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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
≪番外編 +2≫
2023-12-01-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 説得力に乏しい‟好循環”の実現性

・病室の天井を見つめながら、こう考えた。岸田内閣の支持率は危険水域にまで低下したが、どうしてだろう。物価高対策として補助金の大判振る舞い、加えて減税まで実施する。だが先行きには防衛費の増額や少子化対策が控えていて、増税が必要らしい。一般の国民には、この減税と増税の関係がよく理解できない。岸田首相の説明に、説得力がないからである。

・いま国民が最も心配しているのは、将来の生活である。年金はきちんと貰えるのだろうか。医療や介護などは十分に機能しているのだろうか。若者も高齢者も、みんなが心配している。だから貯蓄ばかりが増えるし、子どもが産まれない。それなのに岸田内閣は補助金など、現状に膏薬を貼るばかり。選挙対策だと勘ぐられても、仕方がない。

将来について、岸田首相は「賃上げが物価を上回り、経済の好循環が始まる」の一点張り。しかし29日に成立した補正予算をみても、現金給付などの膏薬貼りには2兆7000億円を支出するのに、持続的な賃上げの実現には1兆3000億円しか投じない。これで‟好循環”が起きるのだろうか。その説得力が、あまりにも希薄すぎる。だから国民から信用されない。

        ≪1日の日経平均 = 下げ -55.38円≫

        【今週の日経平均予想 = 1勝4敗】  


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今週のポイント
2023-12-04-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 先週は「NY上げても、東京は下げ」でした = ダウ平均は先週855ドルの値上がり。終り値は3万6246ドルで、ことしの最高値を更新した。3万6000ドル台を回復したのは、1年11か月ぶりのこと。11月中は2898ドルの上昇だったが、市場では強気ムードがなお支配的。年末にかけて史上最高値の更新を目指す勢いだ。

日経平均は先週194円の値下がり。終り値は3万3500円を割り込んだ。一貫して高値警戒感が強く、たとえばダウが500ドル上昇したあとも値を下げている。11月は2628円の上昇だったが、その勢いは一気にしぼんだ。原因は円相場の急激な上昇。輸出関連銘柄を筆頭に、利益確定の売りがだらだらと続いた。

先週のこの欄では「NY下げても、東京は上げ」と書いた。ところが結果は全く逆。その原因はFRBのウォラー理事が「インフレ率の低下を確信できれば、金利を引き下げられる」と述べたこと。これでニューヨーク市場の株価は高騰、長期金利は大きく下落した。その結果、円の対ドル相場が急騰。相場は146円台にまで上昇した。もちろんウォラー発言を予想することは不可能だったが、結果的に間違ったことは確か。改めてお詫びをする次第です。

今週は5日に、11月の東京都区部・消費者物価。7日に、10月の景気動向指数。8日に、7-9月期のGDP改定値、10月の毎月勤労統計、家計調査、11月の景気ウオッチャー調査。アメリカでは5日に、11月のISM非製造業景況指数。6日に、10月の貿易統計。8日に、11月の雇用統計、12月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が7日に、11月の貿易統計。9日に、11月の消費者物価と生産者物価を発表する。

        ≪4日の日経平均 = 下げ -200.24円≫

        ≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ


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‟利下げ”は来年3月? / アメリカ
2023-12-06-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 追い詰められる日銀 = ニューヨーク株式市場の空気が一変した。つい最近までは「年内にもう1回、最後の利上げ」という予想が圧倒的だったが、先週はこれが一挙に「来年3月には利下げ」へと変わった。このため金利は急低下、株価は急上昇。ダウ平均は年内にも、史上最高値を更新する勢いをみせている。きっかけはウォラーFRB理事の‟利下げの可能性”を示唆した発言。この人が引き締めを主張するタカ派であるだけに、そのインパクトは非常に大きかった。

インフレ収束の兆しが最初に現われたのは、先月14日に発表された10月の消費者物価。前年比3.2%の上昇で、前月より0.5ポイントも鈍化した。また小売り売上高や雇用統計など、景気の鎮静を示す数字が続出している。さらにFRBが発表したベージュブック(地区連銀経済報告)でも「全米の経済活動は10月以降、鈍化した」と明記した。こうしたところへ、ウォラー発言が飛び出したわけである。

投資家を対象にした最近の世論調査によると、「来年3月までに利下げがある」と考える人の割合は35%にのぼった。FRBの政策決定会合であるFOMC(公開市場委員会)は、来年1月と3月に開かれる。すると、やっぱり「3月の利下げ」が有力なのではないか。市場では、いま「12月と1月は据え置き、3月に利下げ」の見方が急速に拡散している。

政策金利の引下げが見込まれると、市場では債券が買われ各種の金利が下がる。このため日米の金利差が縮小、円の対ドル相場が急騰した。いま日銀はゼロ金利政策を終了させるための環境づくりに、専念している。しかし円高がさらに進行すると、ゼロ金利の終了は困難になるだろう。金利を上げれば円高が加速し、その副作用が大きくなってしまうからだ。そうかと言って何もしなければ、ゼロ金利から脱出できず、日銀は内外から批判を受けることになりかねない。

        ≪6日の日経平均 = 上げ +670.08円≫

        ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ

   
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≪番外編 +3≫
2023-12-08-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ マネー経済圏の急膨張がすべて 

・病室の天井を見つめながら、こう考えた。最近の世界経済で、最も大きな変化を遂げた事象は何だっただろうか。戦争の勃発が招いた物価の高騰、ゼロ金利から金融引き締めへ、AI(人工知能)の発展、米中の経済摩擦、宇宙開発競争・・・。いろいろあるが、極め付きは「マネー経済圏の急膨張」だったのではないか。

・モノやサービスを産み出すことで形成される実体経済。その裏には必ず金融経済が存在していた。だが、その大きさは実体経済の大きさに見合った規模。それが各国中央銀行の量的金融緩和で、爆発的に膨張した。FRBは最大9兆ドル、ECBは9兆ユーロ、そして日銀も750兆円の資金を市場に放出した。

・実体経済はそんなに大量の資金を必要としなかったから、放出された資金は市場に溜まる。それが株価や商品に向かって、値を上げた。そんなとき戦争が起こってインフレが加速。欧米の中央銀行は慌てて金融引き締めに転換するが、まだ資金の吸収が十分でないから、インフレは収まらない。政策転換のチャンスを逸した日本は、いま何とか転換しようと苦慮しているところだ。

        ≪8日の日経平均 = 下げ -550.45円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   
   

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今週のポイント
2023-12-11-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 円高と政局不安で大幅安の日経平均 = ダウ平均は先週2ドルの小幅な値上がり。前半は下げたが、後半は上げて‟行って来い”の形となった。それでも終り値はことしの最高値を更新している。市場はこれまでFRBの利上げが遠のくという理由で、景気の減速を歓迎してきた。ところが景気の下降で企業の業績が悪化する心配も、しだいに強まってきている。先週の株価は、そのせめぎ合いなのかもしれない。

日経平均は先週1124円の大幅な値下がり。終り値は3万2300円にまで低下した。水曜日には大きく反発したものの、あとは大きく値を下げている。円高の進行が最大の要因。それに米中両国の景気減速、自民党のパー券不正処理問題による政局不安が重なった。内需株を買う動きもみられたが、大勢は売りムード。特に海外投資家は、政局を重視しているようだ。

FRBは12-13日に政策決定会合を開く。金利を据え置くことは、ほぼ確実。そのあとは景気の動向、いわゆる‟軟着陸”の可能性に注目が集まるだろう。一方、東京市場を取り巻く環境は変化しそうにない。円高はどこまで進むのか。また政局不安は、一大事にまで発展するのか。いずれにしても、秋晴れとはなりそうにない。

今週は11日に、10-12月期の法人企業景気予測調査。12日に、11月の企業物価。13日に、12月の日銀短観。14日に、10月の機械受注。15日に、10月の第3次産業活動指数。アメリカでは12日に、11月の消費者物価。13日に、11月の生産者物価。14日に、11月の小売り売上高。15日に、11月の工業生産。また中国が15日に、11月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。なお13日に、パウエルFRB議長が会見。

        ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ

  
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崖っぷちの 岸田内閣 : パー券不正処理
2023-12-12-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ リクルート事件と重なる政権崩壊の構図 = 自民党5派閥によるパーティー券収入の不正処理事件。岸田首相は自らが派閥を離脱、また派閥によるパーティーの開催を禁止するなど、防戦に必死となっている。しかし1000万円以上の裏金を作ったといわれる松野官房長官と高木国会対策委員長の更迭は避けられない情勢。政治資金規正法の違反者は10人以上にのぼるとみられ、自民党内では国会終了後に検察が誰に対して事情聴取を行うかに最大の関心を寄せている。

この今回のパー券事件は、1988年に起きたリクルート事件と酷似している。リクルート事件は当時の江副社長が上場前の未公開株を、政治家や財界人などにばら撒いた贈収賄事件。宮沢蔵相ら数人の閣僚が辞任、竹下内閣の支持率は20%を割り込んだ。結局、竹下首相は89年4月に退陣、そのあと7月の参院選で自民党は大敗。野党に政権を奪われることになる。

ただ当時の検察は、政治家については藤波官房長官ともう1人の議員を起訴しただけ。すべてを立件すれば大混乱に陥るし、2人でも有罪に持ち込めば社会的制裁は達成されると判断したようだ。しかし今回も検察が、同様の判断を下すかどうかは判らない。裏金が1000万円でも10万円でも、規正法に違反した犯罪であることに変わりはないからだ。

岸田首相は「自民党が一致結束して対応しなければならない重要な課題」と述べている。ところが、この発言はリクルート事件に際して竹下首相が発した文言とそっくり。その時点で竹下内閣の支持率は19%にまで落ちている。岸田内閣の支持率は、どうなるのだろうか。とにかく、いまは検察の動きと、それが政局に与える影響に注目が集中している状態だ。

        ≪12日の日経平均 = 上げ +51.90円≫

        ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ


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円相場は 上がる or 下がる?(上)
2023-12-14-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 突然の円高で、株価は大幅安 = 円相場の動きが、相当に荒っぽい。11月半ばには1ドル=151円台にまで下落したが、今月7日には141円台に急上昇。株価は大幅に下落した。その後はまた145-146円台に値を下げ、株価も反発。だがFRBが13日、金利据え置きの決定をしたことで、142円台に上昇した。円相場は企業の業績を左右するし、輸入物価を変動させる。これから円相場は上がるのか下がるのか。非常に気になるところだが、専門家の間でも見方は割れているようだ。

円相場が150円まで下落した原因は、いろいろある。しかし最大の要因は、日米間の金利差が拡大したこと。FRBは昨年春から金融引き締めに転換、政策金利をゼロから5.25%にまで引き上げた。ところが日銀はこの間、ゼロ金利を死守。たとえば期間10年の長期金利は、アメリカの方が4%以上も高くなった。資金は金利の高い方へ流れるから、ドルが買われ円が売られたわけだ。

急激に円高となった原因は、日米間の金利差が縮小したこと。アメリカではインフレ収束の兆しが出て、FRBは来年3月にも利下げに転じるという観測が強まった。一方、日銀もゼロ金利政策からの離脱を試みるのではないかという見方が強まり、日米間の金利差がいくぶん縮小した。ところが、そうした見方は行き過ぎだという考え方が出現して、円相場は145円近辺にまで下落したことになる。

専門家の間では「超円安の時代は終わった」という見方が強い。しかし今後の見通しについては「日米間の金利差はさらに縮小するから、円は上昇に向かう」という予想。反対に「金利差はほとんど縮小せず、円は下落に向かう」という予想。この2つが拮抗しているように思われる。どちらが正しいかは、まだ判定不能。FRBと日銀の政策を注視して行くしかない。

                      (続きは明日)

        ≪13日の日経平均 = 上げ +82.65円≫

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫ 

 
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円相場は 上がる or 下がる?(下)
2023-12-15-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 140円を超える円高は企業に打撃 = 円相場を決める最大の要因は、日米間の金利差。その金利差は、両国の金融政策で決まる。たとえばアメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備理事会)は13日、政策金利の据え置きを決定した。その結果、市場では「来年3月の利下げ」観測が有力となり、金利水準には下げ圧力が加わっている。一方、日銀は18-19日に政策決定会合を開く。仮にそこでゼロ金利政策からの離脱を決めれば、日米間の金利差は縮まり円相場は上昇する可能性が高い。

こうしてみると、年内は円高の公算が大きそうだ。しかし為替相場を決定する要因は、ほかにも沢山ある。たとえば低成長率、貿易赤字など。為替相場は一国の経済的な強さを反映するものだと考えれば、いまの日本円は弱くならざるをえない。またパー券問題で揺れる政局も、円にとっては売り要因だ。したがって年内に限っても、円相場の行くえを確実に予測することは困難である。

民間の経済調査機関は、いま24年末の円相場を予想して発表している。たとえば米ゴールドマン・サックスは150円、大和証券は123円など。だが今年末の数値さえ予測が困難なのに、1年先の相場が判るはずもない。各調査機関はお客に聞かれた場合に備えて、こうした数値を計算し発表している。もちろん理由も付けてはいるが、その不確かさについてはその調査機関がいちばんよく知っているのではないか。

それよりも日経新聞が主要77社の4-9月期について調べたところ「増益の47%が円安によるものだった」という結果の方が、ずっと役に立つ。なぜ急激な円高で株価が急落したかが判るからだ。また主要103社の想定レートは140-141円が36社で、いちばん多い。このため円相場が140円を超えて円高になると、大半の企業が円安による利益を失う。それだけ株価を押し下げる圧力も強まることになる。

        ≪14日の日経平均 = 下げ -240.10円≫

        ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫   

   
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追い詰められた 日本銀行
2023-12-16-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ マイナス金利政策を止められるのか = アメリカの中央銀行であるFRBは12-13日、FOMC(公開市場委員会)を開いて「政策金利を5.25%のまま据え置く」ことを決めた。またFOMC参加者による金利の見通しでは「24年は少なくとも3回の利下げ」が見込まれることも公表。さらにパウエル議長は会見で「政策金利はピークに近い可能性がある」と言明した。こうしたことから、市場は「引き締め時代は終わり。来年は5-6回の利下げも」という空気に包まれている。

市場は直ちに反応した。ニューヨーク債券市場では、10年もの国債の利回りが4.0%に低落。株式市場では、ダウ平均が3万7000ドルを突破して、1年11か月ぶりに史上最高値を更新した。SP500、ナスダックも年初来高値を付けている。一方、円の対ドル相場は141円台に急上昇。1日で3円以上も値上がりしている。当然ながら、日経平均は大きく値下がりした。

こうした状況のもと、日銀は18-19日に政策決定会合を開く。そこでの注目点は、長いことマイナスに抑え込んできた短期金利の上昇を認めるかどうか。いわゆるマイナス金利政策を解除するかどうかである。中国に続いて、アメリカやヨーロッパの景気も下降する可能性が大きい。そうなったときに日本が金利を引き上げることは、きわめて難しいに違いない。とすればマイナス金利の停止は、日銀にとって今回が最後のチャンスになるかもしれない。

アメリカの金利が下がるときに日本が金利を上げれば、円高が進むことはほぼ確実。企業の業績が下降し、株価も低迷するかもしれない。日銀はそれが怖ろしくて、これまでマイナス金利からの脱出が出来なかった。今回は勇気を奮って、最後のチャンスを活かせるのだろうか。決断できなければ、まだまだマイナス金利が続く。決断できれば、‟金利のある世界”への正常な第一歩を踏み出せる。

        ≪15日の日経平均 = 上げ +284.30円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】   
    

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今週のポイント
2023-12-18-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ ダウ平均は史上最高値を更新中 = ダウ平均は先週1057ドルの大幅な値上がり。先々週から7日間の連騰で、終り値は3万7305ドル。水曜日からは3日続けて史上最高値を更新した。FRBが政策金利の据え置きを決定、来年には利下げが始まることがほぼ確実に。にもかかわらず、小売り売上高などが予想以上に堅調。この調子なら、いわゆる‟軟着陸”の可能性が高まった。市場には安心感が広がっている。

日経平均は先週663円の値上がり。先々週の大幅な下げを、半分ぐらい取り戻した。ニューヨークの盛況は追い風になったが、円高の進行が重荷に。アメリカの金利が低下したために、円の対ドル相場は1週間で3円近く上昇した。加えて自民党のパー券不正処理事件。特に外国人投資家は、政局の混乱を嫌気している。

いまのニューヨーク市場は、快晴の冬空。年末にかけても、雲ひとつ見当たらない。利益確定の売りをこなしながら、さらなる高みを目指す勢いだ。一方、東京市場はどんよりした曇り空。あす19日に発表される、日銀の政策も気がかりだ。マイナス金利政策に固執すれば、ますます動きがとれなくなる。修正すれば、さらに円高が進むだろう。

今週は20日に、11月の貿易統計、訪日外国人客数。22日に、11月の消費者物価。アメリカでは18日に、12月のNAHB住宅市場指数。19日に、11月の住宅着工戸数。20日に、11月の中古住宅販売、12月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。21日に、7-9月期のGDP確定値。22日に、11月の新築住宅販売。なお19日に、植田日銀総裁が会見。

        ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ


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対照的だった ‟短観”と‟毎勤”
2023-12-19-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 賃上げが物価高を超えるのは難しい = 日銀が発表した12月の短観(企業短期経済観測調査)は、明るく輝いてみえた。大企業・製造業の業況判断指数は3期連続の上昇でプラス12。大企業・非製造業はプラス30で、なんと32年ぶりの高さ。これまでマイナスに沈んでいた中小企業・製造業もプラス1となり、ようやく水面上に顔を出した。要するに、企業の景気は非常によろしい。

一方、厚生労働省が発表した10月の毎月勤労統計は、うす暗くよどんでみえた。1人当たりの実質賃金は、前年比で2.3%の減少。これでマイナスは19か月連続となった。現金給与総額は27万9172円で、前年比1.5%増加している。しかし物価が3%以上も上昇したため、実質でみるとマイナスになってしまう。要するに、家計は非常に苦しい。

企業の景気がよくなった原因は、いろいろ考えられる。たとえば企業努力による新製品の開発や新市場の開拓など。だが一般的にみて、円安や値上げの恩恵に浴している部分も少なくない。その半面、家計は円安と値上げによる物価上昇で、19か月間も実質的な収入を減らしている。要するに、円安と値上げは最終的にすべて家計が負担していると言ってもいい。
文字色
景気のいい企業がもっと賃上げをすれば、実質賃金がプラスになる。すると消費が増えて、企業の利益がさらに増える。これが岸田首相が言う‟経済の好循環”だ。しかし、その実現はかなり難しそう。人手不足で賃上げは進むかもしれないが、企業は人件費の増加分を値上げでカバーしようとする。だから物価も上がってしまう。家計の実質収入が恒常的にプラスになる可能性は、ないに等しいのではないか。

        ≪19日の日経平均 = 上げ +460.41円≫

        ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ

  
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地球温暖化は防げない! : COP28 (上)
2023-12-21-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ やっとのことで曖昧すぎる合意 = 地球の温暖化を食い止めようと、世界の国々がUAE(アラブ首長国連邦)の首都ドバイに集まった。COP28と呼ばれる第28回国連気候変動枠組み締結国会議である。だが、そこでまとまった成果文書をみると「およそ10年間で、化石燃料からの脱却を加速する」「再生可能エネルギーを30年までに、現状の3倍に拡大する」という合意だけ。「脱却を加速する」とは、なんと曖昧な表現だろう。再生可能エネルギー3倍も、すでに別の会議で決まった内容の引き写しだった。

当初の原案では「化石燃料の段階的な廃止を目指す」と書いてあった。だがサウジアラビアが強硬に‟廃止”に反対、産油国の多くも同調したため、こんな意味不明の表現になってしまった。欧米諸国は‟廃止”を主張したが、産油国のなかには「化石燃料そのものの表記に反対」の声も出て譲らず。島しょ国も原案の修正に抗議したが、結局は議長国の調停案を受け入れざるをえなかった。

それでもマスコミの約半数は、好意的な評価を下している。というのも会議の途中では‟化石燃料”の語句が全く抜け落ちたり、10年という期限の設定も危うくなっていたからである。それが‟脱却を加速”で、なんとかまとまった。だから評価できるという解釈も成り立つのかもしれない。しかし地球温暖化の阻止という目標からみると、この程度の合意ではほとんど効果が期待できないのではないだろうか。

地球の気温上昇を産業革命以前の1.5度以内に収めないと、状況は加速度的に悪化する。だが現実はすでに1.1度も上昇しており、これが洪水や干ばつなどの異常気象を惹き起こしている。それなのに世界の石炭使用量は、まだ増加中。再生可能エネルギーを3倍にすると言っても、そのための具体的な計画はない。そこへ‟脱却を加速”で、地球温暖化が止められるとはどうしても考えられない。

                        (続きは明日)

        ≪20日の日経平均 = 上げ +456.55円≫

        ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ

  
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地球温暖化は防げない! : COP28 (下)
2023-12-22-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 芳しくない日本の評判 = COP28の会場で、日本の評判はあまりよくない。口先ばかりで実行が伴わない国、という評価である。たとえば岸田首相は演説で「日本はCO₂排出対策を講じていない石炭火力発電所の新設はしない」と力説した。だが、いま稼働している石炭火力発電所を削減するのかどうかについては、全く触れていない。また「再生可能エネルギーを30年までに3倍に拡大する」ことに賛同したが、日本政府の計画だと2倍にも届かない。

「気候行動ネットワーク」という国際環境NGOが、毎年COP28に合わせて‟化石賞”を出している。地球温暖化対策に後ろ向きな国に与える不名誉な賞だ。日本はことしも受賞、これで4回目である。彼らからみると、日本はG7(先進主要7か国)のなかで唯一のダメな国。そのくせ日本企業は新興国に対して、温暖化対策の製品や技術を売りまくる。まず日本国内で使ったらどうだと、批判しているわけだ。

日本の電源構成をみてみよう。22年度の場合、火力は全体の72.7%、このうち石炭は30.8%を占める。再生エネルギーは21.7%、原子力は5.6%に過ぎない。そして30年度の目標は火力が41.0%、うち石炭が19%。再生エネルギーは36-38%、原子力は20-22%となっている。つまり政府の計画では、30年の再生エネルギーは1.7倍にしかならない。それなのに国際会議では「3倍」に賛同しているのだ。

産油国や新興国までが参加したCOP28では、化石燃料の廃止で合意できなかった。しかしG7はアメリカとフランスが主導して「石炭火力発電を禁止する有志連合」を立ち上げた。しかし日本は、ここにも参加しなかった。こういう日本の姿勢をみて、海外諸国がどのように感じるか。不思議なことに、COP28を取材した日本のマスコミはこんな日本の評判をほとんど伝えてこなかった。

        ≪21日の日経平均 = 下げ -535.47円≫

        ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ

   
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金融政策は 誰のため?
2023-12-23-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日銀はどこを向いてるんだ = 日銀は19日に開いた政策決定会合で「現行の超金融緩和政策を維持する」ことを決めた。植田総裁は記者会見で「もう少し賃金と物価の状況を見極めたい」と語ったが、そうすると緩和政策の修正は来春の春闘後ということになりそうだ。この決定を受けて円安が進み、株価は大幅に上昇した。だが日銀はいったい何を恐れて、金融政策の正常化に踏み出せないのだろうか。

仮に、日銀が「マイナス金利政策の修正」を決定したと想定してみよう。円相場は大きく上昇し、株価は大幅に下落したに違いない。それがきっかけで、景気が下降したら大変だ。それより円安で企業の利益を増やし、それが賃上げに回ることを期待した方がいい。これが日銀の考え方なのだろう。要するに、日銀の顔はいま大企業に向いている。

だが円安は輸入物価を上昇させる。エネルギー・食料品・原材料が高騰、価格転嫁が出来ない中小企業や家計を苦しめていることは周知のとおり。これに対して、政府が電気・ガス・ガソリンに補助金を支出するという奇妙な状況を産み出した。日銀が金融政策の正常化に踏み切り、異常な円安が是正されれば、物価の上昇をかなり抑制できるに違いない。

さらに金利がプラスになれば、家計には膨大な利子所得が発生する。たとえば94年の利子所得は26兆円もあった。それが21年は6兆円に減少している。もし94年並みの金利水準になれば、年間20兆円もの利子所得が家計に流入するわけだ。日銀が家計の方に顔を向ければ、国民の暮らしはぐっと楽になる。円高で物価が抑制され、家計の利子所得が拡大すれば、実質所得も確実にプラスになるだろう。

        ≪22日の日経平均 = 上げ +28.58円≫

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今週のポイント
2023-12-25-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 年末相場に期待する株式市場 = ダウ平均は先週81ドルの値上がり。火曜日の終り値3万7558ドルまで、5日連続で史上最高値を更新し続けた。あとはさすがにやや反落したが、11月から8週連続の上昇。4年10か月ぶりの記録も作っている。最大の原因は、FRBによる政策金利の据え置き決定。これで来年は利下げが始まるという観測が拡大、市場の空気が一挙に明るくなった。

日経平均は先週199円の値上がり。日銀がマイナス金利政策の据え置きを決めたため、19-20日の2日間で900円以上も上昇。あとは確定売りが出て反落した。しかし終り値でも3万3000円台を確保、日銀の政策修正は当分ないという見方が広がっている。大手証券3社の発表だと、今3月期の経常利益は前年比7.3-8.1%の増益。これもプラス材料になった。

ニューヨーク市場では年末相場が盛り上がり、ダウは3万8000ドルに達するかどうかが焦点。紅海での航路不安と高値警戒の確定売りがカベになりそう。一方、東京市場では7月に付けたバブル崩壊後の高値を抜けるかどうか。こちらは円高、操業を完全ストップしたダイハツ。それに裏金問題に揺れる政局がカベになるだろう。

今週は26日に、11月の労働力調査、企業向けサービス価格。28日に、11月の商業動態統計、鉱工業生産。アメリカでは26日に、10月のFHFA住宅価格指数。28日に、11月の中古住宅販売が発表される。

        ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ


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贅沢すぎる悩み : NY株式市場
2023-12-26-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 史上最高値でも利下げは可能なのか? = ニューヨーク市場では先行き安心感が広がり、株価は史上最高値の水準に達している。FRBが政策金利を据え置いたことから「利上げ局面は終わった。来年は利下げの年になる」という確信が急激に強まったためだ。ダウ平均は年内にも3万8000ドルを超えてもおかしくない。そんな高揚感のなかで、市場では「こんなにすんなりと上げてもいいのだろうか」という何とも贅沢な疑問さえ生じている。

振り返ってみると、FRBが引き締め政策に転じる直前、22年1月4日のダウ平均は3万6799ドルだった。現在は3万7000ドル台で、それを超えている。ということはFRBが急テンポの利上げを実施したにもかかわらず、結果的に株価は下落しなかったことになる。これはFRBによる量的な引き締めが、まだ十分な効果を発揮していないことを示すのかもしれない。

その1つの証拠は、株式購入の待機資金受け皿と言われるMMF(マネー・マーケット・ファンド)の残高。米投資信託協会の集計によると、12月13日時点の残高は5兆9000億ドルで過去最大となった。この残高はリーマン・ショック時の3兆8000億ドルをはるかに上回る。もちろん、この残高がすべて株式市場に投入されるわけではないが、余裕資金の大きさをみるには十分な数字だ。

FRBは「引き締めの効果は来年になってから現われる」とも解説している。だが一方で、株価は利下げとともにさらに上昇するだろう。株価が史上最高値を更新し続ける状態で、FRBは利下げできるのだろうか。もしかすると、株高が利下げを遅らせる原因になるかもしれない。ニューヨーク市場の贅沢な悩みは、まだまだ続きそうだ。

        ≪26日の日経平均 = 上げ +51.82円≫

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ

   
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国債は どこまで増やせるのか?
2023-12-28-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 来年度も35兆円を新規に発行 = 政府が編成した24年度の予算案。一般会計の総額は112兆0717億円で、23年度の当初予算より約2兆円縮小している。これはコロナ関連の予備費を4兆円削減したため。内容を見ていちばん気になったのは、社会保障費と国債費が増大したこと。どちらも自然に増加してしまう費目で、いずれも過去最大に。両方を合わせると64兆7000億円と、歳出全体の57.8%を占めている。いわば6割近くが固定費であり、裁量的に動かせる費目は4割に減ってしまった。

このうち国債費は27兆0090億円。国債費というのは、国債の償還や利払いに充てる費用。国債の発行残高が増えたり、金利が上がると、この費用は増大する。ここで注目されるのは、想定される金利を7年ぶりに1.1%から1.9%に引き上げたことだ。要するに24年度は日銀がゼロ金利政策から脱却、金利が上がることを政府自らが想定していることになる。

新予算案によると、新規国債の発行額は34兆9490億円。歳入全体の31.2%を占める。つまり歳入の約3分の1は、借金で賄うわけだ。この結果、24年度末の国債発行総残高は1105兆円に。国と地方の長期債務残高は、GDPの212%となる見通しだ。こうした‟借金漬け”の財政政策は、いつまで続けられるのだろう。常識的には、もう限界に近い。

ところが日銀が多くの国債を買ってしまうから、話が見えにくくなる。日銀は13年に始めた異次元緩和政策で、国債を毎年50兆円-80兆円のペースで市場から買い入れている。22年は136兆円も買った。このため金利は上がらず、こんな状態なら何年でも続けられるように思われる。しかし金利が上がり出すと、そうはいかない。財務省も26年度の国債費は金利が1%上昇すれば3兆6000億円、2%上昇なら7兆2000億円増加すると試算した。そうなると、26年度以降の予算はどんな形になってしまうのだろうか。少々恐ろしい。

        ≪28日の日経平均 = 下げ -141.62円≫

        ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ


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想定を超えた好成績 : 23年の株価
2023-12-30-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 原動力はやっぱり‟カネ余り” = 日経平均株価は3万3464円で、大納会を終了した。この1年間の上げ幅は7369円。なんと年間としては、史上3番目の上昇幅である。1月4日の大発会は2万5717円、その時点でこんな好成績を予想した人は少なかったに違いない。そこから年の前半はコロナ規制の解除、円安の進行による企業の利益増大、それに著名投資家ウォーレン・パフェット氏の日本株買い入れなどがあって、株価は上昇。後半は上げ足を鈍らせたが、それでも高値圏で推移した。

ウクライナ戦争の長期化によって、エネルギー・資源・食料の国際価格が高騰。円安の影響も加わって、国内の物価も上昇を続けた。しかし日銀は超金融緩和政策を継続、‟カネ余り”状態がいぜん続く。外国人投資家にとっては超低金利で安い円を借り入れ、これを株式投資に回す。こんなに気楽な投資環境は、なかなか見つからなかったに違いない。そして、これまた予想をはるかに上回ったニューヨーク市場の株価も、常に東京市場の下支えとなった。

ダウ平均株価は28日の終り値が3万7710ドル、また史上最高値を更新している。ここまでで年初来の上げ幅は4563ドル。FRBが政策金利を急速に引き上げたにもかかわらず、上昇したのだから凄い。さすがに利上げがあると下げたが、すぐに利上げの終了を期待して上げた。FRBによる量的引き締めがまだ十分でなく、投資資金があり余っていたことが、株価を下支えしたと言える。

特に11月以降は、株価が急騰した。FRBが政策金利の据え置きを続けたためで、市場では来年の利下げに期待をかけるようになった。このため12月中旬からは、連日のように史上最高値を更新中。来年になってもニューヨーク市場の強気相場は続きそうだ。当面の目標は3万8000ドルだが、近く4万ドルの大台乗せも夢ではないとみる人が多い。

        ≪29日の日経平均 = 下げ -75.45円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】   

   
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