域内総生産)は実質ベースで前期比0.2%の減少。年率換算では0.8%のマイナス成長だった。このうちドイツは前期比0.5%、フランスとイタリアは0.3%の低下を記録している。

成長率が低下した原因は、アメリカ向けを中心に輸出が鈍化したこと。また原油や食料の高騰でインフレ傾向が強まったために、ECB(ヨーロッパ中央銀行)が政策金利を早めに引き上げたこと。このため域内各国では、個人消費や企業の設備投資が伸び悩み始めた。

アメリカはサブプライム(低所得者向け住宅ローン)問題が発生したことから、昨年10-12月期の実質成長率はマイナス0.2%に低下。しかし矢継ぎ早の金利引下げと素早い所得税減税の効果が出て、ことし1-3月期は0.9%、4-6月期は1.9%のプラス成長に戻している。ただ、これらの政策効果はほぼ息切れ。7月以降はゼロないしマイナス成長に陥るという見方が強い。

                               (続きは明日)

    ≪19日の日経平均 = 下げ -300.40円≫

    ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ

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世界同時不況 の様相に (下)
2008-08-21-Thu  CATEGORY: 政治・経済
日本の実質成長率も、4-6月期はマイナス2.4%に減速した。原因はユーロ圏と同じで、輸出の減退と原油などのコスト高。このため個人消費と設備投資の勢いが削がれている。ただ異なっているのは政策面での対応。アメリカは利下げと減税、ユーロ圏は利上げ。日本はなにもしていない。

今後の見通しについては、意外に楽観論が多い。アメリカでもヨーロッパでも、景気は年末までに底入れするという予測が支配的のようだ。日本の民間予測も、08年度の成長率はプラス0.7%の見方が平均値。やはり早い段階での景気反転を予想している。

根拠のひとつは、原油や食料の値下がり。たしかに投機に対する規制を嫌って、このところ国際商品市場の先物相場は急激に下げている。もうひとつは、新興国への期待。日米欧とも成長率は低下しているが、新興国向けの輸出が下支えになっていることは確かだ。

ただし原油などの価格が、反騰する懸念は決して小さくない。産油国近辺の政治情勢や事故などが、反騰の引き金になる可能性もある。また新興国では、中国とインドの勢いがやや下火になってきた。特にオリンピック後の中国経済が心配。結局はアメリカの住宅不況にいつ明るさが戻るか。これによって、同時不況の長さと深さが決まってくるだろう。

    ≪20日の日経平均 = 下げ -13.36円≫

    ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ

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新興国さまさまの 輸出
2008-08-22-Fri  CATEGORY: 政治・経済
財務省が21日発表した7月の通関統計をみると、日本の輸出が新興国向けによって下支えされる傾向が、ますますはっきりしてきた。たとえば中国向け輸出額が、アメリカ向けを初めて上回っている。ただ輸出の伸びに比べて輸入の増加率が大きく、貿易黒字幅は激減した。

7月の輸出総額は7兆6300億円。前年比で8.1%増加した。6月は1.8%の減少だったが、再びプラスに戻している。輸入は7兆5400億円。18.2%も増加した。このため貿易黒字は、わずかに910億円。前年比で86.6%の大幅な減少となった。

中国向けの輸出額が戦後初めてアメリカ向けを上回ったが、これはアメリカ向けの輸出が急減していることが原因。中国向けは前年比16.8%増と好調だが、アメリカ向けは11.5%減少した。これでアメリカ向けは、11か月連続して前年実績を割り込んでいる。

対照的に、中国を含むアジア向けは12.7%の増加。中東向けも27.5%伸びた。国別ではブラジルが50.5%、ロシアが45.8%、サウジアラビアが36.0%ときわめて高い伸び。いまのところ日本の輸出は、これら新興国向けになんとか支えられている。

    ≪21日の日経平均 = 下げ -99.48円≫

    ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- GDP と 経済成長 ④
2008-08-23-Sat  CATEGORY: 政治・経済
4)GDPの4本柱 = GDP統計は、いくつかの項目を積み重ねて計算される。その項目は、大きく分けると国内需要と海外需要に。このうち国内需要は、民間と政府部門に二分される。民間需要で最も大きいのが、家計の最終消費支出。いわゆる個人消費と呼ばれる部分で、日本の場合はGDP全体の56%を占めている。

民間需要であと重要なのが、企業による設備投資と住宅建設。GDP全体に占める比重は、設備投資が16%程度。住宅建設は4%ほどしかない。しかし家計の最終消費は毎日の生活費が中心だから短期的に大きく変動しないのに対して、設備投資や住宅建設は大きく振れやすい。

海外需要は財貨やサービスの輸出で、比重は18%程度。ただGDPを計算する場合には、外国で作られた価値という意味で輸入を差し引いている。このほか企業の在庫品増減や政府の消費や投資などもGDPの構成項目だが、いつも重要視されるのは家計の最終消費、設備投資、住宅建設、輸出の4つだと考えていい。

07年度の数字をみると、名目GDPは515兆円。このうち家計の最終消費は288兆円、設備投資は81兆円、住宅建設は17兆円、輸出は92兆円だった。これらの数字がどれほど増減するかで、全体のGDPが変動する。全体の伸び率が高ければ景気はいいし、低ければ不景気になるわけだ。

                                 (続きは来週サタデー)

    ≪22日の日経平均 = 下げ -86.17円≫

    【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2008-08-24-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第11章 インフレって、なんだろう? ⑧

ほとんどの家庭や企業にとって、決してインフレはいいことではありません。みなさんの家では、たいてい1か月にいくら生活費を支出するか決めているでしょう。ところが物価が上昇すると、支出は増えてしまいますね。あるいは支出を増やさないようにすると、買うモノの量を減らさなければなりません。

みんなもお小遣いを貯めて、5000円のお人形を買おうと思っていたのに、お人形の値段が6000円に上がったらイヤでしょう。このようにインフレになると、家庭や個人のおカネに関する計画が狂ってしまうのです。最近はいろいろ物価の上昇が目立ち始めました。お母さんが家計簿をつけながら、ブツブツ言っていませんか。

企業の場合も同じです。モノを作っている会社の場合、製品を作るために必要な原料や材料、それにエネルギー代が上昇します。すると会社の利益は減ってしまうでしょう。利益を確保するために製品の売り値を上げると、売れ行きが落ちてしまうかもしれません。

従業員の生活も苦しくなるので、会社としては給料も上げなくてはいけません。それがまた会社の支出を増やすことになり、利益はさらに少なくなるでしょう。やむなく会社が製品の値上げに踏み切れば、このことがまた物価を引き上げてしまいます。そして、いったんインフレになると、インフレはなかなか止まりません。

                               (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2008-08-25-Mon  CATEGORY: 政治・経済
いま主要国の景気が低迷しているのは、原油などコスト高の影響もあるが、根本的な原因はアメリカ経済の変調にある。そのアメリカ経済の変調は、バブルが崩壊して壊滅的な状態に陥った住宅産業の不振が根本的な原因。住宅価格が底入れしなければ、アメリカ経済の回復は期待できない。

今週はアメリカの住宅に関する統計が、次々と発表になる。まず25日には、7月の中古住宅販売件数。26日には、6月の新築住宅販売件数とS&P社による住宅価格指数、4-6月期の住宅価格指数。さらに27日には、住宅ローン申請指数と続く。販売件数が増えてこなければ、価格も下げ止まらないだろう。

住宅価格が下げ止まれば、金融機関の不良債権処理にもメドがつく。そうなれば株式市場のムードも変わってくるだろう。逆に下げ止まらないと、いまの重苦しい空気からは解放されない。6月の新築住宅着工件数は前年比33.2%減、S&P社の価格指数は16.9%の下落だった。

国内では、週末29日に発表のラッシュ。7月の消費者物価、鉱工業生産、家計調査、労働力調査、商業販売統計、住宅着工件数、建設工事受注。いろんなお役所がバラバラに発表するが、どうしてこんなに固まってしまうのだろう。きっと「月末までに仕上げろ」という指示が出ているのに違いないが、困ったことではある。

    ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ

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日銀よ、 もっと勇気を!
2008-08-26-Tue  CATEGORY: 政治・経済
日銀は先週19日に開いた金融政策決定会合で「景気は停滞している」という明確な判断を下した。毎月1回開くこの会合で、日銀が「停滞」の表現を使ったのは97-98年の景気後退局面以来10年ぶりのこと。白川総裁は記者会見で「輸出は勢いが鈍り、消費は弱めの動き、設備投資は横ばい」だと説明している。

だが日銀のこの判断は、いかにも迫力に乏しい。というのも、政府は7日に公表した月例経済報告で、すでに景気の後退入りを認めているからだ。さらに13日に発表された4-6月期のGDP(国内総生産)は、年率2.4%のマイナス成長だった。そのあとで日銀が景気の後退を認めても、全くのアト追いでしかない。経済学部の大学生にもできることだ。

日銀は8月の決定会合が19日だったから仕方がない、と言い訳けするかもしれない。では前月15日に開いた会合で、どうして「停滞」判断にまで踏み込めなかったのか。その時点で日銀は「景気はさらに減速している」という認識を示している。すでにその時点で輸出の伸び悩みや消費・設備投資の鈍化は、はっきりしていた。

日銀が誇る「企業短期経済観測調査」をみても、日銀支店長会議の報告を聞いても、この春以降の景気が後退局面に入ったことは判断できたはず。それを先週まで持ち越したのは、政府に対する遠慮があったからに違いない。そんな姿勢では、金融政策も政府の顔色を窺うばかりだろう。もっと自信と独自性を持つべきではないか。

    ≪25日の日経平均 = 上げ +212.62円≫

    ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ

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中国経済は、物価がカギ
2008-08-27-Wed  CATEGORY: 政治・経済
オリンピック後の中国経済に、世界の注目が集まっている。いま世界経済は新興国の発展によって、下支えされている側面が大きい。仮に中国がきびしい反動不況に襲われると、この下支えがグラつき出すからだ。しかしオリンピックの反動はそれほど大きくはなさそう。それより中国経済にとっては、物価の問題が最大のカギになりそうだ。

日本は1964年(昭和39年)の東京オリンピックのあと、大きな反動不況に見舞われた。その記憶があるだけに、中国の今後を心配する見方も強い。たしかに中国の場合も、オリンピックの反動はあるだろう。だが日本とちがって中国は広い。北京周辺が不況になっても、上海や広州などへの影響は小さいのではないか。

さらに中国政府はオリンピックによる経済の過熱を警戒して、昨年のうちから相当な引き締め政策を実施してきた。その結果、実質成長率は07年の11.9%から、ことし4-6月期には10.1%にまで低下している。また活発だった不動産投資も、70都市でみた平均販売価格は1月の前年比11.3%上昇から、7月には7.0%上昇にまで落ち着いてきた。

逆にオリンピックが終わって、中国政府は約6兆円の歳出拡大や輸出規制の緩和など、景気の刺激策を打ち出すという観測が強い。このような政策の効果が上がれば、反動不況はそれほど大きくならないと予想される。ただ問題はリフレッシュ政策の実施で、物価がどうなるか。7月で6.3%の消費者物価上昇率が拡大するようだと、国民の不満が一気に吹き出す危険性がある。

    ≪26日の日経平均 = 下げ -99.95円≫

    ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ

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あす発表の 物価、雇用、家計に注目
2008-08-28-Thu  CATEGORY: 政治・経済
あす29日は重要な経済統計の発表ラッシュ。消費者物価、鉱工業生産、家計調査、労働力調査、商業販売統計、住宅着工、建設工事受注・・・いずれも7月分の調査結果。このうち特に注目されるのが、物価と雇用と家計の3つ。いい結果は期待できないが、悪くなるとしてもその程度が問題だ。

消費者物価は、変動の大きい生鮮食品を除いた総合指数が、前年比で2%台の上昇になることはほぼ確実。6月には1.9%まで上昇してきている。2月に1.0%上昇となってから、3月は1.2%、5月は1.5%と、しだいに上げ幅を拡大してきた。7月は2%をどのくらい上回るか。上昇が加速しているようだと、問題は大きくなる。

失業率は6月に4.1%まで上昇した。前月比0.1ポイントの悪化で、このところ少しずつ増大している。7月も多少の悪化は免れないだろう。雇用統計でもう1つ注目されるのは、就業者数の減少。6月は6451万人で、前月より40万人減った。7月も減少すると、就業者数の減少は6か月連続ということになる。

6月の家計調査をみると、2人以上世帯の消費支出は実質で前年比1.8%の減少。4か月連続の減少だった。また勤労者世帯の実収入は、実質で前年比2.1%の減少。こちらの方は、昨年11月からことし3月を除いて毎月の減少が続いている。収入が減れば、支出は減る。そこへ物価高と就業者数の減少。7月もその悪循環が継続したのだろうか。

    ≪27日の日経平均 = 下げ -25.75円≫

    ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ

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なにが目的? : 地上波デジタル
2008-08-29-Fri  CATEGORY: 政治・経済
総務省は来年度予算で、総額600億円の地上波デジタル対策費を要求する。地上デジタル放送への完全移行は11年7月24日の予定。だが1億台以上あるテレビ受信機のうち、デジタル対応型の普及は7月末で3700万台に止まっている。この普及を促すため、総務省は今年度予算の10倍に当たる金額を要求することになった。

この予算は、生活保護世帯へのチューナー配布、相談センターの設置、高齢者や障害者世帯への戸別訪問などに使うという。なるほどキメの細かい“生活者のため”の予算だと感心しそうになるが、ちょっと待ってほしい。なぜ、こんなにおカネをかけてまで、地上波デジタル化を急ぐのか。どうも、はっきりしない。

いまNHKや民放の地上波は、すべてアナログ波を使っている。これがデジタル化されると、全国で100をはるかに上回るアナログ波が不要になる。そのアナログ波を何に使うのか。携帯電話に使うという説もあるが、そんなに携帯の回線が必要なのかどうか。

とにかく地上波デジタル化の目的が、どうもはっきりしない。意地悪くみれば、アナログ回線の再配分やデジタル受信機の普及をめぐって利権の臭いさえ漂ってくる。テレビ画面がきれいになるというが、いまのアナログでもハイビジョン画面はデジタル並みにきれいだ。600億円のカネを使う前に、総務省はデジタル化の目的を明確に示す必要がある。

    ≪28日の日経平均 = 上げ +15.29円≫

    ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- GDP と 経済成長 ⑤
2008-08-30-Sat  CATEGORY: 政治・経済
5)成長の原動力 = 経済成長のスピードは、GDPを構成している4本柱の変動によって、ほぼ決まってくる。4本柱のうち、家計の最終消費支出は個人が生活のために支出するおカネの総額。この支出が増えれば、商品やサービスの売れ行きがよくなり、景気は拡大する。

住宅建設は、主として個人が住宅を建てるための支出。また企業の設備投資は、企業が業容を拡大するため機械類や建物などの購入にあてる支出。最近では、コンピューターのソフトに対する投資額も大きくなってきた。輸出は商品やサービスの海外に向けた販売。輸出代金の流入が、GDPの大きさに影響する。

07年度の名目GDPは515兆円で、前年度比0.6%の増加だった。このうち家計の最終消費支出は1.1%の増加で、GDP全体の成長に貢献している。しかし設備投資は0.1%の減少、また住宅建設は11.8%も減少して、成長の足を引っ張った。ただ輸出は10.1%増加。GDPは輸出のおかげで、なんとかプラス成長を維持した形になっている。

先ごろ発表された本年4-6月期の結果はどうだろう。名目GDP全体は、年率換算で2.7%のマイナス成長だった。内訳けをみると、家計の最終消費支出はマイナス1.1%、設備投資はプラス0.6%、住宅建設はマイナス9.5%、輸出はマイナス1.6%となっている。このように4-6月期と07年度のGDPを比べると、家計の支出と輸出の減少が全体をマイナス成長に引き下げた要因だったことが判る。

                               (続きは来週サタデー)

    ≪29日の日経平均 = 上げ +304.62円≫

    【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】

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