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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
明暗分かれた 小売り業界 : 10月
2020-12-01-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 勝ち組の断トツは家電大型店 = 経済産業省は30日、10月の商業動態統計を発表した。それによると、小売り業の販売額は12兆4300億円で前年比6.4%の増加だった。コロナ抑制のための規制が解除されたことによるもので、前年比がプラスになったのは3月以降はじめて。ただ業態によって、成績には大きな差がついた。

業種別にみて好調だったのは、機械器具小売り業で販売額は前年比27.4%増加した。続いて自動車小売り業が16.4%、無店舗小売り業が13.8%売り上げを伸ばしている。巣ごもりで無店舗販売が増加したのは判るが、家電や自動車がよく売れたのは予想を上回る現象だった。その一方、織物・衣服・身の回り小売り業は3.9%販売を減らしている。

業態別にみると、日が当たらなかったのはデパートとコンビニ。デパートの販売額は4163億円で、前年比2.5%の減少だった。またコンビニも販売額は9973億円、3.3%の減少となっている。ともにコロナ騒ぎが始まった3月以降、ずっと前年比でマイナス。経営の改革を迫られる業種となっている。

スーパーの販売額は1兆2110億円。前年比で5.8%の増加だった。またドラッグストアは5816億円の売り上げで7.3%の増加。ホームセンターは販売額が2793億円で、20.5%増加した。断トツは家電大型専門店。販売額は3444億円、伸び率は29.0%に達した。ただ、こうした小売り業の動態が、コロナ規制が強まった11月以降も続くかどうかは不透明だ。

       ≪30日の日経平均 = 下げ -211.09円≫

       ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ


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ダウ3万ドル その先は? (上)
2020-12-02-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 小休止のあと再上昇へ? = ダウ平均株価は先週24日、終り値で3万ドルの大台に乗せた。ダウ平均の誕生は1895年。それが1万ドルに乗せたのは1999年3月で、その間に104年の歳月を要している。2万ドル乗せは2017年1月、その間は18年。そして3万ドルまでは3年10か月しかかからなかった。恐るべき加速度ぶりである。そのスピードは、今後も落ちないのだろうか。

いま専門家の間では、意見が分かれている。超強気派は株価の上昇はまだまだ続き、おそらく2年後には4万ドルに近づくと予想する。超弱気派は実体経済とのかい離が大きくなりすぎたから、すでに大天井の範囲に突入したと断定する。多くの見解は、その中間で分散している。コロナ不況の程度やワクチンの有効性をどうみるかでも、意見は変わってくるようだ。

現実の可能性は、①株価の上昇力は衰えず、今後も高騰を続ける②高値警戒感が強まり、株価は下降局面を迎える③いったん反落するが、再び上昇軌道に乗る――の3つだろう。結論から言えば、このうち①は否定できないが、可能性はそんなに大きくない。②は可能性がほとんどない。③が最もありうる方向である。

その最大の根拠は、やはり想像を超えたカネ余りに求められる。仮にコロナ不況が増大し、警戒感が高まって株価が下落しても、多くの投資家はカネの運用先がない。しばらくして株価が上昇すると考えられれば、それに乗り遅れないようにと早めに投資する。こうした力が働いて、株価の下落は長続きしないと思われる。だが落とし穴もないではない。

                                (続きは明日)

        ≪1日の日経平均 = 上げ +353.92円≫

        ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ


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ダウ3万ドル その先は? (下)
2020-12-03-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 暴落を招く3つの出来事 = いま各国の中央銀行が、巨額の現金を放出し続けていることは周知の通り。金融緩和政策はリーマン危機から始まり、コロナ不況で大幅に拡大された。アメリカのFRB、ヨーロッパのECB、それに日銀が保有する国債や株式などの総計は、なんと2400兆円。この1年で1.5倍に増加した。これによるカネ余りが、長期にわたる株高の原動力となっていることは間違いない。

現在のコロナ不況は08年に始まったリーマン不況と同じか、それ以上の災厄をもたらしている。だがリーマン不況では株価が低落したものの、コロナ不況では株価は上昇した。たとえばコロナ騒ぎが始まった2月末と現在を比べてみると、ダウ平均は4200ドル、日経平均は5300円ほど値上がりしている。これは中央銀行の現金放出額が、リーマン時の4倍にのぼっていることと無関係ではないだろう。

したがって株価を押し上げる原動力は、きわめて強力だ。このため少々の悪材料は無視して、株価は上昇する。しかし落とし穴も、ないではない。その第一は、リーマン並みの金融危機が起きること。IMF(国際通貨基金)によると、信用力の低い債券を集約した仕掛け債などの高リスク資産は、世界でリーマン時の2倍、9兆ドルに増加している。

第二は、新興国の経済破綻だ。すでにアルゼンチン・レバノン・エクアドルの3国は、デフォルト(債務不履行)の状態に陥った。コロナ不況でこの流れが拡大すると、危険性は増大する。そして第三は、インフレの進行。いま物価は落ち着いているが、仮にインフレが進行し始めると、中央銀行は金融を引き締めざるをえなくなる。つまりカネ余りの供給源が閉ざされるから、株価は下降局面に入るだろう。

       ≪2日の日経平均 = 上げ +13.44円≫

       ≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ


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GOTO政策に欠けた 心理学
2020-12-04-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 政府の真剣度を計る物差し = 「GO TO 政策がコロナを拡大したというエビデンス(証拠)はありません」と、国会で菅首相が珍しく横文字を使って答弁した。質問した立憲民主党の枝野代表は「拡大しなかったというエビデンスもないのでは」と反論したが、議論は全くかみ合わない。テレビで見ていた国民は、肩すかしを食って虚しさを感じただけだった。

しかし政府はエビデンスがないにもかかわらず、GO TO トラベルの一部停止に踏み切った。札幌市と大阪市をキャンペーンの対象から外し、東京都民も高齢者や持病のある人は利用を控えてほしいと言っている。だが、この程度の修正でコロナの拡大を止められるのだろうか。多くに人が不安を感じているようだ。

GO TO トラベル政策の運用に関心を持っているのは、なにも旅行を計画している人だけではない。買い物に出かけたり、外食をしようと考えている人たちも、日ごろから大いに気にしている。そういう一般人のGO TO トラベルに対する印象は、政府が発する青信号だ。なにしろ政府がおカネを出してまで旅行を奨励する政策なのだから、赤信号ではありえない。

したがってGO TO トラベルの一部が停止されても、青信号が消えたとは感じられない。あの緊急事態宣言の当時に比べれば、人々が移動することの危険度はまだまだ低い。こう感じる人が多いから、街中の人出も大きくは減らない。つまりGO TO トラベル政策はそれをを利用する人より、一般の人に対する心理的な影響度の方がはるかに大きい。このことを計算に入れないと、政府のコロナ対策は失敗するだろう。

       ≪3日の日経平均 = 上げ +8.39円≫

       ≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (39)
2020-12-05-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本の死亡者数が過去最多に = 世界の感染者は6450万人を超えた。人類のほぼ1%が感染したことになる。死亡者は150万人に達した。最も状態が悪いアメリカは感染者が1392万人、死亡者は27万3848人に。1日で3000人が亡くなっている。次いでブラジルの感染者は643万人、死亡者は17万4515人。インドは感染者が953万人、死亡者が13万8648人という状況だ。パンデミック(世界的大流行)は衰えていない。

続いてメキシコの死亡者は10万人台。イギリスは6万人の寸前。イタリア・フランスが5万人台。イラン・スペイン・ロシアが4万人台の死亡者を出している。アメリカ・イギリス・ロシア・中国では、ワクチンの本格的な接種が始まった。その効果は、いつごろ現われるのだろう。オリンピックまでに、間に合うのだろうか。

日本の状況も、急速に悪化した。4日午前0時の集計によると、感染者数は15万6683人。前週と比べて3万人近くも増加している。特に死亡者の数が急増した。死亡者の累計は2274人となり、前週より196人増加している。第1波がやってきた4月下旬に記録した1週間137人を大きく上回ってしまった。

死亡者が増えたのは、高齢者の感染が多かったためだと思われる。その原因に、GOTO トラベルやGO TO イートがあったのではないか。菅首相は「そのエビデンス(証拠)は認められない」と主張しているが、国民の多くは「関係あり」と考えているだろう。政府がいま対応を誤ると、政権の支持率を急落させる危険性がある。

        ≪4日の日経平均 = 下げ -58.13円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     


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今週のポイント
2020-12-07-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ ダウは再び3万ドル乗せ = 世界の株価は11月、そろって大幅に上昇した。ダウ平均は11.8%と34年ぶりの上昇率。英FTは14%、独DAXは15%。なかでも日経平均は15.04%の上昇を記録した。アメリカの大統領選挙が終わり、コロナ・ワクチンの接種が始まることが株高の主因となっている。この流れを継いで、先週もダウは308ドルの値上がり。再び3万ドル台を回復した。

日経平均は11月、3456円も上昇した。月間の上げ幅としては30年ぶりの大きさだった。外国人投資家が出遅れ株に目をつけ、大幅に買い越している。国内の個人投資家は、むしろ売り越した。12月に入ると利益確定売りも増えたが、それでも先週は107円の値上がり。

先週の金曜日、アメリカでは11月の雇用統計が発表された。その内容は予想を裏切るものだったが、株価は上昇した。雇用の回復が遅れれば、政府の景気対策が膨張するという論理だ。ここからも判るように、市場は財政支出に期待をかける。その期待とコロナ不況との綱引きが、これから始まる。

今週は7日に、10月の景気動向指数。8日に、10月の家計調査と毎月勤労統計、7−9月期のGDP確定値、11月の景気ウオッチャー調査。9日に、10月の機械受注。10日に、10−12月期の法人企業景気予測調査、11月の企業物価。アメリカでは10日に、11月の消費者物価。11日に、11月の生産者物価、12月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が7日に、11月の貿易統計。9日に11月の消費者物価と生産者物価を発表する。

       ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ
         

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財源に触れず 菅経済ビジョン
2020-12-08-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ グリーン&デジタルは結構だが = 菅内閣の長期経済ビジョンが明らかになった。①50年までに温暖化ガスの排出をゼロにする目標に向けて、技術革新に投資する企業を支援するために2兆円の基金を創設②デジタル化を促進するため1兆円の予算③コロナ対策として営業時間を短縮する企業への支援金1兆5000億円――がその骨子。要するにコロナ対策を実施しながら、「グリーン化とデジタル化」で日本経済の再建を図る。きょうの閣議で正式に決定する予定だ。

ひと口に「グリーン化」と言っても、その範囲は広い。再生可能エネルギーや原発の扱いから、EV(電気自動車)や燃料電池の開発まで。同様に「デジタル化」も、遠隔通信から6Gの技術、ロボットから宇宙開発までが含まれる。いずれも日本の将来を決定づける重要な分野だから、ここに着目した政策は正しい方角を向いていると言えるだろう。

ただ範囲が広いだけに、予算はバラマキ型になりやすい。中核的な部門に、資源を集中すべきだろう。それと財源の問題は、どうするのか。すでに政府は20年度に2回の補正予算を編成、合計57兆円の支出を決定済み。さらに第3次補正で20兆円程度の追加支出を決める予定。そこにグリーン化、デジタル化ガ加わることになる。

コロナという不測の事態に直面したので、すべて仕方がないことは確かだろう。だが、それにしても財源はどうするのか。国債を増発して日銀が引き受ければ、それで済むのか。菅首相は長期ビジョンを発表した記者会見で、財源には一言も触れなかった。記者側からも、財源を聞く質問は出なかった。これでいいのだろうか。

       ≪7日の日経平均 = 下げ -203.80円≫

       ≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ

             
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がんばれ 公明党 : 高齢者医療費
2020-12-09-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 「参院選後なら」は頂けないが = 75歳以上の後期高齢者が、医療機関の窓口で支払う自己負担金が引き上げられる。現行は医療費全体の1割だが、これが2割負担となることは確実。ただ2割負担となる人を収入いくら以上の人にするかで、いま政府・与党が大揉めに揉めている。菅首相は「年収170万円以上」に固執しているが、公明党は「240万円以上」を主張。自民党内にも、公明党に同調する声が強まっているからだ。

高齢者の自己負担金を引き上げるのは、現役世代の重荷を和らげるため。後期高齢者の医療費は現在、その4割を健康保険組合が分担している。ところが団塊の世代が75歳に達すると医療費が急増、健康保険料を支払っている現役世代の負担が重くなる。これを軽減することが目的で、政府は来年の通常国会に法案を提出、22年度から実施する方針だった。

ところが22年夏には、参院選が予定されている。そこで公明党は、まず「参院選後の実施」を強く要求。さらに引き上げの対象者も「240万円以上」に緩和するよう申し入れた。菅首相が主張する「170万円以上」だと、引き上げの対象者は520万人。公明党の「240万円以上」だと200万人に減る。

いま高齢者はコロナの感染に怯え、外出もままならない。年金の支給額も実質では減らされた。だから公明党には「がんばれ」と応援したくなるだろう。しかし「参院選のあとならいい」という言い分は、いささか頂けない。あまりにも、見え見えすぎる。それより「もっと時間をかけて引き上げる」とか「85歳になったら再び1割負担に戻す」とか。もう少しチエを出してもらいたいものだ。

       ≪8日の日経平均 = 下げ -80.36円≫

       ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ

             
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線香花火の消費支出 : 10月
2020-12-10-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 前年比プラスは一瞬に終わる公算 = 家計の消費支出が、1年ぶりに前年の水準を上回った。総務省が8日発表した10月の家計調査によると、単身を除く世帯の消費支出は平均28万3508円。前年より1.9%増加した。10月はコロナの感染拡大が下火になり、GO TO キャンペーンが実施されたため、旅行や外食などのサービス消費が上向いた。

モノの消費も伸びている。たとえば冷蔵庫や洗濯機などの家庭用耐久財に対する支出は67.9%も増加している。また食事代も0.7%ではあるが、13か月ぶりに前年比でプラスとなった。こうしてコロナの蔓延で暗闇に包まれていた個人消費には、久しぶりに明るさが戻った形。だが全く安心は出来ない。

まず昨年10月には、消費税が10%に引き上げられた。したがって、19年10月の消費支出は前年比で2.0%減少している。仮に消費増税に伴う消費の減退がなかったとしたら、ことし10月の消費支出が前年比でプラスになったかどうか。微妙なところである。また11月以降は、再びコロナの再拡大が始まり、不要不急の外出や店舗の営業時間短縮が要請された。

このため11月以降は。再び消費支出の前年割れを覚悟しなければならない。要するに10月の消費回復は、いわば一瞬の明るさ。線香花火の火はすぐ落ちて、再び暗闇に包まれる。するとGO TO 政策は何だったのか。国民の多くが首をかしげ、菅内閣の支持率が急落。その理由が家計調査からも、読み取れる。

       ≪9日の日経平均 = 上げ +350.86円≫

       ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ


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百合子知事 国を牽制 : ガソリン車ゼロ
2020-12-11-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 東京だけの問題ではない = 小池東京都知事は8日の都議会で「30年までに都内で販売する新車をすべて電動車にする」と発言した。電動車というのは、EV(電気自動車)・ハイブリッド車・燃料電池車の総称。つまりガソリンだけで走る車はなくすという意味だ。これまでは「30年までに電動車を50%にする」ことを目標にしてきたが、それを大幅に強化することになる。

その理由について、小池知事は「ガソリン車の廃止は世界の潮流であり、大都市の責務だ」と述べている。たしかにイギリスは30年にガソリン車を販売停止。アメリカのカリフォルニア州と中国は、35年までに販売を禁止。フランスは40年までに販売禁止する方針を正式に発表した。

これに対して日本政府は「30年代の半ばにガソリン車の販売をゼロにする」目標を掲げている。こうしたなかで440万台の自動車を保有する東京都が率先して目標を前倒しし、政府の尻を引っぱたいた形となった。小池知事としては「私が総理大臣だったら、こうするよ」という姿勢も見せつけたかったに違いない。

その姿勢には、拍手を送りたい。しかし東京都だけで、この問題は解決できない。たとえば都民が他県でガソリン車を購入することは防げない。もっと重大なことは、ガソリン・エンジンや周辺機器を製作している中小の部品メーカーをどう救済するか。国が関与しなければならない問題が多数ある。小池知事は「唯我独尊」ではなく、国を「巻き込む」姿勢でコトを進めてもらいたいものだ。

       ≪10日の日経平均 = 下げ -61.70円≫

       ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ

             
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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (40)
2020-12-12-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本の死亡者は5月の2倍を超えた = 世界の感染者は6900万人、死亡者は160万人に接近した。アメリカは感染者が1535万人、死亡者は28万9451人に。相変わらず最悪の状態が続いている。入院者は10万人に達し、各地で医療崩壊の声が。サンフランシスコ市でも外出規制が実施された。一方、ヨーロッパでは都市封鎖の効果が出始め、各国の感染者はひとまず頭打ちの状態となっている。

ブラジルは感染者が672万人、死亡者は17万8995人。インドは感染者が976万人、死亡者は14万1772人と増え続けている。死亡者だけをみると、メキシコが11万人台、イギリスとイタリアが6万人台。フランスとイランが5万人台に増加した。続いてスペインとロシアが4万人台となっている。

日本の感染者数は11日午前0時の集計で、累計17万3128人に。この1週間で1万6445人増えた。死亡者の累計は2526人、この1週間で252人の増加となった。第1波が襲った5月は、1か月で441人が亡くなっている。これが月間では最多の記録。ところが10日までの2週間で死亡者は448人に達した。5月を2倍以上も上回る多さとなっている。

北海道と大阪市には、自衛隊が派遣される事態となった。にもかかわらず、政府はまだGO TO キャンペーンに固執している。GO TO 政策が「感染を拡大しているエビデンス(証拠)はない」というのが、その理由。しかしGO TO は政府が“青信号”を出し続けているエビデンスと受け取る人も多く、外出自粛の要請をしても効果が限られる。政府の判断ミス、その責任はだれが取るのだろうか。

       ≪11日の日経平均 = 下げ -103.72円≫

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今週のポイント
2020-12-14-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ カネ余り時代の株価調整 = 株価は11月の上げが急ピッチだったため、さすがに一服した。ダウ平均は先週172ドルの値下がり。日経平均も99円の下落だった。だが高値警戒による調整にしては、下げ幅が小さい。これは株価が少し下がると、たちまち買いが入るからだ。要するに、カネ余り時代の調整は小幅になるということか。この調整不足が、今後の株価にどう影響するかは不明である。

新型コロナ・ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)は衰えず、景気は二番底に落ち込む様相を呈してきた。このためECB(ヨーロッパ中央銀行)は先週、量的緩和の拡大を決定。国債などの買い入れワクを5000億ユーロ増大した。アメリカでもFRBが今週15-16日に政策決定会合を開き、同様の決定を下すかもしれない。その予想が強まれば、ダウは3万ドルを踏み固めることになるだろう。

日本でも、GO TO 政策の抜本的な見直しが行われそうだ。しかし日銀がこれ以上の緩和に踏み切れるかは、かなり疑問だ。さらにFRBが一層の緩和を決めれば、ドル安・円高が進みやすい。先週から外国人投資家は売り越しに回っており、東京市場がニューヨークに追随して行けるかどうか。

今週は14日に、12月の日銀短観、10月の第3次産業活動指数。16日に、11月の貿易統計、訪日外国人客数。18日に、11月の消費者物価。アメリカでは15日に、11月の工業生産。16日に、11月の小売り売上高。17日に、11月の住宅着工戸数。また中国が15日に、11月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ


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先行き 回復せず : 日銀短観
2020-12-15-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 中小・非製造業は再び谷底へ = 日銀は14日、12月の企業短期経済観測調査を発表した。それによると、大企業・製造業の業況判断指数はマイナス10で、前回9月の調査結果より17ポイント改善した。大企業・非製造業もマイナス5で7ポイント改善している。この調査は全国9500社を対象に「前回より業況が良くなった」という回答から「悪くなった」という回答を差し引いた割合。11月11日-12月11日に実施されたため、コロナの感染が下火になったことを反映している。

中堅企業と中小企業の判断指数も改善した。中堅企業では、製造業がマイナス17で17ポイントの改善。非製造業がマイナス14で9ポイントの改善。また中小企業では、製造業がマイナス27で17ポイント、非製造業がマイナス12で10ポイントの改善となっている。いずれも改善はしたものの、まだプラスの領域には頭を出していない。

重要なのは、これから先の見通し。3か月後の予想をみると、大企業では製造業が2ポイントの改善を予想している。しかし非製造業は1ポイントの悪化。さらに中堅企業と中小企業は、製造業も非製造業も「悪化する」と回答した。特に中小企業・非製造業は8ポイントも悪化、マイナス20ポイントと再び9月時点の状態に逆戻りする見通しだ。

コロナの感染は、12月に入ってから勢いを増している。つまり、この調査がほぼ終了してからだ。したがって仮に現時点で同じ調査を実施すれば、企業の先行き見通しはもっと悪化するに違いない。しかも企業の業況が9月時点に逆戻りすると言っても、企業が受ける打撃の大きさは当時をはるかに上回るだろう。すでに疲弊している企業は、耐久力が失われてしまっているからだ。

       ≪14日の日経平均 = 上げ +79.92円≫

       ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ

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ボーナスに見る 業種格差
2020-12-16-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ コロナの影響がきつい非製造業 = 日経新聞が冬のボーナス調査を発表した。対象は上場企業を中心に、有力な非上場企業を加えた514社。その平均支給額は76万1786円だった。前年比では8.55%の減少。80万円を割り込んだのは6年ぶり。リーマン・ショック後の09年に次ぐ過去2番目の減少率だった。コロナ不況が原因であることは明らかだが、その影響は特に非製造業に色濃く出ている。

製造業だけをみると、平均のボーナス支給額は79万7750円。前年比6.55%の減少だった。一方、非製造業は66万3557円。前年比14.6%の減少だった。製造業の平均年齢が38.5歳なのに対して、非製造業は40.0歳。年齢が高いのに、ボーナスは低い。ただ製造業でも、鉄鋼は23.73%、石油は13.19%と大きく減少している。

非製造業で大きくボーナスが減ったのは、鉄道・バスの23.73%減少。次いで外食・その他のサービスが19.37%の減少など。航空輸送ではANAがボーナスなし。日航が80%の減少と厳しい。全体としてみても、4社に1社が前年比2ケタのマイナス支給となっている。

経営者にボーナスを減らした理由を聞くと、「業績不良」と「今後の見通しが不明瞭」が圧倒的に多かった。だとすると、やはりコロナ感染の終息が見えてこない限り、ボーナスの増額は期待できないだろう。政府はGO TO 政策の見直しにとどまらず、コロナ抑制に全力を傾ける方が経済再生の近道かもしれない。

       ≪15日の日経平均 = 下げ -44,60円≫

       ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ


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化け物になった 日本銀行 
2020-12-17-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 上場2100社の大株主 = 日銀の発表によると、12月10日時点のETF(上場投資信託)保有額は35兆2174億円に達した。この数字は買い入れ価格の合計だから、時価にすると45兆円を上回る。東証1部の時価総額の6%を超える膨大な金額だ。これまで最大の株式保有者はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)で、その保有額はおよそ44兆円。これを抜いて、日銀が日本最大の株式保有者になったと思われる。

日銀がETFを買い始めたのは13年4月。そのときは年間1兆円の購入枠を設定した。しだいに購入枠を拡大、ことし3月にはコロナ不況に対応するため12兆円まで広げている。実際にことしは10月半ばまでに6兆円以上のETFを購入した。この結果、日銀は上場企業の100社以上で筆頭株主に。また2100社で上位10位以内の大株主となっている。

市場にとっては、正に巨大な化け物の出現だ。そして、この化け物はいろいろな問題を惹き起こしている。たとえば6月末時点でみると、アドバンテストでは24.4%、ファストリでは20.3%、TDKでは19.8%の大株主に。だが、この大株主は保有株を売ることがないうえ、文句も言わない。経営者にとっては、こんな好ましい株主はないだろう。

しかし需給で決まる市場の株価が、大きく歪められることは確かだ。またETFのなかには経営不振の企業も含まれるが、その株価は下がりにくくなる。外国人投資家のなかには、こうした日銀の突出を嫌って、投資を手控える傾向さえあるという。さらに日銀は最終的に、保有株をどのようにして売り戻すのか。世界のなかでも日銀だけがやっている、中央銀行による株式の買い入れ。副作用の大きさを考えると、そろそろ限界ではないだろうか。

       ≪16日の日経平均 = 上げ +69.56円≫

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ


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「オリンピックは 中止すべきだ」
2020-12-18-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ びっくり! NHKが世論調査 = NHKが15日朝のニュースで、オリンピック開催に関する世論調査の結果を放送した。それによると「開催すべきだ」と答えた人は27%で「開催すべきでない」と答えた人の32%を下回った。さらに「再び延期すべきだ」という答えが31%で、全体の63%が来年夏のオリンピック開催に反対している。

実は一般市民の多くも「来年夏のオリンピック開催は難しい」と考えているのではないか。コロナ蔓延の現状やワクチンの普及状況などから、そういう感じを深めているのが現実だろう。ただオリンピックを目指して練習に励んでいるアスリートたちに遠慮して、大声では言わないだけだ。だからNHKの世論調査の結果に、びっくりしたわけではない。

オリンピック開催に関する予想は、マスコミも同じだろう。ただしマスコミの場合は、これまで東京オリンピックの開催を盛り上げてきただけに、どうしても反対はしにくい。特に多くの映像を活用できるテレビはそうだ。テレビのなかでもNHKは、最大の放映権料を支払い、最大の映像を獲得する。

そのNHKが世論調査とはいえ、こんな結果を報道したことがびっくり。また「オリンピックを開催できると思うか」ではなく、「開催するべきか」と聞いたことに2度びっくり。さらにこの世論調査の結果は朝の番組だけで、昼以降のニュースでは伝えなかったことに3度びっくりした。

       ≪17日の日経平均 = 上げ +49.27円≫

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (41)
2020-12-19-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ アメリカは制御不能、ワクチン頼みに = 世界の新型コロナ感染者は7422万人、死亡者は164万9000人に達した。特にアメリカの状態が最悪。日本時間18日午前0時の集計でみると、感染者は1688万人、この1週間で159万人も増えた。死亡者は30万7543人、1万8000人も増加している。主要都市のほとんどが厳しい規制に踏み切ったが、感染拡大の勢いは止まらない。制御不能の状態に陥ったとみられ、あとはワクチンの効果に期待するしかないようだ。

死亡者の状況をみると、ブラジルが18万3735人。インドが14万4451人。次いでメキシコが11万人台。イタリアとイギリスが6万人台。フランスとイランが5万人台。スペイン・ロシア・アルゼンチンが4万人台など。いずれも増加の勢いは衰えていない。注目されるのは第1波のときは抑制に成功したドイツが感染者の増大に苦しみ、死亡者も2万人台に乗せたことだ。

日本の状態も良くない。感染者は19万1648人。この1週間で1万8520人増えた。死亡者は2806人で、280人増加している。感染者も死亡者も急増したため、政府はやっとGO TO 政策を停止、外出自粛を要請することになった。判断が遅れたことは明らかで、年明けの状態がどうなるか。きわめて注目される。

お隣り韓国でも、感染が拡大している。感染者数は4万6000人、死亡者は1週間に70人増えて634人になった。日本よりはまだ軽症と言えるが、それでもPCR検査の拡充や病室の確保に懸命の努力をしている。ドイツや韓国の対応策に比べると、日本の対策はどうも手ぬるいように感じられるのだが。

       ≪18日の日経平均 = 下げ -43.28円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     


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今週のポイント
2020-12-21-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ コロナvs財政出動の綱引き = 日米の株価は、ともに揉み合いのなかで小幅に上昇した。ダウ平均は先週133ドルの値上がり。木曜日には史上最高値を更新したが、金曜日には反落した。日経平均は111円の値上がり。値動きが極端に小幅となり、値幅が80円を超えた日はなかった。クリスマスや年末年始を控えて、市場は早くも休み支度のようだ。

先週は日米の中央銀行が、ともに政策決定会合を開いた。ここでFRBは「完全雇用が達成されるまで、量的緩和を続ける」と表明。日銀は「企業に対する資金繰り支援を延長する」と発表した。だが市場は全く反応しなかった。要するに「もう金融政策は限界にきている」と判断したわけだ。すると残るは財政出動のみ。

アメリカでは、議会でようやく9000億ドルのコロナ対策費が可決されそう。日本でも21兆8000億円の第3次補正予算が編成された。市場ではこれとコロナ拡大が綱引きをしている様相。感染者が増加すればコロナが勝ち、ワクチン関連で良いニュースが出ればコロナが負ける展開となっている。

今週は24日に、11月の企業向けサービス価格。25日に、11月の労働力調査、商業動態統計、住宅着工戸数。アメリカでは22日に、7-9月期のGDP確定値、11月の中古住宅販売。23日に、10月のFHFA住宅価格、11月の新築住宅販売が発表される。

       ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ


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もう限界! 金融緩和政策
2020-12-22-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 市場に見限られた中央銀行 = 第2波・第3波のコロナ不況に対応するため、各国の中央銀行は改めて金融緩和政策の深掘りを要請されることになった。このためFRBと日銀はいずれも先週、政策決定会合を開いて具体的な対応策を検討した。しかし日米の中央銀行はともに効果的な対策を打ち出せず、株式市場もほとんど反応しなかった。

FRBが16日の決定会合後に発表した声明では「雇用の最大化と物価安定の目標に向けて著しい進展があるまで、量的緩和政策は続ける」とあった。要するに「コロナ不況が終息し経済が安定成長の状態に戻るまで、いまの政策を維持する」というわけだ。だが多くの人たちは「これは当然だ」と考えているし、これで中央銀行による資金の供給量が増えるわけでもない。そこで、その日のダウ平均は45ドルの値下がりとなった。

日銀が18日に発表した内容は、①緩和政策の点検を行う②国債やETFの購入方法を見直す③企業の資金繰り支援策は来年9月末まで延長する――というもの。政策の点検は常に行うべきだろうし、資産購入の方法をどう見直すのか判然としない。こちらも全くインパクトに欠け、その日の日経平均は43円の値下がりとなった。

たとえば日銀の場合、金利はゼロまで下げている。量的な緩和も、国債の買い入れは無制限に。だから、これ以上の緩和はもう無理だ。ETFの購入などは余地があるものの、市場に及ぼす悪影響を考えると安易には増やせない。中央銀行による金融緩和政策はもう限界。景気対策は財政支出に頼るほかない。いま市場関係者の多くは、こう考え始めた。

       ≪21日の日経平均 = 下げ -48.97円≫

       ≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ

           
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怠慢! モノ言わぬ経済学者たち (上)
2020-12-23-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 財政の急膨張は大丈夫なのか = 政府の財政支出が、異常に膨らんでいる。20年度の当初予算は102兆6500億円だった。しかし3回にわたって補正予算を組んだ結果、財政支出の総額は175兆6900億円に膨れ上がっている。この大きさは10年前の予算規模の2倍に近い。新型コレラ・ウイルスの出現に見舞われたとはいえ、想定外の異常な事態に陥ったと言えるだろう。

異常な事態は21年度も続くと覚悟しなければならない。政府は21日の閣議で21年度予算案を決定したが、その総額は106兆6097億円。20年度の当初予算より4兆円近くも増えている。社会保障費や防衛費、さらにコロナ対策費の支出が増大した。コロナが早期に終息する可能性は小さいから、21年度も複数回の補正予算が必要になり、最終的な支出総額が20年度並みに近づくことは必至とみられている。

問題は財源。コロナ不況で税収も減っているから、国債の発行に頼らざるをえない。20年度は3回の補正予算を含め、国債の新規発行総額は112兆5540億円にのぼった。さらに21年度の国債発行額は45兆5970億円を予定している。これだけ多くの国債が発行されると、国債の価格が下がって金利が上昇するはず。しかし日銀がその大半を引き受けてしまうから、金利は上がらない。だが、こういう状態は長続きするのか。大問題は生じないのか。

アメリカでは、以前からMMT(現代貨幣理論)という学説が広く流布されている。簡単に言ってしまえば、政府がいくら国債を発行しても中央銀行が買い取れば問題はないという学説だ。もちろん、この学説には反対論も多い。だが先進諸国の現状をみると、いまのところはこの学説が正しいようにみえないこともない。経済学者としては、興味津々のテーマに違いない。だが日本の経済学者からは、ほとんど意見が聞こえてこない。

                      (続きは明日)

       ≪22日の日経平均 = 下げ -278.03円≫

       ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ


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怠慢! モノ言わぬ経済学者たち (下)
2020-12-24-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ なぜインフレにならないのか? = 政府がどんどん国債を発行して財政支出を増やしても、その国債を中央銀行が買ってしまえば大丈夫。--というのがアメリカで賛否両論があるMMT(現代貨幣理論)。だが、このMMTも1つの条件を付けている。それは「インフレを起こさないこと」だ。インフレが起きてしまうと、この理論は成り立たなくなると断っている。

中央銀行が超緩和政策を続ければ、世の中には膨大なおカネが出回る。モノやサービスの供給が一定なとき、通貨の量が増えれば物価は上昇する。これは経済学のイロハのイだ。しかし現実問題として、いまおカネはじゃぶじゃぶなのに物価は上がらない。11月時点でみると、日本の消費者物価は前年比で0.9%の低下。アメリカは1.2%の上昇で、きわめて落ち着いている。

物価の落ち着きについては、政府も日銀も「国民がデフレ心理から抜け出せないからだ」と説明している。だが、はたしてそうなのか。アメリカでも同様の現象が起きているが、デフレ心理のアメリカ人などとは聞いたことがない。要するに、実体経済には十分なおカネが回っていないのだろう。

たとえば、日本政府は20年度に175兆円もの財政資金を放出する。だが、このおカネは最終的にどこにたどり着くのか。その大半が企業や家計の貯蓄になって使われなければ、インフレは起きない。と同時に、景気を浮揚する力も大きくはならない。ということは、現在のような景気対策では効果が鈍いのではという疑問にもつながる。経済学者が研究すべき題材にはコト欠かない。それなのに、日本の経済学者は、口を閉じたままだ。

       ≪23日の日経平均 = 上げ +88.40円≫

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ


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上場会社を 全部買える
2020-12-25-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 個人が保有する現金・預金は1034兆円 = 日銀が21日発表した資金循環統計によると、9月末時点で家計部門が保有する金融資産の総額は1901兆円だった。この1年間で2.7%増えている。その内容は現金が97兆4000億円で、前年比5.8%の増加。預金は937兆円で4.8%の増加だった。また株式は181兆円で1.8%の減少、投資信託は72兆円で1.6%の増加となっている。

現金と預金の合計額は1034兆円。特に現金、つまりタンス預金の増加が著しい。コロナ対策で1人一律10万円を支給したことが、大きく影響したと考えられる。しかし、この統計は資金の流れだけを捉えており、一律給付がどれだけ現金保有の増加に寄与したかは判らない。それでも相当の部分が現金で保有されたとすれば、一律給付が本当にコロナ対策に役立ったのか。疑問が残る。

それにしても、1034兆円という金額は驚くべき大きさだ。たとえば政府が編成した来年度予算案は106兆円、比べてみればとても小さく見える。また日本のGDPはおよそ500兆円。さらに東証1部に上場している2160社の時価総額は670兆円。すべての株を購入しても、十分にお釣りがくる。

政府はこれまで個人が保有する現金・預金を、株式などの投資に向けさせようとする政策を講じてきた。しかし個人が保有する巨額の現金・預金は増え続けているから、政策が奏功したとは言い切れない。投資に向けさせようとするだけではなく、なぜ個人が現金・預金を増やし続けるのか。その原因を究明する必要があるのではないか。

       ≪24日の日経平均 = 上げ +143.56円≫

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ≫ 


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (42)
2020-12-26-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 油断できないコロナ・ウイルスの変異 = イギリスで、新型コロナ・ウイルスの変異種が次々と発見された。まず感染力が従来のものより70%も強い変異種が見付かり、直後にこんどは感染力がさらに強い南アフリカ由来の変異種が確認された。これらの新しいウイルスに対しても、ワクチンは有効だという。しかし専門家は、ウイルスは何度か変異するとワクチンが利かなくなる可能性が大きいと警告している。

パンデミック(世界的大流行)は収まるどころか、むしろ勢いを増している。世界の感染者は7800万人を超え、死亡者は173万人に達した。最も状況が深刻なアメリカは、感染者が1846万人。死亡者は1週間に1万8000人も増えて、32万6242人にのぼっている。大都市では封鎖されたところも多く、さんざんなクリスマス休暇となった。

このほか日本時間25日午前0時の集計でみると、死亡者数はブラジルが18万人台、インドが14万人台。次いでメキシコが12万人台、イタリアが7万人台。イギリスとフランスが6万人台に乗せた。ヨーロッパでもコロナ拡散の勢いは衰えず、たとえばドイツの死亡者も2万人を超えた。メルケル首相は「第2次大戦以来の危機だ」と宣言している。

日本の状況も急速に悪化している。感染者は21万1437人、この1週間で1万9789人増加した。死亡者は3136人、1週間で330人も増えている。医療専門家は連日のように“警告”を発しているが、政府の対応はきわめて鈍い。あわててイギリスからの入国を禁止したが間に合わず、変異ウイルスは日本にも上陸してしまった。

       ≪25日の日経平均 = 下げ -11.74円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   


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今週のポイント
2020-12-28-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 大きくは動けない株価 = ダウ平均は先週21ドルの値上がり。日経平均は107円の値下がりだった。株価は上にも下にも、大きくは動けない。新型コロナ・ウイルスと景気対策が綱引きをしているうえに、クリスマス・正月休みが加わったためである。市場ではコロナが拡大すると景気関連株が売られ、デジタル株が買われた。景気対策が実現性を増すとデジタル株が売られ、景気関連株が買い戻されている。

アメリカでは9000億ドル(93兆円)にのぼる追加のコロナ対策予算が、ようやく議会で可決された。日本でも19兆円の第3次補正予算案が編成された。当然、株価にとってはプラス要因。だが、その一方で新型コロナも勢いを増している。このため日米ともに、10-12月期の景気は悪化する見通しだ。株価はその間にあって、一進一退している。

新しい材料は、コロナの変異株が次々と発見されたこと。しかしニューヨーク市場が金曜日は休みだったため、この材料は消化されていない。変異コロナは日本でも確認されたが、東京市場が終わったあとのニュース。したがって今週の市場は、この材料の評価から始めることになる。株価にとって、どの程度の悪材料になるのか。

今週は28日に、11月の鉱工業生産。アメリカでは30日に、11月の中古住宅販売。また中国が31日に、12月の製造業と非製造業のPMIを発表する。なお28日からGO TO トラベルが全国で停止。30日は東京市場の大納会。31日には、イギリスのEU離脱移行期間が終了する。

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ

          
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絵に描いた餅 : グリーン成長戦略
2020-12-29-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 出発点のない不思議な工程表 = 政府は25日、50年の温室効果ガス排出量ゼロを目指した「グリーン成長戦略」を発表した。洋上風力発電、次世代エネルギーとして期待される水素、自動車の電力化など14の重点分野に関する数値目標と政府の支援策を盛り込んでいる。温室効果ガス排出ゼロを成長の制約要因とはみず、新しい成長要因とみていることが大きな特色だ。

具体的には「再生可能エネルギーの電源比率を、50年には50-60%にまで引き上げる」「販売される新車を30年代半ばまでに、100%電気化する」と明記。さらに「洋上風力発電を40年までに、最大4500万㌔㍗まで増大させることを目指す」「火力発電を中心に、50年までに水素を2000万トン消費できるようにする」とも掲げている。まことに壮大な計画であると言えるだろう。

ただし、この計画には致命的な欠陥がある。30年後の目標を描き出したのはいいが、この工程表にはそこへ到達するまでの途中経過が全く書かれていない。たとえば21年、あるいは3年後、5年後には、どうするのか。それが欠落したまま、30年後の目標を並べても、絵に描いた餅に過ぎないだろう。

菅首相が「グリーン化とデジタル化」の大方針を突然打ち出した。それを裏付けるために、経済産業省が急きょ作成したのだろう。そのため洋上風力と水素が急に重視された。すると太陽光発電や原子力は、どうなってしまうのか。現在のエネルギー長期計画との整合性は、どうなるのか。21年の計画もなしに、50年の目標を掲げたのでは、鬼も笑うに笑えない。

       ≪28日の日経平均 = 上げ +197.42円≫

       ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ


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20年はいい年だった : 株式市場
2020-12-30-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ コロナで傷んだ世間とは対照的に = ことしの株価は新型コロナの流行で、年初から3月までは急落した。しかし、その後は年末まで大きく上昇した。財政支出の拡大と超金融緩和政策によって、大量のおカネが市中に放出されたからである。29日の日経平均を年初と比べてみると上昇率は16.5%だったが、3月の安値と比較すると上昇率は66.5%にも及ぶ。株式市場にとって、ことしはいい年だったと言えるだろう。

ダウ平均についてみると、年初来の上昇率は5.8%だったが、3月の安値比では62.4%も上昇した。年末は3万ドルを超え、史上最高値の水準で越年する。ただ日米ともに、株価は見事に二極化している。コロナ下でも成長できそうな銘柄には買いが集中、対応できない銘柄は置いて行かれた。この傾向は来年も続くだろう。

東京市場に関しては、やはり日銀の過剰な介入が目に余る。年間を通してのETF(上場投資信託)買い入れ額は、7兆円に達した。外国人投資家は3兆円ほどの売り越しだったから、その分を十二分に補っている。仮に日銀による買い入れがなかったとしたら、日経平均の動きはどうなっていたのだろう。

株式市場から目を転じると、世の中の景気は悪い。全体としての企業利益は縮小し、勤労者の実質所得も減った。倒産も増え続き、失業者も増大している。こうしたなかで、株価だけが大きく値上がりした。カネ余りがもたらしたこの現象。株価と実体経済の乖離と言ってしまえばそれまでだが、なんとも消化しにくい。

       ≪30日の日経平均 = 下げ -123.98円≫

       【今週の日経平均予想 = 2勝1敗】     

            
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