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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
アベノミックスと どう違うの?
2021-10-01-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 迫力に欠ける岸田氏の経済政策 = 岸田文雄氏が自民党の新総裁に選出された29日、株価は大幅に下落した。市場にとって岸田氏の政策は好ましくないのかというと、決してそうではない。まず岸田氏は「年内に数十兆円の補正予算を組む」と言明した。また「分配なくして成長なし」と述べ、労働分配率の上昇を重視する。さらにエネルギー問題では「原発を出来る限り活用する」姿勢を明らかにした。市場が嫌がる点はない。

だが、こうしてみるとアベノミックスとどこが違うのだろう。安倍政権も菅政権も、数十兆円の補正予算を組んだ。安倍前首相は、企業に対してたびたび賃上げを要請している。原発についての考え方も、全く同じだ。しかも大型補正予算の中身は、まだ判らない。その財源も不明。賃上げや原発についても、具体論はこれからだ。

長引くコロナ対策によって、国民の気分は抑圧されている。そこへ新内閣が誕生するのだから、気分一新と行きたいところ。だが新政権の政策はアベノミックスの延長となれば、やっぱり迫力に欠ける感じは否めない。その印象を薄めるためか、岸田氏は「新しい資本主義」とか「令和所得倍増」などのキャッチフレーズを持ち出した。しかし、その内容はからっぽだ。

アメリカでは物価と金利が上昇し、株価は下落した。東京市場もその影響で大幅に下げた。その最中に誕生した岸田新総裁、株価を上げるほどの迫力はなかったということだろう。5年後、10年後の日本経済をどんな姿にするのか。その青写真が公表され、そのための具体策が作成されないと、岸田新内閣に対する国民の期待は高まらない。

        ≪30日の日経平均 = 下げ -91.63円≫

        ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ


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       よろしくお願いします。

     ☆ 日経平均予想は過去15年間で2585勝1106敗。勝率は7割ちょうどでした。やっと大きなカベになっ
       ていた7割に届きました。












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 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (81)
2021-10-02-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 世界的にピークは過ぎた!? = 世界の感染者は累計2億3326万人、この1週間で317万人増加した。死亡者は477万4192人で、5万4495人増えている。しかし8月中旬に比べると、1週間当たりの感染者増加数は183万人も減少した。死亡者も1万4432人減っている。まだまだ安心できる水準ではないが、全体としてピークは過ぎたのかもしれない。ただ、その原因は不明。というのもワクチンの接種率が低い国でも、感染者や死亡者が減少しているからだ。

NHKの集計によると、ワクチンを2回以上接種した人が人口に占める割合は次の通り。①スペイン78.23%②中国72.56%③カナダ70.74%④イタリア67.68%⑤イギリス65.73%⑥フランス65.58%⑦ドイツ63.71%⑧マレーシア61.31%⑨日本59.54%⑩アメリカ54.81%。その一方、接種率が低い国はブラジル41.97%、インドネシア18.24%、インド16.82%など。これらの国でも、感染者や死亡者の増加数は急速に縮小している。たとえば5月には週間3万人に近かったインドの死亡者数は、現在2000人に減少した。

国別の死亡者数をみると、アメリカが69万人台、ブラジルが59万人台、インドが44万人台、メキシコが27万人台。あとはロシアが20万人台、インドネシアが14万人台、イギリスとイタリアが13万人台、イランが12万人台、フランスが11万人台と続いている。各国とも状態は落ち着いており、死亡者が急増している国はない。

日本もオリンピックが終わったあと、状況は劇的に改善した。感染者は累計170万1192人、この1週間で1万3267人増えている。ただ8月下旬には1週間で16万人以上も増加していたのだから、まるでウソのようだ。死亡者も1万7652人で、266人の増加にとどまった。政府は緊急事態宣言の解除に踏み切ったが、予想される第6波の山を低く抑え込めれば、コロナ完全収束の達成も見えてくる。

        ≪1日の日経平均 = 下げ -681.59円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     


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今週のポイント
2021-10-04-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 東京市場は米中双方から冷や水 = 世界の株式市場が荒れ始めた。ダウ平均は先週、乱高下の末に472ドルの値下がり。ヨーロッパやアジアの株価も、軒並み2-5%下落した。特に日本株は大きく売られ、日経平均は先週5日間の続落。週間1478円の値下がりで、終り値は2万9000円を割り込んでいる。きょう岸田新内閣が発足するが、ご祝儀めいた雰囲気は全く感じられない。

資源高やエネルギー価格の上昇、それに部品供給網の混乱が加わって、物価が上昇した。さらにアメリカでは政府の債務が法律で決められた上限に接近、国債が売られて金利が上昇。景気や企業収益の先行き警戒感が強まり、株価は下落した。たとえば原油の国際価格は3年ぶり、アメリカの5年もの国債の利回りは1年7か月ぶりの水準に跳ね上がっている。

一方、中国経済の状態も予想以上に悪化している。生産や消費の伸びが鈍化し、将来の景況感も急速に低下した。そうしたなかで経営難に陥った恒大集団の問題も尾を引き、解決のメドは全く立たない。東京市場はアメリカと中国の双方から寒風が吹き込み、株価の下落が拡大した。豊富な資金に支えられているから暴落はないにしても、この環境は今週も続きそうである。

今週は7日に、8月の景気動向指数。8日に、8月の家計調査と毎月勤労統計、9月の景気ウオッチャー調査。アメリカでは5日に、8月の貿易統計、9月のISM非製造業景況指数。8日に、9月の雇用統計が発表される。

        ≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ


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“選挙”を最優先した 岸田新首相
2021-10-05-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 有権者は経済対策の中身を知りたい = 岸田新内閣は4日夜、誕生した。とたんに14日に解散、31日に総選挙のスケジュールを決めている。緊急事態宣言の解除で新型コロナの感染者が増え始めないうちに、選挙をやった方が有利という判断だという。しかし、こんな日程だと新内閣の政策について、国民は多くを知ることが出来ないのではないか。選挙で勝ちたいという意欲も判らないではないが、ちょっと残念だ。

有権者は特に経済対策の詳細を知りたい。岸田首相は「数十兆円の対策を講じる」と公約しているが、その内容には触れていない。新資本主義という触れ込みで「分配面を重視する」と語っているが、その具体策も明らかではない。連立を組む公明党の幹部からは「一律10万円の支給」案が出ているが、前回はほとんど消費に回らず失敗だった。だから数十兆円の中身が判らないと心配になってくる。

ひとくちに経済対策と言っても、その目的はいろいろある。たとえば大きく分けてみると、①コロナ対策=医療の充実や規制によって被った被害の補償②当面の対策=たとえば防災、脱炭素や少子化への対応③将来の成長戦略=たとえば蓄電池や半導体の技術開発--といったぐあい。

もちろん財源には限りがあるから、すべてを網羅するわけにはいかない。そこで新内閣がどの点を重視するのか。それによって、アベノミックスとの差異も判明する。有権者はこうした情報を頭に入れたうえで、一票を投じることが理想だろう。今回は選挙で勝つことを最優先にした結果、その点が疎かになった。自民・公明党はそのことを自覚し、選挙戦を通じて出来る限りの情報を有権者に流してほしい。

        ≪4日の日経平均 = 下げ -326.18円≫

        ≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ


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停電に苦しむ 中国経済
2021-10-06-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 工場の操業停止や信号ストップ = 中国各地で停電が発生している。現地メディアによると、全国の約3分の2で電力の供給が抑制されているという。このため江蘇省では、1000以上の工場が1日おきにしか操業できない。遼寧省では信号が点灯せず、吉林省では水道が出ない。また北京市や上海市でも、計画停電が実施されている。工場の操業率が落ちたため、アップルやテスラ、それに日本企業への部品供給も滞り始めた。

原因は火力発電所の多くが、稼働を停止したこと。中国では電源構成の7割を、石炭火力発電が占めている。ところが最近は世界の資源高によって、輸入炭の価格が3割も上昇。これで採算がとれなくなった火力発電所が、次々と操業を停止した。さらに習近平主席が脱炭素に向けて、石炭火力の縮小方針を発表。早々とこの方針に従った発電所もあったという。

中国は広いから、停電のニュースも断片的にしか伝わってこない。したがって経済に与える影響などは、つかみにくい。しかし工場の操業停止は20の省に及んでいるし、たとえば広東省では180の日本企業に影響が出ているというから、甘くみるわけにはいかないだろう。また状況が改善する見通しについても、全く情報がない。

このところ、中国経済には鈍化の傾向が目立っている。8月の鉱工業生産は前年比5.3%の増加、小売り売上高は2.5%の増加まで低下した。9月の製造業PMI(購買担当者景況指数)も49.6と、久しぶりに50を下回っている。そこへ電力不足による生産の伸び悩み。経済成長率がどこまで下がるのか、いまは推計できない状態になっている。

        ≪5日の日経平均 = 下げ -622.77円≫

        ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ


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“一時的”ではなかった物価高 / アメリカ
2021-10-07-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 金融引き締めも早まる恐れ = アメリカの物価が下がらない。商務省の発表によると、8月の消費者物価は前年比4.3%の上昇。7月の4.2%、6月の4.0%よりも上昇幅を拡大している。物価高の原因は複雑だ。コロナの鎮静で景気が回復、需要が伸びたのに、供給が追い付かないことが根本原因。それに供給網の混乱、運送費や人件費の高騰、資源やエネルギー価格の上昇までが加わった。

影響は各方面に広がっている。仕入れ価格の値上がりを転嫁できない一部の小売り業は、業績が急速に悪化。間もなく始まる年末商戦も、店頭価格の上昇で客足が遠のくかもしれないと心配されている。一方、消費者の方も日用品の値上がりにうんざり。世論調査でも、いま消費者がいちばん関心を持っているのは「物価」だという結果が出ている。

物価の番人でもあるFRBのパウエル議長は、かねがね「物価の上昇は一時的なものだ」と主張してきた。昨年4-6月はコロナ不況の影響で、物価が上がらなかった。だから前年比でみた物価の上昇率は一時的に高くなる、というのがその根拠だった。しかし事実は7-8月も物価は下がらない。パウエル議長も、信用を失ったようにみえる。

「物価高は来年まで続く」という見方が強まってきた。本格的なインフレ懸念である。もしそうなら、FRBも金融引き締めを早めるだろう。いまFRBは「11月に緩和政策の縮小を決定、来年から縮小を開始、来年末に利上げ」の行程表を作成しているようだ。それが大幅に繰り上がる。その可能性が出てきたために、ウオール街は元気がない。

        ≪6日の日経平均 = 下げ -293.25円≫

        ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ


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値上げラッシュ 喜ぶのは日銀だけ
2021-10-08-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 岸田さんの考え方を知りたい = 食用油・マーガリン・菓子・パスタ・そば・コーヒー・たばこ。さらに小型乗用車・電気・ガス料金。--10月から値上げされた品目である。値上げの理由はいろいろ。世界的な原材料の高騰、コロナによる東南アジアでの減産、運賃の上昇、供給ルートの混乱、エネルギー価格の高騰、人件費の上昇、異常気象による不作など。一過性のものもあるが、長引きそうな原因もある。

景気が良くなって人々の収入が増え、消費が増えて物価が上がる。これなら納得できるが、今回は全くそうではない。たとえば家計調査によると、2人以上世帯の7月の実収入は前年比2.2%の減少だった。収入が減っているところへ値上げラッシュがあれば、家計のやりくりは苦しくなる。消費を切り詰めるから、景気は良くならない。

日本の消費者物価は、昨年10月からずっと前年比でマイナスが続く。この8月も前年比0.4%の下落だった。世界の先進国でも珍しい現象だ。それだけ成長力が弱いためだと考えられている。値上げラッシュがあっても、全体としての消費者物価がプラスになるかどうかは判らない。そうしたなかで日銀だけが「物価2%」を目標に、ゼロ金利政策に固執している。

岸田新首相は「分配面を重視し、中間層を育成する」と繰り返し言明した。それはいいことだが、ゼロ金利は誰のための政策なのか。たとえば預金金利に2%の金利が付けば、家計には年間20兆円の利子収入が生まれる。ゼロ金利政策は一部の投資家と国債費の軽減に役立っているだけ。分配面を重視する岸田首相が、この問題をどう考えるのか。ぜひ聞きたいものだ。

       ≪7日の日経平均 = 上げ +149.34円≫

       ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (82)
2021-10-09-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 第6波は必ず来る = 世界の感染者は累計2億3651万人、この1週間で326万人増加した。死亡者は482万8370人で、5万4178人増えている。この増加数は、前週とほぼ変わらない。ただピークだった8月の感染者461万人、死亡者7万人増加に比べれば、かなり落ち着いてきたことは確かだ。日経新聞の集計によると、世界120か国で感染者が減少傾向を示しているという。

アメリカの死亡者数が、とうとう70万人を超えた。次いでブラジルが59万人台、インドが44万人台、メキシコが28万人台。続いてロシアが20万人台、インドネシアが14万人台、イギリスとイタリアが13万人台、イランとフランスが12万人台となっている。この1週間で死亡者数が前週より拡大したのは、メキシコ・ロシア・フランスだった。

ワクチン接種が進み、コロナの拡大が止まったことから、先進各国で規制が緩和された。その結果、たとえばパリでは人出がコロナ前の8割まで回復、またロンドンではレストランの予約件数がコロナ前を2割上回ったという。しかし感染者や死亡者の増加は避けられない。イギリスの死亡者数は最低だった6月の週47人から、この1週間は788人に。フランスは7月の126人から2675人に増加した。イスラエルやシンガポールの例をみても同様である。

日本の感染者は累計170万8509人、この1週間で7317人増えた。死亡者は1万7860人で、208人の増加。感染者の増加数は1万人を下回り、死亡者も4週連続で縮小した。このため政府は緊急事態宣言を解除、人出も急増している。経済的には喜ばしことだが、フランスなどの例をみても判るように、第6波は必ずやってくる。その山をどれだけ低く抑えられるか。岸田内閣が背負う最大の命題である。

        ≪8日の日経平均 = 上げ +370.73円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     


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今週のポイント
2021-10-11-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 戻ったNY、戻らなかった東京 = ダウ平均は先週420ドルの値上がり。先々週の下げをほぼ取り戻した。コロナの勢いが鎮まったこと、政府の債務不履行が年内は回避されたこと、エネルギー価格の上昇が一服したことなどが株高の理由。だが、これらは投資家が資金を株式市場へ戻すための口実に過ぎない。ほんとうの理由は、豊富な資金を持て余した投資家が、下値拾いに殺到したことにある。

日経平均は先週722円の値下がり。3週間の続落で、この間の下げ幅は2450円に達している。ニューヨークは戻したのに東京は戻れなかった理由は、エネルギー価格の高騰が及ぼす悪影響がアメリカよりずっと大きいこと。ガタつき始めた中国経済の影響を受けやすいこと、それに岸田新政権の経済政策に対する一種の警戒感である。

中国の恒大集団については、新しい展開があるかもしれない。またニューヨーク市場では、FRBによる金融緩和政策の縮小が改めて意識されそうだ。さらに東京市場では、エネルギー・中国・新経済政策の3点が持ち越される。投資家の下値拾い意欲が東京にまで広がるかどうかが、今週のポイントだろう。

今週は10日に、9月の企業物価。13日に、8月の機械受注。アメリカでは13日に、9月の消費者物価。14日に、9月の生産者物価。15日に、9月の小売り売上高と10月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が13日に、9月の貿易統計。14日に、9月の消費者物価と生産者物価を発表する。なお14日に、衆議院の解散。

        ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ



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市場が「岸田新首相と距離を置く」理由 (上) 
2021-10-12-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 金融課税は延期したが = 岸田新首相の登場を、株式市場はやや冷めた目で見ているようだ。エネルギー価格の高騰や中国の恒大集団問題など、市場を取り巻く環境は決して明るくはない。だが、それにしても岸田氏が自民党総裁に選出された9月29日から先週末までに、日経平均は2100円も下落した。新内閣が発足しても、ご祝儀の雰囲気などは全く感じられない。なぜだろう。

1つは金融課税が強化される可能性。いま給与などの所得税は累進制だが、金融課税は一律20%となっている。このため合算所得が1億円を超えるあたりから一律20%の税率が利き始め、高所得者ほど税の負担率が下がってしまう。このことは“1億円のカベ”と言われ問題視されていたが、安倍元首相は株価の下落を警戒して手を着けなかった。

岸田首相は経済の分配面を重視、看護師や介護師、保育士などの収入を上げようとしている。その財源として、金融課税の引き上げを考えているとも伝えられた。市場としては、全く頂けない話である。ただ岸田首相は初めての所信表明演説で、この問題には一言も触れなかった。さらにはテレビ番組で「来年度はやらない」と言明している。おそらく選挙前には触りたくなかったのだろうが、将来的に懸念は残る。

“1億円のカベ”が、貧富の差を広げる一因となっていることは事実だろう。だから多くの国民にとっては、早めにカベを取り払うことが望ましい。たとえば年収3000万円以上の投資家については金融課税の税率を累進制にし、それ以下の投資家については逆に税率を下げたらどうか。先送りしたことで市場は一安心したが、一般の国民は岸田首相の豹変にがっかりしたのではないか。

                           (続きは明日)

        ≪11日の日経平均 = 上げ +449.26円≫

        ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫   


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市場が「岸田新首相と距離を置く」理由 (下)
2021-10-13-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 成長戦略の軸が見えない = 「新資本主義」「令和所得倍増」「分配なくして成長なし」--岸田首相の口からは、新しいキャッチフレーズが次々と飛び出す。だが、その中身がよく判らない。日本経済の成長率を高めるために、どんな政策を実施するのか。金融課税と違って、これは総選挙前でも言えるはず。しかし所信表明演説のなかでも「先端技術の研究開発に大胆な投資を行う」としか説明しなかった。だから市場は拍手できない。

小泉政権の郵政改革以来、大きな成長戦略は姿を消したとよく言われる。たしかに国鉄、電々、郵政の3公社が民営化され、改革の大きなターゲットはなくなった。しかし将来の日本に何が必要か、何をもって成長の軸を作るか。その目標を明確にすることが、現在の成長戦略に他ならない。その意味で、岸田首相はまだ確信がないようにも思われる。

アベノミックスは、日本経済を大不況から脱出させるために大きな効果を挙げた。しかし所期の目的を達成したあとも、超金融緩和政策だけに固執し、成長戦略を作成できなかった。アベノミックス派である岸田首相はそのことを反省し、日本経済の明るい将来ビジョンを描き出さなければならない。

そのためにはデジタル・ロボット・宇宙など、やりたいことは山ほどある。だが財政をはじめとする限られた資源を、どこに集中するか。たとえば太陽光発電と蓄電池だけは、なんとしても世界一の水準にまで引き上げる。こんな選択と集中を決定するのが、政治の役割だろう。たとえ総選挙で勝ったとしても、こうした成長戦略の具体的な計画が作成できなければ、岸田内閣の支持率はすぐに低下するだろう。
        ≪12日の日経平均 = 下げ -267.59円≫

        ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ



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エネルギー がぶ飲み / 中国
2021-10-14-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 天然ガスの輸入は4割増 = 中国税関総署は13日、9月の貿易統計を発表した。それによると、輸出は3057億ドルで前年比28.1%の増加。輸入は2390億ドルで17.6%の増加だった。この結果、貿易収支は668億ドルの黒字となっている。輸出は予想より伸びが大きく、輸入は予想より伸びが小さかった。欧米諸国の景気が回復中である半面、中国の景気は鈍化していることを反映している。

輸出を相手国別にみると、第1位はアメリカで輸出額は574億ドル。次いでEU向けが445億ドル、ASEAN向けが404億ドルとなっている。とにかく、この3地域向けの輸出額が大きい。また日本への輸出額は144億ドル、日本からの輸入額は181億ドルだった。日本側の輸出超過となっている。

景気の鈍化を反映して輸入の伸びは予想を下回ったが、エネルギーの輸入だけは急増した。ことし1-9月間の輸入額を前年同期と比べてみると、石炭は26.1%、原油は33.8%、天然ガスは39.6%も増大した。いま中国では石炭火力発電所の稼働率が低下し、全国で停電が発生している。この状態を改善するため、天然ガスなどの輸入が急増しているわけだ。

新型コロナの流行が落ち着き、欧米諸国が経済の正常化に踏み切った。このためエネルギーに対する需要が増大、その一方で供給が追い付かない。その結果、エネルギーの国際価格が急騰している。そこへ中国の輸入増加が、追い討ちをかける形となった。日本も高いエネルギーを買わされるから、経済的には大きな打撃を受けることになる。

        ≪13日の日経平均 = 下げ -90.33円≫

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ


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新聞に モノ申す
2021-10-15-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 要らない情報が多すぎる = 全国紙も地方紙も、結構なスペースを割いて天気予報を載せている。だが、この気象情報は何時間前のものだろう。紙面の編集→印刷→発送→配達にかかる時間を考えると、かなり古いものに違いない。テレビやSNSは、気象庁の発表を即座に流している。人々はどちらを信用するだろうか。いったい新聞の天気予報欄を読む人は、どれほどいるのだろうか。

夕刊に大きな見出しで「午前の株価、急騰」という記事が載っている。だが午後は急反落し、読者がその記事を読むころには前日比で下落していることも少なくない。なにか騙されたような気さえしてしまう。すべての新聞ではないが、まだ夕刊に相場表を載せている新聞がある。これも読者の手に届くころは、終り値が出ているのだから無意味だろう。

社説にも疑問がある。なにも主張せず、ただ事件を解説しているだけの社説をよく見る。また乱暴な主張をする社説もないではない。たとえば「アルカイダは自制せよ」なんて書いても、どうなるんだ。社説として取り上げるべき適切なテーマがないときは、社説を休んだらどうか。ムリに創作した論説を読まされるのは、やりきれない。

新聞はいま、テレビとSNSに浸食されて苦戦している。電子版を立ち上げても伸び悩み。あのニューヨーク・タイムズは、昨年からテレビ番組表の掲載を止めてしまった。理由は「多くの読者がテレビやSNSで調べるからだ」という。新聞はよく苦境に陥った企業や業界に対して「改革が必要」と解説する。いまこそ新聞自体が、改革を必要としているのではないか。きょうから新聞週間

       ≪14日の日経平均 = 上げ +410.65円≫

       ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (83)
2021-10-16-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 東南アジアも鎮静の方向に = 世界の感染者は累計2億3916万人、この1週間で264万人増加した。死亡者は487万4334人で4万5964人の増加。前週に比べると、感染者の増加数は61万3000人、死亡者の増加数は8214人減った。状態は少しずつではあるが、改善を続けている。国別の死亡者をみても、その増加数はロシアを除いて縮小した。

アメリカの死亡者数は累計71万9551人、この1週間で1万1752人増加した。それでも前週よりは900人ほど減少している。ブラジルは60万人台に乗せ、インドは45万人台、メキシコは28万人台。続いてロシアが21万人台で、前週より6700人の増加。インドネシアが14万人台、イギリスとイタリアが13万人台、イランが12万人台、フランスが11万人台となっている。

東南アジア諸国でも、目立って鎮静化した。たとえば8月上旬と直近の1週間で死亡者の増加数を比べてみると、インドネシアは1万4116人→354人。ベトナムは1697人→771人、タイは1101人→611人、マレーシアは1294人→612人など、大幅に縮小した。これら諸国ではコロナの流行で工場の操業が止まり、日本でも部品や冷凍食品の不足に悩まされた。この調子なら、遠からず復旧するだろう。

日本の感染者は累計171万2979人。この1週間で5241人増加した。前週の増加数より1100人ほど減っている。また死亡者は1万8055人で、195人増加した。これも5週連続で縮小している。ワクチン接種率の上昇と、マスクや手洗いの励行によるものだろう。10月1日から緊急事態宣言がすべて解除されたが、その影響でリバウンドがいつから出始めるかが注目のマトだ。

        ≪15日の日経平均 = 上げ +517.70円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】    


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今週のポイント
2021-10-18-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 株式市場に戻った資金 = ダウ平均は先週549ドルの値上がり。終り値は1か月半ぶりに3万5000ドルを回復した。再び史上最高値を更新する勢いをみせている。規制の緩和で経済の正常化ガ進み、小売り売上高が予想を上回ったこと。金利と原油の上昇が一服し、企業業績の先行きも明るくなったことで、安心感が広がった。

日経平均は先週1020円の値上がり。終り値は2週間ぶりに2万9000円を回復した。ニューヨーク市場の活況に引きずられたうえに、円安の進行で輸出関連株が買われた。岸田首相が金融課税の強化を見送ったこと、中国の恒大集団が持ちこたえていることも、安心感につながっている。総選挙の結果、自民・公明の与党が負ける可能性は小さく、政局はほとんど材料視されていない。

東京市場の株価が大幅に上昇した背景には、コロナ感染者の劇的な減少がある。しかし近いうちにリバウンドは、必ず起きると覚悟しなければならない。また円安は行き過ぎると輸入価格が上昇し、企業の収益を圧迫する。要するに豊富すぎる投資資金は行き先がないから、悪材料が消えれば株式市場に戻ってくる。逆に悪材料が出れば、市場から出て行く。その意味での注目点はアメリカでは物価と金利。日本ではエネルギー価格と円相場ということになるだろう。

今週は20日に、9月の貿易統計。22日に、9月の消費者物価。アメリカでは18日に、9月の工業生産と10月のNAHB住宅市場指数。19日に、9月の住宅着工戸数。21日に、9月の中古住宅販売。また中国が18日に、7-9月期のGDP速報、9月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

        ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ



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失速した? 中国経済
2021-10-19-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 7-9月期はゼロ成長に近づく = 中国統計局は18日、ことし7-9月期のGDP速報を発表した。それによると実質成長率は4.9%で、4-6月期に比べて3ポイントも低下している。原材料価格の高騰で企業の設備投資意欲が弱まり、コロナ再発による移動規制で消費が減退。さらに電力不足で生産が鈍化、恒大集団の行き詰まりで不動産投資も伸びなかった。ただ欧米の景気回復と価格の上昇で、輸出は過去最大となっている。

同時に発表された9月の主要指標も、そろって下向いている。鉱工業生産は1-9月では前年比11.8%の増加だったが、9月は3.1%の増加にとどまっている。。電力不足によって工場の稼働率が、大幅に低下した。また小売り売上高は1-9月では16.4%の増加だったが、9月は4.4%の増加。1-9月の固定資産投資額も7.3%の増加に落ちている。

中国はGDPの伸び率を、前年同期との比較で発表している。これに対し欧米や日本は、前期に比べた変化を年率換算する方法を採用している。この方法で中国の7-9月期を計算すると、前期比は0.2%程度。これを年率に換算しても1%には達しない。つまりゼロ成長近くまで失速したことになる。

中国経済の減速は、10-12月期も続く公算が大きい。習近平政権は、おそらく地方政府に公債の発行でインフラ投資を増やさせることになるだろう。しかし問題はインフレ。9月の卸売り物価は2ケタの上昇となっており、これが消費者物価に波及すれば、国民の不満は爆発しかねない。したがって従来のように、景気対策を打てばいいという状態ではなくなっている。北京政府のお手並み拝見ということになる。

        ≪18日の日経平均 = 下げ -43.17円≫

        ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ


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世界インフレへの警鐘 : G20声明
2021-10-20-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 金融引き締めへの地盤固め = G20(主要20か国)は先週、ワシントンで財務相・中央銀行総裁会議を開いた。ここでは「法人税の税率を最低15%にする」「多国籍企業の課税逃れを防ぐため国際課税の新ルールを作る」ことで合意した。そして終了後に発表された共同声明には、なんとも不可解な一項目が挿入されている。それは「中央銀行は一時的なインフレ圧力を見通し、物価安定へ必要に応じて行動する」という一文。

アメリカでは、いま物価の上昇が大問題になりつつある。たとえば9月の卸売り物価は前年比8.6%、消費者物価は5.4%も上昇した。しかしFRBは「この物価上昇は”一時的な”現象」という判断を取り続けている。このことを踏まえて考えると、G20の声明は「たとえ一時的な物価上昇であっても、金融は引き締めるよ」という意思表示のように受け取れる。

物価上昇の原因はいろいろ。コロナの鎮静化で景気が回復、需要が一気に拡大した。しかし供給が追い付かないことに基本的な原因がある。そこへ原油価格の高騰、人件費の上昇が加わった。こうした原因は世界共通だから、各国とも物価上昇に悩み始めている。たとえばユーロ圏でも、消費者物価が9月は3.4%上昇。13年ぶりの物価高となった。中国も9月の卸売り物価は過去最大の10.7%上昇を記録している。

FRBは11月に量的緩和の縮小を始め、来年半ばには金利の引き上げに進むだろう。ECB(ヨーロッパ中央銀行)も、近く緩和政策の見直しに踏み切る公算が大きい。そうしたなかで、日本の物価だけが上がらない。悪質な円安だけが進行するだろう。日本銀行はどう対応するのか。岸田新政権の経済政策に、こうした展望は全く含まれていない。

       ≪19日の日経平均 = 上げ +190.06円≫

       ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ


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エネルギー危機が やって来る! (上)
2021-10-21-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 複雑な原因が絡み合う = エネルギーの国際価格が急騰している。原油価格の指標となっているニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物相場は、今週1バレル=83ドルに上昇した。昨年10月は40ドル前後だったので、この1年で2倍に値上がりしたことになる。多くの専門家は「冬場を控えて原油の価格はまだ上がる」と予想しており、なかには100ドルを超えるという見方さえ出てきた。

LNG(液化天然ガス)の高騰ぶりは、もっとモノ凄い。ヨーロッパでの取引価格は10月に入ってから7割も上昇、オランダ市場のTTFは1メガワット時=155ユーロ(約2万円)に高騰した。年初に比べると5倍を超えている。この価格を熱量に換算して原油に当てはめると、1バレル=200ドルの高価格に相当するという。

今回のエネルギー価格急騰は、いくつもの原因が絡み合って起きている。従来の価格高騰は産油国の減産や厳冬による需要の増大など、比較的に解りやすいことが原因となっていた。しかし今回は様相を異にする。まずコロナ規制の解除で各国の景気が回復、エネルギー需要が急増した。ところが産油国側は減産を続け、供給が追い付かない。

そこへ冬場の到来、アメリカでのハリケーン被害とシェール業界の投資不足。ヨーロッパではロシアが天然ガスの供給を絞り、風力不足で風力発電の稼働率が下がった。そのうえに世界的に脱炭素の動きが強まる。中国が石炭不足に陥り、LNGの輸入を急拡大した。このように原因が多岐にわたっているため、正常化には時間がかかる。したがって、エネルギー価格の上昇はまだ続くと予測される。

                            (続きは明日)

        ≪20日の日経平均 = 上げ +40.03円≫

        ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ



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エネルギー危機が やって来る! (下)
2021-10-22-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 岸田内閣が直面する最初の大試練 = エネルギー国際価格の急騰は、日本にも影響を及ぼし始めた。ガソリンの店頭価格は1リットル=164円に上昇、年初の2割高となった。東京電力の場合、標準家庭の11月の電気料金は7371円になる見込み。年初に比べると17%も高くなる。それだけ家計のやりくりは苦しくなり、消費が抑制される。企業はコストが増えて、利益が圧迫される。

そのうえ9月以降、円の対ドル相場がじりじりと下落した。このため9月の輸入物価は、前年より31.3%も上昇。企業間で取引されるモノの価格は6.3%上昇、13年ぶりの上昇幅を記録した。しかし景気が良くないから、企業はこの値上がりをなかなか価格転嫁できない。その結果、企業の業績は悪化することになる。当然、景気も悪くなる。

エネルギー価格の高騰が日本経済に及ぼす悪影響は、貿易面から見るとよく判る。財務省が発表した貿易統計をみると、ことし4-9月に輸入した原油やLNG(液化天然ガス)などのエネルギーは7兆8000億円。前年を73%も上回った。その輸入代金は、企業や家計がガソリン代や電気料金として支払った合計である。それだけの購買力が、産油国などに流出したと言ってもいい。

価格の高騰と円安はまだ続いているから、21年度の輸入代金は20兆円に近づくだろう。景気はそれだけ抑制されることになる。再生可能エネルギーや原発の活用でエネルギーの輸入額を4分の1ほど減らせれば、5兆円のカネが国内で使われるわけだ。しかし歴代の政府は、その努力を怠ってきた。いま盛りの選挙運動をみても、与野党は何も主張していない。岸田内閣にとっては最初の試練になると思うのだが、岸田さんにその自覚はまだない。

        ≪21日の日経平均 = 下げ -546.97円≫

        ≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫ 


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (84)
2021-10-23-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本とロシアの相違はどこに? = 世界の感染者は累計2億4203万人、この1週間で288万人増加した。死亡者は492万2096人で4万7762人の増加。感染者も死亡者も、増加の勢いは前週と変わらない。国別でみても、大きな変動はなかった。そうしたなかで、ロシアだけが目立って悪化。ロシア政府は近く「1週間にわたって休日とする」布告を出す模様。なにがロシアでのコロナ流行を拡大させているのだろうか。

国別に死亡者の動向をみると、アメリカが73万人台に。この1週間で1万1724人増えた。前週の増加数1万1752人と、ほとんど変わっていない。次いで死亡者が多いのはブラジルで累計は60万人台、インドが45万人台、メキシコが28万人台となっている。その次がロシアで22万人台、インドネシアが14万人台、イギリスとイタリアが13万人台、イランが12万人台、フランスが11万人台と続いている。

日本の感染者は累計171万5772人、この1週間で2793人増加した。死亡者は1万8173人で118人の増加。感染者の増加数は前週の半分近くに減り、死亡者の増加数も6週連続で縮小した。世界でも、こんなに急速に改善した例は珍しい。10月からはすべての緊急事態宣言が解除されたが、まだリバウンドは起こっていない。

ロシアの感染者数は累計800万5376人。この1週間で231万1988人増えた。死亡者も22万3331人で6928人の増加。1日に1000人を超える日も出ている。日本とロシアでは、どこが違うのだろう。ワクチン接種の完了者が全人口に占める割合は、日本の68.64%に対してロシアは32.5%と低い。だが接種率がロシアよりも低いインドでも、感染者や死亡者は急速に減っている。ロシア人の衛生観念が劣っているという話も聞かない。そこで現われたのが、ロシア型変異ウイルス説。本当なら、日本も要注意だ。

        ≪22日の日経平均 = 上げ +96.27円≫

        【今週の日経平均予想 = 1勝4敗】     


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今週のポイント
2021-10-25-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ ダウとSP500が最高値を更新 = ニューヨーク市場がまた賑わっている。ダウ平均は先週382ドルの値上がり。終り値は3万5677ドルで、2か月ぶりに史上最高値を更新した。SP500指数も最高値を更新している。市場では景気の先行きについて強気と弱気が交錯していたが、最終的には強気が押し切った形。コロナの再拡大や原材料価格の高騰を心配する声も強かったが、楽観派が豊富な資金にモノを言わせた。

日経平均は先週264円の値下がり。コロナが急速に鎮静化し行動規制も大幅に解除されたが、市場は元気がない。というのも原油高と円安が同時進行し、景気の先行きに黒雲が発生したためだ。ふつうは円安になると輸出関連企業の利益が増加、株価は上がる。しかし今回は電力・ガス料金や輸入原材料の高騰で、企業収益や個人消費が圧迫される悪影響の方が大きいと考えられるからだ。

FRBが金融緩和政策の縮小を決める11月が、いよいよ近づいてきた。ニューヨーク市場が、これをどう受け取るか。今週あたりから、その動きが見え始めるだろう。一方、原油高と円安はまだ進行しそう。東京市場の重苦しさは、今週も続きそうだ。ただ世間の関心は、総選挙の結果へと集中して行く。株価が大きく動くことはないだろう。

今週は26日に、9月の企業向けサービス価格。28日に、9月の商業動態統計。29日に、9月の労働力調査、鉱工業生産、住宅着工戸数と10月の消費動向調査。アメリカでは26日に、8月のFHFA住宅価格、9月の新築住宅販売、10月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。28日に、7-9月期のGDP速報、9月の中古住宅販売。また28日に、EUが7-9月期のGDP速報。31日に、中国が10月の製造業と非製造業のPMIを発表する。なお31日は、衆議院選挙の投開票日。

        ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ≫ 


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‟悪玉”になった 円安の正体
2021-10-26-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 原油高と結びついてスタグフレーション = 円相場の下落が止まらない。対ドル相場は、ことし1月には103円台だったものが、先週は114円台にまで下落した。アメリカの金利が上昇し、ドルが買われたためと解説されている。ところが世界中の通貨を対象に算出した実効為替レートだと、円相場の下落はもっと著しい。日銀の試算によると、1972年以来の安値だという。これは日本経済に対する評価が低下したため、と考えるしかない。

かつては円安になると、株価が上がった。輸出関連企業の取引条件が改善し、利益が増大したからである。つまり円安は、長い間‟善玉”と目されてきた。ところが最近は、様相が変わってきた。いまでも輸出関連企業にとっては‟善玉”だが、日本経済における輸出の比重が小さくなっている。このため輸入品の価格を押し上げてしまうという、円安の‟悪玉”性が目立ってきたわけだ。

しかも原油価格の高騰が、これに重なった。ガソリン価格や電気料金には、原油やLNG(液化天然ガス)の国際価格上昇に加えて、円安による価格上昇が含まれる。企業や家計の負担は、急に重くなった。原油と関係のない食料や原材料の輸入価格も、円安のために上昇している。8月の輸入物価は、前年比29.2%の上昇だった。

FRBは11月に、金融緩和政策の縮小を開始する予定。すると日米の金利差はさらに拡大し、円安の要因は強まるだろう。また原油価格の高止まりも続きそうだから、日本の物価は上がる。こうして日本経済は、スタグフレーション(物価高と不況の共存)に陥る危険性が増大して行く。したがって、円安はまだ進行する可能性が大きい。

        ≪25日の日経平均 = 下げ -204.44円≫

        ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ



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逆算だけで作った 電源計画 (上)
2021-10-27-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ エレベーターのない高層ビル = 政府は22日の閣議で「新エネルギー基本計画」と「地球温暖化対策計画」を決定した。日本がことし4月に公約した「30年度までに温室効果ガスの排出量を13年度の46%に削減する」目標を達成するための、具体的な対策案である。31日からイギリスで始まるCOP26(国連気候変動枠組み条約締結国会議)に提出する必要があるため、急いで決定した。だが、どうやって計画を実現するのか。手段については、ほとんど触れていない。

エネルギー計画の中核となる電源構成をみると、30年度までに火力発電の全体に占める比率を41%に引き下げる。こうしないと「30年度までに温室効果ガスの排出量を13年度比46%減」という公約を達成できない。しかし19年度の実績で76%もあった火力発電の比率を41%に下げることは、決して容易ではない。その分をどうやって補うのか。

計画によると、30年度の再生可能エネルギー発電を全体の36-38%に引き上げる。19年度の実績は18%だったから、ほぼ2倍に増やさなければならない。同様に原子力発電は、6%から20-22%へ。また新たに水素・アンモニア発電で1%分を補うことにしている。このうち再生エネルギーについては、太陽光が14-16%、水力が11%、風力とバイオマスが5%ずつ、地熱が1%という内訳も発表した。

公約の「ガス排出量46%削減」という数字から、逆算して作っただけの計画と言うしかない。計画を作った経済産業省は、これまで原発についても再生エネルギーについても、その育成に失敗してきた。だから、どうすれば計画を達成できるかという説明もできない。外観は立派な高層ビルだが、エレベーターがないから誰も登れない。そんな感じの計画になってしまった。

                          (続きは明日)

       ≪26日の日経平均 = 上げ +505.60円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ


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逆算だけで作った 電源計画 (下)
2021-10-28-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 政府が体を張るしかない = 「30年度までに温室効果ガスの排出量を、13年度比で46%削減する」--日本が世界に公約した脱炭素の目標である。ここから逆算して、新しい電源計画では火力の比重を41%に落とす。その分を埋めるため原発は20-22%、再生可能エネルギーは36-38%に増やす。こういう設計図が描かれた。だが、その実現はほとんど不可能だとみられている。

政府が新エネルギー計画を閣議決定した2日後、美浜原発(福井県)の運転停止が報道された。テロ対策施設の設置が遅れたためである。これで稼働中の原発は7基になった。新しい電源計画を達成するためには27基前後の原発が必要だ。今後8年間で20基の原発が動き出すとは、どうしても考えにくい。原発について、政府はずっと静観してきた。だがもっと積極的に参入、必要ならカネも出したらいい。

再生可能エネルギーは、30年度までに現在の2倍が必要。だが太陽光も風力も設置コストが増大したため、伸び悩んでいる。計画では新築住宅に太陽光発電を義務付ける案も示しているが、これでは建築費がかさんでしまう。ここでは発想の転換が必要だ。新築住宅だけではなく、公共施設や民間ビルにも太陽光発電を義務付ける。さらに全国の鉄道や高速道路にも。発電パネルを張りめぐらす。そして費用の大半を政府が支出する。

その結果、計画通りに火力発電を減らせれば、原油やLNGの輸入も大幅に減少する。おそらく毎年5兆円以上の輸入代金が節約でき、その分が国内で使われる。持続的な景気対策にもなるはずだ。こう考えれば、いま政府が原発や再生エネルギーのために数兆円の資金を投入することは、きわめて有効だろう。要は政府が体を張るかどうかである。

        ≪27日の日経平均 = 下げ -7.77円≫

        ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ



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訪日客は戻らない : 規制緩和でも
2021-10-29-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ ことしの損失額は20兆円にも = コロナの感染力が急激に衰え、緊急事態宣言などの行動規制がすべて解除された。このため飲食店や商業施設への来客も、確実に増えている。しかし、ひところはインバウンドともてはやされた外国人観光客が戻って来る気配は全くない。ことしの訪日客数は30万人程度、コロナ前19年の1%にとどまるものとみられている。

コロナ前19年の外国人観光客数は3180万人。それがコロナの影響で、20年は410万人に減少した。さらに21年は1-9月間で、19万0900人にまで落ちている。観光目的での来日は原則的に禁止、ビジネス目的の訪日も接種証明があっても10日以上の待機を求められるなど、厳しく制限されているためだ。この結果、ことしの経済的損失は20兆円にものぼると推計されている。

海外ではワクチン接種の証明を条件に、観光目的の入国を認め始めた国も多い。だが日本政府はコロナの再拡大を警戒して、規制を緩和しようとはしない。観光業界は総選挙を前に「新たな観光戦略の策定と入国規制の緩和」を各政党に働きかけたが、大きな争点にはならなかった。

たしかに外国人観光客が、コロナ第6波の引き金になっては大変だ。しかし注意深く緩和の方向へ動き出すことも、そろそろ必要だろう。ワクチン証明や入国時の検査はもちろん必要だが、待機をしてまで観光する人はいない。あとはGPSで行動を把握するとか、入国する人数を制限するとか、専門家が集まって議論したらどうだろう。

       ≪28日の日経平均 = 下げ -278.15円≫

       ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (85)
2021-10-30-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本の改善ぶりは驚異的だ = 世界の感染者は累計2億4502万人、この1週間で299万人増加した。死亡者は497万2731人で、5万0635人の増加。死亡者は来週、500万人に達するだろう。感染者・死亡者とも増加の勢いに大きな変化はないが、厳密にみるとやや悪化している。国別では、インド・ロシア・イギリスの死亡者が前週より増加した。特にロシアでは、週間7455人が死亡している。

死亡者の動向を国別にみると、アメリカは累計74万人台。この1週間に9967人死亡したが、それでも8週間ぶりに1万人を割っている。次いでブラジルが60万人台、インドが45万人台、メキシコが28万人台。あとはロシアが23万人台、インドネシアとイギリスが14万人台、イタリアが13万人台、イランが12万人台、フランスが11万人台となっている。

日本の改善ぶりは驚異的だ。感染者は累計171万7656人、この1週間で1884人増えた。この増加数は約1年ぶりの低さ。死亡者は1万8236人で63人の増加にとどまった。12週間ぶりに100人を割っている。ワクチン接種が進んだことが大きいが、それにしても予想以上に改善した。これで第6波の山を低く抑えられれば、万々歳ということになる。

NHKの調査によると、世界各国のワクチン接種率は次の通り。2回以上接種者の人口に占める割合。①スペイン79.72%②カナダ73.93%③中国73.92%④韓国72.06%⑤イタリア71.11%⑥日本70.89%⑦フランス67.76%⑧イギリス66.86%⑨アメリカ56.79%。確かに接種率が70%を超えた国では、感染が下火になっている。そういう見地からすれば、接種率が70%に届かないうちに規制を解除したアメリカとイギリスは、やや尚早だったのでは?

        ≪29日の日経平均 = 上げ +72.60円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】     



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