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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
世界同時不況の 足音 (下)
2018-11-01-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 新興国は大半があっぷあっぷ = 多くの新興国が、いま経済的な試練に苦しんでいる。アメリカの高金利につられて、国内から資金が流出。通貨が大きく値下がりして、物価が上昇。防衛のために金利を引き上げると、景気が悪くなってしまう。おまけに原油高まで加わった。アルゼンチン、ブラジル、トルコ、インドネシア、インド、南アフリカなど、いずれも悪戦苦闘の状態を続けている。

IMF(国際通貨基金)の推計によると、新興国からの資金流出は年間1000億ドルにのぼる。この規模は、10年前の通貨危機時に匹敵するという。だが新興諸国の経済力はこの10年間でかなり強固になったから、アルゼンチンを除けばなんとか持ちこたえているのが現状だ。タイやシンガポールなど、ほとんど影響を受けていない国もある。

一方、ヨーロッパ諸国も難題を抱え込んだ。来年3月に迫ったイギリスのEU離脱。だが離脱協定は、まだ全く整わない。イタリアの来年度予算案は、EUが放漫財政だという理由で承認しなかった。しかしイタリア政府は、予算案の修正を拒否している。さらにドイツでは、選挙で敗北を喫したメルケル首相が今期限りでの退陣を表明。政局は一気にきな臭くなった。ユーロ圏全体の景気も最近は下降気味。7-9月期のGDP成長率は0.6%に縮小した。

アメリカ、中国、ヨーロッパ、それに新興国の経済に、注意信号が灯った。そうしたなかで、日本だけが盤石ということはありえない。4-6月期の成長率は3.0%だったが、年度下半期の経済は鈍化する可能性が大きい。しかも日本の場合は、財政・金融面からの景気対策を打ち出す余地が限られている。来年10月の消費税引き上げも、困難になる可能性が否定はできなくなってきた。

       ≪31日の日経平均 = 上げ +463.17円≫

       ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ

               
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中間選挙のあとに来るもの ; アメリカ
2018-11-02-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 上院は共和党、下院は伯仲の見通し = アメリカでは来週6日、中間選挙の投開票が行われる。直前の世論調査では、上院は共和党の勝利がほぼ確実視されており、現状と変わらない見込み。一方、下院は民主党がやや有利だが、共和党の追い上げも激しく予断は許さない状況。現状は共和党が過半数を制しており、もし民主党が勝てば“ねじれ議会”が出現する。最大の見どころは、この1点に集中していると言っていい。

民主党が勝つと、どういうことが起きるのだろう。トランプ大統領は選挙戦を通じて、中間所得層を対象とする10%の減税。難民の流入を阻止するため、メキシコ国境に5200人の軍隊を派遣。トランスジェンダー(性同一性障害)の否定などを公約した。このうちメキシコ国境への軍隊派遣は、大統領の権限だけで可能。トランスジェンダー問題は、裁判に発展。減税は議会の承認を得ることが困難になるだろう。

株価の大幅な下落が暗示しているように、いまアメリカでは経済の先行きに対する警戒感が高まりつつある。そこで10%減税の実現性が薄れると、景気後退の可能性はいっそう強まるに違いない。そうなればFRBも利上げのテンポを緩めるから、ドル安・円高の公算が大きくなる。その半面、新興国からの資金流出は細くなるだろう。

共和党が下院でも勝った場合は、どうなるだろう。トランプ大統領はますます自信を深め、独自路線を突っ走るに違いない。中国やロシア、イランに対する姿勢はさらに強固に。10%減税で景気見通しは好転するが、FRBの引き締め計画は早まる可能性も。ドル高・円安の傾向が強まり、新興国からの資金流出は加速するかもしれない。日米貿易協議に対するアメリカの姿勢も、強硬になると予想される。

       ≪1日の日経平均 = 下げ -232.81円≫

       ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ


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一時しのぎの 消費増税対策
2018-11-03-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ その後のマイナスには知らん顔 = 政府・与党は、消費増税による景気の変動を平準化するための具体的な対策作りに乗り出した。その目玉の1つが住宅と自動車の減税で、自民党の税制調査会が今週から本格的な議論を開始している。住宅はローン残高の1%を所得から控除できるようにする案。自動車は取得時の税金と保有にかかる税金の免除ないし減額が検討される見込み。

また政府は公明党が強く主張しているプレミアム商品券の発行も、実現の方向で検討に入った。1人当たり2万円の割引商品券を発行、実際はこれで2万5000円分の買い物が出来るという仕組み。要するに何かの購入を条件として、1人当たり5000円の補助金を出すことになる。ただ所得制限を設けるかなど、重要な点がまだ決まっていない。

消費増税の前には、必ず駆け込み需要が発生する。増税後にはその反動で、消費が落ち込んでしまう。前回14年の引き上げ時には、この影響で景気が大きく落ち込んだ。その反省から、今回は消費の平準化対策に力を入れている。たしかに消費増税2%分が減税でチャラになれば、住宅や自動車の駆け込み需要はなくなるだろう。また割引商品券で、増税後の消費をある程度は底上げすることができるかもしれない。

だが最大の欠点は、これらの対策が期限付きなことである。たとえば1年後には、減税も商品券もなくなってしまう。すると住宅や自動車の購入者は、期限切れ前に駆け込むに違いない。商品券がなくなれば、消費も減退する。悪いことに、そのころはオリンピック需要もピークを過ぎる。消費税さえ引き上げられれば、あとのことは知ったことではない。いま政府・与党が力を入れている平準化対策からは、そんな側面もみえてくる。

       ≪2日の日経平均 = 上げ +556.01円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   


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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】
2018-11-04-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第6章 ニッポン : 2070年代

≪57≫ 3つの目標 = マーヤと並んで寝ながら、こんどはぼくの方から話しかけた。
――ちょうどいい機会だから、ぼくが考えている日本再生の方法論を説明しておこうか。

こう言った途端に、マーヤはすっくと立ち上がり照明を明るくした。
「そんな大事なことを寝ながら言ってはダメ。いまコーヒーを持ってくるから、ちゃんと起き上がって説明してください」

マーヤはテーブルに2つのカップを持ってきた。もちろん彼女は呑まないが、そうした方が雰囲気がよくなると考えているに違いない。最近はぼくの心情も、よく読み取ってくれる。ほんとうに素晴らしい嫁さんだ。

――君も知っているように、いちばん先に造ったのはガードマン型ロボットを生産するための工場だ。いまは月に300体のロボットを造って出荷している。博物館や宝石店だけでなく、銀行やデパート。最近では小さなコンビニ、警察にも納入した。海外への輸出も多くなってきている。

ぼくが日本に戻って感じたのは、治安の悪さだった。景気が悪くて失業者も多い。若者は将来に希望が持てない状況だから、仕方がないのかもしれない。だが治安が悪いと、日本はどんどん住みにくい国になってしまう。そこで、まず安全と安心を取り戻すことから始めようと決心したんだ。

「そう、昔の日本は世界で最も安全な国だったんでしょう。ダーストン国ほどではないにしてもね」

――日本をよくするために、もう1つ必要なのはエネルギーの安定供給だ。日本はそのほとんどを原油やLNG(液化天然ガス)の輸入に頼っている。しかし世界の原油埋蔵量は明らかに減ってきたし、逆に世界の消費量は急速に伸びている。だから原油価格は1バレル=250ドルにも跳ね上がった。

こんなに高い原油を輸入していたら、日本企業のコストは上がるばかり。家計も電気代やガス代の支払いが増えて、ほかにはおカネを使えない。消費が増えないから、景気はよくならない状態が続いていたんだ。それが君の尽力もあって、あの太陽光発電装置が普及し、状況は目に見えて改善しつつある。

「日本では、なぜ太陽光発電が普及しなかったのかしら」
――政府がエネルギー政策で、失敗を繰り返したからだと思うよ。でもウラノス博士の好意で、この問題は解決した。もう1つ大事なのは、食糧問題だ。治安とエネルギーと食糧。この3つがよくなったら、日本はきっと素晴らしい国になる。

                           (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2018-11-05-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ NYは27%、東京は34%の戻し = 株価は先週、大きく反発した。ダウ平均は週間583ドルの値上がり。日経平均は1059円の上昇だった。先々週までの大幅安に対する反動が原動力だったが、貿易戦争の収拾に向けて米中首脳が会談するというニュースも支援材料になった。週末には相変わらず堅調な雇用統計も発表されたが、賃金が予想以上に増えたため金利が上昇。株価はやや反落している。

10月初めの高値から先々週末までの4週間に、ダウ平均は2140ドル、日経平均は3086円下げている。先週の反発でダウ平均はその27.2%を、日経平均は34.3%を取り戻した。東京市場の方が大きく戻したのは、割安感が強かったことに加えて、円安が進行したためだろう。円の対ドル相場は、株価が高値を付けた10月初めの水準にほぼ戻している。

今週も株価の反発が続けば、年末にかけての見通しも多少は好転するかもしれない。しかし米中首脳が1回ぐらい会談して、貿易戦争を解消する糸口が掴めるのかどうか。また中間選挙の結果が、今後のアメリカ経済にどう響くのか。トランプ大統領の政治・外交姿勢が変わるのかどうか。市場が読むべき問題点は数多い。

今週は6日に、9月の家計調査。7日に、9月の毎月勤労統計と景気動向指数。8日に、9月の国際収支と機械受注、10月の景気ウォッチャー調査。アメリカでは5日に、10月のISM非製造業景況指数。9日に、10月の生産者物価と11月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が8日に、10月の貿易統計。9日に、10月の消費者物価と生産者物価を発表する。なお6日はアメリカの中間選挙

       ≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ


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トランプ大統領の 変心?
2018-11-06-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 選挙対策なの、本心なの? = トランプ大統領が、立て続けに予想外の政策を打ち出した。1つは習近平国家主席と会談して、米中貿易戦争の終結に努力したいという姿勢。もう1つは各国に強く要請していたイラン原油の輸入停止を、8か国に限って猶予するという方針だ。いずれも従来の強硬姿勢からは予想できなかった内容だけに、関係者はほっと一安心。株価も大きく上昇した。

米中首脳会談は、今月末にアルゼンチンで開くG20(主要20か国)首脳会議に合わせて行われる予定。これに先立ってトランプ大統領は1日、習主席と電話で協議し「貿易戦争の現状を打開するため、高官レベルでの話し合いを深めること」を確認した。中国側も「双方が受け入れ可能な方策を見出すべきだ」と応じている。

イラン原油の輸入停止は、今週5日から実施の予定だった。イラン原油の輸入に関係した金融機関はアメリカ国内での営業を禁止するという厳しい条件付きだったが、日本など8か国に対してはこの措置を180日間猶予することに。この8か国には、中国も含まれると伝えられる。原油価格の高騰を避けるための配慮だという。

10月に入って、世界の株価は大きく下落した。米中貿易戦争に対する懸念が、下落の大きな要因になっている。またアメリカ国内のガソリン価格が上昇、国民の不満が増大してきた。中間選挙を目前にして、株価の上昇とガソリン価格の下落を導く政策。トランプ大統領の真意は、選挙対策なのではないか。仮にそうなら、選挙後はどうなるのか。大統領の本心は、トランプ占いをしても判らない。

       ≪5日の日経平均 = 下げ -344.67円≫

       ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ


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急減速した 経済成長率 / ユーロ圏
2018-11-07-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ EUはまた受難の季節に = EU統計局の発表によると、ユーロ圏19か国の7-9月期の実質GDP成長率は年率0.6%にとどまった。前期は1.8%だったので、ちょうど3分の1に減速したことになる。四半期の成長率が1%を下回ったのは、4年ぶりのこと。過去5年半にわたってプラス成長を維持してきたが、10-12月期はマイナスに陥る可能性も出てきた。

このところユーロ圏には、内憂外患が重なった。外患はアメリカとの貿易交渉が長引き、トランプ大統領が自動車関税を発動する危険が増したこと。最大の輸出先である中国の経済不振。新興国の通貨下落など。また内憂はイギリスのEU離脱が難航、来年3月には無秩序のまま離脱する危険性が増大。イタリアが予算編成を巡ってEU本部と激しく対立。さらにEU最大の牽引車であるドイツが、メルケル首相の退陣表明で統率力を失ったこと・・・。

ECB(ヨーロッパ中央銀行)は、ことしの年末で量的金融緩和を終了。来年からは、中立ないしは引き締め気味の金融政策に移行する方針だ。しかし、こういう景気の状態では、金融緩和を終了しにくいのではないだろうか。すでに市場ではその予想が広がっており、ユーロ相場は下落している。このため円相場も、対ユーロでは上昇した。

世界経済の現状をみると、明らかに下降しているのは中国経済。大半の新興国も、自国の通貨防衛に悪戦苦闘している。一方、アメリカと日本はまだ好況を維持しているが、先行きはしだいに暗くなってきているのが実状。そこへユーロ圏の不振が加われば、全体の将来見通しは悪化せざるをえない。その意味では、ユーロ圏あるいはEU諸国の動きから目が離せない。

       ≪6日の日経平均 = 上げ +248.76円≫

       ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ


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“ねじれ議会”の 再来 / アメリカ (上)
2018-11-08-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 民主党が10年ぶりに下院を奪還 = アメリカの中間選挙は、上院では共和党が、下院では民主党が過半数を獲得する結果となった。民主党が下院を制したのは、オバマ大統領が誕生した08年の選挙以来。下院は財政支出や減税など予算に関係する法案の決定権を持っているから、トランプ大統領としては内政面ではかなり制約を受ける。その分、外交面で得点を挙げて、2年後の再選を目指すことになりそうだ。

今回の中間選挙は、トランプ大統領の信任投票だとも言われた。だが、この結果からは「信任された」とも「不信任だった」とも断定しがたい。過去の例をみると、新しい大統領は最初の中間選挙で、ほとんどが苦汁を飲まされている。近年でも、上下両院を制覇できたのはブッシュ(子)大統領だけ。ブッシュ(父)やクリントン大統領は、両院とも野党に支配されてしまっている。

オバマ前大統領も最初の中間選挙では、下院を共和党に奪われた。この結果、銃規制の強化や移民制度の改革、温室効果ガス排出規制などの政策が頓挫してしまっている。トランプ大統領は選挙戦のなかで「中堅所得層を中心に10%の所得減税を実施する」と公約したが、その実現は早くも難しくなったようだ。

一方、トランプ大統領は「移民の流入を抑えるため、メキシコ国境に1万2000人の軍隊を派遣する」と明言した。また、これまでの2年間では、通商面で関税率の引き上げを最大限に活用してきた。こうした政策は議会から攻撃されることはあっても、大統領権限で実行できるため、議会がねじれ状態になっても続行することが可能だ。

                             (続きは明日)

       ≪7日の日経平均 = 下げ -61.95円≫

       ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ


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“ねじれ議会”の 再来 / アメリカ (下)
2018-11-09-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 対中国の強硬姿勢は変わらない = “ねじれ議会”の出現で、トランプ大統領が完全に諦めざるをえなくなったのは、オバマケア(国民皆保険)の大幅な修正だろう。民主党が選挙戦で「オバマケアの死守」を最優先の公約に掲げてきたからである。またメキシコ国境にカベを築く政策も、民主党は反対しており、予算の獲得が困難になった。

一方、中所得層に対する所得減税は、成立の可能性がなくはない。民主党も基本的には賛成だから、トランプ大統領が民主党の修正要求に応ずれば、成立するかもしれない。中間選挙の結果が判明したとき、東京市場では減税不可能⇒景気下降⇒ドル安・円高の思惑が働いて、株価は下落した。しかしニューヨークの株価は、減税実現の可能性に注目して大幅に上昇している。

今後、トランプ大統領が2年後の再選を目指して、外交面に活路を見出そうとするのは明らかだ。その際に、得意の関税引き上げ戦術が中間選挙にどう響いたか。十分に検討するに違いない。もし物価を上昇させてしまい、有権者の批判を受けたと判断すれば、作戦は変更されるかもしれない。

ただし中国に対する強硬な姿勢は、変わらない公算が大きい。というのも、民主党もトランプ政権の対中強硬路線を支持しているからである。もし姿勢を軟化させれば、共和党内だけでなく民主党からも軟弱外交と突き上げられる可能性が強い。日本との貿易交渉は来年から始まるが、例によって最初は“脅し文句”が続発することだろう。

       ≪8日の日経平均 = 上げ +401.12円≫

       ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ


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消費は増えたのか減ったのか : 家計調査
2018-11-10-Sat  CATEGORY: 政治・経済
GDP統計にも影響する重大事件 = 総務省は6日、9月の家計調査を発表した。家計調査は、個人消費の動向を把握するための最も重要な経済指標。ところが、この発表をみても消費が増えたのか減ったのか、全く分からなくなってしまった。発表によると、2人以上世帯の9月の消費支出は平均27万1273円。実質ベースの前年比は0.5%の減少だった。さらに変動調整値は1.6%の減少と書いてある。その差はかなり大きい。

同時に発表された7-9月分の統計をみると、もっと分からなくなる。総世帯の消費支出は月平均24万2336円。前年比は1.1%の増加だった。ところが、ここでも変動調整値が飛び出してきて、これでみると0.4%の減少になってしまう。言うまでもなく、増加と減少では大違いだ。この変動調整値とは、いったい何なのか。

家計調査は全国9000世帯近くを対象に、総務省が毎月実施している大掛かりな調査。各世帯に家計簿のような調査票を配り、記入してもらっている。総務省はこの家計簿の様式を、ことし1月から手直しした。この修正によって結果に変動が生じたため、それを調整した数字が変動調整値だという。だが、どちらを信用したらいいのだろう。

個人消費はGDPの約6割を占める。したがって個人消費が増えるか減るかで、成長率が左右される度合いは大きい。そのGDPを計測する作業では、家計調査の数字が個人消費を計測するための基礎的な根拠に使われる。間もなく発表される7-9月期のGDP統計では、どちらの数字を採用するのだろう。低い方の数字が使われると、マイナス成長になる可能性もありそうだ。

       ≪9日の日経平均 = 下げ -236.67円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   


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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】
2018-11-11-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第6章 ニッポン : 2070年代

≪58≫ 自給率 = 「スーパーに行けば、肉でも野菜でも店頭にあふれかえっているじゃない。それなのに何で農水産用ロボットを造るのかしら」と、マーヤが真剣な顔をして聞いてきた。

――ぼくの若いころ、日本の食糧自給率は38%ぐらいだった。それが、いまでは30%前後まで落ちている。若い人が農業を敬遠し、多くの働き手が高齢化した結果だ。この傾向は今後もずっと続き、自給率はもっと下がって行く。

要するに日本は、いま必要な食糧の70%を外国から輸入している。それでスーパーの棚も、いっぱいになっているわけだ。ところが世界の人口は加速度的に増えている。すでに110億人を超え、22世紀になると150億人に達することは確実だよ。

「すると世界中で食糧が不足する。日本が輸入しようとしても、モノがなくなってしまう。それを貴方は心配しているわけなのね」
――その通りだよ。だから農水産用のロボットを量産して、ダーストン国のようにロボットが稲や小麦を育て、おにぎりやうどんまで作ってしまう。そして近い将来、自給率が75%まで上がることを目標にする。それが日本を素晴らしい国にするための3つ目の条件になると、ぼくは確信しているんだ。

「ロボットが農水産物を造れば、食品のコストは電気代ぐらいになってしまうでしょうね。スーパーに並ぶ商品も、すごく安くなるはずだわ」
――いや、このシステムが完成したら、コメ・うどん・パンなどは全部タダで国民に配るんだ。個人の家でも飲食店でも、注文すれば無料でドローンが届けてくれるようにしたい。

ダーストン国では食糧だけでなく、生活必需品はすべて無料で入手できた。そこまではムリとしても、主食やよく食べる魚や野菜は無料化したいものだ。そうすれば若い人たちも安心して子どもを産むようになり、少子化も改善されるに違いない。

またロボットが普及して行くと、それだけ人間の職が奪われる。でも食料費がタダ同然になれば、社会不安が起きることもない。食品の生産や配送に従事してきた人たちは、時間をかけてゆっくり老人介護など他の職業に移って行けばいい。

「なんだか貴方が偉い政治家に見えてきたわ。でも、いまの政治家たちは、食糧不足を心配していないのかしら」
――心配している人はいるけれども、どうやったらいいのか手段が見付からないんだ。優秀なロボットの量産なんかできないからね。僕らには、それが出来る。ロボットさまさまだよ。

                           (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2018-11-12-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 焦点は金利と貿易戦争に = ニューヨーク市場の株価は、中間選挙の結果を受けて予想以上の値上がりをみせた。ダウ平均は週間718ドル上昇して、再び2万6000ドルのラインに戻している。低所得層への減税や公共事業支出の増加は民主党も賛成しているから、実現の可能性が強い。この思惑が買い材料になったようだ。だがトランプ大統領と民主党との調整が、直ちに出来上がるはずもない。過剰な期待感が先行したようにも感じられる。

日経平均は先週7円の値上がりにとどまった。ニューヨークが大幅に上げたのに東京が足踏みしたのは、中国経済の明らかな失速を警戒したためだろう。実質GDP成長率は、7-9月期に6.5%まで低下。10月の新車販売台数は前年比11.7%と、2ケタの減少になっている。上場企業の純利益も7-9月期は前年比7%増で、前期の23%増から大きく落ち込んだ。

アメリカではFRBが、12月に利上げをする公算が増大している。その結果、長短金利がどこまで上昇するか。中間選挙の熱が冷めたあと、ニューヨークでは金利問題が焦点になりそうだ。一方、東京市場では中国や東南アジア諸国の景気動向が焦点に。トランプ大統領が中国に対する第3弾の制裁関税を発動するかどうか、を見守ることになる。

今週は12日に、10月の企業物価。14日に、7-9月期のGDP速報と9月の第3次産業活動指数。アメリカでは14日に、10月の消費者物価。15日に、10月の小売り売上高。16日に、10月の工業生産。また中国が14日に、10月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額。EUが14日に、7-9月期のGDP改定値を発表する。

       ≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ


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トランプ vs FRB 近づく対決の時
2018-11-13-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 来月の利上げはほぼ確実 = アメリカの中央銀行であるFRBは、先週8日の政策決定会合では利上げを見送ったが「さらなる利上げが正当化される状態だ」という声明を発表した。これは12月の決定会合では「利上げを決定するぞ」という意思表示だと理解されている。またFRBが景気の好調さを確認したとも受け取られ、ニューヨーク市場の株価は大きく上昇した。

たしかに、アメリカ経済は好調を持続している。7-9月期の実質成長率は3.5%、雇用者数は順調に増え続け、失業率は48年ぶりの低さになった。その一方で物価は上昇。9月の消費者物価は前年比2.3%の上昇、10月の卸売物価は前月比0.6%と6年ぶりの大幅な上昇を示した。政策金利を引き上げる素地は、十分のようにも感じられる。

だが先行きの展望となると、最近は警戒論も増えつつある。まず来年春になると、トランプ大統領が実施した大型減税の景気浮揚効果が消滅する。加えて金利の上昇で、企業や個人の借り入れ負担が増大してきた。これはFRBが15年末から8回にわたって利上げを続けた結果で、もし12月に9回目の引き上げを行えば政策金利は2.5%にまで上昇する。

トランプ大統領は、アメリカ経済が不調に落ち込むことを極度に心配している。このためFRBが進める利上げ政策には大反対。これまでも「これまでの成果を台無しにするのか」とか「FRBは無能者の集まり」とか、言いたい放題。しかしFRBは、今のところ聞く耳を持たない。そこでトランプ大統領は口先だけでなく、何かアクションを起こすのか。FRB議長や理事の解任権はないが、トランプ氏のことだから何をやるのか予想もつかない。12月の政策決定会合は18-19日に開かれる。

        ≪12日の日経平均 = 上げ +19.63円≫

        ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ


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流通株がなくなる! : 日銀の購入で
2018-11-14-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 10月の購入額は過去最大 = 株価が急落した10月、日銀が市場から買い入れたETF(上場投資信託)の総額は8700億円に達した。月間の購入額としては過去最大。ちなみに株価が上昇した8月の購入額は1400億円だった。この結果、月末の保有残高は22兆2800億円に膨れ上がったが、これを時価で評価すると25兆円を超えたとみられる。

日銀のETF買い入れは10年から始まった。16年からは年間6兆円の購入を目標としている。しかしETFに組み込まれている銘柄が限定されていること、また業績が悪化した企業の株価が下がりにくいことなど、問題点が指摘された。このため日銀はことし7月から、日経平均に連動するETFの購入を減らし、TOPIX連動型を増やしている。

だが別の大きな問題点も、浮かび上がってきた。日銀が保有する株式の時価総額を25兆円とすれば、これは東証1部に上場する全銘柄の時価総額の4%に当たる。個別にみると上場企業の4割で、日銀は上位10以内の大株主。東京ドーム、日本板硝子など5社では筆頭株主だ。困ったのはユニクロを経営するファーストリテイリングの場合。このまま日銀がETFを買い進めると、1年後には市場で流通する株式がなくなってしまうという。

日銀のETF買い入れは、量的金融緩和と株価の下支えを目的に実施されたもの。だが最近は、午前中に株価が下がると午後に買い出動するケースが多い。でも、それほどまでにして株価を支える必要があるのだろうか。あまりに過保護だと、株価は自律的な反発力を弱めてしまう。それに25兆円もの株式を、いつ売り戻すのだろう。

       ≪13日の日経平均 = 下げ -459.36円≫

       ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ


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自然災害だけが犯人か : マイナス成長
2018-11-15-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 7-9月期の成長率はマイナス1.2% = 内閣府は14日、7-9月期のGDP速報を発表した。それによると、年率換算の実質成長率はマイナス1.2%に。前4-6月期のプラス3.0%から、大きく後退した。内閣府では「地震や台風など自然災害の影響が大きかった」と説明している。ことしの1-3月期にもマイナス成長に陥っており、どうもプラス成長が長続きしない。

GDPの内訳をみると、個人消費が年率で0.5%の減少。企業の設備投資は0.9%、輸出も7.1%減少した。たしかに北海道の地震や相次いで襲来した台風が、製品や部品の生産・流通に及ぼした被害は大きかった。また来日した外国人旅行客の数も減少している。9月の貿易統計では、輸出額が前年比1.3%の減少。訪日客数は5.3%減っている。

前4-6月期のGDP成長率は、速報値の1.9%から改定値では3.0%に大きく上方修正された。法人企業統計による設備投資の集計値が、速報値を大きく上回ったためである。今回も改定値では同様の現象が起きる可能性もなくはない。しかし機械受注の動向などから判断すると、GDP改定値がプラスに浮上することはないだろう。

マイナス成長の原因がすべて自然災害ならば、10-12月期にはその影響がなくなる。むしろ、その反動で成長率は跳ね上がるだろう。しかしマイナス成長の原因の一部には、世界経済の息切れ傾向も作用したのではないだろうか。その分は10-12月期になると、もっと明瞭に出てくる可能性が強い。7-9月期のマイナス成長が一過性のものだったかどうかは、あと3か月たてば判明する。

       ≪14日の日経平均 = 上げ +35.96円≫

       ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ


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急降下する 企業業績 : 10-3月期
2018-11-16-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 来年3月期は1%の増益予想に = 企業の7-9月期決算発表がほぼ終了した。日経新聞の集計によると、4-9月期の純利益は総計15兆6000億円。約19%の増益で、利益額は過去最高になった。ところが10-3月期の予想では、純利益が15%減少する見込み。この結果、来年3月の通期では増益率が1%にとどまる見通しとなっている。

全体としてみると4-9月期の利益は最高を記録したが、業種別では明暗がはっきり分かれた。たとえば電機は91%、通信は72%の増益。その一方で小売り、電力、ガスなどは減益だった。好調だった海外の景気と円安に助けられた外需組が大きく伸び、内需組は振るわなかったことになる。したがってグローバル型の大企業が、大きな利益をあげた。

経営者はふだんでも、先行きの見通しに関しては慎重になりたがる。特に現状は中国や新興国の経済が鈍化、原材料価格の上昇、人手不足といった悪材料に取り巻かれた。このため10-3月期の見通しは15%の減益となっている。したがって状況が少しでも好転すれば、実際の利益は改善する余地を残していると言えるだろう。

そうした観点に立つと、10-3月期の業績を左右する要素はいくつもある。まず中国の成長率がどこまで低下するか。新興国のなかに経済的に破たんするところが出ないかどうか。原油価格と円相場が安定的に推移するか。さらにアメリカの景気拡大が止まらないか。米中貿易戦争が激化するのか。そして消費増税を前に、国内経済に乱気流を生じないか。

       ≪15日の日経平均 = 下げ -42.86円≫

       ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ


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一石四鳥? の 増税時ポイント付与
2018-11-17-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 間に合いそうにない準備 = 消費税を増税する前後には、消費が大きく変動する。政府はこの変動を和らげるための方策を検討中だが、その一環として消費者にポイントを付与する制度が急速に浮かび上がってきた。小規模な小売店でカードなど現金を使わずに買い物した消費者に、2%分のポイントを付けるという内容。消費者は実質的に8%の税率で買い物したことになり、負担感が軽減される。

この制度は、まず消費者にメリットがある。その結果、消費の大きな変動がなくなる。さらに小規模な小売店のキャッシュレス化を促進する。そのうえカード会社の手数料引き下げにも通じる。――政府関係者は「まさに一石四鳥だ」と、胸を張る。だが見方を変えると、この方策は現場を知らないお役人の作文のようにも見える。

まず小売店の何を基準に「小規模」と決めるのか。店舗の広さ、従業員数、それとも売上高。どれにしても全国の小売店を並べて、どこかに線を引く作業をしなければならない。また同じコンビニでもフランチャイズ店には適用されるが、直営店には適用されないのか。準備にはかなりの時間がかかりそうだ。

さらに実施のためには、小売店がキャシュレスに対応したレジを導入しなければならない。カード会社もソフトの改修を迫られる。機材の準備は間に合わないという声も強い。2%分のポイントに必要な資金は、国が負担する。それだけのおカネがあるのならば、たとえば軽減税率の「外食」をレストランや食堂に限ってくれた方が、国民にはずっと分かりやすい。

       ≪16日の日経平均 = 下げ -123.28円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】  


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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】
2018-11-18-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第6章 ニッポン : 2070年代

≪59≫ 迷い = 山梨県の工場敷地内に小さな家を建て、近ごろはそこに引きこもっている。都内にいるとマスコミの攻撃に曝され、疲れてしまうからだ。いつも「あの“神の粉”は、誰がどこで造っているのか」と「貴方は宇宙で5年間なにをしていたのか」という質問ばかり。「お答え出来ません」「記憶がありません」と答える虚しさにも、耐えられなくなっていた。

当然、マーヤもここに住んでいる。マーヤがいないと、ぼくは食事にもコトを欠く。だが彼女は、ときどき東京へ出かける。ダーストニウムの発送などの仕事をこなし、食料品などを買い込んでくるらしい。自動車の運転も、慣れたものだ。

東京と違って、山梨の夜空はとてもきれいだ。その星空を見ていると、どうしてもダーストン星のことを思い出してしまう。みんな元気なのだろうか。マーヤがそっと来て、隣に座る。

――ねえ、マーヤ。君はダーストン星に帰りたいと思わないのかい?
「ええ、思いませんよ。私は人間と違って、すぐに気持ちを切り替えられますから」

――それにしても、いま考えるとダーストンという国はすごかったな。いくつも驚かされたが、特に病気でもケガでも完全に治してしまうあの医療技術は、大したもんだ。ぼくの命も助けられたし、君のように人間の思考能力と感情を持ったロボットも、あの完成された医療技術があってこそ生まれたわけだ。
やっぱりブルトン院長のような人が多くの病院にいて、ああいう手品のような手術ができるんだね。

日本でもiPS細胞の研究が進み、ガンや脳疾患の治癒率が急速に高まっている。そのせいで平均寿命も女性は90歳を超え、男性は85歳に接近した。もう100-200年もすると、ダーストン並みに完全治癒の医療体制が整うのだろうか。
だが、そうなれば地球も過剰人口の問題に直面するだろう。そのときには、やはり「寿命を人為的に100歳に決める」ような制度を導入するのかしら。それがいいことなのかどうか、ぼくはいまだに迷っていて結論を出せずにいる。

マーヤが突然、口を出した。「ブルトン院長の奥さんが言ったこと、覚えてますか」
――うん。彼女は『幼い子どもを残して事故で死ぬ親がいるような世界と、100歳まで安全に生きられる世界。どちらが幸せか』と言ったんだ。ぼくも幼いときに両親を事故でなくしたから、あの言葉は胸に突き刺さったよ。それでも、どちらの世界が好ましいか決断できない。

                                 (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2018-11-19-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ アップルが株価下落の先導役に = ダウ平均は先週576ドルの値下がり。スマホの需要が減少したことからアップルが売られ、これが広くIT関連銘柄の下落につながった。またインドネシア航空の墜落事故でボーイングも売られ、ダウの下落幅を大きくした。市場には「中間選挙が終わって、先行きが少し透明度を増す」という期待もあったが、アップルとボーイングがこの期待をぶち壊した形だ。

日経平均も先週は570円の値下がり。アップルの影響でハイテク株が売られたほか、中国関連株も冴えなかった。たとえば14日の株価はやや反発したが、中国関連株だけは下げ続けた。ニューヨーク市場でも中国関連株は敬遠されているが、東京市場の方が中国経済の動向や米中貿易戦争に対しては、はるかに敏感になっている。

そんなとき、貿易戦争の解消を図るため「中国が142項目の行動計画をアメリカに提出」というニュースが飛び込んできた。今週はこのニュースを、市場がどのように評価するのか。ただ一時的な反発はあっても、これで株価がすっかり立ち直ることはないだろう。東京市場では“年末の株高”を期待する声も根強いが、その可能性は急速に縮小しつつあるようだ。

今週は19日に、10月の貿易統計。21日に、9月の全産業活動指数と10月の訪日外国人客数。22日に、10月の消費者物価。アメリカでは20日に、10月の住宅着工戸数。21日に、10月の中古住宅販売戸数が発表される。

       ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ


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“スマホ不況”が やって来た!
2018-11-20-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ ことしの出荷台数は前年割れ = ニューヨーク市場では先週、ハイテク株が売り込まれてダウ平均は週間576ドル下落した。そのきっかけとなったのが、これまでIT産業を引っ張ってきたアップル。業績の悪化と減産計画が伝わると、株価は1日で5%も値下がりした。波紋はアッと言う間に、部品メーカーなどの関連企業からIT産業全体、さらには世界の株式市場に伝わっている。

その背景には、スマホ市場の縮小がある。米IDC社によると、ことし7-9月間の世界のスマホ出荷台数は3億5000万台、前年比で6%減少した。1-9月間でみても4%の減少となっており、ことしは年間でも昨年を下回ることが確実だという。原因は技術革新が進まないうえに、先進国でスマホが飽和状態に達したこと。加えて大市場である中国での売れ行きが。目立って減少してきたことにあるようだ。

波紋は日本の企業にも及んでいる。半導体関連企業の7-9月期の業績はまだ最高の水準を維持しているが、10月以降の見通しはみな下方修正。このため特に半導体製造装置メーカーの株価は、このところ大きく下げている。アップルからの受注減が予想されるためで、関係者は「少なくとも来年前半まで不安定な状況が続く」とみているようだ。

アップルがiPhoneを世に出してから10年あまり。世界で販売されたスマホは90億台を上回る。最近の出荷額は年30兆円を超えた。このスマホ旋風が、世界経済の成長を支え株価を押し上げてきたことに間違いはない。長期にわたったアメリカの景気拡大期とも、ほぼ一致している。スマホの変調が、世界経済不況の引き金になる可能性は否定し切れない。

       ≪19日の日経平均 = 上げ +140.82円≫

       ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ


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なかなか減らない 対米貿易黒字
2018-11-21-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ イージス艦を買うしかない = 財務省は19日、10月分の貿易統計を発表した。それによると、輸出は7兆2400億円で前年比8.2%の増加。輸入は7兆6900億円で19.9%の増加だった。この結果、貿易収支は4500億円の赤字となっている。輸入の急増は主として原粗油の輸入が34%も伸びたためで、国際原油価格の上昇が収支を赤字にした元凶だった。

来年になると、いよいよ日米貿易協議が始まる。そこで問題になるのが、日本側の黒字額だ。10月の統計でみると、アメリカ向けの輸出は1兆4300億円で前年比11.6%の増加。アメリカからの輸入は8600億円で24.3%の増加だった。この結果、貿易収支は日本側の5700億円の黒字となっている。シェール・オイルなどの輸入を増やして4か月連続で黒字額を縮小したが、減り方はきわめて鈍い。

こんな調子では、トランプ大統領を納得させることは難しい。日本側が持ち出す唯一の改善策は、いわゆる防衛装備品の大量購入しかないだろう。イージス・アショアなどの兵器を、年間数兆円の規模で買い付ける。これが安倍首相の“切り札”になるのではないか。その場合、イージス艦もアショアも、貿易統計では輸送用機器に分類されるらしい。

一方、中国に対する輸出は1兆4800億円で9.0%の増加。輸入は1兆8800億円で16.1%の増加だった。この結果、収支は日本側の4100億円の赤字となっている。輸出で伸びたのは化学製品や自動車など。輸入では食料品が大きく増加した。中国経済の成長鈍化や米中貿易戦争の影響は、まだ表われてきていないようだ。

       ≪20日の日経平均 = 下げ -238.04円≫

       ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ


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Gone with the wind.
2018-11-22-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ ルノーと日産の関係にヒビ? = 木枯らしの季節。日本発の寒風が世界を吹き抜けた。カルロス・ゴーン日産会長の逮捕である。14年度までの5年間に得た計99億9800万円の報酬を、有価証券報告書に49億8700万円と虚偽記載した容疑。また会社のカネを私的に流用、脱税の疑いもある。同時にグレッグ・ケリー代表取締役も、共謀の容疑で逮捕された。

ゴーン会長は99年、経営不振に陥った日産へ仏ルノー社から派遣され、短期間で経営を立ち直らせた。いまでは日産とルノー、三菱自動車の会長を兼任。この3社グループの中核的な存在となっている。それだけに今回の逮捕は、世界中に大きなショックを与えた。庶民感覚としては「こんな大金持ちが、なんで」としか言いようがない。

今後の問題は、日産とルノーの関係がどうなるかに尽きるだろう。ルノーは日産の株式43.7%を保有する筆頭株主だから、人事権を持っている。日産の現在の取締役は社外を含めて9人しかいない。そのうちゴーン会長以下4人がルノー系、日本人は5人となっている。ルノー系の2人が逮捕されたから、ルノー本社はその後任を出してくるに違いない。

要は新しいルノー系役員と西川社長ら5人の日本人役員が、良好な関係を結べるかどうか。今回の逮捕劇はゴーン会長が外遊中に仕組まれた“本能寺の変”的な様相もないではない。その辺にルノー側が不信感を抱くと、コトはややこしくなる可能性もないではない。そこが最大の問題点だろう。ともかくゴーン氏は、風とともに去った。

       ≪21日の日経平均 = 下げ -75.58円≫

       ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ


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再び「耐震ビル明示」の すゝめ
2018-11-24-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 危ない大型建築物は全国で858棟 = 震度6強以上の地震がくると、倒壊する恐れのある大型建築物。旧耐久基準で建てられたホテルや病院や学校などの危ない建築物は、全国で858棟もあった。3階以上で床面積5000平方メートル以上が調査の対象で、日経新聞が独自に集計した。このうち372棟は改修計画を建てていたが、残りは計画もないという。

危ない大型建築物の内訳をみると、いちばん多いのがホテル・旅館で206棟。次いでデパートなどの商業施設が181棟。病院や診療所が115棟。学校が86棟となっている。地域別では近畿の213棟が最も多い。関東は205棟だが、東京都区部の多くがまだ調査結果を発表していない。震度7の地震に見舞われた北海道は119棟だった。

耐震補強計画を策定しても実施できなかったり、計画そのものも出来ない理由は何か。最大のネックは予算が捻出できないこと。また病院やデパートなど、改修中に移転できる場所が見付からないこと。なかには改修工事の必要性を認めないという回答もあった。また多くの自治体が“危ない建物”の公表をためらっていることも、改修が進まない原因になっている。

たしかに“危ない建物”を公表すれば、風評被害を受けるかもしれない。だが利用する人の側に立てば、こんなに危険なことはない。そこで、このブログが提案しているのは「震度6強でも大丈夫な大型建築物に安全マークを付け、自治体が一覧表にして公表する」こと。こうすれば地震の際に逃げ込むべきビルが判るし、危ない建物の耐震工事を促進することにもなるだろう。

 ☆ 賛成の方、ツイートを広げてください。お願いします。 

       ≪22日の日経平均 = 上げ +139.01円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】   


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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】
2018-11-25-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第6章 ニッポン : 2070年代

≪60≫ SEX = 「医療技術がダーストン並みに向上しないと、医療や介護、教育や家事型のロボットは造れないわけなのね」と、マーヤがつぶやく。

――そう。いまの機械的ロボットでも補助的な役割は十分に果たすけれど、人間の代わりにはならない。200年後にダーストン並みのロボットが出来るかどうか。それは子孫に任せるしかないだろう。

「でも貴方の気持ちの奥底には、私のような人間的ロボットの普及には疑問があるんでしょう。ダーストンにいたころから、私にはそんな感じがしていました」と、マーヤはなかなか痛いところを突いてくる。

――うん、確かに。いちばんの問題は、君のように細かいところまで気が付いて、何でもやってくれる。若い男性の多くは、いろいろ気を遣わないと泣いたりわめいたりする人間の奥さんより、ロボットとの結婚を選ぶかもしれない。だいいち病気にならないから、年をとっても夫が妻を介護する心配もない。

ダーストン国では、すでにその兆候が表われていたじゃないか。すると子どもが産まれない。人間は滅びて行くかもしれないと、ぼくはそれだけを心配しているんだ。

「私も子どもは産めませんからね。それにセックスの面では、人間の女性に敵わない」

――大昔は、結婚といえば男性と女性の間に限られていた。血統を保つために、1人の男性が複数の女性と結婚した時代もあった。それが近年では、男性同士あるいは女性同士が結ばれることも珍しくなくなっている。ダーストン国のように、人間とロボットが結婚することは自然の成り行きだと思うよ。
ぼくは君が大好きだし、とても気に入っている。こんなに幸せな男はいないと思っていることは、君だってよく解っているだろう。

2人の会話は、そこで途切れた。マーヤは目をつぶっている。可愛いマーヤ。
たしかに、マーヤは人間的な身体をしている。しなやかで弾力性のある肢体。胸にも形のいい大きめの丘が2つ。てっぺんには赤いつまみものっている。でも彼女には、下の谷間がない。

だから正常位や後背位はムリ。しかし、いわゆる<69>の形になればいい。ぼくはそれで十分に満足できる。

                             (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2018-11-26-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ NYは総崩れ、東京は土俵際 = ダウ平均は先週、休日をはさんで4日間の続落。週間では1127ドルの大幅な下落となった。アップルを筆頭にIT関連株が振るわなかったところへ、住宅関係の指標が予想を下回り追い討ちをかけた。11月決算のヘッジファンドが、利益確定の売りに出たことも響いている。市場では、クリスマス商戦に望みをつなぐしかないという空気が強い。

ニューヨークが総崩れになったにもかかわらず、東京市場はなんとか持ちこたえた。日経平均は先週34円の値下がり。9月中間決算の成績がいいだけに、下値を拾う投資家も少なくない。政府の消費増税対策が煮詰まってきたことも、相場の下支えになっているようだ。ただし今後の株価見通しについては、慎重論が増えてきたことは確かである。

先週末の株価を10月初めの高値と比べると、ダウ平均は2542ドル、率にして9.4%の下げ。日経平均は2624円、10.8%の下落となっている。この辺で下げ止まれば、一時的な調整ということになる。だが、さらに下落が続けば、株価は下降局面入りと判定されることになるだろう。その意味では、今週の動きは重要だ。

今週は27日に、10月の企業向けサービス価格。29日に、10月の商業動態統計。30日に、10月の労働力調査、鉱工業生産、住宅着工戸数、11月の消費者態度指数。アメリカでは27日に、9月のFHFA住宅価格、11月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。28日に、7-9月期のGDP改定値、10月の新築住宅販売。29日に、10月の中古住宅販売。また中国が30日に、製造業と非製造業のPMIを発表する。なお30日にはアルゼンチンでG20が開かれる。

       ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ


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赤信号が点滅する 株式市場 (上)
2018-11-27-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 調整 or 下降局面の入り口 = 振り返ってみると、株価のピークは10月2-3日だった。そこから先週末までに、ダウ平均は2542ドル、日経平均は2624円下げている。米中貿易戦争、中国経済の成長鈍化、アメリカの金利上昇、スマホ需要の頭打ち・・・売りの口実はいろいろあるが、長期にわたって急速に上昇したことへの反動という面も強い。そこで10月以降の下げを健全な調整とみるべきか、それとも本格的な下降局面の入り口とみるべきか。判断は2分されている。

たとえば日本株の見通しについて、大手金融機関などの調査部門が予測を公表している。来年3月末の日経平均をみると、楽観的なのは2万5000円。やや慎重なのは2万1000円で、現状と大きくは変わらない。また2万円を割り込むという悲観的な見方も出ている。このように見方が分かれるのは、最近の値下がりを調整とみるか下降局面とみるかの差だ。

その根底には、株価を動かす大きな材料の1つ1つに対しての、将来展望の差があると考えていい。たとえばアメリカ経済の展望。いまスマホ需要が伸び悩むことから、IT関連の株価が急落した。加えて住宅販売にも陰りが出てきた。新築住宅の販売戸数は4か月、中古住宅は6か月連続で前年を割っている。こうした現象を重視すれば、長期にわたったアメリカの景気拡大は間もなく終わると考えても不思議ではない。

しかし雇用者数は順調に伸び続け、年末商戦も手応え十分だという。さらに株価が下がり、住宅産業が不振に陥れば、FRBは金融引き締めのテンポを緩めざるをえないだろう。そうなれば、企業の業績も高水準を維持できる。このように明るい面ばかりみれば、アメリカ経済の拡大はまだ続く。したがって株価も調整を終えて再び上昇する、という楽観的な考え方にたどり着くわけだ。

                              (続きは明日)

       ≪26日の日経平均 = 上げ +165.45円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ


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赤信号が点滅する 株式市場 (下)
2018-11-28-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 弱気が増えつつあるのは事実 = 中国経済に対する見通しでも、弱気と強気が混在している。GDP成長率は7-9月期に6.5%まで低下し、さらに減速するという見方が強い。10月の小売り売上高は前年比5.6%増と、過去最低の伸び率に落ち込んだ。特に新車の販売台数が目立って減少しており、ことしは通年でも90年以降初めて前年割れになる公算が大きい。来年は成長率が6%になるという予測さえ発表されている。

中国政府はこれまで減税や預金準備率の引き下げで、景気の下支えをする政策を講じてきた。しかし現在までのところ、効果は出ていないようだ。だが中国の場合は欧米の先進国と違って、政府がハラをくくれば、どんな景気対策でも実現することが可能。だから景気がこのままズルズルと後退することはない。楽観論者は、この辺を重視している。

米中貿易戦争が長引けば、中国経済は大きな悪影響を蒙る。アメリカの物価も上昇し始めた。景気や株価の将来にとって、かなりの重荷になっていることに間違いはない。しかしトランプ大統領によると、、中国は最近142項目に及ぶ打開策を提示してきたという。今週末にはアルゼンチンで、1年ぶりの米中首脳会談が実現する模様。そこから状況は、好転に向かうのではないか。

こうして、すべての重要な問題に関して楽観と悲観、強気と弱気が併存する。そのどちらが、時間の経過とともに優勢になって行くのか。現時点でみれば、弱気がじわじわと増えつつあることは確かだろう。株式市場ではVIX(恐怖指数)が上昇を続け、東京市場では空売り比率が下がらない。こうして市場には、赤信号が点滅し始めた。

       ≪27日の日経平均 = 上げ +140.40円≫

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ


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自殺に突っ走る 大英帝国 (上)
2018-11-29-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 議会が離脱協定を否決へ = イギリスは来年3月29日、EUから離脱する。離脱後のイギリスとEUの関係を明確にするため、作成されるのが離脱協定だ。この協定作りは大揉めに揉めたが、イギリスは今月14日の閣議で了承。続いてEUも25日の首脳会議で承認した。これで円満な離脱と思いきや、なんとイギリス議会は協定案を否決する構え。もし否決されれば無秩序のままの離脱となり、世界経済は未曽有の大混乱に陥ることになる。

離脱協定の内容は複雑多岐にわたっているが、再重要項目は2点。1つは激変を緩和するため、20年末までを移行期間とする。この間はイギリスとEUの関係を現行のままとし、イギリスはEUに分担金を支払う。もう1つはアイルランド問題が解決するまで、イギリス全土を関税同盟に残すというもの。要するに、完全な離脱をしばらく延期するという内容だ。

この2点に不満なのが、即時の完全離脱を求める政治家たち。これでは国民投票で示された民意が反映されていないというのが、離脱協定に反対する理由となっている。すでに閣僚のうち4人までが、メイ首相に抗議して辞職した。野党ばかりでなく与党のなかにも拒否反応を示す議員が多く、最近の調査では反対する議員数が賛成する議員数を40-60人も上回っているという。

議会での採決は来月11日に行われる予定。ところがマスコミのほとんどは、議会では否決されると予想している。仮に否決された場合、メイ首相は協定案の修正をEU側に求めることもできるが、その交渉が3月末までに成立する可能性はゼロに等しい。また議会を解散して総選挙を実施。あるいは再び国民投票を呼びかける手もあるが、いずれにしても時間がない。3月29日に、イギリスが何の取り決めもなくEUから離脱する公算は、限りなく高まっている。

                             (続きは明日)

       ≪28日の日経平均 = 上げ +224.62円≫

       ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ


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自殺に突っ走る 大英帝国 (下)
2018-11-30-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 経済は大混乱、イギリスは大不況に = もしイギリスがEUとの協定なしに離脱したら、どんなことが起きると想定されるのか。最大の混乱は、まず物流面に起きると考えられている。たとえば英仏海峡トンネルは、いま1日5000台のトラックが行き来している。ここで通関手続きが必要になると、大渋滞が発生して交通がマヒ状態に陥ることは避けられそうにない。しかも税関の設備や人員も、まだ整っていない。

特にイギリス側では、食料や原材料の不足が心配されている。人の往来にもパスポートが必要に。航空便も新しいシステムに切り替えねばならない。企業もイギリスで取得した営業権は、EU側で使えなくなる。このためイギリス企業やイギリスに本拠地を置く海外企業は、大陸側での商売が出来なくなってしまう。そこで、これらの企業はいま大急ぎで本拠地をドイツやベルギーに移そうとしているわけだ。

ロンドンなどから多数の企業が流出することは、イギリス経済に大きな打撃となるに違いない。そのうえ貿易も縮小を免れない。イギリスとEUの貿易額は、17年で約4200億ポンド(62兆円)にのぼる。無秩序離脱になった場合、この額がどこまで減少するかは、いまのところ計算できないという。イギリスのGDPは今後15年間にわたって、1割ほど減るという試算もある。

こうみてくると、イギリス議会が離脱協定案を否決することは、全く自殺行為のようにみえる。だから来月11日に予定される議会の採決では、賛成が多数を占める可能性もゼロではない。しかし否決の公算は、限りなく100%に近い。その結果は、イギリスが想像以上にEUの束縛を嫌っていることを明示する。ここでも“大英帝国”の自国ファーストが、なによりも最優先されたことになるだろう。

       ≪29日の日経平均 = 上げ +85.58円≫

       ≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ


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